🩺 岩手医科大学 医学部 生物(2024年度)完全攻略ガイド
このページでは、添付された2024年度(令和6年度)岩手医科大学 医学部 一般選抜の生物(第1問〜第3問、解答番号 1 〜 17)について、「なぜその選択肢が正解で、他がなぜ間違いなのか」「計算や実験考察をどう1ステップずつ追うか」を一切省略せずに完全図解しています。
⚡ 解答一覧(スピードチェック)
マーク番号 1 〜 17第1問:血液循環・対向流システム
第2問:動物の発生・誘導の連鎖
第3問:細胞周期とDNA量グラフ
複数選択問題(14・15、16・17)は完答・順不同です。特に問3の「DNA複製開始阻害」と「DNA鎖伸長阻害」の違いは医学部頻出の超良問!下の図解で完璧にマスターしよう。
第1問:脊椎動物の閉鎖血管系と対向流システム(熱交換・ガス交換)
第1問のテーマは「血液循環の基礎知識+対向流(カウンターカレント)システム」だよ!
水鳥の足が氷水の中でも凍えず、かつ体温を奪われない理由や、硬骨魚類の鰓(えら)が水中のわずかな酸素を効率よく取り込める理由は、どちらも「2つの液体が逆向きに流れる(対向流)」という物理・工学的なシステムで説明できるんだ。問1(b)の赤血球の寿命計算は単位換算($\text{L} \to \text{mm}^3$)さえミスしなければ100%満点が狙えるよ!
・脊椎動物は毛細血管が存在する閉鎖血管系をもち、(1)血液は、心臓から送り出されて動脈を流れ、毛細血管を経て静脈に入り、心臓へと戻る。
・図1左は冷却したい液体(入口温度 $T\,^\circ\text{C}$)と冷却水(入口温度 $t\,^\circ\text{C}$)の流れる方向が逆の「対向流」、図1右は同じ向きの「同向流」であり、液体の温度は対向流(図1左)の方がより低下する。
・水鳥が水に浮いている時、足から奪われた分だけ(2)熱を産生して補わなくてはならない。そのため、動脈と静脈が( ア )のような関係で隣接し、( イ )に熱を移動させることで、足先の温度を( ウ )して足から奪われる熱を少なくするしくみをもっている。また、(3)一部の脊椎動物ではガス交換にもこのようなしくみが存在している。
問1(a) 血液および血液の循環に関する正誤判定(解答番号 1)
あ:血液の液体成分は血清といい、フィブリノーゲンなどのタンパク質が存在している。
い:すべての動脈には酸素を多く含む動脈血が流れ、すべての静脈には含まれる酸素が少ない静脈血が流れる。
う:ヒトの心臓は自動性をもち、自動性を生み出すペースメーカー(洞房結節)は右心房の上部に存在している。
血液の液体成分(有形成分である血球を除いたもの)は「血しょう(血漿)」といい、血液凝固に関わるフィブリノーゲンを含んでいます。一方、血液が凝固して血餅(フィブリン+血球)が除かれた上澄み液が「血清」であり、血清にはフィブリノーゲンは含まれません(フィブリンとして消費されたため)。
心臓から送り出される血液が流れる血管を「動脈」、心臓へ戻る血管を「静脈」と呼びます。体循環では大動脈に動脈血が流れますが、肺循環では「肺動脈」に酸素の少ない静脈血が流れ、「肺静脈」に酸素を多く含む動脈血が流れます(また胎児の臍動脈にも静脈血が流れます)。よって「すべての動脈に動脈血が流れる」は誤りです。
ヒトの心臓の拍動リズムを自発的に生み出すペースメーカー(歩調とり)は洞房結節であり、大静脈が流れ込む右心房の上部に存在しています。
問1(b) 1日に破壊・生成される赤血球数の計算(解答番号 2)
ここが最大のポイントです!体積の単位換算を1ステップずつ確認しましょう。 $$1\,\text{L} = 1000\,\text{mL} = 1000\,\text{cm}^3 = 10^3\,\text{cm}^3$$ また、$1\,\text{cm} = 10\,\text{mm}$ なので、立方体で考えると: $$1\,\text{cm}^3 = 10\,\text{mm} \times 10\,\text{mm} \times 10\,\text{mm} = 1000\,\text{mm}^3 = 10^3\,\text{mm}^3$$ したがって、$1\,\text{L}$ は何 $\text{mm}^3$ かというと: $$1\,\text{L} = 10^3\,\text{cm}^3 = 10^3 \times 10^3\,\text{mm}^3 = 10^6\,\text{mm}^3$$ よって、血液量 $4.8\,\text{L}$ は、 $$4.8\,\text{L} = 4.8 \times 10^6\,\text{mm}^3$$ となります。
血液 $1\,\text{mm}^3$ あたり $450\text{万個} = 4.5 \times 10^6\,\text{個}$ の赤血球が含まれているので、体内の赤血球総数 $N_{\text{total}}$ は: $$N_{\text{total}} = (4.5 \times 10^6\,\text{個/mm}^3) \times (4.8 \times 10^6\,\text{mm}^3)$$ $$4.5 \times 4.8 = 21.6 \quad \text{より、}$$ $$N_{\text{total}} = 21.6 \times 10^{12} = 2.16 \times 10^{13}\,\text{個}$$
赤血球の平均寿命が $120$ 日で、体内の赤血球数が一定(安定)しているということは、全赤血球の $\dfrac{1}{120}$ が毎日破壊され、それと全く同じ数が毎日新しく生成(造血)されて入れ替わっているということです。
したがって、1日に破壊される赤血球数(=1日に生成される赤血球数)は: $$\text{1日あたりの個数} = \frac{21.6 \times 10^{12}\,\text{個}}{120\,\text{日}} = \frac{216 \times 10^{11}}{120} = 1.8 \times 10^{11}\,\text{個}$$
問2 ヒトの体温調節において熱産生を担う器官(解答番号 3)
① 腎臓 ② ひ臓 ③ すい臓 ④ 立毛筋 ⑤ 肝臓 ⑥ 副腎髄質
恒温動物の体温調節において、化学反応(代謝)や筋収縮によって実際に多量の熱を生み出す熱産生器官は主に「肝臓」と「骨格筋(および褐色脂肪組織)」です。
・⑤ 肝臓:体内で最も代謝が盛んな臓器であり、チロキシンやアドレナリンの作用で物質交代(異化)が促進され、安静時でも多量の熱を産生します(⭕ 正解)。
・④ 立毛筋:交感神経の働きで収縮し、毛を逆立てて皮膚表面の空気層を厚くすることで「熱放散の抑制(保温)」を担う平滑筋であり、熱産生の主役ではありません。
・⑥ 副腎髄質:アドレナリンを分泌して肝臓や骨格筋での熱産生を促す内分泌腺であり、それ自体が熱産生を担う主器官ではありません。
問3 水鳥の足における対向流熱交換システム(解答番号 4)
「動脈と静脈が( ア )のような関係で隣接し、( イ )に熱を移動させることで、足先の温度を( ウ )して足から奪われる熱を少なくするしくみをもっている。」
体幹(心臓)から足先へ向かう動脈と、足先から体幹(心臓)へ戻る静脈は、流れる向きが互いに逆向き(対向流)です。よって、対向流を表している「図1左」が入ります。
熱は必ず「高温側から低温側」へ移動します。体幹の深部から降りてくる温かい血液が流れる「動脈」から、足先で冷やされて戻ってくる「静脈」へ熱が移動します(=動脈から静脈)。これにより、熱が足先まで行く前に静脈血に回収されて体幹へ戻ります。
動脈血が足先に到達するまでに静脈血へ熱を渡し続けるため、足先に届く血液の温度は「低く」なります。足先の温度が周囲の冷たい水の温度に近ければ近いほど(温度差が小さいほど)、足先から水へ奪われる熱量を最小限に抑えることができます。
問4 硬骨魚類の鰓(えら)における対向流ガス交換(解答番号 5)
硬骨魚類の鰓でも、熱交換と同じく対向流(逆向き)によって効率よくガス交換が行われます。したがって、毛細血管内の血液の流れは水流と「逆の向き」(カ)になります。
ここで問題ページの図2の矢印をよく見ましょう!
・水流の矢印は「左下(血管D側)から右上(血管C側)」へ向かっています。
・毛細血管内の血液はその逆の向き、つまり「血管Dから毛細血管を通って血管C」の向きへ流れています!
・したがって、入り口側である血管Dは「心臓から鰓(オ)」へ血液を送り込む血管(入鰓動脈)であり、ガス交換を終えた出口側である血管Cは「鰓から全身(エ)」へ血液を送り出す血管(出鰓動脈)です。
外呼吸(鰓呼吸)によって、水中から「酸素」(キ)を効率よく血液中に取り入れ、体内で生じた「二酸化炭素」(ク)を水中へ排出します。
第2問:動物の発生における誘導の連鎖・神経誘導・運動ニューロンの分化
第2問は「発生と誘導(眼の形成・神経誘導の分子機構・脊索による運動ニューロン分化)」の総合問題だよ!
特に合否を分けるのは問3(BMP=タンパク質Xとコーディン=タンパク質Yの抗体添加実験)と、問4(脊索が分泌するソニックヘッジホッグ=タンパク質Zの濃度勾配パズル)の2つ!どちらも問題文のルールを図にして整理すれば、驚くほどスッキリ解けるから一緒に1ステップずつ見ていこう!
問1(a)・(b) 眼の形成における誘導の連鎖(解答番号 6・7)
(b) 図1中の空欄エ〜カに入る語句の組合せを①〜⑥から1つ選べ。(解答番号 7)
原口背唇部(形成体)の誘導によって外胚葉から形成された神経管は、前方部が膨らんで「脳(間脳)」(ア)になります。次に、脳(間脳)の左右の壁が外側へ突出して袋状の「眼胞」(イ)となり、さらにその先端が内側へくぼんで杯(さかずき)状の「眼杯」(ウ)となって、最終的に網膜へと分化します。
眼胞(眼杯)が外胚葉由来の表皮に接すると、その部分を誘導して「水晶体」(オ)へと分化させます。さらに、形成された水晶体(および眼杯)が形成体となって、その外側を覆う「表皮」(エ)を誘導し、「角膜」(カ)へと分化させます。
問2 両生類の中胚葉誘導シグナルタンパク質(解答番号 8)
① ノーダル ② ビコイド ③ ナノス ④ ディシェベルド ⑤ $\beta$ カテニン
両生類の胞胚期において、植物極側の内胚葉細胞から分泌され、動物極側の外胚葉(予定外胚葉)に働きかけて中胚葉へと誘導する細胞外シグナルタンパク質(増殖因子)は「ノーダル(Nodal)」(またはアクチビンなどのTGF-$\beta$ファミリー)です。
※他の選択肢のチェック:
・② ビコイド、③ ナノス:ショウジョウバエの前後軸決定に関わる母性効果遺伝子産物。
・④ ディシェベルド、⑤ $\beta$ カテニン:両生類の受精後の表層回転によって背側植物極領域(ニューコープセンター)の細胞質・核内に蓄積する細胞内因子であり、これらがノーダル遺伝子の転写を活性化させます。「中胚葉を誘導するシグナルとしてはたらく分泌タンパク質」そのものは① ノーダルです。
問3(a)・(b) カエルの神経誘導の分子メカニズムと抗体添加実験(解答番号 9・10)
タンパク質X が X受容体に結合できるとき!
・外胚葉断片(塊)をそのまま培養したとき(自分が分泌したXが自分の受容体に結合する)
・バラバラにした細胞に外から「タンパク質X」を添加したとき
タンパク質X が X受容体に結合できないとき!
・「タンパク質Y」がXを捕まえて邪魔したとき
・「タンパク質Xに対する抗体」がXを捕まえて邪魔したとき
・細胞をバラバラにして洗浄し、分泌されたXが希釈されて受容体に届かないとき
外胚葉断片(塊)の中には、外胚葉細胞自身が分泌した「タンパク質X」が存在しています(形成体はないのでタンパク質Yは元々存在しません)。そのため、何も添加しないとXがX受容体に結合して「表皮」に分化します。ここに3種類の物質をそれぞれ十分量添加すると:
① 「タンパク質Y」を添加:Yが断片内のタンパク質Xと結合し、Xが受容体に結合できなくなるため、「神経」に分化します。
② 「タンパク質Xに対する抗体」を添加:抗体が断片内のタンパク質Xと結合して機能を阻害し、Xが受容体に結合できなくなるため、「神経」に分化します。
③ 「タンパク質Yに対する抗体」を添加:外胚葉断片には元々形成体由来のタンパク質Yは存在しないため、Yに対する抗体を入れても何も起きません。断片内のタンパク質Xは通常通りX受容体に結合するため、「表皮」に分化します。
外胚葉断片の細胞をばらばらにして洗浄すると、組織内にあったタンパク質Xが洗い流され(さらに分泌されても広い培養液中に拡散してしまうため)、X受容体にタンパク質Xが結合できず、そのまま培養するとすべて「神経細胞」に分化します。ここに3種類の物質をそれぞれ十分量添加すると:
① 「タンパク質X」を添加:培養液中に十分量のタンパク質Xが補われ、X受容体に結合するため、「表皮細胞」に分化します。
② 「タンパク質Xに対する抗体」を添加:ただでさえ存在しない(機能していない)タンパク質Xを阻害するだけなので、X受容体には何も結合せず、そのまま「神経細胞」に分化します。
③ 「タンパク質Yに対する抗体」を添加:タンパク質Yは存在せず、仮に阻害してもタンパク質Xが存在しないことに変わりはないため、X受容体には何も結合せず、そのまま「神経細胞」に分化します。
問4(a)・(b) 脊索から分泌されるタンパク質Zと運動ニューロン分化領域の推論(解答番号 11・12)
・「どの細胞が運動ニューロンに分化できるか?」:Aでは腹側に2ヵ所分化しましたが、C(背側に脊索を移植)では背側にも2ヵ所(計4ヵ所)分化しました。このことから、「分化できる領域が元々2ヵ所や腹側半分だけに決まっている」のではなく、「神経管の細胞はすべて(背側であっても)適切な濃度のタンパク質Zさえ受け取れば運動ニューロンに分化できる」ことがわかります(①・②・④・⑤が消去され、③か⑥に絞られます)。
・「タンパク質Zはどのように拡散するか?」:Aで脊索の左右対称な2ヵ所に運動ニューロンが分化し、かつ図2で神経管の長径方向に向かって濃度が減衰していることから、タンパク質Zは一方向に一周するのではなく、「脊索から神経管内を左右両方向に同じように拡散して作用する」と推論できます。
上の【超図解】を見ながら、移植する脊索(黒丸)を背側頂点(C)から右側を通って腹側(G)へ少しずつ近づけていくとどうなるか追跡しましょう!
1. 位置が遠いとき(C・D付近):本来の脊索(腹側)が作る2つの分化領域と、移植した脊索が作る2つの分化領域が互いに離れているため、合計 4ヵ所 分化します。
2. 位置が中間の距離になったとき(E付近):本来の脊索から右側へ拡散したZと、移植した脊索から下側へ拡散したZがちょうど合流し、2つの脊索の中間にある分化領域が1つに重なります(または合算されてちょうど適切な濃度になる領域が1つになる)。その結果、本来の脊索の左側(1ヵ所)+間の合流領域(1ヵ所)+移植脊索の背側(1ヵ所)= 合計 3ヵ所 になります!
3. 2つの脊索がかなり近づいたとき(F・G付近):2つの脊索の間(挟まれた領域)は、両方から高濃度のタンパク質Zが供給されるため、「濃度が高すぎて分化が起こらない領域」になってしまいます!その結果、2つの脊索をひとまとめにした外側の両端(本来の脊索の左側1ヵ所+移植脊索の背側1ヵ所)の合計 2ヵ所 だけが分化します(本来の脊索の真横に重なるほど近づけても、両外側の2ヵ所は必ず適濃度になるため、1ヵ所や0ヵ所にはなりません)。
第3問:真核細胞の細胞周期・核DNA量ヒストグラムとDNA合成阻害剤
第3問はフローサイトメトリーによる「核DNA量と細胞数のグラフ(図1〜図3)」の読み取り問題だよ!
※では、問題文に「解答番号 13〜19」とあるうちの問1〜問3(解答番号 13〜17)までが収録されているね。この問2・問3はどちらも「2つ選べ」のマーク問題で、特に問3の「DNAの複製開始だけを阻害するとどうなるか?」「DNA鎖の伸長も阻害するとどうなるか?」は全国の医学部で超頻出のテーマだから、下の図解で仕組みを完璧に自分のものにしよう!
問1 紡錘糸を構成するタンパク質とモータータンパク質(解答番号 13)
・細胞分裂期(M期)に形成される紡錘糸の正体は、細胞骨格の1つである「微小管」です。微小管を構成するタンパク質は「チューブリン」です(ケラチンは中間径フィラメント、コラーゲンは細胞外マトリックスの主成分)。
・微小管(レール)の上を移動・相互作用するモータータンパク質は「ダイニン」および「キネシン」です(※選択肢①のカドヘリンは細胞接着分子でありモータータンパク質ではありません)。
問2 細胞集団Xの細胞周期と時間の割合の計算(解答番号 14・15)
① Iには、$\text{G}_1$期と$\text{S}$期の細胞が含まれる。
② IIには、$\text{S}$期と$\text{G}_2$期の細胞が含まれる。
③ IIIには、$\text{G}_2$期と$\text{M}$期の細胞が含まれる。
④ $\text{G}_1$期と$\text{S}$期の長さの合計は細胞周期全体の $60\%$ に相当する。
⑤ $\text{S}$期と$\text{G}_2$期の長さの合計は細胞周期全体の $13\%$ に相当する。
⑥ $\text{M}$期の長さは$\text{S}$期の長さの約 $0.5$ 倍である。
⑦ $\text{G}_1$期の長さは$\text{S}$期の長さの約 $4.6$ 倍である。
⑧ $\text{G}_2$期の長さは$\text{S}$期の長さの約 $2$ 倍である。
・領域 I(DNA量=1、全体の $60\%$):DNA複製前の「$\text{G}_1$期」の細胞のみが含まれます(よって①・④は誤り)。
・領域 II(DNA量=1〜2の間、全体の $13\%$):DNAを複製している最中である「$\text{S}$期」の細胞のみが含まれます(よって②・⑤は誤り)。
・領域 III(DNA量=2、全体の $27\%$):DNA複製が完了してから細胞質分裂が終わるまでの「$\text{G}_2$期と$\text{M}$期」の両方の細胞が含まれます!したがって、③は正しい(1つ目の正解!)。
各時期の細胞の割合($\%$)は、そのまま各時期の長さ(時間)の割合に比例します。
・⑦の検証:$\text{G}_1$期(領域I)は $60\%$、$\text{S}$期(領域II)は $13\%$ なので、$\text{G}_1$期の長さは$\text{S}$期の長さの何倍か計算すると: $$\frac{\text{G}_1\text{期の長さ}}{\text{S}\text{期の長さ}} = \frac{60}{13} = 4.615\cdots \fallingdotseq 4.6\text{ 倍}$$ となり、⑦は完全に正しい(2つ目の正解!)。
・⑥・⑧が誤りである理由:領域III($27\%$)は「$\text{G}_2$期と$\text{M}$期の合計」が $27\%$ であることしか分からず、$\text{G}_2$期単独や$\text{M}$期単独の割合はこのグラフからは決定できません(ちなみに合計の $27\%$ で割ると $27 \div 13 \fallingdotseq 2.08$ 倍ですが、これは $\text{G}_2\text{期}+\text{M}\text{期}$ の合計に対する値であり、$\text{G}_2$期単独ではないため⑧も誤りです)。
問3 薬剤P(図2)と薬剤Q(図3)のDNA合成阻害作用の推論(解答番号 16・17)
図2を見ると、DNA量が1より大きい細胞(領域II=$\text{S}$期、および領域III=$\text{G}_2\cdot\text{M}$期)が完全に消滅し、すべての細胞がDNA量=1($\text{G}_1$期/$\text{S}$期入口)のピークに集まっています。
なぜ元々$\text{S}$期(DNA量 1〜2)にいた細胞まで消えてDNA量1になれたのでしょうか?
それは、薬剤Pを添加した時点ですでに$\text{S}$期に入って複製を始めていた細胞は、そのままDNA鎖の伸長を最後までやり遂げて$\text{G}_2\text{期}\to\text{M}\text{期}$を経て分裂し、DNA量=1の娘細胞($\text{G}_1$期)に戻ることができたからです!
そして、$\text{G}_1$期にいる細胞が新たに$\text{S}$期へ入ってDNA複製を始めることだけがブロックされたため、全員がDNA量=1で足止めされたのです。
👉 よって、薬剤Pは「DNAの複製開始だけを阻害する」(DNA鎖の伸長は阻害しない!)と断定できます。
図3を見ると、領域III(DNA量=2、$\text{G}_2\cdot\text{M}$期)のピークは消えていますが(元々$\text{G}_2\cdot\text{M}$期にいた細胞は分裂してDNA量1へ進んだため)、DNA量 1〜2 の間(領域II=$\text{S}$期)に多くの細胞が取り残されたまま止まっています。
これは、$\text{S}$期の途中で「DNA鎖の伸長」が阻害されたため、複製途中の細胞がDNA量2($\text{G}_2$期)に到達できずにその場でフリーズしてしまったことを示しています!
では、このとき薬剤Qは「複製開始」を阻害しているでしょうか?
・ケースA(DNA鎖の伸長だけを阻害する場合):元々$\text{G}_1$期にいた細胞は複製を開始した直後に伸長が止まるためDNA量ほぼ1にとどまり、元々$\text{S}$期にいた細胞はDNA量 1〜2 の途中で止まります。結果として図3のグラフになります。
・ケースB(DNAの複製開始とDNA鎖の伸長の両方を阻害する場合):元々$\text{G}_1$期にいた細胞は複製開始が阻害されてDNA量=1で止まり、元々$\text{S}$期にいた細胞は鎖の伸長が阻害されてDNA量 1〜2 の途中で止まります。これも結果として全く同じ図3のグラフになります!
👉 よって、薬剤Qは「DNA鎖の伸長だけを阻害する」または「DNAの複製開始とDNA鎖の伸長の両方を阻害する」の2通りの可能性があります。
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