14 下記の遺伝子に変異が生じた場合の説明として適当なものはいくつあるか。ただし終止コドンはUAA,UGA,UAGとする。
変異前の遺伝子の開始コドンから終止コドンまでのDNA配列(非鋳型鎖):
5'-ATG/AAG/CTG/CTG/CCG/TCG/GTG/ATC/GAT/CCG/ATC/GAT/CCG/ATC/GGG/TGC/
TTA/AGC/TCT/TTC/TGG/CTC/TGG/TGA-3'
- A 10番目から15番目のアミノ酸をコードする塩基配列の間で一塩基が欠失した場合,変異前より短いタンパク質が合成される。
- B 開始コドンのAが欠失した場合でも,開始コドン直前の塩基配列によってはタンパク質が合成される。
- C 20番目から23番目のアミノ酸をコードする塩基配列の間で一塩基が欠失した場合,変異前に比べて長いタンパク質が合成される。
- D 終止コドンに一塩基の置換が起こった場合,変異前に比べて必ず長いタンパク質が合成される。
選択肢:㋐ 0 ㋑ 1 ㋒ 2 ㋓ 3 ㋔ 4
🧬 コドン番号を振って、実際に1塩基欠失させた配列を完全検証!
まず、与えられたDNA配列(mRNAと同じ並びでTをUに読み替えたセンス鎖・非鋳型鎖)に1番目(開始コドン)から24番目(終止コドン)まで番号を振ります。DNA上で終止コドンに相当するのは TAA, TGA, TAG の3つです!
[1]ATG [2]AAG [3]CTG [4]CTG [5]CCG [6]TCG [7]GTG [8]ATC [9]GAT
[10]CCG [11]ATC [12]GAT [13]CCG [14]ATC [15]GGG [16]TGC [17]TTA [18]AGC [19]TCT
[20]TTC [21]TGG [22]CTC [23]TGG [24:終止]TGA
【記述 A の検証:正しい ⭕】
10番目〜15番目のコドンの配列に注目してください:
[10]CCG / [11]ATC / [12]GAT / [13]CCG / [14]ATC / [15]GGG / [16]TGC / [17]TTA / [18]AGC ...
ここで1塩基が欠失すると、後ろの塩基が1文字ずつ左にズレます(フレームシフト)。すると:
- [11]の
ATC と [12]の GAT の境界は ATC / GAT、同じく [13]と[14]・[15]付近にも ATC / GAT や ATC / GGG があります。
- もし [10]CCG〜[11]ATCのAまでの間で1塩基欠失すると、11番目の後半から
TCG / ATC / CGA / TCG / GGT / GCT / TAA となり、16〜17番目付近(GCT / TAA / GCT...)で必ず TAA(終止コドンUAA) が出現します!
- もし [11]のT以降で欠失しても、どんな遅くとも [15]GGG までのどこで1塩基欠失しても、必ず 17番目の
TTA / AGC が1文字ズレることで ...GCT / TAA / GCT... という終止コドン TAA(UAA)が17コドン目に出現します!(さらにその手前でも、[11]のCや[12]のGなどが消えれば TGA がすぐ出現します)。
つまり、10〜15番目の
どの1塩基が欠失しても、本来の24番目より手前(遅くとも17番目)で終止コドン(UGAまたはUAA)が生じるため、確実に
変異前より短いタンパク質が合成されます!
【記述 B の検証:正しい ⭕】
開始コドン ATG の先頭の A が欠失すると TG... となりますが、もし開始コドン直前(5'側上流)の塩基が A であれば、その直前の A と残った TG がつながって再び開始コドン ATG が形成され、変異前と全く同じ読み枠でタンパク質が合成されます!
【記述 C の検証:正しい ⭕】
20番目〜24番目(終止コドン)の配列を書き出して、1塩基欠失させてみましょう:
元の配列:[20]TTC / [21]TGG / [22]CTC / [23]TGG / [24]TGA
ここで20〜23番目の間のどの1塩基が欠失しても、24番目の TGA が1文字左にズレるため、本来の終止コドン TGA が壊れます!しかも、その途中で新しい終止コドンができるか調べると:
・[20]〜[23]から1文字消した残りの並び(TTCTGGCTCTGG から1文字消して TGA をつなげたもの)には、どこで消しても TAA, TAG, TGA が一切出現しません!(※例:[20]のTが消えると TCT / GGC / TCT / GGT / GA...、[21]のGが消えると TTC / TGC / TCT / GGT / GA...、[23]のGが消えると TTC / TGG / CTC / TGT / GA... となり、すべて最後は ...GGT / GA... または ...TGT / GA... となって24番目までに終止コドンが現れません)。
したがって、翻訳は本来の終止コドン(24番目)を通り過ぎて3'側下流へと続くため、変異前に比べて長いタンパク質が合成されます!
【記述 D の検証:誤り ❌】
元の終止コドンは TGA(mRNAではUGA) です。
もし3文字目の A が G に一塩基置換しても TGG(Trp)になりますが、もし2文字目の G が A に一塩基置換すると、TGA $\to$ TAA(mRNAではUAA)となり、別の終止コドンに変わるだけです!
この場合、終止コドンの位置は変わらないため、タンパク質の長さは変異前と同じになります。「必ず長いタンパク質が合成される」というのは誤りです。
以上より、適当なものは A, B, C の 3個 なので、正解は ㋓ です!