問1:アロステリック酵素。要確認活性部位(基質が結合する場所)とは別のアロステリック部位に調節物質(ここでは ADP・AMP・ATP)が結合すると、立体構造が変わって活性が変わる酵素を、アロステリック酵素といいます。
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※ 著作権に配慮し、入試問題の本文・図は掲載していません。図はTMPSが作成した解説用の図です。本番は理科2科目で120分・200点で、このページでは生物に60分を使う想定で時間配分を示しています。※ 用語・実験の考察・記述はスクリプトでは確かめられないため「要確認」と示しています。図からの読み取りは目で読んだ近似です。
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LINEで誤りを連絡3分で分かる 2024年度の慈恵医大の生物
- ✅ 全4大問・理科2科目で120分。大問1が問1〜6、大問2が問1〜6、大問3が問1〜9、大問4が問1〜6。空欄補充、選択、数値、グラフの作図、そして実験や図から理由を述べる記述が中心です。
- ✅ 大問1は「呼吸と発酵」+「ALDH2の遺伝」。ホスホフルクトキナーゼのアロステリック調節と、発酵・呼吸のエネルギーの差、酵母抽出液の実験から補酵素を考察する問題。後半は、四量体のサブユニットの組合せを数える遺伝の計算で、ハーディ・ワインベルグも出ます。
- ✅ 大問2は「神経」。末梢神経・自律神経の用語と、カエルの神経筋標本の実験。電極で測った波形から伝導速度を出し、刺激する場所を変えたときの波形を作図します。
- ✅ 大問3は「細胞死」。ニワトリの指間領域の細胞死の実験1〜4を読み解き、DNA複製の時期(細胞死の何時間前か)を計算します。植物(落葉・照葉樹)の問題も入ります。
- ✅ 大問4は「体液」。血液・組織液・リンパ液の用語、赤血球、胎児ヘモグロビンの酸素解離曲線、そして新型コロナのパルスオキシメーターの限界を、図から説明します。
- ✅ 差がつくのは、実験条件の読み取りと、図を根拠にした説明。たとえば大問3は、「いつ・何時間ずつ・どの期間に薬を作用させたか」を時間軸に並べられるか、大問2は「どの電極で何ミリ秒に波が始まるか」を読めるかで決まります。


生物60分の立ち回りマップ
時間はTMPSの目安です。本番は理科2科目で120分なので、生物に60分を使う想定で配分しています。
本番の答え一覧(採点用)
解説を読む前の採点用です。計算・論理で決まる所はpythonで確かめ、用語・記述は「要確認」として分けています(注記を参照)。作図・記述は言葉で書いています。
大問1(呼吸・発酵とALDH2)
大問2(神経)
大問3(細胞死)
大問4(体液)
※ 検算:大問1 問5・6(ハーディ・ワインベルグ、四量体の全16通りの列挙)、大問2 問5・6(伝導速度と波形のシミュレーション)、大問3 問3(時間の計算)は、pythonで再計算・全列挙して確かめました。
採点したら → 30秒の得点診断へ大問1 呼吸と発酵・ALDH2の遺伝 ── 前半は考察、後半は数え上げ
I(解糖系・発酵・酵母抽出液の実験、問1〜4)とII(酒に強い・弱いを決めるALDH2の遺伝、問5・6)。IIは計算で確実に取れるので、先に取ってもかまいません。
解糖系・発酵・呼吸のエネルギーと補酵素を読み取る前半と、ハーディ・ワインベルグ+サブユニットの組合せを数える後半の2部構成。
- 問1:活性部位とは別の場所に分子が結合して、構造が変わり活性が変わる酵素の名称
- 問2:ホスホフルクトキナーゼはATPが多いと活性が下がる。その生物学的な意味を、呼吸全体から記述で考察する
- 問3:アルコール発酵ではグルコースから呼吸の10%以下のエネルギーしか取り出せない。その理由を、反応3・4の枠で囲った生成物に着目して説明する
- 問4:酵母抽出液の実験から、再活性化に必要な物質(リン酸)を決めるまでの考察の文章の空欄 ア〜カ に語句を入れる(重複しない)
- 問5:ALDH2の遺伝子 n,d の遺伝子頻度から、2万人の集団の「強い人」「弱い人」「きわめて弱い人」の人数 ア〜ウ
- 問6:ALDH2の四量体のサブユニットの組合せを数え、「弱い人」の総酵素活性が「強い人」の何%かを求める(ア〜オ、数字)
問2:ATPによる抑制の意義。要確認ATP は、解糖系・クエン酸回路・電子伝達系でつくられる、細胞のエネルギー通貨です。ATP が多いのは、細胞のエネルギーが足りている状態。このときホスホフルクトキナーゼ(解糖系の入口に近い酵素)が抑えられると、グルコースの分解が止まり、呼吸全体のATP産生が減ります。逆に ADP や AMP が多いと活性化されて、ATP を増やします。つまり、ATP の濃度に応じて、呼吸全体の速さが調節され、グルコースの無駄な消費を防いでいる(フィードバック調節)。
問3:発酵が呼吸の10%以下しかエネルギーを取り出せない理由。要確認ATP の数は、発酵(反応3)が 2 分子、呼吸(反応4)が 38 分子で、$2\div38\approx5\%$。理由は、反応3の生成物のエタノールが有機物で、まだ燃やして(酸化して)エネルギーを取り出せるほど多くの化学エネルギーをもっているのに対し、反応4の生成物の二酸化炭素と水は、これ以上酸化できない最終産物で、エネルギーを取り出し切った状態だからです。
問4:酵母抽出液の実験。要確認「煮沸した抽出液で再活性化した」「同量の水では再活性化しない」という2つの事実から、順に消していきます。
| 空欄 | 答え | 考え方 |
|---|---|---|
| ア | 酵素 | 煮沸するとタンパク質(酵素)は変性して失活する。煮沸液で回復したので、酵素の枯渇ではない |
| イ | ATP | 解糖系の途中(反応2)で基質として使われるが、全体では ATP が2分子増える(反応3)ので、枯渇しない |
| ウ | NAD⁺ | 補酵素。熱に強く、解糖系で NADH に変わる |
| エ | NADH | ウが変換されたもの |
| オ | アセトアルデヒド | エ(NADH)に還元される物質(反応3の途中) |
| カ | エタノール | オを還元して生じ、このとき NAD⁺ に再生されるので、ウは枯渇しない |
残るのは、グルコースと同様に発酵で消費され(リン酸化に使われ)、再生されないリン酸。それで「リン酸であることがわかった」という流れです。
問5:ハーディ・ワインベルグ。$p=0.6$、$q=1-p=0.4$、人口は 20,000 人です。「強い人」は $nn$、「弱い人」は $nd$、「きわめて弱い人」は $dd$。
合計は $7200+9600+3200=20000$ 人です。
問6:四量体の組合せ。四量体は、2つのタンパク質でできた二量体が2個集まったもので、4か所の位置は固定されています。「弱い人」は、4か所のそれぞれに N か D が入るので、$2^4=16$ 通り(ア)。このうち、「強い人」と同じ(全部 N)は 1 通り(イ)、「きわめて弱い人」と同じ(全部 D)も 1 通り(ウ)。
二量体は2個(位置1・2と、位置3・4)。D を含む二量体は不活性型として働きます。活性が 25%になるのは、NN の二量体が1個と、D を含む二量体が1個の組合せで、$1\times3+3\times1=6$ 通り(エ)。両方が D を含む組合せは $3\times3=9$ 通りで活性 0%、両方が NN は 1 通りで 100%です。

大問1:呼吸・発酵とALDH2の型
| 小問 | やること | 着眼点 |
|---|---|---|
| 問1・2 | 調節物質が結合する場所と、フィードバックの意味を述べる | ATPが多い=エネルギーが足りている |
| 問3 | 2÷38と、生成物のエネルギーを比べる | エタノール(残る)とCO₂・H₂O(残らない) |
| 問4 | 煮沸でも壊れないものを消去法で決める | 酵素は×、補酵素NAD⁺は○、残るのはリン酸 |
| 問5 | $p^2$・$2pq$・$q^2$ に人数を掛ける | 合計=全人口で確認 |
| 問6 | 16通りを二量体の表で数える | 活性型は NN の1つだけ |
🩺【自己診断】大問1で手が止まった人への処方箋
- 問2・3何を書けばいいか分からない → 「ATPが多い=エネルギー十分」「生成物にエネルギーが残るか」を1行ずつ書く
- 問4空欄が埋まらない → 「煮沸に耐えるか」「反応で再生されるか」で、酵素・ATP・NAD⁺を消していく
- 問5・6数が合わない → 合計(全人口、全16通り)で確かめ、二量体の表を書く
大問2 神経 ── 用語を取り、波形は距離と時刻から
I(末梢神経・自律神経、問1・2)とII(カエルの神経筋標本の測定1・2、問3〜6)。問5・6は距離と時刻から論理で決まるので、確実に取ります。
中枢・末梢・自律神経の基礎と、神経筋標本の実験(電極6か所の距離と、刺激後の電位の波形)の2部構成。
- 問1:末梢神経系の分類(ア・イ)、脊髄から出入りする根(ウ・エ)、脳に直接入る感覚神経の細胞(オ・カ)の空欄補充
- 問2:交感神経が優位にはたらくことによって生じる現象を、6つの選択肢(a〜f)からすべて選ぶ
- 問3:カエルの神経筋標本の作り方の手順を誤った標本で、図の線4の結果になった理由を、「細胞膜、イオン、活動電位」の語句を使って記述する
- 問4:測定2で、ふくらはぎの筋肉が収縮しなかった理由を述べる
- 問5:神経束を興奮が伝導する速度(m/秒)を、小数第一位まで答える
- 問6:測定1の後に電極Eで活動電位を起こしたとき、電極Dの電位を基準とした電極Cの電位の時間変化を、解答欄のグラフ(0〜4ミリ秒)に描く
問1:用語。要確認末梢神経は、感覚神経・運動神経を含む体性神経系(ア)と、交感神経・副交感神経を含む自律神経系(イ)に分けられます。脊髄から出入りする2本の束のうち、運動神経は腹根(ウ)、感覚神経は背根(エ)を通ります(ベル・マジャンディーの法則)。脊髄を通らずに脳に入る感覚神経は、光の受容器の視細胞(オ)と、嗅上皮の嗅細胞(カ)です。
問2:交感神経が優位なときの現象。要確認交感神経は、興奮・緊張のときにはたらきます。瞳孔の拡大(a)、血圧の上昇(b)、心拍数の増加(e)が当てはまります。気管支の収縮(c)、排尿の促進(d)、胃の動き(ぜん動)の促進(f)は、副交感神経が優位なときの現象です。答えは a,b,e。
問3:手順を誤った標本。要確認正しい手順は、B点で糸を結んで固定してからA点で切断するものでした。手順を誤り、A点で縛ってB点で切断した標本では、電気刺激に対してほぼ平らな記録(線4)、つまり活動電位が記録されませんでした。理由として書くのは、「神経に傷害が加わって細胞膜が壊れ、イオンが自由に出入りして静止電位を保てなくなったため、活動電位が発生・伝導しない」という内容です。ただし、これは図のA・Bの位置関係の読み取りに依存します(標本として残す側の神経がどのように扱われたか)。冊子の図で、残した神経のどの部分が傷害を受けたかを確かめてから書いてください。
問4:筋肉が収縮しなかった理由。要確認測定2では、電極FとGの中間で神経束を新たに木綿糸でしばりました。しばった部分では細胞膜が傷ついて、活動電位が伝導できません。すると、興奮が神経の末端(筋肉との接合部)に届かず、筋肉を収縮させるシグナルが伝わらなかったのです。電極E−G の記録が、最初の下向きの波だけになる(線3)ことも同じ理由です。
問5:伝導速度。電極E と F の距離は 2 cm。線1(電極E)の波が始まるのは 1.0 ミリ秒、線2(電極F)の波が始まるのは 1.5 ミリ秒なので、2 cm を 0.5 ミリ秒で伝わっています。
確認:電極DからEまでは 4 cm で、$4\div4=1.0$ ミリ秒。刺激の1.0 ミリ秒後に波が始まるという線1とも合います。また、E−G(4 cm)では 1.0 ミリ秒の差になるので、線1の下向きの波と上向きの波がぴったり並ぶ形になります。
問6:電極Eで刺激したときの C−D の波形。Eで活動電位を起こすと、興奮は両方向に伝わります。D(ED=4 cm)には $4\div4=1.0$ ミリ秒、C(さらに CD=4 cm)には 2.0 ミリ秒で届きます。電極Dを基準にしたCの電位は、先に D が興奮するので、まず上向き(正)の波、あとから下向き(負)の波になります。線1(E−G)は、先に E が興奮するので、下向き→上向きでした。つまり、線1を上下反転した形です。

大問2:神経の型
| 小問 | やること | 着眼点 |
|---|---|---|
| 問1・2 | 体性・自律、腹根・背根、交感・副交感を整理 | 運動は腹根、感覚は背根。交感=興奮 |
| 問3・4 | 細胞膜の損傷→イオンの出入り→活動電位が出ない | しばった部分で伝導が止まる |
| 問5 | 距離÷(波の始まる時間の差) | 2 cm ÷ 0.5 ms=40 m/秒 |
| 問6 | 各電極への到達時刻を出し、先に興奮する方を見る | Dが先なら、C−Dは上向き→下向き |
🩺【自己診断】大問2で手が止まった人への処方箋
- 問1・2用語が出ない → 体性・自律、腹根・背根、交感・副交感を表にして覚える
- 問5速度が出ない → 線1・線2の波の始まる時刻の差と、2電極の距離を書く
- 問6波形が描けない → D・Cへの到達時刻を出し、「先に興奮する電極」を決めてから、上向きか下向きかを決める
大問3 細胞死 ── 実験3・4を時間軸に並べる
I(ニワトリの指間領域の細胞死、実験1〜4、問1〜6)とII(植物の細胞死、問7〜9)。問3は時間軸に並べれば計算で決まります。
動物の発生で細胞が決まった時期に死ぬしくみを、4つの実験の時間関係から読み解く前半と、植物のプログラム細胞死と植生の後半。
- 問1:選択肢(肺・網膜・腎臓・心臓・骨格筋)のうち、中胚葉由来の器官をすべて選ぶ
- 問2:実験1と実験2から、肢芽の指間領域のプログラム細胞死に関してわかることを述べる
- 問3:実験3と実験4から、指間領域で細胞死する予定の細胞が、細胞死開始時の何時間前〜何時間前の間にDNA複製を行っているかを、2つの数字で答える(順不同)
- 問4:実験3と実験4から、指間領域の細胞死の機構についてどのようなことが考えられるか述べる
- 問5:アヒルの後肢ではニワトリより指間の細胞死が起こらない。両者の生活様式と関連させて考察する
- 問6:アポトーシスは、ネクローシスと比べて周辺の細胞に損傷を与えにくい。その理由を、アポトーシスの仕組みにもとづいて答える
- 問7:植物の落葉の仕組みの空欄 A〜C(離層をつくる細胞層、促進するホルモン、抑制するホルモン)
- 問8:植物で起こるプログラム細胞死の例を、落葉・落果以外に一つあげる
- 問9:①日本の照葉樹林に関する記述を5つから2つ選ぶ、②夏緑樹が落葉して春に葉をつけかえる生活形が有利である理由を記述する
問1:中胚葉由来の器官。要確認中胚葉からは、腎臓(ウ)・心臓(エ)・骨格筋(オ)ができます。肺は内胚葉由来、網膜は外胚葉(神経管由来)です。答えは ウ,エ,オ。
問2:実験1と2から。要確認実験1では、肢芽の間充織の細胞が細胞死で消失します。実験2で、指間領域の表皮を除去すると、その下の間充織細胞は細胞死を起こしませんでした。つまり、指間領域の間充織の細胞死には、その上の表皮が必要(表皮から細胞死を引き起こす信号が出ている)と言えます。
問3:DNA複製の時期。日数を時間に直して、時間軸に並べます。孵卵開始からの日数で、細胞死のはじまりは $7\frac13$ 日(7日8時間)。薬品Aが効いたのは、8時間ずつの区間のうち $6\frac13$ 日〜$6\frac23$ 日(6日8時間〜6日16時間)の1区間だけです。この間にDNAを複製している細胞が、薬品Aを取り込んで転写パターンが変わり、細胞死が抑制されたと考えられます。
答えは「16」「24」(順不同)です。細胞死開始時を基準にして、16時間前〜24時間前の間にDNA複製を行っています。
問4:細胞死の機構。要確認実験2〜4を、「いつ運命が決まるか」でつなぎます。
| 実験 | 結果 | わかること |
|---|---|---|
| 実験2 | 6日に表皮を除去すると、細胞死しない | 運命の決定前に表皮を除くと、細胞死が起こらない(表皮が必要) |
| 実験3 | 6日〜6日8時間に切り出した間充織は細胞死しない。6日16時間以降に切り出すと培養しても7日8時間から細胞死 | 6日16時間までには、表皮がなくても細胞死に向かうことが決まっている |
| 実験4 | 6日8時間〜16時間に薬品Aを作用させたときだけ、細胞死が抑制される | 細胞死の16〜24時間前のDNA複製のときの転写パターンの変化が、細胞死の運命づけに必要 |
以上から、指間領域の細胞は、表皮の影響下で、細胞死の16〜24時間前(6日8時間〜16時間ごろ)のDNA複製を伴う転写の変化によって、細胞死が運命づけられる。そしてその後は、表皮がなくても、決まった時刻に細胞死が進む、と考えられます。
問5:アヒルとニワトリ。要確認アヒルは水中で泳ぐ水鳥で、後肢の指の間に水かきが必要です。指間の細胞死が起こらず膜が残ることで、水をかく面積が大きくなります。ニワトリは地上を歩く鳥で、指が分かれている方が、地面をつかんで歩くのに有利です。
問6:アポトーシスが周辺を傷つけにくい理由。要確認アポトーシスでは、細胞が縮小して、小さな断片(アポトーシス小体)に分かれ、細胞膜に包まれたまま食細胞に取り込まれて処理されます。細胞の内容物(酵素など)が周囲に漏れ出ないので、周辺の細胞に損傷を与えにくいのです。ネクローシスは、細胞が膨らんで破裂し、内容物が漏れて周囲を傷つけます。
問7:落葉。要確認落葉は、葉柄の付け根にできる特別な細胞層離層(A)の細胞壁が酵素で分解されて起こります。この過程は、植物ホルモンのエチレン(B)で促進され、オーキシン(C)で抑制されます。
問8:ほかの例。要確認たとえば道管の形成。道管の細胞は、プログラム細胞死で内容物が失われ、細胞壁だけが残って中空の管になります。(病原体が感染した部分が自ら死んで感染を広げない過敏感反応でも可。)
問9①:照葉樹林。要確認日本の照葉樹林(暖温帯)には、スダジイ(エ)などが分布し、クチクラ層の厚い葉(オ)をつける常緑広葉樹が多く見られます。ブナ・冷温帯は夏緑樹林、ハイマツは亜高山帯〜高山帯です。答えは エ,オ。
問9②:夏緑樹の生活形。要確認冬は低温で日照も弱く、光合成で得られる利益が小さい一方、葉を維持するのに呼吸などのコストがかかり、凍結や乾燥で葉が傷むおそれもあります。そこで、冬は落葉して葉の維持コストと凍結・乾燥の害を避け、春に新しい葉をつけて光合成をすることが、夏緑樹には有利です。

大問3:細胞死の型
| 小問 | やること | 着眼点 |
|---|---|---|
| 問2 | 表皮を除いた結果から、表皮の役割を述べる | 細胞死に表皮が必要 |
| 問3 | 日数を時間に直し、効いた区間と細胞死のはじまりの差 | $7\frac13-6\frac23$ と $7\frac13-6\frac13$ → 16と24 |
| 問4 | 実験2・3・4を「運命が決まる時期」でつなぐ | 決定前に表皮を除くと死なない/決定後は自律的に死ぬ |
| 問7 | 離層・エチレン・オーキシンを覚える | 落葉=離層+エチレンで促進、オーキシンで抑制 |
🩺【自己診断】大問3で手が止まった人への処方箋
- 問3数字が出ない → 日数を時間に直して、時間軸に8時間ずつ区間を書く
- 問4何を書けばいいか分からない → 実験2・3・4が、それぞれ「いつ」「何をしたか」を表にして、共通の時期を探す
- 問7〜9用語が出ない → 落葉・道管・照葉樹林・夏緑樹を、1行ずつ書いて覚える
大問4 体液 ── 用語を取って、図から説明する
I(体液の分類・赤血球・酸素解離曲線、問1〜5)とII(新型コロナ感染症のパルスオキシメーター、問6)。問5・6は図の読み取りが答えの根拠になります。
体液の用語と赤血球の基本、そして成人・胎児ヘモグロビンの酸素解離曲線の図を使って、実際の医療機器(パルスオキシメーター)の限界まで考える大問。
- 問1:体液の分類と赤血球に関する空欄 ア〜カ(組織液・血しょう・アルブミン・骨髄・日数・脾臓)
- 問2:細胞外液と比べて、より高い濃度で細胞内液に含まれる陽イオンを一つ答える
- 問3:血しょうのタンパク質ウ(アルブミン)が血液の水分保持に重要な仕組みを、下線部②(毛細血管から移行しにくい)の性質から説明する
- 問4:赤血球の形状(核がなく扁平)から得られる機能上の利点を二つあげる
- 問5:胎児ヘモグロビンと成人ヘモグロビンの構造が違うことが、胎盤での酸素の受け取りに有利な点を、図にもとづいて述べる(胎盤での母体の血液と胎児の血液の酸素濃度は約30)
- 問6:パルスオキシメーターが肺の傷害による血液の酸素濃度の低下を初期段階でとらえにくい理由を、図を参考に述べる
問1:空欄補充。要確認血管の外の、細胞の間にある液体は組織液(ア)。血液の液体成分は血しょう(イ)。血しょうに最も多いタンパク質はアルブミン(ウ)で、毛細血管の壁を通りにくく、組織液へ移りにくい。赤血球は、成人では骨髄(エ)の造血幹細胞からつくられ、寿命は約120日(オ)。古くなった赤血球は、脾臓(カ)や肝臓で壊されます。
問2:細胞内に多い陽イオン。要確認細胞外液は Na⁺ が多く、細胞内液はK⁺(カリウムイオン)が多い、というイオン組成の違いがあります。答えは K⁺。
問3:アルブミンと水分保持。要確認アルブミンは、分子が大きいので毛細血管の壁を通りにくく、血しょう中に高い濃度で残ります。その結果、血しょうの膠質浸透圧が組織液より高くなり、水を血管の中に引き込む(保持する)はたらきをします。アルブミンが減ると、水が組織液へ出てむくみが起こります。
問4:赤血球の形状の利点。要確認核がなく、扁平(両面がくぼんだ円盤状)の形には、利点が3つ考えられます。①表面積が体積に対して大きく、酸素の受け渡しが速い。②核がないぶん、ヘモグロビンを多く含められ、酸素を多く運べる。③変形しやすく、細い毛細血管を通り抜けやすい。このうち二つを書きます。
問5:胎児ヘモグロビンの利点。要確認胎盤での酸素濃度は約30。この濃度で酸素ヘモグロビンの割合は、成人ヘモグロビン(母体)で約40%、胎児ヘモグロビンで約80%です。つまり、同じ酸素濃度で、胎児ヘモグロビンの方が酸素と結合しやすい(酸素との親和性が高い)。母体のヘモグロビンが手放した酸素を、胎児のヘモグロビンが受け取れる、というしくみです。曲線が左にずれているほど、酸素を受け取りやすいことを、2つの値で示すのがコツです。
問6:パルスオキシメーターの限界。要確認成人ヘモグロビンの曲線は、酸素濃度が高い範囲(約70〜100)では、ほぼ水平です。肺の傷害で、血液の酸素濃度が100から70に下がっても、酸素ヘモグロビンの割合は98%から約93%にしか下がりません。つまり、初期の酸素濃度の低下では、酸素ヘモグロビンの割合(パルスオキシメーターの測定値)がほとんど変わらず、異常に気づきにくいのです。70より下がると、割合が急に低下します。

大問4:体液の型
| 小問 | やること | 着眼点 |
|---|---|---|
| 問1・2 | 組織液・血しょう・アルブミン、K⁺ と Na⁺ | 細胞内にK⁺、細胞外にNa⁺ |
| 問3 | アルブミン→膠質浸透圧→水の保持 | 毛細血管の壁を通りにくい |
| 問4 | 形から機能を考える | 表面積・ヘモグロビン量・変形 |
| 問5 | 同じ酸素濃度で2つの曲線の値を比べる | 濃度30で約80%と約40% |
| 問6 | 曲線の平らな部分を指摘する | 100→70でほぼ変わらない |
🩺【自己診断】大問4で手が止まった人への処方箋
- 問1・2用語が出ない → 組織液・血しょう・アルブミン、Na⁺ と K⁺ を1行ずつ書く
- 問5何を書けばいいか分からない → 図の酸素濃度30で、2つの曲線の値を読む
- 問6理由が書けない → 曲線の形(平らな部分)と、そこでの値の変化を、数字で書く
慈恵医大2024型 そっくり類題セット
(全4大問・解答解説つき)
2024年度の本番と同じ4大問(問1〜6、問1〜6、問1〜9、問1〜6)・同じ型で、題材と数値を変えたTMPSオリジナル問題です。乳酸発酵と酵素・遺伝、神経と波形、細胞死、血液と酸素運搬を一通り練習できます。
印刷して、本番と同じように60分で解けます(本番は理科2科目で120分)。解答・解説はこのページの下に掲載しています。
※ 東京慈恵会医科大学の入試問題ではありません。本文・設問・人物・団体(架空)はすべてTMPS医学館が作成したオリジナルで、出典のある引用ではありません。
- 答えはすべて解答用紙(想定)に記入する。語句で答える問いは,指示された形式に従うこと。
- 記述問題は,何について,どのような理由で,どうなるのかを,結論から順に簡潔に書くこと(目安:1問につき40〜100字程度)。
解糖・乳酸発酵と酵素・遺伝に関する各問いに答えよ。
I.激しい運動で酸素が不足した筋肉の細胞は,解糖系で生じたピルビン酸を乳酸に変えて ATP を得る。解糖系は細胞質基質で進み,グルコース 1 分子から 2 分子のピルビン酸と 2 分子の ATP が生じ,同時に補酵素 NAD⁺ が NADH に変わる。解糖系が続くには NAD⁺ が再生される必要があり,乳酸脱水素酵素(LDH)はピルビン酸を乳酸に還元する際に NADH を NAD⁺ に戻す。グルコースを基質とした乳酸発酵の全体は反応1の式で表される。
反応1:グルコース + 2ADP + 2H₃PO₄ → 2乳酸 + 2ATP + 2H₂O
一方,酸素が十分にある場合の呼吸では,グルコース 1 分子から最大 38 分子の ATP が生じる。LDH の活性部位には,基質に似た構造のオキサミン酸が結合することがあり,オキサミン酸が結合すると,乳酸ができる反応が妨げられる(①)。また,乳酸発酵では,グルコースから呼吸で取り出せるエネルギーの 10%以下しか取り出せない(②)。
筋肉をすりつぶして得た抽出液にグルコースとリン酸を加えると,乳酸発酵が行われる。この抽出液を透析すると,グルコースが十分にあっても乳酸発酵は行われなくなった。透析した抽出液に,透析の外液を加えると,乳酸発酵が再開した。この外液を煮沸してから加えても再開したが,抽出液を煮沸して加えても再開しなかった。
再開に必要な物質は,熱に強く,半透膜をアことができる小さな物質で,イではないと考えられる。この物質は補酵素としてはたらくウで,解糖系の反応でエに変換されるが,エは,発酵においてオを還元してカを生成する際に使われて,ウに再生される。
II.ある酵素 X の遺伝子には,正常型遺伝子 $A$ と変異型遺伝子 $a$ があり,対立遺伝子である。$A$ からは正常なサブユニット,$a$ からは変異したサブユニットがつくられる。$AA$ の人では酵素 X が十分にはたらき,$aa$ の人ではまったくはたらかず,$Aa$ の人でははたらきが低下する。
酵素 X は二つのサブユニットが二量体を形成し,さらにその二量体同士がペアを作って四量体として機能する。四量体中の各サブユニットは固有の 4 か所の位置に配置され,入れかわることはない。「$Aa$ の人」では,四量体のそれぞれの位置に,正常なサブユニットか変異したサブユニットのどちらかが入るため,四量体の種類は全部でア通りになる。それらのうち,「$AA$ の人」のもつ四量体と同じ組み合わせになるのはイ通りで,「$aa$ の人」のもつ四量体と同じ組み合わせになるのはウ通りである。
変異したサブユニットを一つでも含む二量体は不活性型となる。二つとも正常なサブユニットからなる二量体(活性型二量体)どうしの四量体の酵素活性を 100%,二つとも不活性型の二量体からなる四量体の酵素活性を 0%としたとき,活性型二量体 1 個と不活性型二量体 1 個がペアになった四量体の酵素活性は 30%となる。したがって,「$Aa$ の人」で酵素活性が 30%になる四量体の組み合わせは,全部でエ通りである。以上から,「$Aa$ の人」がもつ総酵素活性は,「$AA$ の人」の酵素活性のオ%になる。なお,正常なサブユニットと変異したサブユニットは細胞内で等しく発現しており,四量体へはランダムに取り込まれるものとする。
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大問1 解糖・乳酸発酵と酵素・遺伝 の答えと解説
- 基質と阻害物質が活性部位を取り合うので,基質の濃度を高くすると阻害の効果は弱まる。これを競争的阻害という(活性部位以外に結合して構造を変える阻害とは区別する)。
- 知識問題(用語)。
- 解糖系のグリセルアルデヒド3-リン酸の酸化では,NAD⁺ が使われて NADH ができる。NAD⁺ の量は限られているので,再生しなければ解糖系は止まる。
- 酸素がないと電子伝達系で NADH を NAD⁺ に戻せないので,ピルビン酸を電子の受け手にして乳酸にし,NAD⁺ を再生する。これで解糖系が続き,ATP が得られる。
- 記述問題(TMPSの答案例)。
- ATP の産生量は 2 ÷ 38 ≒ 5.3%。生成物のエネルギーの面では,乳酸は有機物でまだ酸化できるが,二酸化炭素と水はこれ以上酸化できないので,エネルギーを取り出し切った状態。
- 記述問題(TMPSの答案例)。
- 透析(半透膜の袋に入れて水中に置くこと)で,小さな分子は膜を通って外へ出るが,大きなタンパク質は袋の中に残る。
- 煮沸した外液で乳酸発酵が再開したので,その物質は熱で壊れにくい(タンパク質ではない)低分子。補酵素 NAD⁺ が外へ出て不足していた。
- NAD⁺ は解糖系で NADH になり,NADH は LDH のはたらきでピルビン酸を還元して乳酸をつくるときに NAD⁺ に戻る。知識問題。
- $q=1-0.7=0.3$。$AA$ は $p^2=0.49$ より $30000\times0.49=14700$ 人,$Aa$ は $2pq=0.42$ より $12600$ 人,$aa$ は $q^2=0.09$ より $2700$ 人。合計は 30000 人。
- 四量体の 4 つの位置それぞれに 2 通りなので,$2^4=16$ 通り(ア)。全部正常なものは 1 通り(イ),全部変異したものも 1 通り(ウ)。
- 二量体は (1,2) の位置と (3,4) の位置の 2 個。活性型の二量体(正常 2 個)は 4 通り中 1 通り,不活性型は 3 通り。活性型 1 個+不活性型 1 個のペアは $1\times3+3\times1=6$ 通り(エ)。両方とも活性型は 1 通り(100%),両方とも不活性型は $3\times3=9$ 通り(0%)。
- 総活性は,全 16 通りが同じ確率で起こるので $\dfrac{1\times100+6\times30+9\times0}{16}=\dfrac{280}{16}=17.5$(%)(オ)。
神経に関する各問いに答えよ。
I.ヒトの脳は,大脳,間脳,中脳,小脳,延髄に分けられる。心臓の拍動や呼吸の調節の中枢はアにあり,体温や血糖濃度の調節の中枢はイの視床下部にある。瞳孔の大きさを調節する反射の中枢はウにあり,からだの平衡を保ち,随意運動を滑らかにする中枢はエである。熱いものに触れて思わず手を引っ込める反応では,感覚神経からの興奮がオを通って運動神経に伝えられ,大脳を経由しない。一方,意識的な判断や記憶,言語などの中枢はカにある。
II.運動神経について調べるために,カエルから神経筋標本を作製して実験を行った。標本の神経束は,図1のように,電極 C,D,E,F,G の上にのせられている。各電極間の距離は,C と D の間が 6 cm,D と E の間が 6 cm,E と F の間が 3 cm,F と G の間が 3 cm である。
測定1:電極 D で神経束に興奮が生じるような瞬間的な電気刺激を与えた。その結果,電極 G の電位を基準とした電極 E での電位の時間変化は図2の線1のように,電極 G の電位を基準とした電極 F での電位の時間変化は図2の線2のように記録された。また,電気刺激によってふくらはぎの筋肉が収縮した。
測定2:測定1のあと,電極 F と G の中間で神経束に麻酔薬を染みこませた綿をあてて,測定1と同様の電気刺激を与えた。その結果,電極 G の電位を基準とした電極 E での電位の時間変化が図2の線3のように記録された。今回は,電気刺激後にふくらはぎの筋肉は収縮しなかった。
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大問2 神経 の答えと解説
- 脳の各部の中枢:延髄(心拍・呼吸・消化管運動など),間脳(視床下部:体温・血糖・水分の調節),中脳(瞳孔反射・眼球運動・姿勢の保持),小脳(平衡と随意運動の調節),大脳(思考・記憶・言語)。
- 手を引っ込める反応は脊髄反射で,興奮は脊髄を通って運動神経に伝わる。知識問題(用語)。
- 副交感神経は,休息・消化のときにはたらく。瞳孔の縮小(a),気管支の収縮(c),排尿の促進(e)が副交感神経の優位による。
- 血圧の上昇(b),心拍数の増加(d),立毛筋の収縮(f)は交感神経が優位なときに起こる。知識問題。
- 活動電位は,電位依存性 Na⁺ チャネルが開いて Na⁺ が流入することで生じ,隣へ伝わっていく。麻酔部分では Na⁺ の流入が起こらず,活動電位がそこで止まる。
- 電極 E–G の差は「E での活動電位」と「G での活動電位」の差。G に興奮が届かなければ,E の通過に伴う最初の波(下向き)だけが記録される。記述問題(TMPSの答案例)。
- 運動神経の興奮は,神経の末端からアセチルコリンが放出されて筋肉に伝わる。伝導が途中で遮断されれば末端に興奮が届かず,筋肉は収縮しない。
- 記述問題(TMPSの答案例)。
- 線1(電極 E)の波の開始が 1.0 ミリ秒,線2(電極 F)の開始が 1.5 ミリ秒。E と F は 3 cm 離れているので,$\dfrac{3\ \text{cm}}{0.5\ \text{ms}}=6\ \text{cm/ms}=60\ \text{m/秒}$。
- 確認:D から E まで 6 cm を 1.0 ミリ秒で伝わるので,6 cm/ms で一致する。
- F から D までは $3+6=9$ cm なので,興奮は $9\div6=1.5$ ミリ秒で D に,さらに 6 cm 進んで $1.0$ ミリ秒後の 2.5 ミリ秒に C に届く。
- D が先に興奮するので,D を基準にした C の電位は,先に上向き(正)の波,あとに下向き(負)の波になる。線1とは正負の順が逆。
細胞死に関する各問いに答えよ。
I.哺乳類の手足の指も,指と指の間の指間領域の細胞がプログラム細胞死によって除かれることで形成される。マウス胚の後肢の指間領域の細胞死のしくみを知るために,次の実験1〜4を行った。受精後の経過時間は,12日0時間を 12.0 日,12日12時間を 12.5 日のように表す。
実験1:マウス胚の後肢の指間領域では,受精後 13.5 日から細胞死が起こりはじめる。この際,肢芽の表皮につくられた中胚葉由来の組織(間充織)の細胞が細胞死によって消失する。
実験2:受精後 12.0 日に,指間領域として予定されている部分の表皮を除去して胚の発生を続けると,その下の間充織細胞は細胞死を起こさなかった。
実験3:受精後 12.0 日〜12.5 日に指間領域として予定されている間充織を切り出して培養したところ,細胞死は起こらなかった。一方,受精後 13.0 日〜13.5 日に同様に間充織を切り出して培養すると,受精後 13.5 日から細胞死が起こりはじめた。
実験4:受精後 12.0 日から 13.5 日の間を 0.5 日(12 時間)ずつに区切り,いずれかの期間で薬品A(注)を細胞の増殖に影響が出ない濃度で作用させた。その結果,受精後 12.5 日〜13.0 日の期間に作用させた場合のみ,細胞死が顕著に抑制され,他の期間に作用させた場合は細胞死が抑制されることはなかった。
(注)薬品Aは,チミジンと構造が類似するため,DNA に取り込まれると,その後の転写パターンが変化する。この薬品は発生の特定の時期にのみ効かせることができる。
II.穀類の種子が発芽するときにも,プログラム細胞死が起こる。胚でつくられた植物ホルモンAは,胚乳の外側の糊粉層の細胞に作用して,酵素Bの合成を促す。Bは胚乳の貯蔵デンプンを分解し,胚の成長に使われる糖を生じる。この過程が終わると,糊粉層の細胞はプログラム細胞死を起こす。糊粉層でのBの合成は,植物ホルモンCによって抑制される。
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大問3 細胞死 の答えと解説
- 外胚葉からは,表皮・神経系(脳・脊髄)・感覚器の一部(水晶体・網膜)ができる。肝臓は内胚葉,腎臓は中胚葉。
- 知識問題。
- 表皮を除くと細胞死が起こらないので,細胞死は間充織だけでは起こらず,表皮の存在に依存する。
- 記述問題(TMPSの答案例)。
- 細胞死が始まるのは 13.5 日。薬品Aが効いた期間は 12.5 日〜13.0 日で,細胞死の開始時を基準にすると,$13.5-13.0=0.5$ 日 = 12 時間前から,$13.5-12.5=1.0$ 日 = 24 時間前の間。
- この間に DNA の複製を行うと考えられる。解答は順不同。
- 実験4:薬品AはDNAに取り込まれて転写パターンを変える。12〜24時間前の DNA 複製の時期に作用すると細胞死が抑制されるので,この時期の転写が細胞死に必要。
- 実験3:13.0 日〜13.5 日に切り出した細胞は,培養しても 13.5 日から細胞死を起こす。すでに細胞死に向かうことが決まっており,表皮がなくても進む。
- 記述問題(TMPSの答案例)。要確認:採点基準の細かい表現は公表されていない。
- 生活様式(飛翔と歩行)と,指の間の膜の有無とを結びつける。
- 記述問題(TMPSの答案例)。
- ヌクレオソーム(ヒストンに巻きついた約 200 塩基対の DNA)の間が切断されるので,ヌクレオソームの 1 個分,2 個分…の長さの断片ができる。電気泳動すると,長さの違う断片がとびとびのバンドになる。
- 知識問題+記述問題(TMPSの答案例)。
- 発芽では,胚から出たジベレリンが糊粉層にアミラーゼをつくらせる。アブシシン酸は種子の休眠を保ち,発芽を抑える。知識問題。
- ほかに,落葉の離層の形成,病原体が感染した部分の細胞死(過敏感反応)などがある。一つあげればよい。知識問題。
- 亜寒帯の針葉樹林には,シラビソ・トドマツ・エゾマツなどが分布し,針状の葉を数年間つける常緑針葉樹が多い。暖温帯の照葉樹林(スダジイ)や冷温帯の夏緑樹林(ブナ)とは区別する。
- 知識問題。
- 落葉樹は毎年葉をつくり直す。亜寒帯では生育期間が短く,葉をつくるコスト(窒素・光合成産物)を回収しにくい。葉を長く保持すれば,雪解けとともにすぐ光合成を始められる。
- 記述問題(TMPSの答案例)。
体液に関する各問いに答えよ。
I.血管が傷つくと,血液中のアが傷口に集まって凝集し,血液凝固の反応が始まる。この反応で,血しょう中のタンパク質イが繊維状のウに変化し,血球をからめてエができ,傷口をふさぐ。血液を試験管に入れて放置すると凝固し,上澄みとしてオが分離する。傷口が修復されたあと,ウはカのはたらきで溶解される。血液凝固の反応には,特定の金属イオンが必要である。
筋肉には酸素をたくわえるタンパク質ミオグロビンがある。図は,同じ条件で測定したヘモグロビンとミオグロビンの酸素解離曲線である(ヘモグロビンは pH 7.4 の実線と,pH 7.2 の破線)。縦軸は,酸素と結合した割合,横軸は酸素濃度(相対値)である。
II.運動中の筋肉では,二酸化炭素や乳酸が増えて血液の pH が低下する。pH が低下すると,ヘモグロビンの酸素解離曲線は右に移動する(図の破線)。
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大問4 血液と酸素運搬 の答えと解説
- 血小板が集まって傷口をふさぎ,血しょう中のフィブリノーゲンがフィブリンに変わって血球をからめ,血ぺいをつくる。凝固した血液の上澄みは血清(フィブリノーゲンなどの凝固因子を含まない)。フィブリンの分解(線溶)はプラスミン。知識問題(用語)。
- 血液凝固の反応には,カルシウムイオンが必要。知識問題。
- クエン酸はカルシウムイオンと結びつきやすい。Ca²⁺ が使えなければ凝固の反応は進まない。
- 記述問題(TMPSの答案例)。
- 円盤形(くぼんだ形)は,体積に対する表面積の比が大きく,酸素が出入りしやすい。核がないぶん内部をヘモグロビンで満たせる。柔軟で毛細血管を通り抜けやすい点もあげられる。二つ書けばよい。
- 記述問題(TMPSの答案例)。
- 酸素濃度 10 では,ヘモグロビンは約 2%しか結合しておらず,酸素をほぼ放している。一方,ミオグロビンは約 60%が結合している(図は TMPS の作成で,値は図から読み取れる近似)。
- ミオグロビンの方が酸素との結びつきが強いので,ヘモグロビンから酸素を受け取って筋肉に蓄え,酸素濃度が下がったときに放して使える。記述問題(TMPSの答案例)。
- 酸素濃度 30 では,pH 7.4 のヘモグロビンは約 30%,pH 7.2 のヘモグロビンは約 16%が酸素と結合している。差の約 14 ポイント分,酸素が余計に放出される。
- 運動中の筋肉は,酸素が必要でありながら二酸化炭素・乳酸が増えて pH が下がっている。そこで酸素が余計に放出されるのは都合がよい。記述問題(TMPSの答案例)。
※ 類題は、本番の解き方の骨格は残しつつ、題材・数値・条件を変えて作っています(大問1:乳酸発酵と競争的阻害・酵素Xの遺伝(30%の四量体)。大問2:脳の各部と副交感神経・電極間の距離と速度(60 m/秒)・Fで刺激。大問3:マウスの指間領域の細胞死(12時間・24時間)・穀類の発芽・亜寒帯針葉樹。大問4:血液凝固・ミオグロビンとヘモグロビン・pHと酸素解離曲線)。計算や論理で決まる所は、pythonで全列挙・数値計算して確かめています。
30秒 得点診断
本番の過去問、またはそっくり類題セットを60分で解いた結果を選んでください。次にやるべきことを表示します。
保護者の方へ:慈恵医大の生物で知っておきたい3つのこと
よくある質問
Q. 東京慈恵会医科大学 医学部の生物2024年度は、どの順番で解くのがよいですか?
TMPSのおすすめは、大問1(呼吸・発酵とALDH2の遺伝)に15分、大問2(神経)に15分、大問3(細胞死)に14分、大問4(体液・酸素運搬)に11分、見直しに5分の、生物60分の配分です。本番は理科2科目で120分なので、生物に60分を使う想定です。大問1のII(遺伝の計算)と大問2の問5・問6(速度とグラフ)は、論理で確実に取れる所です。
Q. 問題文が載っていなくても、どんな問題か分かりますか?
分かります。著作権に配慮して問題本文・図は掲載していませんが、各大問の最初に「どういう問題か」として、設定・何を答えるか・答える形(語句・記号・数値・グラフ・記述)をTMPSの言葉で説明しています。
Q. 答えは、どうやって確かめていますか?
計算や論理で決まる所(ハーディ・ワインベルグ、四量体の組合せ、神経の伝導速度と波形、DNA複製の時期など)は、pythonで全列挙・数値計算して確かめています。一方、用語・実験の考察・記述は、スクリプトでは確かめられないので、ページ内に「要確認」と明記しています。図からの読み取り(酸素解離曲線など)は、目で読んだ近似です。
Q. 記述問題は、どう書けばいいですか?
「結論 → 理由 → 根拠となる図表・実験のデータ」の順に、1文ずつ短く書きます。この大学の生物は、「実験の結果から何が言えるかを説明する」「図を根拠に理由を述べる」問題が多いので、どの実験のどの結果から言えるのかを、必ず1か所は書き入れます。
Q. そっくり類題セットとは何ですか?
2024年度と同じ4大問の構成(問1〜6、問1〜6、問1〜9、問1〜6)で、題材・数値・設定を変えたTMPSオリジナル問題です。全27問の答え・解説をこのページに掲載し、本番形式の問題冊子PDFも無料で配布しています。
Q. 解説に誤りを見つけたらどうすればいいですか?
公式LINEからお知らせください。確認のうえ修正し、更新日を記載します。
問題等で誤りを発見された場合、修正しますので、TMPS医学館までLINEを下さい。
受験生・指導者の皆様からのご指摘を真摯に受け止め、最も信頼できる過去問解説・類題ライブラリーとして随時アップデートいたします。
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慈恵医大の生物を、
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