TMPS生物作戦室 慈恵医大 生物2024
2024年度 一次試験 全4大問・全27小問計算・論理をpythonで検算済みそっくり類題セット

東京慈恵会医科大学
医学部 生物
2024年度 解答・解説

問題文は掲載できませんが、
解説を読むだけでどんな問題かもわかる!

さらに、そっくり類題PDFを見れば、実際の問題イメージもわかるよ!

各大問を「どういう問題か」から説明し、考え方を1つずつ解説。最後に、本番と同じ4大問の構成で作ったそっくり類題セット(全問解答つき)で、2024年度を丸ごと演習できます。

Sora先生
解説:Sora先生(TMPS医学館) / 更新:2026.10.21 / 読了 約40分

📌 このページの使い方

  1. 過去問集をお持ちの方:生物60分の配分で解き、答え一覧で採点してから解説へ
  2. お持ちでない方:各大問の「どういう問題か」を読めば、問題の中身がそのまま分かります
  3. 最後にそっくり類題セット(PDF版あり)を60分で解き、初見でも同じ解き方ができるか確かめる

※ 著作権に配慮し、入試問題の本文・図は掲載していません。図はTMPSが作成した解説用の図です。本番は理科2科目で120分・200点で、このページでは生物に60分を使う想定で時間配分を示しています。※ 用語・実験の考察・記述はスクリプトでは確かめられないため「要確認」と示しています。図からの読み取りは目で読んだ近似です。

⚠️ 問題等で誤りを発見された場合、修正しますので、TMPS医学館までLINEを下さい。(迅速に確認・更新いたします)

LINEで誤りを連絡
SUMMARY

3分で分かる 2024年度の慈恵医大の生物

Yuiちゃん
Yuiちゃん
大問2の波形のグラフは、何から考えればいいですか?
Sora先生
Sora先生
電極の距離と、波の始まる時刻を先に読む。E→Fの2 cmに0.5ミリ秒かかっているから、速さは決まる。あとは「どの電極が先に興奮するか」で、波が先に下向きか上向きかが決まるよ。
Yuiちゃん
Yuiちゃん
大問3の実験3と4は、どう整理するんですか?
Sora先生
Sora先生
時間軸に8時間ずつの区間を書いて、薬が効いた区間と細胞死のはじまりに印をつける。その差が「何時間前」。分数の日数は、まず時間に直そう。
STRATEGY MAP

生物60分の立ち回りマップ

時間はTMPSの目安です。本番は理科2科目で120分なので、生物に60分を使う想定で配分しています。

生物60分の時間配分。大問1が15分、大問2が15分、大問3が14分、大問4が11分、見直しが5分
図A 生物60分の使い方(TMPS作成)
🧭 おすすめの解く順番
大問1 → 大問2 → 大問4 → 大問3(得意な順でも可)
大問1の問5・6と大問2の問5・6は、式や時間軸で確実に取れます。大問3は実験の読み取りに時間がかかるので、計算を落とさずに先に済ませてから入るのが安全です。
ANSWERS

本番の答え一覧(採点用)

解説を読む前の採点用です。計算・論理で決まる所はpythonで確かめ、用語・記述は「要確認」として分けています(注記を参照)。作図・記述は言葉で書いています。

大問1(呼吸・発酵とALDH2)

問1 アロステリック酵素問2 記述:ATPが十分あるときは解糖系を止め、グルコースの無駄な消費を防ぐ(フィードバック調節)問3 記述:エタノールはまだエネルギーをもつが、呼吸の生成物のCO₂とH₂Oはエネルギーを取り出し切った状態問4 ア 酵素 / イ ATP / ウ NAD⁺ / エ NADH / オ アセトアルデヒド / カ エタノール問5 ア 7200 / イ 9600 / ウ 3200問6 ア 16 / イ 1 / ウ 1 / エ 6 / オ 15.6

大問2(神経)

問1 ア 体性 / イ 自律 / ウ 腹 / エ 背 / オ 視 / カ 嗅問2 a,b,e問3 記述:手順を誤って神経が傷つき(細胞膜が壊れてイオンが漏れ)、活動電位が発生・伝導しなくなった問4 記述:神経をしばった部分で活動電位の伝導が止まり、興奮が筋肉に届かなかった問5 40 m/秒問6 作図:1.0 msで上向きに始まり、1.5 msで山(+1.0)、2.0 msで0、2.5 msで谷(−1.0)、3.0 msで0(線1を上下反転した形)

大問3(細胞死)

問1 ウ,エ,オ問2 記述:指間の間充織の細胞死には、表皮が必要問3 16,24(順不同)問4 記述:表皮の影響下で、細胞死の16〜24時間前のDNA複製を伴う転写の変化によって細胞死が運命づけられ、その後は自律的に進む問5 記述:アヒルは水中生活で水かきが必要、ニワトリは地上歩行で指が分かれた方が有利問6 記述:アポトーシスは細胞が断片化して食細胞に取り込まれ、内容物が漏れず周辺を傷つけにくい問7 A 離層 / B エチレン / C オーキシン問8 例:道管の形成(細胞が死んで中空の管になる)問9 ① エ,オ / ② 記述:冬の低温・日照不足で光合成の利益が小さく、葉の維持コストや凍結の害を避けられる

大問4(体液)

問1 ア 組織液 / イ 血しょう / ウ アルブミン / エ 骨髄 / オ 120 / カ 脾臓問2 カリウムイオン(K⁺)問3 記述:アルブミンは毛細血管の壁を通りにくく血しょうに残り、膠質浸透圧で水を血管内に保つ問4 記述:表面積が大きく酸素の受け渡しが速い/核がなくヘモグロビンを多く含める/変形しやすい問5 記述:同じ酸素濃度(30)で胎児Hbは約80%、成人Hbは約40%と、酸素と結合しやすく、母体から酸素を受け取れる問6 記述:酸素濃度が100から70に下がってもHbの結合割合はほぼ変わらないので、初期の低下を見つけにくい
⚠️ 要確認(知識・記述):大問1 問1〜4、大問2 問1〜4、大問3 問1・2・4〜9、大問4 問1〜4 は、用語・実験の考察・記述で、スクリプトでは確かめられません。特に、大問2 問3の「手順を誤った標本」は、問題の図のA・Bの位置関係によって答案の書き方が変わるため、冊子の図で確かめてください。大問4 問5・6の数値(約80%・約40%・98→93%)は、図を目で読んだ近似です。

※ 検算:大問1 問5・6(ハーディ・ワインベルグ、四量体の全16通りの列挙)、大問2 問5・6(伝導速度と波形のシミュレーション)、大問3 問3(時間の計算)は、pythonで再計算・全列挙して確かめました。

採点したら → 30秒の得点診断へ
大問1 / 目標:15分(呼吸・発酵とALDH2)

大問1 呼吸と発酵・ALDH2の遺伝 ── 前半は考察、後半は数え上げ

I(解糖系・発酵・酵母抽出液の実験、問1〜4)とII(酒に強い・弱いを決めるALDH2の遺伝、問5・6)。IIは計算で確実に取れるので、先に取ってもかまいません。

現場戦略試験会場でのリアルな立ち回り(大問1)
⏱ 目標時間 & 死守ライン目標15分。I(問1〜4)に8分、II(問5・6)に7分。
⚠️ 損切り・警戒ライン問2・問3の記述は、キーワード(フィードバック・エタノールのエネルギー)を1行書いて次へ。問4は、語句が決まらないものを飛ばして、決まるものから埋める。
💡 初手の思考トリガー問5は「p²・2pq・q²」、問6は「4か所に2通りずつで2⁴=16、二量体は2個」。
📝 どういう問題か?

解糖系・発酵・呼吸のエネルギーと補酵素を読み取る前半と、ハーディ・ワインベルグ+サブユニットの組合せを数える後半の2部構成。

  • 問1:活性部位とは別の場所に分子が結合して、構造が変わり活性が変わる酵素の名称
  • 問2:ホスホフルクトキナーゼはATPが多いと活性が下がる。その生物学的な意味を、呼吸全体から記述で考察する
  • 問3:アルコール発酵ではグルコースから呼吸の10%以下のエネルギーしか取り出せない。その理由を、反応3・4の枠で囲った生成物に着目して説明する
  • 問4:酵母抽出液の実験から、再活性化に必要な物質(リン酸)を決めるまでの考察の文章の空欄 ア〜カ に語句を入れる(重複しない)
  • 問5:ALDH2の遺伝子 n,d の遺伝子頻度から、2万人の集団の「強い人」「弱い人」「きわめて弱い人」の人数 ア〜ウ
  • 問6:ALDH2の四量体のサブユニットの組合せを数え、「弱い人」の総酵素活性が「強い人」の何%かを求める(ア〜オ、数字)
左:グルコースからピルビン酸、アセトアルデヒド、エタノールへ。解糖系でNAD⁺がNADHになり、アセトアルデヒドの還元でNAD⁺に戻る。右:ATPは発酵で2分子、呼吸で38分子で、発酵は約5%
図B 発酵と補酵素NAD⁺、ATPの比較(TMPS作成・解説用)

問1:アロステリック酵素。要確認活性部位(基質が結合する場所)とは別のアロステリック部位に調節物質(ここでは ADP・AMP・ATP)が結合すると、立体構造が変わって活性が変わる酵素を、アロステリック酵素といいます。

問2:ATPによる抑制の意義。要確認ATP は、解糖系・クエン酸回路・電子伝達系でつくられる、細胞のエネルギー通貨です。ATP が多いのは、細胞のエネルギーが足りている状態。このときホスホフルクトキナーゼ(解糖系の入口に近い酵素)が抑えられると、グルコースの分解が止まり、呼吸全体のATP産生が減ります。逆に ADP や AMP が多いと活性化されて、ATP を増やします。つまり、ATP の濃度に応じて、呼吸全体の速さが調節され、グルコースの無駄な消費を防いでいる(フィードバック調節)。

問3:発酵が呼吸の10%以下しかエネルギーを取り出せない理由。要確認ATP の数は、発酵(反応3)が 2 分子、呼吸(反応4)が 38 分子で、$2\div38\approx5\%$。理由は、反応3の生成物のエタノールが有機物で、まだ燃やして(酸化して)エネルギーを取り出せるほど多くの化学エネルギーをもっているのに対し、反応4の生成物の二酸化炭素と水は、これ以上酸化できない最終産物で、エネルギーを取り出し切った状態だからです。

問4:酵母抽出液の実験。要確認「煮沸した抽出液で再活性化した」「同量の水では再活性化しない」という2つの事実から、順に消していきます。

空欄答え考え方
ア酵素煮沸するとタンパク質(酵素)は変性して失活する。煮沸液で回復したので、酵素の枯渇ではない
イATP解糖系の途中(反応2)で基質として使われるが、全体では ATP が2分子増える(反応3)ので、枯渇しない
ウNAD⁺補酵素。熱に強く、解糖系で NADH に変わる
エNADHウが変換されたもの
オアセトアルデヒドエ(NADH)に還元される物質(反応3の途中)
カエタノールオを還元して生じ、このとき NAD⁺ に再生されるので、ウは枯渇しない

残るのは、グルコースと同様に発酵で消費され(リン酸化に使われ)、再生されないリン酸。それで「リン酸であることがわかった」という流れです。

問5:ハーディ・ワインベルグ。$p=0.6$、$q=1-p=0.4$、人口は 20,000 人です。「強い人」は $nn$、「弱い人」は $nd$、「きわめて弱い人」は $dd$。

$$nn:\ p^2=0.36\to7200\ \text{人},\qquad nd:\ 2pq=0.48\to9600\ \text{人},\qquad dd:\ q^2=0.16\to3200\ \text{人}$$

合計は $7200+9600+3200=20000$ 人です。

問6:四量体の組合せ。四量体は、2つのタンパク質でできた二量体が2個集まったもので、4か所の位置は固定されています。「弱い人」は、4か所のそれぞれに N か D が入るので、$2^4=16$ 通り(ア)。このうち、「強い人」と同じ(全部 N)は 1 通り(イ)、「きわめて弱い人」と同じ(全部 D)も 1 通り(ウ)。

二量体は2個(位置1・2と、位置3・4)。D を含む二量体は不活性型として働きます。活性が 25%になるのは、NN の二量体が1個と、D を含む二量体が1個の組合せで、$1\times3+3\times1=6$ 通り(エ)。両方が D を含む組合せは $3\times3=9$ 通りで活性 0%、両方が NN は 1 通りで 100%です。

$$\frac{1\times100+6\times25+9\times0}{16}=\frac{250}{16}=15.6\ \%$$
二量体1と二量体2の組合せの4×4の表。NNとNNだけが100%、片方がNNでもう片方がDを含むと25%、両方がDを含むと0%。全16通り
図C 四量体の組合せ(TMPS作成・解説用)
🎯 大問1の答え
問1:アロステリック酵素問2:ATPが多いときは解糖系を止め、グルコースの無駄な消費を防ぐ(フィードバック調節)問3:エタノールはまだエネルギーをもつが、CO₂とH₂Oはエネルギーを取り出し切った生成物問4:ア 酵素,イ ATP,ウ NAD⁺,エ NADH,オ アセトアルデヒド,カ エタノール問5:ア 7200,イ 9600,ウ 3200問6:ア 16,イ 1,ウ 1,エ 6,オ 15.6
⚠️ 問5は、2pq の「2」を忘れない(弱い人は ndとdnの2通り)。問6は、「全部で16通り」を、二量体の考え方に混ぜて数え間違えないこと。活性25%の組合せは「NN+D含む」の6通りだけで、D を含む二量体は ND・DN・DD の3種類(NNだけが活性型)。総活性は、全16通りが同じ確率なので、平均を取る。
Yuiちゃん
Yuiちゃん
問6で、ND や DN の二量体はどうして不活性なんですか?
Sora先生
Sora先生
問題文に「Dをもつ二量体は、DDと同様に作用する」と書かれているからだね。1個でもDが混ざれば不活性型。だから、活性型は NN だけ。4通りの二量体のうち、活性型は1つ、不活性型は3つと数えれば、あとは表を埋めるだけだよ。
Sora先生の総整理表

大問1:呼吸・発酵とALDH2の型

小問やること着眼点
問1・2調節物質が結合する場所と、フィードバックの意味を述べるATPが多い=エネルギーが足りている
問32÷38と、生成物のエネルギーを比べるエタノール(残る)とCO₂・H₂O(残らない)
問4煮沸でも壊れないものを消去法で決める酵素は×、補酵素NAD⁺は○、残るのはリン酸
問5$p^2$・$2pq$・$q^2$ に人数を掛ける合計=全人口で確認
問616通りを二量体の表で数える活性型は NN の1つだけ
TMPSコーチング診断

🩺【自己診断】大問1で手が止まった人への処方箋

  • 問2・3何を書けばいいか分からない → 「ATPが多い=エネルギー十分」「生成物にエネルギーが残るか」を1行ずつ書く
  • 問4空欄が埋まらない → 「煮沸に耐えるか」「反応で再生されるか」で、酵素・ATP・NAD⁺を消していく
  • 問5・6数が合わない → 合計(全人口、全16通り)で確かめ、二量体の表を書く
大問2 / 目標:15分(神経)

大問2 神経 ── 用語を取り、波形は距離と時刻から

I(末梢神経・自律神経、問1・2)とII(カエルの神経筋標本の測定1・2、問3〜6)。問5・6は距離と時刻から論理で決まるので、確実に取ります。

現場戦略試験会場でのリアルな立ち回り(大問2)
⏱ 目標時間 & 死守ライン目標15分。Iに4分、IIの問3・4(記述)に5分、問5・6に6分。
⚠️ 損切り・警戒ライン問3は図のA・Bの位置関係で書き方が変わるので、深追いしない。問5・6は、図3の線から「始まる時刻」と電極の距離を読み取れば確実に取れる。
💡 初手の思考トリガー問5は「E→Fの2 cmに何ミリ秒か」、問6は「Eで刺激すると、D,Cにいつ届くか。DとCのどちらが先に興奮するか」。
📝 どういう問題か?

中枢・末梢・自律神経の基礎と、神経筋標本の実験(電極6か所の距離と、刺激後の電位の波形)の2部構成。

  • 問1:末梢神経系の分類(ア・イ)、脊髄から出入りする根(ウ・エ)、脳に直接入る感覚神経の細胞(オ・カ)の空欄補充
  • 問2:交感神経が優位にはたらくことによって生じる現象を、6つの選択肢(a〜f)からすべて選ぶ
  • 問3:カエルの神経筋標本の作り方の手順を誤った標本で、図の線4の結果になった理由を、「細胞膜、イオン、活動電位」の語句を使って記述する
  • 問4:測定2で、ふくらはぎの筋肉が収縮しなかった理由を述べる
  • 問5:神経束を興奮が伝導する速度(m/秒)を、小数第一位まで答える
  • 問6:測定1の後に電極Eで活動電位を起こしたとき、電極Dの電位を基準とした電極Cの電位の時間変化を、解答欄のグラフ(0〜4ミリ秒)に描く

問1:用語。要確認末梢神経は、感覚神経・運動神経を含む体性神経系(ア)と、交感神経・副交感神経を含む自律神経系(イ)に分けられます。脊髄から出入りする2本の束のうち、運動神経は腹根(ウ)、感覚神経は背根(エ)を通ります(ベル・マジャンディーの法則)。脊髄を通らずに脳に入る感覚神経は、光の受容器の視細胞(オ)と、嗅上皮の嗅細胞(カ)です。

問2:交感神経が優位なときの現象。要確認交感神経は、興奮・緊張のときにはたらきます。瞳孔の拡大(a)、血圧の上昇(b)、心拍数の増加(e)が当てはまります。気管支の収縮(c)、排尿の促進(d)、胃の動き(ぜん動)の促進(f)は、副交感神経が優位なときの現象です。答えは a,b,e。

上:神経束に電極C,D,E,Fを置く。距離はCD 4 cm,DE 4 cm,EF 2 cm,FG 2 cm。左下:線1(E−G)は1.0 msから下向き→上向き、線2(F−G)は1.5 msから。EとFの2 cmに0.5 msで,速さは40 m/秒。右下:Eで刺激すると,DとCに1.0 ms,2.0 msで届き,C−Dは線1を上下反転した形
図D 電極の位置、伝導速度、問6の波形(TMPS作成・解説用)

問3:手順を誤った標本。要確認正しい手順は、B点で糸を結んで固定してからA点で切断するものでした。手順を誤り、A点で縛ってB点で切断した標本では、電気刺激に対してほぼ平らな記録(線4)、つまり活動電位が記録されませんでした。理由として書くのは、「神経に傷害が加わって細胞膜が壊れ、イオンが自由に出入りして静止電位を保てなくなったため、活動電位が発生・伝導しない」という内容です。ただし、これは図のA・Bの位置関係の読み取りに依存します(標本として残す側の神経がどのように扱われたか)。冊子の図で、残した神経のどの部分が傷害を受けたかを確かめてから書いてください。

問4:筋肉が収縮しなかった理由。要確認測定2では、電極FとGの中間で神経束を新たに木綿糸でしばりました。しばった部分では細胞膜が傷ついて、活動電位が伝導できません。すると、興奮が神経の末端(筋肉との接合部)に届かず、筋肉を収縮させるシグナルが伝わらなかったのです。電極E−G の記録が、最初の下向きの波だけになる(線3)ことも同じ理由です。

問5:伝導速度。電極E と F の距離は 2 cm。線1(電極E)の波が始まるのは 1.0 ミリ秒、線2(電極F)の波が始まるのは 1.5 ミリ秒なので、2 cm を 0.5 ミリ秒で伝わっています。

$$v=\frac{2\ \text{cm}}{0.5\ \text{ms}}=4\ \text{cm/ms}=40\ \text{m/秒}$$

確認:電極DからEまでは 4 cm で、$4\div4=1.0$ ミリ秒。刺激の1.0 ミリ秒後に波が始まるという線1とも合います。また、E−G(4 cm)では 1.0 ミリ秒の差になるので、線1の下向きの波と上向きの波がぴったり並ぶ形になります。

問6:電極Eで刺激したときの C−D の波形。Eで活動電位を起こすと、興奮は両方向に伝わります。D(ED=4 cm)には $4\div4=1.0$ ミリ秒、C(さらに CD=4 cm)には 2.0 ミリ秒で届きます。電極Dを基準にしたCの電位は、先に D が興奮するので、まず上向き(正)の波、あとから下向き(負)の波になります。線1(E−G)は、先に E が興奮するので、下向き→上向きでした。つまり、線1を上下反転した形です。

$$1.0\ \text{ms}\ \text{で上向きに始まる}\to1.5\ \text{ms}\ \text{で}+1.0\to2.0\ \text{ms}\ \text{で}\ 0\to2.5\ \text{ms}\ \text{で}-1.0\to3.0\ \text{ms}\ \text{で}\ 0$$
🎯 大問2の答え
問1:ア 体性,イ 自律,ウ 腹,エ 背,オ 視,カ 嗅問2:a,b,e問3:神経に傷害が加わって細胞膜が壊れ、イオンが自由に出入りして活動電位が発生・伝導しなくなった問4:しばった部分で活動電位が伝導せず、興奮が筋肉に届かなかった問5:40 m/秒問6:線1を上下反転した形。1.0 msで上向きに始まり、1.5 msで山、2.0 msで0、2.5 msで谷、3.0 msで0
⚠️ 問5は、2 cm ÷ 0.5 ms の単位に注意(4 cm/ms=40 m/秒)。EGの4 cmと1.0 msを使っても同じ。問6は、基準にする電極と、先に興奮する電極を取り違えない。「Dの電位を基準としたCの電位」なので、Dが先に興奮するとCの値は正に振れる。線1は E が先なので負に振れた。
Yuiちゃん
Yuiちゃん
問6で、Eで刺激しても、D側とC側のどちらにも興奮が伝わるんですか?
Sora先生
Sora先生
そう。軸索のどこかで活動電位が起きれば、両隣に伝わっていく。いつもは細胞体側からだけど、電気刺激ならどの場所でも起こせる。Eからは、DへもGへも伝わるんだよ。今回見るのはD側とC側だね。
Sora先生の総整理表

大問2:神経の型

小問やること着眼点
問1・2体性・自律、腹根・背根、交感・副交感を整理運動は腹根、感覚は背根。交感=興奮
問3・4細胞膜の損傷→イオンの出入り→活動電位が出ないしばった部分で伝導が止まる
問5距離÷(波の始まる時間の差)2 cm ÷ 0.5 ms=40 m/秒
問6各電極への到達時刻を出し、先に興奮する方を見るDが先なら、C−Dは上向き→下向き
TMPSコーチング診断

🩺【自己診断】大問2で手が止まった人への処方箋

  • 問1・2用語が出ない → 体性・自律、腹根・背根、交感・副交感を表にして覚える
  • 問5速度が出ない → 線1・線2の波の始まる時刻の差と、2電極の距離を書く
  • 問6波形が描けない → D・Cへの到達時刻を出し、「先に興奮する電極」を決めてから、上向きか下向きかを決める
大問3 / 目標:14分(細胞死)

大問3 細胞死 ── 実験3・4を時間軸に並べる

I(ニワトリの指間領域の細胞死、実験1〜4、問1〜6)とII(植物の細胞死、問7〜9)。問3は時間軸に並べれば計算で決まります。

現場戦略試験会場でのリアルな立ち回り(大問3)
⏱ 目標時間 & 死守ライン目標14分。Iの問1〜3に5分、問4〜6(記述)に6分、IIに3分。
⚠️ 損切り・警戒ライン問4〜6の記述は、1つにつき1分半で打ち切る。IIの用語(問7)と選択(問9①)は一瞬で埋めて、問3の計算を先に確実に取る。
💡 初手の思考トリガー問3は「分数の日数を時間に直し、薬が効いた区間と細胞死のはじまりの差を取る」。問4は「実験2・3・4を、運命が決まる時期でつなぐ」。
📝 どういう問題か?

動物の発生で細胞が決まった時期に死ぬしくみを、4つの実験の時間関係から読み解く前半と、植物のプログラム細胞死と植生の後半。

  • 問1:選択肢(肺・網膜・腎臓・心臓・骨格筋)のうち、中胚葉由来の器官をすべて選ぶ
  • 問2:実験1と実験2から、肢芽の指間領域のプログラム細胞死に関してわかることを述べる
  • 問3:実験3と実験4から、指間領域で細胞死する予定の細胞が、細胞死開始時の何時間前〜何時間前の間にDNA複製を行っているかを、2つの数字で答える(順不同)
  • 問4:実験3と実験4から、指間領域の細胞死の機構についてどのようなことが考えられるか述べる
  • 問5:アヒルの後肢ではニワトリより指間の細胞死が起こらない。両者の生活様式と関連させて考察する
  • 問6:アポトーシスは、ネクローシスと比べて周辺の細胞に損傷を与えにくい。その理由を、アポトーシスの仕組みにもとづいて答える
  • 問7:植物の落葉の仕組みの空欄 A〜C(離層をつくる細胞層、促進するホルモン、抑制するホルモン)
  • 問8:植物で起こるプログラム細胞死の例を、落葉・落果以外に一つあげる
  • 問9:①日本の照葉樹林に関する記述を5つから2つ選ぶ、②夏緑樹が落葉して春に葉をつけかえる生活形が有利である理由を記述する

問1:中胚葉由来の器官。要確認中胚葉からは、腎臓(ウ)・心臓(エ)・骨格筋(オ)ができます。肺は内胚葉由来、網膜は外胚葉(神経管由来)です。答えは ウ,エ,オ。

問2:実験1と2から。要確認実験1では、肢芽の間充織の細胞が細胞死で消失します。実験2で、指間領域の表皮を除去すると、その下の間充織細胞は細胞死を起こしませんでした。つまり、指間領域の間充織の細胞死には、その上の表皮が必要(表皮から細胞死を引き起こす信号が出ている)と言えます。

問3:DNA複製の時期。日数を時間に直して、時間軸に並べます。孵卵開始からの日数で、細胞死のはじまりは $7\frac13$ 日(7日8時間)。薬品Aが効いたのは、8時間ずつの区間のうち $6\frac13$ 日〜$6\frac23$ 日(6日8時間〜6日16時間)の1区間だけです。この間にDNAを複製している細胞が、薬品Aを取り込んで転写パターンが変わり、細胞死が抑制されたと考えられます。

$$7\tfrac13-6\tfrac23=\tfrac23\ \text{日}=16\ \text{時間},\qquad 7\tfrac13-6\tfrac13=1\ \text{日}=24\ \text{時間}$$

答えは「16」「24」(順不同)です。細胞死開始時を基準にして、16時間前〜24時間前の間にDNA複製を行っています。

孵卵開始6日0時間から7日8時間までを8時間ずつ区切った時間軸。6日8時間〜16時間の区間(薬品Aが効いた区間)が色つき。細胞死のはじまり(7日8時間)から、16時間前と24時間前が示されている
図E 薬品Aが効いた区間と細胞死の時間関係(TMPS作成・解説用)

問4:細胞死の機構。要確認実験2〜4を、「いつ運命が決まるか」でつなぎます。

実験結果わかること
実験26日に表皮を除去すると、細胞死しない運命の決定前に表皮を除くと、細胞死が起こらない(表皮が必要)
実験36日〜6日8時間に切り出した間充織は細胞死しない。6日16時間以降に切り出すと培養しても7日8時間から細胞死6日16時間までには、表皮がなくても細胞死に向かうことが決まっている
実験46日8時間〜16時間に薬品Aを作用させたときだけ、細胞死が抑制される細胞死の16〜24時間前のDNA複製のときの転写パターンの変化が、細胞死の運命づけに必要

以上から、指間領域の細胞は、表皮の影響下で、細胞死の16〜24時間前(6日8時間〜16時間ごろ)のDNA複製を伴う転写の変化によって、細胞死が運命づけられる。そしてその後は、表皮がなくても、決まった時刻に細胞死が進む、と考えられます。

問5:アヒルとニワトリ。要確認アヒルは水中で泳ぐ水鳥で、後肢の指の間に水かきが必要です。指間の細胞死が起こらず膜が残ることで、水をかく面積が大きくなります。ニワトリは地上を歩く鳥で、指が分かれている方が、地面をつかんで歩くのに有利です。

問6:アポトーシスが周辺を傷つけにくい理由。要確認アポトーシスでは、細胞が縮小して、小さな断片(アポトーシス小体)に分かれ、細胞膜に包まれたまま食細胞に取り込まれて処理されます。細胞の内容物(酵素など)が周囲に漏れ出ないので、周辺の細胞に損傷を与えにくいのです。ネクローシスは、細胞が膨らんで破裂し、内容物が漏れて周囲を傷つけます。

問7:落葉。要確認落葉は、葉柄の付け根にできる特別な細胞層離層(A)の細胞壁が酵素で分解されて起こります。この過程は、植物ホルモンのエチレン(B)で促進され、オーキシン(C)で抑制されます。

問8:ほかの例。要確認たとえば道管の形成。道管の細胞は、プログラム細胞死で内容物が失われ、細胞壁だけが残って中空の管になります。(病原体が感染した部分が自ら死んで感染を広げない過敏感反応でも可。)

問9①:照葉樹林。要確認日本の照葉樹林(暖温帯)には、スダジイ(エ)などが分布し、クチクラ層の厚い葉(オ)をつける常緑広葉樹が多く見られます。ブナ・冷温帯は夏緑樹林、ハイマツは亜高山帯〜高山帯です。答えは エ,オ。

問9②:夏緑樹の生活形。要確認冬は低温で日照も弱く、光合成で得られる利益が小さい一方、葉を維持するのに呼吸などのコストがかかり、凍結や乾燥で葉が傷むおそれもあります。そこで、冬は落葉して葉の維持コストと凍結・乾燥の害を避け、春に新しい葉をつけて光合成をすることが、夏緑樹には有利です。

🎯 大問3の答え
問1:ウ,エ,オ問2:指間の間充織の細胞死には、表皮が必要問3:16,24(順不同)問4:表皮の影響下で、細胞死の16〜24時間前のDNA複製を伴う転写の変化により細胞死が運命づけられ、その後は自律的に進む問5:アヒルは水中生活で水かきが必要、ニワトリは地上歩行で指が分かれた方が有利問6:アポトーシスでは細胞が断片化して食細胞に取り込まれ、内容物が漏れない問7:A 離層,B エチレン,C オーキシン問8:例)道管の形成問9:① エ,オ ② 冬は光合成の利益が小さく、葉の維持コストや凍結・乾燥の害を避けられる
⚠️ 問3は、日数を時間に直す。$\frac23$日=16時間、1日=24時間。区間(6日8時間〜16時間)の終わりが16時間前、始まりが24時間前に対応する(逆にしても答えは順不同だが、「16」と「24」の両方が必要)。問4は、実験2の「表皮除去」と、実験3の「切り出して培養」を混ぜない。前者は決定前に表皮を除いた場合、後者は決定後に切り出した場合。
Yuiちゃん
Yuiちゃん
問3は、どうして薬品Aが効いた期間が「DNA複製の時期」になるんですか?
Sora先生
Sora先生
薬品Aは、チミジンに似ているから、DNAに取り込まれる。だから、DNAをつくっている最中の細胞にだけ入る。その期間に作用させたときだけ細胞死が抑えられたなら、その期間に細胞死の予定の細胞がDNA複製をしていた、ということだね。
Sora先生の総整理表

大問3:細胞死の型

小問やること着眼点
問2表皮を除いた結果から、表皮の役割を述べる細胞死に表皮が必要
問3日数を時間に直し、効いた区間と細胞死のはじまりの差$7\frac13-6\frac23$ と $7\frac13-6\frac13$ → 16と24
問4実験2・3・4を「運命が決まる時期」でつなぐ決定前に表皮を除くと死なない/決定後は自律的に死ぬ
問7離層・エチレン・オーキシンを覚える落葉=離層+エチレンで促進、オーキシンで抑制
TMPSコーチング診断

🩺【自己診断】大問3で手が止まった人への処方箋

  • 問3数字が出ない → 日数を時間に直して、時間軸に8時間ずつ区間を書く
  • 問4何を書けばいいか分からない → 実験2・3・4が、それぞれ「いつ」「何をしたか」を表にして、共通の時期を探す
  • 問7〜9用語が出ない → 落葉・道管・照葉樹林・夏緑樹を、1行ずつ書いて覚える
大問4 / 目標:11分(体液)

大問4 体液 ── 用語を取って、図から説明する

I(体液の分類・赤血球・酸素解離曲線、問1〜5)とII(新型コロナ感染症のパルスオキシメーター、問6)。問5・6は図の読み取りが答えの根拠になります。

現場戦略試験会場でのリアルな立ち回り(大問4)
⏱ 目標時間 & 死守ライン目標11分。問1〜3を4分、問4を2分、問5・6を5分。
⚠️ 損切り・警戒ライン問1の用語は先に埋める。問4・5・6は、図のどこを根拠にするかを先に決めて、結論から1行で書く。
💡 初手の思考トリガー問5は「酸素濃度30で、胎児Hbと成人Hbの結合割合の差」、問6は「曲線の上の平らな部分」。
📝 どういう問題か?

体液の用語と赤血球の基本、そして成人・胎児ヘモグロビンの酸素解離曲線の図を使って、実際の医療機器(パルスオキシメーター)の限界まで考える大問。

  • 問1:体液の分類と赤血球に関する空欄 ア〜カ(組織液・血しょう・アルブミン・骨髄・日数・脾臓)
  • 問2:細胞外液と比べて、より高い濃度で細胞内液に含まれる陽イオンを一つ答える
  • 問3:血しょうのタンパク質ウ(アルブミン)が血液の水分保持に重要な仕組みを、下線部②(毛細血管から移行しにくい)の性質から説明する
  • 問4:赤血球の形状(核がなく扁平)から得られる機能上の利点を二つあげる
  • 問5:胎児ヘモグロビンと成人ヘモグロビンの構造が違うことが、胎盤での酸素の受け取りに有利な点を、図にもとづいて述べる(胎盤での母体の血液と胎児の血液の酸素濃度は約30)
  • 問6:パルスオキシメーターが肺の傷害による血液の酸素濃度の低下を初期段階でとらえにくい理由を、図を参考に述べる

問1:空欄補充。要確認血管の外の、細胞の間にある液体は組織液(ア)。血液の液体成分は血しょう(イ)。血しょうに最も多いタンパク質はアルブミン(ウ)で、毛細血管の壁を通りにくく、組織液へ移りにくい。赤血球は、成人では骨髄(エ)の造血幹細胞からつくられ、寿命は約120日(オ)。古くなった赤血球は、脾臓(カ)や肝臓で壊されます。

問2:細胞内に多い陽イオン。要確認細胞外液は Na⁺ が多く、細胞内液はK⁺(カリウムイオン)が多い、というイオン組成の違いがあります。答えは K⁺。

問3:アルブミンと水分保持。要確認アルブミンは、分子が大きいので毛細血管の壁を通りにくく、血しょう中に高い濃度で残ります。その結果、血しょうの膠質浸透圧が組織液より高くなり、水を血管の中に引き込む(保持する)はたらきをします。アルブミンが減ると、水が組織液へ出てむくみが起こります。

問4:赤血球の形状の利点。要確認核がなく、扁平(両面がくぼんだ円盤状)の形には、利点が3つ考えられます。①表面積が体積に対して大きく、酸素の受け渡しが速い。②核がないぶん、ヘモグロビンを多く含められ、酸素を多く運べる。③変形しやすく、細い毛細血管を通り抜けやすい。このうち二つを書きます。

左:成人ヘモグロビン(実線)と胎児ヘモグロビン(破線)の酸素解離曲線。酸素濃度30で胎児は約80%、成人は約40%。右:成人ヘモグロビンの曲線で、酸素濃度100から70は結合割合がほぼ変わらず(98から93%)、70から40は大きく低下する(93から64%)
図F 酸素解離曲線の読み方(TMPS作成・解説用。値は図を目で読んだ近似)

問5:胎児ヘモグロビンの利点。要確認胎盤での酸素濃度は約30。この濃度で酸素ヘモグロビンの割合は、成人ヘモグロビン(母体)で約40%、胎児ヘモグロビンで約80%です。つまり、同じ酸素濃度で、胎児ヘモグロビンの方が酸素と結合しやすい(酸素との親和性が高い)。母体のヘモグロビンが手放した酸素を、胎児のヘモグロビンが受け取れる、というしくみです。曲線が左にずれているほど、酸素を受け取りやすいことを、2つの値で示すのがコツです。

問6:パルスオキシメーターの限界。要確認成人ヘモグロビンの曲線は、酸素濃度が高い範囲(約70〜100)では、ほぼ水平です。肺の傷害で、血液の酸素濃度が100から70に下がっても、酸素ヘモグロビンの割合は98%から約93%にしか下がりません。つまり、初期の酸素濃度の低下では、酸素ヘモグロビンの割合(パルスオキシメーターの測定値)がほとんど変わらず、異常に気づきにくいのです。70より下がると、割合が急に低下します。

🎯 大問4の答え
問1:ア 組織液,イ 血しょう,ウ アルブミン,エ 骨髄,オ 120,カ 脾臓問2:K⁺(カリウムイオン)問3:アルブミンは毛細血管の壁を通りにくく血しょうに残り、膠質浸透圧で水を血管内に保つ問4:表面積が大きく酸素の受け渡しが速い/核がなくヘモグロビンを多く含める(変形しやすい、でもよい)問5:同じ酸素濃度(30)で、胎児Hbは約80%、成人Hbは約40%と、酸素と結合しやすい問6:酸素濃度が100から70に下がっても結合割合はほぼ変わらず、初期の低下に気づきにくい
⚠️ 問5は、「胎児Hbは酸素と結合しやすい」と書くだけでなく、図の値(酸素濃度30で約80%と約40%)を1か所入れる。問6は、「酸素濃度が下がると」ではなく、「曲線の上の平らな部分では、酸素濃度が下がっても割合がほとんど変わらない」と、曲線の形で説明する。問2は、Na⁺ と K⁺ の取り違えに注意(細胞内に多いのはK⁺)。
Yuiちゃん
Yuiちゃん
問5で、胎児Hbが酸素を受け取るとき、母体のHbから奪っているんですか?
Sora先生
Sora先生
同じ酸素濃度(約30)のとき、母体Hbは約40%しか酸素をもっていない。胎児Hbは約80%もつくれる。だから、母体のHbが手放した酸素を、胎児のHbが受け取る方向に、自然に移動するんだ。「奪う」というより、「結合力の差で移る」って感じだね。
Sora先生の総整理表

大問4:体液の型

小問やること着眼点
問1・2組織液・血しょう・アルブミン、K⁺ と Na⁺細胞内にK⁺、細胞外にNa⁺
問3アルブミン→膠質浸透圧→水の保持毛細血管の壁を通りにくい
問4形から機能を考える表面積・ヘモグロビン量・変形
問5同じ酸素濃度で2つの曲線の値を比べる濃度30で約80%と約40%
問6曲線の平らな部分を指摘する100→70でほぼ変わらない
TMPSコーチング診断

🩺【自己診断】大問4で手が止まった人への処方箋

  • 問1・2用語が出ない → 組織液・血しょう・アルブミン、Na⁺ と K⁺ を1行ずつ書く
  • 問5何を書けばいいか分からない → 図の酸素濃度30で、2つの曲線の値を読む
  • 問6理由が書けない → 曲線の形(平らな部分)と、そこでの値の変化を、数字で書く
TMPS ORIGINAL

慈恵医大2024型 そっくり類題セット
(全4大問・解答解説つき)

2024年度の本番と同じ4大問(問1〜6、問1〜6、問1〜9、問1〜6)・同じ型で、題材と数値を変えたTMPSオリジナル問題です。乳酸発酵と酵素・遺伝、神経と波形、細胞死、血液と酸素運搬を一通り練習できます。

試験時間の目安 60分乳酸発酵・神経筋標本・細胞死・ミオグロビン
📄 本番形式の問題冊子PDFをダウンロード(全6ページ)

印刷して、本番と同じように60分で解けます(本番は理科2科目で120分)。解答・解説はこのページの下に掲載しています。

※ 東京慈恵会医科大学の入試問題ではありません。本文・設問・人物・団体(架空)はすべてTMPS医学館が作成したオリジナルで、出典のある引用ではありません。

類題 大問1 解糖・乳酸発酵と酵素・遺伝
  • 答えはすべて解答用紙(想定)に記入する。語句で答える問いは,指示された形式に従うこと。
  • 記述問題は,何について,どのような理由で,どうなるのかを,結論から順に簡潔に書くこと(目安:1問につき40〜100字程度)。

解糖・乳酸発酵と酵素・遺伝に関する各問いに答えよ。

I.激しい運動で酸素が不足した筋肉の細胞は,解糖系で生じたピルビン酸を乳酸に変えて ATP を得る。解糖系は細胞質基質で進み,グルコース 1 分子から 2 分子のピルビン酸と 2 分子の ATP が生じ,同時に補酵素 NAD⁺ が NADH に変わる。解糖系が続くには NAD⁺ が再生される必要があり,乳酸脱水素酵素(LDH)はピルビン酸を乳酸に還元する際に NADH を NAD⁺ に戻す。グルコースを基質とした乳酸発酵の全体は反応1の式で表される。

反応1:グルコース + 2ADP + 2H₃PO₄ → 2乳酸 + 2ATP + 2H₂O

一方,酸素が十分にある場合の呼吸では,グルコース 1 分子から最大 38 分子の ATP が生じる。LDH の活性部位には,基質に似た構造のオキサミン酸が結合することがあり,オキサミン酸が結合すると,乳酸ができる反応が妨げられる(①)。また,乳酸発酵では,グルコースから呼吸で取り出せるエネルギーの 10%以下しか取り出せない(②)。

問1 下線部①のように,基質に似た構造の物質が活性部位に結合して酵素の反応を妨げることを何というか,答えよ。
問2 乳酸発酵で,ピルビン酸が乳酸に変えられることの意義を,NAD⁺ に着目して述べよ。
問3 下線部②の理由を,反応1と,呼吸の生成物に着目して説明せよ。

筋肉をすりつぶして得た抽出液にグルコースとリン酸を加えると,乳酸発酵が行われる。この抽出液を透析すると,グルコースが十分にあっても乳酸発酵は行われなくなった。透析した抽出液に,透析の外液を加えると,乳酸発酵が再開した。この外液を煮沸してから加えても再開したが,抽出液を煮沸して加えても再開しなかった。

再開に必要な物質は,熱に強く,半透膜をアことができる小さな物質で,イではないと考えられる。この物質は補酵素としてはたらくウで,解糖系の反応でエに変換されるが,エは,発酵においてオを還元してカを生成する際に使われて,ウに再生される。

問4 上の文章で,ア〜カに入る適切な語句を答えよ。使用する語句は重複しない。

II.ある酵素 X の遺伝子には,正常型遺伝子 $A$ と変異型遺伝子 $a$ があり,対立遺伝子である。$A$ からは正常なサブユニット,$a$ からは変異したサブユニットがつくられる。$AA$ の人では酵素 X が十分にはたらき,$aa$ の人ではまったくはたらかず,$Aa$ の人でははたらきが低下する。

問5 遺伝子 $A$ と $a$ の遺伝子頻度をそれぞれ $p$ と $q$ とし,$p+q=1$ であるとする。ハーディ・ワインベルグの法則が成り立つ 30,000 人の集団で,遺伝子 $A$ の遺伝子頻度が 0.7 だった場合,$AA$,$Aa$,$aa$ の人数はそれぞれ何人になるか。$AA$ の人数をアに,$Aa$ の人数をイに,$aa$ の人数をウに答えよ。

酵素 X は二つのサブユニットが二量体を形成し,さらにその二量体同士がペアを作って四量体として機能する。四量体中の各サブユニットは固有の 4 か所の位置に配置され,入れかわることはない。「$Aa$ の人」では,四量体のそれぞれの位置に,正常なサブユニットか変異したサブユニットのどちらかが入るため,四量体の種類は全部でア通りになる。それらのうち,「$AA$ の人」のもつ四量体と同じ組み合わせになるのはイ通りで,「$aa$ の人」のもつ四量体と同じ組み合わせになるのはウ通りである。

変異したサブユニットを一つでも含む二量体は不活性型となる。二つとも正常なサブユニットからなる二量体(活性型二量体)どうしの四量体の酵素活性を 100%,二つとも不活性型の二量体からなる四量体の酵素活性を 0%としたとき,活性型二量体 1 個と不活性型二量体 1 個がペアになった四量体の酵素活性は 30%となる。したがって,「$Aa$ の人」で酵素活性が 30%になる四量体の組み合わせは,全部でエ通りである。以上から,「$Aa$ の人」がもつ総酵素活性は,「$AA$ の人」の酵素活性のオ%になる。なお,正常なサブユニットと変異したサブユニットは細胞内で等しく発現しており,四量体へはランダムに取り込まれるものとする。

問6 次の文章のア〜オの  に入る数字を答えよ。解答が小数の場合は小数第二位を四捨五入せよ。
▶ 大問1 の答えと解説を見る

大問1 解糖・乳酸発酵と酵素・遺伝 の答えと解説

問1
競争的阻害
  1. 基質と阻害物質が活性部位を取り合うので,基質の濃度を高くすると阻害の効果は弱まる。これを競争的阻害という(活性部位以外に結合して構造を変える阻害とは区別する)。
  2. 知識問題(用語)。
問2
(例)解糖系では NAD⁺ が NADH に変わるので,そのままでは NAD⁺ が不足して解糖系が止まる。ピルビン酸を乳酸に還元して NADH を NAD⁺ に戻し,解糖系を続けて ATP を得られるようにする。
  1. 解糖系のグリセルアルデヒド3-リン酸の酸化では,NAD⁺ が使われて NADH ができる。NAD⁺ の量は限られているので,再生しなければ解糖系は止まる。
  2. 酸素がないと電子伝達系で NADH を NAD⁺ に戻せないので,ピルビン酸を電子の受け手にして乳酸にし,NAD⁺ を再生する。これで解糖系が続き,ATP が得られる。
  3. 記述問題(TMPSの答案例)。
問3
(例)乳酸発酵の生成物である乳酸はまだ多くの化学エネルギーをもつが,呼吸では二酸化炭素と水まで完全に分解されてエネルギーが取り出される。また,ATP の産生量も 2 分子と 38 分子で,約5%である。
  1. ATP の産生量は 2 ÷ 38 ≒ 5.3%。生成物のエネルギーの面では,乳酸は有機物でまだ酸化できるが,二酸化炭素と水はこれ以上酸化できないので,エネルギーを取り出し切った状態。
  2. 記述問題(TMPSの答案例)。
問4
ア 通過する(透過する)イ 酵素(タンパク質)ウ NAD⁺エ NADHオ ピルビン酸カ 乳酸
  1. 透析(半透膜の袋に入れて水中に置くこと)で,小さな分子は膜を通って外へ出るが,大きなタンパク質は袋の中に残る。
  2. 煮沸した外液で乳酸発酵が再開したので,その物質は熱で壊れにくい(タンパク質ではない)低分子。補酵素 NAD⁺ が外へ出て不足していた。
  3. NAD⁺ は解糖系で NADH になり,NADH は LDH のはたらきでピルビン酸を還元して乳酸をつくるときに NAD⁺ に戻る。知識問題。
問5
ア 14700イ 12600ウ 2700
  1. $q=1-0.7=0.3$。$AA$ は $p^2=0.49$ より $30000\times0.49=14700$ 人,$Aa$ は $2pq=0.42$ より $12600$ 人,$aa$ は $q^2=0.09$ より $2700$ 人。合計は 30000 人。
問6
ア 16イ 1ウ 1エ 6オ 17.5
  1. 四量体の 4 つの位置それぞれに 2 通りなので,$2^4=16$ 通り(ア)。全部正常なものは 1 通り(イ),全部変異したものも 1 通り(ウ)。
  2. 二量体は (1,2) の位置と (3,4) の位置の 2 個。活性型の二量体(正常 2 個)は 4 通り中 1 通り,不活性型は 3 通り。活性型 1 個+不活性型 1 個のペアは $1\times3+3\times1=6$ 通り(エ)。両方とも活性型は 1 通り(100%),両方とも不活性型は $3\times3=9$ 通り(0%)。
  3. 総活性は,全 16 通りが同じ確率で起こるので $\dfrac{1\times100+6\times30+9\times0}{16}=\dfrac{280}{16}=17.5$(%)(オ)。
類題 大問2 神経

神経に関する各問いに答えよ。

I.ヒトの脳は,大脳,間脳,中脳,小脳,延髄に分けられる。心臓の拍動や呼吸の調節の中枢はアにあり,体温や血糖濃度の調節の中枢はイの視床下部にある。瞳孔の大きさを調節する反射の中枢はウにあり,からだの平衡を保ち,随意運動を滑らかにする中枢はエである。熱いものに触れて思わず手を引っ込める反応では,感覚神経からの興奮がオを通って運動神経に伝えられ,大脳を経由しない。一方,意識的な判断や記憶,言語などの中枢はカにある。

問1 ア〜カの  に入る適切な語句を答えよ。
問2 自律神経のうち,副交感神経が優位にはたらくことによって生じる現象を,次のa〜fからすべて選び,記号で答えよ。
(a) 瞳孔が縮小する(b) 血圧が上昇する(c) 気管支が収縮する(d) 心拍数が増加する(e) 排尿が促進される(f) 立毛筋が収縮する

II.運動神経について調べるために,カエルから神経筋標本を作製して実験を行った。標本の神経束は,図1のように,電極 C,D,E,F,G の上にのせられている。各電極間の距離は,C と D の間が 6 cm,D と E の間が 6 cm,E と F の間が 3 cm,F と G の間が 3 cm である。

測定1:電極 D で神経束に興奮が生じるような瞬間的な電気刺激を与えた。その結果,電極 G の電位を基準とした電極 E での電位の時間変化は図2の線1のように,電極 G の電位を基準とした電極 F での電位の時間変化は図2の線2のように記録された。また,電気刺激によってふくらはぎの筋肉が収縮した。

測定2:測定1のあと,電極 F と G の中間で神経束に麻酔薬を染みこませた綿をあてて,測定1と同様の電気刺激を与えた。その結果,電極 G の電位を基準とした電極 E での電位の時間変化が図2の線3のように記録された。今回は,電気刺激後にふくらはぎの筋肉は収縮しなかった。

左:神経束に電極C〜Gを置く。距離はCD 6 cm,DE 6 cm,EF 3 cm,FG 3 cm。右:線1(EのGに対する電位,1.0ミリ秒から下向き→上向きの波),線2(FのG,1.5ミリ秒から),線3(測定2のE,下向きの波だけ)
図1・図2 電極の位置と電位の時間変化(TMPS作成)
問3 局所麻酔薬には,神経の細胞膜にある電位依存性ナトリウムチャネルをふさぐものがある。測定2で,線3が最初の下向きの波だけになった理由を,細胞膜,イオン,活動電位の語句を使って記述せよ。
問4 測定2で,ふくらはぎの筋肉が収縮しなかった理由を述べよ。
問5 実験に用いた神経束を興奮が伝導する速度(m/秒)を答えよ。なお,解答が小数を含む場合は小数第一位を四捨五入せよ。
問6 測定1が終わったあと,測定2を始める前に電極 F で活動電位が生じるような電気刺激を行ったとすると,電極 D の電位を基準とした電極 C での電位の時間変化はどのようになると考えられるか。解答欄のグラフ上に記入せよ。なお,解答欄のグラフには参考として図2の線1を破線でしめしてある。
▶ 大問2 の答えと解説を見る

大問2 神経 の答えと解説

問1
ア 延髄イ 間脳ウ 中脳エ 小脳オ 脊髄カ 大脳
  1. 脳の各部の中枢:延髄(心拍・呼吸・消化管運動など),間脳(視床下部:体温・血糖・水分の調節),中脳(瞳孔反射・眼球運動・姿勢の保持),小脳(平衡と随意運動の調節),大脳(思考・記憶・言語)。
  2. 手を引っ込める反応は脊髄反射で,興奮は脊髄を通って運動神経に伝わる。知識問題(用語)。
問2
a,c,e
  1. 副交感神経は,休息・消化のときにはたらく。瞳孔の縮小(a),気管支の収縮(c),排尿の促進(e)が副交感神経の優位による。
  2. 血圧の上昇(b),心拍数の増加(d),立毛筋の収縮(f)は交感神経が優位なときに起こる。知識問題。
問3
(例)麻酔薬が電位依存性ナトリウムチャネルをふさぎ,ナトリウムイオンが細胞膜を通って流入できなくなるため,麻酔した部分で活動電位が発生・伝導できず,電極 G に興奮が届かない。そのため,電極 E での活動電位による変化だけが記録された。
  1. 活動電位は,電位依存性 Na⁺ チャネルが開いて Na⁺ が流入することで生じ,隣へ伝わっていく。麻酔部分では Na⁺ の流入が起こらず,活動電位がそこで止まる。
  2. 電極 E–G の差は「E での活動電位」と「G での活動電位」の差。G に興奮が届かなければ,E の通過に伴う最初の波(下向き)だけが記録される。記述問題(TMPSの答案例)。
問4
(例)麻酔部分で活動電位の伝導が止まり,興奮が神経の末端(神経筋接合部)に届かず,筋肉を収縮させる伝達物質が放出されなかったから。
  1. 運動神経の興奮は,神経の末端からアセチルコリンが放出されて筋肉に伝わる。伝導が途中で遮断されれば末端に興奮が届かず,筋肉は収縮しない。
  2. 記述問題(TMPSの答案例)。
問5
60 m/秒
  1. 線1(電極 E)の波の開始が 1.0 ミリ秒,線2(電極 F)の開始が 1.5 ミリ秒。E と F は 3 cm 離れているので,$\dfrac{3\ \text{cm}}{0.5\ \text{ms}}=6\ \text{cm/ms}=60\ \text{m/秒}$。
  2. 確認:D から E まで 6 cm を 1.0 ミリ秒で伝わるので,6 cm/ms で一致する。
問6
刺激後 1.5 ミリ秒に上向きの波が始まり,2.0 ミリ秒で +1.0 の山,2.5 ミリ秒で 0,3.0 ミリ秒で −1.0 の谷,3.5 ミリ秒で 0 に戻る(線1を上下反転して,時間を 0.5 ミリ秒ずらした形)
  1. F から D までは $3+6=9$ cm なので,興奮は $9\div6=1.5$ ミリ秒で D に,さらに 6 cm 進んで $1.0$ ミリ秒後の 2.5 ミリ秒に C に届く。
  2. D が先に興奮するので,D を基準にした C の電位は,先に上向き(正)の波,あとに下向き(負)の波になる。線1とは正負の順が逆。
解答グラフ。破線の線1は1.0〜3.0ミリ秒で下向き→上向き。解答は1.5〜3.5ミリ秒で上向き(山は2.0)→下向き(谷は3.0)
図 問6の答えのグラフ(TMPS作成)
類題 大問3 細胞死

細胞死に関する各問いに答えよ。

I.哺乳類の手足の指も,指と指の間の指間領域の細胞がプログラム細胞死によって除かれることで形成される。マウス胚の後肢の指間領域の細胞死のしくみを知るために,次の実験1〜4を行った。受精後の経過時間は,12日0時間を 12.0 日,12日12時間を 12.5 日のように表す。

実験1:マウス胚の後肢の指間領域では,受精後 13.5 日から細胞死が起こりはじめる。この際,肢芽の表皮につくられた中胚葉由来の組織(間充織)の細胞が細胞死によって消失する。

実験2:受精後 12.0 日に,指間領域として予定されている部分の表皮を除去して胚の発生を続けると,その下の間充織細胞は細胞死を起こさなかった。

実験3:受精後 12.0 日〜12.5 日に指間領域として予定されている間充織を切り出して培養したところ,細胞死は起こらなかった。一方,受精後 13.0 日〜13.5 日に同様に間充織を切り出して培養すると,受精後 13.5 日から細胞死が起こりはじめた。

実験4:受精後 12.0 日から 13.5 日の間を 0.5 日(12 時間)ずつに区切り,いずれかの期間で薬品A(注)を細胞の増殖に影響が出ない濃度で作用させた。その結果,受精後 12.5 日〜13.0 日の期間に作用させた場合のみ,細胞死が顕著に抑制され,他の期間に作用させた場合は細胞死が抑制されることはなかった。

(注)薬品Aは,チミジンと構造が類似するため,DNA に取り込まれると,その後の転写パターンが変化する。この薬品は発生の特定の時期にのみ効かせることができる。

問1 次のア〜オのうち外胚葉由来の器官をすべて選び,記号で答えよ。
(a) 表皮(b) 肝臓(c) 脊髄(d) 腎臓(e) 水晶体
問2 実験1と実験2から,指間領域のプログラム細胞死に関してわかることを述べよ。
問3 実験3と実験4から,次の文章のアとイの  に入る適切な数字を答えよ。「指間領域において細胞死する予定の細胞は,細胞死開始時を基準にするとア時間前〜イ時間前の間に DNA 複製を行っていると考えられる。」なお,解答は順不同とする。
問4 実験3と実験4から,指間領域の細胞死の機構について,どのようなことが考えられるか,述べよ。
問5 コウモリの前肢では,指と指の間の細胞死があまり起こらないことがわかっている。コウモリと他の哺乳類で細胞死の程度が違うことについて,両者の生活様式と関連させて考察せよ。
問6 アポトーシスを起こした細胞では,核の DNA がヌクレオソームの間で切断される。アポトーシスを起こした細胞から DNA を取り出して電気泳動すると,どのようなバンドのパターンが見られるか。理由とともに述べよ。

II.穀類の種子が発芽するときにも,プログラム細胞死が起こる。胚でつくられた植物ホルモンAは,胚乳の外側の糊粉層の細胞に作用して,酵素Bの合成を促す。Bは胚乳の貯蔵デンプンを分解し,胚の成長に使われる糖を生じる。この過程が終わると,糊粉層の細胞はプログラム細胞死を起こす。糊粉層でのBの合成は,植物ホルモンCによって抑制される。

問7 A〜Cの  に入る適切な語句を答えよ。
問8 植物で起こるプログラム細胞死の例を,種子の発芽以外に一つあげよ。
問9 日本の植生に関して,以下の問いに答えよ。
① 日本の亜寒帯の針葉樹林に関する次の記述のうち,適切なものを二つ選び,記号で答えよ。
(a) シラビソやトドマツが分布する。(b) 暖温帯に分布する。(c) スダジイが分布する。(d) ブナが分布する。(e) 針状の葉をつけ,葉の寿命が数年と長い。
② 亜寒帯の常緑針葉樹は,夏緑樹とちがって葉を数年間落とさずに一年中つけている。このような生活形が亜寒帯の針葉樹に有利である理由を答えよ。
▶ 大問3 の答えと解説を見る

大問3 細胞死 の答えと解説

問1
a,c,e
  1. 外胚葉からは,表皮・神経系(脳・脊髄)・感覚器の一部(水晶体・網膜)ができる。肝臓は内胚葉,腎臓は中胚葉。
  2. 知識問題。
問2
(例)指間領域の間充織の細胞死には,その上の表皮が必要である(表皮から細胞死を引き起こす信号が出ている)。
  1. 表皮を除くと細胞死が起こらないので,細胞死は間充織だけでは起こらず,表皮の存在に依存する。
  2. 記述問題(TMPSの答案例)。
問3
ア 12イ 24
  1. 細胞死が始まるのは 13.5 日。薬品Aが効いた期間は 12.5 日〜13.0 日で,細胞死の開始時を基準にすると,$13.5-13.0=0.5$ 日 = 12 時間前から,$13.5-12.5=1.0$ 日 = 24 時間前の間。
  2. この間に DNA の複製を行うと考えられる。解答は順不同。
問4
(例)細胞死する予定の細胞は,細胞死開始の 12〜24 時間前の DNA 複製のときに薬品Aで転写パターンが変わると細胞死しなくなることから,細胞死は DNA 複製を伴う転写の変化によって運命づけられる。そして,いったん運命づけられた細胞は,間充織を切り出して培養しても,表皮がなくても予定の時刻に細胞死を起こす。
  1. 実験4:薬品AはDNAに取り込まれて転写パターンを変える。12〜24時間前の DNA 複製の時期に作用すると細胞死が抑制されるので,この時期の転写が細胞死に必要。
  2. 実験3:13.0 日〜13.5 日に切り出した細胞は,培養しても 13.5 日から細胞死を起こす。すでに細胞死に向かうことが決まっており,表皮がなくても進む。
  3. 記述問題(TMPSの答案例)。要確認:採点基準の細かい表現は公表されていない。
問5
(例)コウモリは前肢の指の間に膜を残して翼として飛ぶので,指間の細胞死が抑えられる。他の哺乳類は,指が分かれていることで,走る・つかむ・歩くなどに適している。
  1. 生活様式(飛翔と歩行)と,指の間の膜の有無とを結びつける。
  2. 記述問題(TMPSの答案例)。
問6
(例)約 200 塩基対の整数倍の長さのバンドが,はしご状(ラダー状)に並ぶ。ヌクレオソームの間のリンカー DNA が決まった間隔で切断されるため。
  1. ヌクレオソーム(ヒストンに巻きついた約 200 塩基対の DNA)の間が切断されるので,ヌクレオソームの 1 個分,2 個分…の長さの断片ができる。電気泳動すると,長さの違う断片がとびとびのバンドになる。
  2. 知識問題+記述問題(TMPSの答案例)。
問7
A ジベレリンB アミラーゼC アブシシン酸
  1. 発芽では,胚から出たジベレリンが糊粉層にアミラーゼをつくらせる。アブシシン酸は種子の休眠を保ち,発芽を抑える。知識問題。
問8
(例)道管の形成(道管・仮道管の細胞は細胞死して,細胞壁だけが残って中空の管になる)
  1. ほかに,落葉の離層の形成,病原体が感染した部分の細胞死(過敏感反応)などがある。一つあげればよい。知識問題。
問9 ①
a,e
  1. 亜寒帯の針葉樹林には,シラビソ・トドマツ・エゾマツなどが分布し,針状の葉を数年間つける常緑針葉樹が多い。暖温帯の照葉樹林(スダジイ)や冷温帯の夏緑樹林(ブナ)とは区別する。
  2. 知識問題。
問9 ②
(例)生育期間が短く,毎年葉をつくり直すには窒素などのコストが大きいので,葉を保持した方が春から効率よく光合成を始められ,また針状の厚い葉は寒さや乾燥に耐えるから。
  1. 落葉樹は毎年葉をつくり直す。亜寒帯では生育期間が短く,葉をつくるコスト(窒素・光合成産物)を回収しにくい。葉を長く保持すれば,雪解けとともにすぐ光合成を始められる。
  2. 記述問題(TMPSの答案例)。
類題 大問4 血液と酸素運搬

体液に関する各問いに答えよ。

I.血管が傷つくと,血液中のアが傷口に集まって凝集し,血液凝固の反応が始まる。この反応で,血しょう中のタンパク質イが繊維状のウに変化し,血球をからめてエができ,傷口をふさぐ。血液を試験管に入れて放置すると凝固し,上澄みとしてオが分離する。傷口が修復されたあと,ウはカのはたらきで溶解される。血液凝固の反応には,特定の金属イオンが必要である。

問1 ア〜カの  に入る適切な語句を答えよ。
問2 下線部で必要な金属イオンは何か,一つ答えよ。
問3 採血した血液にクエン酸ナトリウムを加えると凝固しない。その理由を述べよ。
問4 ヒトの赤血球は,核がなく,両面がくぼんだ円盤形をしている。この形状から得られる機能上の利点を二つあげよ。

筋肉には酸素をたくわえるタンパク質ミオグロビンがある。図は,同じ条件で測定したヘモグロビンとミオグロビンの酸素解離曲線である(ヘモグロビンは pH 7.4 の実線と,pH 7.2 の破線)。縦軸は,酸素と結合した割合,横軸は酸素濃度(相対値)である。

ヘモグロビン(pH 7.4:実線,pH 7.2:破線)とミオグロビン(点線)の酸素解離曲線。ミオグロビンは低い酸素濃度でも飽和し,ヘモグロビンはS字形
図 酸素解離曲線(TMPS作成)
問5 運動中の筋肉の細胞内の酸素濃度は,10 まで低下している。図から,このときのヘモグロビン(pH 7.4)とミオグロビンの酸素と結合した割合を読み取り,ミオグロビンが筋肉で果たす役割を述べよ。

II.運動中の筋肉では,二酸化炭素や乳酸が増えて血液の pH が低下する。pH が低下すると,ヘモグロビンの酸素解離曲線は右に移動する(図の破線)。

問6 下線部の変化は,運動中の筋肉にとってどのような利点があるか。酸素濃度 30 のときの値を図から読み取って,述べよ。
▶ 大問4 の答えと解説を見る

大問4 血液と酸素運搬 の答えと解説

問1
ア 血小板イ フィブリノーゲンウ フィブリンエ 血ぺいオ 血清カ プラスミン
  1. 血小板が集まって傷口をふさぎ,血しょう中のフィブリノーゲンがフィブリンに変わって血球をからめ,血ぺいをつくる。凝固した血液の上澄みは血清(フィブリノーゲンなどの凝固因子を含まない)。フィブリンの分解(線溶)はプラスミン。知識問題(用語)。
問2
カルシウムイオン(Ca²⁺)
  1. 血液凝固の反応には,カルシウムイオンが必要。知識問題。
問3
(例)クエン酸が血液中のカルシウムイオンと結合して除かれるため,血液凝固の反応が進まない。
  1. クエン酸はカルシウムイオンと結びつきやすい。Ca²⁺ が使えなければ凝固の反応は進まない。
  2. 記述問題(TMPSの答案例)。
問4
(例)①体積に対する表面積が大きく,酸素の受け渡しが速い。②核がなく,内部にヘモグロビンを多く含めるので,酸素を多く運べる。(変形しやすく,細い毛細血管を通りやすい,でもよい)
  1. 円盤形(くぼんだ形)は,体積に対する表面積の比が大きく,酸素が出入りしやすい。核がないぶん内部をヘモグロビンで満たせる。柔軟で毛細血管を通り抜けやすい点もあげられる。二つ書けばよい。
  2. 記述問題(TMPSの答案例)。
問5
ヘモグロビン:約2%,ミオグロビン:約60%(例)酸素濃度が低い筋肉では,ヘモグロビンはほとんど酸素を放しているが,ミオグロビンは酸素と結合しやすく,血液から酸素を受け取って筋肉に蓄える。
  1. 酸素濃度 10 では,ヘモグロビンは約 2%しか結合しておらず,酸素をほぼ放している。一方,ミオグロビンは約 60%が結合している(図は TMPS の作成で,値は図から読み取れる近似)。
  2. ミオグロビンの方が酸素との結びつきが強いので,ヘモグロビンから酸素を受け取って筋肉に蓄え,酸素濃度が下がったときに放して使える。記述問題(TMPSの答案例)。
問6
(例)酸素濃度 30 で,ヘモグロビンの酸素と結合した割合は pH 7.4 で約 30%,pH 7.2 で約 16%と低くなり,より多くの酸素を放出するので,活発に活動している筋肉に酸素を多く供給できる。
  1. 酸素濃度 30 では,pH 7.4 のヘモグロビンは約 30%,pH 7.2 のヘモグロビンは約 16%が酸素と結合している。差の約 14 ポイント分,酸素が余計に放出される。
  2. 運動中の筋肉は,酸素が必要でありながら二酸化炭素・乳酸が増えて pH が下がっている。そこで酸素が余計に放出されるのは都合がよい。記述問題(TMPSの答案例)。

※ 類題は、本番の解き方の骨格は残しつつ、題材・数値・条件を変えて作っています(大問1:乳酸発酵と競争的阻害・酵素Xの遺伝(30%の四量体)。大問2:脳の各部と副交感神経・電極間の距離と速度(60 m/秒)・Fで刺激。大問3:マウスの指間領域の細胞死(12時間・24時間)・穀類の発芽・亜寒帯針葉樹。大問4:血液凝固・ミオグロビンとヘモグロビン・pHと酸素解離曲線)。計算や論理で決まる所は、pythonで全列挙・数値計算して確かめています。

CHECK

30秒 得点診断

本番の過去問、またはそっくり類題セットを60分で解いた結果を選んでください。次にやるべきことを表示します。

大問1(呼吸・発酵とALDH2・問1〜6)
大問2(神経・問1〜6)
大問3(細胞死・問1〜9)
大問4(体液・問1〜6)
FOR PARENTS

保護者の方へ:慈恵医大の生物で知っておきたい3つのこと

① 「図表から説明する力」が中心
知識の暗記だけでなく、グラフや実験結果を読み取って、理由を説明する問題が多く出ます。記述の型(結論→理由→根拠)が身につけば、初見の問題でも点が取れます。
② 用語は「文章の中で」覚える
酵素・ホルモン・生態系の用語は、空欄補充で出ます。単語カードだけでなく、「どの場面で出てくるか」を文章で覚える習慣が大切です。
③ 秋からは「記述を見てもらう」
論述は、独学では良し悪しが分かりにくい部分です。第三者の目で、どこが足りないかを見てもらうと、最短で伸びます。
FAQ

よくある質問

Q. 東京慈恵会医科大学 医学部の生物2024年度は、どの順番で解くのがよいですか?

TMPSのおすすめは、大問1(呼吸・発酵とALDH2の遺伝)に15分、大問2(神経)に15分、大問3(細胞死)に14分、大問4(体液・酸素運搬)に11分、見直しに5分の、生物60分の配分です。本番は理科2科目で120分なので、生物に60分を使う想定です。大問1のII(遺伝の計算)と大問2の問5・問6(速度とグラフ)は、論理で確実に取れる所です。

Q. 問題文が載っていなくても、どんな問題か分かりますか?

分かります。著作権に配慮して問題本文・図は掲載していませんが、各大問の最初に「どういう問題か」として、設定・何を答えるか・答える形(語句・記号・数値・グラフ・記述)をTMPSの言葉で説明しています。

Q. 答えは、どうやって確かめていますか?

計算や論理で決まる所(ハーディ・ワインベルグ、四量体の組合せ、神経の伝導速度と波形、DNA複製の時期など)は、pythonで全列挙・数値計算して確かめています。一方、用語・実験の考察・記述は、スクリプトでは確かめられないので、ページ内に「要確認」と明記しています。図からの読み取り(酸素解離曲線など)は、目で読んだ近似です。

Q. 記述問題は、どう書けばいいですか?

「結論 → 理由 → 根拠となる図表・実験のデータ」の順に、1文ずつ短く書きます。この大学の生物は、「実験の結果から何が言えるかを説明する」「図を根拠に理由を述べる」問題が多いので、どの実験のどの結果から言えるのかを、必ず1か所は書き入れます。

Q. そっくり類題セットとは何ですか?

2024年度と同じ4大問の構成(問1〜6、問1〜6、問1〜9、問1〜6)で、題材・数値・設定を変えたTMPSオリジナル問題です。全27問の答え・解説をこのページに掲載し、本番形式の問題冊子PDFも無料で配布しています。

Q. 解説に誤りを見つけたらどうすればいいですか?

公式LINEからお知らせください。確認のうえ修正し、更新日を記載します。

安心安全・継続更新システム

問題等で誤りを発見された場合、修正しますので、TMPS医学館までLINEを下さい。

受験生・指導者の皆様からのご指摘を真摯に受け止め、最も信頼できる過去問解説・類題ライブラリーとして随時アップデートいたします。

LINEで誤りを報告・相談する

一緒に医学部を目指す友達にシェア 📣

🔥 次に読むならこちら

毎月先着3名・無料

慈恵医大の生物を、
あなたの答案で攻略する

「どこで時間を失ったか」「記述でどこが減点されそうか」「図表の読み取りの癖」を、Sora先生があなたの答案から直接診断します。