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関西医科大学 医学部 生物(2023年度)全問題・超図解解説

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赤本キラー!途中式・図解100%網羅 Sora先生 ✕ ニックニ先生 徹底解説

「これより〜となる」の省略はゼロ!関西医科大学(2023年度)生物をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系担当Sora先生です。市販の過去問集(赤本など)で途中の式変形や思考プロセスが1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、関西医科大学(2023年度)の生物について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と解法プロセスをすべて公開しています!

Sora先生
総評&攻略ガイド

Sora先生&ニックニ先生の関西医大・生物ナビ!

こんにちは、TMPS医学館のSora先生です!指導統括のニックニ先生と一緒に、2023年度の関西医科大学(前期)の生物を1ステップの省略もなく完全解剖していくよ!
関西医大の生物は「英語の専門用語」「すべて選べ(該当なし含む)」「実験データの緻密な読み取り」「遺伝・家系図とハーディ・ワインベルグの計算」が名物!暗記だけでは太刀打ちできない思考問題も、図解と途中式で中学生でもスッキリわかるように解説するから、最後まで一緒についてきてね!

⚡ 解答一覧(スピードチェック)

※複数選択はアルファベット順・番号順

大問 I(小問集合)

  • (1) エネルギーの通貨の略称:ATP
  • (2) 食物網上位で影響大の生物種:キーストーン種
  • (3) 1枚(一重)の生体膜の細胞小器官:A, E
  • (4) 代謝・呼吸で正しいもの:A, B, E
  • (5) 骨格筋で正しいもの:E, F
  • (6) ヒトの大脳皮質で正しいもの:B, C, F
  • (7) 被子植物の環境応答で正しいもの:C, F, G
  • (8) 根に共生しリンを供給する菌類:菌根菌

大問 II(レーウィの実験・自律神経と循環系)

  • 問1 空欄 ①〜③:① ウ ② ク ③ カ
  • 問2 (1) 心臓収縮時の水位:B
  • 問2 (2) 刺激後の拍動数と拍出量:B, E
  • 問2 (3) 刺激後の膜電位波形:D
  • 問3 (1) 心臓標本(b)の拍動数:B
  • 問3 (2) <A液>の物質名:アセチルコリン
  • 問4 小腸標本(a) / 小腸標本(b):(a):B, あ / (b):C, う
  • 問5 脊椎動物の血管系・血液:B, C, E

大問 III(大腸菌の転写・翻訳とラクトースオペロン)

  • 問1 (1) ヒトの細胞だけに見られるもの:3, 4
  • 問1 (2) AとBの名称:5, 2
  • 問1 (3) AとBの移動方向:1, 3
  • 問1 (4) 転写にかかる時間:E
  • 問1 (5) CとDの末端:4, 2
  • 問2 (1) ラクトースの分解産物:1
  • 問2 (2) 1〜3の発現の有無:○, ×, ×
  • 問2 (3) 発現しない突然変異体:4, 5
  • 問2 (4) オペロンを形成している利点(40字以内): 関連する複数の遺伝子の転写を1つのプロモーターで同時に効率よく調節できる点。(38字)

大問 IV(ABO式血液型と遺伝病Zの家系図・集団遺伝)

  • 問1 アの遺伝子型:4, う
  • 問1 イの遺伝子型:2, い
  • 問1 ウの遺伝子型:2, う
  • 問1 エの遺伝子型:2, い
  • 問2 オとAB型Z病男性の子がB型でZ病の割合:$\dfrac{1}{8}$
  • 問3 カがZ病でAB型の男性である割合:$\dfrac{1}{96}$
  • 問4 $E$と$e$が同確率のとき子がZ病の割合:25%
  • 問5 $e$遺伝子を保有している人の割合:0.50%

大問 I :全範囲小問集合(細胞・代謝・筋収縮・神経・植物生理・生態)

配点目安:約25%
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大問 I は知識の正確さを問う小問集合だよ!一番の注目は(3)の英語の細胞小器官名と、(4)〜(7)の「正しいものをすべて選びなさい(該当なし含む)」だね。関西医大では「1つでも選び漏らすと0点」になりやすいから、消去法ではなく1選択肢ずつ「どこが正しいか・どこが誤りか」を根拠をもって判定する力が合否の分かれ目!目標時間は8〜10分でテンポよく駆け抜けよう!

(1)・(2) 基本用語の確認

(1) 呼吸によって得られる高エネルギーリン酸結合をもつ化合物で、エネルギーの通貨と呼ばれるものの略称を書きなさい。

(2) 生態系内で食物網の上位にあって他の生物の生活に大きな影響を与える生物種を何というか書きなさい。

解説 (1) アデノシン三リン酸(Adenosine Triphosphate)は、高エネルギーリン酸結合を2つもち、生体内のあらゆる生命活動で「エネルギーの通貨」として使われます。「略称を書きなさい」という指示なので、日本語ではなくアルファベット3文字で答えます。

解説 (2) 生態系において、個体数は比較的少ないものの、食物網の上位(高次消費者)に位置し、その種がいなくなると生態系全体のバランスが大きく崩れてしまうような生物種をキーストーン種(キーストーン捕食者)と呼びます(例:潮間帯のヒトデ、ラッコなど)。

✅ 最終解答:(1) ATP / (2) キーストーン種

(3) 細胞小器官の膜構造と英語名称

(3) 1枚(一重)の生体膜からなる細胞小器官をすべて選びなさい。

A endoplasmic reticulum B chloroplast C centrosome D microtubule E Golgi body (Golgi apparatus) F nucleus G 該当なし

STEP 1 英語の選択肢を日本語に翻訳し、膜の枚数を整理しよう!

記号 英語表記 日本語名 生体膜の数 判定
A endoplasmic reticulum (ER) 小胞体 1枚(単層膜・一重膜) ○ 正しい
B chloroplast 葉緑体 2枚(二重膜:外膜+内膜) ×
C centrosome 中心体 0枚(膜をもたない) ×
D microtubule 微小管(細胞骨格) 0枚(タンパク質繊維) ×
E Golgi body (Golgi apparatus) ゴルジ体(ゴルジ装置) 1枚(単層膜・一重膜) ○ 正しい
F nucleus 核 2枚(二重膜である核膜) ×

※ニックニ先生の暗記メモ:「二重膜=核・ミトコンドリア・葉緑体」「膜なし=リボソーム・中心体・細胞骨格」「一重膜=小胞体・ゴルジ体・リソソーム・液胞・ペルオキシソーム」と3グループに分けて即答できるようにしよう!

✅ 最終解答:A, E

(4) 呼吸とエネルギー代謝

(4) 正しいものをすべて選びなさい。

A 酸素欠乏時の筋における解糖では、乳酸が生じる。

B ミトコンドリアには電子伝達系が存在する。

C 酸素呼吸によって1分子のグルコースから12分子の $\mathrm{CO_2}$ が生じる。

D クエン酸回路では1分子のピルビン酸から2分子の $\mathrm{FADH_2}$ が生じる。

E アミノ酸は脱アミノ反応を経て、クエン酸回路などに入り利用される。

F 該当なし。

  • 【A:○ 正しい】 骨格筋などで酸素が不足したときに行われる嫌気的な解糖(乳酸発酵と同じ経路)では、ピルビン酸が還元されて乳酸が生じます。
  • 【B:○ 正しい】 ミトコンドリアの内膜(クリステ)には電子伝達系(呼吸鎖複合体やATP合成酵素)が存在します。
  • 【C:× 誤り】 酸素呼吸の化学反応式は $\mathrm{C_6H_{12}O_6 + 6\,O_2 + 6\,H_2O \rightarrow 6\,CO_2 + 12\,H_2O}$ です。グルコース1分子(炭素数6)からは6分子の $\mathrm{CO_2}$ が生じます(12分子生じるのは $\mathrm{H_2O}$ です)。
  • 【D:× 誤り】 クエン酸回路では、1分子のピルビン酸あたり $\mathrm{NADH}$ が4分子、$\mathrm{GTP}$($\mathrm{ATP}$)が1分子、そして$\mathrm{FADH_2}$ は1分子生じます(2分子の $\mathrm{FADH_2}$ が生じるのは「グルコース1分子=ピルビン酸2分子あたり」です。主語のひっかけに注意!)。
  • 【E:○ 正しい】 タンパク質が分解されてできたアミノ酸は、脱アミノ反応によってアミノ基($\mathrm{-NH_2}$)がアンモニアとして外された後、有機酸($\alpha$-ケト酸など)となってクエン酸回路などに入り、呼吸基質として利用されます。
✅ 最終解答:A, B, E

(5) 骨格筋の構造と収縮機構(滑り説)

(5) 骨格筋について正しいものをすべて選びなさい。

A 筋繊維の核の数は1つである。

B 筋原繊維において、多数のミオシンフィラメントはZ膜部分で束ねられている。

C 筋原繊維において、アクチンフィラメントの直径はミオシンフィラメントの直径より大きい。

D 筋が収縮する時、筋原繊維のミオシンフィラメントの長さが減少する。

E 筋が収縮する時、筋原繊維のサルコメアの長さが減少する。

F 筋が収縮する時、筋原繊維の明帯の長さが減少する。

G 該当なし。

【図解】サルコメア(筋節)の構造と収縮時の変化

Z膜 Z膜 細い:アクチンフィラメント 太い:ミオシンフィラメント(暗帯=長さ不変!) 明帯(I帯):短縮 暗帯(A帯):長さ不変 ← サルコメア(筋節):短縮 →
  • 【A:× 誤り】 骨格筋の筋繊維(筋細胞)は、発生過程で多数の筋芽細胞が融合してできた多核細胞(合胞体)であり、1つの細胞に多数の核が存在します(核が1つなのは心筋や平滑筋です)。
  • 【B:× 誤り】 Z膜(Z板)に固定されて束ねられているのはアクチンフィラメントです(ミオシンフィラメントは中央のM線部分で束ねられています)。
  • 【C:× 誤り】 アクチンフィラメントは「細いフィラメント」(直径約 $7\text{ nm}$)、ミオシンフィラメントは「太いフィラメント」(直径約 $15\text{ nm}$)です。大小関係が逆です。
  • 【D:× 誤り】 筋収縮はアクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間へ滑り込むことで起こるため(滑り説)、ミオシンフィラメント自体の長さ(=暗帯の長さ)もアクチンフィラメント自体の長さも変化しません。
  • 【E:○ 正しい】 滑り込みによって隣り合うZ膜どうしの距離、すなわちサルコメア(筋節)の長さは減少(短縮)します。
  • 【F:○ 正しい】 アクチンフィラメントが暗帯の中へ深く入り込むため、アクチンフィラメントのみからなる明帯(I帯)の長さ(および中央のH帯の長さ)は減少します。
✅ 最終解答:E, F

(6) ヒトの大脳皮質の構造

(6) ヒトの大脳皮質について、正しいものをすべて選びなさい。

A 白質と呼ばれている。

B 大脳の外側(表面側)部分に存在する。

C ニューロンの細胞体が集まっている。

D オリゴデンドロサイトが形成する髄鞘が集まっている。

E シュワン細胞が形成する髄鞘が集まっている。

F 最も広い部分は新皮質である。

G 該当なし。

  • 【A:× 誤り】 大脳皮質は細胞体が集まって灰色に見えるため灰白質(かいはくしつ)と呼ばれます(内側の大脳髄質が白質です)。
  • 【B:○ 正しい】 大脳や小脳では、外側(表面側)に皮質(灰白質)、内側に髄質(白質)が存在します(※脊髄や延髄では逆に外側が白質、内側が灰白質です)。
  • 【C:○ 正しい】 灰白質である大脳皮質には、多数のニューロンの細胞体(および樹状突起やシナプス)が集まっています。
  • 【D:× 誤り】 オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)は中枢神経系で髄鞘を形成するグリア細胞ですが、髄鞘をもつ神経繊維(軸索)が主に集まっているのは内側の大脳髄質(白質)です。
  • 【E:× 誤り】 シュワン細胞は末梢神経系で髄鞘を形成する細胞であり、中枢神経系である大脳には存在しません。
  • 【F:○ 正しい】 哺乳類、特にヒトの大脳皮質では新皮質が著しく発達しており、大脳皮質全体の表面積の約90%以上(最も広い部分)を占めています。
✅ 最終解答:B, C, F

(7)・(8) 被子植物の環境応答と菌根菌

(7) 被子植物の環境応答について、正しいものをすべて選びなさい。

A 種子が一定期間低温にさらされることで発芽する現象を春化という。

B ブラシノステロイドとオーキシンを添加した細胞は、より縦方向に伸長する。

C ジベレリンを添加した細胞は縦方向にセルロース繊維を形成する。

D 短日植物とは昼の長さが夜の長さより短くなると花芽を形成する植物のことである。

E 短日植物の光周性には主に赤色受容体であるフォトトロピンがはたらいている。

F シロイヌナズナのフロリゲンであるFTタンパク質は師管を移動する。

G チューリップの花が昼に開き、夜に閉じる現象は温度傾性による。

H 該当なし。

(8) 植物の根に共生して、土壌中のリンなどを吸収し植物に供給する菌類は何と呼ばれるか、その総称を書きなさい。

解説 (7) 植物生理の超重要ひっかけポイントを1つずつ見抜こう!

  • 【A:× 誤り】 春化(バーナリゼーション)とは、吸水した種子や幼植物が一定期間低温にさらされることで「花芽形成(開花)が誘導・促進される現象」です。休眠種子が低温によって「発芽」できるようになる現象は低温要求性(休眠打破)であり、春化とは区別されます。
  • 【B:× 誤り】 オーキシンと協調して細胞を縦方向に伸長させるのはジベレリンです(またはエチレンとオーキシンなら横方向に肥大)。
  • 【C:○】 植物細胞が縦方向に伸長するとき、ジベレリンやブラシノステロイドは表層微小管およびセルロースミクロフィブリル(繊維)を伸長方向に対して横方向(垂直方向)に配向させ、エチレンは縦方向に配向させて横へ肥大させます。ただし高校生物の選択肢B・Cの対比において、B(ブラシノステロイドとオーキシンの協調による縦方向の伸長促進)とCの扱いを正確に確認しましょう:

    ・F:○ 確実に正しい。葉で合成されたフロリゲン(シロイヌナズナではFTタンパク質、イネではHd3aタンパク質)は、師管を通って茎頂分裂組織へ移動し、花芽形成を誘導します。

    ・G:○ 確実に正しい。チューリップの花弁が昼の高温で内側の成長が促進されて開き、夜の低温で外側の成長が促進されて閉じる運動は、温度変化を刺激とする温度傾性(熱傾性)の代表例です。

    ・D:× 誤り。短日植物は「昼が夜より短い(12時間未満)」ことではなく、連続した暗期の長さが植物固有の限界暗期以上(明期が限界日長以下)になると花芽を形成する植物です(限界日長が14時間の短日植物なら、昼13時間>夜11時間でも花芽を形成します)。

    ・E:× 誤り。光周性に関与する赤色光・遠赤色光受容体はフィトクロムです(フォトトロピンは青色光受容体)。

    ・BとCの判定:近年の高校生物教科書(啓林館・数研出版等)では「ブラシノステロイドはオーキシンとともに茎の伸長成長(細胞の縦方向への伸長)を促進する」と明記されている一方、ジベレリン添加時はセルロース繊維を「横方向(らせん・輪状)」に配向させて縦に伸長させます(縦方向にセルロース繊維を並べるのはエチレン)。しかし問題文Cを「縦方向への伸長に関わる繊維形成」またはBを正とするかで迷いやすい箇所ですが、標準的な植物ホルモンの記述としてB(ブラシノステロイド+オーキシンによる伸長促進)および教科書図説の記述に照らし、確実な F, G に加え、B(またはC)の根拠を押さえておきましょう。(※本解説では教科書の「ブラシノステロイドはオーキシンと協調して細胞の伸長を促進する」に基づき B, F, G、また図説の繊維配向のひっかけ問題としてはCが「横方向」の誤りである点を明記します)。

解説 (8) 陸上植物の8割以上の根に共生し、菌糸を土壌中に広げてリン酸(リン)や窒素、水分などを吸収して植物に与え、植物からは光合成産物(有機物)を受け取る相利共生の菌類を菌根菌(きんこんきん)と呼びます(※根粒菌はマメ科植物などに共生する「細菌(原核生物)」で窒素固定を行うものなので、「菌類(真核生物)」で「リンを供給」とあれば必ず菌根菌です!)。

✅ 最終解答:(7) B, F, G(※Cを正とする解釈の場合は C, F, G) / (8) 菌根菌

大問 II :レーウィの実験・自律神経による心筋と小腸平滑筋の調節

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大問 II は、有名なレーウィの心臓かん流実験をベースに、小腸平滑筋への影響(実験3)を組み合わせた超良問だよ!
一番のポイントは問2の図3を見て、刺激された自律神経が「交感神経」なのか「副交感神経(迷走神経)」なのかを真っ先に特定すること!心臓では抑制的に働く神経伝達物質が、小腸(消化管)では逆に促進的に働くという自律神経の二重支配・拮抗作用の逆転に気づけば、問1〜問4までドミノ倒しで満点が取れるよ!

🔬 実験1〜3の全体フロー図解(ここを整理すれば迷わない!)

【実験1】心臓標本(a) ・自律神経を電気刺激 → 拍動の間隔が長くなった! (=拍動数が減少=副交感神経) 回収した <A液> の正体: アセチルコリン を含む液! 【実験2】心臓標本(b) ・神経なし(刺激なし) → 回収した <B液> は   ただのリンガー液(変化なし) ・<A液>を注ぐと… → 心臓(b)も拍動数が減少! 【実験3】小腸標本(a)・(b) ● 小腸(a) + <A液> 副交感神経(アセチルコリン)は 消化管の運動を促進(収縮)! ● 小腸(b) + <B液> ただのリンガー液なので 興奮頻度も筋も変化なし!

問1 心臓の自動性とペースメーカー

問1 実験準備の下線部の現象(「心臓は拍動の中枢がある延髄から切り離されても一定のリズムで拍動し続けた」)は哺乳類の心臓でもみられる。空欄①〜③に当てはまる最も適切なものを選んで記号で答えなさい。

<説明文> 哺乳類の心臓では( ① )にある( ② )がそれ自身で周期的に興奮するためである。このように、自律神経の調節がなくても一定のリズムで拍動する性質を( ③ )という。

【選択肢】ア:延髄 イ:視床下部 ウ:右心房 エ:左心房 オ:心室 カ:自動能(性) キ:他動能(性) ク:洞房結節 ケ:大動脈 コ:肺

解説 哺乳類の心臓において、ペースメーカー(歩調とり)として周期的に自発的な活動電位(興奮)を発生させる部位は、右心房(ウ)の上大静脈開口部付近にある洞房結節(ク)です。このように中枢神経からの指令がなくても心臓自身が周期的に収縮・弛緩を繰り返す性質を自動能(自動性)(カ)といいます。

✅ 最終解答:① ウ / ② ク / ③ カ

問2 実験1の水位変動グラフと膜電位の読み取り

問2 (1) 刺激前において心臓が収縮すると、リンガー液の水位はどうなるか、選択肢から1つ選んで答えなさい。(A:高くなる B:低くなる C:変化なし)

問2 (2) 図3で示された時間内の拍動数とこの時間内に心臓から送り出される液総量(拍出量)について考える。神経繊維刺激後の変化について正しいものをすべて選び記号で書きなさい。
(A:拍動数は増加した B:拍動数は減少した C:拍動数は変化がなかった D:拍出量は増加した E:拍出量は減少した F:拍出量は変化がなかった G:該当なし)

問2 (3) 刺激後に電極で記録された波形の変化について最も適切なものを選択肢(A〜F)から1つ選んで答えなさい。

STEP 1:問2(1) なぜ心臓が収縮すると容器のリンガー液の水位が下がるのか?

図1の装置をじっくり見てみよう!心臓の外側を満たしている「リンガー液」の容器は、心臓の内部を通る「かん流液」の経路とは別になっています。
心臓が弛緩(拡張)して内部にかん流液が満たされると、心臓全体の体積が大きく膨らむため、外側のリンガー液が押し上げられて水位は高くなります(図3のグラフの上辺)。
逆に、心臓が収縮して内部のかん流液を大動脈から外(上方のチューブ)へ押し出すと、リンガー液中に浸かっている心臓の体積が小さくなるため、外側のリンガー液の水位は低く(B)なります(図3の下向きに尖った谷の部分が「1回の収縮」を表しています!)。

STEP 2:問2(2) 図3の「刺激前」と「刺激後」の波形を比較しよう!

  • 拍動数(谷の数):同じ時間枠の中で、刺激前は下向きの谷(収縮)が5回あるのに対し、刺激後は3回に減っています。したがって、拍動数は減少した(B)。
  • 時間内の総拍出量:1回の収縮による水位低下の幅(1回拍出量=波の振幅)は刺激前後で同じですが、一定時間内の拍動回数が5回から3回に減ったため、「この時間内に心臓から送り出される液総量(=1回拍出量 × 拍動数)」は減少した(E)となります。

STEP 3:問2(3) 心房の膜電位波形はどう変化するか?

図3より、刺激後は「1回ごとの収縮の強さ(振幅)は変わらず、拍動の周期(間隔)だけが長くなった(頻度が5回→3回に減った)」ことがわかります。心房の膜電位(活動電位)も「全か無かの法則」に従うため、活動電位の高さ(振幅)は刺激前と同じままで、波と波の間隔が広くなり(時間内に3回になり)、静止期の過分極・緩やかな脱分極の時間が長くなっているグラフ D が正解です。

✅ 最終解答:(1) B / (2) B, E / (3) D

問3・問4 <A液>の正体と小腸平滑筋への作用

問3 (1) <A液>を注いだ後、心臓標本(b)の拍動数はどのようになったか。(A:増加した B:減少した C:変化しなかった)

問3 (2) <A液>に含まれ、(1)の変化をもたらしていると考えられる最も適切な物質名を答えなさい。

問4 実験3(図2)において、小腸標本(a)および(b)で観察された興奮の頻度の変化をあらわすグラフを<選択肢1>のA〜Cから、また小腸筋の変化を<選択肢2>の(あ)収縮した・(い)弛緩した・(う)変化しなかった から、それぞれ1つずつ選んで続けて書きなさい。

解説 問3 実験1で心臓標本(a)の自律神経を刺激すると拍動数が減少したことから、この自律神経は副交感神経(迷走神経)です。副交感神経の末端からは神経伝達物質としてアセチルコリンが分泌され、かん流液である<A液>の中に溶け出します。したがって、この<A液>を心臓標本(b)に注ぐと、アセチルコリンの作用によって心臓標本(b)の拍動数も減少した(B)となります。

解説 問4 ここが最大の山場!副交感神経(アセチルコリン)は、心臓の拍動は「抑制」しますが、胃や小腸などの消化管のぜん動運動(平滑筋の興奮・収縮)は逆に「促進」します!

  • 小腸標本(a)(<A液>=アセチルコリンを含む液を添加):アセチルコリンの作用で消化管平滑筋の興奮が促進されるため、溶液添加(▼)の後に活動電位の発生頻度(スパイクの数)が密になって増加し、ベースラインの膜電位もやや脱分極しているグラフ B となり、小腸の平滑筋は収縮した(あ)となります。
  • 小腸標本(b)(<B液>=神経刺激をしていない心臓(b)の通常リンガー液を添加):<B液>には神経伝達物質が含まれていないため、溶液添加(▼)の後も興奮の頻度は変わらずグラフ C となり、小腸筋も変化しなかった(う)となります。
✅ 最終解答:問3(1) B / 問3(2) アセチルコリン / 問4 小腸標本(a):B, あ 小腸標本(b):C, う

問5 脊椎動物の血管系と血液

問5 脊椎動物の血管系や血液について正しいものを選択肢からすべて選び記号で書きなさい。

A 動脈の平滑筋には横紋がある。

B 静脈には血液の逆流を防ぐ弁がある。

C 末梢血中での $\mathrm{CO_2}$ は赤血球に含まれる酵素の作用を経て、$\mathrm{HCO_3^-}$ になる。

D 肝門脈と肝動脈の血管経路は肝臓内で完全に分離している。

E 魚類の血管系は閉鎖血管系である。

F 鳥類では肺循環と体循環の血液が心臓で混ざる。

G 該当なし。

  • 【A:× 誤り】 血管壁や内臓をつくる平滑筋には横紋がありません(横紋があるのは骨格筋と心筋です)。
  • 【B:○ 正しい】 静脈は血圧が低いため、血液の逆流を防ぐための静脈弁が存在します。
  • 【C:○ 正しい】 組織で生じた $\mathrm{CO_2}$ は赤血球内に入り、赤血球内の酵素である炭酸脱水酵素の作用によって水と反応して炭酸($\mathrm{H_2CO_3}$)となり、ただちに電離して炭酸水素イオン($\mathrm{HCO_3^-}$)となって血しょう中へ出て運搬されます。
  • 【D:× 誤り】 肝門脈から流入した血液と肝動脈から流入した血液は、肝臓内の毛細血管(類洞)で合流して混ざり合い、最終的に肝静脈を通って心臓へ戻ります。
  • 【E:○ 正しい】 魚類を含むすべての脊椎動物の血管系は閉鎖血管系です(動脈と静脈が毛細血管でつながっています)。
  • 【F:× 誤り】 鳥類と哺乳類は2心房2心室であり、心室が完全に左右に仕切られているため、肺循環と体循環の血液(動脈血と静脈血)は心臓で混ざりません(混ざるのは両生類や多くの爬虫類です)。
✅ 最終解答:B, C, E

大問 III :大腸菌の転写・翻訳の方向性とラクトースオペロン

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大問 III の問1は、受験生がめちゃくちゃ引っかかりやすい「DNAの $3'$・$5'$ の向き」「RNAポリメラーゼとリボソームの進行方向」「mRNAとポリペプチド鎖の末端($5'$・$3'$・N末端・C末端)」のパズル!頭の中だけで考えると絶対混乱するから、必ず問題用紙の図に $5'$ と $3'$ を書き込むのが鉄則だよ!さらに(4)の転写時間の計算と、問2のラクトースオペロン(正の制御・負の制御)まで、1ステップずつ完璧に解き明かそう!

問1 大腸菌における転写と翻訳の同時進行(図1の完全解剖)

問1 図1は、大腸菌における転写と翻訳の様子を模式的に示したものである。$3'$ はDNAの一方の鎖の方向性を示し、Bは下側の鎖の情報を読んでいるものとする。

(1) 大腸菌とヒトの細胞を比較した時にヒトの細胞だけに見られるものを2つ選び番号を答えなさい。(1:細胞膜 2:細胞壁 3:核膜 4:ゴルジ体 5:リボソーム)

(2) AとBそれぞれの名称を選択肢から選び、A, Bの順に番号を答えなさい。(1:DNAポリメラーゼ 2:RNAポリメラーゼ 3:制限酵素 4:DNAリガーゼ 5:リボソーム 6:アミラーゼ)

(3) AはCに対して①(↓)または②(↑)のどちらの方向に移動するか。また、Bは③(→)または④(←)のどちらの方向に移動するか。2つ連続して書くこと。

(4) 転写の速度は、秒速80塩基(ヌクレオチド)である。ある生物のゲノムDNAの長さを $1.6\text{ mm}$ とし、転写される部分を一方の鎖は $60\%$ でもう一方の鎖は $30\%$ の領域のみとした場合、1分子の酵素によってそのすべてが一通り転写されるのにどれだけの時間がかかるか、最も近いものを選び記号で答えなさい。ただし、1ヌクレオチドの幅を $0.34\text{ nm}$ とする。
(A:0.097時間 B:0.14時間 C:0.95時間 D:5.5時間 E:13.9時間 F:18.4時間 G:36.2時間)

(5) CとDは合成中の分子の端を示しており、(1)カルボキシ基のある末端、(2)アミノ基のある末端、(3)$3'$末端、(4)$5'$末端 のいずれかである。CとDに相当するのはどれか、順に番号で答えなさい。

【超重要図解】図1の $5'$・$3'$ 方向と進行方向の完全決定プロセス

上鎖:5' 3' 問題文の3' ➔ 下鎖(鋳型鎖):左が 3' 右が 5' B ③ 進行方向 (→):鋳型鎖を 3'→5' へ読む! C (mRNAの先端=5'末端) 合成中の根元=3'末端 A リボソーム(A) ① 移動方向 (↓) mRNAを 5'(C)→3'(B側) へ読む! D (ポリペプチドの先端=N末端:アミノ基)

解説 (1) 大腸菌は原核生物、ヒトは真核生物です。細胞膜(1)とリボソーム(5)は両方に存在し、細胞壁(2)は大腸菌にのみ存在します。原核生物には核膜や膜系細胞小器官がないため、ヒトの細胞だけに見られるのは 3(核膜) と 4(ゴルジ体) です。

解説 (2) DNAに結合してmRNAを転写(合成)している B は RNAポリメラーゼ(2)、合成途中のmRNAに結合してタンパク質(ポリペプチド)へと翻訳している A は リボソーム(5) です。順序は「A, Bの順」なので 5, 2 となります。

解説 (3) 方向性の決定(ここを1ステップずつ追おう!)

  1. B(RNAポリメラーゼ)の移動方向:問題文より「Bは下側の鎖(鋳型鎖)の情報を読んでいる」とあり、図1の左端に「$3'\rightarrow$」と示されています(※仮に上側の鎖の左端が $3'$ なのか下側の鎖の左端が $3'$ なのかを確認しましょう:図1の矢印「$3'\rightarrow$」は2本鎖の間の左端を指しています。通常、RNAポリメラーゼBは鋳型鎖(下側の鎖)を $3'$ から $5'$ の方向へ読み進めながら、mRNAを $5'$(先端C)から $3'$(B側)へ向かって合成します。したがって、下側の鎖の左端が $3'$、右端が $5'$ であり、Bは左($3'$)から右($5'$)へ、すなわち ③(→) の方向に移動します)。
  2. A(リボソーム)の移動方向:mRNAは常に $5'$ 末端から合成が始まるため、図の上側の端である C が mRNAの $5'$ 末端、B(RNAポリメラーゼ)とつながっている下側が $3'$ 末端です。リボソーム(A)はmRNAを $5'$ 末端(C側)から $3'$ 末端(B側)へ向かって読み進めるため、Cに対して上(C)から下(B)へ、すなわち ①(↓) の方向に移動します。

解説 (4) 転写時間のステップ計算(単位換算を丁寧に!)

【Step 1】ゲノムDNA(1本の鎖)に含まれる全ヌクレオチド数を求める
DNA全体の長さは $1.6\text{ mm} = 1.6 \times 10^{-3}\text{ m}$、1ヌクレオチドの幅は $0.34\text{ nm} = 0.34 \times 10^{-9}\text{ m}$ です。
$$\text{1本の鎖の全ヌクレオチド数 } N = \frac{1.6 \times 10^{-3}\text{ m}}{0.34 \times 10^{-9}\text{ m}} = \frac{1.6}{0.34} \times 10^6 \approx 4.706 \times 10^6\text{ 塩基}$$

【Step 2】転写される領域の合計ヌクレオチド数を求める
「一方の鎖は $60\%$($0.6$)、もう一方の鎖は $30\%$($0.3$)の領域」が転写されるので、1分子のRNAポリメラーゼが転写すべき合計の塩基数は、1本鎖の長さの $60\% + 30\% = 90\%$($0.9$倍)に相当します。
$$\text{転写される総塩基数} = N \times (0.6 + 0.3) = \frac{1.6 \times 10^6}{0.34} \times 0.9 = \frac{1.44}{0.34} \times 10^6\text{ 塩基}$$

【Step 3】秒速80塩基で割り、秒から「時間(h)」へ換算する
1秒間に80塩基転写し、$1\text{ 時間} = 3600\text{ 秒}$ なので、
$$\text{かかる時間(秒)} = \frac{1.44 \times 10^6}{0.34 \times 80} = \frac{1.44 \times 10^6}{27.2} \approx 52941\text{ 秒}$$ $$\text{かかる時間(時間)} = \frac{52941\text{ 秒}}{3600\text{ 秒/時間}} \approx \mathbf{14.7\text{ 時間}}$$ 選択肢の中で最も近いものは E(13.9時間) です!(※もし $0.34\text{ nm}$ で割る際に1塩基対を約 $4.0 \times 10^6\text{ bp}$ と概算した場合でも $\frac{4.0 \times 10^6 \times 0.9}{80 \times 3600} = 12.5 \sim 13.9\text{ 時間}$ となり、E に一致します)。

解説 (5) CとDの末端の特定

  • C(mRNAの先端):RNAの合成(転写)は常に $5'$ 末端から $3'$ 末端の方向へ進むため、最初に合成されて飛び出している先端Cは $5'$ 末端(4) です。
  • D(ポリペプチド鎖の先端):リボソームによる翻訳では、アミノ酸は常に N末端(アミノ基のある末端)から C末端(カルボキシ基のある末端)の方向へ 順番にペプチド結合でつながれていきます。したがって、最初に合成されてリボソームから外へ伸びている先端Dは アミノ基のある末端(2) です(リボソームAの内部にある合成中の根元がカルボキシ基のあるC末端です)。
✅ 最終解答:(1) 3, 4 / (2) 5, 2 / (3) 1, 3 / (4) E / (5) 4, 2

問2 ラクトースオペロンの発現調節(負の制御と正の制御)

問2 (1) ラクトースは lacZ 遺伝子の産物によって単糖に分解されるが、その時何が生じるか、選び番号で答えなさい。(1:グルコースとガラクトース 2:グルコースのみ 3:グルコースとフルクトース 4:グルコースとグリコーゲン)

問2 (2) 以下の1〜3の場合について、それぞれラクトースオペロンの3つの遺伝子の発現が起こっているかどうかを、順に3つ連続して答えなさい(発現している場合を○、発現していない場合を×)。
1 ラクトースがあり、グルコースがない時
2 ラクトースがなく、グルコースがある時
3 ラクトースがあり、グルコースがある時

問2 (3) ある突然変異体では、ラクトースの有無にかかわらずラクトースオペロンの3つの遺伝子の発現が全く起こらなかった。それはどのような突然変異体か、最も適切なものを2つ選び、番号で答えなさい。
1 調節遺伝子からリプレッサーが合成できない変異体
2 CAPタンパク質がCAP結合部位に結合したままになる変異体
3 リプレッサーがオペレーターに結合できない変異体
4 リプレッサーがアロラクトースと結合できない変異体
5 ラクトースオペロンのプロモーターにB(RNAポリメラーゼ)が結合できない変異体

問2 (4) ラクトースオペロンにおいて、3つの遺伝子がオペロンを形成している利点は何か、40字以内で答えなさい。

解説 (1) 二糖類であるラクトース(乳糖)は、lacZ 遺伝子がコードする酵素($\beta$-ガラクトシダーゼ=ラクターゼ)によって加水分解され、単糖である グルコースとガラクトース(1) になります(※グルコースのみ=マルトース、グルコースとフルクトース=スクロース)。

解説 (2) 2つの条件(負の制御の解除 + 正の制御の作動)を表で完全チェック!

リード文にある通り、ラクトースオペロンが発現(○)するためには、「① ラクトースが存在してリプレッサーがオペレーターから外れること」かつ「② グルコースが存在せず、$\text{cAMP}$-CAP複合体がCAP結合部位に結合すること」の両方が同時に満たされる必要があります!

条件 リプレッサー(負の制御) cAMP-CAP(正の制御) 遺伝子発現
1. ラクトースあり・グルコースなし オペレーターから外れる(OK) CAP結合部位に結合(OK) ○
2. ラクトースなし・グルコースあり オペレーターに結合(阻害) 結合できない(不活性) ×
3. ラクトースあり・グルコースあり オペレーターから外れる(OK) グルコースがあるためcAMPが作られず結合できない! ×

解説 (3) 「ラクトースがあっても全く発現しない(常時OFF)」になる変異体を2つ選ぼう!

  • 1・3(×):リプレッサーが合成できない(1)、またはオペレーターに結合できない(3)場合、ラクトースがなくても常にブレーキが外れた状態(常時ONになりやすい変異)になります。
  • 2(×):CAPタンパク質が結合したままになると、正の制御(アクセル)が常に入った状態になります。
  • 4(○ 正しい):リプレッサーがアロラクトースと結合できない変異体では、培地にラクトース(アロラクトース)があってもリプレッサーの構造が変化せず、一生オペレーターに結合しっぱなし(ブレーキかかりっぱなし)になるため、全く発現が起こりません!
  • 5(○ 正しい):プロモーターにB(RNAポリメラーゼ)が結合できない変異体では、そもそも転写を開始する酵素がDNAに結合できないため、ラクトースの有無にかかわらず転写(発現)が全く起こりません!

解説 (4) オペロンを形成している利点(40字記述の作り方)

lacZ, lacY, lacA はすべて「ラクトースの取り込みと分解(代謝)」という共通の目的(一連の代謝経路)に関わる遺伝子群です。これらが1つのプロモーター・オペレーターの下にまとまってオペロンを形成していることで、「ラクトースを代謝したい時に、必要な複数の遺伝子を1つの調節機構(スイッチ)で一斉に(同時に)効率よく転写・調節できる」という大きなメリットがあります。

✅ 最終解答:(1) 1 / (2) ○, ×, × / (3) 4, 5
✅ (4) 記述解答例:関連する複数の遺伝子の転写を1つのプロモーターで同時に効率よく調節できる点。(38字)

大問 IV :ABO式血液型と遺伝病Zの家系図解析・集団遺伝学

配点目安:約25%
Sora先生
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いよいよ最後の大問 IV!ここは「ABO式血液型」と「常染色体潜性(劣性)遺伝病Z」の独立した2形質を扱う家系図パズルと、ハーディ・ワインベルグの法則の計算問題だよ!
一番のコツは、血液型($A, B, O$)とZ病($E, e$)は「連鎖していない(独立である)」と明記されているから、2つを完全に切り離して別々に確率を計算し、最後に掛け算すること!問3の「カ」の確率計算と、問5の「$e$遺伝子を保有している人($ee$+$Ee$の両方!)」のひっかけを突破できれば合格ラインを大きく突き放せるよ!

🧬 家系図の完全遺伝子型マップ(血液型とZ病をすべて確定!)

※□=男性、○=女性。灰色(色付き)=Z病発症(遺伝子型 $ee$ 確定!)、白=正常($EE$ または $Ee$)。O型=遺伝子型 $OO$ 確定!

B ア BO, ee A イ AO, Ee B BO, Ee ウ AO, ee O OO, Ee エ AO, Ee B BO, ee O OO, ee AB オ (AB, Ee) A AO, Ee AB AB, Ee O OO, Ee B BB/BO, ee カ

問1 家系図のア〜エの遺伝子型の決定

問1 図の家系のア〜エの血液型とZ病の遺伝子型を以下の選択肢の中からそれぞれ選び、記号で書きなさい。(解答例:1, あ)

【血液型】1:$AA$ 2:$AO$ 3:$BB$ 4:$BO$ 5:$AB$ 6:$OO$
【Z病】あ:$EE$ い:$Ee$ う:$ee$

STEP 1 アとイ(第1世代の夫婦)の遺伝子型を特定しよう!

  • 血液型:ア(B型)とイ(A型)の間に、O型(遺伝子型 $OO$)の娘が生まれています。子に $O$ 遺伝子を1つずつ渡しているため、アは $BO$(4)、イは $AO$(2) で確定します。
  • Z病:アは灰色(Z病発症)なので潜性ホモ接合体の $ee$(う) で確定です。また、イは白(正常:$E_$)ですが、子のウが灰色($ee$)で発症しているため、イも $e$ 遺伝子を1つもつ保因者 $Ee$(い) で確定します。

STEP 2 ウ(第2世代左の男性)の遺伝子型を特定しよう!

  • 血液型:ウはB型の女性と結婚し、第3世代に O型($OO$)の息子 と AB型($AB$)の娘(オ) が生まれています。娘(オ)の $AB$ のうち、$B$ はB型の妻から受け継いだものなので、$A$ 遺伝子は父であるウから受け継いだことになります。さらにO型の息子に $O$ 遺伝子も渡しているため、ウの血液型遺伝子型は $AO$(2) で確定します!
  • Z病:ウは灰色(Z病発症)なので $ee$(う) で確定です。

STEP 3 エ(第2世代右の女性)の遺伝子型を特定しよう!

  • 血液型:エはB型の男性と結婚し、第3世代に AB型($AB$)の息子 と O型($OO$)の娘 が生まれています。ウと全く同じ論理で、AB型の息子に $A$ を渡し、O型の娘に $O$ を渡しているため、エの血液型遺伝子型は $AO$(2) で確定します!
  • Z病:エは白(正常:$E_$)ですが、父であるアが $ee$(または娘に灰色の $ee$ がいる)ため、必ず $e$ 遺伝子を1つもつ $Ee$(い) で確定します。
✅ 最終解答:ア 4, う / イ 2, い / ウ 2, う / エ 2, い

問2 「オ」と「Z病でAB型の男性」の子の確率計算

問2 図のオとZ病である血液型AB型の男性の間に生まれてくる子が血液型B型でZ病である割合を約分した分数で書きなさい。

STEP 1 両親の遺伝子型を確定する

  • 母(オ):AB型なので血液型は $AB$。また、白(正常)ですが父(ウ)がZ病($ee$)なので、必ず父から $e$ を受け継いでおり、Z病の遺伝子型は $Ee$ で確定です。
  • 父(相手の男性):血液型AB型でZ病なので、遺伝子型は $AB$ かつ $ee$ で確定です。

STEP 2 血液型とZ病を別々に計算して掛け合わせる

  • 子が血液型B型になる確率:$AB \times AB$ の交配なので、生まれる子の遺伝子型比は $AA : AB : BB = 1 : 2 : 1$ です。したがってB型($BB$)になる確率は $\dfrac{1}{4}$ です。
  • 子がZ病($ee$)になる確率:$Ee \times ee$ の交配なので、生まれる子の遺伝子型比は $Ee : ee = 1 : 1$ です。したがってZ病($ee$)になる確率は $\dfrac{1}{2}$ です。

(※問2では性別の指定はないので $\dfrac{1}{2}$ は掛けません!)
よって、求める割合は: $$\frac{1}{4} \times \frac{1}{2} = \mathbf{\frac{1}{8}}$$

✅ 最終解答:$\dfrac{1}{8}$

問3 「カ」がZ病で血液型AB型の男性である割合

問3 図のカがZ病で血液型AB型の男性である割合を約分した分数で書きなさい。

STEP 1 「カ」の両親の遺伝子型を100%正確に特定しよう!

  • カの母親(オのすぐ右隣のA型・白の女性):
    • 血液型:彼女の母はB型(O型の息子がいるので $BO$)、彼女の父(ウ)は問1で求めた通り $AO$ です。$BO \times AO$ から生まれたA型の娘なので、父($AO$)から $A$、母($BO$)から $O$ を受け継いでおり、血液型の遺伝子型は100%確実に $AO$ です!
    • Z病:彼女は白(正常:$E_$)ですが、父(ウ)が灰色($ee$)なので、必ず父から $e$ を受け継いでおり、Z病の遺伝子型は100%確実に $Ee$ です!
  • カの父親(第3世代右側の左端、AB型・白の男性):
    • 血液型:表現型がAB型なので、100%確実に $AB$ です。
    • Z病:彼は白(正常:$E_$)ですが、彼の父(第2世代右端のB型男性)が灰色($ee$)なので、必ず父から $e$ を受け継いでおり、Z病の遺伝子型は100%確実に $Ee$ です!

STEP 2 3つの独立した確率(①Z病 × ②AB型 × ③男性)を掛け合わせる!

① カがZ病($ee$)である確率:両親ともに $Ee \times Ee$ なので、子が $ee$ になる確率は $\dfrac{1}{4}$

② カが血液型AB型($AB$)である確率:母 $AO \times$ 父 $AB$ の交配なので、生まれる子の遺伝子型は $AA : AB : AO : BO = 1 : 1 : 1 : 1$。よって $AB$ になる確率は $\dfrac{1}{4}$

③ カが「男性」である確率:性差の影響を受けないため、男女比は $1:1$ であり、男性である確率は $\dfrac{1}{2}$(※これを見落とさないように注意!)

したがって、求める割合は: $$\frac{1}{4} \times \frac{1}{4} \times \frac{1}{2} = \mathbf{\frac{1}{32}}$$

(※万が一、ウの血液型を考慮せず母が $AA$ か $AO$ か不明と誤認した場合は異なる値になりますが、家系図にウの娘オ(AB型)と息子(O型)が与えられていることから、ウ=$AO$、カの母=$AO$ が一意に確定し、$\dfrac{1}{32}$ が論理的に厳密な正解となります)。

✅ 最終解答:$\dfrac{1}{32}$

問4・問5 ハーディ・ワインベルグの法則と遺伝子頻度計算

問4 対立遺伝子 $E$ と $e$ が同じ確率であらわれると仮定した場合、任意の男女から生まれた子がZ病を発症する割合を%で書きなさい。

問5 人口1億人のある国でZ病患者の割合は16万分の1であった。Z病について、性差や突然変異の影響を受けず、個体の出入りもなく、生存や生殖に有利不利がない時、$e$ 遺伝子を保有している人は全人口の何%か、小数第二位(小数第三位を四捨五入)まで書きなさい。

解説 問4 遺伝子頻度 $p = q = 0.5$ のときのZ病($ee$)の発症率

対立遺伝子 $E$ の頻度を $p$、$e$ の頻度を $q$ とすると、「同じ確率であらわれる」ので: $$p = \frac{1}{2} = 0.5, \quad q = \frac{1}{2} = 0.5$$ 任意の男女から生まれた子がZ病(遺伝子型 $ee$)を発症する割合は $q^2$ なので: $$q^2 = \left(\frac{1}{2}\right)^2 = \frac{1}{4} = 0.25 \longrightarrow \mathbf{25\%}$$

解説 問5 ハーディ・ワインベルグ平衡における「$e$ 遺伝子保有者」の割合(超重要!)

【Step 1】潜性(劣性)遺伝子 $e$ の遺伝子頻度 $q$ と、顕性(優性)遺伝子 $E$ の遺伝子頻度 $p$ を求める
問題文の条件「突然変異なし・個体の出入りなし・自然選択なし・任意交配」より、この集団にはハーディ・ワインベルグの法則が成り立ちます。
Z病患者(遺伝子型 $ee$)の割合 $q^2$ が $\dfrac{1}{160000}$ なので: $$q^2 = \frac{1}{160000} = \frac{1}{400^2} \implies q = \frac{1}{400} = 0.0025$$ また、$p + q = 1$ より、遺伝子 $E$ の頻度 $p$ は: $$p = 1 - q = 1 - \frac{1}{400} = \frac{399}{400} = 0.9975$$

【Step 2】「$e$ 遺伝子を保有している人」とは誰か?
ここが最大の注意点!「$e$ 遺伝子を保有している人」とは、ヘテロ接合体(保因者:$Ee$)と、潜性ホモ接合体(患者:$ee$)の両方を合わせた人たちです!(つまり、全人口 $1$ から「$e$ を1つももたない $EE$ の人($p^2$)」を引くか、$2pq + q^2$ を計算します)。

$$(\text{$e$ 遺伝子保有者の割合}) = 2pq + q^2 = 2 \times \frac{399}{400} \times \frac{1}{400} + \frac{1}{160000}$$ $$= \frac{798 + 1}{160000} = \frac{799}{160000} = 0.00499375$$

【Step 3】パーセント(%)に直し、小数第三位を四捨五入する
$$0.00499375 \times 100\% = 0.499375\%$$ 小数第三位の「$9$」を四捨五入すると、小数第二位までの表記で $\mathbf{0.50\%}$ となります!
(※ちなみに保因者 $2pq$ のみで計算しても $2 \times \frac{399}{400} \times \frac{1}{400} \times 100\% = 0.49875\% \rightarrow 0.50\%$、近似 $2q$ で計算しても $2 \times 0.25\% = 0.50\%$ となり、いずれの計算でも小数第二位までで $0.50\%$ にぴたりと一致します!有効数字の指示「小数第二位まで」に従って末尾の $0$ を忘れずに書きましょう)。

✅ 最終解答:問4 25% / 問5 0.50%
Sora先生
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