TMPS医学館 公式解説 令和4年度(2022年度)I期

昭和医科大学(昭和大学) 医学部 生物(2022年度)全問題・超図解解説

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理系担当 Sora先生
赤本キラー!途中式・図解100%網羅 Sora先生 ✕ ニックニ先生 徹底解説

「これより〜となる」の省略はゼロ!昭和医科大学(昭和大学)(2022年度)生物をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系担当Sora先生です。市販の過去問集(赤本など)で途中の式変形や思考プロセスが1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、昭和医科大学(昭和大学)(2022年度)の生物について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と解法プロセスをすべて公開しています!

Sora先生

「基礎の徹底+数式・実験データの論理的処理」で9割突破を狙おう!

こんにちは、TMPS医学館の理系担当Sora先生と指導統括のニックニ先生です!
2022年度の昭和医科大学(昭和大学)医学部・I期生物は、大問1「酵素反応とミカエリス・メンテン式の導出」、大問2「被子植物の配偶子形成と重複受精・種子構造」、大問3「DNAの半保存的複製・メセルソンとスタールの実験・テロメア」、大問4「光合成のしくみと研究史・カルビン・ベンソン回路・量的計算」の4題構成です。 大問1の微分方程式を用いた速度論や大問3・4の計算問題も、1ステップずつ丁寧に追えば驚くほどスッキリ解けますよ!

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最初に全問の答えを確認!

【大問 1】酵素の性質と反応速度論

  • 問1:(ア) 活性化エネルギー / (イ) 基質特異性 / (ウ) 酵素−基質複合体 / (エ) 競争的阻害
  • 問2:分子の熱運動が激しくなるから。(15字)
  • 問3:酵素の立体構造が変化するから。
  • 問4: アミラーゼ:曲線 イ、基質 デンプン(グリコーゲン)
    トリプシン:曲線 ウ、基質 タンパク質(ポリペプチド)
    ペプシン:曲線 ア、基質 タンパク質
  • 問5(1):$\text{A} = \dfrac{[\text{E}][\text{S}]}{[\text{ES}]}$、$\text{B} = [\text{E}] + [\text{ES}]$
  • 問5(2):$v = \dfrac{1}{2}V_{\max}$(または $\dfrac{V_{\max}}{2}$)
  • 問5(3):下部の「ミカエリス・メンテン曲線」図解を参照

【大問 2】被子植物の生殖と種子形成

  • 問1:(ア) 極核 / (イ) 胚乳 / (ウ) 重複受精 / (エ) 胚柄 / (オ) 球状胚(胚体)
  • 問2:精細胞、卵細胞
  • 問3:ウ、エ
  • 問4: カキと同様の構造をもつ種子の総称:有胚乳種子
    ダイズと同様の構造をもつ種子の総称:無胚乳種子
    Aの部位の名称:胚乳 / Bの部位の名称:子葉

【大問 3】DNAの複製機構とテロメア

  • 問1:(ア) DNAヘリカーゼ / (イ) 水素 / (ウ) プライマー / (エ) DNAポリメラーゼ / (オ) $5'$の炭素($5'$炭素に結合したリン酸基) / (カ) ラギング鎖 / (キ) DNAリガーゼ
  • 問2:(A) リーディング鎖 / (B) 岡崎フラグメント
  • 問3:下部の「複製フォーク作図」を参照(上側:右から左へ連続合成、下側:左から右へ不連続合成)
  • 問4:半保存的複製
  • 問5(1):$({}^{15}\text{N}+{}^{15}\text{N}) : ({}^{15}\text{N}+{}^{14}\text{N}) : ({}^{14}\text{N}+{}^{14}\text{N}) = \mathbf{0 : 1 : 1}$
  • 問5(2):$({}^{15}\text{N}+{}^{15}\text{N}) : ({}^{15}\text{N}+{}^{14}\text{N}) : ({}^{14}\text{N}+{}^{14}\text{N}) = \mathbf{0 : 1 : (2^{n-1}-1)}$
  • 問5(3):11回
  • 問6:$({}^{15}\text{N}+{}^{15}\text{N}) : ({}^{15}\text{N}+{}^{14}\text{N}) : ({}^{14}\text{N}+{}^{14}\text{N}) = \mathbf{1 : 0 : 7}$
  • 問7(1):テロメア
  • 問7(2):ラギング鎖の末端ではプライマーが除去された後にDNAを合成できないから。
  • 問7(3):細胞の老化や寿命(分裂回数の限界)に関与。(20字以内:細胞の老化や寿命に関与している。 16字)

【大問 4】光合成の機構と研究史・量的計算

  • 問1:(ア) チラコイド / (イ) カルビン / (ウ) ベンソン / (エ) ヒル / (オ) ルーベン / (カ) 同位体 / (キ) リブロースビスリン酸(RuBP)
  • 問2:${}^{18}\text{O}_2$
  • 問3:ろ紙に試料をつけ、直交する2方向に異なる展開溶媒で展開し物質を分離する方法。
  • 問4: ・光を急に止めた場合:PGAは増加し、リブロースビスリン酸は減少する。
    ・$\text{CO}_2$を急に欠乏させた場合:PGAは減少し、リブロースビスリン酸は増加する。
  • 問5:$10\text{ mol}$

大問 1:酵素の性質・消化酵素の最適pH・反応速度論(ミカエリス・メンテン式)

配点目安:25%
Sora先生
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大問1の前半(問1〜問4)は絶対に落とせない酵素の基礎と字数制限記述!特に問3の「12字以内」はかなり短いので、無駄な言葉を削ぎ落として「立体構造が変化するから。」とピシッとまとめよう。
そして合否を分ける最大の山場が問5の「ミカエリス・メンテン式の導出」!一見すると微分記号 $\dfrac{d[\text{ES}]}{dt}$ が並んでいて物理や化学みたいに見えるけれど、実はただの「移項と代入のパズル」なんだ。1行ずつ式変形を追えば100%満点が取れるよ!

問題文(大問1・前半)

生体内では、さまざまな化学反応が進行している。これらの化学反応は酵素とよばれるタンパク質によって促進されている。化学反応が進行するために、物質はエネルギーの高い反応しやすい状態になる必要がある。この状態になるために必要なエネルギーを( ア )という。生体内では酵素の働きにより( ア )が小さくなり、化学反応が容易に進行する。
酵素が作用する物質を「基質」といい、反応によって作られた物質を「生成物」という。酵素は特定の「基質」にしか作用しない。この性質を( イ )という。(a)一般的に温度が高いほど反応速度は上昇する。しかし、ある一定温度以上になると反応速度は急に低下する。酵素が最もよくはたらく温度を「最適温度」という。また(b)酵素の活性はpHによっても影響を受ける。活性が最大になるpHを「最適pH」といい、(c)酵素により異なる。
(d)酵素の活性部位に基質が結合して( ウ )が形成されると、基質は酵素の影響を受けて生成物になる。基質以外の物質が酵素に結合し、酵素反応の速度を低下させることがある。このような物質は、阻害物質と呼ばれる。阻害物質には、基質の構造とよく似たものがある。このような阻害物質は、基質との間で酵素の活性部位を奪い合い、酵素と基質の結合を阻害する。この作用を( エ )という。

■ 問1:( ア )〜( エ )に適切な語句を入れなさい。

  • ( ア ):化学反応が進むために乗り越えなければならないエネルギーの山を活性化エネルギーといいます。酵素はこの山を低くする触媒として働きます。
  • ( イ ):酵素の活性部位の立体構造にぴったり合う特定の基質とだけ結合する性質を基質特異性といいます。
  • ( ウ ):酵素(Enzyme: $\text{E}$)の活性部位に基質(Substrate: $\text{S}$)が結合した複合体を酵素−基質複合体($\text{ES}$複合体)といいます。
  • ( エ ):基質と立体構造がよく似た阻害物質が、活性部位を奪い合って酵素反応を妨げるはたらきを競争的阻害といいます。
【解答】(ア)活性化エネルギー / (イ)基質特異性 / (ウ)酵素−基質複合体 / (エ)競争的阻害

■ 問2:下線部(a)「一般的に温度が高いほど反応速度は上昇する」の理由を20字以内で答えなさい。
■ 問3:下線部(b)「酵素の活性はpHによっても影響を受ける」の理由を12字以内で答えなさい。

【問2の思考ステップ】
一般の化学反応でも酵素反応(失活する前の温度域)でも、温度が上がると分子の熱運動が激しくなり、酵素と基質が衝突する頻度や活性化エネルギーを超える分子の割合が増えるため、反応速度が上昇します。
字数カウント:「分子の熱運動が激しくなるから。」(15字)または「基質と酵素の熱運動が激しくなるから。」(18字)で20字以内にぴったり収まります!

【問3の思考ステップ】
酵素の主成分はタンパク質です。周囲のpH($\text{H}^+$濃度)が変化すると、アミノ酸残基の電離状態(電荷)が変化してイオン結合や水素結合が切れ、酵素(活性部位)の立体構造が変化(変性)するため、活性が変化・低下します。
制限が「12字以内」と非常にタイトです!
・「立体構造が変化するから。」(12字)
・「酵素が変性するから。」(10字)
このように核心の12字以内でまとめましょう。

【解答】
問2:分子の熱運動が激しくなるから。(15字)
問3:立体構造が変化するから。(12字)[別解:酵素が変性するから。(10字)]

■ 問4:下線部(c)についてヒトの消化液に含まれるアミラーゼ、トリプシン、ペプシンのpHと反応速度に関するグラフを示す。曲線ア、イ、ウのいずれに相当するか、またそれぞれの酵素の基質は何か答えなさい。

pH 反応速度 → 0 2 4 6 8 10 ア (pH≈2: ペプシン) イ (pH≈7: アミラーゼ) ウ (pH≈8: トリプシン)
  • ペプシン:胃液(塩酸を含み強酸性)に含まれる消化酵素なので、最適pHは約2(曲線 ア)です。基質はタンパク質です。
  • アミラーゼ:だ液やすい液に含まれる消化酵素で、最適pHは約7の中性付近(曲線 イ)です。基質はデンプン(またはグリコーゲン)です。
  • トリプシン:すい液(炭酸水素ナトリウムを含み弱塩基性)に含まれる消化酵素なので、最適pHは約8の弱アルカリ性(曲線 ウ)です。基質はタンパク質(またはポリペプチド)です。
【解答】
・アミラーゼ:曲線 イ / 基質:デンプン(グリコーゲン)
・トリプシン:曲線 ウ / 基質:タンパク質(ポリペプチド)
・ペプシン:曲線 ア / 基質:タンパク質
問題文(大問1・問5 ミカエリス・メンテン式の導出)

下線部(d)について以下の文章を読み、小問(1)〜(3)に答えなさい。

基質濃度と生成物の生成速度の関係式を考える。①式に示す酵素反応を仮定する。$\text{E}$を酵素、$\text{S}$を基質、$\text{P}$をその生成物とし、$k_1, k_{-1}, k_2$を速度定数とする。

$$\text{E} + \text{S} \underset{k_{-1}}{\overset{k_1}{\rightleftarrows}} \text{ES} \overset{k_2}{\longrightarrow} \text{E} + \text{P} \quad \cdots \text{①}$$

物質の濃度を $[\quad]$ で囲んで表すと $[\text{ES}]$ の経時変化は②式で表される。

$$\frac{d[\text{ES}]}{dt} = k_1[\text{E}][\text{S}] - (k_{-1} + k_2)[\text{ES}] \quad \cdots \text{②}$$

反応が定常状態になっていると仮定すると $\dfrac{d[\text{ES}]}{dt} = 0 \ \cdots\text{③}$ が成り立つ。②式と③式から④式になる。

$$k_1[\text{E}][\text{S}] - (k_{-1} + k_2)[\text{ES}] = 0 \quad \cdots \text{④}$$

④式を変形し⑤式になる。$k_1, k_{-1}, k_2$ は定数であるので、新たな定数 $k_m$ を定義する(⑥式)。

$$\boxed{\quad \text{A} \quad} = \frac{k_{-1} + k_2}{k_1} \quad \cdots \text{⑤}, \qquad \boxed{\quad \text{A} \quad} = \frac{k_{-1} + k_2}{k_1} = k_m \quad \cdots \text{⑥}$$

$\text{P}$ の生成速度($v$)は $v = \dfrac{d[\text{P}]}{dt} = k_2[\text{ES}] \ \cdots\text{⑦}$ で表される。ここで全酵素量を $\text{E}_t$ とすると⑧式が得られる。

$$[\text{E}_t] = \boxed{\quad \text{B} \quad} \quad \cdots \text{⑧}$$

⑥式と⑧式から $[\text{ES}] = \dfrac{[\text{E}_t]}{\dfrac{k_m}{[\text{S}]} + 1} \ \cdots\text{⑨}$ となり、⑦式に代入して $k_2[\text{E}_t] = V_{\max}$ とすると⑪式になる。

$$v = \frac{V_{\max} \cdot [\text{S}]}{[\text{S}] + k_m} \quad \cdots \text{⑪}$$

■ 問5 (1)〜(3) の完全ステップ解説

● 小問(1):$\text{A}$、$\text{B}$ に入る式を答えなさい。

【ステップ1:$\text{A}$ の導出】
④式 $k_1[\text{E}][\text{S}] - (k_{-1} + k_2)[\text{ES}] = 0$ を移項すると、 $$k_1[\text{E}][\text{S}] = (k_{-1} + k_2)[\text{ES}]$$ 両辺を $k_1[\text{ES}]$ で割ると、 $$\frac{[\text{E}][\text{S}]}{[\text{ES}]} = \frac{k_{-1} + k_2}{k_1}$$ ⑤式の右辺が $\dfrac{k_{-1} + k_2}{k_1}$ なので、左辺の $\text{A}$ は $\dfrac{[\text{E}][\text{S}]}{[\text{ES}]}$ です!

【ステップ2:$\text{B}$ の導出】
反応液中の酵素は、「まだ基質と結合していない遊離の酵素 $\text{E}$」と「基質と結合している酵素−基質複合体 $\text{ES}$」の2つの状態で存在します。
したがって、全酵素濃度 $[\text{E}_t]$ は両者の和になるので、$\text{B}$ は $[\text{E}] + [\text{ES}]$ です!
(※確認:⑧より $[\text{E}] = [\text{E}_t] - [\text{ES}]$ を⑥式 $\dfrac{[\text{E}][\text{S}]}{[\text{ES}]} = k_m$ に代入すると、$\dfrac{([\text{E}_t] - [\text{ES}])[\text{S}]}{[\text{ES}]} = k_m \iff \dfrac{[\text{E}_t]}{[\text{ES}]} - 1 = \dfrac{k_m}{[\text{S}]} \iff [\text{ES}] = \dfrac{[\text{E}_t]}{\frac{k_m}{[\text{S}]} + 1}$ となり、問題文の⑨式と完全に一致します!)

● 小問(2):基質濃度が $k_m$ のときの $\text{P}$ の生成速度を答えなさい。

⑪式のミカエリス・メンテン式 $v = \dfrac{V_{\max} \cdot [\text{S}]}{[\text{S}] + k_m}$ の $[\text{S}]$ に $[\text{S}] = k_m$ を代入します。 $$v = \frac{V_{\max} \cdot k_m}{k_m + k_m} = \frac{V_{\max} \cdot k_m}{2k_m} = \frac{1}{2}V_{\max}$$ つまり、ミカエリス定数 $k_m$ とは「反応速度が最大速度 $V_{\max}$ の半分($\dfrac{1}{2}V_{\max}$)になるときの基質濃度」を表しています!

● 小問(3):縦軸に $\text{P}$ の生成速度($v$)を、横軸に基質濃度($[\text{S}]$)をとり、その関係を実線で描きなさい。また小問(2)で求めた値を「・」でプロットし、座標の値を明記しなさい。

【減点されない作図のチェックポイント】
1. 原点 $(0, 0)$ を明確にとり、$[\text{S}]$ が大きくなるにつれて $v$ が漸近線 $v = V_{\max}$(点線)に近づく直角双曲線(飽和曲線)を実線で描く。
2. 点 $(k_m, \dfrac{1}{2}V_{\max})$ に黒丸「・」を打ち、縦軸の $\dfrac{1}{2}V_{\max}$(または $0.5V_{\max}$)と横軸の $k_m$ まで点線の補助線を引く。

0 基質濃度 [S] Pの生成速度 (v) Vmax Vmax/2 km (km, Vmax/2)
【問5 最終解答】
(1) $\text{A} = \dfrac{[\text{E}][\text{S}]}{[\text{ES}]}$、$\text{B} = [\text{E}] + [\text{ES}]$
(2) $\dfrac{1}{2}V_{\max}$(または $\dfrac{V_{\max}}{2}$)
(3) 上記グラフの通り(漸近線 $V_{\max}$ と点 $(k_m, \dfrac{1}{2}V_{\max})$ を明記した飽和曲線)

大問 2:被子植物の配偶子形成・重複受精・種子の構造

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大問2は被子植物の生殖と発生!ここでの引っかけポイントは問2「配偶子を全て選ぶ」と問3「減数分裂を全て選ぶ」の2つだよ。
植物では「母細胞($2n$)から四分子・胚のう細胞($n$)ができる最初のステップだけが減数分裂」で、その後の花粉管細胞・雄原細胞・精細胞や、胚のう内の3回の核分裂はすべて「体細胞分裂($n \to n$)」なんだ。この原則を押さえておけば秒殺できるよ!

問題文(大問2)

多くの被子植物の花は、花柄、がく片、花弁、おしべ、めしべから構成される。めしべは柱頭、花柱、子房に分けられ、子房の中に胚珠がある。花柄の先端は花托あるいは花床と呼ばれる。
花粉母細胞は花が小さなつぼみのときに、おしべの葯の中で花粉四分子になる。花が開く頃になると花粉四分子のそれぞれは不均等な細胞分裂によって花粉管細胞とその中にある雄原細胞に分かれ、やがて成熟した花粉となる。めしべの柱頭に付着した花粉は発芽して胚珠の方向に花粉管を伸ばす。そして花粉管内で雄原細胞が分裂し2個の精細胞になる。
一方、胚のう母細胞は子房内にある胚珠で胚のう細胞になる。その後、胚のう細胞は3回の核分裂を行って8個の核を生じる。8個の核のうち3個は珠孔側で1個の卵細胞の核と2個の助細胞の核となる。また他の3個の核は珠孔の反対側に移動してそれぞれ反足細胞の核となる。残り2個の核は胚のうの中央に集まり( ア )と呼ばれる中央細胞の核となる。このようにして卵細胞を持つ胚のうが胚珠内に形成される。
珠孔に達した花粉管はふつう助細胞のうち1つを破壊して胚のう内へ侵入する。花粉管から放出された2個の精細胞のうち1個は卵細胞と合体して受精卵となる。残りの1個は中央細胞と合体して( イ )細胞を形成する。このような現象は( ウ )と呼ばれ、被子植物に特有な現象である。
受精卵は不等分裂によって大きさの異なる2つの細胞になる。大きな細胞は一方向の分裂を繰り返し( エ )と呼ばれる構造になる。一方、小さな細胞は盛んに分裂をくり返し( オ )が作られる。( オ )はやがて幼芽、子葉、胚軸、幼根から構成される胚を形成する。( エ )は胚とそれに隣接する組織をつなぎ胚に栄養を運ぶ通路となる。珠皮は種皮になり、種子が形成される。

■ 問1:( ア )〜( オ )に適切な語句を入れなさい。
■ 問2:問題文から配偶子を示す語を全て選び、記入しなさい。

  • ( ア ):中央細胞の中央に集まった2個の核($n$ と $n$)を極核といいます。
  • ( イ )・( ウ ):1個の精細胞($n$)が卵細胞($n$)と受精して受精卵($2n$)になり、もう1個の精細胞($n$)が2個の極核をもつ中央細胞($n+n$)と受精して胚乳細胞($3n$)となります。この被子植物特有の受精様式を重複受精といいます。
  • ( エ )・( オ ):受精卵が不等分裂してできる珠孔側の大きな細胞は一方向に分裂して胚柄(はいへい)となり、胚を胚のうの奥へ押し込むとともに栄養を運ぶ通路となります。一方、先端側の小さな細胞は盛んに分裂して球状胚(または胚体)となり、やがて子葉・幼芽・胚軸・幼根をもつ胚になります。
  • 【問2の注意点】「配偶子」とは、受精(合体)して接合子(受精卵)をつくる生殖細胞のことです。問題文中に登場する配偶子は、雄性配偶子である精細胞と、雌性配偶子である卵細胞の2つです!(※中央細胞は胚乳をつくる細胞であり、次世代の個体になる配偶子には含めません)。
【解答】
問1:(ア)極核 / (イ)胚乳 / (ウ)重複受精 / (エ)胚柄 / (オ)球状胚(または胚体)
問2:精細胞、卵細胞

■ 問3:以下の細胞分裂のうち減数分裂はどれか。ア〜カの中から正しいものを全て選択し、記号で答えなさい。

ア:雄原細胞($n$)から精細胞($n$)への細胞分裂 ➔ 体細胞分裂

イ:受精卵($2n$)になった後の最初の細胞分裂 ➔ 体細胞分裂(卵割・不等分裂)

ウ:花粉母細胞($2n$)から花粉四分子($n$)への細胞分裂 ➔ ★減数分裂!

エ:胚のう母細胞($2n$)から胚のう細胞($n$)への細胞分裂 ➔ ★減数分裂!

オ:花粉四分子($n$)から花粉管細胞($n$)と雄原細胞($n$)への細胞分裂 ➔ 体細胞分裂

カ:胚のう細胞($n$)から3回の核分裂を経て卵細胞、助細胞、反足細胞、中央細胞になるまで ➔ 体細胞分裂(核分裂)

【解答】ウ、エ

■ 問4:カキとダイズの種子の断面の模式図を図1に示す。カキの種子と同様の構造をもつ種子の総称、ダイズの種子と同様の構造をもつ種子の総称、A、Bの部位の名称を答えなさい。

カキの種子(有胚乳種子) A: 胚乳 (3n) ダイズの種子(無胚乳種子) B: 子葉 (2n)
  • カキの種子(有胚乳種子):カキ、イネ、トウモロコシ、オシロイバナ、アサガオなどは、成熟した種子の中に胚乳(A)が残っており、そこに発芽のための養分を蓄えています。これを有胚乳種子といいます。
  • ダイズの種子(無胚乳種子):ダイズ、エンドウ、インゲンマメ、クリ、ナズナ、アブラナなどは、種子がつくられる途中で胚乳が吸収されて退化し、代わりに胚の一部である子葉(B)が大きく発達して養分を蓄えています。これを無胚乳種子といいます。
【解答】
・カキの種子と同様の構造をもつ種子の総称:有胚乳種子
・ダイズの種子と同様の構造をもつ種子の総称:無胚乳種子
・A:胚乳 / B:子葉

大問 3:DNAの複製機構・メセルソンとスタールの実験・テロメア

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大問3は受験生がうっかりミスしやすいポイントが3つあるよ!
1つ目は問3の「複製フォークの作図」。DNAポリメラーゼは必ず「鋳型鎖の $3' \to 5'$ を読み取って、新生鎖を $5' \to 3'$ の向きに合成する」という鉄則から矢印の向きを決めよう!
2つ目は問5(3)の「全体の $0.1\%$ 以下になる分裂回数」。割合の式 $\dfrac{2}{2^n} \le \dfrac{1}{1000}$ を立てて指数計算を正確にやること!
3つ目は問6の「もし保存的複製だったら?」という思考実験。元の重いDNA 1本がそのまま残り、残り7本がすべて軽いDNAになることに気づけば一発だよ!

問題文(大問3・前半)

生物の遺伝情報は主にDNAが担っている。DNAが複製される際、( ア )と呼ばれる酵素によって特定部分の塩基間の( イ )結合が切断されて、部分的に1本ずつのヌクレオチド鎖になる。このような複製の開裂起点となる領域は複製起点(複製開始点)と呼ばれる。DNAの複製では鋳型鎖の複製開始部に相補的な配列を持つ短いRNAが合成される。このような複製の開始点となるヌクレオチド鎖は( ウ )と呼ばれる。この( ウ )に( エ )が作用し、次々とヌクレオチドが結合していく。( エ )はDNAのヌクレオチドの $3'$ の炭素と次のヌクレオチドの( オ )とを結合させる。
DNAの複製では(A)開裂が進む方向と同じ向きに連続的に合成されるヌクレオチド鎖と開裂が進む方向とは逆向きに不連続に合成されるヌクレオチド鎖とがある。不連続に合成されるものは( カ )と呼ばれ、(B)複数の短いヌクレオチド鎖が、( キ )によって次々に連結される。

■ 問1:( ア )〜( キ )に適切な語句を入れなさい。
■ 問2:下線部(A)、(B)で示されるヌクレオチド鎖の名称をそれぞれ答えなさい。

  • ( ア )・( イ ):複製起点において、2本のDNA鎖の相補的な塩基間の水素結合を切断して二重らせんをほどく酵素はDNAヘリカーゼです。
  • ( ウ )・( エ )・( オ ):DNAポリメラーゼはゼロから鎖を合成できないため、まずプライマーゼによって短いRNA鎖であるプライマー(ウ)が合成されます。そこにDNAポリメラーゼ(エ)が結合し、先行するヌクレオチドの糖(デオキシリボース)の $3'$ の炭素(の $-\text{OH}$ 基)と、新しく付加するヌクレオチドの$5'$ の炭素(に結合したリン酸基)(オ)を次々と結合させて $5' \to 3'$ 方向へ伸長します。
  • ( カ )・( キ )・問2(A)(B):開裂が進む方向と同じ向きに連続合成される鎖をリーディング鎖(問2 A)、逆向きに不連続合成される鎖をラギング鎖(カ)といいます。ラギング鎖でつくられる短いDNA断片を岡崎フラグメント(問2 B)といい、プライマーがDNAに置き換えられた後、DNAリガーゼ(キ)によって連結されます。
【解答】
問1:(ア)DNAヘリカーゼ / (イ)水素 / (ウ)プライマー / (エ)DNAポリメラーゼ / (オ)$5'$の炭素(または $5'$炭素に結合したリン酸基) / (カ)ラギング鎖 / (キ)DNAリガーゼ
問2:(A) リーディング鎖 / (B) 岡崎フラグメント

■ 問3:図1に示す四角で囲んだaの部分において新しく合成されているヌクレオチド鎖はどのようになっているか。リーディング鎖とラギング鎖の区別と合成方向がわかるように図中に示しなさい。
■ 問4:1958年にメセルソンとスタールによって証明されたDNAの複製様式の名称を答えなさい。

【問3の思考プロセス(3ステップで絶対間違えない!)】
1. 鋳型鎖の極性($3'$ と $5'$)を確認する:図1の左端を見ると、上側の鋳型鎖が $3'$、下側の鋳型鎖が $5'$ です(右端は上側が $5'$、下側が $3'$)。
2. 開裂(複製フォーク)が進む向きを確認する:中央の「複製開始点」から左側の四角枠 $\text{a}$ に向かって二本鎖がほどけていくので、枠 $\text{a}$ における開裂の進行方向は「右から左($\longleftarrow$)」です。
3. 新生鎖の合成方向($5' \to 3'$)を決める:
・上側の鋳型鎖(左が $3'$、右が $5'$):鋳型を $3' \leftarrow 5'$(右から左)へ読み取るので、新生鎖は「右から左($\longleftarrow$)」へ $5' \to 3'$ の向きに連続合成(リーディング鎖:1本の長い矢印)されます!
・下側の鋳型鎖(左が $5'$、右が $3'$):鋳型を $3' \to 5'$(左から右)へ読み取るので、新生鎖は「左から右($\longrightarrow$)」へ不連続合成(ラギング鎖:複数の短い矢印)されます!

複製開始点 ↓ ↑ 複製開始点 枠 a(左へ開裂進行 ⇐) 3' 5' 5' 3' リーディング鎖 (連続) ラギング鎖 (不連続)
【解答】
問3:上記図解の通り(枠aの上側の鎖に沿って複製開始点から左向きに1本の連続した矢印[リーディング鎖]を描き、下側の鎖に沿って左から複製開始点へ向かう右向きの複数の短い矢印[ラギング鎖]を描く)
問4:半保存的複製

■ 問5・問6:メセルソンとスタールの密度勾配遠心法に関する計算問題

問題条件の整理

・重いDNA:$({}^{15}\text{N} + {}^{15}\text{N})$、中間の重さのDNA:$({}^{15}\text{N} + {}^{14}\text{N})$、軽いDNA:$({}^{14}\text{N} + {}^{14}\text{N})$
・最初に ${}^{15}\text{N}$ に全て置き換わった大腸菌1個(二本鎖DNA 1分子:$({}^{15}\text{N} + {}^{15}\text{N})$)を、${}^{14}\text{N}$ を含む培地で $1, 2, 3, \dots, n$ 回分裂させたときのDNAの量比を考える。

分裂前 (0回) (15N+15N)×1 → 1回目 (計2本) (15N+14N)×2 → 2回目 (計4本 = 0 : 2 : 2 = 0 : 1 : 1) 中間×2 軽い×2 ※赤線:元の15N鎖(常に2本だけ残る!) / 青線:新しく合成された14N鎖

● 問5(1):2回目の分裂を終えた大腸菌のDNAの量比を求めなさい。
1分子のDNAが2回複製されると、全体のDNA分子数は $2^2 = 4$ 本になります。
最初にあった2本の ${}^{15}\text{N}$ 鎖は別々のDNA分子に1本ずつ受け継がれるため、中間の重さのDNA $({}^{15}\text{N}+{}^{14}\text{N})$ は常に2本です。残りの $4 - 2 = 2$ 本はすべて軽いDNA $({}^{14}\text{N}+{}^{14}\text{N})$ であり、重いDNA $({}^{15}\text{N}+{}^{15}\text{N})$ は $0$ 本です。
よって量比は、 $$({}^{15}\text{N}+{}^{15}\text{N}) : ({}^{15}\text{N}+{}^{14}\text{N}) : ({}^{14}\text{N}+{}^{14}\text{N}) = 0 : 2 : 2 = \mathbf{0 : 1 : 1}$$

● 問5(2):同様に $n$ 回目の分裂を終えた大腸菌のDNAの量比を求めなさい。
$n$ 回分裂すると、DNA分子の総数は $2^n$ 本になります。
このうち:
・重いDNA $({}^{15}\text{N}+{}^{15}\text{N})$:$0$ 本
・中間のDNA $({}^{15}\text{N}+{}^{14}\text{N})$:$2$ 本(元の ${}^{15}\text{N}$ 鎖2本がそれぞれ鋳型になるため、何世代経っても常に2本!)
・軽いDNA $({}^{14}\text{N}+{}^{14}\text{N})$:全体 $2^n$ 本から中間の $2$ 本を引いた $(2^n - 2)$ 本
したがって、比を最も簡単な整数の比(2で割る)で表すと、 $$0 : 2 : (2^n - 2) = \mathbf{0 : 1 : (2^{n-1} - 1)}$$ (※ $0 : 2 : (2^n - 2)$ と答えても正解ですが、最も簡単な比 $0 : 1 : (2^{n-1}-1)$ を併記すると完璧です!)

● 問5(3):この系において ${}^{14}\text{N}$ を含む培地で培養した大腸菌が何回分裂すると $({}^{15}\text{N}+{}^{14}\text{N})$ が全体の $0.1\%$ 以下となるか答えなさい。
$n$ 回分裂したとき、全体 $2^n$ 本のうち $({}^{15}\text{N}+{}^{14}\text{N})$ は $2$ 本なので、全体に占める割合は $\dfrac{2}{2^n} = \dfrac{1}{2^{n-1}}$ です。
これが $0.1\% = \dfrac{0.1}{100} = \dfrac{1}{1000}$ 以下になる条件は、 $$\frac{1}{2^{n-1}} \le \frac{1}{1000} \iff 2^{n-1} \ge 1000$$ ここで2の累乗を計算すると、$2^9 = 512$、$2^{10} = 1024 \ge 1000$ です!
したがって、 $$n - 1 \ge 10 \iff n \ge 11$$ よって 11回 分裂すると全体の $0.1\%$ 以下になります。

● 問6:仮に「鋳型となる元のDNAがそのまま残り、新たな2本鎖DNAができる」というDNA複製様式(保存的複製)があった場合、${}^{14}\text{N}$ を含む培地で3回目の分裂を終えた大腸菌のDNAの量比はどうなるか答えなさい。
3回目の分裂を終えると、DNA分子の総数は $2^3 = 8$ 本になります。
「元の2本鎖DNAがそのまま残る(保存的複製)」場合、最初にあった重いDNA $({}^{15}\text{N}+{}^{15}\text{N})$ 1本がそのままの形で残り、ハイブリッドである中間のDNA $({}^{15}\text{N}+{}^{14}\text{N})$ は$0$ 本、新しく作られた残り $8 - 1 = \mathbf{7}$ 本はすべて軽いDNA $({}^{14}\text{N}+{}^{14}\text{N})$ になります!
よって量比は、 $$({}^{15}\text{N}+{}^{15}\text{N}) : ({}^{15}\text{N}+{}^{14}\text{N}) : ({}^{14}\text{N}+{}^{14}\text{N}) = \mathbf{1 : 0 : 7}$$

【問5・問6 最終解答】
問5(1) $({}^{15}\text{N}+{}^{15}\text{N}) : ({}^{15}\text{N}+{}^{14}\text{N}) : ({}^{14}\text{N}+{}^{14}\text{N}) = \mathbf{0 : 1 : 1}$
問5(2) $({}^{15}\text{N}+{}^{15}\text{N}) : ({}^{15}\text{N}+{}^{14}\text{N}) : ({}^{14}\text{N}+{}^{14}\text{N}) = \mathbf{0 : 1 : (2^{n-1} - 1)}$ [または $0 : 2 : (2^n - 2)$]
問5(3) 11回
問6 $({}^{15}\text{N}+{}^{15}\text{N}) : ({}^{15}\text{N}+{}^{14}\text{N}) : ({}^{14}\text{N}+{}^{14}\text{N}) = \mathbf{1 : 0 : 7}$

■ 問7:真核細胞のDNAの末端にある特殊な塩基配列について、(1)〜(3)に答えなさい。

  • (1) この特殊な塩基配列は何と呼ばれているか:真核生物の線状染色体(DNA)の末端にある繰り返し塩基配列をテロメアといいます。
  • (2) DNAの複製を繰り返すたびに短くなる理由を簡単に答えなさい:DNAポリメラーゼは $5' \to 3'$ 方向にしかDNAを合成できないため、ラギング鎖の末端($5'$末端側)では、最も端のRNAプライマーが除去された後にその空白部分を埋めるDNAを合成できないからです。
  • (3) 下線部(D)「長さが一定以下になると細胞分裂が停止する」現象は細胞にどのように関わっていると考えられるか(20字以内):テロメアの短縮は「分裂回数のカウント(分裂時計)」として働き、細胞の老化や寿命(分裂限界)に関わっています。
    字数カウント:「細胞の老化や寿命に関与している。」(16字)または「細胞の老化や分裂回数の限界に関わる。」(18字)で20字以内にすっきり収まります!
【解答】
(1) テロメア
(2) ラギング鎖の末端ではプライマーが除去された後にDNAを合成できないから。
(3) 細胞の老化や寿命に関与している。(16字)

大問 4:光合成のしくみと研究史・カルビン・ベンソン回路・量的計算

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Sora先生
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いよいよ最後の大問4!ここは光合成の研究史(ヒル・ルーベン・カルビン・ベンソン)と、定番にして最重要の問4「光を止めたとき/$\text{CO}_2$を断ったときのPGAとRuBPの増減」が出題されているよ。
暗記に頼らず、「回路のどこがストップして、どこが流れ続けるか(ダムのせき止めモデル)」を図解でイメージすれば、本番で絶対に逆転ミスしないよ!最後の問5のモル計算も超気持ちよく解けるから一緒に完走しよう!

問題文(大問4)

生物は呼吸によって有機物を分解してエネルギーを得ているが、この有機物の大部分は植物が光合成によって無機物から作り出したものである。$\text{C}_3$植物における光合成の過程は葉緑体の( ア )で起こる反応とストロマで起こる反応の大きく2つに分けられる。葉緑体のストロマの部分では発見者の名前をとって( イ )・( ウ )回路と呼ばれる回路状の反応が起こる。
$\text{C}_3$植物の光合成の仕組みを解明するにあたり以下に示す研究が行われた。イギリスの( エ )はハコベをすり潰して密閉容器に入れ、シュウ酸鉄を加えて光を照射すると、二酸化炭素がなくても酸素が発生することを観察した。この反応は( エ )反応と名付けられ、発生する酸素は水に由来すると考えられた。酸素が水の分解に由来することは、アメリカの( オ )が酸素の( カ )である ${}^{18}\text{O}$ を含む水と ${}^{18}\text{O}$ を含む二酸化炭素を別々にクロレラに与え、光を照射した時に発生する酸素を調べて、酸素が水の分解に由来することを示した。しかしながら、現在では( オ )の実験については正確性と再現性に疑問が持たれている。アメリカの( イ )と( ウ )らは、炭素の放射性( カ )である ${}^{14}\text{C}$ を含む二酸化炭素をクロレラに与え、5秒間光合成を行わせた後に(A)二次元ペーパークロマトグラフィーによって放射線を出す物質を調べると、${}^{14}\text{C}$ はホスホグリセリン酸(PGA)に取り込まれていることを明らかにした。照射時間を変えて同様な実験を繰り返すことにより、時間とともに ${}^{14}\text{C}$ がどのような物質に移るかを追跡した結果、取り込まれた ${}^{14}\text{C}$ はいくつかの物質を経由して再びPGAに取り込まれることがわかった。また( イ )らは最初に二酸化炭素と結合する化合物は( キ )であることも示した。

■ 問1:( ア )〜( キ )に適切な語句を入れなさい。
■ 問2:( オ )の実験において $\text{H}_2{}^{18}\text{O}$ と $\text{C}{}^{16}\text{O}_2$ を与えたクロレラを光照射した場合、発生する酸素は ${}^{18}\text{O}_2$ と ${}^{16}\text{O}_2$ のどちらか答えなさい。
■ 問3:下線部(A)の二次元ペーパークロマトグラフィーとはどのような方法であるか。簡単に説明しなさい。

  • 問1:光エネルギーを吸収して水($\text{H}_2\text{O}$)を分解し、$\text{ATP}$ と $\text{NADPH}$ を合成する反応は葉緑体のチラコイド(ア)で起こります。ストロマで行われる炭酸固定の回路はカルビン(イ)・ベンソン(ウ)回路です。葉緑体(ハコベの破砕液)に酸化剤(シュウ酸鉄(III)など)を加えて光照射すると $\text{O}_2$ が発生する反応を発見したのはイギリスのヒル(エ)です。また、同位体を用いて発生する酸素が水由来であることを示したのはアメリカのルーベン(オ、カメンら)で、質量数の異なる原子を同位体(カ:アイソトープ)といいます。カルビン・ベンソン回路で最初に $\text{CO}_2$($\text{C}_1$)を受け取る $\text{C}_5$ 化合物はリブロースビスリン酸(RuBP)(キ)です。
  • 問2:光合成で発生する酸素($\text{O}_2$)はすべて水の分解(チラコイド膜での反応:$2\text{H}_2{}^{18}\text{O} \to {}^{18}\text{O}_2 + 4\text{H}^+ + 4\text{e}^-$)に由来します。したがって、$\text{H}_2{}^{18}\text{O}$ と $\text{C}{}^{16}\text{O}_2$ を与えた場合に発生する酸素はすべて ${}^{18}\text{O}_2$ です。
  • 問3(二次元ペーパークロマトグラフィー):1方向だけの展開では分離しきれない多種多様な物質を精密に分離するため、ろ紙の端に試料をつけ、1回目の展開を行った後、ろ紙を $90^\circ$ 回転させて直交する方向に別の展開溶媒を用いて2回目の展開を行い、物質の移動度の違いによって平面上に分離する方法です。
【解答】
問1:(ア)チラコイド / (イ)カルビン / (ウ)ベンソン / (エ)ヒル / (オ)ルーベン / (カ)同位体 / (キ)リブロースビスリン酸(RuBP)
問2:${}^{18}\text{O}_2$
問3:ろ紙に試料をつけ、直交する2方向に異なる展開溶媒で展開し物質を分離する方法。

■ 問4:光合成を行わせておき、急に光の照射を止めた場合や二酸化炭素を急に欠乏させた場合に、PGAおよび( キ )の量はどうなるか簡単に説明しなさい。なお、( キ )は問1の語句を用いて答えなさい。

リブロースビスリン酸 (RuBP : C5) ホスホグリセリン酸 (PGA : C3×2) GAP (C3) → 糖 ① CO2固定 (ルビスコ) ※CO2欠乏でここが停止! ② 還元 (ATP・NADPH消費) ※光停止でここが停止! ③ 再生 (ATP消費)

① 急に光の照射を止めた場合:
チラコイドでの光化学反応が止まり、$\text{ATP}$ と $\text{NADPH}$ の供給がストップします。すると、$\text{PGA}$ を還元して $\text{GAP}$ に変える反応(図の②)および $\text{RuBP}$ を再生する反応(図の③)が止まります。一方、$\text{CO}_2$ は十分にあるため $\text{RuBP} + \text{CO}_2 \to 2\text{PGA}$ の反応(図の①)はしばらく進みます。
その結果、$\text{PGA}$ は消費されずに蓄積して増加し、リブロースビスリン酸($\text{RuBP}$)は消費される一方で再生されないため減少します。

② 二酸化炭素($\text{CO}_2$)を急に欠乏させた場合:
リブロースビスリン酸($\text{RuBP}$)と $\text{CO}_2$ から $\text{PGA}$ が合成される反応(図の①)がストップします。一方、光は当たっているので $\text{ATP}$ と $\text{NADPH}$ は供給され続け、$\text{PGA}$ から $\text{GAP}$ を経てリブロースビスリン酸($\text{RuBP}$)が再生される反応(図の②・③)はしばらく進みます。
その結果、$\text{PGA}$ は作られずに消費されて減少し、リブロースビスリン酸($\text{RuBP}$)は使われずに再生されるため増加します。

【解答】
・急に光の照射を止めた場合:PGAは増加し、リブロースビスリン酸は減少する。
・二酸化炭素を急に欠乏させた場合:PGAは減少し、リブロースビスリン酸は増加する。

■ 問5:$\text{C}_3$植物において光合成の結果、グルコースが $300\text{ g}$ できた場合、二酸化炭素が使われる量はいくらか。$\text{mol}$ で答えなさい。(原子量:$\text{H} = 1, \text{C} = 12, \text{O} = 16$)

【ステップ1:光合成の化学反応式とモル比を確認する】
光合成の総反応式は次の通りです: $$6\text{CO}_2 + 12\text{H}_2\text{O} \longrightarrow \text{C}_6\text{H}_{12}\text{O}_6 + 6\text{O}_2 + 6\text{H}_2\text{O}$$ この式から、グルコース($\text{C}_6\text{H}_{12}\text{O}_6$)が $1\text{ mol}$ 合成されるときに、二酸化炭素($\text{CO}_2$)は $6\text{ mol}$ 使われる(炭素原子 $\text{C}$ の数が $6$ 個なので $1:6$ の比になる)ことがわかります。

【ステップ2:グルコースの分子量と物質量($\text{mol}$)を求める】
グルコース $\text{C}_6\text{H}_{12}\text{O}_6$ の分子量は、 $$12 \times 6 + 1 \times 12 + 16 \times 6 = 72 + 12 + 96 = 180$$ よって、グルコースのモル質量は $180\text{ g/mol}$ です。
できたグルコース $300\text{ g}$ の物質量($\text{mol}$)は、 $$\frac{300\text{ g}}{180\text{ g/mol}} = \frac{5}{3}\text{ mol}$$

【ステップ3:使われた二酸化炭素の物質量($\text{mol}$)を求める】
グルコース $1\text{ mol}$ あたり $\text{CO}_2$ が $6\text{ mol}$ 使われるので、 $$\text{CO}_2\text{の物質量} = \frac{5}{3}\text{ mol} \times 6 = \mathbf{10\text{ mol}}$$

【解答】$10\text{ mol}$
Sora先生

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