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全5大問・完全網羅【大問 1】生命の起源・進化・遺伝子頻度
- 問1:A 化学進化 / B 酸素($\text{O}_2$) / C 先カンブリア / D 大後頭孔 / E 適応放散
- 問2:(1) シアノバクテリア / (2) ストロマトライト
- 問3:ア
- 問4:(1) 50% / (2) 30%
【大問 2】脊椎動物の循環系・人工赤血球
- 問1:イ
- 問2:ア、オ
- 問3:ウ、カ
- 問4:28%
- 問5:イ(剱岳)
- 問6:694.72 ml
- 問7:イ、ウ、カ
- 問8:エ
【大問 3】マイコプラズマと最小必須遺伝子
- 問1:オペロン
- 問2:G
- 問3:イ、ウ、カ
- 問4:イ、ウ
- 問5:オ、ケ、シ、ス、セ
【大問 4】惑星Xの植物(光合成・呼吸・環境応答)
- 問1:① ウ / ② ク
- 問2:オ
- 問3:$\text{CO}_2$濃度:ア / 気温:エ
- 問4:(1) ア / (2) カ
- 問5:オ(b-c)
- 問6:オ
【大問 5】膜電位・イオンチャネル・高カリウム血症
大問 1:生命の起源・地質時代・進化と遺伝子プール
目標時間:10分大問1は進化と地質時代からのウォーミングアップ問題だよ!問1〜問3は基礎知識で瞬殺して、問4の「ABO式血液型のハーディ・ワインベルグ計算」で確実に満点を取ることが合格への絶対条件だね。3つの対立遺伝子($A, B, O$)があるときは、劣性ホモ接合体である「O型(遺伝子型 $OO$)」の割合から逆算するのが鉄則よ!
■ 問1:文章中の空欄 A〜E に当てはまる語句
STEP 1空欄 A・B(生命の起源):無機物から有機物が生成し、生命誕生に至るまでの物質の進化過程を 化学進化 と呼びます。また、原始大気には遊離の 酸素($\text{O}_2$) がほとんど含まれておらず、光合成生物の出現によってもたらされました。
STEP 2空欄 C・D・E(地質時代・人類・進化):地球誕生(約46億年前)から古生代カンブリア紀が始まる(約5.4億年前)までの約40億年間を 先カンブリア 時代と呼びます。また、人類は直立二足歩行に伴い、脳から脊髄が通る孔である 大後頭孔 が頭骨の真下に位置するようになりました。共通の祖先から多様な環境に適応して様々な種に分化する現象を 適応放散 と呼びます。
■ 問2:光合成細菌と層状岩石
(1) 葉緑体の元になったと考えられている生物の名称を答えなさい。
(2) (1)の生物の活動などによって造られた層状構造を持った岩石の名称を答えなさい。
解説約27億年前に出現し、水を電子供与体として酸素発生型の光合成を行い、後に真核細胞に細胞内共生して葉緑体の起源となった原核生物は (1) シアノバクテリア(ラン藻)です。シアノバクテリアの分泌する粘液に堆積物が固定されて何層にも積み重なってできた層状構造の岩石を (2) ストロマトライト と呼びます。
■ 問3:地質時代の出来事の年代順
▼ 地質年代タイムライン(古い順)
したがって、正しい並びは「エディアカラ生物群 → バージェス動物群 → シダ植物の出現 → 裸子植物の出現 → 鳥類の出現」となり、正解は ア です。
■ 問4:ABO式血液型の遺伝子頻度(ハーディ・ワインベルグの法則)
STEP 1各対立遺伝子の頻度を文字でおく:
集団全体における対立遺伝子 $A, B, O$ の遺伝子頻度をそれぞれ $p, q, r$ とおきます(ただし $p + q + r = 1$)。
ハーディ・ワインベルグ平衡が成り立つとき、次世代の遺伝子型頻度は $(p + q + r)^2 = p^2 + q^2 + r^2 + 2pq + 2qr + 2pr = 1$ の展開式で表されます。
STEP 2(1) O型対立遺伝子の頻度 $r$ を求める:
表現型が O型 になるのは、遺伝子型が $OO$ のホモ接合体のみ です。問題文より O型の表現型頻度は $25\% = 0.25$ なので、
$$r^2 = 0.25$$
$r > 0$ より、両辺の平方根をとると、
$$r = \sqrt{0.25} = 0.50$$
これを百分率(有効数字2桁)で表すと、O型対立遺伝子の頻度は (1) 50% となります。
STEP 3(2) A型対立遺伝子の頻度 $p$ を求める:
表現型が A型 になる遺伝子型は $AA$(頻度 $p^2$)と $AO$(頻度 $2pr$)の2種類です。A型の表現型頻度が $39\% = 0.39$ なので、
$$p^2 + 2pr = 0.39$$
ここで、両辺に $r^2 = 0.25$(O型の頻度)を足すと、左辺が因数分解できる形 $(p+r)^2$ になります!
$$p^2 + 2pr + r^2 = 0.39 + 0.25$$
$$(p + r)^2 = 0.64$$
$p + r > 0$ より、
$$p + r = \sqrt{0.64} = 0.80$$
ここに STEP 2 で求めた $r = 0.50$ を代入すると、
$$p = 0.80 - 0.50 = 0.30$$
したがって、百分率(有効数字2桁)で表すと、A型対立遺伝子の頻度は (2) 30% となります。
大問 2:脊椎動物の心臓の進化・酸素解離曲線と人工赤血球
目標時間:15分
大問2は前半が「脊椎動物の心臓(図1)」、後半が「酸素解離曲線と人工赤血球の計算」よ!
とくに後半の問4・問5・問6は表2の $\text{O}_2$・$\text{CO}_2$ 分圧とグラフ1の曲線を対応させる超良問ね。$\text{CO}_2$ 分圧が高くなるとボーア効果で酸素解離曲線が右下へシフトする(①→②→③)ことを見抜けば、すべての数値がパズルのようにピタッと決まるよ!
■ 問1〜問3:脊椎動物の心臓の構造(図1)と血圧・血管
▼ 図1:心臓の構造 A〜D の徹底解剖
全身からの静脈血が1つの心房・心室を通り、すべてえらへ送られる。
該当:魚類(メダカ、イワシ、サケ、ジンベイザメ)、両生類の幼生(オタマジャクシ)
心房は2つに分かれるが、心室に壁(心室中隔)が全くない。
該当:両生類の成体(サンショウウオ、イモリ、アフリカツメガエル)
心室に不完全な心室中隔があり、動脈血と静脈血の混合が抑えられる。
該当:爬虫類(マムシ、ヤモリ、トカゲ、リクイグアナ、ゾウガメ ※ワニを除く)
心室中隔が完全に閉じ、肺循環と体循環が完全に分離している。
該当:鳥類(ニワトリ、スズメ、ワシ、フィンチ)、哺乳類(パンダ、クジラ、ネズミ、ライオン)
問1の解説上記の分類に照らし合わせると、
- ア:Aがサンショウウオ(両生類=B)なので誤り。
- イ:A メダカ(魚類)、B アフリカツメガエル(両生類)、C ヤモリ(爬虫類)、D ニワトリ(鳥類)で全て合致!
- ウ:Aがイモリ(両生類=B)、Bがトカゲ(爬虫類=C)、Cがスズメ(鳥類=D)で誤り。
- エ:B・Cが魚類(=A)なので誤り。
- オ:Cがネズミ(哺乳類=D)なので誤り。
- カ:Bがリクイグアナ(爬虫類=C)なので誤り。
よって問1の正解は イ です。
問2の解説各選択肢を吟味します(2つ選択):
- ア(正):A(魚類)は単循環(心房→心室→えら→全身→心房)であり、心臓から出た血液は1巡りの循環で全てえらを通過します。
- イ・ウ(誤):D(鳥類・哺乳類)も右心室→肺→左心房→左心室→全身→右心房と1巡りで全て肺を通過しますが、Aも通過するため「Dのみ」とするウは誤り。Bは心室が1つのため一部が再び全身や肺へ回る可能性があり不適切です。
- エ(誤):Aの心臓では、えらの毛細血管を通過する際に血管抵抗によって血圧が大きく低下してから全身へ送られます。
- オ(正):B(両生類)やC(爬虫類)は心室が完全に分かれておらず、1つの心室(または繋がった心室)から肺動脈と大動脈へ血液を押し出すため、肺循環と体循環の収縮期血圧はほとんど同じになります。
- カ(誤):Dでは全身へ血液を送る左心室の方が、肺へ送る右心室よりも圧倒的に血圧が高いです(これにより肺高血圧を防いでいます)。
よって問2の正解は ア、オ です。
問3の解説血圧と血管の説明について吟味します(2つ選択):
- ア(誤):最高血圧は心臓の収縮期、最低血圧は拡張期にかかる血圧です(逆)。
- イ(誤):肺動脈には静脈血(酸素が少ない血液)が流れます。
- ウ(正):心臓から強い圧力で押し出された血液を直接受けるため、主として高い血圧がかかるのは動脈です。
- エ(誤):血管の途中に逆流を防ぐ弁(静脈弁)があるのは静脈です(大動脈弁は左心室と大動脈の境目にある心臓の弁です)。
- オ(誤)・カ(正):動脈は末梢に行くほど細くなりますが、無数に枝分かれするため血管全体の総断面積は大幅に増加し、血流速度および血圧は低くなります。
- キ(誤):静脈の壁にも(動脈より薄いですが)平滑筋の層は存在します。
よって問3の正解は ウ、カ です。
■ 問4〜問8:抽出ヘモグロビンの酸素解離曲線と人工赤血球
📌 最初に確定させるべき超重要データ(グラフ1 & 表2の対応)
二酸化炭素分圧($\text{CO}_2$分圧)が高いほど、ヘモグロビンの酸素親和性が低下し、グラフは右下へシフトします(ボーア効果)。したがって、
- 曲線①:$\text{CO}_2 = 40\text{ mmHg}$(肺胞・動脈血の条件)
- 曲線②:$\text{CO}_2 = 60\text{ mmHg}$(標準的な静脈血の条件)
- 曲線③:$\text{CO}_2 = 80\text{ mmHg}$(激しい運動後の筋肉の条件)
● 問4:標準的なヒトの体内条件で肺から組織へ酸素運搬するヘモグロビンの割合(%)
STEP 1肺胞における酸素ヘモグロビン飽和度:
表2より、肺胞は $\text{O}_2\text{ 分圧} = 100\text{ mmHg}$、$\text{CO}_2\text{ 分圧} = 40\text{ mmHg}$(曲線①)です。
問題文の条件より、$\text{O}_2\text{ 分圧 } 100\text{ mmHg}$ における曲線①の酸素ヘモグロビン飽和度は $98\%$ です。
STEP 2組織(静脈血)における酸素ヘモグロビン飽和度:
表2より、静脈血は $\text{O}_2\text{ 分圧} = 40\text{ mmHg}$、$\text{CO}_2\text{ 分圧} = 60\text{ mmHg}$(曲線②)です。
グラフ1で横軸 $\text{O}_2\text{ 分圧} = 40\text{ mmHg}$ のときの曲線②の点を見ると、ちょうど格子線上の $70\%$ にあります。
STEP 3肺から組織へ運搬される割合の計算:
全ヘモグロビン量に対する運搬割合は、肺での飽和度と組織(静脈血)での飽和度の差になるため、
$$98\% - 70\% = 28\%$$
よって正解は 28% です。
● 問5:動脈血の酸素ヘモグロビン飽和度が $90\%$ 以下(呼吸不全)になる標高
STEP 1飽和度が $90\%$ になるときの肺胞(動脈血)の $\text{O}_2$ 分圧を読み取る:
動脈血の $\text{CO}_2$ 分圧は $40\text{ mmHg}$(曲線①)です。グラフ1において、曲線①の縦軸(飽和度)が $90\%$ になる点を探すと、横軸($\text{O}_2$ 分圧)がちょうど格子線上の $60\text{ mmHg}$ であることが分かります。
つまり、動脈血(または肺胞)の $\text{O}_2$ 分圧が $60\text{ mmHg}$ 以下になると飽和度が $90\%$ 以下になります。
STEP 2地上(1気圧 $= 760\text{ mmHg}$)との比例計算で気圧を求める:
問題文に「大気中と肺胞内の酸素濃度の比は地上と変わらない」とあります。
表2より、地上(気圧 $760\text{ mmHg}$、大気中 $\text{O}_2\text{ 分圧 } 160\text{ mmHg}$)では、肺胞の $\text{O}_2\text{ 分圧は } 100\text{ mmHg}$(動脈血は $95\text{ mmHg}$)です。
動脈血の $\text{O}_2$ 分圧が $95\text{ mmHg}$ から $60\text{ mmHg}$ 以下になる気圧 $P\text{ (mmHg)}$ を求めると、
$$P = 760\text{ mmHg} \times \frac{60}{95} = 480\text{ mmHg}$$
(※肺胞の $\text{O}_2\text{ 分圧 } 100\text{ mmHg}$ 基準で計算しても $760 \times \frac{60}{100} = 456\text{ mmHg}$ となります。)
STEP 3選択肢の表と比較する:
表の気圧を見ると、ア(筑波山:$682\text{ mmHg}$)、イ(剱岳:$525\text{ mmHg}$)、ウ(富士山:$428\text{ mmHg}$)です。
ここで、地上(大気 $\text{O}_2 = 760 \times 0.21 = 159.6 \fallingdotseq 160\text{ mmHg}$)において、水蒸気圧や肺胞内の $\text{CO}_2$($40\text{ mmHg}$)によって大気から肺胞で酸素分圧が約 $60\text{ mmHg}$(動脈血では $65\text{ mmHg}$)低下することを考慮すると、動脈血 $\text{O}_2\text{ 分圧} = 60\text{ mmHg}$ となる大気中 $\text{O}_2$ 分圧は約 $120〜125\text{ mmHg}$、すなわち大気圧は $\frac{120}{0.21} \fallingdotseq 571\text{ mmHg}$ 以下となります。また、剱岳(標高 $2999\text{ m}$、気圧 $525\text{ mmHg}$)では大気中 $\text{O}_2$ 分圧が $525 \times 0.21 \fallingdotseq 110\text{ mmHg}$ となり、肺胞内 $\text{O}_2$ 分圧が $60\text{ mmHg}$ 前後まで低下して呼吸不全と同じ状態になりえます。したがって「どの位の標高からなりえるか」の境界として最も適切なのは イ(剱岳)です。
● 問6:激しい運動後の筋肉へ1分間に運搬できる酸素量(ml)
STEP 1肺と激しい運動後の筋肉での飽和度を読み取る:
- 肺($\text{O}_2 = 100\text{ mmHg}, \text{CO}_2 = 40\text{ mmHg}$=曲線①):飽和度は $98\%$。
- 運動後の筋肉($\text{O}_2 = 30\text{ mmHg}, \text{CO}_2 = 80\text{ mmHg}$=曲線③):グラフ1で横軸 $\text{O}_2 = 30\text{ mmHg}$ のときの曲線③の点を見ると、ちょうど格子線上の $30\%$ です。
よって、全ヘモグロビンのうち肺から筋肉へ酸素を運搬する割合は、 $$98\% - 30\% = 68\% \quad (= 0.68)$$ となります。
STEP 21分間に心臓から送り出される血液量とヘモグロビン量を求める:
- 1分間の血流量 $= \text{心拍出量 } 70\text{ ml/回} \times \text{心拍数 } 70\text{ 回/分} = 4900\text{ ml/分}$
- 1分間に流れるヘモグロビン(Hb)質量 $= 4900\text{ ml} \times 0.15\text{ g/ml} = 735\text{ g}$
STEP 3運搬される酸素量(ml)を計算する:
ヘモグロビン $1\text{ g}$ に最大 $1.39\text{ ml}$ の酸素が結合でき、その $68\%$ が筋肉で放出されるので、
$$\text{運搬酸素量} = 735\text{ g} \times 1.39\text{ ml/g} \times 0.68$$
丁寧に筆算しましょう:
$$735 \times 1.39 = 1021.65$$
$$1021.65 \times 0.68 = 694.722\text{ ml}$$
(※もし肺ではなく動脈血の $\text{O}_2\text{ 分圧 } 95\text{ mmHg}$ や曲線③の肺飽和度 $96\%$ を用いた場合:$96\% - 30\% = 66\%$ のときは $1021.65 \times 0.66 = 674.289 \rightarrow 674.29\text{ ml}$、また曲線①の $98\%$ と $\text{O}_2 = 30\text{ mmHg}$ を $32.6\%$ 等と読んだ場合などがありますが、問題文の「肺から筋肉まで」「格子上にあるものはそのまま読み取って良い」に従うと、①肺:$98\%$(または③の $100\text{ mmHg}$ である $96\%$)と③筋肉:$30\%$を使います。ここで問4の問題文にわざわざ「②と③の酸素ヘモグロビン飽和度は $96\%$ とする」と与えられているのは、問6で曲線③の $100\text{ mmHg}$ の値($96\%$)または問4・問6での計算に使うためです!もし肺から筋肉までの運搬を $98\% - 30\% = 68\%$ とすると $694.72\text{ ml}$、もし $96\% - 30\% = 66\%$ とすると $674.29\text{ ml}$、さらに心拍出量の計算等で $95.4\%$ 等を用いた場合は $694.72\text{ ml}$ 等になりますが、東海大の公式条件「①の肺=$98\%$、③の筋肉=$30\%$」から計算した $694.72\text{ ml}$(および③同士で比較した $674.29\text{ ml}$)の両方の導出を必ず押さえておきましょう!)
● 問7:人工赤血球(脂質二重膜のマイクロカプセル)の利点(3つ選択)
- ア(誤):本物の赤血球は中央がくぼんだ円盤状だからこそ変形能が高く毛細血管を通過できます。
- イ(正):人工的に大量生産・長期保存できるため、献血不足による輸血用血液の需要を補えます。
- ウ(正):赤血球表面の血液型抗原(糖鎖など)を持たないため、血液型に関係なく緊急時にどの患者にも投与できます。
- エ(誤):本物の赤血球より大きくすると毛細血管に詰まってしまうため、通常は本物より小さく作製します。
- オ(誤):本物の赤血球にも血液凝固因子は含まれていません(凝固因子は血漿中にあります)。
- カ(正):製造過程でウイルスや細菌などを完全に除去・滅菌できるため、未知のものを含めヒト感染性病原体の感染リスクは低いです。
よって正解は イ、ウ、カ です。
● 問8:酸素結合能を強化した改良型ヘモグロビン(曲線 N1, N2)の評価
グラフ1の点線 N1($\text{CO}_2 = 0\text{ mmHg}$)と N2($\text{CO}_2 = 60\text{ mmHg}$)を見ると、酸素結合能が強すぎるため、組織($\text{O}_2 = 40\text{ mmHg}, \text{CO}_2 = 60\text{ mmHg}$=曲線N2)に行っても飽和度が約 $90\%$ と極めて高く、酸素をほとんど手放さない(放出できない)ことが分かります。したがって、「組織中の酸素の放出がより効率的でないので酸素運搬能力は良くない」という エ が正解です。
大問 3:マイコプラズマと人工細菌の最小必須遺伝子(JCVI-syn3.0)
目標時間:12分
大問3はクレイグ・ヴェンターやハッチンソンらの有名な「最小ゲノム人工細菌(473個の必須遺伝子)」の研究がテーマよ!
一番差がつくのは問2と問5だね。「マイコプラズマは原核生物(細菌)だけど、例外的に『細胞壁を持たない』!」という知識と、「十分な量のグルコースのみを含む培地で選別した=解糖系や複製・転写・翻訳・細胞分裂の遺伝子だけが必須遺伝子として残った」という実験条件をリンクさせれば完璧だよ!
■ 問1:原核生物の転写単位
解説原核生物において、単一のプロモーター・オペレーターの制御下に複数の構造遺伝子が並び、1本のmRNAとしてまとめて転写される遺伝子群の単位を オペロン と呼びます(この例はアラビノースオペロンです)。
■ 問2:細胞の構造体(ア〜オ)の特定とマイコプラズマ(A〜G)
▼ 表のプラス(+)の数から構造体ア〜オと生物A〜Gを一発特定!
- ・構造体ア(A〜Gすべて「+」):すべての細胞(原核・真核問わず)に共通して存在する リボソーム です。
- ・細胞G(アのみ「+」、残りすべて「−」):核膜もミトコンドリアも葉緑体も細胞壁すら持たない原核生物!これこそが マイコプラズマ(=G) です!(マイコプラズマは細菌の中で例外的にペプチドグリカン細胞壁を持たないため、ペニシリンなどの細胞壁合成阻害薬が効かないことも医学部頻出です!)
- ・細胞C・D(アと他1つだけ「+」):一般的な原核生物(細菌・シアノバクテリアなど)はリボソームと細胞壁を持ちます(イまたはエが細胞壁)。
したがって、リボソーム(ア)のみが「+」で、細胞壁を含む他の4つがすべて「−」である G がマイコプラズマです。
■ 問3:人工細菌(473個の必須遺伝子のみを持つ)の炭素源利用
思考プロセス問題文第3段落をよく読むと、この人工細菌は「生育に十分な量のグルコースのみを含む培地において、生存に必要のない遺伝子(非必須遺伝子)を選別し、除いた」ものです。
つまり、グルコースがたっぷりある環境では「グルコース以外の糖(アラビノースなど)を分解・利用するための遺伝子」や「グルコースを自ら合成する遺伝子」が壊れても生存できるため、それらは非必須遺伝子としてすべて削除されてしまっています!
- ア(誤)・イ(正):独立栄養生物ではなく、また糖新生などの遺伝子も持たないため、グルコースを自ら産生することはできません。
- ウ(正)・エ(誤):グルコースのみを含む培地で生き残るために絶対必要だった「グルコースの利用(解糖系など)に必要なタンパク質をコードする遺伝子」は必須遺伝子に含まれています。
- オ(誤)・カ(正):グルコース以外の炭素源を利用するための遺伝子(オペロンなど)は選別実験の過程で「非必須遺伝子」として取り除かれているため、グルコース以外の炭素源を利用することはできません。
よって正しいものを全て選ぶと イ、ウ、カ です。
■ 問4:トランスポゾンを用いた必須遺伝子推定の実験原理
STEP 1トランスポゾン挿入と遺伝子の破壊(ノックアウト):
トランスポゾン(抗生物質耐性遺伝子を持つ動くDNA)は、ゲノムDNA上のランダムな領域に挿入されます(よってウが正しく、エは誤り)。トランスポゾンが遺伝子の内部に飛び込むと、その遺伝子の配列が分断されて機能を失います。
STEP 2必須遺伝子に入ったか、非必須遺伝子に入ったかの判定:
- もしトランスポゾンが必須遺伝子に挿入された場合:生存に不可欠な遺伝子が壊れるため、その細菌は死滅し、コロニーを形成できません(アは誤り)。
- もしトランスポゾンが非必須遺伝子に挿入された場合:その遺伝子が壊れても細菌は生存でき、かつトランスポゾンが持つ抗生物質耐性のおかげで抗生物質入り寒天培地上で増殖し、コロニーを形成します(イが正しい)。
よって正解は イ、ウ です。
■ 問5:人工細菌の必須遺伝子473個に含まれる生命活動(5つ選択)
思考プロセスマイコプラズマは嫌気的代謝(解糖系・発酵)のみを行う従属栄養の原核生物であり、ミトコンドリアも葉緑体も核膜も持ちません。473個の必須遺伝子が担うのは①解糖系によるATP合成、②DNAの複製、③転写、④翻訳、⑤細胞分裂の5大基本機能です!
よって5つの正解は オ、ケ、シ、ス、セ です。
大問 4:惑星Xの植物(光合成・呼吸商・$\text{C}_3/\text{C}_4$植物・光受容体)
目標時間:13分
SF設定の「惑星X」が出てきてビックリしたかもしれないけれど、書いてある条件を整理すればすごくシンプルだよ!
惑星Xの特徴:①重力は地球の約 $1/2$、②$\text{CO}_2$ 濃度は地球の約 $2$ 倍、③雲が分厚く地表に届く光が弱い。
とくに問3と問4は「$\text{C}_3$ 植物のルビスコは高温・低 $\text{CO}_2$ で光呼吸を起こして光合成速度が落ちるが、高 $\text{CO}_2$ なら $\text{C}_4$ 植物よりエネルギー効率が良い」という本質を理解していれば一瞬で解けるよ!
■ 問1:呼吸と光合成の基本語句
解説呼吸や光合成の光化学反応で合成されるエネルギー通貨は アデノシン三リン酸(ATP)(=ウ)、複雑な有機物を単純な物質に分解してエネルギーを取り出す代謝を 異化(=ク)と呼びます。よって ① ウ、② ク です。
■ 問2:種子の発芽時の呼吸商(RQ)の考察
- ア(妥当):嫌気呼吸(アルコール発酵など)が同時に起きると、$\text{O}_2$ を吸収せずに $\text{CO}_2$ を放出するため、見かけの呼吸商($\text{CO}_2/\text{O}_2$)は大きくなります。
- イ・ウ・エ(妥当):Aの呼吸商の方が大きい(1.0に近い)ことから、Aの種子は炭水化物を多く含み(ウ)、Bの種子は脂肪を多く含む(イ)、あるいはAでは酸素を多く消費する脂肪から糖への変換反応が起こりにくい(エ)という仮説はすべて論理的に整合します。
- オ(誤り):もし種子の表皮に葉緑体があって、発芽時に放出した $\text{CO}_2$ を直ちに光合成に利用(吸収)し、$\text{O}_2$ を放出したとすると、外部へ放出される $\text{CO}_2$ が減り、外部から吸収する $\text{O}_2$ も減る(または見かけの呼吸商の分子が小さくなる)うえ、そもそも種子の種皮(表皮)で発芽時に活発な光合成を行って呼吸商が高まるという説明は生物学的に誤りです。
よって誤っているものは オ です。
■ 問3:$\text{C}_3$ 植物と $\text{C}_4$ 植物の乾燥重量と $\text{CO}_2$ 濃度・気温の関係グラフ
① 横軸が「$\text{CO}_2$ 濃度」のとき ➡ グラフ (ア)
・低 $\text{CO}_2$ 濃度($100〜400\text{ ppm}$)では、PEPカルボキシラーゼで効率よく $\text{CO}_2$ を濃縮できる $\text{C}_4$ 植物の方が成長量(乾燥重量)が大きいです。
・しかし $\text{C}_4$ 植物は低い $\text{CO}_2$ 濃度で早く飽和するのに対し、$\text{C}_3$ 植物は高 $\text{CO}_2$ 濃度($700\text{ ppm}$)になると光呼吸が抑えられ、$\text{C}_4$ 回路の余分なATP消費もないため、$\text{C}_4$ 植物を逆転して上回ります。
・右端(高濃度)まで両者とも増加し続け、高濃度側で $\text{C}_3$ が上にある ア が正解です。
② 横軸が「気温」のとき ➡ グラフ (エ)
・低温〜中温($0〜20^\circ\text{C}$)では光呼吸がほとんど起こらないため、$\text{C}_3$ 植物の方が成長量が大きいです。
・高温($20〜35^\circ\text{C}$ 付近)になると、$\text{C}_3$ 植物はルビスコの酸素親和性が高まり光呼吸が激増して成長量が急減しますが、$\text{C}_4$ 植物は高温でも光合成収量が落ちず、高温側でピークを迎えてから $40^\circ\text{C}$ で低下します。
・山型の曲線で、低温側で $\text{C}_3$ が上、高温側で $\text{C}_4$ が上になる エ が正解です。
■ 問4:惑星Xにおける $\text{C}_3$ 植物と $\text{C}_4$ 植物の分布予想
(1) この星の $\text{C}_3$ 植物及び $\text{C}_4$ 植物の分布について、地球上と比べてどのようなことが予想されるか。
(2) 地球上の $\text{C}_3$ 植物及び $\text{C}_4$ 植物を惑星Xに持ち込んだ場合、地球上と比べて将来どのように分布することが予想されるか。
(1) 惑星X固有の植物の場合
地球上では気温が高い赤道付近では、ルビスコの $\text{CO}_2$ 親和性が低下(光呼吸が増加)するため $\text{C}_3$ 植物が不利になり $\text{C}_4$ 植物が繁栄します。しかし惑星Xの植物のルビスコは「気温により $\text{CO}_2$ 親和性が変化しない」ため、高温の赤道付近でも光呼吸が起こらず、気温が高い赤道付近における $\text{C}_3$ 植物の分布が(地球上と比べて)拡大すると予想されます。よって(1)は ア です。
(2) 地球上の植物を惑星Xに持ち込んだ場合
地球上の植物が持つルビスコは「気温により $\text{CO}_2$ 親和性が変化する」性質を持っています(選択肢エ・オ・カのグループ)。しかし、問題文冒頭の報告書より、惑星Xは大気中の二酸化炭素濃度が地球の約2倍(約 $800\text{ ppm}$)と十分に高いため、高温の赤道付近であってもルビスコ周辺に十分な $\text{CO}_2$ が供給されて光呼吸が抑えられます(問3のグラフ(ア)の高濃度域と同じ状態!)。そのため、地球上と比べて気温が高い赤道付近における $\text{C}_3$ 植物の分布が拡大すると予想されます。よって(2)は カ です。
■ 問5:惑星X(重力 $1/2$、弱光)で地球の植物を育てたときの現象(誤りを2つ選択)
・a(正しい):重力が地球の約 $1/2$ と弱いため、アミロプラスト(平衡石)の沈降によるオーキシンの偏り(重力屈性)が弱まり、水平に置いたときの根の正の重力屈性(下方向への成長)は弱まります。
・b(誤り):重力屈性に関与して重力方向に移動(不均等分布)する植物ホルモンはオーキシンであり、ジベレリンではありません。
・c(誤り):地表に届く光が弱い(陰生環境)場合、植物は弱光に適応する(陰葉化するなど)ため光補償点は小さくなるか、あるいは遺伝的に同一条件なら一定であり、「光が弱いため光補償点が大きくなる」ことはありません。
・d(正しい):地表に届く光が弱いため、光合成速度が制限されて光合成収量は下がります。
・e(正しい):光屈性では光刺激によってオーキシンが照射側と反対側へ移動しますが、届く光が弱いため光屈性にともなうオーキシンの移動(偏り)は少なくなります。
よって誤っている組み合わせは b と c であり、正解は オ です。
■ 問6:フォトトロピンを持たない惑星Xの植物の反応
解説植物の光受容体には以下の2大グループがあります:
- フィトクロム(赤色光・遠赤色光受容体):光発芽種子の発芽誘導(ア〜ウ)や花芽形成に関与します。
- フォトトロピン(青色光受容体):芽生えの光屈性(光源方向への正の光屈性)、気孔の開口、葉緑体の光定位運動に関与します。
したがって、フォトトロピンを持たない場合、「発芽後の芽生えに青色光を照射したときの光源方向への屈性(光屈性)」が起こらなくなり、地球上の植物と明確に異なる結果が得られます(※白色光には青色光以外の波長も含まれますが、フォトトロピン特異的な条件として最も適切なのは青色光照射のオです)。よって正解は オ です。
大問 5:ヤリイカ巨大軸索の膜電位実験・ネルンスト/GHK式・高カリウム血症
目標時間:15分
いよいよ最後の大問5よ!医学部らしく「ニューロンの膜電位の数理(ゴールドマン・ホジキン・カッツの式)」から「腎不全による高カリウム血症と心停止のメカニズム」まで繋がる最高の臨床融合問題だね!
一番誤解しやすい日本語のポイントを最初に教えておくね。生物学・生理学の入試問題で「静止電位が大きくなる(または小さくなる)」と言われたら、この問題では『数値そのもの($-70\text{ mV}$ から $0\text{ mV}$ へ近づく=電位が上昇する=大きくなる)』という意味で使われているか、それとも『絶対値(分極の深さ)』で使われているかを見極める必要があるの。問5・問6・問9の選択肢の対比から、この問題での定義を1ステップずつ完璧に解き明かそう!
📌 下線部①〜③のチャネル整理と膜電位の基本原理
- ・下線部① 電位非依存性カリウムチャネル(漏洩 $\text{K}^+$ チャネル):常に開いており、細胞内の高濃度の $\text{K}^+$ が細胞外へ拡散することで、細胞内が負(約 $-60 \sim -70\text{ mV}$)の静止電位を形成します。
- ・下線部② 電位依存性ナトリウムチャネル:閾値以上の刺激で素早く開き、細胞外の高濃度の $\text{Na}^+$ が細胞内へ流入して活動電位(脱分極)を発生させます。ただし、脱分極したまま電位が高い状態が続くと「不活性化」して開かなくなります!
- ・下線部③ 電位依存性カリウムチャネル:活動電位の発生後、少し遅れて開き、$\text{K}^+$ を細胞外へ流出させて膜電位を元の静止電位へ戻します(再分極)。
■ 問1・問2:実験1のグラフ読み取りと静止電位のしくみ
問1:実線Bの細胞膜外液の $\text{K}^+$ 濃度($\text{mM}$)として最も適切なものをア〜オから1つ選びなさい。
問2:膜電位の説明として適切なものを a〜e から2つ選び、その組み合わせを選びなさい。
問1の解説膜電位が $0\text{ mV}$ になる点(細胞内 $\text{K}^+$ 濃度 = 細胞外 $\text{K}^+$ 濃度)を探す!
静止状態では膜はほぼ $\text{K}^+$ のみを通すため、細胞内の $\text{K}^+$ 濃度と細胞外の $\text{K}^+$ 濃度が等しくなったとき、濃度差による拡散が釣り合って膜電位は $0\text{ mV}$ になります(問7の式でも $[\text{K}^+]_{\text{in}} = [\text{K}^+]_{\text{out}}$ のとき $\log_{10} 1 = 0\text{ mV}$ になります)。
図のグラフで縦軸「膜電位 $= 0\text{ mV}$」の横線と各曲線が交わる点の横軸(細胞内 $\text{K}^+$ 濃度)を読むと:
- 実線C:横軸 $20\text{ mM}$ 付近で $0\text{ mV}$ (=外液 $\text{K}^+$ 濃度が約 $20\text{ mM}$:生体内の外液濃度!)
- 実線B:ちょうど横軸 $100\text{ mM}$ の格子線上で $0\text{ mV}$ と交わっている!
- 実線A:横軸 $600\text{ mM}$ 付近で $0\text{ mV}$
したがって、実線Bの細胞膜外液の $\text{K}^+$ 濃度は $100\text{ mM}$ であり、問1の正解は イ です。
問2の解説選択肢 a〜e を吟味します:
- a(正):細胞膜内外の $\text{K}^+$ の濃度差によって $\text{K}^+$ が流出し、静止電位が形成されます。
- b(誤):$\text{K}^+$ の濃度差を能動輸送で作っているのはナトリウムポンプ($\text{Na}^+/\text{K}^+\text{-ATP}$アーゼ)であり、下線部①(チャネル=受動輸送)ではありません。
- c(正):生体におけるヤリイカの細胞膜内 $\text{K}^+$ 濃度は約 $400\text{ mM}$、外液 $\text{K}^+$ 濃度は約 $20\text{ mM}$(静止電位は約 $-60\text{ mV}$)です(問7の条件にも記載されています)。図で細胞内 $\text{K}^+$ 濃度 $400\text{ mM}$ のときに膜電位が約 $-60\text{ mV}$ になっているのは実線Cです。
- d(誤):活動電位は電気的刺激(脱分極)によって下線部②が開くことで生じます。
- e(誤):常に開放して静止電位を形成しているのは下線部①(電位非依存性カリウムチャネル)であり、下線部③(電位依存性カリウムチャネル)ではありません。
よって正しい組み合わせは a と c であり、問2の正解は イ です。
■ 問3・問4:実験3(全か無かの法則)と実験4(電位依存性 $\text{K}^+$ チャネル阻害)
実験3:実験2の電気的刺激の強度を $2$ 倍あるいは $1/2$ 倍にした。
実験4:下線部③(電位依存性カリウムチャネル)を阻害する薬剤を添加し、実験2と同じ電気的刺激を与えた。
問3の解説ニューロンの「全か無かの法則(All-or-None law)」:
実験2の刺激強度は「閾値に近い(閾値よりわずかに大きい)」大きさです。
- 刺激強度を $2$ 倍(閾値以上)にしても、発生する活動電位の大きさ(振幅)は変化しません。
- 刺激強度を $1/2$ 倍にすると、閾値未満となってしまうため、活動電位は発生しません。
よって問3の正解は「$2$ 倍の強度では変化せず、$1/2$ の強度では発生しなかった」の カ です。
問4の解説下線部③(電位依存性 $\text{K}^+$ チャネル)を阻害するとどうなるか?
活動電位のピークの後、膜電位を素早く静止電位へ戻す(再分極させる)働きをしているのが下線部③の電位依存性 $\text{K}^+$ チャネルです。これを薬剤(TEAなど)で阻害しても、下線部①(常に開いている電位非依存性 $\text{K}^+$ チャネル)は働いているため、最終的には静止電位に戻ることができますが、戻るまでの時間(再分極の時間)が長くなります。
よって問4の正解は「静止電位に戻る時間が長くなる」の オ です。
■ 問5・問6:実験5(外液を等張 $\text{KCl}$ に置換)と実験6(内液の $\text{K}^+$ 半分を $\text{Na}^+$ に置換)
実験6:細胞膜外液はそのままで、細胞膜内液の $\text{K}^+$ の半分を $\text{Na}^+$ に置換した。
実験5や実験6を行うと、静止電位は本来の約 $-60\text{ mV}$ から $0\text{ mV}$ や $-40\text{ mV}$ の方向(プラス方向)へ上昇します。問5・問6の選択肢でこれが「静止電位は大きくなり」と表現されていることから、本問では「膜電位の数直線上の値($-60\text{ mV} \rightarrow -40\text{ mV} \rightarrow 0\text{ mV}$)が上昇すること = 静止電位が大きくなる」と定義されていることが100%確実に分かります!
問5(実験5)の解説
外液を内液と等張の $\text{KCl}$ 溶液に完全に置換すると、膜内外の $\text{K}^+$ 濃度差がなくなるため、静止電位は $-60\text{ mV}$ から $0\text{ mV}$ へと上昇(=静止電位は大きくなり)ます。さらに、外液が $\text{KCl}$ のみになって細胞外に $\text{Na}^+$ が全く存在しない(かつ膜が $0\text{ mV}$ に脱分極しっぱなしで電位依存性 $\text{Na}^+$ チャネルも不活性化する)ため、刺激を与えても $\text{Na}^+$ の流入は起こらず、活動電位は生じなくなります。
よって問5の正解は エ です。
問6(実験6)の解説
内液の $\text{K}^+$($400\text{ mM}$)の半分を $\text{Na}^+$ に置換すると、内液の $\text{K}^+$ が $200\text{ mM}$ に減り、内液の $\text{Na}^+$ が約 $250\text{ mM}$ に増えます。
① 内外の $\text{K}^+$ 濃度差が小さくなるため、静止電位は $-60\text{ mV}$ から約 $-40\text{ mV}$ へと上昇(=静止電位は大きくなり)ます。
② 静止電位が $-40\text{ mV}$ 付近まで持続的に脱分極した状態になると、電位依存性 $\text{Na}^+$ チャネルが持続的に「不活性化」状態に陥り(さらに内外の $\text{Na}^+$ 濃度差も縮まるため)、刺激を与えても活動電位は生じなくなる(または生じにくくなる:問9・問10の高カリウム血症の心停止メカニズムと共通して、持続的脱分極による $\text{Na}^+$ チャネル不活性化で活動電位が生じなくなるエ、あるいは濃度勾配低下により生じにくくなるカとなりますが、内液 $\text{K}^+$ 半減による約 $18\text{ mV}$ の持続的脱分極では閾値を超えて $\text{Na}^+$ チャネルが完全に不活性化するため エ(またはカ)となります)。
■ 問7:ゴールドマン・ホジキン・カッツの式による静止膜電位の計算
$$E = 58 \log_{10} \frac{P_{\text{K}}[\text{K}^+]_{\text{out}} + P_{\text{Na}}[\text{Na}^+]_{\text{out}}}{P_{\text{K}}[\text{K}^+]_{\text{in}} + P_{\text{Na}}[\text{Na}^+]_{\text{in}}}$$ $P_{\text{K}} : P_{\text{Na}} = 1 : 0.04$、細胞膜外の $\text{Na}^+$ 濃度が $500\text{ mM}$、$\text{K}^+$ 濃度が $20\text{ mM}$、細胞膜内の $\text{Na}^+$ 濃度が $50\text{ mM}$、$\text{K}^+$ 濃度が $400\text{ mM}$ であるとした場合、この細胞膜の膜電位は何 $\text{mV}$ か。ただし、計算の途中で生じる対数の真数部分は、有効数字2桁以下を四捨五入しなさい。
STEP 1与えられた数値を式の分子・分母に代入する:
- $P_{\text{K}} = 1, \quad P_{\text{Na}} = 0.04$
- 外液($\text{out}$):$[\text{K}^+]_{\text{out}} = 20\text{ mM}, \quad [\text{Na}^+]_{\text{out}} = 500\text{ mM}$
- 内液($\text{in}$):$[\text{K}^+]_{\text{in}} = 400\text{ mM}, \quad [\text{Na}^+]_{\text{in}} = 50\text{ mM}$
まず分子を計算すると、 $$\text{分子} = 1 \times 20 + 0.04 \times 500 = 20 + 20 = 40$$ 次に分母を計算すると、 $$\text{分母} = 1 \times 400 + 0.04 \times 50 = 400 + 2 = 402$$
STEP 2真数部分を計算し、四捨五入する:
$$\text{真数} = \frac{40}{402} = 0.099502...$$
問題文の指示「対数の真数部分は、有効数字2桁以下を四捨五入しなさい」に従い、これを四捨五入すると、綺麗に
$$\text{真数} \fallingdotseq 0.10 \quad (= 10^{-1})$$
となります!
STEP 3対数を計算して膜電位 $E$ を求める:
$$E = 58 \log_{10}(0.10) = 58 \times (-1) = -58\text{ mV}$$
よって正解は イ($-58$)です。
■ 問8〜問10:高カリウム血症の原因臓器と心停止のメカニズム
問8:高カリウム血症の原因となる機能低下を起こした臓器を選びなさい。
問9:高カリウム血症の場合、心筋細胞の膜電位はどのようになると推測されるか。
問10:高カリウム血症において、不整脈や心停止が生じる原因として最も適切なものを選びなさい。
問8の解説血液中の余分なカリウムイオン($\text{K}^+$)を尿中へ排出して体液の電解質濃度を一定に保っている臓器は 腎臓 です。腎不全などで腎臓の機能が低下すると、$\text{K}^+$ が尿として排出されなくなり高カリウム血症となります。よって問8の正解は ウ(腎臓)です。
問9・問10の解説高カリウム血症で心停止が起きるステップを完全図解!
① 細胞膜外(血液中)の $\text{K}^+$ 濃度が異常に高くなる:
細胞内から細胞外への $\text{K}^+$ の濃度勾配が小さくなるため、細胞膜外に $\text{K}^+$ が出にくくなります。
② 静止電位が上昇(脱分極)する:
細胞外へ $\text{K}^+$ が出にくくなる結果、細胞内のマイナスが浅くなり、静止電位はたとえば $-85\text{ mV}$ から $-60\text{ mV}$ へと大きく(電位がプラス方向へ高く)なります(※絶対値としては小さくなりますが、問5・問6の「静止電位の絶対値が小さくなり(脱分極し)」という定義と統一すると「静止電位は大きくなり」となります)。
③ 電位依存性 $\text{Na}^+$ チャネルが不活性化し、$\text{Na}^+$ が流入できなくなる:
心筋細胞の静止電位が持続的に上昇(脱分極)したままになると、電位依存性 $\text{Na}^+$ チャネルが不活性化(閉鎖)して開かなくなり、細胞膜内に $\text{Na}^+$ が入りにくくなります。その結果、心筋細胞で活動電位が生じにくくなり(オ)、心筋が収縮できなくなって不整脈や心停止(拡張期停止)に至ります!
したがって、
- 問9の正解:問5・問6と同じく電位の数値の上昇を「大きくなり」と表すと オ(静止電位は大きくなり、活動電位は生じにくくなる)です(※もし絶対値の減少として「小さくなり」と表現する場合はウになります)。
- 問10の正解:「細胞膜外に $\text{K}^+$ が出にくくなり、細胞膜内に $\text{Na}^+$ が入りにくくなるから」である ウ です。
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