⚡ 解答一覧(スピードチェック)
採点・復習用大問 I(神経系・受容器・反射・筋収縮・はさみの再生実験:マーク解答番号 1〜19)
大問 II(体液の区分・重水とイヌリンによる体液量測定・血液循環)
大問 III(減数分裂におけるDNA量変化・二価染色体・乗換えと独立)
大問 IV(伴性遺伝と障害の現れ方・X染色体上の遺伝子頻度の世代推移)
大問 V(分子系統樹の作成・地球史と生物の進化)
大問 I:神経系・受容器・脊髄反射・筋収縮・テッポウエビの再生実験
大問Iは動物の反応と行動の総合問題です!前半の《A》〜《C》は受容器・脳・しつがい腱反射・興奮の伝導速度計算という超頻出テーマ。ここで絶対に落とさないことが合格への第一歩です!注意すべきは問6・問7の「全か無かの法則(1本のニューロンでは活動電位の大きさは変わらず、頻度で強さを伝える)」と、最後の問14「テッポウエビのはさみの再生実験」です。実験1〜3の対照実験から何が言えて何が言えないかを、1つずつ丁寧に検証していきましょう!
《A》神経系と受容器・ヒトの脳の構造(問1〜問3)
[選択肢]ア. 内分泌系 イ. 排出系(腎臓など) ウ. 消化系(胃や腸など) エ. 免疫系 オ. 呼吸系(肺など)
STEP 1 動物の体内で離れた器官どうしに情報を伝え、全身の機能を協調・調節する仕組みには、電気信号(活動電位)と神経伝達物質を用いる「神経系」と、血液中にホルモンを分泌して標的器官にはたらきかける「内分泌系」の2つがあります。
[選択肢]ア. うずまき管(蝸牛管)/コルチ器 イ. 網膜 ウ. 半規管 エ. 味覚芽(味らい) オ. 嗅上皮 カ. 皮膚の痛点 キ. 前庭
STEP 1「感覚毛をもち、かつ機械的刺激(音の振動・回転・傾きなど)を感知するもの」を見極めます。ひっかけ選択肢のエ(味らい)とオ(嗅上皮)は毛のような構造(味毛・嗅毛)をもちますが、感知するのは化学的刺激(化学物質)なので除外します!
- ア. うずまき管/コルチ器(聴覚):基底膜の振動によりおおい膜と有毛細胞の感覚毛が触れ合い、機械的刺激(音波)を受容します。➔ 〇
- イ. 網膜(視覚):視細胞が光刺激を受容します。➔ ×
- ウ. 半規管(回転感覚):リンパ液の流れでクプラが動き、有毛細胞の感覚毛が曲がる機械的刺激を受容します。➔ 〇
- エ. 味覚芽(味覚)/ オ. 嗅上皮(嗅覚):化学物質(化学的刺激)を受容します。➔ ×
- カ. 皮膚の痛点:自由神経終末であり、感覚毛をもつ感覚細胞ではありません。➔ ×
- キ. 前庭(平衡感覚・傾き):平衡石(耳石)のズレによって有毛細胞の感覚毛が曲がる機械的刺激を受容します。➔ 〇
A [3]:呼吸運動や心臓の拍動を調節する中枢がある。
B [4]:筋運動を調節しからだの平衡を保つ中枢がある。
C [5]:自律神経系の中枢がある。脳下垂体のホルモンの分泌の調節も行う。
D [6]:眼球運動や瞳孔の大きさを調節する中枢がある。
【図1の部位対応リスト】
- ・ア:大脳(感覚・随意運動・記憶・思考の中枢)
- ・イ:間脳(視床下部)(自律神経系の中枢、体温・浸透圧調節、脳下垂体のホルモン分泌調節)➔ C
- ・ウ:脳下垂体(各種ホルモンの分泌)
- ・エ:中脳(眼球運動、瞳孔反射、姿勢保持の中枢)➔ D
- ・オ:小脳(筋運動の調節、体の平衡保持の中枢)➔ B
- ・カ:延髄(呼吸運動、心臓の拍動、血管運動、唾液分泌・嚥下などの中枢)➔ A
《B》しつがい腱反射と相反神経支配(問4〜問8)
📌 図2(しつがい腱反射の反射弓)の構造整理
- 脊髄の断面:外側 a=白質(神経繊維が通る)、内側H字型 b=灰白質(細胞体が集まる)。
- 背根と腹根:感覚神経(e)が入る背中側の根(神経節がある側)が c=背根、運動神経(f、h)が出る腹側の根が d=腹根。
- ニューロン e:筋紡錘につながる感覚ニューロン。
- ニューロン f:伸筋を収縮させる運動ニューロン(eと直接シナプスを形成=単シナプス反射!)。
- ニューロン g:脊髄内の介在ニューロン(抑制性)。
- ニューロン h:屈筋につながる運動ニューロン。
脊髄は脳と逆で「外が白質(a)、内が灰白質(b)」です。また、感覚ニューロンeの細胞体(●)があるふくらみ(脊髄神経節)が存在する上側が背根(c)、運動ニューロンが出ていく下側が腹根(d)です。
問題文《B》に「外力によって筋肉が急激に伸びて損傷するのを防ぐための防御反応であり、伸筋の中にある筋紡錘が受容器としてはたらく」とある通り、筋紡錘は筋肉の伸長(伸びること)を感知します。
ひざ頭の下をたたくと、ニューロンeおよびfの興奮の大きさ(問6)と興奮の頻度(問7)はそれぞれどのように変化するか。
重要法則問題文に「e〜hは複数のニューロンの束ではなく、それぞれが1個のニューロンを示している」と明記されています!
- 問6(興奮の大きさ=活動電位の振幅):単一ニューロン(1本の神経繊維)においては「全か無かの法則」が成り立つため、閾値以上の刺激であれば、刺激が強くなっても発生する活動電位の大きさ(振幅)は一定で変わりません(ウ)。
- 問7(興奮の頻度=単位時間あたりの活動電位の発生回数):ひざ頭の下をたたいて伸筋が引き伸ばされると、感覚ニューロンeの興奮の頻度が高くなり(ア)、シナプスを介して興奮が伝えられる運動ニューロンfの興奮の頻度も高くなります(ア)。
[選択肢]ア. ニューロンeを興奮させる。 イ. ニューロンeを興奮させにくくする。 ウ. ニューロンhを興奮させる。 エ. ニューロンhを興奮させにくくする。
STEP 1
しつがい腱反射では、伸筋が収縮するのと同時に「ひざの関節を曲げる屈筋が弛緩し、この反射の進行を円滑にしている」と本文にあります。
図2を見ると、感覚ニューロンeから枝分かれした軸索が介在ニューロンgを興奮させ、ニューロンgの軸索末端は屈筋へつながる運動ニューロンhとシナプスを作っています。普段は一定の頻度で活動電位を生じているニューロンhの興奮を抑えて屈筋を弛緩させるため、ニューロンg(抑制性介在ニューロン)は「ニューロンhを興奮させにくくする(抑制性シナプス後電位を生じさせる)」神経伝達物質を放出します。
《C》座骨神経の伝導速度計算と神経筋接合部(問9〜問11)
問11(解答番号 16):興奮が座骨神経の末端に達してから筋肉が収縮を開始するまでに要する時間に最も近いと考えられるものはどれか。
📊 図3のグラフと距離条件の完全整理
- ・A点から神経末端までの距離:$2.0\text{ cm}$
- ・B点から神経末端までの距離:$8.0\text{ cm}$
- ・A点刺激時の収縮開始時刻:グラフより $6.0\text{ ミリ秒}$
- ・B点刺激時の収縮開始時刻:グラフより $8.0\text{ ミリ秒}$
(収縮開始までの総時間)=(神経の伝導時間)+(末端到達〜収縮開始の時間 $T_{\text{syn}}$)
問9の計算B点とA点の距離の差は $8.0 - 2.0 = 6.0\text{ cm}$ です。収縮開始時刻の差 $8.0 - 6.0 = 2.0\text{ ミリ秒}$ は、純粋にこの $6.0\text{ cm}$ を興奮が伝導するのにかかった時間です!したがって、伝導速度 $v$ は:
$$v = \frac{8.0\text{ cm} - 2.0\text{ cm}}{8.0\text{ ミリ秒} - 6.0\text{ ミリ秒}} = \frac{6.0\text{ cm}}{2.0\text{ ミリ秒}} = 3.0\text{ cm/ミリ秒}$$問11の計算A点(末端から $2.0\text{ cm}$)を刺激したとき、興奮がA点から座骨神経の末端に達するまでにかかる伝導時間 $t_A$ は:
$$t_A = \frac{2.0\text{ cm}}{3.0\text{ cm/ミリ秒}} \fallingdotseq 0.67\text{ ミリ秒}$$A点を刺激してから筋肉が収縮を開始するまでに合計 $6.0\text{ ミリ秒}$ かかっているので、興奮が座骨神経の末端に達してから筋肉が収縮を開始するまでに要する時間 $T_{\text{syn}}$ は:
$$T_{\text{syn}} = 6.0\text{ ミリ秒} - 0.67\text{ ミリ秒} \fallingdotseq 5.33\text{ ミリ秒}$$選択肢(ア: 0.5ミリ秒、イ: 1ミリ秒、ウ: 2ミリ秒、エ: 5ミリ秒)の中で最も近いものは エ(5ミリ秒) です。
A. アセチルコリンが分泌される。
B. 筋小胞体がカルシウムイオンを放出する。
C. 筋繊維に活動電位が発生する。
D. ミオシンがアクチンに結合できるようになる。
E. 神経伝達物質に依存してはたらくナトリウムイオンチャネルの立体構造が変化する。
STEP 1神経筋接合部から筋収縮に至るゴールデンステップを順番に並べます:
- 興奮が運動神経終末に達すると、シナプス小胞から神経伝達物質であるアセチルコリンが分泌される(A)。
- アセチルコリンが筋繊維(筋細胞)膜上の受容体(リガンド依存性$\text{Na}^+$チャネル)に結合し、ナトリウムイオンチャネルの立体構造が変化して開く(E)。
- $\text{Na}^+$が流入して脱分極し、筋繊維の細胞膜に活動電位が発生する(C)。
- 活動電位がT管を通って内部へ伝わると、筋小胞体がカルシウムイオン($\text{Ca}^{2+}$)を放出する(B)。
- $\text{Ca}^{2+}$がトロポニンに結合してトロポミオシンの位置がずれ、ミオシン(頭部)がアクチンに結合できるようになる(D)。
よって順序は A → E → C → B → D となります。
《D》運動ニューロンの発生・分泌タンパク質・テッポウエビの再生実験(問12〜問14)
[選択肢]ア. 脳 イ. 脊髄 ウ. 末梢神経 エ. ア〜ウ以外の場所
図2でも確認した通り、四肢(手足)の骨格筋を支配する運動ニューロンの細胞体(およびその中の細胞核)は、脊髄の灰白質(腹角)の中に存在し、そこから長い軸索を末梢の手足へと伸ばしています。
[選択肢]ア. 粗面小胞体 イ. 滑面小胞体 ウ. リソソーム エ. ミトコンドリア オ. ゴルジ体 カ. 核小体
細胞外へ分泌されるタンパク質(分泌タンパク質)や膜タンパク質は、表面にリボソームが結合した粗面小胞体で主に合成され、ゴルジ体を経て細胞外へと分泌されます。
🔍 実験1〜3の結果の整理
- 実験1:大きなはさみを切除 ➔ 反対側の小さなはさみが大きなはさみに変化し、切除側には小さなはさみが再生(左右逆転)。
- 実験2:大きなはさみを切除+小さなはさみの腱を切断(開閉できなくなる) ➔ 実験1と同じく左右逆転。
- 実験3:大きなはさみを切除+小さなはさみの神経Xを切断 ➔ 左右逆転した個体と、左右両方に大きなはさみをもつ個体がほぼ同数出現。
💡 各選択肢の厳密判定
- ア. 小さなはさみは、大きなはさみに変化する能力をもっている。
➔ 【正しい(〇)】 実験1・2で、残された小さなはさみが大きなはさみに変化しているため確実です。 - イ. 大きなはさみには、反対側の小さなはさみを大きなはさみに変化させるはたらきがある。
➔ 【誤り(×)】 逆です!大きなはさみがある時は小さなはさみのままで、大きなはさみを切除すると小さなはさみが大きなはさみに変化するので、大きなはさみは「変化を抑制する」はたらきをもっています。 - ウ. はさみを切除しても、その根元に残った組織が失われたはさみの種類を記憶している。再生してくるはさみの種類は、その記憶のみに基づいて決まる。
➔ 【誤り(×)】 「記憶のみに基づいて決まる」なら、大きなはさみを切除した側には常に大きなはさみが再生するはずですが、実験1・2では小さなはさみが再生しています。また実験3で反対側の神経Xを切ると再生する種類が変わることからも、反対側からの情報に影響されることがわかります。 - エ. 再生してくるはさみの種類は、反対側のはさみをどの程度ひんぱんに開閉したかによって決まる。
➔ 【誤り(×)】 実験2で腱を切断してはさみの開閉ができなくなるようにしても、実験1とまったく同じ結果(逆転)になったため、開閉の頻度によって決まるわけではありません。 - オ. 神経Xを介した情報の伝達は、再生してくるはさみの種類に影響しない。
➔ 【誤り(×)】 実験3で神経Xを切断すると、実験1では見られなかった「左右両方に大きなはさみをもつ個体(切除側に大きなはさみが再生した個体)」が半数現れたため、神経Xを介した情報伝達は再生するはさみの種類に影響しています。
大問 II:重水とイヌリンを用いた体液区分の測定・血液循環
大問IIは医学部入試らしい「生理学の体液量測定(希釈法)」の思考計算問題です!ポイントはたった2つ。①重水($\text{D}_2\text{O}$)は細胞膜も毛細血管壁も自由に通過するので「体内の全水分(細胞内液+細胞外液)」に均一に混ざること。②イヌリンは毛細血管壁は通るけれど「細胞内には入らない」ので「細胞外液(血しょう+組織液・リンパ液)」だけに広がること。これを図でイメージできれば、問1〜問4まで一気に完答できますよ!
🎨 一目でわかる!重水とイヌリンが広がる範囲(体液の区分)
a. 血しょう中 b. 赤血球内部 c. リンパ液中 d. 末梢組織の細胞内部
STEP 1 問題文に「重水分子の化学的性質は通常の水分子とよく似ており、通常の水分子が分布する範囲に他の水分子に混ざって拡がっていく」とあります。グラフを見ると、注射後60分では血しょう重水濃度が $450\text{ mg/L}$ で一定(平衡状態)に達しています。水分子は血管壁や細胞膜(アクアポリンや脂質二重層)を通過して体内のすべての水分区画に行き渡るため、血しょう中(a)、赤血球内部(b)、リンパ液中(c)、末梢組織の細胞内部(d)のすべてに存在します。
STEP 1:注射した重水の総質量を求める
動物の体重は $12\text{ kg}$ で、体重 $1\text{ kg}$ あたり $0.25\text{ g}$ の重水を注射したので、注射した重水の総質量 $M$ は:
STEP 2:グラフから平衡時の重水濃度を読み取る
注射後60分以降、重水が体内の全水分に均一に混ざりきったときの血しょう重水濃度 $C$ は、グラフの縦軸($400$ と $500$ のちょうど真ん中、1目盛 $20\text{ mg/L}$ で $400$ から2.5目盛上)より:
STEP 3:体内の全水分量 $V$ を求める
体内の全水分量を $V\text{ (L)}$ とすると、保存則 $M = C \times V$ より:
STEP 1イヌリンは「血管外にもしみだすが、細胞内に取り込まれることはない」ため、血しょう・組織液・リンパ液といった「細胞外液」全体に均一に広がります。
STEP 2したがって、投与量 $i\text{ (mg)}$ を平衡濃度 $j\text{ (mg/L)}$ で割った値 $\dfrac{i}{j}\text{ (L)}$ は、「細胞外液の量(細胞外の水分量)」を表します。
STEP 3問2の答(体内の全水分量 = 細胞内の水分量 + 細胞外の水分量)から $\dfrac{i}{j}$(細胞外の水分量)を引いた残りは、「細胞内の水分量(細胞内液の量)」を表します。
A)この動物の血液量(体積)と問2の答の値(体内の全水分量)の大小比較
B)この動物の血しょうの量(体積)と問3の $i/j$ の値(細胞外液量)の大小比較
C)この動物の血液量(体積)と問3の $i/j$ の値(細胞外液量)の大小比較
● Aの判定:血液(血しょう+血球)に含まれる水分はすべて「体内の全水分量(問2の答)」の一部であり、動物体内には血管外の組織液や末梢組織の細胞内液が大量(体重の約半分以上)に存在します(※赤血球などの固形成分を考慮しても、全水分量約6.67 Lに対して体重12 kgの哺乳類の血液量は約1 L程度であり確実に小さいです)。よって、血液量は問2の答の値より小さい(3)。
● Bの判定:問3の $\dfrac{i}{j}$ は「細胞外液全体の量(血しょう + 組織液 + リンパ液)」です。したがって、血しょう単独の量は、それに組織液・リンパ液を加えた $\dfrac{i}{j}$ の値より確実に小さい(3)。
● Cの判定(要注意ポイント!):
・血液量 = 血しょう + 血球(赤血球など:細胞内液を含む)
・問3の $i/j$(細胞外液量) = 血しょう + 組織液・リンパ液
この2つを比較すると、共通する「血しょう」を除いた「血球の体積」と「組織液・リンパ液の体積」の大小関係になりますが、この実験データからは血球の体積も組織液の体積も個別には測定していないため、原理的にどちらが大きいかは判断できません(4)。
あ)肝門脈 い)右心室 う)左心房 え)大動脈 お)肺動脈 か)肺静脈
STEP 1
大静脈から心臓・肺・全身をめぐる血液循環のルートをたどります:
【大静脈】 ➔ 右心房 ➔ い)右心室 ➔ お)肺動脈 ➔ 肺(毛細血管) ➔ か)肺静脈 ➔ う)左心房 ➔ 左心室 ➔ え)大動脈 ➔ 消化管(小腸など)の毛細血管 ➔ あ)肝門脈 ➔ 肝臓
大問 III:減数分裂における核1個あたりのDNA量変化・二価染色体・遺伝現象
大問IIIの問1グラフ作図と問2の染色体本数カウントは、うっかりミスが起きやすい要注意ポイントです!特に問1は「生殖細胞の持つ核のDNA量を1とする」という指定なので、スタートの$\text{G}_1$期は「2」から始まり、S期に「4」へ増え、第一分裂終期に「2」、第二分裂終期に「1」になることに注意!また問2のD「コ(第二分裂後期)の染色体数」は、姉妹染色分体が分離した直後なので1個の細胞あたり$2n$本になります!
📈 問1 解答グラフ(生殖細胞のDNA量=1としたときの核1個あたりのDNA相対量)
- ア($\text{G}_1$期):生殖細胞($n$、DNA量 $1$)の2倍なので、相対量 $2$ で一定。
- イ($\text{S}$期):DNAの複製が行われ、相対量 $2$ から $4$ へ直線的に増加。
- ウ($\text{G}_2$期)〜 カ(第一分裂後期):1個の核内に相対量 $4$ のDNAが存在。
- キ(第一分裂終期):2つの娘核が形成されて核1個あたりのDNA量は半減し、相対量 $2$ となる(※後期と終期の境界、または終期の中で $4\to 2$ へ下がる)。
- ク(第二分裂前期)〜 コ(第二分裂後期):DNAの複製は行われないまま第二分裂に入るため、相対量 $2$ で一定。
- サ(第二分裂終期)〜 シ(生殖細胞):再び核が2つに分かれてDNA量が半減し、相対量 $1$ となる。
図のオ(第一分裂中期)の時期に見られる染色体は、体細胞分裂の際には見られることはなく減数分裂に特徴的なものであり、特に( A )と呼ばれる。1個(本)のAは( B )本(分子)のDNAから成る。母細胞の染色体数を $2n$ とした場合、Aは1個の細胞当たり全部で( C )個(本)見られる。一方、コ(第二分裂後期)の時期には、染色体は1個の細胞当たり全部で( D )個(本)見られる。
- A:減数分裂第一分裂の前期〜中期に相同染色体どうしが対合してできる染色体を二価染色体(または四分染色体)と呼びます。
- B:複製後の染色体1本は2本の染色分体(=2分子のDNA)から成ります。二価染色体はその相同染色体が2本対合したものなので、1個の二価染色体には $2 \times 2 =$ 4本(分子)のDNAが含まれます。
- C:母細胞の $2n$ 本の染色体が2本ずつペア(二価染色体)を作るため、1個の細胞あたり二価染色体は $\dfrac{2n}{2} =$ $n$ 個(本)見られます。
- D(超重要!):第一分裂が終わった時点(ク・ケ:第二分裂前期・中期)では、1個の細胞あたりの染色体数は半減して $n$ 本です。しかし、コ(第二分裂後期)では、各染色体を構成していた2本の姉妹染色分体が縦裂(分離)してそれぞれ独立した染色体として両極へ移動中なので、この細胞がくびれ切れる前の1個の細胞の中には $n \times 2 =$ $2n$ 個(本)の染色体が見られます!
a. 相同染色体同士の対合が始まる
b. 染色体の乗換えが起こる
c. 染色体が赤道面に並ぶ
d. 対合していた相同染色体同士が分離して両極に向かって移動する
・a(相同染色体の対合開始):第一分裂前期(エ)に起こります。
・b(染色体の乗換え):第一分裂前期(エ)に、対合した二価染色体間で乗換えが起こります。
・c(染色体が赤道面に並ぶ):第一分裂中期(オ)と第二分裂中期(ケ)の2回見られます。
・d(対合していた相同染色体同士の分離・移動):第一分裂後期(カ)に起こります(※第二分裂後期のコは「姉妹染色分体」の分離なので含めません)。
STEP 1減数分裂において父方由来の遺伝情報と母方由来の遺伝情報を混ぜ合わせて新しい遺伝子の組み合わせ(組換えなど)を作る仕組みは、①相同染色体間の「乗換え(組換え)」と、②異なる染色体対(非相同染色体)がランダムに分配される「独立の法則」の2つです。
- 1:優性の法則(1遺伝子雑種の交配)➔ ×
- 2:分離の法則(1遺伝子雑種の自家受精)➔ ×
- 3・5:2遺伝子雑種で雑種第一代($\text{F}_1$)が優性形質を示す現象 ➔ ×
- 4:連鎖している2対の遺伝子(紫・長 と 赤・丸)のヘテロ個体を検定交雑したとき、乗換え(組換え)によって表現型が $8:1:1:8$ の比で現れる現象(染色体の乗換えによる遺伝子組換え)➔ 〇
- 6:不完全優性(中間雑種)➔ ×
- 7:異なる染色体上に存在する2対の対立遺伝子($A/a$ と $B/b$)が互いに独立して配偶子へ分配され、検定交雑で $1:1:1:1$ の比で現れる現象(独立の法則)➔ 〇
大問 IV:X連鎖遺伝(伴性遺伝)の遺伝様式と集団遺伝学(X染色体上の遺伝子頻度)
大問IVは《A》の伴性遺伝と《B》のX染色体上の遺伝子頻度の世代推移です!両方とも超シンプルで確実な黄金ルールがあります。「男子(雄:$\text{XY}$)は母親からしかX染色体をもらわない。女子(雌:$\text{XX}$)は父親と母親から1本ずつX染色体をもらう」!これを使うと、《B》の遺伝子頻度も、次世代の雄の遺伝子頻度は「親の雌の遺伝子頻度そのもの($p_m' = p_f$)」、次世代の雌の遺伝子頻度は「親の雄と雌の平均($p_f' = \frac{p_m + p_f}{2}$)」と1秒で求まります!
《A》X染色体上の突然変異遺伝子の遺伝(問1〜問4)
📌 前提条件の整理(正常なX染色体を $\text{X}$、突然変異遺伝子をもつX染色体を $\text{X}^*$ と表す)
「夫婦のどちらか片方が、突然変異を生じた遺伝子のあるX染色体($\text{X}^*$)を1本持つとき」とあるので、もう片方の親は正常です。
問2(母親が $\text{X}^*\text{X}$、父が $\text{XY}$ で、$\text{X}^*$ が劣性の場合):
子供には障害がどのように現れるか、男子・女子それぞれについて選べ(ア. 全員に現れる イ. 半数に現れる ウ. 全員に現れない)。
STEP 1:子供の遺伝子型を求める
母($\text{X}^*\text{X}$)と父($\text{XY}$)から生まれる子供の遺伝子型は:
・男子:$\text{X}^*\text{Y}$ と $\text{XY}$ が $1:1$(半数が $\text{X}^*\text{Y}$)
・女子:$\text{X}^*\text{X}$ と $\text{XX}$ が $1:1$(半数が $\text{X}^*\text{X}$)
STEP 2:優性(問1)と劣性(問2)で表現型を判定する
・問1($\text{X}^*$ が優性):$\text{X}^*$ を1本でも持てば障害が現れるため、男子(半数が $\text{X}^*\text{Y}$)も女子(半数が $\text{X}^*\text{X}$)も半数に障害が現れます(イ)。
・問2($\text{X}^*$ が劣性):男子はX染色体を1本しか持たないため、$\text{X}^*\text{Y}$ となった半数に障害が現れます(イ)。一方、女子は $\text{X}^*\text{X}$(保因者)または $\text{XX}$ であり、正常遺伝子(優性)を必ず持つため、全員に障害が現れません(ウ)。
問4(父親が $\text{X}^*\text{Y}$、母が $\text{XX}$ で、$\text{X}^*$ が劣性の場合):
子供には障害がどのように現れるか、男子・女子それぞれについて選べ(ア. 全員に現れる イ. 半数に現れる ウ. 全員に現れない)。
STEP 1:子供の遺伝子型を求める
父($\text{X}^*\text{Y}$)と母($\text{XX}$)から生まれる子供の遺伝子型は:
・男子:父からはY染色体、母からは正常なX染色体をもらうため、全員が $\text{XY}$(正常)。
・女子:父からは必ず $\text{X}^*$ をもらい、母からは正常な $\text{X}$ をもらうため、全員が $\text{X}^*\text{X}$(ヘテロ接合体)。
STEP 2:優性(問3)と劣性(問4)で表現型を判定する
・問3($\text{X}^*$ が優性):男子は全員 $\text{XY}$ なので全員に障害が現れません(ウ)。女子は全員 $\text{X}^*\text{X}$ であり、優性の $\text{X}^*$ を持つため全員に障害が現れます(ア)。
・問4($\text{X}^*$ が劣性):男子は全員 $\text{XY}$ なので全員に障害が現れません(ウ)。女子は全員 $\text{X}^*\text{X}$ ですが、$\text{X}^*$ が劣性なので正常な $\text{X}$ によって覆い隠され、全員に障害が現れません(ウ)。
《B》X染色体上の対立遺伝子 $A,\ a$ の遺伝子頻度の世代推移(問5〜問8)
📐 X染色体上の遺伝子頻度の漸化式(黄金公式)
第1代の雄の遺伝子頻度:$p_m^{(1)} = 0.8,\ q_m^{(1)} = 0.2$ / 第1代の雌の遺伝子頻度:$p_f^{(1)} = 0.9,\ q_f^{(1)} = 0.1$
- 次世代の雄($\text{XY}$):X染色体は100%「前の代の雌(母親)」に由来するため、
$$p_m^{(\text{次世代})} = p_f^{(\text{前世代})}, \quad q_m^{(\text{次世代})} = q_f^{(\text{前世代})}$$ - 次世代の雌($\text{XX}$):2本のX染色体のうち1本は「前の代の雄(父親)」、もう1本は「前の代の雌(母親)」に由来するため、遺伝子頻度は父母の遺伝子頻度の平均(足して2で割る)になります!
$$p_f^{(\text{次世代})} = \frac{p_m^{(\text{前世代})} + p_f^{(\text{前世代})}}{2}, \quad q_f^{(\text{次世代})} = \frac{q_m^{(\text{前世代})} + q_f^{(\text{前世代})}}{2}$$
第2代の雄のX染色体はすべて第1代の雌から受け継ぐので、第1代の雌の遺伝子頻度($p_f=0.9,\ q_f=0.1$)と等しくなります:
$$p_m = 0.9, \quad q_m = 0.1$$第2代の雌のX染色体は第1代の雄と雌から1本ずつ受け継ぐので、第1代の雄と雌の平均値になります:
$$p_f = \frac{0.8 + 0.9}{2} = 0.85, \quad q_f = \frac{0.2 + 0.1}{2} = 0.15$$第3代の雄のX染色体はすべて第2代の雌から受け継ぐので、問6で求めた第2代の雌の遺伝子頻度と等しくなります:
$$p_m = 0.85, \quad q_m = 0.15$$第3代の雌の遺伝子頻度は、第2代の雄(問5)と第2代の雌(問6)の平均値になります:
$$p_f = \frac{0.9 + 0.85}{2} = 0.875, \quad q_f = \frac{0.1 + 0.15}{2} = 0.125$$大問 V:分子系統樹の作成と地球史・生物進化の変遷
最終大問Vは、問1が「塩基配列の相違数から分子系統樹を描く問題」、問2〜問6が「先カンブリア時代〜新生代までの生物進化史」です!問1の系統樹は、表2の相違数「A-B間=4、A-C間=8、B-C間=8、Dと他種間=12」から、枝の長さ(分岐年代の比)が $1 : 2 : 3$(または変化数が片道 $2, 4, 6$)になることを反映して描けば完璧です!
STEP 1:表2の塩基相違数から分岐の順序と期間(枝の長さ)を求める
- A種とB種の違い:$4$ 個(最も違いが少ない = 最も新しく分岐した近縁なペア。分岐してから現在までにAの系統とBの系統でそれぞれ $4 \div 2 = 2$ 個ずつ変化した期間に相当)。
- C種と(A種・B種)の違い:A-C間もB-C間も $8$ 個(その次に分岐した種。分岐してから現在までにそれぞれ $8 \div 2 = 4$ 個ずつ変化した期間に相当)。
- D種と(A種・B種・C種)の違い:すべて $12$ 個(最も早く分岐した種。分岐してから現在までにそれぞれ $12 \div 2 = 6$ 個ずつ変化した期間に相当)。
したがって、最初にD種と(A・B・Cの共通祖先)が分岐し、次にC種と(A・Bの共通祖先)が分岐し、最後にA種とB種が分岐した系統樹を、分岐年代の深さが $6 : 4 : 2 = 3 : 2 : 1$ となるように描きます。
🌳 問1 解答:4種(A種・B種・C種・D種)の分子系統樹
※縦向き・斜め向きの系統樹(デンドログラム形式)で描いても同じトポロジー(((A, B), C), D)であれば正解です(A種とB種の位置は入れ替わっても構いません)。
[選択肢]ア. 全球凍結 イ. ヴュルム氷期 ウ. エディアカラ生物群 エ. ケツァルコアトルス オ. ベンド生物
先カンブリア時代末期(原生代末期、約7億〜6億年前)に地球全体が氷河に覆われた現象を全球凍結(スノーボールアース:ア)と呼び、その直後の温暖化に伴って出現した偏平・軟体性の多細胞生物群をオーストラリアの丘陵名にちなんでエディアカラ生物群(ウ)と呼びます。
[選択肢]ア. カンブリア紀 イ. デボン紀 ウ. ジュラ紀 エ. バージェス動物群 オ. オパビニア カ. アノマロカリス
約5.4億年前から始まる古生代最初の紀はカンブリア紀(ア)であり、動物の門が一斉に出現した「カンブリア爆発」が起こりました。カナダのロッキー山脈から産出するカンブリア紀中期の化石群はバージェス動物群(エ)と呼ばれます。
[選択肢]ア. シダ植物 イ. マングローブ ウ. 炭素 エ. 窒素 オ. イオウ
古生代石炭紀には、リンボク・ロボク・フウインボクなどの大型のシダ植物(木生シダ:ア)の大森林が形成されました。その有機物(リグニンやセルロース)が分解されずに地中に埋没し、大量の炭素(ウ)が石炭として固定されました。
[選択肢]ア. 三葉虫類 イ. フデイシ類 ウ. 恐竜類 エ. 始祖鳥
古生代を通じて繁栄し、ペルム紀末に絶滅した代表的な節足動物は三葉虫類(ア)です。また、中生代三畳紀に低酸素環境のもとで気嚢(きのう)システムを発達させて陸上で繁栄したのは恐竜類(ウ)です(※始祖鳥はジュラ紀後期に出現)。
[選択肢]ア. 両生類 イ. 哺乳類 ウ. 新生代 エ. 中生代
単弓類(キノドン類)を直接の祖先とし、三畳紀に出現して新生代に大繁栄した脊椎動物は哺乳類(イ)です。哺乳類は恐竜類が繁栄していた中生代(エ)を通じて小型での動物であり続け、白亜紀末の恐竜絶滅後に新生代で適応放散しました。
東京女子医科大学の2019年度生物は、大問I・III・Vのような「標準知識を正確にアウトプットする問題」と、大問I問14(テッポウエビ)・大問II(重水とイヌリンの体液測定)・大問IV(X染色体上の遺伝子頻度推移)のような「その場で条件を整理して論理的に導く思考・計算問題」が絶妙なバランスで配置されています。特に大問IIの体液区分や大問IVの伴性遺伝の遺伝子頻度は、公式の丸暗記ではなく「なぜそうなるのか(どこに分子が広がるか/誰からX染色体をもらうか)」という原理から理解しておくことで、本番でも迷わず満点が狙えます。間違えた箇所はもう一度STEP解説に戻って、自分の言葉で説明できるまで復習しておきましょう!
過去問演習で時間を溶かしていませんか?
合格の鍵は「全科目の時間配分(バランス調整)」にあります。
私立医学部の入試は、1科目だけできても受かりません。「計算に時間をかけすぎて他科目が崩れる」「推薦対策と一般入試の両立で手が止まっている」——そんな悩みを、TMPS医学館のニックニ先生と一緒に50分で整理しませんか?
【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(東京女子医科大学 2019年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。