共通条件・原子量 試験問題冒頭の与件
原子量: $\mathrm{H} = 1.00,\ \mathrm{C} = 12.0,\ \mathrm{N} = 14.0,\ \mathrm{O} = 16.0,\ \mathrm{Na} = 23.0,\ \mathrm{P} = 31.0,\ \mathrm{S} = 32.1,\ \mathrm{Cl} = 35.5,\ \mathrm{Br} = 79.9$
気体定数: $R = 8.31 \times 10^3\ \mathrm{Pa\cdot L/(K\cdot mol)}$
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※まずは答え合わせ!詳しい途中式は下の各解説へ化学 問題 I(気体の混合・燃焼・飽和蒸気圧)
- 問1(容器Aの全圧) $1.00 \times 10^5\ \mathrm{Pa}$
-
問2(コック開放後の各分圧と全圧)水素:$\mathbf{5.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}}$酸素:$\mathbf{1.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}}$窒素:$\mathbf{4.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}}$全圧:$\mathbf{1.00 \times 10^5\ \mathrm{Pa}}$
-
問3(1)(燃焼後の容器B内の各モル分率)水素:$0.333$窒素:$0.444$水:$0.222$
- 問3(2)(燃焼後の容器Bの全圧) $7.32 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$
- 問3(3)(容器B内の液体の水の質量) $0.122\ \mathrm{g}$
- 問4(1)(再開放後の混合気体の全圧) $8.8 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$
- 問4(2)(再開放後の液体の水の質量) $9.9 \times 10^{-2}\ \mathrm{g}\ (0.099\ \mathrm{g})$
化学 問題 II(有機化合物の構造決定・立体異性体)
- 問1(化合物Aの分子式) $\mathrm{C_{16}H_{20}O_4}$
-
問2(化合物A〜Gの構造式概要 ※正確な図は下記解説へ)
- A: ジメチルマレイン酸とエタノールおよび $p$-エチルフェノールのジエステル
- B: 2,3-ジメチルコハク酸とエタノールおよび $p$-エチルフェノールのジエステル
- C: 2,3-ジメチルコハク酸 $\mathrm{HOOC-CH(CH_3)-CH(CH_3)-COOH}$
- D: エタノール $\mathrm{CH_3-CH_2-OH}$
- E: $p$-エチルフェノール $\mathrm{HO-C_6H_4-CH_2CH_3}$
- F: ジメチルマレイン酸(シス形)
- G: ジメチルマレイン酸無水物(五員環酸無水物)
- 問3(化合物Cの不斉炭素原子の数) $2$ 個
化学 問題 I : 連結球内の気体の混合・燃焼反応・水蒸気の凝縮
大問Iは医学部入試で超頻出の「コック付き連結容器 + 水素の燃焼 + 水の飽和蒸気圧」の融合問題だよ!
合否の分かれ目はズバリ2つ!1つ目は「温度 $T$ と容積 $V$ が一定のとき、圧力 $P$ は物質量(モル)$n$ に完全比例する」ことを使って、前半(問1・問2・問3(2))を爆速で処理すること。2つ目は、問3(3)と問4(2)で「水蒸気がすべて気体だったとしたら何 $\mathrm{Pa}$ になるか?(仮の圧力 $P_{\text{仮}}$)」を計算し、飽和蒸気圧 $3.20 \times 10^3\ \mathrm{Pa}$ を超えた分だけが液体の水に凝縮する!という仕組みを正確に式にできるかどうかだよ。1ステップずつ一緒に追っていこう!
次の文章を読み,以下の問1〜問4に答えよ。
図に示すように,耐圧性の2つの容器A,Bがコックのついた細管でつながっている。容器A,Bの内容積は共に $1.00\ \mathrm{L}$ であり,両容器内は $25\,^\circ\mathrm{C}$ に保たれている。最初,コックは閉じられており,容器Aには酸素 $\mathrm{O_2}$ と窒素 $\mathrm{N_2}$ の混合気体,容器Bには水素 $\mathrm{H_2}$ が入っている。容器A内の酸素と窒素の物質量の比は $1.00 : 4.00$ である。なお,容器の内容積は温度・圧力によって変化せず,連結部分の細管の内容積,点火装置の体積は無視できるものとする。各物質が気体として存在する場合は,理想気体の状態方程式に従うものとし,$25\,^\circ\mathrm{C}$ での水の飽和蒸気圧は $3.20 \times 10^3\ \mathrm{Pa}$ とする。また,容器内で生じた液体の体積は無視できるものとし,水素,窒素,酸素の水への溶解も無視できるものとする。
問1
容器Bには水素が圧力 $1.00 \times 10^5\ \mathrm{Pa}$ で入っている。容器A内の酸素 $\mathrm{O_2}$ の物質量は,容器B内の水素 $\mathrm{H_2}$ の物質量の $2.00 \times 10^{-1}$ 倍になっている。このときの容器A内の混合気体の全圧は何 $\mathrm{Pa}$ か。有効数字3桁で答えよ。
STEP 1容器Bの水素の物質量を基準 $n_0\ [\mathrm{mol}]$ とおく
最初、容器Aと容器Bはどちらも容積 $V = 1.00\ \mathrm{L}$、温度 $T = 25\,^\circ\mathrm{C} = 298\ \mathrm{K}$ で全く同じです。
理想気体の状態方程式 $PV = nRT$ より、$V$ と $T$ が同じなら、気体の圧力 $P$ は物質量 $n$ に正比例します。
そこで、最初の容器B内の水素 $\mathrm{H_2}$ の物質量を $n_0\ [\mathrm{mol}]$ とおきます(このとき圧力は $P_{\mathrm{B}} = 1.00 \times 10^5\ \mathrm{Pa}$ です)。
STEP 2容器A内の酸素 $\mathrm{O_2}$ と窒素 $\mathrm{N_2}$ の物質量を $n_0$ で表す
問題文より、容器A内の酸素 $\mathrm{O_2}$ の物質量 $n(\mathrm{O_2})$ は、容器B内の水素の物質量 $n_0$ の $2.00 \times 10^{-1} = 0.200$ 倍なので、
さらに問題文より、「容器A内の酸素と窒素の物質量の比は $1.00 : 4.00$」なので、窒素 $\mathrm{N_2}$ の物質量 $n(\mathrm{N_2})$ は酸素の $4.00$ 倍です。
STEP 3容器A内の合計物質量から全圧を求める
容器A内の混合気体の合計物質量 $n_{\mathrm{A}}$ は、酸素と窒素を足して、
なんと、容器A内の気体の合計物質量 $1.00\,n_0$ は、容器B内の水素の物質量 $n_0$ と完全に同じ($1.00$ 倍)です!
容積も温度も同じ($1.00\ \mathrm{L},\ 25\,^\circ\mathrm{C}$)なので、容器A内の全圧 $P_{\mathrm{A}}$ は容器Bの圧力と全く同じになります。
問2
問1の状態からコックを開いて,温度を $25\,^\circ\mathrm{C}$ に保ったまま長時間放置し,両容器内の気体を十分に混合させた。このときの水素,酸素,窒素の分圧および全圧はそれぞれ何 $\mathrm{Pa}$ か。いずれも有効数字3桁で答えよ。
STEP 1コックを開く前の各気体の圧力(容積 $1.00\ \mathrm{L}$ のとき)を整理する
コックを開く前(容積 $1.00\ \mathrm{L}$)、物質量 $n_0$ がつくる圧力が $1.00 \times 10^5\ \mathrm{Pa}$ でした。
したがって、コックを開く前の各気体の圧力は以下の通りです。
- 容器Bの水素 $\mathrm{H_2}$(物質量 $1.00\,n_0$): $P_{\text{前}}(\mathrm{H_2}) = 1.00 \times 10^5\ \mathrm{Pa}$
- 容器Aの酸素 $\mathrm{O_2}$(物質量 $0.200\,n_0$): $P_{\text{前}}(\mathrm{O_2}) = 0.200 \times (1.00 \times 10^5\ \mathrm{Pa}) = 2.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$
- 容器Aの窒素 $\mathrm{N_2}$(物質量 $0.800\,n_0$): $P_{\text{前}}(\mathrm{N_2}) = 0.800 \times (1.00 \times 10^5\ \mathrm{Pa}) = 8.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$
STEP 2コックを開くと体積が $1.00\ \mathrm{L} \to 2.00\ \mathrm{L}$ の2倍になる!(ボイルの法則)
コックを開いても、点火する前は化学反応は起こりません。また温度は $25\,^\circ\mathrm{C}$ で一定です。
それぞれの気体が自由に動ける体積が $1.00\ \mathrm{L}$ から $\mathbf{1.00 + 1.00 = 2.00\ \mathrm{L}}$(2倍)に広がるため、ボイルの法則($PV = \text{一定}$)より、各気体の分圧はすべて半分($\dfrac{1}{2}$ 倍)になります!
STEP 3ドルトンの分圧の法則より全圧を求める
全圧 $P_{\text{全}}$ は、すべての気体の分圧の和(そもそも最初のAとBがともに $1.00 \times 10^5\ \mathrm{Pa}$ だったので混ぜても同じ圧力)です。
問3
問2の操作の後で,コックを閉じて容器B内の混合気体に点火し水素を燃焼させると,容器B内の酸素はすべて消費された。この燃焼反応直後においては,容器B内は一時的に高温となるが,徐々に温度が下がり,最終的に $25\,^\circ\mathrm{C}$ に保たれた。このとき,次の(1)〜(3)に答えよ。
(1) 容器B内の水素,窒素,水のそれぞれのモル分率を小数第3位まで記せ。モル分率とは,全物質量に対する各成分の物質量の割合であり,本問では0以上1以下の数値で答えよ。なお,水は液体および気体の状態のいずれもを含む。
(2) 容器B内の混合気体の全圧は何 $\mathrm{Pa}$ か。有効数字3桁で答えよ。
(3) 容器B内において,凝縮によって生じた液体の水の質量は何 $\mathrm{g}$ か。有効数字3桁で答えよ。ただし,液体の水が生じないと考えられる場合は,「0」と記せ。
■ 問3(1) のステップ解説:燃焼反応の量的関係とモル分率
STEP 1点火前の容器B内の分圧(=物質量の比)から反応表を作る
コックを閉じた瞬間、容器B($1.00\ \mathrm{L},\ 25\,^\circ\mathrm{C}$)の中には、問2で求めた分圧のまま気体が入っています。
定温・定容($25\,^\circ\mathrm{C},\ 1.00\ \mathrm{L}$ 基準)では、「物質量(モル)の比 = 気体として存在すると仮定したときの圧力の比」なので、計算が一番ラクな $\times 10^4\ \mathrm{Pa}$ を単位として反応前後の表(ICE表)を書いてみましょう!
(※物質量 $n_0$ を使って表しても同じです。コックを閉じたとき容器Bには全体の半分が入っているので、反応前は $\mathrm{H_2}=0.500\,n_0,\ \mathrm{O_2}=0.100\,n_0,\ \mathrm{N_2}=0.400\,n_0$ であり、反応後は $\mathrm{H_2}=0.300\,n_0,\ \mathrm{N_2}=0.400\,n_0,\ \mathrm{H_2O}=0.200\,n_0$ となります。)
STEP 2液体・気体すべて含めた全物質量に対するモル分率を計算する
問題文に「なお、水は液体および気体の状態のいずれもを含む」とあるため、凝縮するかどうかに関係なく、反応後に容器B内に存在する物質量の比は、 $$\mathrm{H_2} : \mathrm{N_2} : \mathrm{H_2O} = 3.00 : 4.00 : 2.00$$ です。合計を $3.00 + 4.00 + 2.00 = 9.00$ として、それぞれのモル分率を小数第3位(小数第4位を四捨五入)まで求めます。
■ 問3(2) のステップ解説:水蒸気の凝縮判定と容器B内の全圧
STEP 1生成した水がすべて気体(水蒸気)だったと仮定したときの圧力 $P_{\text{仮}}(\mathrm{H_2O})$ を調べる
問3(1)の反応表より、容器B($1.00\ \mathrm{L},\ 25\,^\circ\mathrm{C}$)で生成した水 $\mathrm{H_2O}$ がもしすべて気体(水蒸気)として存在したとすると、その圧力 $P_{\text{仮}}(\mathrm{H_2O})$ は、
ここで、問題文より $25\,^\circ\mathrm{C}$ での水の飽和蒸気圧は $P_{\text{飽和}} = 3.20 \times 10^3\ \mathrm{Pa}$ です。
$$P_{\text{仮}}(\mathrm{H_2O}) = 2.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa} > P_{\text{飽和}} = 3.20 \times 10^3\ \mathrm{Pa}$$
仮の圧力が飽和蒸気圧を大きく超えているため、水蒸気の一部は凝縮して液体の水になり、気体として残る水蒸気の分圧は飽和蒸気圧 $P(\mathrm{H_2O}) = 3.20 \times 10^3\ \mathrm{Pa}$ で頭打ち(一定)になります!
STEP 2気体の水素・窒素・水蒸気の分圧を合計して全圧を求める
$25\,^\circ\mathrm{C}$ における容器B内の各気体の分圧は以下の通りです。
- 残った水素の分圧: $P(\mathrm{H_2}) = 3.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$
- 反応しなかった窒素の分圧: $P(\mathrm{N_2}) = 4.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$
- 気体の水蒸気の分圧(飽和蒸気圧): $P(\mathrm{H_2O}) = 3.20 \times 10^3\ \mathrm{Pa} = 0.320 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$
■ 問3(3) のステップ解説:凝縮して生じた液体の水の質量
STEP 1「凝縮した水蒸気の圧力差 $\Delta P$」を状態方程式に代入して物質量を求める
すべて気体だった場合の圧力 $P_{\text{仮}}(\mathrm{H_2O}) = 2.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$ のうち、気体のまま残れるのは飽和蒸気圧 $P_{\text{飽和}} = 0.320 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$ までです。
つまり、差引き $\Delta P = (2.00 - 0.320) \times 10^4 = 1.68 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$ 分の水蒸気が凝縮して液体の水になったということです!
容器Bの体積は $V_{\mathrm{B}} = 1.00\ \mathrm{L}$、温度は $T = 25 + 273 = 298\ \mathrm{K}$、気体定数は $R = 8.31 \times 10^3\ \mathrm{Pa\cdot L/(K\cdot mol)}$ なので、凝縮した液体の水の物質量 $n_{\text{液}}\ [\mathrm{mol}]$ は、
STEP 2水のモル質量 $M(\mathrm{H_2O}) = 18.0\ \mathrm{g/mol}$ を掛けて質量 $w_{\text{液}}\ [\mathrm{g}]$ を計算する
原子量 $\mathrm{H}=1.00,\ \mathrm{O}=16.0$ より、水のモル質量は $1.00 \times 2 + 16.0 = 18.0\ \mathrm{g/mol}$ です。
したがって、液体の水の質量 $w_{\text{液}}\ [\mathrm{g}]$ は、
有効数字3桁に四捨五入して、求める液体の水の質量は $\mathbf{0.122\ \mathrm{g}}$ となります。
問4
問3の操作の後でコックを開いて,両容器内の温度を $25\,^\circ\mathrm{C}$ に保ったまま長時間放置した。このとき,次の(1),(2)に答えよ。
(1) 混合気体の全圧は何 $\mathrm{Pa}$ か。有効数字2桁で答えよ。
(2) 液体の水の質量は何 $\mathrm{g}$ か。有効数字2桁で答えよ。ただし,液体の水が生じないと考えられる場合は,「0」と記せ。
問2の状態のまま閉じ込められているので:
- ・$\mathrm{H_2} : 5.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$ ($1.00\ \mathrm{L}$中)
- ・$\mathrm{O_2} : 1.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$ ($1.00\ \mathrm{L}$中)
- ・$\mathrm{N_2} : 4.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$ ($1.00\ \mathrm{L}$中)
- ・$\mathrm{H_2O} : 0\ \mathrm{Pa}$
問3で燃焼した後の状態なので:
- ・$\mathrm{H_2} : 3.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$ ($1.00\ \mathrm{L}$中)
- ・$\mathrm{O_2} : 0\ \mathrm{Pa}$ (すべて消費)
- ・$\mathrm{N_2} : 4.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$ ($1.00\ \mathrm{L}$中)
- ・$\mathrm{H_2O}(\text{全量}) : 2.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$ 相当($1.00\ \mathrm{L}$中)
■ 問4(1) のステップ解説:コック再開放後の各分圧と全圧
STEP 1コックを開いた後(全体積 $V_{\text{全}} = 2.00\ \mathrm{L}$)の $\mathrm{H_2},\ \mathrm{O_2},\ \mathrm{N_2}$ の分圧を求める
容器A($1.00\ \mathrm{L}$)と容器B($1.00\ \mathrm{L}$)は体積が同じなので、コックを開いて全体積が $2.00\ \mathrm{L}$ になると、各気体の分圧は「容器Aの圧力と容器Bの圧力の平均値(足して2で割った値)」になります!
STEP 2体積 $2.00\ \mathrm{L}$ になったときの水 $\mathrm{H_2O}$ の凝縮判定を行う
水 $\mathrm{H_2O}$ は、容器B($1.00\ \mathrm{L}$)で $2.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$ 相当生成していました。
コックを開いて体積が $2.00\ \mathrm{L}$(2倍)になったとき、もしすべての水が気体(水蒸気)になったと仮定すると、その圧力 $P''_{\text{仮}}(\mathrm{H_2O})$ は半分になり、
これを $25\,^\circ\mathrm{C}$ の飽和蒸気圧 $P_{\text{飽和}} = 3.20 \times 10^3\ \mathrm{Pa} = 0.320 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$ と比べると、 $$P''_{\text{仮}}(\mathrm{H_2O}) = 1.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa} > P_{\text{飽和}} = 0.320 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$$ まだ飽和蒸気圧を超えています!したがって、コックを開いて容器A側にも水蒸気が広がり一部は蒸発しますが、それでもなお液体の水が残っており、気体の水蒸気の分圧は飽和蒸気圧 $P''(\mathrm{H_2O}) = 0.320 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$ のままです。
STEP 3全圧を計算し、指定された「有効数字2桁」で答える
※注意!問1〜問3は「有効数字3桁」でしたが、問4は問題文で「有効数字2桁で答えよ」と指定されています。ケアレスミスに要注意!
■ 問4(2) のステップ解説:残っている液体の水の質量
STEP 1体積 $V_{\text{全}} = 2.00\ \mathrm{L}$ における凝縮分の圧力差 $\Delta P''$ から質量を求める
全体積 $V_{\text{全}} = 2.00\ \mathrm{L}$ において、全水量の仮の圧力は $P''_{\text{仮}}(\mathrm{H_2O}) = 1.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$、気体として存在できる飽和蒸気圧は $P_{\text{飽和}} = 0.320 \times 10^4\ \mathrm{Pa}$ です。
したがって、液体の水として凝縮している分の圧力差 $\Delta P''$ は、
$$\Delta P'' = (1.00 - 0.320) \times 10^4\ \mathrm{Pa} = 0.680 \times 10^4\ \mathrm{Pa} = 6.80 \times 10^3\ \mathrm{Pa}$$
(体積 $V_{\text{全}} = 2.00\ \mathrm{L}$)です。
問3(3)と同じく、状態方程式 $n''_{\text{液}} = \dfrac{\Delta P'' \cdot V_{\text{全}}}{RT}$ に水のモル質量 $18.0\ \mathrm{g/mol}$ を掛けて、液体の水の質量 $w''_{\text{液}}\ [\mathrm{g}]$ を計算します。
STEP 2別解(秒殺テクニック):問3(3)の結果との比例計算!
実は、$1.00\ \mathrm{L}$ 換算での水の物質量を比べると、最初は $2.00 \times 10^4\ \mathrm{Pa}\cdot\mathrm{L}$ 相当の水があり、問3(3)では $1.00\ \mathrm{L}$ 分の水蒸気($0.320 \times 10^4\ \mathrm{Pa}\cdot\mathrm{L}$)を引いた $\mathbf{1.68 \times 10^4\ \mathrm{Pa}\cdot\mathrm{L}}$ 分が液体でした。
問4(2)では $2.00\ \mathrm{L}$ 分の水蒸気($0.320 \times 10^4 \times 2 = 0.640 \times 10^4\ \mathrm{Pa}\cdot\mathrm{L}$)を引いた $\mathbf{(2.00 - 0.640) \times 10^4 = 1.36 \times 10^4\ \mathrm{Pa}\cdot\mathrm{L}}$ 分が液体です。
だから、問3(3)の計算結果 $0.1221\ \mathrm{g}$ を $\dfrac{1.36}{1.68}$ 倍するだけで一発で出せます!
$$w''_{\text{液}} = 0.1221\ \mathrm{g} \times \frac{1.36}{1.68} = 0.09884\cdots\ \mathrm{g}$$
有効数字2桁に四捨五入して、答えは $\mathbf{9.9 \times 10^{-2}\ \mathrm{g}}$(または $\mathbf{0.099\ \mathrm{g}}$) です!
化学 問題 II : 有機化合物(ジエステル)の燃焼分析・構造決定・不斉炭素原子
大問IIは王道の「エステル加水分解パズル + 立体異性体(シス・トランス、不斉炭素)」だよ!
問題文の後半に超わかりやすいヒントが並んでいるから、パズルは後ろ(D・E・F・G)から解くのが鉄則!
・エチレンの水和 $\to$ Dはエタノール!
・無水マレイン酸の2つの $\mathrm{H}$ をメチル基に置換 $\to$ Gはジメチルマレイン酸無水物、加熱してGになるFはジメチルマレイン酸(シス形)!
・F(炭素6個)+ D(炭素2個)をA($\mathrm{C_{16}H_{20}O_4}$)から引けば、Eの炭素数は $16 - 6 - 2 = 8$ 個と一瞬で確定するよ。最後までミスなく描き切ろう!
次の文章を読み,以下の問1〜問3に答えよ。なお,構造式は例にならって記せ。また,本問において,シス形からトランス形,トランス形からシス形への構造変化(異性化)は起こらないものとする。
化合物 A は,炭素,水素,酸素からなり,その分子量は $250$ から $300$ の間にあり,複数のエステル結合をもっている。化合物 A $27.6\ \mathrm{mg}$ を完全に燃焼させたところ,二酸化炭素 $70.4\ \mathrm{mg}$ と水 $18.0\ \mathrm{mg}$ が生成した。化合物 A に対して適切な触媒を用いて水素を付加させると,分子量が $2.00$ 増加した化合物 B が得られた。ただし,この水素の付加反応は,炭素―炭素原子間の二重結合に対して起こるが,ベンゼン環内の炭素―炭素原子間の二重結合に対しては起こらない。また,化合物 B は不斉炭素原子を2つもっており,化合物 B に水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱したのち,希塩酸を加えて酸性にしたところ,化合物 C,化合物 D,化合物 E が生成した。
次に,化合物 A に水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱したのち,希塩酸を加えて酸性にしたところ,化合物 D,化合物 E,化合物 F が生成した。化合物 D は,リン酸触媒のもと加熱・加圧($300\mathrm{^\circ C},\ 7\ \mathrm{MPa}$)して,エチレンに水蒸気を付加させることによっても生成するものであった。化合物 E は分子内に酸素原子を1つ含み,塩化鉄(III)水溶液と反応し,呈色した。また,化合物 E はベンゼンの二置換体であり,これに臭素を作用させ,ベンゼン環の水素原子の1つを臭素原子に置換させた場合には,2種類の異性体が生成しうる。化合物 F を加熱すると分子内縮合が起こり,化合物 G と水が生成した。化合物 G は無水マレイン酸の2つの水素原子をいずれもメチル基に置換した化合物であった。
なお,化合物 A〜G はすべて有機化合物である。
問1.化合物 A の分子式を記せ。
問2.化合物 A〜G の構造式をそれぞれ記せ。
問3.化合物 C は,分子内に不斉炭素原子が何個存在するか。その数を記せ。
🗺️ 化合物 A〜G の反応系統図(全体マップ)
化合物 A($\mathrm{C_{16}H_{20}O_4}$,ジエステル)
$\xrightarrow{\text{1) }\mathrm{NaOH}\text{ 加熱 / 2) }\mathrm{HCl}}$ D + E + F
- ・D: エチレン $+\ \mathrm{H_2O} \to$ エタノール($\mathrm{C_2H_6O}$)
- ・E: $\mathrm{FeCl_3}$ 呈色・二置換体(Br化で2種=パラ位)$\to$ $p$-エチルフェノール($\mathrm{C_8H_{10}O}$)
- ・F: 加熱で分子内脱水して G へ $\to$ ジメチルマレイン酸($\mathrm{C_6H_8O_4}$,シス形)
- ・G: 無水マレイン酸の2つの $\mathrm{H}$ を $\mathrm{CH_3}$ に置換 $\to$ ジメチルマレイン酸無水物($\mathrm{C_6H_6O_3}$)
化合物 A $\xrightarrow{+\,\mathrm{H_2}\ (\text{分子量}+2.00)}$ 化合物 B($\mathrm{C_{16}H_{22}O_4}$)
$\xrightarrow{\text{1) }\mathrm{NaOH}\text{ 加熱 / 2) }\mathrm{HCl}}$ C + D + E
- ・Aの $\mathrm{C=C}$ 二重結合1個に $\mathrm{H_2}$ が付加して B になる(Bは不斉炭素2個)。
- ・加水分解で D と E は共通なので、F(ジメチルマレイン酸)に $\mathrm{H_2}$ が付加したものが C!
- ・C: 2,3-ジメチルコハク酸 $\mathrm{HOOC-C^*H(CH_3)-C^*H(CH_3)-COOH}$(不斉炭素2個)
問1 : 化合物Aの分子式の決定(元素分析)
STEP 1二酸化炭素 $\mathrm{CO_2}$ と水 $\mathrm{H_2O}$ の質量から、$\mathrm{C,\ H,\ O}$ の質量と物質量(mmol)を求める
化合物A $27.6\ \mathrm{mg}$ 中に含まれる炭素 $\mathrm{C}$(原子量 $12.0$)、水素 $\mathrm{H}$(原子量 $1.00$)、酸素 $\mathrm{O}$(原子量 $16.0$)の質量を求めます。
$\mathrm{CO_2}$ のモル質量は $44.0\ \mathrm{g/mol}$、$\mathrm{H_2O}$ のモル質量は $18.0\ \mathrm{g/mol}$ です。
STEP 2原子数の比 $\mathrm{C : H : O}$ から組成式を求める
それぞれの質量を原子量で割って、物質量($\mathrm{mmol}$)の比を求めます。
したがって、化合物Aの組成式は $\mathbf{\mathrm{C_4H_5O}}$(式量 $= 12.0 \times 4 + 1.00 \times 5 + 16.0 = 69.0$)となります。
STEP 3分子量の条件($250 \sim 300$)から分子式を確定する
化合物Aの分子式を $(\mathrm{C_4H_5O})_n$ とおくと、分子量は $69.0\,n$ です。これが $250$ から $300$ の間にあるので、
よって、化合物Aの分子式は $\mathbf{\mathrm{C_{16}H_{20}O_4}}$ です!(不飽和度は $\dfrac{2 \times 16 + 2 - 20}{2} = 7$ です)。
問2 : 化合物A〜Gの構造決定と構造式
STEP 1化合物Dの決定(エチレンの水和)
「化合物Dは、リン酸触媒のもと加熱・加圧して、エチレン $\mathrm{CH_2=CH_2}$ に水蒸気 $\mathrm{H_2O}$ を付加させることによっても生成する」
これは工業的なエタノールの製法そのものです!
よって、化合物Dはエタノール $\mathrm{CH_3-CH_2-OH}$(分子式 $\mathrm{C_2H_6O}$)です。
STEP 2化合物Gと化合物Fの決定(マレイン酸誘導体)
「化合物Fを加熱すると分子内縮合(脱水)が起こり、化合物Gと水が生成した。化合物Gは無水マレイン酸の2つの水素原子をいずれもメチル基に置換した化合物であった」
・無水マレイン酸の二重結合についた2つの $\mathrm{H}$ を2つとも $-\mathrm{CH_3}$ に置き換えたものが 化合物G(ジメチルマレイン酸無水物,分子式 $\mathrm{C_6H_6O_3}$)です。
・そして、加熱により異性化することなく分子内脱水して五員環の酸無水物Gになるジカルボン酸は、2つのカルボキシ基 $-\mathrm{COOH}$ が同じ側(シス位)にあるシス形のジカルボン酸、すなわち 化合物F(ジメチルマレイン酸,分子式 $\mathrm{C_6H_8O_4}$)です!
STEP 3化合物Eの決定(炭素数の計算と芳香族二置換体の配向性)
化合物A($\mathrm{C_{16}H_{20}O_4}$)はジカルボン酸であるF($\mathrm{C_6H_8O_4}$)の2つの $-\mathrm{COOH}$ が、D($\mathrm{C_2H_6O}$)および E とエステル結合したジエステルです。
加水分解反応の物質収支:
$$\underbrace{\mathrm{C_{16}H_{20}O_4}}_{\text{A}} + 2\,\mathrm{H_2O} \longrightarrow \underbrace{\mathrm{C_2H_6O}}_{\text{D}} + \text{E} + \underbrace{\mathrm{C_6H_8O_4}}_{\text{F}}$$
両辺の原子数を比較すると、化合物Eの分子式は、
$$\mathrm{C}: 16 - (2 + 6) = 8,\quad \mathrm{H}: 20 + 4 - (6 + 8) = 10,\quad \mathrm{O}: 4 + 2 - (1 + 4) = 1 \quad \Longrightarrow \quad \mathbf{\mathrm{C_8H_{10}O}}$$
さらに化合物Eの条件を確認しましょう:
①「塩化鉄(III)水溶液と反応し、呈色した」 $\to$ フェノール性ヒドロキシ基(ベンゼン環に直結した $-\mathrm{OH}$)をもつ。
②「ベンゼンの二置換体である」 $\to$ ベンゼン環に $-\mathrm{OH}$ が1つあるので、もう1つの置換基は残りの炭素2個分のエチル基 $-\mathrm{CH_2CH_3}$ である(つまりエチルフェノール)。
③「ベンゼン環の水素原子の1つを臭素原子 $\mathrm{Br}$ に置換させた場合には、2種類の異性体が生成しうる」
・オルト体($o$-エチルフェノール)なら環の残り4つの $\mathrm{H}$ はすべて非等価なので 4種類。
・メタ体($m$-エチルフェノール)も対称軸がないため 4種類。
・パラ体($p$-エチルフェノール)なら左右対称(鏡面対称)になるため、$-\mathrm{OH}$ の隣か $-\mathrm{CH_2CH_3}$ の隣かの 2種類のみ!
よって、化合物Eは $p$-エチルフェノールと完全に確定します!
STEP 4化合物A・B・Cの決定(水素付加と立体配置)
・化合物Aは、ジカルボン酸 F(ジメチルマレイン酸,シス形)の2つの $-\mathrm{COOH}$ に、D(エタノール)と E($p$-エチルフェノール)がそれぞれエステル結合した化合物です。
・化合物Bは、Aに水素 $\mathrm{H_2}$ が1分子付加(分子量 $+2.00$)した化合物なので、Aの中央の $\mathrm{C=C}$ 二重結合が単結合 $\mathrm{CH(CH_3)-CH(CH_3)}$ になったジエステルです。左側の炭素には $[-\mathrm{H},\ -\mathrm{CH_3},\ -\mathrm{COOCH_2CH_3},\ -\mathrm{CH(CH_3)COOC_6H_4CH_2CH_3}]$、右側の炭素にも4つの異なる原子団が結合しているため、たしかに不斉炭素原子を2つもっています。
・化合物Cは、Bを加水分解して得られるジカルボン酸(すなわちFの $\mathrm{C=C}$ に水素が付加したもの)なので、2,3-ジメチルコハク酸 $\mathrm{HOOC-CH(CH_3)-CH(CH_3)-COOH}$ です!
✅ 問2 最終解答:化合物 A〜G の構造式一覧(構造式例に準拠)
問3 : 化合物Cの分子内に存在する不斉炭素原子の数
STEP 1化合物C(2,3-ジメチルコハク酸)の各炭素原子に結合している4つの原子団を確認する
化合物Cの構造式は、
$$\mathrm{HOOC - \overset{\displaystyle *}{C}H(CH_3) - \overset{\displaystyle *}{C}H(CH_3) - COOH}$$
です。中央の2つの炭素原子(2位と3位の炭素原子)に注目すると、それぞれに結合している4つの原子団は:
① 水素原子 $-\mathrm{H}$
② メチル基 $-\mathrm{CH_3}$
③ カルボキシ基 $-\mathrm{COOH}$
④ もう一方の $-\mathrm{CH(CH_3)COOH}$ 基
の4種類であり、4つすべてが互いに異なる原子団です!
(※補足:シス形のAにシス付加で水素が付加するとメソ体のCになりますが、「メソ体であっても分子内の不斉炭素原子の数は2個」です。酒石酸と同様に自信をもって「2」と答えましょう!)
2024年度の愛知医科大学・化学の全問題解説、お疲れ様でした!
大問Iの「コック開閉に伴う水蒸気の凝縮量計算」と、大問IIの「ジエステルの加水分解と立体構造の復元」は、どちらも私立医学部入試でそのまま繰り返し出題される超重要テーマだよ。特に問4の有効数字2桁指定や、化合物F・Aのシス形指定のような細かい条件を見落とさないことが本番での合格ライン突破に直結するから、もう一度自分の手でゼロから再現できるかチャレンジしてみてね!応援しているよ!
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