問1:空欄補充と金属A・物質B。要確認電池は酸化還元反応で電子を取り出す装置です。電位の高い方が正極、低い方が負極で、負極の標準電極電位は正極より小さい。表1で電位が最も高い金属は Ag(A)。鉛蓄電池は放電すると、負極でも正極でも鉛が硫酸鉛(II) $\mathrm{PbSO_4}$(B)になります。
📌 このページの使い方
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- お持ちでない方:各大問の「どういう問題か」を読めば、問題の中身がそのまま分かります
- 最後にそっくり類題セット(PDF版あり)を60分で解き、初見でも同じ解き方ができるか確かめる
※ 著作権に配慮し、入試問題の本文・図は掲載していません。図はTMPSが作成した解説用の図です。本番は理科2科目で120分・200点で、このページでは化学に60分を使う想定で時間配分を示しています。※ 知識問題(用語・物質の性質・理由づけ・記述など)は、スクリプトでは確かめられないため「要確認」と示しています。
⚠️ 問題等で誤りを発見された場合、修正しますので、TMPS医学館までLINEを下さい。(迅速に確認・更新いたします)
LINEで誤りを連絡3分で分かる 2024年度の慈恵医大の化学
- ✅ 全3大問・理科2科目で120分。大問1が問1〜5、大問2が問1〜6、大問3が問1〜11。空欄補充、計算、反応式、構造式、そして字数制限つきの記述が混ざる、記述式中心の試験です。
- ✅ 大問1は「電池・電気分解」。標準電極電位の表を読んで、鉛蓄電池の電気量と質量変化、リチウムイオン電池の起電力、銅の電解精錬(陽極と陰極の質量変化から沈殿物の質量を逆算)、アルミニウムの溶融塩電解(炭素電極の副反応と電流効率)まで、電気化学を一通り問います。
- ✅ 大問2は「リン・硫黄・窒素の化合物」。核酸・タンパク質に関する空欄補充、リン酸の緩衝液、ケルダール法、酸無水物の構造、十硫化四リンと水の反応(気体の溶解を含む計算)、そして硫黄を含む反応剤(P₂S₂ の四員環)の構造と性質を読み解く問題です。
- ✅ 大問3は「元素分析とテルペン」。吸収管による元素分析の考え方、アミノ酸の組成式、イソペンテニル二リン酸に由来する化合物の流れ(加水分解・酸化・オゾン分解・ヨードホルム反応)、そしてモノテルペンの骨格を二環式に変える結合の位置を答える、有機の流れを追う大問です。
- ✅ 差がつくのは、図表の読み取りと「与えられた値の使いどころ」。たとえば大問1 問4は、電解で溶けた銅と析出した銅の差から亜鉛の量を割り出し、残りの質量が沈殿物(銀)になる、という質量の収支を立てられるかで決まります。


化学60分の立ち回りマップ
時間はTMPSの目安です。本番は理科2科目で120分なので、化学に60分を使う想定で配分しています。
本番の答え一覧(採点用)
解説を読む前の採点用です。計算問題はpythonで再計算し、知識問題は「要確認」として分けています(注記を参照)。
大問1(電池・電気分解)
大問2(リン・硫黄・窒素)
大問3(元素分析・テルペン)
※ 検算:計算問題(大問1 問2・4・5(ii)、大問2 問2・3(ii)・5(ii)、大問3 問4・9)は、有効数字まで含めてpythonで再計算し、反応式は原子数の保存をスクリプトで確かめました。構造式の分子式、骨格をつくる結合の組合せ(問10)、不斉炭素の数(問11)はRDKitで確認しています。
採点したら → 30秒の得点診断へ大問1 電池・電気分解 ── 電子の物質量から、すべてを出発させる
標準電極電位の表(表1)を使う5問。どの問いも「流れた電子の物質量」が出発点です。
電池と電気分解を、標準電極電位の表で一貫して扱う大問。電子の物質量で話をそろえて、質量・物質量・効率へ落とし込む。
- 問1:電池と電位の関係に関する空欄 ア〜ウ(語句)と、表1の中から選ぶ金属 A、鉛蓄電池の両極に共通して生じる物質 B
- 問2:鉛蓄電池を一定の電流・時間で放電したとき、質量が大きく増える極はどちらか、およびその増加量(有効数字2桁)
- 問3:リチウムイオン電池の起電力(表1の値から)と、リチウムイオン電池の化学的な特徴を記述で2つ
- 問4:粗銅の電解精錬で、陽極・陰極の質量変化と電解液中の銅(II)イオン濃度の変化から、陽極の下に沈んだ物質の質量(有効数字2桁)
- 問5:アルミニウムの溶融塩電解。(i)全体の反応式、(ii)排出される気体の割合から電流効率、(iii)選択肢から正しいものをすべて選ぶ
問2:鉛蓄電池の質量変化。流れた電子の物質量を先に出します。
負極は $\mathrm{Pb}+\mathrm{SO_4^{2-}}\to\mathrm{PbSO_4}+2e^-$ で、電子2個あたり $\mathrm{SO_4}$ 分(96)だけ増えます。正極は $\mathrm{PbO_2}+4\mathrm{H^+}+\mathrm{SO_4^{2-}}+2e^-\to\mathrm{PbSO_4}+2\mathrm{H_2O}$ で、$\mathrm{PbO_2}\to\mathrm{PbSO_4}$ なので $\mathrm{SO_2}$ 分(64)だけ増えます。
増加量が大きいのは負極(Pb)で、2.4 g です。
問3:リチウムイオン電池。起電力は(正極の電位)−(負極の電位)。与えられた正極の電位 0.90 V と、表1の Li の $-3.05$ V の差です。
記述の特徴は2つ。①起電力が大きい(Li の電位がきわめて小さい)、②電解液に水を使えない(Li は水と激しく反応するので、有機溶媒を用いた電解液にする)。要確認
問4:電解精錬。陰極は 3.810 g 増えたので、析出した銅は $3.810\div63.5=0.0600$ mol。電解液の銅(II)イオンは $0.400\ \text{L}\times0.0100\ \text{mol/L}=0.00400$ mol 減っています。つまり、陽極から溶け出した銅は析出した分から減った分を引いた量です。
流れた電子は $0.0600\times2=0.120$ mol。陽極で銅が出した電子は $0.0560\times2=0.112$ mol なので、足りない $0.008$ mol を出したのが亜鉛($\mathrm{Zn}\to\mathrm{Zn^{2+}}+2e^-$)です。
陽極は 3.859 g 減りました。溶けた銅と亜鉛の質量を引いた残りが、溶けずに沈んだ銀です。
問5(i):反応式。酸化アルミニウムを炭素電極で電気分解します。陰極で $\mathrm{Al^{3+}}+3e^-\to\mathrm{Al}$、陽極で酸化物イオンが炭素と結びついて $\mathrm{CO_2}$ になります。電子を合わせます($3\times4=4\times3$)。
(ii):電流効率。排出される気体の合計を 1 mol とおくと、$\mathrm{CO_2}$ が 0.840 mol、CO が 0.160 mol。副反応がなければ、気体はすべて $\mathrm{CO_2}$ で、Al は式(i)から $\dfrac43$ mol。CO が出た分は、1 mol の CO あたり Al が $\dfrac23$ mol 少なくなります。
(iii):正しい記述の選択。要確認選択肢のうち、(d) と (g) を選びます。(g) については、問題文の指定との対応を問題冊子で確かめてください。

大問1:電池・電気分解の型
| 小問 | やること | 着眼点 |
|---|---|---|
| 問2 | $Q=It$ から電子の物質量→極ごとの質量変化 | 負極は SO₄ 分、正極は SO₂ 分 |
| 問3 | 起電力=正極の電位−負極の電位 | Li は電位が最小。水と反応するので有機溶媒 |
| 問4 | 析出Cu→溶出Cu→Zn→質量の収支 | 電子の収支の不足分が Zn。Ag は差 |
| 問5(ii) | 全部 CO₂ のときと比べる | CO 1 mol で Al が 2/3 mol 減る |
🩺【自己診断】大問1で手が止まった人への処方箋
- 問2質量が合わない → 電子 0.0500 mol を先に出し、極ごとの反応式から増える分を数える
- 問4亜鉛が分からない → 陰極の Cu の電子数と陽極の Cu の電子数の差を取る
- 問5効率が出ない → 気体 1 mol をもとに、全部 CO₂ のときの Al の量と比べる
大問2 リン・硫黄・窒素の化合物 ── 計算は独立、最後の構造は丁寧に
核酸とタンパク質の用語、緩衝液、ケルダール法、酸無水物、十硫化四リン、そして硫黄を含む反応剤。小問ごとに独立しています。
リンと硫黄と窒素の化合物を、用語・計算・構造の3つの切り口で問う大問。1つ1つの小問は軽いが、最後の反応剤の構造を読み取れるかで差がつく。
- 問1:核酸・タンパク質・酸無水物に関する空欄 ア〜ク(語句)。ウ・エ は RNA/DNA のどちらか、カ は結合の名前(水素)、キ はタンパク質の硫黄どうしの結合
- 問2:リン酸二水素イオンとリン酸水素イオンの緩衝液で、与えられた水素イオン濃度にするのに必要なリン酸二水素カリウムの質量(有効数字3桁)
- 問3:(i)硫酸アンモニウムと水酸化ナトリウムの反応式、(ii)ケルダール法で測る窒素の物質量(有効数字3桁)
- 問4:酢酸と安息香酸から生じうる酸無水物の構造式をすべて書く
- 問5:(i)十硫化四リンと水の反応で出る気体の分子式、(ii)その気体が密閉容器の気相と水に溶けた量から、反応させた十硫化四リンの質量(有効数字3桁)
- 問6:(i)硫黄を含む反応剤の構造式、(ii)化合物2と3の構造式、(iii)極性の大きい方、(iv)その理由を60字以内で
問1:空欄補充。要確認ア・イ は核酸とタンパク質、ウ・エ は RNA と DNA、オ は塩基(核酸のはしご状の部分)、カ は塩基対をつなぐ水素結合、キ はタンパク質の硫黄どうしのジスルフィド結合、ク は2分子のカルボン酸から水がとれた酸無水物です。
問2:リン酸の緩衝液。$\mathrm{H_2PO_4^-}\rightleftarrows\mathrm{HPO_4^{2-}}+\mathrm{H^+}$ の電離定数 $K_a=6.13\times10^{-8}$ から、比を出します。$[\mathrm{H^+}]=10^{-7.85}=1.41\times10^{-8}$。
$\mathrm{Na_2HPO_4}$(式量142)5.68 g は 0.0400 mol なので、$\mathrm{KH_2PO_4}$(式量136)の物質量は $0.0400\times0.230=0.00920$ mol。
問3(i):反応式。硫酸アンモニウムに強塩基を加えるとアンモニアが出ます。
(ii):ケルダール法。発生したアンモニアを、一定量の硫酸に吸収させ、残った硫酸を水酸化ナトリウムで滴定します。吸収したアンモニアの物質量は、硫酸の酸としての量(価数×物質量)から、滴定に使った塩基の量を引いた値です。
アンモニア1個にN 1個なので、試料中の窒素は 0.0150 mol です。
問4:酸無水物。2分子のカルボン酸から水1分子がとれてできます。酢酸だけ、安息香酸だけ、そして酢酸と安息香酸がつながった混合酸無水物で、全部で3種類です。
問5(i):気体。十硫化四リンを水と完全に反応させると、リン酸と硫化水素になります(気体は $\mathrm{H_2S}$)。
(ii):質量。密閉容器の気相の体積は $3.493-1.000=2.493$ L。圧力 $5.00\times10^{4}$ Pa、27 ℃ での気相の $\mathrm{H_2S}$ は
水に溶けた $\mathrm{H_2S}$ は、ヘンリーの法則で圧力に比例して溶けますが、溶ける気体の体積は、その圧力で測れば圧力によらず一定。そこで、与えられた溶解度の体積を、実際の圧力・温度で物質量に直します(0.0449 mol)。合計は 0.0949 mol の $\mathrm{H_2S}$ で、$\mathrm{P_4S_{10}}$ はその 1/10 です。
問6(i):反応剤の構造。要確認与えられた分子式と、「P と S が交互につながる四員環で、各 P に S 原子(=S)と芳香環がつく」という説明を式に落とします。P の価数は5、S は2。環の S は2つの P をつなぎ(−S−)、各 P は環の S 2個、=S、芳香環(メトキシフェニル基)の4本の結合で価数5になります(RDKit で価数を確認)。
(ii):化合物2と3。この反応剤は、C=O を C=S に変える(チオカルボニル化)反応剤です。化合物2は酢酸とアニリンからできるアミド(アセトアニリド)で、これに反応剤を作用させると C=O が C=S に変わり、化合物3(チオアセトアニリド $\mathrm{CH_3C(=S)NHC_6H_5}$)になります。要確認
(iii)(iv):極性。要確認極性が大きいのは化合物2(C=O)。酸素は硫黄より電気陰性度が大きく、C=O は C=S より結合の極性が大きいためです。(現実のチオアミドも極性は大きいので、この大小は問題文の誘導に沿った答えとして、冊子で確かめてください。)理由は、たとえば「C=O は酸素の電気陰性度が大きく結合の極性が大きいが,C=S は硫黄と炭素の電気陰性度がほぼ等しく極性が小さいから。」のように、電気陰性度の大小で書きます。

大問2:リン・硫黄・窒素の型
| 小問 | やること | 着眼点 |
|---|---|---|
| 問2 | $[\mathrm{H^+}]/K_a$ で比を出し、物質量を掛ける | 分子は酸の側。KH₂PO₄=136 |
| 問3(ii) | 酸の量(価数×物質量)−塩基の量 | アンモニア=窒素 |
| 問5(ii) | 気相(PV/RT)+溶解を足し、1/10 | 気相の体積は容器−水 |
| 問6 | C=O → C=S の反応剤と読む | Pの価数5・Sの価数2 |
🩺【自己診断】大問2で手が止まった人への処方箋
- 問2質量が合わない → 比=[H⁺]/Ka を出し、掛ける相手(塩基の側)を確認
- 問5質量が合わない → 気相と溶解の両方を足したか、10で割ったかを確認
- 問6構造が書けない → Pに=S・アリール基・環のS 2個で、価数5になるように結合を数える
大問3 元素分析とテルペン ── 小問が11個。流れを追って、取れるところから
Ⅰ(元素分析の装置と原理、アミノ酸)、Ⅱ(イソペンテニル二リン酸に由来する化合物の流れと、テルペンの骨格)。小問ごとの独立性が高いので、順番にこだわらず取れるところから取ります。
Ⅰは吸収管と元素分析の原理、Ⅱは化合物1(イソペンテニル二リン酸)からの流れ。化合物2〜7の分子式・構造を決め、最後にテルペン(骨格の変化)を考える。
- 問1:燃焼で生じる水と二酸化炭素を吸収させる2つの管の名前(ア・イ)、気体を通す順番、順番を入れ替えてはいけない理由(25字以内)
- 問2:試料を燃焼させる気体として空気を使ってよいか、その可否
- 問3:有機化合物に塩素が含まれることを調べる、銅線を使った方法での炎の色
- 問4:元素分析の質量パーセントから、アミノ酸の構造式(不斉炭素原子の有無も)
- 問5:(i)錯イオンの酒石酸イオンの価数、(ii)溶液に水酸化ナトリウムを加えたときの生成物、(iii)鉄針金を硫酸銅(II)水溶液に入れたときの変化
- 問6:化合物1の分子式
- 問7:化合物2の構造式
- 問8:ヨードホルム反応で生じるカルボン酸
- 問9:化合物4に水素を反応させるのに必要な水素の体積(標準状態・有効数字3桁)
- 問10:構造式11から骨格13ができるときに結合ができる炭素の組(番号で答える)
- 問11:化合物8〜10のそれぞれの不斉炭素原子の数
問1〜3:元素分析の装置。要確認試料を燃焼させて水と二酸化炭素を吸収管に捕まえ、その質量から H と C の量を出します。二酸化炭素を吸収するのはソーダ石灰(ア)、水を吸収するのは塩化カルシウム(イ)。ソーダ石灰は水も二酸化炭素も吸収するので、塩化カルシウムの管を先に通して水だけを吸収させ、そのあとでソーダ石灰に通して二酸化炭素を吸収させます。順番を逆にすると、ソーダ石灰が水と二酸化炭素の両方を吸ってしまい、分けて測れません。字数に合わせて、「ソーダ石灰は水と二酸化炭素の両方を吸収するから。」と書きます。
問2はできない。空気には二酸化炭素と水蒸気が含まれ、吸収管がそれも吸ってしまうので、測定値に誤差が出ます(酸素を使う)。問3はバイルシュタイン試験で、塩素を含む化合物をつけた銅線を炎に入れると、青緑色の炎色反応を示します。
問4:アミノ酸の決定。C 32.0 %、H 6.7 %、N 18.7 %(残りは O と考える)。原子量で割って、整数比を出します。
残りの O は $100-(32.0+6.7+18.7)=42.6$ %で、$42.6\div16.0=2.66$、比は $\mathrm{C}:\mathrm{H}:\mathrm{N}:\mathrm{O}=2:5:1:2$ で組成式 $\mathrm{C_2H_5NO_2}$(式量75)。α-アミノ酸ならグリシンで、水溶液中では双性イオン $\mathrm{H_3N^+CH_2COO^-}$。中心の炭素に H が2個つくので不斉炭素原子はありません。
問5:錯塩の溶液(フェーリング液型)。要確認(i) 錯イオンの電荷は、陽イオン($\mathrm{Cu^{2+}}$ が +2、$\mathrm{K^+}$ が2個で +2、$\mathrm{Na^+}$ が4個で +4、合計 +8)を酒石酸イオン2個で打ち消すので、1個あたり−4。(ii) 水酸化ナトリウムを加えたときの生成物は $\mathrm{Cu(OH)_2}$。(iii) 鉄針金を硫酸銅(II)水溶液に入れると、鉄の方がイオン化傾向が大きいので、赤褐色の銅が鉄針金に付着し、水溶液の青色が薄くなります。
問6:化合物1の分子式。化合物1は、5個の炭素をもつアルコールに、二リン酸がつながった形($\mathrm{R{-}O{-}P_2O_6H_3}$、R は $\mathrm{C_5H_9}$)。化合物2の分子式($\mathrm{C_5H_{10}O}$)と、加水分解の式から出せます。
問7:化合物2の構造式。組成は C 69.7 %、H 11.7 %で $\mathrm{C_5H_{10}O}$。化合物2から酸化で 3→4 と進み(アルコール→アルデヒド→カルボン酸)、4 にオゾンを作用させると、C=C が切れて化合物5(C₄H₆O₃)と化合物6(ホルムアルデヒド、分子量30.0)に分かれるので、C=C は末端のメチレン(CH₂=)です。
問8:ヨードホルム反応。要確認化合物5は $\mathrm{CH_3COCH_2COOH}$(β-ケト酸)で、加熱すると脱炭酸してアセトン(化合物7)になります。アセトンは $\mathrm{CH_3CO-}$ をもつのでヨードホルム反応陽性。ヨードホルムのほかに、酢酸ナトリウム、すなわち酢酸が生じます。
問9:水素の体積。化合物4は $\mathrm{C_5H_8O_2}$(分子量 $12.0\times5+1.00\times8+16.0\times2=100$)。C=C は1個なので、水素は 1 分子と反応します。
問10:骨格の変化。構造式11は、炭素8個の鎖(番号1〜8)に、3位と7位のメチル基がついた骨格です。まず1-6の結合で六員環ができ(12:p-メンタン骨格)、さらに2-7の結合で橋かけが入って、二環式のピナン骨格(13)になります。2本の結合の組は、候補を全部数えた結果、1-6 と 2-7、または 1-6 と 4-7 のどちらでも同じ骨格ができます(構造としては区別できない)。
問11:不斉炭素原子の数。化合物8(ゲラニオール)は不斉炭素が0個。化合物9(リモネン)は環の1か所が不斉炭素で1個。化合物10(α-ピネン)は橋頭の2か所が不斉炭素で2個です(RDKit で数えて確認)。要確認

大問3:元素分析・テルペンの型
| 小問 | やること | 着眼点 |
|---|---|---|
| 問1 | 吸収管の役割と順番を整理する | ソーダ石灰は水とCO₂の両方を吸う |
| 問4 | 質量%÷原子量→整数比→組成式 | Oは残りの%から出す |
| 問7 | オゾン分解の生成物から C=C の位置を決める | 末端の CH₂= ならホルムアルデヒドが出る |
| 問9 | 質量÷分子量×(C=C の数)×22.4 L | H₂は C=C 1個に1分子 |
| 問10 | 完成形の骨格から、結合ができる炭素を決める | まず1-6で六員環、次に橋かけ |
🩺【自己診断】大問3で手が止まった人への処方箋
- 問1順番が分からない → ソーダ石灰は水も吸うので、塩化カルシウムを先に通す
- 問7構造が決まらない → オゾン分解の生成物から C=C を元に戻す。ホルムアルデヒドが出るなら末端の CH₂=
- 問9体積が合わない → 分子量100・C=C 1個・標準状態の気体定数の使い方を確認
- 問10数がまとまらない → 六員環をつくる1本と、橋かけの1本に分けて考える
慈恵医大2024型 そっくり類題セット
(全3大問・解答解説つき)
2024年度の本番と同じ3大問(問1〜5、問1〜6、問1〜11)・同じ型で、題材と数値を変えたTMPSオリジナル問題です。電池と電気分解、リン・硫黄・窒素の化合物、元素分析とテルペンを一通り練習できます。
印刷して、本番と同じように60分で解けます(本番は理科2科目で120分)。解答・解説はこのページの下に掲載しています。
※ 東京慈恵会医科大学の入試問題ではありません。本文・設問・人物・団体(架空)はすべてTMPS医学館が作成したオリジナルで、出典のある引用ではありません。
- 原子量:H=1.00,C=12.0,N=14.0,O=16.0,Na=23.0,P=31.0,S=32.0,K=39.0,Cu=63.5,Zn=65.4,Ag=108,Pb=207。気体定数:$8.31\times10^{3}$ Pa・L/(mol・K)。ファラデー定数:$9.65\times10^{4}$ C/mol。
- 答えはすべて解答用紙(想定)に記入する。複数の解答が必要な場合には,解答の順序は問わない。数値を答える場合の有効数字の桁数は,問題文の条件から適切に判断すること。特に指示がなければ,気体はすべて理想気体とする。構造式は,特に指示がなければ,水素原子と炭素原子の間の結合を除く全ての結合を省略せずに書く。
次の文を読み,下の問い(問1〜問5)に答えよ。
金属の単体は,酸化物や塩の水溶液・融解塩を電気分解して得られる。電気分解は,外部電源で直流電圧をかけて電極表面でア反応を起こさせる方法である。例えば,銅の電解精錬では,純度99%程度の粗銅板をイ極に用いて,硫酸で酸性にした硫酸銅(II)水溶液の中で,低い電圧で電気分解を行い,反対側の電極の純銅板に純度の高い銅を得る。
粗銅板に含まれる不純物を,鉄,鉛,ニッケル,金,亜鉛とすると,不純物のうちAは粗銅板の下に単体として沈殿し,除かれる。これは,Aのイオン化傾向が銅よりウためである。一方,単体の鉛のイオン化傾向が銅よりウわけではないにもかかわらず,粗銅板の下に沈殿する鉛の化合物はBである。
表1 金属の標準電極電位(25 ℃,1.013×10⁵ Pa,溶液濃度 1 mol/L,水素電極を基準とした電位 [V])
マンガン乾電池,鉛蓄電池と比較した場合,このナトリウムイオン電池には,多数回の放充電が可能であるという実用的な特徴がある。この特徴以外で,表1と金属 Na の性質から導かれるナトリウムイオン電池の化学的特徴を二つ,具体的な根拠と共に答えよ。
式(1)と式(2)の反応だけが起これば,加えた電気量のすべてが $\mathrm{Al^{3+}}$ の還元に使われるが,実際には式(3)の副反応が一定の割合で起こっている。
▶ 大問1 の答えと解説を見る
大問1 電池と電気分解 の答えと解説
- 電気分解は,電極表面で酸化還元反応を起こさせる方法。電解精錬では,粗銅板を電源の正極につなぐ(陽極)。
- 表1で,銅より標準電極電位が高い(イオン化傾向が小さい)のは Au だけ。Au は陽極でイオンにならず,単体のまま粗銅板の下に沈殿する(A=Au,ウ=小さい)。
- 鉛は銅よりイオン化傾向が大きいので,いったん $\mathrm{Pb^{2+}}$ になるが,電解液の硫酸イオンと結びついて水に溶けにくい $\mathrm{PbSO_{4}}$ となり,粗銅板の下に沈殿する(B=$\mathrm{PbSO_{4}}$)。
- 知識問題(用語・イオン化傾向と沈殿の組合せ)。
- 流れた電気量は $2.00\times(32\times60+10)=3.86\times10^{3}$ C。電子の物質量は $\dfrac{3.86\times10^{3}}{9.65\times10^{4}}=0.0400$ mol。
- 負極:$\mathrm{Zn}$ → $\mathrm{Zn^{2+}}$ + 2e⁻ なので,溶け出す Zn は $0.0400\times\dfrac12=0.0200$ mol で,$0.0200\times65.4=1.308$ g の減少。
- 正極:$\mathrm{Cu^{2+}}$ + 2e⁻ → $\mathrm{Cu}$ で,析出する Cu は 0.0200 mol で,$0.0200\times63.5=1.27$ g の増加。
- 絶対値が大きいのは亜鉛板で,有効数字3桁で 1.31 g の減少。
- ① 起電力は,正極の電位 − 負極の電位 $=0.20-(-2.71)=2.91$ V。ダニエル電池(1.10 V)より大きく,高い電圧が得られる。根拠:Na の標準電極電位(−2.71 V)が非常に低いこと。
- ② Na はイオン化傾向が水素より大きく(表1で Na は −2.71 V,$\mathrm{H_2}$ は 0 V),水と激しく反応して水素を発生する。そのため,電解液に水溶液は使えず,有機化合物の電解液を用いる。構成の「ナトリウム塩など(有機化合物中)」がその表れである。
- 記述(TMPSの答案例)。知識・理由づけは要確認。
- 純銅電極に析出した Cu:$\dfrac{3.175}{63.5}=0.0500$ mol(電子 0.100 mol)。電解液中の $\mathrm{Cu^{2+}}$ は $0.0120\times0.250=0.00300$ mol 減少したので,粗銅電極から溶け出した Cu は $0.0500-0.00300=0.0470$ mol($2.9845$ g)。
- 陽極で流れた電子 0.100 mol のうち,Cu の溶解に $2\times0.0470=0.0940$ mol が使われ,残り $0.0060$ mol は Zn の溶解に使われたので,Zn は 0.00300 mol($0.1962$ g)。銀は電子を出さず,そのまま沈殿する。
- 粗銅電極の質量減少は Cu+Zn+Ag なので,Ag $=3.224-2.9845-0.1962=0.0433$ g。小数点以下3桁で 0.043 g。
- 式(1)×4 と式(2)×3 を足すと,電子 12 個が消える:4$\mathrm{Al^{3+}}$ + 3C + 6$\mathrm{O^{2-}}$ → 4Al + 3$\mathrm{CO_{2}}$。Al 4,C 3,O 6 の原子数が両辺で等しい。$\mathrm{Al_{2}O_{3}}$ 2個で 4$\mathrm{Al^{3+}}$ と 6$\mathrm{O^{2-}}$ が出るので 2$\mathrm{Al_{2}O_{3}}$ + 3C → 4Al + 3$\mathrm{CO_{2}}$。
- 排出された気体を $\mathrm{CO_2}:\mathrm{CO}=0.750k:0.250k$($k$ mol)とする。副反応(3)は $3\,\mathrm{CO_2}\to3\,\mathrm{CO}$ なので,副反応で使われた $\mathrm{CO_{2}}$ は 0.250$k$ mol。電極Bで生じた $\mathrm{CO_{2}}$ の総量は $0.750k+0.250k=k$ mol。
- 副反応がなければ,式(1)(2)の比 $\mathrm{Al}:\mathrm{CO_2}=4:3$ より Al は $\dfrac43k$ mol。副反応で Al は $0.250k\times\dfrac23=\dfrac16k$ mol 失われる。
- 実際の Al は $\dfrac43k-\dfrac16k=\dfrac76k$ mol なので,電流効率は $\dfrac{7/6}{4/3}\times100=87.5\ \%$。
- Al の標準電極電位(−1.68 V)は水素(0 V)より低く,イオン化傾向は水素より大きい。そのため,水溶液中では $\mathrm{Al^{3+}}$ より水($\mathrm{H+}$)が先に還元され,電極Aの表面で水素が発生する。(c) が理由,(f) はその結果として起こる現象。
- (a)(e)(g) は Al が得られない理由にならず,(b)(d) は大小関係が逆。知識・理由づけの問題。(f) を「理由」として数えるかは要確認。
次の文を読み,下の問い(問1〜問6)に答えよ。
リンは窒素の,硫黄は酸素の同族元素である。生体膜の主成分であるアは,グリセリンの3個のヒドロキシ基のうち2個にイが,残る1個にリン酸がエステル結合した構造をもつ。分子内に親水性の部分と疎水性の部分をもつので,水中ではウ性の部分を外側に向けて二重の膜をつくる。
生体内で酵素などとしてはたらくエは,オがカ結合でつながった高分子化合物で,オの側鎖に硫黄を含むものがある。その立体構造は,水素結合などに加え,硫黄原子の間に形成されたキ結合によっても安定化される。キ結合は,還元により切断される。
リン酸は,細胞内の pH を一定に保つ緩衝作用にも関わる。式(1)に示すように,リン酸二水素イオン $\mathrm{H_{2}PO_{4}^{-}}$ とリン酸水素イオン $\mathrm{HPO_{4}^{2-}}$ の電離平衡が,その役割を担っている。
タンパク質の窒素の定量法の一つに,ケルダール法がある。この方法では,まず,試料を濃硫酸中で加熱し,試料中の全ての窒素を硫酸アンモニウムに変換する。次に,得られた溶液を水酸化ナトリウム水溶液で塩基性にする。さらに,この溶液を加熱して発生する塩基性の気体を,濃度既知の硫酸水溶液に吸収させた後,残った硫酸を塩基で滴定する。
濃硫酸や十酸化四リンは強い吸湿性をもつ。十酸化四リンは,2個のカルボキシ基を脱水縮合させる際にも用いられ,このようにして生じた化合物を一般にクという。十酸化四リンに類似した化合物として,十硫化四リン($\mathrm{P_{4}S_{10}}$)が知られており,十硫化四リンを水と反応させると,リン酸と気体1が生成する。また,ベルテル型の試薬(以下,試薬Dとよぶ)は,エステルやアミドのカルボニル基の酸素原子を硫黄原子に置換することができる。
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大問2 リン・硫黄・窒素の化合物 の答えと解説
- リン脂質は,グリセリンに脂肪酸2個とリン酸が結合した構造で,親水性のリン酸の側を外側に向けて二重膜をつくる。
- タンパク質はアミノ酸がペプチド結合でつながったポリペプチド。システインの側鎖の硫黄原子どうしがジスルフィド結合(S−S)をつくり,還元で切断される。
- 2個のカルボキシ基の脱水縮合で生じる化合物は酸無水物。知識問題(用語)。
- $[\mathrm{H^+}]=10^{-6.800}=1.58\times10^{-7}$ mol/L。式(1)より $K=\dfrac{[\mathrm{H^+}][\mathrm{HPO_4^{2-}}]}{[\mathrm{H_2PO_4^-}]}$ なので $\dfrac{[\mathrm{H_2PO_4^-}]}{[\mathrm{HPO_4^{2-}}]}=\dfrac{1.58\times10^{-7}}{6.13\times10^{-8}}=2.577$。
- $\mathrm{Na_{2}HPO_{4}}$(式量 142.0)は $\dfrac{3.55}{142.0}=0.0250$ mol なので,$\mathrm{NaH_{2}PO_{4}}$(式量 120.0)は $0.0250\times2.577=0.0644$ mol。質量は $0.0644\times120.0=7.73$ g。
- 硫酸アンモニウムに強塩基を加えると弱塩基のアンモニアが追い出される。N 2,H 8+2=10(右辺 6+4),S 1,O 4+2=6(右辺 4+2),Na 2 の原子数が保存される。
- 硫酸が出す $\mathrm{H+}$ は $0.0200\times0.50\times2=0.0200$ mol。残りの $\mathrm{H+}$ を中和した NaOH は $0.0120\times0.50=0.0060$ mol。アンモニアに使われた $\mathrm{H+}$ は $0.0200-0.0060=0.0140$ mol で,$\mathrm{NH_{3}}$ 1 mol が $\mathrm{H+}$ 1 mol と反応するので,窒素原子は 0.0140 mol。
- 2個のカルボキシ基が1分子の水を失って縮合する。酢酸どうし,プロピオン酸どうし,酢酸とプロピオン酸の組合せで,合計3種類の酸無水物(無水酢酸,無水プロピオン酸,混合酸無水物)ができる。
- $\mathrm{P_{4}S_{10}}$ + 16$\mathrm{H_{2}O}$ → 4$\mathrm{H_{3}PO_{4}}$ + 10$\mathrm{H_{2}S}$。P 4,S 10,H 32,O 16 の原子数が保存される。
- 気相の体積は $3.493-1.000=2.493$ L。気相の $\mathrm{H_{2}S}$ は $n=\dfrac{PV}{RT}=\dfrac{4.00\times10^{4}\times2.493}{8.31\times10^{3}\times300}=0.0400$ mol。
- 溶解した $\mathrm{H_{2}S}$ は,ヘンリーの法則より圧力に比例し,$4.00\times10^{4}$ Pa では $1.01\times10^{5}$ Pa での溶解度の $\dfrac{4.00\times10^{4}}{1.01\times10^{5}}$ 倍。その圧力で測った体積は一定なので,物質量は $\dfrac{4.00\times10^{4}\times2.60}{8.31\times10^{3}\times300}=0.0417$ mol。
- 合計 0.0817 mol の $\mathrm{H_{2}S}$。$\mathrm{P_{4}S_{10}}$ 1 mol から $\mathrm{H_{2}S}$ 10 mol なので,$\mathrm{P_{4}S_{10}}$(式量 444)は $\dfrac{0.0817}{10}\times444=3.63$ g。
- アリール基(4-メチルチオフェニル基)は $\mathrm{C_{7}H_{7}S}$ で,2個で $\mathrm{C_{14}H_{14}S_{2}}$。残りは $\mathrm{P_{2}S_{4}}$。各 P の原子価5:アリール基1,=S 1(原子価2),橋かけ S 2(単結合2本)で 1+2+2=5。各 S の原子価は2:橋かけ S は P と単結合2本,=S は P と二重結合1本。
- 同じ原子が連続しない(P−P,S−S 結合なし)という条件から,P と橋かけ S が交互に並ぶ4員環になる(RDKit で分子式と原子価を確認)。
- 無水プロピオン酸 + アニリン → N-フェニルプロパンアミド(化合物2,$\mathrm{CH_3CH_2CONHC_6H_5}$)+ プロピオン酸。
- 試薬D はアミドの C=O の酸素原子を硫黄原子に置換するので,化合物3は C=S をもつチオアミド。
- C=O(O と C の電気陰性度差が大きい)のほうが,C=S(S と C の電気陰性度はほぼ等しい)より結合の極性が大きいと考えて,化合物2。知識・理由づけは要確認。
- TMPSの答案例(要確認)。電気陰性度の値(C 2.55,O 3.44,S 2.58)に触れて,結合の極性→分子の極性と書く。
次の文Ⅰ,Ⅱを読み,下の問い(問1〜問11)に答えよ。
Ⅰ.有機化合物の成分元素とその質量を調べる方法の一つに元素分析がある。炭素・水素を分析する重量法の基本的な原理は,質量を精密に測定した試料を,酸素中で加熱して完全燃焼させた後,発生した水をアに,二酸化炭素をイに,適切な順序で吸収させるというものである。各吸収剤の質量の増加分が水と二酸化炭素の質量であり,これらの値から試料中の水素と炭素の質量が求まる。
Ⅱ.植物や花に香りを添える揮発性物質の一種に,テルペンと呼ばれる化合物がある。テルペン類は,共通した構造単位をもつことが知られており,各化合物は,イソプレンの構造と関連付けることができる。
式(1)に示す化合物1は,テルペン類の生体内での合成に関連する物質で,ヒドロキシ基をもつ化合物2とピロリン酸(二リン酸)のエステルである。化合物1を加水分解すると,化合物2とリン酸が生成した(式(1))。化合物2の元素分析を行ったところ,炭素 69.7 %,水素 11.7 % という結果が得られた。また,他の分析から,化合物2は炭素,水素,および酸素のみからなり,5個の炭素原子を含み,分子内に二重結合を1個もつことがわかった。
化合物2を酸化すると,フェーリング反応が陽性の化合物3となり,化合物3をさらに酸化すると化合物4が生成した。化合物4をオゾン酸化(注1)すると,化合物5と,分子量58.0の化合物6が生成した。化合物5は,脱炭酸(注2)と呼ばれる二酸化炭素の脱離反応により化合物7に変換された。化合物6にヨウ素と水酸化ナトリウム水溶液を反応させると,$\mathrm{CHI_{3}}$ の黄色沈殿が生じた。
テルペン類の一つである化合物8が環化すると,化合物9と化合物10が生成する(式(2))。化合物の官能基を省略して炭素骨格だけを模式図で示すと,化合物8,9,10 は,それぞれ,構造式11,12,13で表される(図2)。構造式11の一部の炭素に,図2のように1番〜8番までの番号を付けると,構造式12は構造式11の1番の炭素と6番の炭素の間で結合形成が起こったものであることがわかる。
(注1) オゾン酸化は,アルケンの二重結合を開裂して,カルボニル化合物を生成する反応である。 (注2) 脱炭酸は,カルボキシ基をもつ化合物から二酸化炭素が脱離する反応である。
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大問3 元素分析とテルペン の答えと解説
- 水は塩化カルシウム,二酸化炭素はソーダ石灰(塩基性)で吸収する。知識問題。
- 先にソーダ石灰を通すと,水と二酸化炭素の両方が吸収されてしまうので,水だけを吸収する塩化カルシウムを先に通す。
- 水の質量だけを別に測れなくなるため。(24字)
- 空気には二酸化炭素と水蒸気が含まれる。
- 空気中の成分が,試料の燃焼で生じた水・二酸化炭素と区別できずに吸収管の質量に加わる,と書く。(35字以内)
- 硫黄は $\mathrm{S^{2-}}$ となり,$\mathrm{Pb^{2+}}$ と反応して黒色の硫化鉛(II)の沈殿ができる。知識問題。
- 酸素は $100-40.4-7.9-15.7=36.0$ %。物質量比は C:H:N:O $=\dfrac{40.4}{12.0}:\dfrac{7.9}{1.00}:\dfrac{15.7}{14.0}:\dfrac{36.0}{16.0}=3.37:7.9:1.12:2.25\doteq3:7:1:2$。組成式 $\mathrm{C_{3}H_{7}NO_{2}}$(式量 89)は α-アミノ酸のアラニンで,α炭素が不斉炭素原子になる。
- ジアンミン銀(I)イオン $[\mathrm{Ag(NH_3)_2}]^{+}$ は,$\mathrm{Ag+}$ に $\mathrm{NH_{3}}$ 2分子が配位した錯イオンで,電荷は +1。知識問題。
- 少量のアンモニア水で水酸化銅(II)の青白色沈殿,過剰では沈殿が溶けてテトラアンミン銅(II)イオンの深青色の溶液になる。知識問題。
- Zn はイオン化傾向が Cu より大きいので,$\mathrm{Zn}$ + $\mathrm{Cu^{2+}}$ → $\mathrm{Zn^{2+}}$ + $\mathrm{Cu}$ が起こる。知識問題。
- 化合物2は C5(炭素 5 個)で,C:$\dfrac{5\times12.0}{M}=0.697$ より $M\doteq86$,水素は $86\times0.117\doteq10$,酸素は $86-60-10=16$ で O 1個。化合物2 は $\mathrm{C_{5}H_{10}O}$。化合物1は,化合物2 の −OH が二リン酸のエステルになったもので,$\mathrm{C_{5}H_{12}O_{7}P_{2}}$($\mathrm{C_{5}H_{12}O_{7}P_{2}}$ + 2$\mathrm{H_{2}O}$ → $\mathrm{C_{5}H_{10}O}$ + 2$\mathrm{H_{3}PO_{4}}$ で原子数が保存される)。
- 化合物2 $\mathrm{C_{5}H_{10}O}$ は不飽和度1で,C=C を1個もつ。酸化でフェーリング反応陽性(アルデヒド)になるので第一級アルコール。化合物4(カルボン酸 $\mathrm{C_{5}H_{8}O_{2}}$)のオゾン酸化で分子量58.0の化合物6(アセトン $\mathrm{(CH_3)_2C{=}O}$)ができたので,C=C の一端は $\mathrm{(CH_3)_2C{=}}$。もう一端は $\mathrm{{=}CH{-}COOH}$(化合物5,グリオキシル酸)。
- よって化合物4は $\mathrm{(CH_3)_2C{=}CH{-}COOH}$,化合物3は $\mathrm{(CH_3)_2C{=}CH{-}CHO}$,化合物2は $\mathrm{(CH_3)_2C{=}CH{-}CH_2OH}$。アセトンはヨードホルム反応に陽性で,条件にも合う。
- ヨードホルム反応で,アセトンは $\mathrm{CHI_{3}}$ と酢酸ナトリウム $\mathrm{CH_{3}COONa}$ になる。反応液を酸性にすると,弱酸の遊離で酢酸 $\mathrm{CH_{3}COOH}$ が得られる。
- 化合物4($\mathrm{C_{5}H_{8}O_{2}}$,分子量 100.0)25.0 g は 0.250 mol。C=C 1個に $\mathrm{H_{2}}$ 1分子が付加するので,必要な $\mathrm{H_{2}}$ は 0.250 mol。$V=\dfrac{nRT}{P}=\dfrac{0.250\times8.31\times10^{3}\times273}{1.013\times10^{5}}=5.60$ L。
- 構造式12(p-メンタン骨格)は 1-6 の結合で六員環ができたもの。ボルナン骨格は,この六員環の 3 番(メチル基がついた炭素)と 6 番(イソプロピル基がついた炭素)を,7 番の炭素(ジメチルの炭素)で橋かけした二環式の骨格(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン)。
- よって 7 番の炭素が 3 番の炭素と結合し,1-6 と 3-7 の2箇所で結合形成が起こる(RDKit で骨格が一致することを確認)。
- 化合物8(リナロール):第三級アルコールの炭素が,4つの異なる基(−OH,−CH₃,−CH=CH₂,−CH₂CH₂CH=C(CH₃)₂)をもつ。
- 化合物9(γ-テルピネン):環の1,4位の炭素はどちらも二重結合の炭素で,不斉炭素原子はない(×)。
- 化合物10(ボルニレン):橋頭位の2個の炭素がどちらも不斉炭素原子(RDKit で不斉炭素の個数を確認)。
※ 類題は、本番の解き方の骨格は残しつつ、題材・数値・条件を変えて作っています(大問1:ダニエル電池・ナトリウムイオン電池・Au を含む粗銅の電解精錬。大問2:NaH₂PO₄ の緩衝液・酸無水物(プロピオン酸)・ダビー型の反応剤。大問3:アラニン・プレノールの流れ・ボルナン骨格)。計算問題は、pythonで有効数字まで再計算して確かめています。
30秒 得点診断
本番の過去問、またはそっくり類題セットを60分で解いた結果を選んでください。次にやるべきことを表示します。
保護者の方へ:慈恵医大の化学で知っておきたい3つのこと
よくある質問
Q. 東京慈恵会医科大学 医学部の化学2024年度は、どの順番で解くのがよいですか?
TMPSのおすすめは、大問1(電池・電気分解)に17分、大問2(リン・硫黄・窒素)に21分、大問3(元素分析・テルペン)に17分、見直しに5分の、化学60分の配分です。本番は理科2科目で120分なので、化学に60分を使う想定です。大問3は小問が11個と多いので、計算で確実に取れる問9を落とさないようにしてください。
Q. 問題文が載っていなくても、どんな問題か分かりますか?
分かります。著作権に配慮して問題本文・図は掲載していませんが、各大問の最初に「どういう問題か」として、設定・何を答えるか・答える形(記号・数値・構造式・化学反応式・字数つきの記述など)をTMPSの言葉で説明しています。
Q. 答えは、どうやって確かめていますか?
計算問題は、有効数字・単位まで含めて、pythonで再計算して確かめています(反応式は原子数の保存もスクリプトで確認)。構造式の分子式や不斉炭素の数、骨格をつくる結合の組合せも、RDKitなどで全候補を数えています。一方、用語・物質の性質・理由づけなどの知識問題は、スクリプトでは確かめられないので、ページ内に「要確認」と明記しています。
Q. 大問3の問10のような「どの炭素の間で結合ができるか」は、どう考えればいいですか?
完成形の骨格(二環式)を先に頭に置き、環ができるために必要な結合が2本あることから、候補を絞ります。このページでは、候補をすべて数え上げて確かめた結果と、考え方の手順を載せています。
Q. そっくり類題セットとは何ですか?
2024年度と同じ3大問(問1〜5、問1〜6、問1〜11)の構成で、題材・数値・設定を変えたTMPSオリジナル問題です。全22問の答え・解説をこのページに掲載し、本番形式の問題冊子PDFも無料で配布しています。
Q. 解説に誤りを見つけたらどうすればいいですか?
公式LINEからお知らせください。確認のうえ修正し、更新日を記載します。
問題等で誤りを発見された場合、修正しますので、TMPS医学館までLINEを下さい。
受験生・指導者の皆様からのご指摘を真摯に受け止め、最も信頼できる過去問解説・類題ライブラリーとして随時アップデートいたします。
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