TMPS化学道場 東京女子医科大 化学2025
2025年度 一般選抜(第1次) 全4問題 計算つき計算・構造を全てスクリプトで検算そっくり類題セット

東京女子医科大学
医学部 化学
2025年度 解答・解説

問題文は掲載できませんが、
解説を読むだけでどんな問題かもわかる!

さらに、そっくり類題PDFを見れば、実際の問題イメージもわかるよ!

各小問を「どういう問題か」から説明し、計算は式を1行も飛ばさずに解説。最後に、本番と同じ4問題の構成で作ったそっくり類題セット(全問解答つき)で、2025年度を丸ごと演習できます。

Sora先生
解説:Sora先生(TMPS医学館) / 更新:2026.10.25 / 読了 約45分

📌 このページの使い方

  1. 過去問集をお持ちの方:本番と同じ60分(理科2科目で120分)で解き、答え一覧で採点してから解説へ
  2. お持ちでない方:各小問の「どういう問題か」を読めば、問題の中身がそのまま分かります
  3. 最後にそっくり類題セット(PDF版あり)を60分で解き、初見でも同じ解き方ができるか確かめる

※ 著作権に配慮し、入試問題の本文・図は掲載していません。設問番号(問1〜)と選択肢の記号(ア〜)は、本番の解答用紙との対応を示すために赤本どおりにしています。※ 知識で決まる問題(文の正誤・用語・指示薬の色・器具の扱いなど)と、答えの書き方に幅がある記述は、スクリプトでは確かめられないため「要確認」「解答例」を付けています。

⚠️ 問題等で誤りを発見された場合、修正しますので、TMPS医学館までLINEを下さい。(迅速に確認・更新いたします)

LINEで誤りを連絡
SUMMARY

3分で分かる 2025年度の東京女子医科大の化学

Yuiちゃん
Yuiちゃん
15問もあると、60分で足りるか心配です…。
Sora先生
Sora先生
問題Iは「計算の小問」から先に取るのがコツだよ。正誤の文は1問1分、迷ったら消去法で先へ。ここで24分に収めれば、残りの36分を3つの大問に回せる。
Yuiちゃん
Yuiちゃん
記述式の問題IIIとIVは、何から手を付ければいいですか?
Sora先生
Sora先生
IIIは「実験4の質量と物質量」からペプチドの分子量を出すのが最初の一手。IVは「分子式→不飽和度→気体が出るか」の順に、候補を絞っていけばいいよ。
STRATEGY MAP

60分の立ち回りマップ

本番は理科2科目で120分。化学は60分を目安にします。時間はTMPSの目安です。

60分の時間配分。問題I 24分、問題II 10分、問題III 13分、問題IV 13分
図A 60分の使い方(TMPS作成)
🧭 おすすめの解く順番
問題I(計算の小問 → 正誤の文)→ 問題II → 問題IV → 問題III(見直しは各問題の最後の1〜2分)
記述式の2つは、先に「確実に書ける小問」(IIIの問1・2、IVの問1・3・4)を拾ってから、推理が要る部分(IIIの問3〜5、IVの問2)に戻ると安全です。理科2科目の合計で時間を調整できます。
ANSWERS

本番の答え一覧(採点用)

解説を読む前の採点用です。計算問題はpythonで再計算し、構造決定は芳香族炭化水素の異性体を列挙して確かめています(結果は下の注記)。記述式(問題III・IV)は、図・構造式を言葉で書いてあります。

問題I(問1〜8)

問1:シ問2:エ問3:コ問4:オ問5:ク(要確認)問6:ア問7:コ問8:ウ

問題I(問9〜15)

問9:ケ問10:カ問11:エ問12:イ問13:エ問14:イ問15:オ

問題II(問16〜21)

問16:キ問17:キ問18:ウ問19:ア問20:ウ問21:ア

問題III(記述式)

問1:0.179 L問2:$5.00\times10^{-4}$ mol問3:アラニン(図2にならって)問4:アスパラギン酸の側鎖がメチルエステルになったもの問5:Ala-Asp-Asp-Ala,Asp-Ala-Asp-Ala,Asp-Asp-Ala-Ala

問題IV(記述式)

問1:C₉H₁₀問2:A=α-メチルスチレン,B=p-メチルスチレン,C=アセトフェノン,D=テレフタル酸問3:ヨードホルム反応問4:D+2NaHCO₃ → ナトリウム塩+2H₂O+2CO₂問5:$2.5\times10^{3}$ 個
⚠️ 要確認(スクリプトでは確かめられない箇所):問題Iの正誤の文(問1・3・5・7・9・14・15)の真偽、問2の価電子の数え方(貴ガスは0とする約束)、問5の③「塩素を水に溶かすと生じる」の扱い(本文の解説を参照)、問16〜19の器具・指示薬の知識、問題III問3・4の構造式の書き方、問題IVの構造式・反応名。知識や書き方の約束で決めているため、断定せずに「要確認」としています。

※ 検算:計算問題はpythonで有効数字・単位まで再計算し、問題IIIはアミノ酸6種の全組合せから、問題IVはC₉H₁₀のベンゼン環+C=C 7種を全部列挙して条件で絞り込み、すべて一致しました(verify_twmu-2025-chemistry_honban.py:ALL OK)。正誤の文は「真偽はTMPSの判断、選択肢への対応づけだけを機械で確認」です。

採点したら → 30秒の得点診断へ
問題I / 目標:24分(問1〜問15、マーク式)

問題I 小問集合 ── 計算の小問から取り、正誤の文は消去法

15問の独立した小問です。「正しいものをすべて選ぶ」形式は、①〜⑤の文の組合せをア〜シの12個の記号から選びます。1問あたり1〜2分が目安です。

現場戦略試験会場でのリアルな立ち回り(問題I)
⏱ 目標時間 & 死守ライン目標24分(計算7問で14分、正誤の文7問で8分、問2で2分)。計算の小問(問4・6・8・10・11・12・13)は必ず取る。
⚠️ 損切り・警戒ライン正誤の文は1問1分。①〜⑤のうち確信の持てる2つで組合せを絞り、それでも迷えば先へ。問5③のように「教科書の扱い」が分かれる文に深追いしない。
💡 初手の思考トリガー計算は「何の量を」「何の単位で」出すかを先に書く。問8は粒子の総物質量、問10は $P/T$ の比、問11は S → H₂SO₄ の物質量の流れ。

問1原子・イオンの性質の正誤(記号ア〜シ)

📝 どういう問題か?

原子の構造と周期律の基本事項を、文ごとに○✕で判定する知識問題。

  • 問1:電子殻・電荷・イオン化・イオン半径に関する5つの文①〜⑤から、正しいものをすべて選び、組合せの記号(ア〜シ)で答える

正解は④と⑤(シ)。判定の根拠は次のとおりです。

電子殻の最大収容数:最外殻のひとつ内側の殻が「必ず」最大収容数になるわけではありません(例:カリウムのM殻は8個で、最大の18個ではない)。→ 誤。

電荷:電子・陽子の電荷の絶対値は約 $1.6\times10^{-19}$ C で、1 Cではない。→ 誤。

陽イオンになるとき:電子を引き離すにはエネルギーが要る(イオン化エネルギー)ので、放出ではなく吸収。→ 誤。

イオン化エネルギー:同一周期では貴ガスが最大。→ 正。 イオン半径:同じ電子配置なら、原子番号が大きい(核の正電荷が大きい)ほど電子を強く引いて半径は小さい($\mathrm{O^{2-}>F^{-}>Na^{+}>Mg^{2+}}$)。→ 正。

🎯 問1の答え
問1:シ
⚠️ 知識で決まる問題なので、機械での検算はできません。①〜⑤に先に○✕を付け、正しい文の数から組合せ(ア〜シ)に戻すと取り違えません。 要確認

問2価電子が2個の元素の数(記号ア〜カ)

📝 どういう問題か?

電子配置を書き出して価電子を数える問題。貴ガスの扱いが落とし穴。

  • 問2:原子番号1〜20の元素のうち、価電子の数が2の元素はいくつあるか(0〜5個の6択)

価電子が2個なのは、2族のBe(4)・Mg(12)・Ca(20)の3個です。ヘリウム(2)は最外殻の電子が2個ですが、貴ガスは安定で反応しないので価電子は0とする約束です。ヘリウムを数えると4個(オ)になってしまうので注意しましょう。→ エ(3個)。

🎯 問2の答え
問2:エ
⚠️ 「貴ガスの価電子は0」は教科書の約束です。エかオかはこの約束だけで決まります。 要確認

問3結晶の種類と性質の正誤(記号ア〜シ)

📝 どういう問題か?

結晶の種類ごとの結合・融点・電気伝導性の知識問題。

  • 問3:イオン結晶・ダイヤモンド・分子結晶・金属の単体の性質についての5つの文から、正しいものをすべて選ぶ(ア〜シ)

正解は②と⑤(コ)。イオン結晶は硬くてもろく融点が高い(軟らかくはない)ので①は誤り。②は正しい(固体は電気を通さず、水溶液や融解液は通す)。ダイヤモンドの基本単位は正四面体(炭素原子1個が4個と結合)で、正六角形の層は黒鉛の構造なので③は誤り。分子結晶は分子間力で結びついており、共有結合ではないので④は誤り。⑤は正しい(自由電子による金属結合)。

🎯 問3の答え
問3:コ
⚠️ 「共有結合の結晶(ダイヤモンド)」と「分子結晶(ドライアイスなど)」の取り違えが定番の罠です。 要確認

問42つの放射性同位体の混合物の減衰(記号ア〜ク)

📝 どういう問題か?

2つの指数関数的減衰を足し合わせる計算問題。選択肢は3年おきなので、数値を入れて見当をつける。

  • 問4:半減期12年の³Hと30年の¹³⁷Csが物質量比4:1で混ざった物質で、合計が0.24(はじめを1)まで減る年数を、8つの選択肢(18〜39年)から選ぶ

はじめの合計を1とすると、³Hが0.8、¹³⁷Csが0.2です。$t$ 年後の合計は半減期の式から

$$f(t)=0.8\times2^{-t/12}+0.2\times2^{-t/30}$$

選択肢の年数を入れて確かめます($\sqrt2=1.4$ を使います)。$t=24$:$0.8\times\tfrac14+0.2\times2^{-0.8}=0.2+0.115=0.315$。$t=30$:$0.8\times2^{-2.5}+0.2\times\tfrac12=\dfrac{0.8}{4\times1.4}+0.1=0.143+0.1=0.243$。$t=36$:$0.8\times\tfrac18+0.2\times2^{-1.2}=0.1+0.087=0.187$。

³Hと¹³⁷Csの物質量の合計の変化。30年で0.24付近になる
図B 2つの減衰の足し合わせ(TMPS作成)

0.24に最も近いのは 30年(オ)。厳密に解くと $t=30.1$ 年です。

🎯 問4の答え
問4:オ
Yuiちゃん
Yuiちゃん
半減期が2つあるので、どう足せばいいか迷いました。
Sora先生
Sora先生
物質ごとに「はじめの量 × 2の(−年数÷半減期)乗」を作って、あとで足すだけ。年数を代入して0.24に近い所を探せばOK。

問5塩化水素に関する文の正誤(記号ア〜シ)

📝 どういう問題か?

塩化水素・塩酸の性質を問う知識問題。③の扱いで答えが分かれうる。

  • 問5:塩化水素の結合・アンモニアとの反応・生成・銅との反応・酸性酸化物との反応についての5つの文から、正しいものをすべて選ぶ(ア〜シ)

①塩化水素は水素原子と塩素原子の共有結合でできた分子なので、イオン結合は誤り。②は正しい($\mathrm{NH_3+HCl\to NH_4Cl}$ の白煙)。④銅は水素よりイオン化傾向が小さく、塩酸と反応しないので誤り。⑤酸は塩基性酸化物と反応して水を生じる(酸性酸化物とは反応しない)ので誤り。

③「塩素を水に溶かすと生じる」は、$\mathrm{Cl_2+H_2O\rightleftarrows HCl+HClO}$ により塩化水素(塩酸)が実際に生じるので、正しい文として扱うと答えは ②と③(ク)。ただし、出題者が「塩化水素の製法は塩化ナトリウムと濃硫酸の加熱・水素と塩素の反応」と考えて③を誤りとしていれば、答えは②のみ(イ)になります。

TMPSは化学反応として③を正しいと判断し、本命をクとしますが、ここは出題の意図を確かめたい箇所です。

🎯 問5の答え(本命)
問5:ク(要確認)別の可能性:イ
⚠️ ③の判断が割れる問題は、他の4文の判定(①④⑤が誤り、②が正しい)を先に確定させ、③に使う時間を30秒までに抑えます。赤本の解答で最終確認してください。 要確認

問6セッコウから焼きセッコウへ(記号ア〜オ)

📝 どういう問題か?

水和物の式量を使った質量計算。

  • 問6:二水和物のセッコウ51.6 gを加熱して焼きセッコウ(二分の一水和物)にしたときの質量を、5つの値から選ぶ

式量は $\mathrm{CaSO_4\cdot2H_2O}=136+36=172$、焼きセッコウ $\mathrm{CaSO_4\cdot\tfrac12H_2O}=136+9=145$。

$$\frac{51.6}{172}=0.300\ \text{mol},\qquad 0.300\times145=43.5\ \text{g}$$

→ ア(43.5)。無水物(136)にしてしまうと40.8 gになってしまうので、水が $\tfrac12$ 個残る点に注意。

🎯 問6の答え
問6:ア

問7電池に関する文の正誤(記号ア〜シ)

📝 どういう問題か?

電池の原理の知識問題。極(正・負)と酸化・還元の対応を整理して判定する。

  • 問7:一次・二次電池、充電のつなぎ方、ダニエル電池の陽イオンの動き、リン酸型燃料電池に関する5つの文から、正しいものをすべて選ぶ(ア〜シ)

正解は②と⑤(コ)。①放電のとき正極では還元、負極では酸化が起こるので誤り。②二次電池の充電は、外部電源の正極を電池の正極側、負極を負極側につなぐので正しい。③リチウムイオン電池は二次電池(マンガン乾電池は一次電池)なので誤り。④ダニエル電池を放電するとき、陽イオンは素焼き板を負極側から正極側へ通るので、文の向きは逆で誤り。⑤リン酸型燃料電池の正極では $\mathrm{O_2+4H^{+}+4e^{-}\to2H_2O}$ で水が生成するので正しい。

🎯 問7の答え
問7:コ
⚠️ 知識で決まる問題です。「正極=還元、負極=酸化」「陽イオンは負極側→正極側」を口に出して確認しましょう。 要確認

問8浸透圧が同じにならない化合物(記号ア〜シ)

📝 どういう問題か?

ファントホッフの式から必要な粒子の物質量を求め、各化合物の「溶けた粒子の数」と比べる計算問題。

  • 問8:5種類の化合物を水に溶かして8.30 Lにした溶液の27℃での浸透圧が $1.80\times10^{3}$ Paにならないものをすべて選ぶ(電離度は1、( )内は分子量・式量)

$\Pi V=nRT$ から、溶液中の粒子の総物質量は

$$n=\frac{\Pi V}{RT}=\frac{1.80\times10^{3}\times8.30}{8.3\times10^{3}\times300}=6.00\times10^{-3}\ \text{mol}$$

各化合物の(物質量)×(電離で生じる粒子数)を調べます。

化合物物質量粒子数合計
①フルクトース$1.08/180=6.00\times10^{-3}$1$6.00\times10^{-3}$ ○
②クロム酸カリウム$0.388/194=2.00\times10^{-3}$3(2K⁺+CrO₄²⁻)$6.00\times10^{-3}$ ○
③ミョウバン$0.948/474=2.00\times10^{-3}$4(K⁺・Al³⁺・2SO₄²⁻)$8.00\times10^{-3}$ ×
④酢酸ナトリウム$0.246/82=3.00\times10^{-3}$2$6.00\times10^{-3}$ ○
⑤炭酸カリウム$0.276/138=2.00\times10^{-3}$3$6.00\times10^{-3}$ ○

ならないのは③のみ(ウ)。ミョウバン $\mathrm{KAl(SO_4)_2\cdot12H_2O}$ は、水に溶けると $\mathrm{K^{+}}$・$\mathrm{Al^{3+}}$・$2\mathrm{SO_4^{2-}}$ の4個になります(結晶水は粒子数に数えない)。

🎯 問8の答え
問8:ウ
⚠️ 「ならない」ものを選ぶ問題です。○を選んでしまわないよう、設問の最後の否定を丸で囲んでから解きましょう。

問9気体に関する文の正誤(記号ア〜シ)

📝 どういう問題か?

気体の法則と実在気体の知識問題。

  • 問9:分圧、温度と圧力の関係、水上置換の圧力、分子量の算出、実在気体と分子の極性についての5つの文から、正しいものをすべて選ぶ(ア〜シ)

正解は②と⑤(ケ)。①混合気体から一方を除いても、体積と温度が同じなら残った気体の圧力はもとの分圧と変わらないので誤り。②定積で、温度を1℃上げるごとに0℃のときの圧力の $\tfrac1{273}$ ずつ増える(シャルルの法則と同じ形)ので正しい。③水上置換で内外の水位をそろえたとき、捕集した気体の分圧は大気圧から水蒸気圧を引いた値なので、「和」は誤り。④分子量を出すには、圧力・体積・温度に加えて質量が必要なので誤り。⑤実在気体では分子間力が強い極性分子のほうが、同温同圧での体積が小さくなる(理想気体からのずれ)ので正しいと判断します。

🎯 問9の答え
問9:ケ
⚠️ ⑤は教科書の記述の細部で決める知識です(実在気体の理想気体からのずれ)。②③④で答えが決まるので、⑤は最後に確認します。 要確認

問10高度が上がったときの酸素の密度(記号ア〜キ)

📝 どういう問題か?

高度ごとの温度・圧力を出し、気体の密度が $P/T$ に比例することを使う計算問題。

  • 問10:標高が100 m上がるごとに0.60℃・10.0 hPaずつ下がるとして、標高0 m(27℃・$1.00\times10^{5}$ Pa)に対する5000 m上空の酸素の密度の割合[%]を選ぶ

5000 mは50段分。温度は $27-0.60\times50=-3\ ℃=270\ \mathrm{K}$、圧力は $1.00\times10^{5}-10.0\times50\times10^{2}=5.0\times10^{4}\ \mathrm{Pa}$。空気の組成が同じなら、酸素の密度も空気の密度と同じ割合で変わります。密度は $\dfrac{PM}{RT}$ なので $\dfrac{P}{T}$ に比例します。

$$\frac{5.0\times10^{4}/270}{1.00\times10^{5}/300}=\frac{300}{2\times270}=0.5556\to55.6\%$$

→ カ(55.6%)。圧力だけの比(50.0%)にしないこと。

🎯 問10の答え
問10:カ

問11接触法の触媒と、石炭から作れる濃硫酸の体積(記号ア〜ケ)

📝 どういう問題か?

工業化学の知識(触媒)と、硫黄 → 硫酸の物質量の流れを追う計算の合わせ技。

  • 問11:硫酸の工業的製法(接触法)の触媒(①)と、硫黄を0.500%含む石炭1.00トンから作れる96.0%濃硫酸(密度1.80 g/cm³)の最大の体積(②)の組合せを、9通りの表から選ぶ

触媒は酸化バナジウム(V) $\mathrm{V_2O_5}$(二酸化硫黄を三酸化硫黄に酸化する)。硫黄原子はそのまま硫酸の硫黄原子に移ります。

$$n(\mathrm{S})=\frac{1.00\times10^{6}\times0.00500}{32}=156.25\ \text{mol}=n(\mathrm{H_2SO_4})$$
$$\frac{156.25\times98}{0.960}=1.595\times10^{4}\ \text{g},\qquad \frac{1.595\times10^{4}}{1.80}=8.86\times10^{3}\ \text{mL}=8.86\ \text{L}$$

→ エ(酸化バナジウム(V)・8.86 L)。他の行の値は、16.0 L=密度1.80を使い忘れた(1.00 g/cm³とした)場合、28.7 L=密度を割らずに掛けてしまった場合の値で、どちらも間違いです。

🎯 問11の答え
問11:エ
⚠️ 触媒の名前は暗記です(接触法=V₂O₅、ハーバー・ボッシュ法=Fe₃O₄、オストワルト法=Pt)。 要確認

問12アルミニウムの溶融塩電解にかかる時間(記号ア〜オ)

📝 どういう問題か?

ファラデーの法則を使う電気分解の計算問題。Al³⁺は3価。

  • 問12:酸化アルミニウムの溶融塩電解で、8.10 kgのAlを3.00 Aで得るのにかかる時間[秒]を選ぶ

陰極で $\mathrm{Al^{3+}+3e^{-}\to Al}$ なので、Al 1 molあたり電子3 mol。

$$n(\mathrm{Al})=\frac{8.10\times10^{3}}{27}=300\ \text{mol},\quad Q=300\times3\times9.65\times10^{4}=8.685\times10^{7}\ \text{C}$$
$$t=\frac{Q}{I}=\frac{8.685\times10^{7}}{3.00}=2.90\times10^{7}\ \text{s}$$

→ イ($2.90\times10^{7}$)。

🎯 問12の答え
問12:イ

問13反応速度式と速度定数(記号ア〜ケ)

📝 どういう問題か?

濃度と速度の関係から次数を決める問題。2回の実験を比べて、1つずつ次数を決める。

  • 問13:A+B → C の反応で、濃度を変えた3回の実験の初期速度から、反応速度式(①)と速度定数 $k$(②)の組合せを9通りから選ぶ

実験ⅠとⅡは [A] が同じで [B] が2倍 → 速度は4倍なので、[B] の2次。実験ⅡとⅢは [B] が同じで [A] が2倍 → 速度は2倍なので、[A] の1次。よって $v=k[\mathrm{A}][\mathrm{B}]^{2}$。

$$k=\frac{v}{[\mathrm{A}][\mathrm{B}]^{2}}=\frac{8.0\times10^{-3}}{0.20\times0.60^{2}}=0.111\to0.11$$

→ エ($v=k[\mathrm{A}][\mathrm{B}]^{2}$・0.11)。3つの実験すべてで $k=0.111$ になることも確認できます。

🎯 問13の答え
問13:エ
⚠️ 次数は化学反応式の係数とは無関係で、実験から決めます。先に次数を決めてから $k$ を求める順番を守りましょう。

問14エタノールとフェノールに共通する性質(記号ア〜シ)

📝 どういう問題か?

2つの化合物のヒドロキシ基の性質の違いを整理する知識問題。

  • 問14:エタノールとフェノールに共通する性質を、溶解性・エステル化・酸化・NaOHとの反応・塩化鉄(III)の呈色の5つの文からすべて選ぶ(ア〜シ)

正解は②のみ(イ)。①フェノールは水に少ししか溶けない。②無水酢酸との反応(ヒドロキシ基のアセチル化)は両方が示す。③フェノールを酸化してもアルデヒドはできない。④エタノールは水酸化ナトリウムと反応しない(弱い酸性のフェノールは反応する)。⑤塩化鉄(III)で紫色になるのはフェノール類だけ。

🎯 問14の答え
問14:イ
⚠️ 「フェノール類だけ」「アルコールだけ」の性質を先に分けると、共通するものが1つだけ残ります。 要確認

問15高分子化合物A〜Eに関する文の正誤(記号ア〜シ)

📝 どういう問題か?

繰り返し単位から高分子の名前を決め、重合の種類・用途・樹脂の種類を判定する知識問題。

  • 問15:構造式で示された5つの高分子(塩化ビニル系・スチレン系・イソプレン系・ナイロン6系・ナイロン66系)A〜Eについての5つの文から、正しいものをすべて選ぶ(ア〜シ)

A=ポリ塩化ビニル、B=ポリスチレン、C=ポリイソプレン、D=ナイロン6、E=ナイロン66です。正解は⑤のみ(オ)。

①樹液を処理して得られるゴムは天然ゴム(Cの構造)なので、Aではない。②Bは熱可塑性樹脂で、フェノール樹脂は熱硬化性なので誤り。③ Cは付加重合までは正しいが、飲料水の容器や衣料用繊維はPET(ポリエチレンテレフタラート)なので誤り。④Dは開環重合は正しいが、メラミン樹脂ではなくナイロン6なので誤り。⑤Eは縮合重合でできる熱可塑性の合成繊維(ナイロン66)なので正しい。

🎯 問15の答え
問15:オ
⚠️ 構造式から名前を決める作業が必要です。繰り返し単位にアミド結合があればナイロン、エステル結合があればポリエステルです。 要確認
Sora先生の総整理表

問題I:15問の型

問型着眼点
問1・3・5・7・9・14・15正誤の文○✕を先に付けてから、組合せ(ア〜シ)に戻す。迷う文は後回し
問2数え上げ電子配置を書く。貴ガスの価電子は0
問4半減期の足し算物質ごとに指数を作って足し、選択肢の年数を代入
問6水和物式量172と145。物質量→質量
問8浸透圧$n=\Pi V/RT$ と、電離で増える粒子数(ミョウバンは4個)
問10高度と密度密度∝$P/T$。温度は絶対温度
問11接触法触媒V₂O₅。S→H₂SO₄→96.0%液→体積
問12電気分解Al³⁺は3価。$Q=nzF$、$t=Q/I$
問13反応速度2つの実験を比べて次数を決めてから $k$
TMPSコーチング診断

🩺【自己診断】問題Iで手が止まった人への処方箋

  • 正誤の文1問で2分以上悩む → ○✕が付いた文だけで組合せを2つに絞り、先へ。計算の小問の時間を守る
  • 問4年数が決まらない → 選択肢を3つ(24・30・36年)だけ代入して、0.24に近い所を探す
  • 問8粒子数が合わない → 電離する物質は「物質量×イオンの総数」。ミョウバンは K⁺・Al³⁺・SO₄²⁻×2 の4個
  • 問10密度比が合わない → 圧力だけでなく温度(絶対温度)の変化も入れる。$P/T$ の比
  • 問11・12桁が合わない → 問11は質量パーセントと密度、問12は価数3を入れ忘れていないか
問題II / 目標:10分(問16〜問21、マーク式)

問題II 食酢中の酢酸の定量 ── 標定の流れを1本の線で追う

水酸化ナトリウム水溶液を調製し、シュウ酸の標準液で濃度を決め(標定)、その水溶液で薄めた食酢を滴定する、中和滴定の定番の流れです。問16〜21の6問は、どれもこの流れの一部を問います。

現場戦略試験会場でのリアルな立ち回り(問題II)
⏱ 目標時間 & 死守ライン目標10分(問16・17の知識で3分、問18〜21の計算で6分、見直し1分)。問18〜21は一本道なので全部取る。
⚠️ 損切り・警戒ライン問16・17は1文ずつ○✕を付けて、迷ったら最後に回す。問19の指示薬は「弱酸+強塩基は塩基性側」で決まるので迷わない。
💡 初手の思考トリガー計算は「何が何 mol」を先に書く。シュウ酸は2価、酢酸は1価。標定で出した NaOH の濃度を、そのまま最後の問21に持ち込む。

問16器具の扱いの正誤の組合せ(記号ア〜シ)

📝 どういう問題か?

器具ごとに「ぬれていてよいか」「共洗いが必要か」を判定する知識問題。

  • 問16:メスフラスコ・ホールピペット・コニカルビーカー・ビュレットの使い方についての4つの記述A〜Dの正誤の組合せを、12列の表(ア〜シ)から選ぶ

器具の扱いの原則は次の3つです。

① メスフラスコとコニカルビーカー:中に入れる溶質の物質量が変わらなければよいので、水でぬれていてもよい(乾燥は不要)。

② ホールピペットとビュレット:中に残った水で溶液が薄まるので、使う溶液で共洗いする。

この原則から、Aは「必ず乾燥」なので誤、Bは正、Cは正、Dは正。表で(A誤・B正・C正・D正)の列はキです。

🎯 問16の答え
問16:キ
⚠️ A〜Dの正誤が決まれば、表の列は1つに決まります(12列はすべて異なる並びであることを確認済み)。器具の扱いは知識問題です。 要確認

問17水酸化ナトリウムの濃度を標定で決める理由(記号ア〜ス)

📝 どういう問題か?

水酸化ナトリウムの固体の性質(空気中の水分・二酸化炭素との関係)を問う知識問題。

  • 問17:水酸化ナトリウムを電子天秤ではかり取って調製したにもかかわらず、シュウ酸標準液で濃度を決めなければならない理由として正しいものをすべて選ぶ(A〜Dの組合せを13通りから)

水酸化ナトリウムは、空気中の水分を吸って湿る(潮解性)ので、はかり取った質量に水が混ざります。また、空気中の二酸化炭素を吸収して炭酸ナトリウムに変わってしまいます。どちらも質量から求めた濃度が正確でなくなる理由です。「空気中の酸素と反応する」は誤り、「風解性」(結晶水を失って粉になる性質)は水酸化ナトリウムには当てはまりません。→ AとD(キ)。

🎯 問17の答え
問17:キ
⚠️ 潮解性と風解性の取り違えに注意(炭酸ナトリウム十水和物が風解性の代表)。 要確認

問18シュウ酸二水和物を何g量り取るか(記号ア〜オ)

📝 どういう問題か?

標準液の調製で、必要な物質量と式量から質量を出す計算問題。結晶水の分を式量に入れる。

  • 問18:0.0500 mol/Lのシュウ酸標準溶液を500 mLつくるために必要な、$(\mathrm{COOH})_2\cdot2\mathrm{H_2O}$ の質量を選ぶ
$$M\bigl((\mathrm{COOH})_2\cdot2\mathrm{H_2O}\bigr)=90+36=126,\qquad 0.0500\times0.500\times126=3.15\ \text{g}$$

→ ウ(3.15)。無水物の式量90で計算すると2.25 g(ア)になってしまいます。

🎯 問18の答え
問18:ウ

問19滴定に適した指示薬と終点の色の変化(記号ア〜カ)

📝 どういう問題か?

中和点のpHから指示薬を選ぶ知識問題。滴下する液がどちらかで、色の変化の向きが決まる。

  • 問19:標定の滴定と食酢の滴定(どちらも水酸化ナトリウム水溶液をビュレットから滴下)に最も適した、指示薬の名称と終点での色の変化の組合せを6通りの表から選ぶ

シュウ酸(2価の弱酸)や酢酸(弱酸)を水酸化ナトリウム(強塩基)で滴定すると、中和点で生じるシュウ酸ナトリウム・酢酸ナトリウムは加水分解して塩基性になります。変色域が塩基性側(pH 8〜10)のフェノールフタレインが適します。酸の溶液に塩基を滴下するので、色は無色 → 赤色(終点で薄い赤色が消えずに残る)。→ ア。メチルオレンジ(変色域 pH 3〜4.5)やブロモチモールブルー(pH 6〜7.6)は不適です。

🎯 問19の答え
問19:ア
⚠️ 指示薬の変色域と色の名前は暗記です。「弱酸+強塩基 → フェノールフタレイン」「弱塩基+強酸 → メチルオレンジ」の対を覚えておきましょう。 要確認

問20調製した水酸化ナトリウム水溶液のモル濃度(記号ア〜オ)

📝 どういう問題か?

中和の量的関係(酸の価数×物質量=塩基の価数×物質量)を使う計算問題。シュウ酸は2価。

  • 問20:標定の滴定(シュウ酸標準液10.0 mLに対し、水酸化ナトリウム水溶液が10.1 mL必要)から、水酸化ナトリウム水溶液のモル濃度を選ぶ
$$2\times0.0500\times\frac{10.0}{1000}=c\times\frac{10.1}{1000}\quad\Rightarrow\quad c=\frac{1.00\times10^{-3}}{10.1\times10^{-3}}=0.0990\ \text{mol/L}$$

→ ウ($9.90\times10^{-2}$)。シュウ酸を1価として計算すると $0.0495$ になり、選択肢にはありません(半分の値が出たら価数を疑う)。

🎯 問20の答え
問20:ウ

問21食酢中の酢酸の質量パーセント濃度(記号ア〜オ)

📝 どういう問題か?

希釈の倍率を戻して、酢酸の質量を出し、食酢の質量で割る計算問題。

  • 問21:食酢10.0 mLを水で正確に100 mLに薄め、その10.0 mLを滴定(水酸化ナトリウム水溶液が7.20 mL必要)したときの、もとの食酢中の酢酸の質量パーセント濃度を選ぶ(食酢の密度1.00 g/cm³、酸はすべて酢酸)

酢酸は1価なので、滴定した10.0 mL中の酢酸は水酸化ナトリウムと同じ物質量。

$$n_{\text{薄めた液10.0 mL}}=0.0990\times\frac{7.20}{1000}=7.13\times10^{-4}\ \text{mol}$$
$$n_{\text{食酢10.0 mL}}=7.13\times10^{-4}\times10=7.13\times10^{-3}\ \text{mol},\qquad m=7.13\times10^{-3}\times60=0.428\ \text{g}$$
$$\frac{0.428}{10.0\times1.00}\times100=4.28\ \%$$

→ ア(4.28)。薄めた倍率(10倍)の掛け忘れが最大の落とし穴です。

🎯 問21の答え
問21:ア
Yuiちゃん
Yuiちゃん
問20の0.0990を、問21でもそのまま使っていいんですか?
Sora先生
Sora先生
うん。問20で出した濃度を問21に引き継ぐのが、この大問の一本道。0.0990と丸めても、答えは4.28のままだよ。
Sora先生の総整理表

問題II:滴定の流れ

問型着眼点
問16器具の扱いメスフラスコ・コニカルビーカーはぬれてよい/ホールピペット・ビュレットは共洗い
問17標定の理由NaOHは潮解性とCO₂吸収で、質量から濃度を決められない
問18質量結晶水を含む式量126。$n=cV$ → 質量
問19指示薬弱酸+強塩基 → 中和点は塩基性 → フェノールフタレイン(無色→赤色)
問20標定の計算シュウ酸は2価。$2c_1V_1=c_2V_2$
問21希釈と質量パーセント薄めた10倍を戻す。酢酸は1価、式量60
TMPSコーチング診断

🩺【自己診断】問題IIで手が止まった人への処方箋

  • 問16共洗いの要否が決まらない → 「中の物質量が変わるか?」で判断。ホールピペット・ビュレットは、薄まると物質量が変わる
  • 問18質量が合わない → 結晶水を含む式量(126)を使っているか
  • 問20濃度が半分になった → シュウ酸の価数2を入れ忘れていないか
  • 問21値が1/10になった → 食酢を10倍に薄めた分を戻したか。食酢の質量は密度×体積
問題III / 目標:13分(問1〜問5、記述式)

問題III ペプチドAと六炭糖B ── 質量と物質量から、組成・構造・並びを決める

4個のα-アミノ酸がつながったペプチドAに、六炭糖B($\mathrm{C_6H_{12}O_6}$)が混ざっているかもしれない混合物Cを使った4つの実験から、Aの組成・Bの量・アミノ酸の構造式・並び順を決めます。解答は記述式です。

現場戦略試験会場でのリアルな立ち回り(問題III)
⏱ 目標時間 & 死守ライン目標13分(問1に2分、問2に3分、問3・4に3分、問5に3分、見直し2分)。問1・2は計算の一本道なので確実に取る。
⚠️ 損切り・警戒ライン問5の並び順は、C末端が決まれば残りを並べるだけ。3通りを書き漏らさないことが重要。時間がなければ、問1・2・3から先に書く。
💡 初手の思考トリガー最初の一手は実験4の「0.390 g」と「物質量」。アミノ酸が合計4.00×10⁻³ mol=Aが1.00×10⁻³ mol → $M=390$ と決まれば、組成は一気に絞られる。

問1発生したアンモニアの体積(実験2)

📝 どういう問題か?

逆滴定(残った酸の量から、吸収した塩基の量を出す)の計算。

  • 問1:混合物Cの窒素をすべてアンモニアに変えて硫酸に吸収させ、残った硫酸を水酸化ナトリウム水溶液で中和した実験から、発生したアンモニアの0℃・$1.013\times10^{5}$ Paでの体積[L]を有効数字3桁で答える
$$n(\mathrm{H^{+}})=2\times0.100\times0.100=0.0200\ \text{mol},\qquad n(\mathrm{OH^{-}})=0.300\times0.0400=0.0120\ \text{mol}$$
$$n(\mathrm{NH_3})=0.0200-0.0120=8.00\times10^{-3}\ \text{mol}$$
$$V=\frac{nRT}{P}=\frac{8.00\times10^{-3}\times8.3\times10^{3}\times273}{1.013\times10^{5}}=0.179\ \text{L}$$

標準状態の22.4 L/molを使っても $0.00800\times22.4=0.179$ L で同じ値です。→ 0.179 L。

🎯 問1の答え
問1:0.179 L

問2混合物に含まれる六炭糖Bの物質量(有効数字3桁)

📝 どういう問題か?

Aの分子量(実験4)→ Aの物質量(実験2)→ 残りがB、という順に追う。

  • 問2:混合物C 0.870 gに含まれる六炭糖Bの物質量[mol]を有効数字3桁で答える(ペプチドAの分子量は実験4から決める)

① Aの分子量(実験4)。操作の結果、溶液Eにアミノ酸(a)、溶液Gにアミノ酸(d)が各 $2.00\times10^{-3}$ mol 出ました。Aは4個のアミノ酸からなるので、Aの物質量は合計($4.00\times10^{-3}$ mol)の $\tfrac14$。

$$n(\mathrm{A})=\frac{(2.00+2.00)\times10^{-3}}{4}=1.00\times10^{-3}\ \text{mol},\qquad M(\mathrm{A})=\frac{0.390}{1.00\times10^{-3}}=390$$

② 混合物C中のA。Aは1分子に窒素4個(アミノ酸4個がそれぞれ1個のN)。実験2のアンモニア $8.00\times10^{-3}$ mol はすべてAの窒素からなので、

$$n(\mathrm{A})=\frac{8.00\times10^{-3}}{4}=2.00\times10^{-3}\ \text{mol}=0.780\ \text{g}$$
$$m(\mathrm{B})=0.870-0.780=0.090\ \text{g},\qquad n(\mathrm{B})=\frac{0.090}{180}=5.00\times10^{-4}\ \text{mol}$$

→ $5.00\times10^{-4}$ mol。実験3の燃焼(CO₂ 1.364 g、H₂O 0.450 g)も、Aを $\mathrm{C_{14}H_{22}N_4O_9}$ としたときの値と一致します(検算済み)。

🎯 問2の答え
問2:$5.00\times10^{-4}$ mol
Yuiちゃん
Yuiちゃん
Aの分子式は、どうやって分かるのですか?
Sora先生
Sora先生
先にアミノ酸の組合せを決めるよ。M=390で、同じアミノ酸が2個ずつなら、2つの分子量の和が(390+54)÷2=222。表から和が222になる組合せを探すんだ。

問3アミノ酸(a)の構造式

📝 どういう問題か?

実験4のイオン交換の溶出順と、実験1の分解産物から(a)を決める。

  • 問3:実験1・4から決まるアミノ酸(a)の構造式を、図2(メチルエステルの構造)にならって書く

組成の決め方。$M(\mathrm{A})=390$ で、(a)と(d)が2個ずつ。4個のアミノ酸の分子量の和は $390+3\times18=444$(ペプチド結合3個で水3分子が出る)なので、$2(M_a+M_d)=444$、つまり$M_a+M_d=222$。表でこれを満たすのはアラニン(89)+アスパラギン酸(133)と、グリシン(75)+グルタミン酸(147)の2組です。

実験1で、図2の構造(アラニンのメチルエステル)が生成する、とあるので、Aにはアラニンが含まれます。したがって(a)・(d)はアラニンとアスパラギン酸です。

陰イオン交換樹脂で、pHを下げながらアミノ酸を溶出する様子。pHが等電点を下回ると溶出する
図C 陰イオン交換樹脂からの溶出(pHと等電点・TMPS作成)

実験4は陰イオン交換樹脂です。pH 10.0ではアラニン・アスパラギン酸ともに陰イオン(pH>等電点)で、樹脂に結合します。緩衝液のpHを下げていくと、pHが等電点を下回ったアミノ酸から順に陽イオン側になって溶出します。アラニン(等電点6.0)はpH 5.0(溶液E)、アスパラギン酸(等電点2.8)はpH 2.5(溶液G)。リシン(9.7)ならpH 7.0の溶液Dに出るはずですが、Dは空なので含まれません。→ (a)=アラニン、(d)=アスパラギン酸。

アラニンの構造式
(a) アラニン(TMPS作成)

→ (a)はアラニン $\mathrm{H_2N{-}CH(CH_3){-}COOH}$。図2のメチルエステルの $\mathrm{{-}COOCH_3}$ を $\mathrm{{-}COOH}$ に戻した形です。

🎯 問3の答え
問3:アラニン
⚠️ 溶出の順番の読みは「pHが等電点より下がったら出る」という近似です。近い値(等電点6.0と緩衝液pH 5.0など)は、質量(M=390)とあわせて確かめるのが安全です。構造式の書き方は答案例です。 要確認

問4アミノ酸のメチルエステル(c)の構造式

📝 どういう問題か?

「先にエステル化、そのあとで加水分解」という実験1の順番から、どの $\mathrm{{-}COOH}$ がエステルになるかを読み取る。

  • 問4:実験1で生成したアミノ酸のメチルエステル(c)の構造式を、図2にならって書く

実験1では、先にすべてのカルボキシ基をメチルエステル化し、そのあとにペプチド結合を切ります。この時点でカルボキシ基として存在するのは、AのC末端と、アスパラギン酸の側鎖だけです(ペプチド結合になっているカルボニル基は、まだ $\mathrm{{-}COOH}$ ではない)。

その後に切断すると、(b)=C末端のアミノ酸がメチルエステル(図2=アラニン)、(c)=側鎖のカルボキシ基だけがエステルになったアスパラギン酸、(a)=エステルを持たない(C末端でも側鎖カルボキシ基でもない)アラニン、となります。(c)のα位のカルボキシ基は切断で生じたので、遊離の $\mathrm{{-}COOH}$ です。

(c) アスパラギン酸の側鎖がメチルエステルになったもの
(c) アスパラギン酸の側鎖のメチルエステル(TMPS作成)

→ (c)は $\mathrm{H_2N{-}CH(CH_2{-}COOCH_3){-}COOH}$。

🎯 問4の答え
問4:H₂N-CH(CH₂-COOCH₃)-COOH
⚠️ エステルになっているのは側鎖の $\mathrm{{-}COOH}$、α位は遊離のまま、という書き方の約束は答案例です。図2と同じく、α炭素にアミノ基・水素・側鎖・カルボキシ基を付けます。 要確認

問5ペプチドAのアミノ酸の結合順序

📝 どういう問題か?

組成(Ala 2個・Asp 2個)と、C末端がアラニンという条件で、並べ方を数え上げる。

  • 問5:ペプチドAのアミノ酸の並び方としてありえるものを、すべて、N末端から3文字表記(例:Gly-Ala-Cys-Asp)で書く

組成はAla 2個とAsp 2個。実験1で、(b)=C末端がアラニンと決まりました。残りの3か所(N末端側)にAla 1個とAsp 2個を並べるので、Alaがどこに入るかで3通りです。

・Ala-Asp-Asp-Ala  ・Asp-Ala-Asp-Ala  ・Asp-Asp-Ala-Ala

どれも、C末端以外にAlaが1個(遊離のアミノ酸(a)になる)とAspが2個((c)になる)を含むので、実験1と矛盾しません。実験で並びを決める手がかりは他にないので、3通りすべてが答えです。

🎯 問5の答え
Ala-Asp-Asp-AlaAsp-Ala-Asp-AlaAsp-Asp-Ala-Ala
⚠️ 「すべて」と書かれたら、数え上げてから答える。2通りで止めると部分点が付かない可能性があります(採点基準は確認できません)。3文字表記はN末端から。 要確認
Sora先生の総整理表

問題III:推理の流れ

問型着眼点
問1逆滴定酸の物質量−塩基の物質量=アンモニア。$V=nRT/P$
問2分子量→物質量→混合量実験4で $M=390$ → 実験2でAの物質量 → 残りがB
問3組成の決定$M_a+M_d=222$。Alaを含む → Ala+Asp。溶出順で(a)=Ala
問4実験1の順番先にエステル化 → 側鎖と C末端だけがエステル
問5数え上げC末端はAla。残り3か所に Ala1・Asp2 → 3通り
TMPSコーチング診断

🩺【自己診断】問題IIIで手が止まった人への処方箋

  • 問1体積が合わない → 硫酸は2価(H⁺は2倍)。差が「吸収したアンモニア」
  • 問2Aの量が出ない → 先に実験4で $M$(390)を出す。窒素は1分子に4個
  • 問3(a)が決まらない → 実験4のE・Gに出るアミノ酸の等電点(Eは5.0>…、Gは2.5<…)を表と照らす
  • 問4構造式が書けない → 先にエステル化=C末端と側鎖のカルボキシ基だけ。α位は遊離
  • 問52通りで止まった → C末端を固定して、残り3か所を並べ替える
問題IV / 目標:13分(問1〜問5、記述式)

問題IV 芳香族炭化水素A・B ── 条件を1つずつ当てはめて、A〜Dを決める

分子量130以下の同じ分子式をもつ芳香族炭化水素A・Bについて、元素分析・臭素付加・過マンガン酸カリウムによる酸化・ヨードホルム反応・炭酸水素ナトリウム・PETの原料という6つの実験から、A〜Dの構造を決めます。候補を並べて、条件で落とすのが基本です。

現場戦略試験会場でのリアルな立ち回り(問題IV)
⏱ 目標時間 & 死守ライン目標13分(問1に3分、問2に6分、問3・4に3分、問5に1分)。問1・3・4・5は構造が決まらなくても取れる。
⚠️ 損切り・警戒ライン問2のA・Bを決める手順が長いので、時間がなければC(アセトフェノン)とD(テレフタル酸)から先に書く。A・Bは最後の1〜2分で。
💡 初手の思考トリガー最初の一手は①の元素分析。CO₂とH₂Oの質量から $\mathrm{C:H}=9:10$ → $\mathrm{C_9H_{10}}$。不飽和度5=ベンゼン環+C=C 1個。

問1化合物Aの分子式

📝 どういう問題か?

元素分析から組成式を出し、分子量の条件で分子式に直す問題。

  • 問1:燃焼の実験(A 29.5 mgからCO₂ 99.0 mg、H₂O 22.5 mg)と分子量の条件(130以下)から、Aの分子式を書く
$$\mathrm{C}:\ \frac{99.0}{44.0}\times12.0=27.0\ \text{mg},\qquad \mathrm{H}:\ \frac{22.5}{18.0}\times2.0=2.5\ \text{mg}\quad(27.0+2.5=29.5\ \text{mg})$$
$$\mathrm{C:H}=\frac{27.0}{12}:\frac{2.5}{1.0}=2.25:2.5=9:10\ \to\ \text{組成式 }\mathrm{C_9H_{10}}\ (118)$$

組成式量118の2倍は236で130を超えるので、分子式は組成式と同じ $\mathrm{C_9H_{10}}$。

🎯 問1の答え
問1:C₉H₁₀

問2化合物A・B・C・Dの構造式

📝 どういう問題か?

分子式 → 臭素付加でC=Cの数 → 酸化の生成物 → ヨードホルム・炭酸水素ナトリウム・PETの条件、と順に当てはめる。

  • 問2:①〜⑥の実験から、A・B・C・Dの構造式を、例(ベンゼン環に置換基がついた化合物の構造式)にならって書く

手順1(②):A 2.36 g=$\dfrac{2.36}{118}=0.0200$ mol と、臭素 $\mathrm{Br_2}$ 3.20 g=$\dfrac{3.20}{160}=0.0200$ mol が1:1で反応。C=Cが1個。不飽和度 $\dfrac{2\times9+2-10}{2}=5$=ベンゼン環(4)+C=C(1)。Bも同様。

手順2(候補):$\mathrm{C_9H_{10}}$のベンゼン環+C=C 1個の異性体は、次の7種です。イソプロペニルベンゼン(α-メチルスチレン)、1-フェニルプロペン(β-メチルスチレン)のシス・トランス、アリルベンゼン、メチルスチレンのo-・m-・p-。

手順3(③):酸化で気体(CO₂)が出るのは、末端の $\mathrm{{=}CH_2}$ をもつもの(α-メチルスチレン、アリルベンゼン、o-・m-・p-メチルスチレンの5種)。β-メチルスチレンは酢酸ができて気体は出ない。

手順4(④):Cがヨードホルム反応を示すのは、$\mathrm{CH_3CO{-}}$をもつときだけ。α-メチルスチレンの酸化でできるアセトフェノン $\mathrm{C_6H_5COCH_3}$ が該当。→ A=α-メチルスチレン、C=アセトフェノン。

手順5(⑤⑥):Dは炭酸水素ナトリウムで気体を出すカルボン酸で、エチレングリコールと縮合重合してPETになるのはテレフタル酸。テレフタル酸(p-ジカルボン酸)が得られるのは、p-メチルスチレンの酸化(ビニル基は $\mathrm{{-}COOH}$ に、ベンゼン環に直結した $\mathrm{{-}CH_3}$ も $\mathrm{{-}COOH}$ に変わる)だけ。→ B=p-メチルスチレン、D=テレフタル酸。

A α-メチルスチレン
A α-メチルスチレン
B p-メチルスチレン
B p-メチルスチレン
C アセトフェノン
C アセトフェノン
D テレフタル酸
D テレフタル酸
A〜Dと各実験の関係。AからC、BからD、Cのヨードホルム反応、Dと炭酸水素ナトリウム・エチレングリコールの反応
図D A〜Dの関係(TMPS作成)
🎯 問2の答え
A:α-メチルスチレンB:p-メチルスチレンC:アセトフェノンD:テレフタル酸
⚠️ 候補の列挙は、ベンゼン環に直結する炭素の組合せ(一置換+二置換)を落ちなく書くのがコツです。構造式の書き方(例にならう)は答案例です。 要確認
Yuiちゃん
Yuiちゃん
Bのメチル基まで酸化されるなんて、問題文に書いてありませんでした…。
Sora先生
Sora先生
そこが知識の勝負どころ。⑥で「PET」と書いてあれば、Dはテレフタル酸と決まる。そこから逆にたどれば、メチル基も酸化されたと気づけるよ。

問3下線部aの反応名

📝 どういう問題か?

黄色沈殿の正体(ヨードホルム $\mathrm{CHI_3}$)を思い出す知識問題。

  • 問3:Cのみが「ヨウ素を含む水酸化ナトリウム水溶液」で黄色沈殿を生じた反応の名前を書く

$\mathrm{CH_3CO{-}}$(メチルケトン)が、ヨウ素と水酸化ナトリウムで酸化・ハロゲン化・分解され、特有のにおいの黄色沈殿ヨードホルム $\mathrm{CHI_3}$ とカルボン酸のナトリウム塩になる反応です。

$$\mathrm{C_6H_5COCH_3+3I_2+4NaOH\ \to\ C_6H_5COONa+CHI_3\downarrow+3NaI+3H_2O}$$
🎯 問3の答え
ヨードホルム反応

問4下線部bの反応式(Dと炭酸水素ナトリウム)

📝 どういう問題か?

カルボン酸と炭酸水素ナトリウムの反応(弱酸の遊離)。Dは2価の酸。

  • 問4:Dと炭酸水素ナトリウム水溶液の反応を、Dを構造式で示した反応式で書く

テレフタル酸は $\mathrm{{-}COOH}$ を2個もつので、炭酸水素ナトリウム2 molと反応します。炭酸より強い酸が、炭酸の塩から炭酸(→水と二酸化炭素)を追い出します。

$$\mathrm{HOOC{-}C_6H_4{-}COOH+2NaHCO_3\ \to\ NaOOC{-}C_6H_4{-}COONa+2H_2O+2CO_2\uparrow}$$

答案では、$\mathrm{C_6H_4}$ の部分をベンゼン環の構造式(1位と4位に $\mathrm{{-}COOH}$)で書きます。原子数と電荷の保存は検算済みです(炭素10・水素8・酸素10・ナトリウム2)。

🎯 問4の答え
D+2NaHCO₃ → Dのナトリウム塩+2H₂O+2CO₂

問5PETのエステル結合の数(有効数字2桁)

📝 どういう問題か?

繰り返し単位の式量から重合度を出し、1単位あたりのエステル結合数をかける計算問題。

  • 問5:平均分子量 $2.4\times10^{5}$ のポリエチレンテレフタラート1分子中のエステル結合の数を有効数字2桁で答える

繰り返し単位 $\mathrm{{-}[OC{-}C_6H_4{-}CO{-}O{-}CH_2CH_2{-}O]{-}}$ は $\mathrm{C_{10}H_8O_4}$、式量 $10\times12+8\times1.0+4\times16=192$。

$$n=\frac{2.4\times10^{5}}{192}=1.25\times10^{3},\qquad \text{エステル結合}=2n=2.5\times10^{3}$$

繰り返し単位1個にエステル結合は2個(実際は $2n-1$ 個ですが、有効数字2桁では同じ)。→ $2.5\times10^{3}$ 個。

🎯 問5の答え
問5:$2.5\times10^{3}$ 個
Sora先生の総整理表

問題IV:構造決定の流れ

問型着眼点
問1元素分析C:H=9:10 → C₉H₁₀。分子量130以下で分子式に
問2構造決定不飽和度5 → 気体が出る(末端=CH₂)→ ヨードホルム陽性 → PET
問3反応名CH₃CO- + I₂・NaOH → ヨードホルム(黄色沈殿)
問4反応式カルボン酸 + NaHCO₃。テレフタル酸は2価なので2NaHCO₃
問5高分子の計算繰り返し単位192 → $n=1250$ → エステル結合 2n
TMPSコーチング診断

🩺【自己診断】問題IVで手が止まった人への処方箋

  • 問1C:Hの比が合わない → CO₂は炭素を、H₂Oは水素を $\times2$。質量の合計が29.5 mgになるか確かめる
  • 問2候補が決まらない → 「気体が出る=末端=CH₂」で5種に絞り、ヨードホルムで1種、PETでもう1種
  • 問3反応名が出ない → 黄色沈殿+ヨウ素+NaOH=ヨードホルム反応
  • 問4式の係数が合わない → カルボキシ基の数(2個)だけ NaHCO₃ が必要
  • 問5桁が合わない → 繰り返し単位192で割り、1単位あたりのエステル結合2個をかける
TMPS ORIGINAL

東京女子医科大2025型 そっくり類題セット
(全4大問・解答解説つき)

2025年度の本番と同じ4大問・同じ小問数(問題I 15問、問題II 6問、問題III・IV 各5問)で、題材・数値・設定を変えたTMPSオリジナル問題です。小問を落ち着いて取り切る力と、条件を順に当てはめて決める力の練習に使ってください。入試問題ではありません。TMPS医学館のオリジナルです。

試験時間の目安 60分(理科2科目で120分)小問集合・滴定・ペプチド・芳香族
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印刷して本番と同じように60分で解けます。解答・解説はこのページの下に掲載しています。

※ 東京女子医科大学の入試問題ではありません。本文・設問・人物・団体(架空)はすべてTMPS医学館が作成したオリジナルで、出典のある引用ではありません。

類題 問題I 小問集合
  • 必要であれば,次の原子量および数値を用いよ。
  • 原子量:H=1.0,C=12,N=14,O=16,Na=23,S=32,Cl=35.5,Cu=64
  • 気体定数:$R=8.3\times10^{3}\ \mathrm{Pa\cdot L/(K\cdot mol)}$,ファラデー定数:$F=9.65\times10^{4}\ \mathrm{C/mol}$
  • 気体を扱う計算では,すべて理想気体として考えよ。
  • 問題I・IIは選択肢のア〜(またはア〜シ)から選ぶマーク式,問題III・IVは記述式である。

次の各問いに答えよ。問1〜問15は,選択肢の記号(ア〜)を選んで答える。

問1 原子とイオンに関する次の記述①〜⑤のうち,正しいものをすべて選べ。解答はア〜シから選べ。
① 同一周期の元素では,貴ガスを除き,原子番号が大きいほど原子半径は小さくなる。
② 陽イオンの半径は,もとの原子の半径よりも大きい。
③ イオン化エネルギーが大きい原子ほど,陽イオンになりやすい。
④ 17族の原子は,電子1個を受け取って1価の陰イオンになりやすい。
⑤ 同じ電子配置をもつイオンでは,原子番号が大きいほどイオン半径は大きい。
ア ①のみイ ②のみウ ③のみエ ④のみオ ⑤のみカ ①と②キ ①と③ク ①と④ケ ②と⑤コ ③と④サ ③と⑤シ ④と⑤
問2 原子番号が1から20までの元素の中で,基底状態の原子がもつ不対電子の数が2個である元素はいくつあるか。解答はア〜カから選べ。
ア 0個イ 1個ウ 2個エ 3個オ 4個カ 5個
問3 物質の結晶に関する次の記述①〜⑤のうち,正しいものをすべて選べ。解答はア〜シから選べ。
① 氷は,水素結合によるすき間の多い構造をもつため,液体の水よりも密度が大きい。
② 黒鉛は電気を通さないが,ダイヤモンドは電気をよく通す。
③ ヨウ素の結晶は分子結晶であり,昇華しやすい。
④ 二酸化ケイ素の結晶は分子結晶であり,融点が低い。
⑤ 金属は,自由電子が結晶中を動けるため,固体でも電気をよく通す。
ア ①のみイ ②のみウ ③のみエ ④のみオ ⑤のみカ ①と③キ ①と④ク ②と③ケ ②と④コ ②と⑤サ ③と⑤シ ④と⑤
問4 放射性核種XとYが物質量比3:1で含まれる物質がある。XとYの半減期はそれぞれ6.0日と18日で,どちらも半減期ごとに物質量が半分になる。この物質に含まれるXとYの物質量の合計を1としたとき,0.22まで減少するのに要する日数はいくらか。最も近い値をア〜クから選べ。
ア 12イ 15ウ 18エ 21オ 24カ 27キ 30ク 33
問5 アンモニアに関する次の記述①〜⑤のうち,正しいものをすべて選べ。解答はア〜シから選べ。
① 塩化アンモニウムと水酸化カルシウムの混合物を加熱すると発生する。
② 乾燥させるには,濃硫酸を用いるのがよい。
③ 水にほとんど溶けないので,水上置換で捕集する。
④ 工業的には,鉄を主成分とする触媒を用いて,窒素と水素から合成される。
⑤ 空気より重いので,下方置換で捕集する。
ア ①のみイ ②のみウ ③のみエ ④のみオ ⑤のみカ ①と②キ ①と④ク ②と③ケ ②と⑤コ ③と④サ ③と⑤シ ④と⑤
問6 硫酸銅(II)五水和物 $\mathrm{CuSO_{4}·5H_{2}O}$ を加熱すると,まず一水和物 $\mathrm{CuSO_{4}·H_{2}O}$ になり,さらに加熱すると無水物になる。50.0 gの五水和物がすべて一水和物になったとすると,何gの一水和物が得られるか。最も近い値をア〜オから選べ。
ア 18.0イ 32.0ウ 35.6エ 40.0オ 50.0
問7 電池に関する次の記述①〜⑤のうち,正しいものをすべて選べ。解答はア〜シから選べ。
① 電池の負極では,放電のとき還元反応が起こる。
② 鉛蓄電池を放電すると,正極・負極ともに極板の質量が増加する。
③ マンガン乾電池は二次電池であり,充電して繰り返し使用できる。
④ 水素を燃料とする燃料電池では,負極に水素を,正極に酸素を供給する。
⑤ ダニエル電池では,銅板が負極,亜鉛板が正極である。
ア ①のみイ ②のみウ ③のみエ ④のみオ ⑤のみカ ①と③キ ①と⑤ク ②と③ケ ②と④コ ②と⑤サ ③と④シ ④と⑤
問8 下記の化合物のうち,水100 gに溶かした水溶液の凝固点降下度が0.372 Kにならないものをすべて選べ。解答はア〜シから選べ。ただし,水のモル凝固点降下は1.86 K·kg/mol,化合物は完全に水に溶解し,電解質の電離度は1とする。また,( )内の数値は化合物の分子量あるいは式量を表す。
① 3.60 gのグルコース(180)
② 0.585 gの塩化ナトリウム(58.5)
③ 1.11 gの塩化カルシウム(111)
④ 1.20 gの尿素(60)
⑤ 1.42 gの硫酸ナトリウム(142)
ア ①のみイ ②のみウ ③のみエ ④のみオ ⑤のみカ ①と②キ ①と④ク ①と⑤ケ ②と④コ ②と⑤サ ③と④シ ③と⑤
問9 気体に関する次の記述①〜⑤のうち,正しいものをすべて選べ。解答はア〜シから選べ。
① 圧力が一定のとき,一定量の気体の体積は,セルシウス温度に比例する。
② 混合気体の全圧は,各成分気体の分圧の積に等しい。
③ 実在気体は,低温・高圧にするほど,理想気体からのずれが小さくなる。
④ 水上置換で,容器の内外の水面の高さをそろえて捕集した気体の分圧は,大気圧から水蒸気圧を引いた値に等しい。
⑤ 同温・同圧で同体積の気体は,種類によらず同数の分子を含む。
ア ①のみイ ②のみウ ③のみエ ④のみオ ⑤のみカ ①と②キ ①と③ク ②と④ケ ②と⑤コ ③と④サ ③と⑤シ ④と⑤
問10 標高が100 m高くなるごとに,温度は0.60℃,気圧は10.0 hPaずつ低下する。標高0 mの地点で気圧が $1.00\times10^{5}$ Pa,気温が27℃であるとすると,その地点の3000 m上空における空気の密度[g/L]は,標高0 mにおける密度の何%になるか。最も近い値をア〜キから選べ。ただし,空気の組成は同じで,空気は理想気体とする。
ア 65.8%イ 70.0%ウ 72.5%エ 74.5%オ 76.5%カ 80.5%キ 85.5%
問11 硝酸の工業的製法に「オストワルト法」がある。この方法では,アンモニアを白金などの触媒の存在下で酸素と反応させて一酸化窒素をつくる。この一酸化窒素から得られる二酸化窒素を水に吸収させて硝酸にする。質量パーセントで63.0%の硝酸(密度1.40 g/cm³)は,アンモニア5.10 kgから最大で何L製造できるか。ただし,アンモニアの窒素原子がすべて硝酸になるものとする。触媒として適切なものを①,製造できる体積を②として,①,②にあてはまる語句と数値の組合せとして最も適切なものをア〜ケから選べ。
①②
ア白金13.5 L
イ白金21.4 L
ウ白金42.9 L
エ酸化バナジウム(V)13.5 L
オ酸化バナジウム(V)21.4 L
カ酸化バナジウム(V)42.9 L
キ四酸化三鉄13.5 L
ク四酸化三鉄21.4 L
ケ四酸化三鉄42.9 L
問12 ナトリウムの単体は,塩化ナトリウムの溶融塩電解によって製造される。9.20 kgのナトリウムの単体を得るためには,5.00 Aの電流で電気分解すると何秒かかるか。最も近い値をア〜オから選べ。ただし,通じた電流はナトリウムの析出のみに用いられたものとする。
ア $1.93\times10^{6}$イ $3.86\times10^{6}$ウ $7.72\times10^{6}$エ $1.54\times10^{7}$オ $3.86\times10^{7}$
問13 $a\mathrm{A}+b\mathrm{B}\to c\mathrm{C}$($a$,$b$,$c$は係数)で表される化学反応がある。A,Bの濃度を変えて反応を進行させたところ,反応初期におけるCの生成速度 $v$ は下表の通りであった。①この反応の反応速度式はどのように表せるか。②反応速度定数 $k$ はいくらか。①,②の答えの組合せとして最も適切なものをア〜ケから選べ。
実験[A] (mol/L)[B] (mol/L)$v$ (mol/(L·s))
I0.100.40$2.0\times10^{-3}$
II0.200.40$8.0\times10^{-3}$
III0.200.80$1.6\times10^{-2}$
①②
ア$v=k[\mathrm{A}][\mathrm{B}]$0.050
イ$v=k[\mathrm{A}][\mathrm{B}]$0.13
ウ$v=k[\mathrm{A}][\mathrm{B}]$0.50
エ$v=k[\mathrm{A}][\mathrm{B}]^{2}$0.050
オ$v=k[\mathrm{A}][\mathrm{B}]^{2}$0.13
カ$v=k[\mathrm{A}][\mathrm{B}]^{2}$0.50
キ$v=k[\mathrm{A}]^{2}[\mathrm{B}]$0.050
ク$v=k[\mathrm{A}]^{2}[\mathrm{B}]$0.13
ケ$v=k[\mathrm{A}]^{2}[\mathrm{B}]$0.50
問14 次の記述①〜⑤のうち,アセトンとアセトアルデヒドに共通する性質をすべて選べ。解答はア〜シから選べ。
① 水によく溶ける。
② 銀鏡反応を示す。
③ ヨードホルム反応を示す。
④ 還元すると,第二級アルコールになる。
⑤ 穏やかな条件で酸化されて,同じ炭素数のカルボン酸になる。
ア ①のみイ ②のみウ ③のみエ ④のみオ ⑤のみカ ①と②キ ①と③ク ①と⑤ケ ②と③コ ②と⑤サ ③と④シ ④と⑤
問15 高分子化合物A〜Eに関する次の記述①〜⑤のうち,正しいものをすべて選べ。解答はア〜シから選べ。高分子化合物の構造は,繰り返し単位で示してある。
A $\mathrm{[{-}CH_{2}{-}CH(OCOCH_{3}){-}]_{n}}$
B $\mathrm{[{-}CF_{2}{-}CF_{2}{-}]_{n}}$
C $\mathrm{[{-}CH_{2}{-}CH{=}CH{-}CH_{2}{-}]_{n}}$
D $\mathrm{[{-}O{-}CH_{2}CH_{2}{-}O{-}CO{-}C_{6}H_{4}{-}CO{-}]_{n}}$
E $\mathrm{[{-}O{-}CH(CH_{3}){-}CO{-}]_{n}}$
① Aをけん化(水酸化ナトリウム水溶液で加水分解)すると,ポリビニルアルコールが得られる。
② Bは縮合重合で合成され,フライパンの表面加工に用いられる。
③ Cは,1,3-ブタジエンの縮合重合で合成される合成ゴムである。
④ Dは熱硬化性樹脂であり,ペットボトルの原料として用いられる。
⑤ Eは,生分解性をもつ。
ア ①のみイ ②のみウ ③のみエ ④のみオ ⑤のみカ ①と②キ ①と③ク ①と⑤ケ ②と③コ ②と⑤サ ③と④シ ④と⑤
▶ 問題I の答えと解説を見る

問題I 小問集合 の答えと解説

問1
ク
  1. ①は正しい(同一周期では,核の正電荷が増えて電子が強く引かれ,原子半径は小さくなる)。②は誤り(電子を失うと電子殻が減るか反発が減るので,陽イオンはもとの原子より小さい)。
  2. ③は誤り(イオン化エネルギーが小さい原子ほど陽イオンになりやすい)。④は正しい(17族は電子1個で貴ガスと同じ電子配置になる)。⑤は誤り(同じ電子配置なら,原子番号が大きいほど核の正電荷が大きく,イオン半径は小さい)。→ ①と④でク。
問2
オ
  1. 不対電子は,同じエネルギーの軌道に電子が1個ずつ入るというフントの規則で決まる。p軌道(3個)に $n$ 個入るとき,$n\leqq3$ なら不対電子は $n$ 個,$n\geqq4$ なら $6-n$ 個。
  2. 2個になるのは,$2p^2$ の C,$2p^4$ の O,$3p^2$ の Si,$3p^4$ の S の4個(s軌道だけの元素や,$p^3$ の N・P は別)。→ 4個でオ。
問3
サ
  1. ①は誤り(すき間が多いので,氷は水より密度が小さく,水に浮く)。②は誤り(黒鉛は炭素の1個の価電子が動けるので電気を通し,ダイヤモンドは通さない。逆)。
  2. ③は正しい(ヨウ素は分子間力の弱い分子結晶)。④は誤り(二酸化ケイ素は共有結合の結晶で,融点が非常に高い)。⑤は正しい。→ ③と⑤でサ。
問4
ウ
  1. Xは全体の $\tfrac34$,Yは $\tfrac14$ から始まる。$t$ 日後の合計は $\tfrac34\cdot2^{-t/6.0}+\tfrac14\cdot2^{-t/18}$。
  2. $t=18$ 日で,Xは $2^{-3}=\tfrac18$,Yは $2^{-1}=\tfrac12$ になるので,合計は $\tfrac34\times\tfrac18+\tfrac14\times\tfrac12=0.094+0.125=0.219\approx0.22$。→ 18日でウ。
問5
キ
  1. ①は正しい(実験室での製法)。②は誤り(塩基性の気体なので,濃硫酸と反応してしまう。乾燥には酸化カルシウムなどを使う)。③は誤り(水に非常によく溶ける)。
  2. ④は正しい(ハーバー・ボッシュ法)。⑤は誤り(空気より軽いので上方置換)。→ ①と④でキ。
問6
ウ
  1. 式量は $\mathrm{CuSO_4\cdot5H_2O}=64+32+64+90=250$,$\mathrm{CuSO_4\cdot H_2O}=64+32+64+18=178$。
  2. $\dfrac{50.0}{250}=0.200\ \mathrm{mol}$ なので,$0.200\times178=35.6\ \mathrm{g}$。→ウ。(32.0 gは無水物 $0.200\times160$ の値)
問7
ケ
  1. ①は誤り(負極では酸化反応が起こる)。②は正しい(Pb→PbSO₄,PbO₂→PbSO₄ で,どちらも硫酸鉛(II)が付着して質量が増える)。③は誤り(一次電池)。
  2. ④は正しい。⑤は誤り(亜鉛が負極,銅が正極)。→ ②と④でケ。
問8
シ
  1. $\Delta T=K_f\times m$ より,$0.372=1.86\times m$,$m=0.200\ \mathrm{mol/kg}$。水100 g(0.100 kg)に溶けている粒子の合計は $0.200\times0.100=0.0200\ \mathrm{mol}$ でなければならない。
  2. ①$0.0200\times1=0.0200$ ○,②$0.0100\times2=0.0200$ ○,③$0.0100\times3=0.0300$ ×,④$0.0200$ ○,⑤$0.0100\times3=0.0300$ ×。→ ならないのは③と⑤でシ。
問9
シ
  1. ①は誤り(絶対温度に比例する)。②は誤り(和に等しい)。③は誤り(低温・高圧では分子間力や分子の大きさの影響が大きく,ずれが大きくなる)。
  2. ④は正しい(捕集した気体の分圧=大気圧-水蒸気圧)。⑤は正しい(アボガドロの法則)。→ ④と⑤でシ。
問10
エ
  1. 3000 mは30段分。温度は $27-0.60\times30=9\ ℃=282\ \mathrm{K}$,圧力は $1.00\times10^{5}-10.0\times30\times10^{2}=7.00\times10^{4}\ \mathrm{Pa}$。
  2. 密度は $\dfrac{PM}{RT}$ で $\dfrac{P}{T}$ に比例するので,$\dfrac{7.00\times10^{4}/282}{1.00\times10^{5}/300}=0.7447\to74.5\%$。→エ。(70.0%は圧力だけの比)
問11
イ
  1. 触媒は白金(酸化バナジウム(V)は接触法,四酸化三鉄はハーバー・ボッシュ法)。アンモニア中の窒素はすべて硝酸になるので,$\mathrm{NH_3}$ と $\mathrm{HNO_3}$ は物質量が等しい。
  2. $n=\dfrac{5.10\times10^{3}}{17}=300\ \mathrm{mol}$,$\mathrm{HNO_3}=63$ より $300\times63=1.89\times10^{4}\ \mathrm{g}$。63.0%硝酸の質量は $\dfrac{1.89\times10^{4}}{0.630}=3.00\times10^{4}\ \mathrm{g}$,体積は $\dfrac{3.00\times10^{4}}{1.40}=2.14\times10^{4}\ \mathrm{mL}=21.4\ \mathrm{L}$。→イ。
問12
ウ
  1. 陰極:$\mathrm{Na^{+}+e^{-}\to Na}$。$n(\mathrm{Na})=\dfrac{9.20\times10^{3}}{23}=400\ \mathrm{mol}$ で,電子も400 mol。
  2. 電気量 $Q=400\times9.65\times10^{4}=3.86\times10^{7}\ \mathrm{C}$,$t=\dfrac{Q}{I}=\dfrac{3.86\times10^{7}}{5.00}=7.72\times10^{6}\ \mathrm{s}$。→ウ。
問13
ケ
  1. 実験IとIIは [B] が同じで [A] が2倍 → $v$ は4倍なので [A] の2次。実験IIとIIIは [A] が同じで [B] が2倍 → $v$ は2倍なので [B] の1次。よって $v=k[\mathrm{A}]^{2}[\mathrm{B}]$。
  2. $k=\dfrac{v}{[\mathrm{A}]^{2}[\mathrm{B}]}=\dfrac{2.0\times10^{-3}}{0.10^{2}\times0.40}=0.50$(3つの実験とも同じ値)。→ケ。
問14
キ
  1. ①は共通(どちらも水によく溶ける)。②はアセトアルデヒドだけ。③は共通(どちらも $\mathrm{CH_3CO-}$ をもつ)。④はアセトンだけ(アセトアルデヒドを還元すると第一級アルコール)。⑤はアセトアルデヒドだけ(ケトンは穏やかな条件では酸化されにくい)。→ ①と③でキ。
問15
ク
  1. A=ポリ酢酸ビニル,B=ポリテトラフルオロエチレン,C=ポリブタジエン,D=ポリエチレンテレフタラート,E=ポリ乳酸。
  2. ①は正しい(ポリ酢酸ビニルのけん化でポリビニルアルコール→ビニロンの原料)。②は誤り(付加重合)。③は誤り(付加重合)。④は誤り(熱可塑性樹脂)。⑤は正しい(ポリ乳酸は生分解性)。→ ①と⑤でク。
類題 問題II 過マンガン酸カリウムによる滴定

次の文を読み,以下の問いに答えよ。問16〜問21は,選択肢の記号(ア〜)を選んで答える。

オキシドール(過酸化水素水)に含まれる過酸化水素を定量するために,次の(1)〜(4)の実験を行った。

(1) 過マンガン酸カリウム $\mathrm{KMnO_{4}}$ の結晶約1.6 gを水に溶かして,約500 mLの水溶液とし,褐色びんに入れて数日間保存した。

(2) (a)(1)の水溶液の正確な濃度を求めるため,(b)シュウ酸ナトリウム $\mathrm{Na_{2}C_{2}O_{4}}$(式量134)を電子天秤ではかり取ってビーカー中で水に溶かし,①メスフラスコに移して水を加え,0.0500 mol/Lのシュウ酸ナトリウム標準溶液を200 mL調製した。

(3) (2)の標準溶液10.0 mLを②ホールピペットで正確にはかり取って③コニカルビーカーに入れ,希硫酸を加えて約60℃に温めた。(1)の水溶液を④ビュレットに入れて滴下したところ,(c)終点までに12.5 mLを要した。

(4) オキシドール10.0 mLをホールピペットではかり取り,水で薄めて正確に100 mLとした。この水溶液10.0 mLをホールピペットではかり取ってコニカルビーカーに入れ,希硫酸を加えた。(1)の水溶液をビュレットから滴下したところ,終点までに15.0 mLを要した。

なお,反応に関係する電子を含むイオン反応式は次の通りである。

$\mathrm{MnO_4^{-}+8H^{+}+5e^{-}\to Mn^{2+}+4H_2O}$  $\mathrm{C_2O_4^{2-}\to2CO_2+2e^{-}}$  $\mathrm{H_2O_2\to O_2+2H^{+}+2e^{-}}$

問16 下線①〜④の実験器具の,上記の実験における使用法についての以下の記述の正誤の組合せとして正しいものをア〜シから選べ。
A 器具①は,洗浄後に水でぬれたまま用いてよい。
B 器具②は,洗浄後に水でぬれたまま,そのまま用いてよい。
C 器具③は,洗浄後に水でぬれたまま用いてよい。
D 器具④は,洗浄後に水でぬれている場合は,使用する過マンガン酸カリウム水溶液で共洗いして用いる。
アイウエオカキクケコサシ
A正正正正正正誤誤誤誤誤誤
B正正正誤誤誤正正誤誤誤誤
C正正誤正正誤正誤正正誤誤
D正誤正正誤正正誤正誤正誤
問17 下線部(a)に関して,過マンガン酸カリウムを電子天秤ではかり取って水溶液をつくったにもかかわらず,シュウ酸ナトリウム標準溶液を用いて濃度を決定しなければならない理由として正しいものをすべて選べ。解答はア〜スから選べ。
A 過マンガン酸カリウムは,吸湿性が大きく,質量が変化するため。
B 試薬に二酸化マンガンなどの不純物が含まれていて,純度が低いため。
C 過マンガン酸カリウムは,空気中の二酸化炭素を吸収して質量が増加するため。
D 水溶液は光によって分解されやすく,濃度が時間とともに変化するため。
ア Aのみイ Bのみウ Cのみエ Dのみオ AとBカ AとCキ AとDク BとCケ BとDコ CとDサ AとBとCシ AとBとDス AとCとD
問18 下線部(b)に関して,シュウ酸ナトリウムは何g量り取ればよいか。最も適した値をア〜オから選べ。
ア 0.34イ 0.67ウ 1.00エ 1.34オ 2.68
問19 下線部(c)に関して,(3)と(4)の実験で終点を判定する方法として,最も適したものをア〜カから選べ。
指示薬の名称滴定終点での色の変化
アフェノールフタレイン無色→赤色
イメチルオレンジ赤色→黄色
ウデンプン青紫色→無色
エ指示薬は加えない赤紫色→無色
オ指示薬は加えない無色→赤紫色
カブロモチモールブルー黄色→青色
問20 調製した過マンガン酸カリウム水溶液のモル濃度[mol/L]として最も近い値をア〜オから選べ。
ア $6.40\times10^{-3}$イ $8.00\times10^{-3}$ウ $4.00\times10^{-2}$エ $1.60\times10^{-2}$オ $1.00\times10^{-1}$
問21 オキシドール中に含まれる過酸化水素の質量パーセント濃度[%]として最も近い値をア〜オから選べ。ただし,オキシドールの密度は1.00 g/cm³とする。
ア 1.02イ 2.04ウ 3.06エ 4.08オ 5.10
▶ 問題II の答えと解説を見る

問題II 過マンガン酸カリウムによる滴定 の答えと解説

問16
エ
  1. A:メスフラスコは,水を加えて定容する器具なので,ぬれていてもよい。正。B:ホールピペットは,ぬれたまま使うと標準溶液が薄まるので,標準溶液で共洗いする。誤。
  2. C:コニカルビーカーは,中の物質量が変わらなければよいので,ぬれていてもよい。正。D:ビュレットは,使う溶液で共洗いする。正。→ A正・B誤・C正・D正。
問17
ケ
  1. B(純度が低い)とD(光で分解して濃度が変わる)が正しい。Aは誤り(過マンガン酸カリウムは吸湿性が小さい)。Cは誤り(二酸化炭素を吸収するのは水酸化ナトリウム)。→ BとDでケ。
問18
エ
  1. $0.0500\ \mathrm{mol/L}\times0.200\ \mathrm{L}=1.00\times10^{-2}\ \mathrm{mol}$,式量134より $1.00\times10^{-2}\times134=1.34\ \mathrm{g}$。→エ。
問19
オ
  1. 過マンガン酸イオンは赤紫色だが,滴下すると $\mathrm{Mn^{2+}}$(ほぼ無色)に変わって色が消える。終点を過ぎて過剰になると,薄い赤紫色が消えずに残る。つまり過マンガン酸カリウム自身が指示薬の役目をするので,別の指示薬は不要で,色は「無色→赤紫色」。→オ。
問20
エ
  1. $2\mathrm{MnO_4^{-}}+5\mathrm{C_2O_4^{2-}}+16\mathrm{H^{+}}\to2\mathrm{Mn^{2+}}+10\mathrm{CO_2}+8\mathrm{H_2O}$ より,$\mathrm{MnO_4^{-}}:\mathrm{C_2O_4^{2-}}=2:5$。
  2. $c\times12.5\times\tfrac{5}{2}=0.0500\times10.0$ より $c=\dfrac{2\times0.0500\times10.0}{5\times12.5}=1.60\times10^{-2}\ \mathrm{mol/L}$。→エ。
問21
イ
  1. $2\mathrm{MnO_4^{-}}+5\mathrm{H_2O_2}+6\mathrm{H^{+}}\to2\mathrm{Mn^{2+}}+5\mathrm{O_2}+8\mathrm{H_2O}$ より,$\mathrm{MnO_4^{-}}:\mathrm{H_2O_2}=2:5$。
  2. 薄めた液10.0 mL中:$n=\tfrac52\times1.60\times10^{-2}\times\dfrac{15.0}{1000}=6.00\times10^{-4}\ \mathrm{mol}$。10倍に薄めたので,オキシドール10.0 mL中には $6.00\times10^{-3}\ \mathrm{mol}$,$\mathrm{H_2O_2}=34$ なので $0.204\ \mathrm{g}$。
  3. オキシドール10.0 mLは10.0 gなので,$\dfrac{0.204}{10.0}\times100=2.04\%$。→イ。
類題 問題III ペプチドとアミノ酸

次の文を読み,以下の問いに答えよ。解答は,記述式で答えよ。

4個のα-アミノ酸がペプチド結合でつながったテトラペプチドPがある。Pを構成するアミノ酸は,下表のいずれかである。Pにスクロース $\mathrm{C_{12}H_{22}O_{11}}$(分子量342)が混入した可能性のある混合物Mと,純粋なPを用いて,次のような実験を行った。

アミノ酸側鎖等電点分子量
グリシン(Gly)$\mathrm{{-}H}$6.075
アラニン(Ala)$\mathrm{{-}CH_{3}}$6.089
セリン(Ser)$\mathrm{{-}CH_{2}{-}OH}$5.7105
システイン(Cys)$\mathrm{{-}CH_{2}{-}SH}$5.1121
アスパラギン酸(Asp)$\mathrm{{-}CH_{2}{-}COOH}$2.8133
リシン(Lys)$\mathrm{{-}(CH_{2})_{4}{-}NH_{2}}$9.7146

実験1 M中に存在するすべてのアミノ基をアセチル化($\mathrm{{-}NH_{2}}$ を $\mathrm{{-}NH{-}CO{-}CH_{3}}$ に変えること)したのち,ペプチド結合を完全に加水分解したところ,アミノ酸(a),アミノ酸のアセチル化物(b),アミノ酸のアセチル化物(c)が生成した。(b)に含まれるアミノ酸と(c)に含まれるアミノ酸は異なっていた。(b)は下の図2の構造であった。

アミノ酸のアセチル化物(b)の構造。アミノ基がアセチル化されたグリシン
図2 アミノ酸のアセチル化物(b)の構造(TMPS作成)

実験2 Mの0.753 gに含まれる窒素をすべてアンモニアに変え,発生したアンモニアを0.100 mol/Lの硫酸100 mLに吸収させた。吸収後に残った硫酸を中和するには,0.250 mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液が44.0 mL必要であった。

実験3 Mの0.753 gを乾燥した空気中で完全に燃焼させたところ,水と二酸化炭素と窒素のみが生成した。水の生成量は0.531 g,二酸化炭素の生成量は1.320 gであった。

実験4 スクロースが混入していない純粋なPを0.776 g用いて,次の操作①〜⑤を順に行った。

操作①:Pを加水分解してアミノ酸にし,得られたアミノ酸水溶液のpHを1.0に調整した。この水溶液を,陽イオン交換樹脂を充填したカラムに流し込んだ。

操作②:カラムにpH 4.0の緩衝液を流し,溶出してきた液を溶液Dとして回収した。 操作③:pH 7.0の緩衝液を流し,溶液Eを回収した。

操作④:pH 9.0の緩衝液を流し,溶液Fを回収した。 操作⑤:pH 11.0の緩衝液を流し,溶液Gを回収した。

得られた溶液Eにはアミノ酸(a)が,溶液Gにはアミノ酸(d)が,それぞれ1種類ずつ含まれており,含まれていたアミノ酸(a)とアミノ酸(d)の物質量はいずれも $4.00\times10^{-3}$ molであった。溶液DならびにFからはアミノ酸は検出されず,操作⑤を終えた後のカラムからもアミノ酸は検出されなかった。

問1 実験2において生じたアンモニアの,27℃,$1.00\times10^{5}$ Paにおける体積[L]はいくらか。有効数字3桁で答えよ。
問2 0.753 gの混合物Mに混入しているスクロースの物質量[mol]はいくらか。有効数字3桁で答えよ。
問3 アミノ酸(a)の構造式を図2にならって書きなさい。
問4 アミノ酸のアセチル化物(c)の構造式を図2にならって書きなさい。
問5 テトラペプチドPのアミノ酸の結合順序としてありえるものをすべて,例にならって3文字表記で書きなさい。
例 N末端からグリシン-アラニン-セリン-システインの場合 Gly-Ala-Ser-Cys
▶ 問題III の答えと解説を見る

問題III ペプチドとアミノ酸 の答えと解説

問1
0.224 L
  1. 吸収した硫酸の $\mathrm{H^{+}}$ は $2\times0.100\times0.100=2.00\times10^{-2}\ \mathrm{mol}$,余った酸は水酸化ナトリウム $0.250\times0.0440=1.10\times10^{-2}\ \mathrm{mol}$ で中和されたので,アンモニアは $2.00\times10^{-2}-1.10\times10^{-2}=9.00\times10^{-3}\ \mathrm{mol}$。
  2. $V=\dfrac{nRT}{P}=\dfrac{9.00\times10^{-3}\times8.3\times10^{3}\times300}{1.00\times10^{5}}=0.224\ \mathrm{L}$。
問2
$5.00\times10^{-4}$ mol
  1. 実験4:Pの 0.776 g から,(a) と (d) が各 $4.00\times10^{-3}$ mol,合わせて $8.00\times10^{-3}$ mol のアミノ酸が得られた。Pは1分子から4個のアミノ酸が得られるので $n(\mathrm{P})=2.00\times10^{-3}$ mol,$M(\mathrm{P})=\dfrac{0.776}{2.00\times10^{-3}}=388$。
  2. Pは,(a)・(d)がそれぞれ2個ずつ($4.00\times10^{-3}\div2.00\times10^{-3}=2$)で,式量の合計が $388+3\times18=442$ になる組合せ。表で $2(M_a+M_d)=442$,$M_a+M_d=221$ となるのは Gly(75)と Lys(146)だけ。Pの窒素は $2\times1+2\times2=6$ 個。
  3. 実験2より,Mに含まれるアンモニアは $9.00\times10^{-3}$ mol なので $n(\mathrm{P})=\dfrac{9.00\times10^{-3}}{6}=1.50\times10^{-3}\ \mathrm{mol}$,質量は $1.50\times10^{-3}\times388=0.582\ \mathrm{g}$。スクロースは $0.753-0.582=0.171\ \mathrm{g}$,$\dfrac{0.171}{342}=5.00\times10^{-4}\ \mathrm{mol}$。
問3
グリシン
グリシン
グリシン
  1. 実験4で溶液E(pH 7.0)に出るのはGly(等電点6.0。pH 7.0では陰イオン側になり,陽イオン交換樹脂から離れる)。(a)=グリシン $\mathrm{H_{2}N{-}CH_{2}{-}COOH}$。(実験1で,N末端以外のGlyがアセチル化されずに遊離のアミノ酸(a)として出る)
問4
N⁶-アセチルリシン
N⁶-アセチルリシン
N⁶-アセチルリシン
  1. (c)は,Lysの側鎖のアミノ基(ε位)だけがアセチル化されたもの。α位のアミノ基はペプチド結合に使われていたので,加水分解後に遊離している。
  2. $\mathrm{H_{2}N{-}CH(COOH){-}(CH_{2})_{4}{-}NH{-}CO{-}CH_{3}}$。
問5
Gly-Gly-Lys-LysGly-Lys-Gly-LysGly-Lys-Lys-Gly
  1. Pの組成は Gly 2個+Lys 2個。(b)=N-アセチルグリシンは,アミノ基が遊離していたN末端のアミノ酸からだけできる。したがってN末端はGly。
  2. 残りの3か所に Gly 1個と Lys 2個を並べる並べ方は3通り(Glyの位置が2番目・3番目・4番目)。(a)=遊離のGlyは,N末端以外のGlyから生じる。→ Gly-Gly-Lys-Lys,Gly-Lys-Gly-Lys,Gly-Lys-Lys-Gly。
類題 問題IV 芳香族炭化水素A・B

次の文を読み,以下の問いに答えよ。解答は,記述式で答えよ。

化合物A,Bは,分子量が140以下の同一の分子式をもつ芳香族炭化水素である。AもBも,ベンゼン環に直接結合した炭素原子が炭素-炭素二重結合を形成している。AとBについて,次の①〜③の実験を行った。

① 33.0 mgの化合物Aを正確にはかり,酸素気流下で完全燃焼させたところ,二酸化炭素110.0 mgと水27.0 mgが生じた。

② 化合物AとBをそれぞれ2.64 gずつはかり取り,よく振り混ぜながら臭素を少しずつ加えたところ,いずれの場合も3.20 gの臭素を加えたところまでは臭素の色の消失が確認できたが,以降は消えなかった。

③ 化合物Aと化合物Bのそれぞれを,過マンガン酸カリウムの酸性水溶液中に加えて加熱したところ,いずれの場合も気体の発生を伴って反応し,Aからは化合物Cが,Bからは化合物Dが得られた。なお,この条件では,炭素-炭素二重結合の部分が開裂してカルボニル化合物が生じ,二重結合の炭素原子に水素原子が結合している場合は,さらに酸化されてカルボン酸になる。また,ベンゼン環に直接結合した炭素原子に水素原子が結合しているアルキル基は,すべてカルボキシ基に変化する。

また,化合物Cと化合物Dについて,次の④〜⑦の実験を行った。

④ 化合物CとDのそれぞれを,(a)ヨウ素を含む水酸化ナトリウム水溶液に加えて加熱したところ,化合物Cの場合のみ黄色の沈殿が生じた。このとき得られた水溶液を酸性にすると,化合物Dと同一の化合物が得られた。

⑤ CとDのそれぞれに,(b)炭酸水素ナトリウム水溶液を加えると,いずれも気体が発生して溶解した。

⑥ 化合物Dのベンゼン環の水素原子1個を臭素原子に置き換えた化合物は,3種類存在する。

⑦ 化合物Dと,m-フェニレンジアミン $\mathrm{H_{2}N{-}C_{6}H_{4}{-}NH_{2}}$(ベンゼン環の1位と3位にアミノ基)を縮合重合させると,耐熱性にすぐれた繊維として利用される(c)高分子Pが得られた。

問1 化合物Aの分子式を書け。
問2 化合物A,B,C,Dの構造式を例にならって書け。
構造式の書き方の例。ベンゼン環にヒドロキシ基とエステルがついた化合物
例(TMPS作成)
問3 下線部aで生じた黄色の沈殿の名称と,化学式を書け。
問4 下線部bについて,化合物Cと炭酸水素ナトリウム水溶液の反応を反応式で示せ。ただし,化合物Cは構造式で示すこと。
問5 下線部cに関して,平均分子量 $1.19\times10^{5}$ の高分子Pの1分子中には,何個のアミド結合が含まれるか。有効数字2桁で答えよ。
▶ 問題IV の答えと解説を見る

問題IV 芳香族炭化水素A・B の答えと解説

問1
C10H12
  1. C:$\dfrac{110.0}{44.0}\times12=30.0\ \mathrm{mg}$,H:$\dfrac{27.0}{18.0}\times2=3.0\ \mathrm{mg}$,合計 $33.0\ \mathrm{mg}$(炭化水素)。
  2. 物質量の比 $\mathrm{C:H}=\dfrac{30.0}{12}:\dfrac{3.0}{1.0}=2.5:3.0=5:6$。組成式 $\mathrm{C_5H_6}$(式量66)。分子量が140以下なので,整数倍は2倍の $\mathrm{C_{10}H_{12}}$(132)。
  3. ②:A(2.64 g=$\dfrac{2.64}{132}=0.0200\ \mathrm{mol}$)が臭素($\dfrac{3.20}{160}=0.0200\ \mathrm{mol}$)と1:1で反応するので,C=C は1個。不飽和度は $\dfrac{2\times10+2-12}{2}=5$=ベンゼン環(4)+C=C(1)。
問2
A〜Dの構造式(下の図)
A 3-イソプロペニルトルエン
A 3-イソプロペニルトルエン
B 3-エチルスチレン
B 3-エチルスチレン
C 3-アセチル安息香酸
C 3-アセチル安息香酸
D イソフタル酸
D イソフタル酸
  1. ③より,A,Bには末端の=CH₂があり,Cは酸化の結果,もとの=CH₂の側が二酸化炭素(気体)として失われたもの。
  2. ④より,Cはメチルケトン($\mathrm{CH_{3}{-}CO{-}}$)をもち,ヨードホルム反応で $\mathrm{{-}COONa}$ と $\mathrm{CHI_{3}}$ になる。この $\mathrm{{-}COOH}$ をもつ化合物がDと同じ。⑥より,Dはm位に2つのカルボキシ基をもつイソフタル酸(臭素置換体3種)。
  3. Bは,Dが得られる炭素数10の化合物で,二重結合の炭素がベンゼン環に直接結合しているので,3-エチルスチレン(ビニル基とエチル基がm位)。Aは,Cの $\mathrm{CH_{3}CO{-}}$ が $\mathrm{C(CH_{3}){=}CH_{2}}$ から,ベンゼン環のもう一方の $\mathrm{{-}CH_{3}}$ が $\mathrm{{-}COOH}$ になったと考えて,m-メチル-α-メチルスチレン(3-イソプロペニルトルエン)。
問3
ヨードホルムCHI3
  1. メチルケトン $\mathrm{CH_{3}{-}CO{-}R}$ が,ヨウ素と水酸化ナトリウムでヨードホルム反応を起こし,特有のにおいをもつ黄色の沈殿 ヨードホルム $\mathrm{CHI_{3}}$ と カルボン酸のナトリウム塩 $\mathrm{R{-}COONa}$ が生じた。
問4
C + NaHCO3 → Cのナトリウム塩 + H2O + CO2
Cと炭酸水素ナトリウムの反応
Cと炭酸水素ナトリウムの反応
  1. Cのカルボキシ基が炭酸より強い酸なので,炭酸水素ナトリウムと反応して,ナトリウム塩,水,二酸化炭素ができる(ケトンのところは変化しない)。
  2. $\mathrm{CH_{3}CO{-}C_{6}H_{4}{-}COOH}$(m位)+ $\mathrm{NaHCO_{3}}$ → $\mathrm{CH_{3}CO{-}C_{6}H_{4}{-}COONa}$ + $\mathrm{H_{2}O}$ + $\mathrm{CO_{2}}$。
問5
$1.0\times10^{3}$ 個
  1. Pの繰り返し単位は $\mathrm{{-}NH{-}C_{6}H_{4}{-}NH{-}CO{-}C_{6}H_{4}{-}CO{-}}$,式量は $\mathrm{C_{14}H_{10}N_2O_2}=14\times12+10\times1.0+2\times14+2\times16=238$。
  2. 重合度 $n=\dfrac{1.19\times10^{5}}{238}=500$。繰り返し単位1個にアミド結合が2個あるので,$500\times2=1000$ → $1.0\times10^{3}$ 個。

※ 類題は、本番の解き方の骨格は残しつつ、題材・数値・設定を変えて作っています(例:問題IIは食酢の中和滴定を過マンガン酸カリウムによるオキシドールの酸化還元滴定に、問題IIIはペプチドの組成と並びを、問題IVは炭化水素の骨格と最後の高分子を変えています)。計算は数値で、構造は異性体の列挙でスクリプトにより確かめてあります。知識で決まる設問・構造式の書き方は「要確認/解答例」の扱いです。

CHECK

30秒 得点診断

本番の過去問、またはそっくり類題セットを60分で解いた結果を選んでください。次にやるべきことを表示します。

問題I(小問集合・15問)
問題II(食酢の滴定・6問)
問題III(ペプチド)
問題IV(芳香族・構造決定)
FOR PARENTS

保護者の方へ:東京女子医科大の化学で知っておきたい3つのこと

① 小問集合で落とさない
問題Iは15問の小問集合で、理論・無機・有機にまたがります。教科書の基本事項と基本計算を、取りこぼさず押さえる準備が得点に直結します。
② 計算は「一本道」で、記述は「順に絞る」
滴定や気体の計算は式を立てれば答えが出ます。ペプチドや芳香族の構造決定は、条件を1つずつ当てはめて候補を絞ります。どちらも手順を型にして練習することが効きます。
③ 秋からは「答案を見てもらう」
理科2科目で120分という配分は、独学では直しにくい部分です。どこで時間を失ったか、第三者の目で見ると最短で伸びます。
FAQ

よくある質問

Q. 東京女子医科大学 医学部の化学2025年度は、どの順番で解くのがよいですか?

TMPSのおすすめは、問題I(小問集合15問)を24分、問題II(食酢の滴定)を10分、問題III(ペプチドとアミノ酸)を13分、問題IV(芳香族炭化水素)を13分の合計60分です。本番は理科2科目で120分なので、化学に60分を使う想定です。問題Iは計算の小問を先に取り、迷う正誤の文は消去法で先へ進みます。

Q. 問題文が載っていなくても、どんな問題か分かりますか?

分かります。著作権に配慮して問題本文・図は掲載していませんが、各小問の最初に「どういう問題か」として、設定・何を答えるか・答える記号や形式をTMPSの言葉で説明しています。

Q. 計算の答えは、どうやって確かめていますか?

本番の計算問題は、pythonで有効数字・単位まで再計算し、構造決定は芳香族炭化水素の全異性体を列挙して条件に合うものを絞り込んで、独立に確かめています。ただし、用語や性質の真偽(正誤の文・指示薬の色・器具の扱いなど)はスクリプトでは確かめられないので、ページ内に「要確認」と明記しています。

Q. そっくり類題セットとは何ですか?

2025年度と同じ4つの大問・同じ問題数(問1〜21のマーク式と、記述式の問題III・IV)で、題材・数値・設定を変えたTMPSオリジナル問題です。全問の答え・解説をこのページに掲載し、本番形式の問題冊子PDFも無料で配布しています。

Q. 解説に誤りを見つけたらどうすればいいですか?

公式LINEからお知らせください。確認のうえ修正し、更新日を記載します。

安心安全・継続更新システム

問題等で誤りを発見された場合、修正しますので、TMPS医学館までLINEを下さい。

受験生・指導者の皆様からのご指摘を真摯に受け止め、最も信頼できる過去問解説・類題ライブラリーとして随時アップデートいたします。

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