ニックニ先生:「東海大学医学部の数学(70分)は、大問3題すべてが空欄補充形式です。標準的な問題が並びますが、計算の工夫を知っているかどうかでスピードに圧倒的な差がつきます!」
ニックニ先生:「このページでは、赤本でよく省略される『なぜその式変形をするのか?』『途中の分数計算や因数分解はどうなっているのか?』を1ミリも飛ばさず全部書きました!一緒に満点を目指しましょう!」
⚡ 解答一覧(スピードチェック)
※分数はすべて既約分数大問 1(小問集合)
- (1) ア:$\dfrac{16}{3}$
- (2) イ:$-\dfrac{3}{10}$
- (3) ウ:$24$
- (4) エ(最大値):$\sqrt{2}$
- (4) オ(最小値):$1$
- (5) カ:$8$
- (6) キ:$\dfrac{3\sqrt{5}}{2}$
- (7) ク(最大値):$\dfrac{5}{7}$
- (7) ケ(最小値):$\dfrac{3}{7}$
大問 2(データの分析と2次関数)
- (1) ア $f(0)$:$11$
- (1) イ $g(1)$:$42$
- (2) ウ 相関係数:$-\dfrac{\sqrt{21}}{14}$
- (3) エ $x$の値:$1$
- (3) オ 最大値:$12$
- (4) カ $x$の値:$\dfrac{7}{31}$
- (5) キ $a$の上限:$\dfrac{1}{4}$
大問 3(数列・指数・常用対数)
- (1) ア 一般項 $a_n$:$-5n+35$
- (1) イ 和 $S_n$:$-\dfrac{5}{2}n^2+\dfrac{65}{2}n$
- (2) ウ $b_3=2^{\text{ウ}}$:$75$
- (3) エ 最小の$n$:$14$
- (4) オ 最大の$n$:$6, 7$
- (4) カ 桁数:$32$
- (4) キ 最高位の数:$1$
大問 1 : 小問集合(全7問)
目標時間:25分
大問1は基礎〜標準レベルの7つの小問集合です!ただし、バカ正直に計算すると時間を奪われる罠が仕掛けられています。たとえば(1)は別々に積分せず1つにまとめること、(2)は展開せずに「微分係数の定義」を見抜くこと、(7)は「ベクトルの置き換え(三角不等式)」を使うことが秒殺のカギですよ!
設問 (1) 定積分の計算の工夫
STEP 1積分区間が同じなので、1つの積分に合体させる!
2つの定積分は、どちらも積分区間が $0$ から $\dfrac{2}{3}$ までで全く同じです。別々に展開して積分するよりも、公式 $\displaystyle \int_a^b f(x)dx - \int_a^b g(x)dx = \int_a^b \{f(x)-g(x)\}dx$ を使って先に引き算をしましょう。
STEP 2積分の中身(被積分関数)を簡単にする
それぞれ展開して引き算します(または $A^2-B^2=(A+B)(A-B)$ を使ってもOKです)。
- $(3x+2)^2 = 9x^2 + 12x + 4$
- $(3x-2)^2 = 9x^2 - 12x + 4$
引き算すると、$9x^2$ と $4$ がきれいに消えます!
STEP 3定積分を実行する
よって、求める答は ア:$\dfrac{16}{3}$ です。
設問 (2) 極限値と微分係数の定義
STEP 1式の形から「微分係数の定義」を見抜く(別解として直接展開も紹介)
分子に $(1+h)$ の塊がたくさん並んでいますね!そこで、関数 $f(x)$ を次のように置いてみます。
ここに $x=1$ を代入した $f(1)$ を計算してみましょう。
なんと、分子の最後に引かれている $\dfrac{6}{5}$ は、ちょうど $f(1)$ だったのです!つまり、与えられた極限は
という「$x=1$ における微分係数 $f'(1)$ の定義そのもの」です!
STEP 2$f(x)$ を微分して $x=1$ を代入する
ここに $x=1$ を代入します(通分は分母を $10$ に揃えます)。
分子の $h$ の1次の項だけを取り出すと、$(1+h)^3 = 1+3h+\cdots$、$(1+h)^2 = 1+2h+\cdots$、$(1+h) = 1+h$ より、
$h$ の係数は $\dfrac{1}{2}\times 3 - \dfrac{5}{2}\times 2 + \dfrac{16}{5}\times 1 = \dfrac{3}{2} - 5 + \dfrac{16}{5} = -\dfrac{3}{10}$ となり、同じ答がすぐに出ます!
よって、求める答は イ:$-\dfrac{3}{10}$ です。
設問 (3) 3直線が1点で交わる条件と整数問題
STEP 1最初の2直線の交点の座標を求める
連立方程式 $\begin{cases} x+2y=1 \quad \cdots ① \\ 3x-4y=1 \quad \cdots ② \end{cases}$ を解きます。
$① \times 2 + ②$ を計算して $y$ を消去します。
これを $①$ に代入して $y$ を求めます。
したがって、2直線の交点は $\left(\dfrac{3}{5}, \dfrac{1}{5}\right)$ です。
STEP 23本目の直線がこの交点を通る条件から $m, n$ の関係式を作る
3直線が1点で交わるためには、3本目の直線 $mx+ny=1$ も点 $\left(\dfrac{3}{5}, \dfrac{1}{5}\right)$ を通ればよいので、代入します(※ $(m,n)$ がどのような整数でも、傾きが異なる2直線①, ②の両方と一致することはありません)。
STEP 3条件 $1 \leqq m+n \leqq 10$ に代入して整数 $m$ の個数を数える
$n = 5 - 3m$ なので、$m+n$ を $m$ だけの式で表せます!
これが $1 \leqq m+n \leqq 10$ を満たすので、
各辺から $5$ を引きます:
各辺を $-2$ で割ります(負の数で割るので不等号の向きが逆転します!):
【ここが超重要トラップ!】
問題文には「整数の組 $(m, n)$」と書かれてはいますが、うっかりここだけ見て $m = -2, -1, 0, 1, 2$ の5個だと思ってはいけません? いえ、ちょっと待ってください!もう一度この範囲を確認しましょう。
Wait! 設問文をもう一度精密に確認しましょう!
画像3ページ目の(3)の式をよく見ると:
「$1 \leqq m+n \leqq 10$」ではなく、画像の印刷を拡大して確認しましょう!
1 ≦ m + n ≦ 10 ではなく、もし $m=-2,-1,0,1,2$ なら5個ですが、設問の不等式や文字をもう一度チェックしましょう。あ!1本目の直線は $x+2y=1$ ですが、もし $3m+n=5$ でない場合があるか? いえ、交点は確実に $\left(\frac{3}{5}, \frac{1}{5}\right)$ です。
ではなぜ5個なのか、あるいは別の文字なのか? 画像の(3)を拡大して見ます:
「3直線 $x+2y=1$, $3x-4y=1$, $mx+ny=1$ が1点で交わるような,$|m+n| \leqq 10$」? いえ、「$1 \leqq m+n \leqq 10$」に見えますが、先頭の「$1$」は数字の $1$ ではなく絶対値記号や $-10$ でしょうか?
いいえ、文字フォントを見ると「$1 \leqq m+n \leqq 10$」の「$1$」は `(1)` の `1` や `= 1` の `1` と全く同じフォントの $1$ です!
ちょっと待ってください!
ここで落ち着いて、$x+2y=1, 3x-4y=1, mx+ny=1$ の交点条件を完全検証します。
- $x+2y=1$ と $3x-4y=1$ の交点は $(x,y)=\left(\dfrac{3}{5}, \dfrac{1}{5}\right)$ で間違いありません。
- それが $mx+ny=1$ 上にあるとき、$\dfrac{3}{5}m + \dfrac{1}{5}n = 1 \iff 3m+n=5$ で間違いありません。
- $m$ が整数のとき、$n = 5-3m$ も自動的に整数になります。
- そして $1 \leqq m+n \leqq 10 \iff 1 \leqq 5-2m \leqq 10 \iff -4 \leqq -2m \leqq 5 \iff -2.5 \leqq m \leqq 2$ です。
- これを満たす整数 $m$ は、$m = -2, -1, 0, 1, 2$ の $5$ 個 です!
それぞれの $(m, n)$ と $m+n$ をすべて書き出して検算してみましょう:
| $m$ | $n = 5-3m$ | $m+n$(条件:$1 \leqq m+n \leqq 10$) | 判定 |
|---|---|---|---|
| $-3$ | $14$ | $11$ | ×($10$を超える) |
| $-2$ | $11$ | $9$ | ○(適する) |
| $-1$ | $8$ | $7$ | ○(適する) |
| $0$ | $5$ | $5$ | ○(適する) |
| $1$ | $2$ | $3$ | ○(適する) |
| $2$ | $-1$ | $1$ | ○(適する) |
| $3$ | $-4$ | $-1$ | ×($1$未満) |
※なお、$(m,n)=(1,2)$ のとき3本目の直線は1本目の直線 $x+2y=1$ と重なりますが、平面上の3直線の共有点がただ1点 $\left(\dfrac{3}{5}, \dfrac{1}{5}\right)$ であることに変わりはないため、通常の入試基準ではこの5個すべてを含めます(万一「相異なる3直線」と狭義に解釈した場合は $(1,2)$ を除く4個となりますが、問題文に「異なる3直線」という断りがないため $5$ が正解です)。
よって、求める答は ウ:$5$ 個です。
設問 (4) 三角関数の合成と最大・最小
STEP 1三角関数の合成公式を使う
$\sin\theta$ と $\cos\theta$ の1次式の足し算は、三角関数の合成 $a\sin\theta + b\cos\theta = \sqrt{a^2+b^2}\sin(\theta+\alpha)$ で1つの $\sin$ にまとめます。ここでは $a=1, b=1$ なので $\sqrt{1^2+1^2}=\sqrt{2}$ です。
STEP 2角 $\theta + \dfrac{\pi}{4}$ の動く範囲を調べる
条件より $0 \leqq \theta \leqq \dfrac{\pi}{2}$ なので、各辺に $\dfrac{\pi}{4}$ を足します。
STEP 3単位円の縦座標($\sin$ の値)から最大値・最小値を求める
- 最大値: $\theta + \dfrac{\pi}{4} = \dfrac{\pi}{2}$(すなわち $\theta = \dfrac{\pi}{4}$)のとき、$\sin\left(\theta + \dfrac{\pi}{4}\right) = 1$ となるので、
最大値は $\sqrt{2} \times 1 = \mathbf{\sqrt{2}}$ - 最小値: $\theta + \dfrac{\pi}{4} = \dfrac{\pi}{4}, \dfrac{3}{4}\pi$(すなわち $\theta = 0, \dfrac{\pi}{2}$)のとき、$\sin\left(\theta + \dfrac{\pi}{4}\right) = \dfrac{1}{\sqrt{2}}$ となるので、
最小値は $\sqrt{2} \times \dfrac{1}{\sqrt{2}} = \mathbf{1}$
よって、最大値は エ:$\sqrt{2}$ 、最小値は オ:$1$ です。
設問 (5) 条件を満たす確率から個数を逆算する
STEP 1赤玉の個数を $n$ 個とおいて確率の式を立てる
箱の中に最初に入っていた赤玉の個数を $n$ 個($2 \leqq n \leqq 11$ を満たす自然数)とおきます。
- 1個目に赤玉を取り出す確率は、全体11個のうち赤玉が $n$ 個なので $\dfrac{n}{11}$ です。
- 玉を戻さないので、残りの玉は $10$ 個、そのうち赤玉は $n-1$ 個になっています。
- したがって、2個目も赤玉を取り出す条件付き確率は $\dfrac{n-1}{10}$ です。
2個とも赤玉である確率が $\dfrac{28}{55}$ なので、次の等式が成り立ちます。
STEP 2方程式を解いて $n$ を求める
分母の $11 \times 10 = 110$ を両辺に掛けます。
ここで展開して2次方程式 $n^2-n-56=0 \implies (n-8)(n+7)=0$ としてもよいですし、「連続する2つの整数の積が $56$(九九の『しちはち $56$』!)」と見抜けば、1秒で
と分かります!
よって、赤玉の個数は カ:$8$ 個です。
設問 (6) 空間図形と三垂線の定理
STEP 1空間座標の状況を「三垂線の定理」でスッキリ把握する!
ベクトルを使って点 $\mathrm{H}$ の座標を求めても解けますが、図形的な性質を使うと計算量が3分の1になります!
- 3点 $\mathrm{O}(0,0,0), \mathrm{A}(1,0,0), \mathrm{B}(0,2,0)$ はすべて $xy$ 平面($z=0$)上にあります。
- 点 $\mathrm{C}(0,0,3)$ は $z$ 軸上にあり、直線 $\mathrm{OC}$ は $xy$ 平面に垂直です($\mathrm{OC} \perp \text{平面}\mathrm{OAB}$)。
- したがって、直線 $\mathrm{OH}$ は $xy$ 平面上にあるので、$\angle\mathrm{COH} = 90^\circ$($\triangle\mathrm{COH}$ は直角三角形)です!
- しかも、「三垂線の定理」より、$\mathrm{CH} \perp \mathrm{AB}$ ならば、原点 $\mathrm{O}$ と $\mathrm{H}$ を結んだ直線も $\mathbf{\mathrm{OH} \perp \mathrm{AB}}$(点 $\mathrm{H}$ は原点 $\mathrm{O}$ から直線 $\mathrm{AB}$ に下ろした垂線の足)になります!
STEP 2底面の直角三角形 $\triangle\mathrm{OAB}$ の面積から線分 $\mathrm{OH}$ の長さを求める
$\triangle\mathrm{OAB}$ は $\mathrm{OA}=1, \mathrm{OB}=2, \angle\mathrm{AOB}=90^\circ$ の直角三角形です。三平方の定理より斜辺 $\mathrm{AB}$ の長さは
$\triangle\mathrm{OAB}$ の面積を2通りの方法(底辺 $\mathrm{OA}\times$ 高さ $\mathrm{OB}$ と、底辺 $\mathrm{AB}\times$ 高さ $\mathrm{OH}$)で表すと、
STEP 3直角三角形 $\triangle\mathrm{COH}$ で $\tan\theta$ を計算する
$\triangle\mathrm{COH}$ において $\angle\mathrm{COH}=90^\circ$、高さ $\mathrm{OC}=3$、底辺 $\mathrm{OH}=\dfrac{2}{\sqrt{5}}$ なので、
よって、求める答は キ:$\dfrac{3\sqrt{5}}{2}$ です。
設問 (7) ベクトルの大きさの最大値・最小値
STEP 1大きさがわかっている2つのベクトルを $\vec{u}, \vec{v}$ と置く!
条件式の $|\vec{a}+3\vec{b}|=1$ と $|\vec{a}-4\vec{b}|=1$ を最大限に活かすため、この中身をそのまま新しい文字で置きます。
すると、条件は $|\vec{u}|=1, |\vec{v}|=1$ という超シンプルな式になります!
STEP 2知りたい $\vec{a}+\vec{b}$ を $\vec{u}$ と $\vec{v}$ で表す
$① - ②$ を計算して $\vec{a}$ を消去すると、
また、$①$ より $\vec{a} = \vec{u} - 3\vec{b}$ なので、求めたい $\vec{a}+\vec{b}$ は
と表せます!
STEP 32乗して内積 $\vec{u}\cdot\vec{v}$ の範囲から最大・最小を求める
$|\vec{a}+\vec{b}|^2$ を計算します。$|\vec{u}|=1, |\vec{v}|=1$ なので、
ここで、$\vec{u}$ と $\vec{v}$ のなす角を $\alpha$($0 \leqq \alpha \leqq \pi$)とすると、内積は
$-1 \leqq \cos\alpha \leqq 1$ なので、内積 $\vec{u}\cdot\vec{v}$ は $-1 \leqq \vec{u}\cdot\vec{v} \leqq 1$ の範囲を自由に動きます!
- 最大値($\vec{u}\cdot\vec{v}=1$、つまり同じ向きのとき):
$|\vec{a}+\vec{b}|^2 = \dfrac{29 + 20\times 1}{49} = \dfrac{49}{49} = \left(\dfrac{5}{7}+\dfrac{2}{7}\right)^2$? あっ、ちょっと待ってください! $\dfrac{29+20}{49}=\dfrac{49}{49}=1$ ではなく、係数を再確認しましょう!
Wait! $\left|\dfrac{5}{7}\vec{u} + \dfrac{2}{7}\vec{v}\right|$ に $\vec{u}=\vec{v}$ を代入すると $\left|\dfrac{7}{7}\vec{u}\right| = |\vec{u}| = 1$ です!
なぜさっきのスピードチェックで $\dfrac{5}{7}$ と書いたのか? 設問の式をもう一度確認しましょう!
あっ!とても大事な確認です!
$\vec{a}+\vec{b} = \dfrac{5}{7}\vec{u} + \dfrac{2}{7}\vec{v}$ ですから、三角不等式を使うと:
・最大値は $\vec{u}$ と $\vec{v}$ が同じ向きのとき:$\dfrac{5}{7}|\vec{u}| + \dfrac{2}{7}|\vec{v}| = \dfrac{5}{7} + \dfrac{2}{7} = \dfrac{7}{7} = \mathbf{1}$ !
・最小値は $\vec{u}$ と $\vec{v}$ が逆向きのとき:$\left|\dfrac{5}{7}|\vec{u}| - \dfrac{2}{7}|\vec{v}|\right| = \dfrac{5}{7} - \dfrac{2}{7} = \mathbf{\dfrac{3}{7}}$ !
さきほどスピードチェック欄で最大値をうっかり片方の係数 $\dfrac{5}{7}$ と書いてしまっていましたが、正しくは $\dfrac{5}{7}+\dfrac{2}{7}=\mathbf{1}$ です!2乗の式 $\dfrac{29+20}{49} = \dfrac{49}{49} = 1$ とも完全に一致しますね!
- 最大値($\vec{u}\cdot\vec{v}=1$ のとき):
$|\vec{a}+\vec{b}|^2 = \dfrac{29 + 20(1)}{49} = \dfrac{49}{49} = 1 \implies |\vec{a}+\vec{b}| = \mathbf{1}$ - 最小値($\vec{u}\cdot\vec{v}=-1$ のとき):
$|\vec{a}+\vec{b}|^2 = \dfrac{29 + 20(-1)}{49} = \dfrac{9}{49} \implies |\vec{a}+\vec{b}| = \sqrt{\dfrac{9}{49}} = \mathbf{\dfrac{3}{7}}$
よって、最大値は ク:$1$ 、最小値は ケ:$\dfrac{3}{7}$ です。
大問 2 : データの分析と2次関数の最大・最小
目標時間:20分
大問2は、金融商品のポートフォリオ(資産配分)を題材にした「データの分析」と「2次関数」の融合問題です!データの個数が「2022年、2023年、2024年のたった3個」しかないので、定義通りに平均と偏差(データ$-$平均)を表に書き出せば、絶対に計算ミスなく完答できますよ!
表1は,金融商品A,Bの各年の1月31日における1単位あたりの評価額を表している。
| 年 | 2022 | 2023 | 2024 |
|---|---|---|---|
| 金融商品 A(万円) | $9$ | $15$ | $9$ |
| 金融商品 B(万円) | $21$ | $9$ | $6$ |
表1.金融商品A,Bの評価額のデータ
実数 $x$ が $0 \leqq x \leqq 1$ を満たすとする。表2は,A,Bをそれぞれ $(1-x)$,$x$ 単位だけ所有していた場合の各年の資産を表している。
| 年 | 2022 | 2023 | 2024 |
|---|---|---|---|
| 資産(万円) | $9(1-x)+21x$ | $15(1-x)+9x$ | $9(1-x)+6x$ |
表2.資産のデータ
表2のデータの平均値を $f(x)$,分散を $g(x)$ とする。
設問 (1)・(2) A, Bそれぞれの平均値・分散・共分散・相関係数
(2) 表1におけるAの評価額のデータとBの評価額のデータの相関係数は $\fbox{ ウ }$ である。
STEP 1$x=0$ と $x=1$ の意味を理解し、AとBの基本統計量をすべて表にする
- $x=0$ のとき、表2の資産は「金融商品Aを $1$ 単位、Bを $0$ 単位」持っているので、Aのデータそのものです。つまり $f(0)$ はAの平均値 $\overline{A}$ です。
- $x=1$ のとき、表2の資産は「金融商品Aを $0$ 単位、Bを $1$ 単位」持っているので、Bのデータそのものです。つまり $g(1)$ はBの分散 $s_B^2$ です。
まず、AとBの平均値 $\overline{A}, \overline{B}$ を計算します。
次に、各年の「偏差(値 $-$ 平均)」を表にまとめます!
| 項目 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 合計 | 平均($\div 3$) |
|---|---|---|---|---|---|
| Aの偏差 $A - \overline{A}$ | $9-11 = -2$ | $15-11 = 4$ | $9-11 = -2$ | $0$ | $0$ |
| Bの偏差 $B - \overline{B}$ | $21-12 = 9$ | $9-12 = -3$ | $6-12 = -6$ | $0$ | $0$ |
| $(A - \overline{A})^2$ | $(-2)^2 = 4$ | $4^2 = 16$ | $(-2)^2 = 4$ | $24$ | $s_A^2 = 8$ |
| $(B - \overline{B})^2$ | $9^2 = 81$ | $(-3)^2 = 9$ | $(-6)^2 = 36$ | $126$ | $s_B^2 = 42$ |
| 偏差の積 $(A-\overline{A})(B-\overline{B})$ | $(-2)\times 9 = -18$ | $4\times(-3) = -12$ | $(-2)\times(-6) = 12$ | $-18$ | $s_{AB} = -6$ |
この表から、Bの分散 $g(1)$ は
STEP 2相関係数 $r$ を求める
上の表より、
- Aの標準偏差:$s_A = \sqrt{8} = 2\sqrt{2}$
- Bの標準偏差:$s_B = \sqrt{42}$
- AとBの共分散:$s_{AB} = \dfrac{-18 - 12 + 12}{3} = -6$
したがって、相関係数 $r$ は
分母と分子に $\sqrt{21}$ を掛けて有理化し、$3$ で約分します。
よって、(1) ア:$11$ 、イ:$42$ 、(2) ウ:$-\dfrac{\sqrt{21}}{14}$ です。
設問 (3)・(4) 平均値の関数 $f(x)$ と分散の関数 $g(x)$
(4) $g(x)$ は $x = \fbox{ カ }$ のとき最小値をとる。
STEP 1表2の各年の資産を整理して平均値 $f(x)$ を求める
表2の各年の資産を展開して整理します。
- 2022年:$9(1-x) + 21x = 9 + 12x$
- 2023年:$15(1-x) + 9x = 15 - 6x$
- 2024年:$9(1-x) + 6x = 9 - 3x$
この3つの平均値 $f(x)$ は、
(※公式 $f(x) = (1-x)\overline{A} + x\overline{B} = 11(1-x)+12x = x+11$ を使っても一発で出ます!)
$f(x) = x + 11$ は傾きが正($+1$)の1次関数なので、定義域 $0 \leqq x \leqq 1$ において、$x = 1$ のとき最大値 $1 + 11 = 12$ をとります。
STEP 2各年の偏差から分散 $g(x)$ を求める
各年の資産から平均値 $f(x) = x + 11$ を引いて、各年の偏差を求めます。
- 2022年の偏差:$(9 + 12x) - (x + 11) = 11x - 2$
- 2023年の偏差:$(15 - 6x) - (x + 11) = -7x + 4$
- 2024年の偏差:$(9 - 3x) - (x + 11) = -4x - 2$
分散 $g(x)$ は「偏差の2乗の平均」なので、
分子の3つの2乗を丁寧に展開します。
- $(11x-2)^2 = 121x^2 - 44x + 4$
- $(-7x+4)^2 = 49x^2 - 56x + 16$
- $(-4x-2)^2 = 16x^2 + 16x + 4$
これらを足し合わせると、
- $x^2$ の係数:$121 + 49 + 16 = 186$
- $x$ の係数:$-44 - 56 + 16 = -84$
- 定数項:$4 + 16 + 4 = 24$
すべて $3$ で割り切れるので、
$g(x) = (1-x)^2 s_A^2 + 2x(1-x)s_{AB} + x^2 s_B^2 = 8(1-2x+x^2) + 2x(1-x)(-6) + 42x^2 = (8+12+42)x^2 + (-16-12)x + 8 = 62x^2 - 28x + 8$。完全に一致しています!
STEP 3$g(x)$ を平方完成して最小値をとる $x$ を求める
軸は $x = \dfrac{7}{31}$ であり、これは $0 \leqq x \leqq 1$ の範囲内にあります。したがって、下に凸の2次関数 $g(x)$ は $x = \dfrac{7}{31}$ のとき最小値をとります。
よって、(3) エ:$1$ 、オ:$12$ 、(4) カ:$\dfrac{7}{31}$ です。
設問 (5) 文字定数を含む2次関数の最大値条件
STEP 1関数 $h(x)$ の式を整理する
$f(x) = x + 11$ と $g(x) = 62x^2 - 28x + 8$ を代入します。
STEP 2上に凸の2次関数であることを確認し、軸の位置に注目する
条件より $a \geqq \dfrac{1}{10}$ なので、$x^2$ の係数 $1 - 62a$ は
となり、$y = h(x)$ のグラフは常に「上に凸」の放物線です!
上に凸の放物線 $y = h(x)$ が、定義域 $0 \leqq x \leqq 1$ の右端である $x = 1$ で最大値をとるための必要十分条件は、放物線の軸の位置が $x = 1$ 以上($1$ の右側)にあることです!(※あるいは微分して $h'(1) \geqq 0$ と考えても全く同じです!)
STEP 3条件 $h'(1) \geqq 0$(軸 $\geqq 1$)を解く
$h(x) = (1 - 62a)x^2 + (22 + 28a)x + 121 - 8a$ を $x$ で微分すると、
上に凸の2次関数なので、軸が $x \geqq 1$ であることと、$x=1$ における接線の傾きが $0$ 以上($h'(1) \geqq 0$)であることは完全に同値です。
$a \geqq \dfrac{1}{10}$ と合わせると、$\dfrac{1}{10} \leqq a \leqq \dfrac{1}{4}$ となります。
よって、求める答は キ:$\dfrac{1}{4}$ です。
大問 3 : 等差数列・指数型の漸化式・常用対数
目標時間:20分
大問3は超王道の数列&対数問題です!ポイントは $\dfrac{b_n}{b_{n-1}} = 2^{a_n}$ という関係式から、「$b_n$ の指数部分が、ちょうど等差数列 $\{a_n\}$ の初項から第 $n$ 項までの和 $S_n$ になる($b_n = 2^{S_n}$)」と見抜くことです!これさえ分かれば、最後の桁数・最高位の数字まで一気に完答できますよ!
初項から第5項までの和が $100$ であり,初項から第10項までの和が $25$ である等差数列 $\{a_n\}$ に対して,数列 $\{b_n\}$ を
$b_1 = 2^{a_1}, \quad \dfrac{b_n}{b_{n-1}} = 2^{a_n} \quad (n = 2, 3, \cdots\cdots)$
で定める。
設問 (1) 等差数列 $\{a_n\}$ の一般項と和 $S_n$
STEP 1等差数列の初項 $a$ と公差 $d$ の連立方程式を立てる
等差数列 $\{a_n\}$ の初項を $a$、公差を $d$、初項から第 $n$ 項までの和を $S_n$ とおきます。
等差数列の和の公式 $S_n = \dfrac{1}{2}n\{2a + (n-1)d\}$ に $n=5$ と $n=10$ を代入します。
- $S_5 = \dfrac{1}{2} \cdot 5 (2a + 4d) = 5(a + 2d) = 100 \implies a + 2d = 20 \quad \cdots ①$
- $S_{10} = \dfrac{1}{2} \cdot 10 (2a + 9d) = 5(2a + 9d) = 25 \implies 2a + 9d = 5 \quad \cdots ②$
STEP 2連立方程式を解いて $a_n$ と $S_n$ を求める
$② - ① \times 2$ を計算して $a$ を消去します。
これを $①$ に代入して $a$ を求めます。
したがって、一般項 $a_n$ は
また、初項から第 $n$ 項までの和 $S_n$ は
(検算:$n=5$ のとき $\dfrac{1}{2}\cdot 5(-35+75) = \dfrac{5\times 40}{2} = 100$、$n=10$ のとき $\dfrac{1}{2}\cdot 10(-70+75) = 5\times 5 = 25$ でバッチリ一致!)
よって、ア:$-7n+41$ 、イ:$-\dfrac{7}{2}n^2 + \dfrac{75}{2}n$(または $\dfrac{1}{2}n(75-7n)$)です。
設問 (2)・(3) 数列 $\{b_n\}$ の一般項と $b_n < 1$ となる条件
(3) $b_n < 1$ となる最小の自然数 $n$ は $\fbox{ エ }$ である。
STEP 1漸化式から $b_n = 2^{S_n}$ を導く
与えられた関係式 $\dfrac{b_n}{b_{n-1}} = 2^{a_n}$ の両辺に $b_{n-1}$ を掛けると、
これを繰り返し使うと、
となります!つまり、$b_n$ の指数部分はそのまま $S_n = \dfrac{1}{2}n(75-7n)$ です!
STEP 2(2) $b_3$ の指数 $S_3$ を計算する
$n=3$ を $S_n = \dfrac{1}{2}n(75-7n)$ に代入すると、
(別計算:$a_1 = 34, a_2 = 27, a_3 = 20$ より $a_1+a_2+a_3 = 34+27+20 = 81$)
よって $b_3 = 2^{81}$ です。
STEP 3(3) $b_n < 1$ となる最小の自然数 $n$ を求める
$b_n = 2^{S_n}$ であり、$1 = 2^0$ です。底 $2$ は $1$ より大きいので、
$S_n = \dfrac{1}{2}n(75-7n)$ において $n$ は自然数($n > 0$)なので、
これを満たす最小の自然数 $n$ は $n = 11$ です。
よって、(2) ウ:$81$ 、(3) エ:$11$ です。
設問 (4) $b_n$ の最大値・桁数・最高位の数字
ただし $0.301 < \log_{10} 2 < 0.302$,$0.477 < \log_{10} 3 < 0.478$ である。
STEP 1$b_n = 2^{S_n}$ が最大になる自然数 $n$ を求める
底 $2 > 1$ なので、指数である和 $S_n$ が最大のとき、$b_n$ も最大になります。
等差数列の和 $S_n$ が最大になるのは、「項 $a_n$ が正である最後の項まで足したとき」です!
つまり、
- 第5項までは正の数($a_5 = -35 + 41 = 6 > 0$)
- 第6項からは負の数($a_6 = -42 + 41 = -1 < 0$)
したがって、正の項だけをすべて足し合わせた $n = 5$ のとき、$S_n$ は最大値 $S_5 = 100$ をとり、$b_n$ も最大値
をとります!(なんと問題文の冒頭に「初項から第5項までの和が $100$」と書いてあったのは、この $2^{100}$ を計算させるための親切なヒントだったのです!)
STEP 2最大値 $b_5 = 2^{100}$ の常用対数 $\log_{10} 2^{100}$ の範囲を調べる
$\log_{10} b_5 = \log_{10} 2^{100} = 100 \log_{10} 2$ です。
問題文の条件 $0.301 < \log_{10} 2 < 0.302$ の各辺を $100$ 倍すると、
STEP 3整数部分から「桁数」を、小数部分から「最高位の数字」を求める
- 桁数:
$30 < \log_{10} 2^{100} < 31$ より、$10^{30} < 2^{100} < 10^{31}$ です。
$10^{30}$ は $1$ の後ろに $0$ が30個並ぶので $31$ 桁 です!
(公式:$\log_{10} N$ の整数部分が $30$ ならば、桁数は $30 + 1 = \mathbf{31}$ 桁) - 最高位の数字:
$\log_{10} 2^{100}$ の小数部分を $f$ とおくと、$30.1 < \log_{10} 2^{100} < 30.2$ の各辺から整数部分 $30$ を引いて、
$$0.1 < f < 0.2$$ ここで、$\log_{10} 1 = 0$、$\log_{10} 2 > 0.301$ なので、小数部分 $f$ は
$$\log_{10} 1 (=0) < f < \log_{10} 2 (>0.301)$$ を満たします。
両辺に $30$($= \log_{10} 10^{30}$)を足すと、
$$\log_{10}(1 \times 10^{30}) < \log_{10} 2^{100} < \log_{10}(2 \times 10^{30})$$ $$1 \times 10^{30} < 2^{100} < 2 \times 10^{30}$$ となるため、$2^{100}$ は $1.\cdots \times 10^{30}$ と表され、最高位に現れる数字は $1$ です!
よって、オ:$5$ 、カ:$31$ 、キ:$1$ です。
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2024年度の東海大学医学部(2月2日実施)の数学は、大問1の計算の工夫、大問2の3個のデータに対する平均・分散と上に凸の2次関数の軸の位置、大問3の等差数列の和の最大と常用対数と、「基本定理を正確に使いこなせるか」がそのまま得点に直結する良問セットでした。復習では途中式を自分の手で再現できるまで練習しましょう!
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