全5大問・基本〜標準の良問ぞろい!ただし「角度の分解」と「近似計算」で差がつく!
こんにちは!TMPS医学館のSora先生と指導統括のニックニ(新国)先生です。2025年度の兵庫医科大学の物理は、〔問1〕円運動(水平面と斜面)、〔問2〕金属中の電子運動と半導体、〔問3〕熱機関サイクル、〔問4〕半球レンズとホイヘンスの原理、〔問5〕太陽内部の核融合反応という、全分野からバランスよく出題される構成でした。
どの問題も「見たことがない奇問」ではありませんが、〔問1〕後半の斜面上での円運動の3次元的な力の分解や、〔問4〕の波面とレンズの近似計算で手が止まった受験生が多いはずです。このページでは、途中式を1行たりとも省略せず、図解とともに1ステップずつ完全解説します!
⚡ 解答一覧(スピードチェック)
最初に最終解答を確認しよう〔問1〕小球の円運動(水平面および傾けた平面板上)
〔問2〕導体中の電気伝導と半導体
〔問3〕気体の状態変化と熱機関サイクル(ディーゼルサイクル)
〔問4〕半球レンズによる平面波の屈折と焦点距離
〔問5〕太陽内部の核融合反応(陽子-陽子連鎖反応)
〔問1〕小球の円運動(水平面・傾けた平面板上)
分野:力学(円運動・力学的エネルギー保存則)
問1の前半 I (1)〜(4) は、教科書や定番問題集に必ず載っている「円錐振り子+床の垂直抗力」の超基本問題!ここは絶対に3分以内で完答したいところです。
勝負の分かれ目は後半 II (5)〜(11) です!板と棒をそのまま角度 $\beta$ だけ傾けたとき、「糸と棒のなす角 $\alpha$ はずっと変わらない(平面板上で円運動している間)」ことに気づけるかが最大のポイントです。重力 $mg$ を「平面板に平行な成分 $mg \sin\beta$」と「平面板に垂直な成分 $mg \cos\beta$」に分解してあげれば、前半とまったく同じ手順でスッキリ解けますよ!
小球の円運動について、次の各問いに答えよ。重力加速度の大きさを $g$ とする。導出過程も簡潔にまとめて記し、解答は解答欄に記すこと。
I. 図1aのように、水平に置かれたなめらかな平面板上の点 $\text{O}$ に、高さ $h$ の変形しない細い棒が平面板に垂直に立っている。棒の上端には、伸縮しない軽い糸をつけ、糸の他端には質量 $m$ の小球 $\text{A}$ を付けた。小球 $\text{A}$ は、速さ $v$ で、点 $\text{O}$ を中心に平面板上で円運動をしている。このとき、棒と糸とのなす角は $\alpha$ であった。小球 $\text{A}$ の大きさおよび空気抵抗は無視できるものとする。
(1) 円運動の半径を求めよ。
(2) 糸の張力の大きさを求めよ。
(3) 小球 $\text{A}$ が平面板から受ける垂直抗力の大きさを求めよ。
(4) 徐々に $v$ を大きくしていったとき、小球 $\text{A}$ が平面板から離れる瞬間の $v$ を求めよ。
■ (1) 円運動の半径を求めよ。
棒の上端と点 $\text{O}$、および小球 $\text{A}$ を結ぶ直角三角形に注目します。
棒の長さ(鉛直方向の辺)が $h$、棒と糸のなす角が $\alpha$ であるから、円運動の半径を $r$ とすると、三角比の定義 $\tan\alpha = \dfrac{r}{h}$ より、
■ (2) 糸の張力の大きさを求めよ。
糸の張力の大きさを $T$、小球 $\text{A}$ が平面板から受ける垂直抗力の大きさを $N$ とします。
上の断面図のように、糸の張力 $T$ を水平方向(円の中心 $\text{O}$ に向かう向き)と鉛直方向(上向き)に分解すると、
・水平成分(中心向き):$T \sin\alpha$
・鉛直成分(上向き):$T \cos\alpha$
となります。
小球 $\text{A}$ は半径 $r = h \tan\alpha$ の円周上を速さ $v$ で等速円運動しているので、円の中心向きの運動方程式($m \dfrac{v^2}{r} = F$)を立てると、向心力は $T \sin\alpha$ のみであるから、
ここに (1) で求めた $r = h \tan\alpha$ を代入して $T$ について解きます。
■ (3) 小球 $\text{A}$ が平面板から受ける垂直抗力の大きさを求めよ。
小球 $\text{A}$ は平面板から離れずに運動しているため、鉛直方向(平面板に垂直な方向)の力はつりあっています。
上向きの力の和(垂直抗力 $N$ + 張力の鉛直成分 $T \cos\alpha$)= 下向きの力(重力 $mg$)より、
ここに (2) の $T = \dfrac{m v^2}{h \tan\alpha \sin\alpha}$ を代入します。このとき、$\dfrac{\cos\alpha}{\sin\alpha} = \dfrac{1}{\tan\alpha}$ であることに注意すると、
■ (4) 徐々に $v$ を大きくしていったとき、小球 $\text{A}$ が平面板から離れる瞬間の $v$ を求めよ。
小球 $\text{A}$ が平面板から「離れる瞬間」とは、平面板が小球を押す力である垂直抗力 $N$ がちょうど $0$ になる瞬間です。
したがって、(3) で求めた $N$ の式において $N = 0$ とおきます。
両辺を $m$ で割り、$v^2$ について整理すると、
$v > 0$ および $0 < \alpha < \dfrac{\pi}{2}$($\tan\alpha > 0$)より、平方根をとって、
II. 次に、図1bのように、図1aの平面板および棒を角度 $\beta$ だけ傾けたところ、小球 $\text{A}$ は平面板上で点 $\text{O}$ を中心に円運動をした。ただし、$0 < \beta < \alpha$ とする。平面板と棒は垂直を保っている。小球 $\text{A}$ が円運動する軌道の最下点を $\text{P}$、最上点を $\text{Q}$ とし、小球 $\text{A}$ が最下点 $\text{P}$ を通過するときの速さを $v_0$ とする。
(5) 小球 $\text{A}$ が円運動の最下点 $\text{P}$ を通過するとき、小球 $\text{A}$ が平面板から受ける垂直抗力の大きさを求めよ。
(6) 小球 $\text{A}$ が円運動の最下点 $\text{P}$ で平面板から離れないための速さ $v_0$ の条件を求めよ。
(7) 小球 $\text{A}$ が円運動の最上点 $\text{Q}$ を通過するとき、小球 $\text{A}$ の速さを求めよ。
(8) 小球 $\text{A}$ が円運動の最上点 $\text{Q}$ を通過するとき、糸の張力の大きさを求めよ。
(9) 小球 $\text{A}$ が円運動の最上点 $\text{Q}$ を通過するとき、小球 $\text{A}$ が平面板から受ける垂直抗力の大きさを求めよ。
(10) 円運動の最下点 $\text{P}$ でも、最上点 $\text{Q}$ でも、小球 $\text{A}$ が平面板から離れずに円運動を行う速さ $v_0$ の条件を求めよ。
(11) (10)の円運動が実現するための、$\tan\beta$ の条件を求めよ。
■ (5) 小球 $\text{A}$ が円運動の最下点 $\text{P}$ を通過するとき、平面板から受ける垂直抗力の大きさを求めよ。
平面板と棒は垂直を保っており、糸の長さも変わらないため、小球 $\text{A}$ が平面板上で円運動しているとき、棒と糸のなす角は常に $\alpha$ のままであり、円運動の半径も $r = h \tan\alpha$ のままです。
平面板が水平面と角 $\beta$ をなしているため、小球にはたらく重力 $mg$ を次の2方向に分解します。
・平面板に垂直な方向(平面板を押す向き):$mg \cos\beta$
・平面板に平行な方向(斜面の下向き:$\text{Q} \to \text{O} \to \text{P}$ の向き):$mg \sin\beta$
最下点 $\text{P}$ における糸の張力を $T_{\text{P}}$、垂直抗力を $N_{\text{P}}$ とします。
【手順1:円の中心 $\text{O}$ 向きの運動方程式】
最下点 $\text{P}$ では、中心 $\text{O}$ に向かう向き(斜面上向き)に張力の成分 $T_{\text{P}} \sin\alpha$ がはたらき、中心 $\text{O}$ と逆向き(斜面下向き)に重力の成分 $mg \sin\beta$ がはたらきます。速さが $v_0$ なので、中心向きの運動方程式は、
これより、$T_{\text{P}} \sin\alpha$ は次のように表せます。
【手順2:平面板に垂直な方向の力のつりあい】
平面板から浮き上がる向きに垂直抗力 $N_{\text{P}}$ と張力の成分 $T_{\text{P}} \cos\alpha$ がはたらき、平面板を押す向きに重力の成分 $mg \cos\beta$ がはたらくので、力のつりあいより、
ここで、$T_{\text{P}} \cos\alpha = \dfrac{T_{\text{P}} \sin\alpha}{\tan\alpha}$ であることを利用して、手順1の式と $r = h \tan\alpha$ を代入します。
■ (6) 小球 $\text{A}$ が円運動の最下点 $\text{P}$ で平面板から離れないための速さ $v_0$ の条件を求めよ。
最下点 $\text{P}$ で平面板から離れないための条件は、垂直抗力 $N_{\text{P}} \geqq 0$ です。
(5) の結果を用いて $N_{\text{P}} \geqq 0$ を解きます。
両辺に $\dfrac{h \tan^2\alpha}{m} (> 0)$ を掛けると、
ここで条件 $0 < \beta < \alpha < \dfrac{\pi}{2}$ より $\tan\alpha > \tan\beta = \dfrac{\sin\beta}{\cos\beta}$、すなわち $\tan\alpha \cos\beta - \sin\beta > 0$ であるから、右辺は正です。速さ $v_0 > 0$(または $v_0 \geqq 0$)より、
■ (7) 小球 $\text{A}$ が円運動の最上点 $\text{Q}$ を通過するとき、小球 $\text{A}$ の速さを求めよ。
平面板はなめらか(摩擦なし)であり、垂直抗力 $N$ と糸の張力 $T$ は常に小球の移動方向(円周の接線方向)と垂直にはたらくため、仕事をしません。
したがって、力学的エネルギー保存則が成り立ちます!
最下点 $\text{P}$ から最上点 $\text{Q}$ までの斜面に沿った距離は、円の直径 $2r = 2h \tan\alpha$ です。
斜面は水平面に対して角 $\beta$ だけ傾いているので、最下点 $\text{P}$ を基準とした最上点 $\text{Q}$ の鉛直方向の高さ $\Delta H$ は、
最上点 $\text{Q}$ での小球の速さを $v_{\text{Q}}$ とすると、点 $\text{P}$ と点 $\text{Q}$ での力学的エネルギー保存則より、
両辺を $\dfrac{2}{m}$ 倍して $v_{\text{Q}}$ について解くと、
■ (8) 小球 $\text{A}$ が円運動の最上点 $\text{Q}$ を通過するとき、糸の張力の大きさを求めよ。
最上点 $\text{Q}$ における糸の張力を $T_{\text{Q}}$ とします。
最上点 $\text{Q}$ では、円の中心 $\text{O}$ は点 $\text{Q}$ から見て斜面の下向きにあります!
したがって、張力の斜面成分 $T_{\text{Q}} \sin\alpha$ も、重力の斜面成分 $mg \sin\beta$ も、ともに円の中心 $\text{O}$ に向かう向き(同じ向き)にはたらきます。ここが最下点 $\text{P}$ との決定的な違いです!
最上点 $\text{Q}$ での中心向きの運動方程式を立てると、
ここに $r = h \tan\alpha$ と (7) で求めた $v_{\text{Q}}^2 = v_0^2 - 4gh \tan\alpha \sin\beta$ を代入します。
両辺を $\sin\alpha$ で割って、張力 $T_{\text{Q}}$ が求まります。
■ (9) 小球 $\text{A}$ が円運動の最上点 $\text{Q}$ を通過するとき、平面板から受ける垂直抗力の大きさを求めよ。
最上点 $\text{Q}$ における垂直抗力を $N_{\text{Q}}$ とすると、平面板に垂直な方向の力のつりあいは最下点 $\text{P}$ のときとまったく同じ形で、
ここに (8) の $T_{\text{Q}} = \dfrac{m(v_0^2 - 5gh \tan\alpha \sin\beta)}{h \tan\alpha \sin\alpha}$ を代入すると、$\dfrac{\cos\alpha}{\sin\alpha} = \dfrac{1}{\tan\alpha}$ より、
■ (10) 円運動の最下点 $\text{P}$ でも、最上点 $\text{Q}$ でも、小球 $\text{A}$ が平面板から離れずに円運動を行う速さ $v_0$ の条件を求めよ。
ここが超重要ポイントです!「平面板から離れずに円運動を行う」ためには、次の2つの条件を同時に満たす必要があります。
① 平面板から浮き上がらない条件:$N_{\text{P}} \geqq 0$ かつ $N_{\text{Q}} \geqq 0$
② 糸がたるまずに円運動が維持される条件:$T_{\text{P}} \geqq 0$ かつ $T_{\text{Q}} \geqq 0$(かつ $v_{\text{Q}} > 0$)
まず①の垂直抗力を比べると、(5) と (9) の式から明らかなように、$N_{\text{P}} < N_{\text{Q}}$ です(最下点 $\text{P}$ の方が速さが大きく、上向きに引っ張る張力も大きいため、最下点 $\text{P}$ の方が板から浮き上がりやすい)。
よって、$N_{\text{P}} \geqq 0$ を満たせば自動的に $N_{\text{Q}} > 0$ も満たされます。(6) より、
次に②の糸の張力を比べると、最上点 $\text{Q}$ で糸がたるまない条件 $T_{\text{Q}} \geqq 0$ が最も厳しくなります($T_{\text{Q}} \geqq 0$ ならば $v_0^2 \geqq 5gh \tan\alpha \sin\beta > 4gh \tan\alpha \sin\beta$ なので、最上点 $\text{Q}$ に到達して通過する条件 $v_{\text{Q}}^2 > 0$ も自動的にクリアします)。
(8) の式より $T_{\text{Q}} \geqq 0$ を解くと、
①' と ②' を合わせて、求める $v_0$ の範囲が得られます。
■ (11) (10)の円運動が実現するための、$\tan\beta$ の条件を求めよ。
(10) で求めた不等式を満たす速さ $v_0$ が実際に存在するためには、不等式の「左辺(下限) $\leqq$ 右辺(上限)」となっていなければなりません!
両辺とも正なので、2乗して比較すると、
両辺を $gh \tan\alpha (> 0)$ で割ります。
$0 < \beta < \alpha < \dfrac{\pi}{2}$ より $\cos\beta > 0$ であるから、両辺を $6\cos\beta$ で割ると、$\dfrac{\sin\beta}{\cos\beta} = \tan\beta$ より、
(もともと問題文に $0 < \beta < \alpha$ とあるので、$0 < \tan\beta \leqq \dfrac{1}{6}\tan\alpha$ と書いても正解です。)
〔問2〕導体中の自由電子の運動(オームの法則の微視的導出)と半導体
分野:電磁気(電流と電気抵抗・半導体)
〔問2〕は「オームの法則のミクロな導出」と「ケイ素(Si)半導体の性質」に関する超王道問題です!ここでのうっかりミス第1位は、図2の電池の向き(左が短い太線=負極、右が長い細線=正極)を見落として、$\text{a}$ と $\text{b}$ を逆に答えてしまうことです!
自由電子はマイナスの電荷($-e$)を持っているので、正極(右側:$\text{b}$ の向き)に向かって引っぱられます。ここさえ慎重に確認すれば、満点が狙える得点源ですよ!
次の各問いに答えよ。解答は解答欄に記すこと。
(1) 一様な導体中の電気伝導について、次の文の空欄にあてはまる適切な式、語句または記号を答えよ。②、④、⑤については、図2の中で示す $\text{a}$ または $\text{b}$ の記号で答えよ。
図2のように、断面積 $S$、長さ $l$ の円柱形の導体の両端に、直流電圧 $V$ を加えた。このとき、導体には大きさ [ ① ] の一様な電場が生じる。導体内を移動する電気量 $-e$ の自由電子は、電場から [ ② ] の向きに大きさ [ ③ ] の力を受けて加速される。自由電子は、導体中の熱振動する陽イオンとの衝突によって [ ④ ] の向きの力を受けて減速され、平均すると一定の速さで [ ⑤ ] の向きに移動する。陽イオンとの衝突による抵抗力は自由電子の速さに比例すると仮定し、その比例定数を $k$ とする。この抵抗力が自由電子が電場から受ける力と等しいとすると、自由電子の速さは [ ⑥ ] となる。導体中で、単位体積あたりの自由電子の個数を $n$ とすると、導体の断面積 $S$ の断面を単位時間あたりに通過する電子数は [ ⑦ ] 個となる。したがって、電流の大きさは [ ⑧ ] で与えられる。この式から導体の電気抵抗は [ ⑨ ] となる。導体材料と温度が決まると、$k$ と $n$ は一定とみなせるので、電気抵抗は [ ⑩ ] に比例し、[ ⑪ ] に反比例する。この比例定数を $\rho$ とすると、$\rho$ は [ ⑫ ] のように求まる。この $\rho$ を [ ⑬ ] といい、国際単位系および抵抗の単位 $\Omega$ を用いると、$\rho$ の単位は、[ ⑭ ] となる。
(2) 一般に、物質は $\rho$ の大きさによって、導体、半導体、不導体に分けられる。これらのうち、半導体の例として一般によく使用されているものに、ケイ素($\text{Si}$)が挙げられる。ケイ素について、次の問いに答えよ。
① 純粋なケイ素の温度を室温から上げていくにつれて、$\rho$ は小さくなることが知られている。その理由を記述せよ。
② 一般的に、ケイ素に微量に不純物として混合することで、$\text{p}$型半導体として用いられる元素の例を一つあげよ。
③ 一般的に、ケイ素に微量に不純物として混合することで、$\text{n}$型半導体として用いられる元素の例を一つあげよ。
問題の図2の電池記号を拡大して確認すると、左側が短い太線(負極 $-$)、右側が長い細線(正極 $+$)ではなく、左側が長い細線(正極 $+$)、右側が短い太線(負極 $-$)になっています!(左の縦線が上下に長く、右の縦線が短く描かれています)。
整理すると:
・電池の左側が正極($+$)、右側が負極($-$)です。
・したがって、導体内部の電場 $E$ の向きは、高電位(左)から低電位(右)へ向かう$\text{a}$ の向き(右向き)です。
・自由電子は負の電気量 $-e$ をもつので、電場と逆向き(正極である左側へ引かれる向き)すなわち② = $\text{b}$ の向き(左向き)に静電気力を受けて加速されます!
・左向き($\text{b}$)に運動するため、陽イオンとの衝突による抵抗力は運動と逆向きの④ = $\text{a}$ の向き(右向き)にはたらき、結果として自由電子は平均して一定の速さで⑤ = $\text{b}$ の向き(左向き)に移動します。
■ (1) 空欄 ① 〜 ⑭ の導出
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[ ① ]電場の大きさ:
長さ $l$ の一様な導体に電圧 $V$ を加えたとき、一様な電場の大きさ $E$ は $V = El$ より、 $$E = \frac{V}{l} \quad \cdots \text{【①】}$$ -
[ ② ]・[ ③ ]自由電子が電場から受ける力:
電源の左側が正極($+$)、右側が負極($-$)なので、電場の向きは左から右($\text{a}$ の向き)です。自由電子は負の電荷 $-e$ を持つため、電場と逆向きである$\text{b}$ の向き【②】に力を受けます。
その力の大きさ $F$ は、$F = eE$ に ① を代入して、 $$F = e \cdot \frac{V}{l} = \frac{eV}{l} \quad \cdots \text{【③】}$$ -
[ ④ ]・[ ⑤ ]抵抗力の向きと移動の向き:
自由電子は $\text{b}$ の向きに加速されて移動するため、陽イオンとの衝突によって移動方向と逆向きである$\text{a}$ の向き【④】に抵抗力を受けて減速され、平均すると一定の速さ $v$ で$\text{b}$ の向き【⑤】に移動します。 -
[ ⑥ ]自由電子の平均の速さ $v$:
速さ $v$ に比例する抵抗力の大きさ $kv$ が、電場から受ける力の大きさ $\dfrac{eV}{l}$ とつりあう(等しい)ので、 $$kv = \frac{eV}{l} \quad \Longleftrightarrow \quad v = \frac{eV}{kl} \quad \cdots \text{【⑥】}$$ -
[ ⑦ ]単位時間あたりに断面 $S$ を通過する電子数 $N$:
$1\text{秒}$ 間に断面 $S$ を通過する自由電子は、底面積 $S$、高さ($1\text{秒}$ 間に進む距離)$v$ の円柱(体積 $Sv$)の中に含まれるすべての自由電子です。単位体積あたりの個数が $n$ 個であるから、単位時間あたりに通過する個数 $N$ は、 $$N = nSv = nS \left(\frac{eV}{kl}\right) = \frac{neSV}{kl} \quad \cdots \text{【⑦】}$$ -
[ ⑧ ]電流の大きさ $I$:
電流の大きさ $I$ は、「単位時間($1\text{秒}$ 間)に断面を通過する電気量の大きさ」です。電子1個あたりの電気量の大きさは $e$ であり、単位時間に $N$ 個通過するので、 $$I = eN = e \left(\frac{neSV}{kl}\right) = \frac{ne^2 SV}{kl} \quad \cdots \text{【⑧】}$$ -
[ ⑨ ]・[ ⑩ ]・[ ⑪ ]導体の電気抵抗 $R$:
⑧の式を $V = RI$ の形に変形すると、 $$V = \left(\frac{kl}{ne^2 S}\right) I$$ オームの法則 $V = RI$ と比較して、導体の電気抵抗 $R$ は、 $$R = \frac{kl}{ne^2 S} \quad \cdots \text{【⑨】}$$ これより、$k, n$ が一定のとき、電気抵抗 $R$ は導体の長さ $l$(または導体の長さ)【⑩】に比例し、断面積 $S$(または導体の断面積)【⑪】に反比例します。 -
[ ⑫ ]・[ ⑬ ]・[ ⑭ ]抵抗率 $\rho$ とその単位:
$R = \rho \dfrac{l}{S}$ と表したときの比例定数 $\rho$ は、⑨と比較して、 $$\rho = \frac{k}{ne^2} \quad \cdots \text{【⑫】}$$ この $\rho$ を抵抗率(または電気抵抗率)【⑬】といいます。
また、$\rho = R \dfrac{S}{l}$ より、$R$ の単位が $[\Omega]$、断面積 $S$ の単位が $[\text{m}^2]$、長さ $l$ の単位が $[\text{m}]$ であるから、$\rho$ の単位は、 $$[\Omega] \cdot \frac{[\text{m}^2]}{[\text{m}]} = \Omega\cdot\text{m} \quad \cdots \text{【⑭】}$$
■ (2) ケイ素($\text{Si}$)半導体の性質
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① 温度を上げていくと $\rho$ が小さくなる理由:
(金属の場合は温度が上がると熱振動が激しくなり $k$ が大きくなって $\rho$ は増加しますが、)純粋な半導体(真性半導体)であるケイ素($\text{Si}$)では、温度が上がると結晶中の原子の熱運動が激しくなり、共有結合を作っていた価電子の一部がエネルギーを得て飛び出し、伝導に寄与する自由電子(および正孔=ホール)の単位体積あたりの数 $n$ が急激に増加するため、$\rho = \dfrac{k}{ne^2}$ の分母が大きくなる効果が打ち勝って抵抗率 $\rho$ は小さくなります。 -
② $\text{p}$型半導体として用いられる不純物元素の例:
ケイ素($\text{Si}$)は14族元素(価電子4個)です。これに13族元素(価電子3個)を微量に混ぜると、共有結合に電子が1個足りない場所である「正孔(ホール:positive hole)」ができ、$\text{p}$型半導体になります。
・13族元素の例:ホウ素($\text{B}$)、アルミニウム($\text{Al}$)、ガリウム($\text{Ga}$)、インジウム($\text{In}$)などから1つ答えればOKです。 -
③ $\text{n}$型半導体として用いられる不純物元素の例:
14族のケイ素($\text{Si}$)に15族元素(価電子5個)を微量に混ぜると、共有結合に使われずに余った5個目の価電子が「自由電子(negative charge)」として結晶内を動けるようになり、$\text{n}$型半導体になります。
・15族元素の例:リン($\text{P}$)、ヒ素($\text{As}$)、アンチモン($\text{Sb}$)などから1つ答えればOKです。
① 温度が上がると熱運動により共有結合から飛び出す電子が増え、単位体積あたりの自由電子(および正孔)の数 $n$ が急激に増加するから。
② ホウ素(または アルミニウム、ガリウム、インジウム)
③ リン(または ヒ素、アンチモン)
〔問3〕理想気体のサイクル(定圧・断熱・定積変化と熱効率)
分野:熱力学(ポアソンの法則・モル比熱・熱効率)
〔問3〕は「ディーゼルサイクル」と呼ばれる超有名な熱機関サイクルです!
断熱変化($\text{B} \to \text{C}$ と $\text{D} \to \text{A}$)ではポアソンの式 $PV^\gamma = \text{一定}$ を使いますが、温度と体積の関係式 $TV^{\gamma - 1} = \text{一定}$ に直してから使うと、計算時間が半分以下に短縮できますよ!
また、(6)の熱効率 $e = 1 - \dfrac{Q_{\text{out}}}{Q_{\text{in}}}$ を計算するとき、問題文で与えられた $\gamma = \dfrac{C_P}{C_V}$ を使って比熱の比を $\gamma$ に書き換えるのを忘れないようにしましょう!
$1\text{モル}$ の理想気体を、図3のように、体積 $V$ および圧力 $P$ について $\text{A}\to\text{B}\to\text{C}\to\text{D}\to\text{A}$ の順にゆっくりと状態変化させた。状態変化 $\text{A}\to\text{B}$ は体積 $V_{\text{A}}$ から $V_{\text{B}}$ への定圧変化、状態変化 $\text{B}\to\text{C}$ は体積 $V_{\text{B}}$ から $V_{\text{C}}$ への断熱変化、状態変化 $\text{C}\to\text{D}$ は体積 $V_{\text{C}}$ での定積変化、状態変化 $\text{D}\to\text{A}$ は体積 $V_{\text{C}}$ から $V_{\text{A}}$ への断熱変化である。状態 $\text{A}$ での温度を $T$ とする。理想気体の定積モル比熱を $C_V$、定圧モル比熱を $C_P$ とし、$\gamma = \dfrac{C_P}{C_V} > 1$ とする。また、$a = \dfrac{V_{\text{B}}}{V_{\text{A}}}$、$b = \dfrac{V_{\text{C}}}{V_{\text{A}}}$ とする。次の各問いに答えよ。導出過程も簡潔にまとめて記し、解答は解答欄に記すこと。
(1) 状態 $\text{B}$ での温度を、$T, a, b, \gamma$ のうち必要なものを用いて表わせ。
(2) 状態 $\text{C}$ での温度を、$T, a, b, \gamma$ のうち必要なものを用いて表わせ。
(3) 状態 $\text{D}$ での温度を、$T, a, b, \gamma$ のうち必要なものを用いて表わせ。
(4) 状態変化 $\text{A}\to\text{B}$ の過程で理想気体に与えた熱量を、$T, a, b, \gamma, C_V, C_P$ のうち必要なものを用いて表わせ。
(5) 状態変化 $\text{C}\to\text{D}$ の過程で理想気体が放出した熱量を、$T, a, b, \gamma, C_V, C_P$ のうち必要なものを用いて表わせ。
(6) 状態変化 $\text{A}\to\text{B}\to\text{C}\to\text{D}\to\text{A}$ を熱機関とみなすとき、この熱機関の熱効率を $a, b, \gamma$ を用いて表わせ。
■ (1) 状態 $\text{B}$ での温度 $T_{\text{B}}$ を求めよ。
状態変化 $\text{A}\to\text{B}$ は定圧変化です。シャルルの法則 $\dfrac{V}{T} = \text{一定}$ より、状態 $\text{A}$(体積 $V_{\text{A}}$、温度 $T$)と状態 $\text{B}$(体積 $V_{\text{B}}$、温度 $T_{\text{B}}$)について、
問題文の定義 $a = \dfrac{V_{\text{B}}}{V_{\text{A}}}$ を代入して、
■ (2) 状態 $\text{C}$ での温度 $T_{\text{C}}$ を求めよ。
状態変化 $\text{B}\to\text{C}$ は断熱変化です。
ポアソンの法則 $PV^\gamma = \text{一定}$ と状態方程式 $PV = RT$($1\text{モル}$)を組み合わせると、$P = \dfrac{RT}{V}$ を代入して、
この関係を状態 $\text{B}$(温度 $T_{\text{B}} = aT$、体積 $V_{\text{B}} = a V_{\text{A}}$)と状態 $\text{C}$(温度 $T_{\text{C}}$、体積 $V_{\text{C}} = b V_{\text{A}}$)に適用すると、
■ (3) 状態 $\text{D}$ での温度 $T_{\text{D}}$ を求めよ。
状態変化 $\text{D}\to\text{A}$ も断熱変化です。
同様に $T V^{\gamma - 1} = \text{一定}$ を状態 $\text{D}$(温度 $T_{\text{D}}$、体積 $V_{\text{C}} = b V_{\text{A}}$)と状態 $\text{A}$(温度 $T$、体積 $V_{\text{A}}$)に適用すると、
■ (4) 状態変化 $\text{A}\to\text{B}$ の過程で理想気体に与えた熱量 $Q_{\text{AB}}$ を求めよ。
状態変化 $\text{A}\to\text{B}$ は $n = 1\text{モル}$ の理想気体の定圧変化であり、定圧モル比熱が $C_P$ であるから、気体に与えた熱量 $Q_{\text{AB}}$ は $Q = n C_P \Delta T$ より、
■ (5) 状態変化 $\text{C}\to\text{D}$ の過程で理想気体が放出した熱量 $Q_{\text{CD}}$ を求めよ。
状態変化 $\text{C}\to\text{D}$ は $n = 1\text{モル}$ の理想気体の定積変化であり、定積モル比熱が $C_V$ です。
「放出した熱量(正の値)」は、温度の下がり幅 $(T_{\text{C}} - T_{\text{D}})$ を用いて $Q_{\text{CD}} = 1 \cdot C_V (T_{\text{C}} - T_{\text{D}})$ と表せます。(2) と (3) の結果を代入すると、
■ (6) この熱機関の熱効率 $e$ を $a, b, \gamma$ を用いて表わせ。
1サイクル($\text{A}\to\text{B}\to\text{C}\to\text{D}\to\text{A}$)において、$\text{B}\to\text{C}$ と $\text{D}\to\text{A}$ は断熱変化(熱の出入り $0$)であるため、
・気体が吸収した熱量:$Q_{\text{in}} = Q_{\text{AB}} = C_P (a - 1) T$
・気体が放出した熱量:$Q_{\text{out}} = Q_{\text{CD}} = C_V (a^\gamma - 1) b^{1-\gamma} T$
です。したがって、熱効率 $e$ の定義式 $e = \dfrac{Q_{\text{in}} - Q_{\text{out}}}{Q_{\text{in}}} = 1 - \dfrac{Q_{\text{out}}}{Q_{\text{in}}}$ に代入すると、
ここで温度 $T$ が約分され、さらに $\gamma = \dfrac{C_P}{C_V}$ より $\dfrac{C_V}{C_P} = \dfrac{1}{\gamma}$ であるから、
〔問4〕半球による平面波の波面の変化と焦点距離
分野:波動(光波・屈折の法則・レンズの近似)
〔問4〕は、2025年度の全5問の中で最も思考力が試される合否分岐問題です!
前半 I (1)〜(3) のポイントは、「媒質中(屈折率 $n_0$)での光速は $\dfrac{c}{n_0}$、半球内(屈折率 $n_1$)での光速は $\dfrac{c}{n_1}$」であり、$n_0 < n_1$ なので半球に入った中央付近の光の方が遅く進む($x_{\text{R}} < x_{\text{P}}$)ということです!
後半 II (4)〜(6) は球面での屈折と平面での屈折を2段階に分けて追跡します。図を大きく描いて、中心 $\text{C}(a, 0)$ から引いた法線との角度を $\theta$ とおけば、微小角近似 $\sin\theta \fallingdotseq \tan\theta \fallingdotseq \theta$ で鮮やかに解けますよ!
図4のように、屈折率 $n_0$ の媒質中に、屈折率 $n_1$ の物質で作られた半径 $a$ の半球がある。図の点 $\text{A}$、点 $\text{B}$ を含む半球の平面の中心 $\text{C}$ を通り、平面に垂直に $x$ 軸をとり、$x$ 軸と半球の球面との交わる点を原点 $\text{O}$ とする。また、原点 $\text{O}$ を通り、$x$ 軸に垂直な軸を $y$ 軸とする。$x$ 軸の負の方向にある十分遠くの光源から、$x$ 軸に垂直な波面を持つ単色平面波の光を半球の球面に入射させた。真空中での光速を $c$ とし、$n_0 < n_1$ とする。次の各問いに答えよ。導出過程も簡潔にまとめて記し、解答は解答欄に記すこと。
I. 光源から出た一つの波面に着目し、この波面が原点 $\text{O}$ に到達した時刻を $t = 0$ とする。$xy$ 平面内での光について考える。
(1) 時間 $\Delta t$ 後に、波面が、図4の球面上の点 $\text{P}$ および点 $\text{P}$ と $x$ 軸対称な点 $\text{Q}$ に到達したとする。このときの波面の断面を図示せよ。ただし、反射波は図示しなくて良い。
(2) 点 $\text{P}$ の $y$ 座標を求めよ。
(3) (1)で描かれた波面と $x$ 軸との交点を点 $\text{R}$ とするとき、点 $\text{R}$ の $x$ 座標を求めよ。
II. 入射光の平面波を、$y = 0$ の近傍のみに絞った場合を考える。このとき、光は1点に集まる、すなわち焦点を持つと考えられる。必要であれば、$\theta$ が小さいときの近似式 $\tan\theta \fallingdotseq \sin\theta \fallingdotseq \theta$、$\cos\theta \fallingdotseq 1$ を用いよ。
(4) 入射光が半球の平面で屈折しないと仮定したときの、見かけの焦点の $x$ 座標を求めよ。
(5) 真の焦点の $x$ 座標(焦点距離)を求めよ。
(6) 焦点距離が $2a$ に等しくなるときの、$\dfrac{n_1}{n_0}$ の値を求めよ。解答は小数にしなくてもよい。
■ I. (1) 時間 $\Delta t$ 後の波面の断面を図示せよ。
時刻 $t = 0$ に平面波の波面は $y$ 軸($x = 0$)上にあります。
・点 $\text{P}$ より上側($y \geqq y_{\text{P}}$)および点 $\text{Q}$ より下側($y \leqq -y_{\text{P}}$)の光:
時刻 $t = 0$ から $t = \Delta t$ までずっと屈折率 $n_0$ の媒質中を速さ $v_0 = \dfrac{c}{n_0}$ で直進するため、波面は点 $\text{P}$、点 $\text{Q}$ を通り $y$ 軸に平行な直線 $x = x_{\text{P}} = \dfrac{c}{n_0}\Delta t$ となります。
・点 $\text{P}$ と点 $\text{Q}$ の間の光($-y_{\text{P}} < y < y_{\text{P}}$):
途中で屈折率 $n_1$($> n_0$)の半球内部に入るため、光速が $v_1 = \dfrac{c}{n_1} \left( < \dfrac{c}{n_0} \right)$ に遅くなります。中心($x$ 軸上)に近い光ほど早く($t = 0$ から)半球内部に入って遅く進む時間が長いため、$x$ 軸上で最も遅れ($x_{\text{R}} < x_{\text{P}}$)、さらに球面で中心向きに屈折するため、上の図の赤太線のように点 $\text{P
}$ と点 $\text{Q}$ を結び、左側(原点 $\text{O}$ 側)に張り出した(右に向かって凹んだ)滑らかな曲線となります。
■ I. (2) 点 $\text{P}$ の $y$ 座標を求めよ。
屈折率 $n_0$ の媒質中における光の速さは $v_0 = \dfrac{c}{n_0}$ です。時刻 $t = 0$ に $x = 0$ を出発した波面が、時間 $\Delta t$ 後に球面上の点 $\text{P}(x_{\text{P}}, y_{\text{P}})$($y_{\text{P}} > 0$)に到達するので、点 $\text{P}$ の $x$ 座標は、 $$x_{\text{P}} = v_0 \Delta t = \frac{c\Delta t}{n_0}$$ 一方、点 $\text{P}$ は中心 $\text{C}(a, 0)$、半径 $a$ の円周上にあるため、円の方程式 $(x - a)^2 + y^2 = a^2$ を満たします。これに $x = x_{\text{P}}$ を代入して $y_{\text{P}} > 0$ について解くと、 $$\left( \frac{c\Delta t}{n_0} - a \right)^2 + y_{\text{P}}^2 = a^2$$ $$y_{\text{P}}^2 = a^2 - \left( a - \frac{c\Delta t}{n_0} \right)^2 = \frac{2ac\Delta t}{n_0} - \left( \frac{c\Delta t}{n_0} \right)^2 = \frac{c\Delta t}{n_0}\left( 2a - \frac{c\Delta t}{n_0} \right)$$ よって、点 $\text{P}$ の $y$ 座標は、 $$y_{\text{P}} = \sqrt{\frac{c\Delta t}{n_0}\left( 2a - \frac{c\Delta t}{n_0} \right)}$$
■ I. (3) 点 $\text{R}$ の $x$ 座標を求めよ。
$x$ 軸上を進む光は、時刻 $t = 0$ に原点 $\text{O}(0, 0)$ から屈折率 $n_1$ の半球内部に入射し、時間 $\Delta t$ の間ずっと速さ $v_1 = \dfrac{c}{n_1}$ で $x$ 軸上を直進します。
したがって、時間 $\Delta t$ 後に到達する点 $\text{R}$ の $x$ 座標 $x_{\text{R}}$ は、
$$x_{\text{R}} = v_1 \Delta t = \frac{c\Delta t}{n_1}$$
■ II. (4) 半球の平面 $\text{AB}$ で屈折しないと仮定したときの、見かけの焦点の $x$ 座標を求めよ。
【解法1:スネルの法則(屈折の法則)と微小角近似を用いる方法】
$y = 0$ の近傍($y$ が十分小さい範囲)で $x$ 軸に平行に入射し、球面上の点 $\text{P}$ で屈折する光線を考えます。
球面の中心 $\text{C}(a, 0)$ と点 $\text{P}$ を結ぶ直線 $\text{CP}$ が球面の法線となります。線分 $\text{CP}$ が $x$ 軸の負の向きとなす角を $\theta$($\theta \ll 1$)とすると、光線の入射角は $\theta$ です。
球面での屈折角を $\phi$ とし、屈折した光線が見かけの焦点 $\text{F}_1(x_1, 0)$ で $x$ 軸と交わるとします。$\triangle \text{PCF}_1$ に着目すると、線分 $\text{CF}_1$ と光線 $\text{PF}_1$ のなす角を $\alpha$ とおけば、外角の関係より、
$$\theta = \phi + \alpha \quad \Longleftrightarrow \quad \alpha = \theta - \phi$$
$\theta$ が十分小さいとき、$\phi, \alpha$ も十分小さいため、近似式 $\sin\theta \fallingdotseq \theta$ 等を用いると、点 $\text{P}$ における屈折の法則 $n_0 \sin\theta = n_1 \sin\phi$ より、
$$n_0 \theta \fallingdotseq n_1 \phi \quad \Longleftrightarrow \quad \phi \fallingdotseq \frac{n_0}{n_1}\theta$$
よって、$\alpha = \theta - \phi \fallingdotseq \left( 1 - \dfrac{n_0}{n_1} \right)\theta = \dfrac{n_1 - n_0}{n_1}\theta$ となります。
点 $\text{P}$ から $x$ 軸までの高さ $y_{\text{P}}$ について、$\theta \ll 1$ のとき $x_{\text{P}} \fallingdotseq 0$ であり、
$$y_{\text{P}} = a\sin\theta \fallingdotseq a\theta \quad \text{また、} \quad y_{\text{P}} = x_1 \tan\alpha \fallingdotseq x_1 \alpha$$
が成り立つので、これより見かけの焦点の $x$ 座標 $x_1$ は、
$$x_1 \fallingdotseq \frac{y_{\text{P}}}{\alpha} = \frac{a\theta}{\dfrac{n_1 - n_0}{n_1}\theta} = \frac{n_1}{n_1 - n_0}a$$
【解法2:(1)〜(3)の波面(等光路長・ホイヘンスの原理)を用いる別解】
時刻 $\Delta t$ の波面 $\text{PRQ}$ が、見かけの焦点 $\text{F}_1(x_1, 0)$ を中心とする半径 $r = x_1 - x_{\text{R}}$ の円弧に近似できることから、三平方の定理 $(x_1 - x_{\text{P}})^2 + y_{\text{P}}^2 = (x_1 - x_{\text{R}})^2$ に $\Delta t$ の1次の微小量まで($(\Delta t)^2$ の項を無視して)代入すると、
$$x_1^2 - 2x_1 \frac{c\Delta t}{n_0} + \frac{2ac\Delta t}{n_0} \fallingdotseq x_1^2 - 2x_1 \frac{c\Delta t}{n_1} \quad \Longleftrightarrow \quad x_1 \left( \frac{1}{n_0} - \frac{1}{n_1} \right) = \frac{a}{n_0} \quad \therefore x_1 = \frac{n_1}{n_1 - n_0}a$$
となり、同じ結果が得られます。
■ II. (5) 真の焦点の $x$ 座標(焦点距離)を求めよ。
半球の平面 $\text{AB}$ は $x = a$ の位置にあります。問題文の図3・図4の設定より $n_1 > n_0$ であるため、上で求めた $x_1 = \dfrac{n_1}{n_1 - n_0}a$ は $x_1 > a$ となり、光線は点 $\text{F}_1(x_1, 0)$ に集まる前に平面 $\text{AB}$($x = a$)を通過して再び屈折率 $n_0$ の媒質中へ出ます。
平面 $\text{AB}$ 上の点 $\text{M}(a, y_{\text{M}})$ に入射角 $\alpha$ で達した光線が、屈折角 $\beta$ で屈折して真の焦点 $\text{F}(x_f, 0)$ で $x$ 軸と交わるとします。
平面 $\text{AB}$ における屈折の法則と微小角近似より、
$$n_1 \sin\alpha = n_0 \sin\beta \quad \Longrightarrow \quad n_1 \alpha \fallingdotseq n_0 \beta \quad \Longleftrightarrow \quad \frac{\alpha}{\beta} \fallingdotseq \frac{n_0}{n_1}$$
また、点 $\text{M}$ の高さ $y_{\text{M}}$ について、直角三角形 $\triangle \text{MCF}_1$ と $\triangle \text{MCF}$ に着目すると、
$$y_{\text{M}} = (x_1 - a)\tan\alpha \fallingdotseq (x_1 - a)\alpha, \qquad y_{\text{M}} = (x_f - a)\tan\beta \fallingdotseq (x_f - a)\beta$$
これより、平面 $\text{AB}$($x = a$)から焦点までの距離に関して、
$$x_f - a = \frac{\alpha}{\beta}(x_1 - a) = \frac{n_0}{n_1}\left( \frac{n_1}{n_1 - n_0}a - a \right) = \frac{n_0}{n_1} \cdot \frac{n_0}{n_1 - n_0}a = \frac{n_0^2}{n_1(n_1 - n_0)}a$$
したがって、真の焦点の $x$ 座標 $x_f$ は、
$$x_f = a + \frac{n_0^2}{n_1(n_1 - n_0)}a = \frac{n_1^2 - n_0 n_1 + n_0^2}{n_1(n_1 - n_0)}a$$
■ II. (6) 焦点距離が $2a$ に等しくなるときの、$\dfrac{n_1}{n_0}$ の値を求めよ。
(5)の結果において $x_f = 2a$ とおくと、 $$a + \frac{n_0^2}{n_1(n_1 - n_0)}a = 2a \quad \Longleftrightarrow \quad \frac{n_0^2}{n_1(n_1 - n_0)} = 1$$ ここで $\dfrac{n_1}{n_0} = X$($X > 1$)とおくと、分母・分子を $n_0^2$ で割って、 $$\frac{1}{X(X - 1)} = 1 \quad \Longleftrightarrow \quad X^2 - X - 1 = 0$$ 2次方程式の解の公式より、$X > 1$ を満たす解を求めると、 $$X = \frac{1 + \sqrt{5}}{2}$$
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【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(兵庫医科大学 2025年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。