こんにちは、TMPS医学館のSora先生です!指導統括のニックニ(新国)先生と一緒に、2022年度・近畿大学医学部(前期)の物理を1ステップずつ徹底解説します。
2022年度の近大医学部物理は、大問I:円筒面とあらい斜面を含む力学、大問II:単原子分子理想気体のサイクル($T$-$V$図と$p$-$V$図)、大問III:導体板を挿入した平行板コンデンサーと接地回路(電位・電場グラフ・電荷保存)の3題構成です。
【目標得点率:75%〜80%】 大問Iと大問IIは典型操作の積み重ねなので完答狙い!大問IIIの後半(スイッチ切り替えと電荷保存)は少し計算が混み合うので、前半のグラフ問題までを確実に取って差をつけましょう!
解答一覧(スピードチェック)
大問 I(力学:円筒面と斜面の運動)
大問 III(電磁気:導体板入りコンデンサー回路)
大問 II(熱力学:理想気体の状態変化と熱効率)
| (1) 過程 | 外部にした仕事 $W$ [J] | 吸収した熱量 $Q$ [J] | 内部エネルギーの変化 $\Delta U$ [J] |
|---|---|---|---|
| A $\to$ B(定積) | $0$ | $\dfrac{3}{2}RT_0$ | $\dfrac{3}{2}RT_0$ |
| B $\to$ C(等温) | $2RT_0\log 2$ | $2RT_0\log 2$ | $0$ |
| C $\to$ A(定圧) | $-RT_0$ | $-\dfrac{5}{2}RT_0$ | $-\dfrac{3}{2}RT_0$ |
大問 I :円筒面と斜面上の小物体の運動(力学)
配点目安:約35%
大問Iは「円運動の運動方程式(垂直抗力と面から離れない条件)」と「あらい斜面での仕事とエネルギーの関係」の融合問題です!
一番の落とし穴は「斜面BCや斜面DEの傾き角がいくらか?」を見落とすこと。問題文の「なめらかに接続された」という一言から、円弧の接線方向=斜面の傾き角($\dfrac{\pi}{3}=60^\circ$)を最初に図から読み取れば、あとは面白いほどスラスラ解けますよ!
【問題文】
2つの円筒面ABとCD,なめらかな斜面BC,あらい斜面DEがなめらかに接続された面ABCDEがあり,図はその断面を表している。曲線ABとCDはそれぞれ点$\mathrm{O_1}$と点$\mathrm{O_2}$を中心とする半径$R$の円弧であり,点$\mathrm{O_1}$と点$\mathrm{O_2}$は同一水平面上にある。点Cと点Dは同一水平面上にあり,点Cを通る水平面を基準としたときの点Bの高さは$R$である。点Aは点$\mathrm{O_1}$を通る鉛直線上にあり,$\angle\mathrm{AO_1B}=\dfrac{\pi}{3}$,$\angle\mathrm{CO_2D}=\dfrac{2}{3}\pi$である。斜面DEは十分長く,静止摩擦係数は$\mu$,動摩擦係数は$\mu'$である。今,面ABCDE上における質量$m$の小物体の運動について考える。重力加速度の大きさを$g$とし,空気抵抗は無視できるものとする。なお,小物体の運動は紙面内に限るとする。
▼ 面ABCDEの断面図と角度・高さの幾何学的関係
(1) 円筒面AB上の点Pに小物体を置いて静かに手を離すと,小物体は曲線AB上を離れることなく進んだ。$\angle\mathrm{AO_1P}=\theta$とすると,小物体が点Bを通過する瞬間に小物体が面からうける垂直抗力の大きさは 1 である。小物体が曲線ABから離れずに点Bを通過するための条件は,$\cos\theta \leqq$ 2 である。
設問 (1) の完全ステップ解説:空欄 [ 1 ]・[ 2 ]
Step 1:点Pから点Bまでの力学的エネルギー保存則を立てる
点$\mathrm{O_1}$を通る水平面を高さの基準(高さ$0$)とします。
・点P($\angle\mathrm{AO_1P}=\theta$)の高さ:$h_{\mathrm{P}} = R\cos\theta$
・点B($\angle\mathrm{AO_1B}=\dfrac{\pi}{3}$)の高さ:$h_{\mathrm{B}} = R\cos\dfrac{\pi}{3} = \dfrac{1}{2}R$
点Pで静かに手を離した(初速度$0$)小物体が、点Bを通過する瞬間の速さを $v_{\mathrm{B}}$ とすると、曲線ABはなめらかなので力学的エネルギー保存則より、
$$mgR\cos\theta = \frac{1}{2}mv_{\mathrm{B}}^2 + mg\left(\frac{1}{2}R\right)$$
両辺を $m$ で割り、$v_{\mathrm{B}}^2$ について整理すると、
$$v_{\mathrm{B}}^2 = 2gR\left(\cos\theta - \frac{1}{2}\right) = gR(2\cos\theta - 1) \quad \cdots \text{①}$$
Step 2:点Bにおける中心方向の運動方程式から垂直抗力 $N$ を求める(空欄 [ 1 ])
点Bを通過する瞬間、小物体にはたらく力を円の中心$\mathrm{O_1}$に向かう向き(中心方向)に分解します。
・重力 $mg$ の中心方向成分:$mg\cos\dfrac{\pi}{3} = \dfrac{1}{2}mg$(中心$\mathrm{O_1}$に向かう向き)
・面から受ける垂直抗力:$N$(中心$\mathrm{O_1}$から遠ざかる向き)
よって、点Bにおける半径 $R$ の円運動の運動方程式(中心向きを正)は、
$$m\frac{v_{\mathrm{B}}^2}{R} = mg\cos\frac{\pi}{3} - N = \frac{1}{2}mg - N$$
これより $N$ を求め、①の $v_{\mathrm{B}}^2 = gR(2\cos\theta - 1)$ を代入します。
$$N = \frac{1}{2}mg - m\frac{v_{\mathrm{B}}^2}{R} = \frac{1}{2}mg - mg(2\cos\theta - 1) = \boxed{mg\left(2\cos\theta - \frac{3}{2}\right)}$$
丁寧に引き算を展開しましょう!
$$N = \frac{1}{2}mg - 2mg\cos\theta + mg = mg\left(\frac{3}{2} - 2\cos\theta\right)$$
$\cos\theta$ が大きい(点Aに近い高い位置から離す)ほど速さ $v_{\mathrm{B}}$ が大きくなり、遠心力が大きくなるので垂直抗力 $N$ は小さくなります!もう一度符号を確認しましょう。
$$\frac{1}{2}mg - mg(2\cos\theta - 1) = \left(\frac{1}{2} + 1\right)mg - 2mg\cos\theta = \mathbf{mg\left(\frac{3}{2} - 2\cos\theta\right)}$$
(※または $\dfrac{1}{2}mg(3 - 4\cos\theta)$ と書いても正解です!)
Step 3:曲線ABから離れずに点Bを通過する条件を求める(空欄 [ 2 ])
円筒面の上側を滑るとき、下へ進むにつれて速さが増し、重力の中心成分は減少するため、垂直抗力は単調に減少します。したがって、点Bで $N \geqq 0$ であれば、点Pから点Bまでのすべての位置で $N \geqq 0$(面から離れない)となります。
$$N = mg\left(\frac{3}{2} - 2\cos\theta\right) \geqq 0$$
$$\frac{3}{2} - 2\cos\theta \geqq 0 \quad \Longleftrightarrow \quad 2\cos\theta \leqq \frac{3}{2} \quad \Longleftrightarrow \quad \cos\theta \leqq \mathbf{\frac{3}{4}}$$
(※問題文の不等号の向き「$\cos\theta \leqq \fbox{ 2 }$」とも完全に一致していますね!これにより空欄[1]の符号が $\dfrac{3}{2}-2\cos\theta$ であることも100%確信できます!)
(2) 次に,小物体を $\cos\theta =$ 2 となる点に置いて静かに手を離すと,小物体は曲線AB上を離れることなく進んだ。このとき,小物体が点Bを通過する瞬間の速さ $v_0$ は,$v_0 =$ 3 である。点Bを速さ $v_0$ で通過した小物体は斜面BCから曲線CD上を進んで,点Dを通過したのちに斜面DEを上った。点Dを通過した瞬間の小物体の速さ $v_1$ は,$v_1 =$ 4 $\times v_0$ である。そして,小物体が到達した最高到達点を点$\mathrm{Q_1}$とすると,点Dを通過してから点$\mathrm{Q_1}$に到達するまでにかかる時間は 5 $\times \dfrac{v_1}{g}$ であり,点Dを通る水平面を基準としたときの点$\mathrm{Q_1}$の高さは 6 $\times \dfrac{v_1^2}{g}$ である。
点$\mathrm{Q_1}$に達した後に,小物体は斜面DEを下った。斜面DEを下った小物体は点Dを通過して,曲線CD上を進んだ後に点Cを通過して斜面BCを上った。そして,小物体が到達した最高到達点は点Bであった。このことより,斜面DEの動摩擦係数 $\mu'$ は $\mu' =$ 7 であることがわかる。点Bに到達した小物体は再び斜面BCを下り,曲線CD上を進んだ後に点Dを通過して斜面DEを上った。このとき,斜面DEを上った小物体が到達した最高到達点を点$\mathrm{Q_2}$とする。点Dを通る水平面を高さの基準とすると,点$\mathrm{Q_2}$の高さは点$\mathrm{Q_1}$の高さの 8 倍である。
設問 (2) の完全ステップ解説:空欄 [ 3 ] 〜 [ 8 ]
Step 1:点Bを通過する速さ $v_0$ と、点Dを通過する速さ $v_1$(空欄 [ 3 ]・[ 4 ])
【空欄 [ 3 ]】 $\cos\theta = \dfrac{3}{4}$ のとき、点Bでの速さ $v_0$ は、(1)の式① $v_{\mathrm{B}}^2 = gR(2\cos\theta - 1)$ に $\cos\theta = \dfrac{3}{4}$ を代入して(または点Bで $N=0$ なので $m\dfrac{v_0^2}{R} = mg\cos\dfrac{\pi}{3} = \dfrac{1}{2}mg$ より)、
$$v_0^2 = gR\left(2\times\frac{3}{4} - 1\right) = \frac{1}{2}gR \quad \Longrightarrow \quad v_0 = \mathbf{\sqrt{\frac{1}{2}gR}} \quad \left(\text{または }\frac{\sqrt{2gR}}{2}\right)$$
【空欄 [ 4 ]】 点Bから点Dまでは摩擦がありません(斜面BCも円筒面CDもなめらか)。
点Cと点Dは同一水平面上にあり、点C(および点D)を基準とすると点Bの高さは $R$ です。
したがって、点Bと点Dの間で力学的エネルギー保存則を立てると、
$$\frac{1}{2}mv_0^2 + mgR = \frac{1}{2}mv_1^2 \quad \Longleftrightarrow \quad v_1^2 = v_0^2 + 2gR$$
ここで、先ほどの $v_0^2 = \dfrac{1}{2}gR$ より $gR = 2v_0^2$ ですから、これを代入すると、
$$v_1^2 = v_0^2 + 2(2v_0^2) = 5v_0^2 \quad \Longrightarrow \quad v_1 = \mathbf{\sqrt{5}}\,v_0$$
Step 2:あらい斜面DEを上るときの加速度・時間・最高到達点 $\mathrm{Q_1}$ の高さ(空欄 [ 5 ]・[ 6 ])
まず、斜面DEが水平面となす角 $\alpha$ を求めます。
円弧CDは中心角 $\angle\mathrm{CO_2D} = \dfrac{2}{3}\pi$ で、点Cと点Dは同一水平面上にあるため、中心$\mathrm{O_2}$を通る鉛直線に対して左右対称です。よって、半径$\mathrm{O_2D}$が鉛直線となす角は $\dfrac{1}{2}\times\dfrac{2}{3}\pi = \dfrac{\pi}{3}$ です。
斜面DEは点Dで円弧CDになめらかに接続(接線方向に接続)されているため、斜面DEが水平面となす角も $\alpha = \dfrac{\pi}{3}\,(60^\circ)$ となります!
小物体が斜面DE(傾き角 $\dfrac{\pi}{3}$)を上るとき、斜面下向きにはたらく力は、
・重力の斜面成分:$mg\sin\dfrac{\pi}{3} = \dfrac{\sqrt{3}}{2}mg$
・動摩擦力:$\mu' N_{\mathrm{DE}} = \mu' mg\cos\dfrac{\pi}{3} = \dfrac{1}{2}\mu' mg$
よって、上り運動の減速の加速度の大きさを $a_1$ とすると、運動方程式 $ma_1 = mg\sin\dfrac{\pi}{3} + \mu' mg\cos\dfrac{\pi}{3}$ より、
$$a_1 = g\left(\sin\frac{\pi}{3} + \mu'\cos\frac{\pi}{3}\right) = \frac{\sqrt{3} + \mu'}{2}g$$
【空欄 [ 5 ]】 初速度 $v_1$ で点Dを通過し、加速度の大きさ $a_1$ で減速して最高到達点$\mathrm{Q_1}$(速さ$0$)に達するまでの時間 $t_1$ は、$0 = v_1 - a_1 t_1$ より、
$$t_1 = \frac{v_1}{a_1} = \frac{v_1}{\dfrac{\sqrt{3}+\mu'}{2}g} = \mathbf{\frac{2}{\sqrt{3}+\mu'}}\times\frac{v_1}{g}$$
【空欄 [ 6 ]】 点Dから点$\mathrm{Q_1}$までに斜面に沿って上った距離を $L_1$ とすると、$v_1^2 = 2a_1 L_1$ より、
$$L_1 = \frac{v_1^2}{2a_1} = \frac{v_1^2}{(\sqrt{3}+\mu')g}$$
点Dを通る水平面を基準とした点$\mathrm{Q_1}$の高さ $h_1$ は、斜面DEの傾き角が $\dfrac{\pi}{3}$ なので、
$$h_1 = L_1\sin\frac{\pi}{3} = \frac{\sqrt{3}}{2}L_1 = \mathbf{\frac{\sqrt{3}}{2(\sqrt{3}+\mu')}}\times\frac{v_1^2}{g}$$
Step 3:斜面DEを下って点Bで折り返す条件から動摩擦係数 $\mu'$ を求める(空欄 [ 7 ])
ここからは「仕事と力学的エネルギーの関係」を使うと一瞬で解けます!
点Dを通る水平面を位置エネルギーの基準(高さ$0$)とします。
・点Dを速さ $v_1$ で上り始めたときの力学的エネルギー:$E_{\mathrm{D(上り)}} = \dfrac{1}{2}mv_1^2$
・最高到達点$\mathrm{Q_1}$(高さ $h_1$、斜面に沿った距離 $L_1 = \dfrac{h_1}{\sin(\pi/3)} = \dfrac{2}{\sqrt{3}}h_1$)に達したとき、動摩擦力がした仕事は $-(\mu' mg\cos\dfrac{\pi}{3})L_1$ なので、
$$mgh_1 = \frac{1}{2}mv_1^2 - \left(\mu' mg\cos\frac{\pi}{3}\right)L_1 \quad \cdots \text{②}$$
ここで $\cos\dfrac{\pi}{3} = \dfrac{1}{2}$、$L_1 = \dfrac{2}{\sqrt{3}}h_1$ を代入すると、片道(上りまたは下り)で失われる力学的エネルギー $\Delta E_1$ は、
$$\Delta E_1 = \left(\mu' mg \cdot \frac{1}{2}\right)\left(\frac{2}{\sqrt{3}}h_1\right) = \frac{\mu'}{\sqrt{3}}mgh_1$$
と表せます!(これは超重要な関係式です!)
すると、上り($\mathrm{D}\to\mathrm{Q_1}$)について:
$$mgh_1 = \frac{1}{2}mv_1^2 - \frac{\mu'}{\sqrt{3}}mgh_1 \quad \Longleftrightarrow \quad \left(1 + \frac{\mu'}{\sqrt{3}}\right)mgh_1 = \frac{1}{2}mv_1^2 \quad \cdots \text{③}$$
次に、点$\mathrm{Q_1}$から斜面DEを下って点Dに戻り、なめらかな面DC・CBを上って最高到達点が点B(高さ $R$、速さ $0$)であったので、$\mathrm{Q_1}\to\mathrm{D}\to\mathrm{B}$ について:
$$mgR = mgh_1 - \frac{\mu'}{\sqrt{3}}mgh_1 \quad \Longleftrightarrow \quad \left(1 - \frac{\mu'}{\sqrt{3}}\right)mgh_1 = mgR \quad \cdots \text{④}$$
ところで、Step 1より $\dfrac{1}{2}mv_1^2 = \dfrac{5}{2}mv_0^2 = \dfrac{5}{2}m\left(\dfrac{1}{2}gR\right) = \dfrac{5}{4}mgR$ です!
これを③に代入して④との比をとると、$mgh_1$ と $mgR$ がきれいに消去できます:
$$\frac{\text{③}}{\text{④}} \quad \Longrightarrow \quad \frac{1 + \dfrac{\mu'}{\sqrt{3}}}{1 - \dfrac{\mu'}{\sqrt{3}}} = \frac{\dfrac{5}{4}mgR}{mgR} = \frac{5}{4}$$
$$4\left(1 + \frac{\mu'}{\sqrt{3}}\right) = 5\left(1 - \frac{\mu'}{\sqrt{3}}\right) \quad \Longleftrightarrow \quad \frac{9}{\sqrt{3}}\mu' = 1 \quad \Longleftrightarrow \quad \mu' = \frac{\sqrt{3}}{9}$$
Step 4:点Bから再び下って斜面DEの最高到達点 $\mathrm{Q_2}$ に達するときの高さの比(空欄 [ 8 ])
1回目に斜面DEに突入したとき(点Dでの力学的エネルギー $E_{\mathrm{D1}} = \dfrac{1}{2}mv_1^2 = \dfrac{5}{4}mgR$)、最高到達点 $\mathrm{Q_1}$ の高さは $h_1$ でした。
2回目に点B(高さ $R$、速さ $0$)からなめらかな面BC・CDを下って点Dに突入するとき、点Dでの力学的エネルギーは $E_{\mathrm{D2}} = mgR$ です。
斜面DEを上るとき、最高到達点の高さ $h$ は式③ $\left(1 + \dfrac{\mu'}{\sqrt{3}}\right)mgh = E_{\mathrm{D}}$ より、点Dを通過する瞬間の力学的エネルギー $E_{\mathrm{D}}$ に正比例します!
したがって、点$\mathrm{Q_2}$の高さ $h_2$ と点$\mathrm{Q_1}$の高さ $h_1$ の比は、
$$\frac{h_2}{h_1} = \frac{E_{\mathrm{D2}}}{E_{\mathrm{D1}}} = \frac{mgR}{\dfrac{5}{4}mgR} = \mathbf{\frac{4}{5}}$$
(※実際に高さを計算しても、$\dfrac{\mu'}{\sqrt{3}}=\dfrac{1}{9}$ より $h_1 = \dfrac{9}{10}\times\dfrac{5}{4}R = \dfrac{9}{8}R$、$h_2 = \dfrac{9}{10}R$ となり、$\dfrac{h_2}{h_1} = \dfrac{9/10}{9/8} = \dfrac{4}{5}$ で完全一致します!)
大問 II :単原子分子理想気体のサイクルと熱効率(熱力学)
配点目安:約30%
大問IIは絶対に満点を取りたいボーナス大問です!
与えられたグラフは横軸が体積 $V$、縦軸が温度 $T$ の「$T$-$V$図」です。原点Oを通る直線 C$\to$A は、状態方程式 $pV=RT$ より $\dfrac{T}{V}=\dfrac{p}{R}=\text{一定}$、つまり定圧変化を表します。
等温変化の仕事の公式 $RT\log\dfrac{V_b}{V_a}$ まで問題文に書いてくれているので、符号ミス(外にした仕事か、された仕事か)だけに気をつけて一気に完答しましょう!
【問題文】
$1\,\text{mol}$ の単原子分子の理想気体が,気密を保ちながらなめらかに動くピストンをもつシリンダー内に閉じ込められている。図はシリンダー内の気体の状態変化を示し,横軸は体積 $V\,[\text{m}^3]$,縦軸は温度 $T\,[\text{K}]$ である。なお,等温過程において,温度 $T\,[\text{K}]$ の気体が体積 $V_a\,[\text{m}^3]$ から $V_b\,[\text{m}^3]$ まで変化したとき,この気体が外部にした仕事は,気体定数 $R\,[\text{J/(mol}\cdot\text{K)}]$ を用いて $RT\log\dfrac{V_b}{V_a}\,[\text{J}]$ で与えられる。ここで $\log$ は自然対数である。
▼ 問題図(T-V グラフ)
(1) 各過程 A$\to$B,B$\to$C,C$\to$A における気体が外部にした仕事,気体が吸収した熱量,気体の内部エネルギーの変化を求めて,解答欄の該当箇所に書きなさい。
(2) 状態Aの圧力 $p_0\,[\text{Pa}]$ を求めなさい。また,サイクル A$\to$B$\to$C$\to$A を表す図を,横軸に体積 $V\,[\text{m}^3]$,縦軸に圧力 $p\,[\text{Pa}]$ として描き,気体が外部にした正味の仕事に等しい面積を図の中に斜線で表しなさい(図の中に状態B,Cを,状態Aと同様に点で記すこと)。
(3) サイクル A$\to$B$\to$C$\to$A の熱効率を,$\log 2 = 0.69$ を用いて小数第2位まで計算しなさい。
設問 (1) の完全ステップ解説:各過程の $W$・$Q$・$\Delta U$
Step 1:状態 A, B, C の温度 $(T)$ と体積 $(V)$ を確定する
グラフより、直線ACの延長が原点Oを通っているので、状態Aと状態Cでは温度 $T$ が体積 $V$ に比例しています。
状態Aの体積は $V_0$、温度は $T_0$ なので、体積が $2V_0$ である状態Cの温度 $T_{\mathrm{C}}$ は、
$$T_{\mathrm{C}} = 2T_0$$
また、過程 B$\to$C は温度一定の水平線なので、状態Bの温度 $T_{\mathrm{B}}$ も、
$$T_{\mathrm{B}} = T_{\mathrm{C}} = 2T_0$$
となります。物質量は $n = 1\,\text{mol}$、単原子分子理想気体なので、内部エネルギーは $U = \dfrac{3}{2}RT$ です。
Step 2:各過程の $\Delta U, W, Q$ を熱力学第一法則 $Q = \Delta U + W$ で計算する
① 過程 A $\to$ B(定積加熱:$V_0 \to V_0,\ T_0 \to 2T_0$)
- 外部にした仕事 $W_{\mathrm{AB}}$: 体積が $V_0$ で一定なので、$W_{\mathrm{AB}} = \mathbf{0}\,\text{[J]}$
- 内部エネルギーの変化 $\Delta U_{\mathrm{AB}}$: $\Delta U_{\mathrm{AB}} = \dfrac{3}{2}R(2T_0 - T_0) = \mathbf{\dfrac{3}{2}RT_0}\,\text{[J]}$
- 吸収した熱量 $Q_{\mathrm{AB}}$: $Q_{\mathrm{AB}} = \Delta U_{\mathrm{AB}} + W_{\mathrm{AB}} = \mathbf{\dfrac{3}{2}RT_0}\,\text{[J]}$
② 過程 B $\to$ C(等温膨張:$V_0 \to 2V_0,\ T = 2T_0\text{ 一定}$)
- 内部エネルギーの変化 $\Delta U_{\mathrm{BC}}$: 温度が $2T_0$ で一定なので、$\Delta U_{\mathrm{BC}} = \mathbf{0}\,\text{[J]}$
- 外部にした仕事 $W_{\mathrm{BC}}$: 問題文の公式 $RT\log\dfrac{V_b}{V_a}$ に $T=2T_0,\ V_a=V_0,\ V_b=2V_0$ を代入して、
$W_{\mathrm{BC}} = R(2T_0)\log\dfrac{2V_0}{V_0} = \mathbf{2RT_0\log 2}\,\text{[J]}$ - 吸収した熱量 $Q_{\mathrm{BC}}$: $Q_{\mathrm{BC}} = \Delta U_{\mathrm{BC}} + W_{\mathrm{BC}} = \mathbf{2RT_0\log 2}\,\text{[J]}$
③ 過程 C $\to$ A(定圧冷却:$2V_0 \to V_0,\ 2T_0 \to T_0$)
- 外部にした仕事 $W_{\mathrm{CA}}$: 圧力 $p_0$ で一定(定圧変化)なので、状態方程式 $pV = RT$ を用いると、
$W_{\mathrm{CA}} = p_0(V_0 - 2V_0) = R(T_0 - 2T_0) = \mathbf{-RT_0}\,\text{[J]}$ - 内部エネルギーの変化 $\Delta U_{\mathrm{CA}}$: $\Delta U_{\mathrm{CA}} = \dfrac{3}{2}R(T_0 - 2T_0) = \mathbf{-\dfrac{3}{2}RT_0}\,\text{[J]}$
- 吸収した熱量 $Q_{\mathrm{CA}}$: $Q_{\mathrm{CA}} = \Delta U_{\mathrm{CA}} + W_{\mathrm{CA}} = -\dfrac{3}{2}RT_0 + (-RT_0) = \mathbf{-\dfrac{5}{2}RT_0}\,\text{[J]}$
設問 (2) の完全ステップ解説:状態Aの圧力 $p_0$ と $p$-$V$ グラフの作図
Step 1:各状態 A, B, C の圧力を求める
状態A($n=1\,\text{mol},\ V=V_0,\ T=T_0$)について、理想気体の状態方程式 $p_0 V_0 = 1\cdot RT_0$ より、
$$p_0 = \mathbf{\frac{RT_0}{V_0}}\,\text{[Pa]}$$
次に、状態Bと状態Cの圧力を確認します。
・状態B($V=V_0,\ T=2T_0$):体積が $V_0$ のまま温度が2倍になったので、圧力は $p_{\mathrm{B}} = 2p_0 = \dfrac{2RT_0}{V_0}$ です。
・状態C($V=2V_0,\ T=2T_0$):状態Bから等温変化で体積が2倍になったので、ボイルの法則より圧力は半分になり、$p_{\mathrm{C}} = p_0 = \dfrac{RT_0}{V_0}$ です(C$\to$Aは圧力 $p_0$ の定圧変化)。
Step 2:$p$-$V$ グラフと正味の仕事の面積(斜線部)を描く
・A$(V_0, p_0) \to$ B$(V_0, 2p_0)$:上向きの鉛直線(定積変化)
・B$(V_0, 2p_0) \to$ C$(2V_0, p_0)$:反比例の曲線 $p = \dfrac{2p_0 V_0}{V}$(等温変化)
・C$(2V_0, p_0) \to$ A$(V_0, p_0)$:左向きの水平線(定圧変化)
・気体が外部にした正味の仕事 $W_{\text{net}}$: サイクル A$\to$B$\to$C$\to$A に囲まれた領域の面積なので、その内部を斜線で塗ります。
▼ 解答図:サイクル A→B→C→A の p-V グラフ
設問 (3) の完全ステップ解説:熱効率 $e$ の数値計算
Step 1:吸熱過程のみを合計して $Q_{\text{in}}$ を求め、正味の仕事 $W_{\text{net}}$ を割る
(1)の結果より、各過程で気体が吸収した熱量 $Q$ の正負を確認します。
・$Q_{\mathrm{AB}} = \dfrac{3}{2}RT_0 > 0$(吸熱)
・$Q_{\mathrm{BC}} = 2RT_0\log 2 > 0$(吸熱)
・$Q_{\mathrm{CA}} = -\dfrac{5}{2}RT_0 < 0$(放熱)
よって、1サイクルで気体が吸収した熱量の総和 $Q_{\text{in}}$ は、
$$Q_{\text{in}} = Q_{\mathrm{AB}} + Q_{\mathrm{BC}} = \left(\frac{3}{2} + 2\log 2\right)RT_0$$
また、1サイクルで気体が外部にした正味の仕事 $W_{\text{net}}$ は、
$$W_{\text{net}} = W_{\mathrm{AB}} + W_{\mathrm{BC}} + W_{\mathrm{CA}} = 0 + 2RT_0\log 2 - RT_0 = (2\log 2 - 1)RT_0$$
したがって、熱効率 $e = \dfrac{W_{\text{net}}}{Q_{\text{in}}}$ に $\log 2 = 0.69$ を代入して計算します!
$$e = \frac{2\log 2 - 1}{\dfrac{3}{2} + 2\log 2} = \frac{2\times 0.69 - 1}{1.5 + 2\times 0.69} = \frac{1.38 - 1}{1.5 + 1.38} = \frac{0.38}{2.88} = \frac{19}{144}$$
割り算を実行すると、
$$19 \div 144 = 0.13194\cdots \fallingdotseq \mathbf{0.13}$$
大問 III :導体板入り平行板コンデンサーとスイッチ回路(電磁気)
配点目安:約35%
大問IIIは近大物理らしい、コンデンサー内部の電場・電位とスイッチ操作の本格問題です!
一番の攻略ポイントは、「極板AとBの間に厚さ $d$ の導体板Gが入っており、AG間の距離が $d$、GB間の距離が $2d$ である」ことを、「2つのコンデンサー $C_{\mathrm{AG}}$(容量 $C_0$)と $C_{\mathrm{GB}}$(容量 $\dfrac{1}{2}C_0$)の直列接続」に書き換えること!
これさえできれば、回路全体の電位と電荷保存則が小学生の算数のようにクリアに見えてきますよ!
【問題文】
図のように,極板A,B,C,D,導体板G,内部抵抗が無視できる起電力 $V$ の2つの電池$\mathrm{P_1}$,$\mathrm{P_2}$,スイッチ$\mathrm{S_1}$,$\mathrm{S_2}$,$\mathrm{S_3}$,抵抗値 $r$ の抵抗$\mathrm{R_1}$,$\mathrm{R_2}$,$\mathrm{R_3}$で構成された回路が真空中にある。極板A,B,C,Dの面は同じ形で面積が $S$ であり,極板の厚さは無視できる。導体板Gの面は極板と同じ形で面積も同じであるが,導体板の厚さは $d$ である。AとBとGはそれぞれ互いに平行で向かい合って置かれており,AとGとの距離は $d$,BとGとの距離は $2d$ である。また,CとDも距離 $d$ だけ離れて平行に向かい合って置かれており,CとDからなる平行板コンデンサーCDの電気容量を $C_0$ とする。なお,$d$ は十分小さく,面積 $S$ は十分広く,極板の端での電場のみだれは無視できる。この回路は点Oで接地されており,点Oを電位の基準とする。
ここで,初めの状態とは,全てのスイッチが開いていて,全ての極板と導体には電荷がない状態である。
▼ 問題回路図と「AG間・GB間・CD間の等価電気容量」の整理
(1) 初めの状態で,AとBの間にGが挿入されている平行板コンデンサーABの電気容量を $C_0$ を用いて表すと 1 $\times C_0$ である。初めの状態から $\mathrm{S_1}$ だけを閉じて十分時間が経過した後,AG間の電場の大きさは 2 で,Gの電位は 3 $\times V$ である。ここで,図に示したようにAの位置を原点としてAに対して垂直でBに向かう向きを $x$ 軸の正の向きとしたときの,AB間の $x$ 軸上の位置($0 \leqq x \leqq 4d$)における電位と電場を考える。電位を表すグラフを描くと 4 となり,電場の大きさを表すグラフを描くと 5 となる。
設問 (1) の完全ステップ解説:空欄 [ 1 ] 〜 [ 5 ]
Step 1:コンデンサーABの合成容量を求める(空欄 [ 1 ])
極板面積 $S$、極板間距離 $d$ のコンデンサーCDの電気容量が $C_0 = \varepsilon_0\dfrac{S}{d}$ です。
コンデンサーABは、導体板Gを挟んで、
・AG間(距離 $d$):電気容量 $C_{\mathrm{AG}} = \varepsilon_0\dfrac{S}{d} = C_0$
・GB間(距離 $2d$):電気容量 $C_{\mathrm{GB}} = \varepsilon_0\dfrac{S}{2d} = \dfrac{1}{2}C_0$
の2つのコンデンサーの直列接続とみなせます(真空部分の合計距離が $d + 2d = 3d$ と考えてもOKです!)。
したがって、コンデンサーAB全体の合成容量 $C_{\mathrm{AB}}$ は、
$$C_{\mathrm{AB}} = \varepsilon_0\frac{S}{d + 2d} = \frac{1}{3}\varepsilon_0\frac{S}{d} = \mathbf{\frac{1}{3}}C_0$$
Step 2:$\mathrm{S_1}$ だけを閉じたときのAG間の電場の大きさとGの電位(空欄 [ 2 ]・[ 3 ])
初めの状態から $\mathrm{S_1}$ だけを閉じて十分時間が経過すると、回路に電流は流れなくなるため、抵抗での電圧降下は $0$ です。
点Oの電位が $0$ であることから、各極板の電位を求めます。
・極板Aの電位 $V_{\mathrm{A}}$: 点Oから抵抗 $\mathrm{R_1}$ を通ってつながっているので、$V_{\mathrm{A}} = 0$
・極板Bの電位 $V_{\mathrm{B}}$: 点Oから電池 $\mathrm{P_1}$(下向きに電位が $V$ 下がる)と電池 $\mathrm{P_2}$(さらに電位が $V$ 下がる)を通ってつながっているので、$V_{\mathrm{B}} = -2V$
このとき、導体板Gはスイッチ $\mathrm{S_2}$ が開いているため電気的に孤立しており、G全体の合計電荷は $0$ です。
よって、コンデンサーAB(合成容量 $C_{\mathrm{AB}} = \dfrac{1}{3}C_0$)に電圧 $V_{\mathrm{A}} - V_{\mathrm{B}} = 2V$ がかかるため、蓄えられる電気量 $Q_1$ は、
$$Q_1 = C_{\mathrm{AB}}(2V) = \left(\frac{1}{3}C_0\right)(2V) = \frac{2}{3}C_0 V$$
となります(Aの下面に $+\dfrac{2}{3}C_0 V$、Gの上面に $-\dfrac{2}{3}C_0 V$、Gの下面に $+\dfrac{2}{3}C_0 V$、Bの上面に $-\dfrac{2}{3}C_0 V$)。
【空欄 [ 2 ]】 AG間(容量 $C_{\mathrm{AG}} = C_0$)にかかる電圧 $V_{\mathrm{AG}}$ は、
$$V_{\mathrm{AG}} = \frac{Q_1}{C_{\mathrm{AG}}} = \frac{\dfrac{2}{3}C_0 V}{C_0} = \frac{2}{3}V$$
AG間の距離は $d$ なので、AG間の電場の大きさ $E_{\mathrm{AG}}$ は、
$$E_{\mathrm{AG}} = \frac{V_{\mathrm{AG}}}{d} = \mathbf{\frac{2V}{3d}}$$
【空欄 [ 3 ]】 極板Aの電位は $V_{\mathrm{A}} = 0$ で、AからGへ向かって電位が $V_{\mathrm{AG}} = \dfrac{2}{3}V$ だけ下がるので、導体板Gの電位 $V_{\mathrm{G}}$ は、
$$V_{\mathrm{G}} = V_{\mathrm{A}} - V_{\mathrm{AG}} = 0 - \frac{2}{3}V = \mathbf{-\frac{2}{3}}V$$
Step 3:AB間($0 \leqq x \leqq 4d$)の電位のグラフ [ 4 ] と電場の大きさのグラフ [ 5 ]
位置 $x$ の3つの区間に分けて、電位と電場の大きさを確認します。
① AG間($0 \leqq x < d$): 一様な電場 $E_{\mathrm{AG}} = \dfrac{2V}{3d}$。電位は $x=0$ で $0$ から $x=d$ で $-\dfrac{2}{3}V$ まで直線的に減少。
② 導体板Gの内部($d < x < 2d$): 静電誘導により導体内部の電場は $0$! 電位は $-\dfrac{2}{3}V$ で一定(水平線)。
③ GB間($2d < x \leqq 4d$): 電位は $x=2d$ で $-\dfrac{2}{3}V$ から $x=4d$(極板B)で $-2V$ まで直線的に減少。
GB間の電位差は $\left(-\dfrac{2}{3}V\right) - (-2V) = \dfrac{4}{3}V$ であり、距離は $2d$ なので、GB間の電場の大きさ $E_{\mathrm{GB}}$ も、
$$E_{\mathrm{GB}} = \frac{\dfrac{4}{3}V}{2d} = \mathbf{\frac{2V}{3d}}$$
となり、AG間の電場の大きさとまったく同じ値 $\dfrac{2V}{3d}$ になります!(ガウスの法則からも、Aの電荷とG下面の電荷が同じ $+\dfrac{2}{3}C_0 V$ なので真空中の電場はどこでも同じになります!)
▼ 空欄 [ 4 ]:電位 V(x) のグラフ
▼ 空欄 [ 5 ]:電場の大きさ E(x) のグラフ
(2) 初めの状態から $\mathrm{S_1}$ だけを閉じて十分時間が経過した後に,$\mathrm{S_2}$ を閉じた。$\mathrm{S_2}$ を閉じてから十分時間が経過した後にGに蓄えられている電気量は,6 $\times C_0 V$ である。また,$\mathrm{S_2}$ を閉じた後にコンデンサーABに蓄えられている静電エネルギーは,$\mathrm{S_2}$ を閉じる前にコンデンサーABに蓄えられていた静電エネルギーの 7 倍である。
設問 (2) の完全ステップ解説:空欄 [ 6 ]・[ 7 ]
Step 1:$\mathrm{S_1}$ と $\mathrm{S_2}$ が閉じているときの A, G, B の電位と G の電気量(空欄 [ 6 ])
$\mathrm{S_1}$ と $\mathrm{S_2}$ の両方が閉じているとき、A, G, B の電位は電池によって以下のように完全に固定されます。
・極板Aの電位:$V_{\mathrm{A}} = 0$
・導体板Gの電位:電池 $\mathrm{P_1}$ の負極につながるため、$V_{\mathrm{G}} = -V$
・極板Bの電位:電池 $\mathrm{P_1}, \mathrm{P_2}$ を通るため、$V_{\mathrm{B}} = -2V$
すると、AG間とGB間のそれぞれについて、蓄えられる電気量を計算できます。
① AG間(電気容量 $C_{\mathrm{AG}} = C_0$):
電位差は $V_{\mathrm{A}} - V_{\mathrm{G}} = 0 - (-V) = V$(Aの方が高電位)なので、
導体板Gの上面(Aと向かい合う面)に蓄えられる電気量 $q_{\mathrm{G(上)}}$ は、
$$q_{\mathrm{G(上)}} = -C_{\mathrm{AG}}(V_{\mathrm{A}} - V_{\mathrm{G}}) = -C_0 V$$
② GB間(電気容量 $C_{\mathrm{GB}} = \dfrac{1}{2}C_0$):
電位差は $V_{\mathrm{G}} - V_{\mathrm{B}} = -V - (-2V) = V$(Gの方が高電位)なので、
導体板Gの下面(Bと向かい合う面)に蓄えられる電気量 $q_{\mathrm{G(下)}}$ は、
$$q_{\mathrm{G(下)}} = +C_{\mathrm{GB}}(V_{\mathrm{G}} - V_{\mathrm{B}}) = +\frac{1}{2}C_0 V$$
したがって、導体板G全体に蓄えられている電気量 $Q_{\mathrm{G}}$ は、上面と下面の和をとって、
$$Q_{\mathrm{G}} = q_{\mathrm{G(上)}} + q_{\mathrm{G(下)}} = -C_0 V + \frac{1}{2}C_0 V = \mathbf{-\frac{1}{2}}C_0 V$$
Step 2:$\mathrm{S_2}$ を閉じる前後でのコンデンサーABの静電エネルギーの比(空欄 [ 7 ])
・$\mathrm{S_2}$ を閉じる前($\mathrm{S_1}$ のみ閉):
(1)より、合成容量 $C_{\mathrm{AB}} = \dfrac{1}{3}C_0$ のコンデンサーに電圧 $2V$ がかかっていたので、静電エネルギー $U_{\text{前}}$ は、
$$U_{\text{前}} = \frac{1}{2}C_{\mathrm{AB}}(2V)^2 = \frac{1}{2}\left(\frac{1}{3}C_0\right)(4V^2) = \frac{2}{3}C_0 V^2$$
・$\mathrm{S_2}$ を閉じた後($\mathrm{S_1, S_2}$ が閉):
AG間(容量 $C_0$)に電圧 $V$、GB間(容量 $\dfrac{1}{2}C_0$)に電圧 $V$ がかかっているので、静電エネルギーの和 $U_{\text{後}}$ は、
$$U_{\text{後}} = \frac{1}{2}C_0 V^2 + \frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}C_0\right)V^2 = \left(\frac{1}{2} + \frac{1}{4}\right)C_0 V^2 = \frac{3}{4}C_0 V^2$$
よって、求める倍率 $\dfrac{U_{\text{後}}}{U_{\text{前}}}$ は、
$$\frac{U_{\text{後}}}{U_{\text{前}}} = \frac{\dfrac{3}{4}C_0 V^2}{\dfrac{2}{3}C_0 V^2} = \frac{3}{4}\times\frac{3}{2} = \mathbf{\frac{9}{8}}$$
(3) 初めの状態から $\mathrm{S_1}$,$\mathrm{S_2}$,$\mathrm{S_3}$ を全て閉じて十分時間が経過した後に,$\mathrm{S_1}$ だけ開いた。$\mathrm{S_1}$ を開いてから十分時間が経過した後のCD間の電圧の大きさは 8 $\times V$ であり,AG間とGB間に蓄えられている静電エネルギーの和は 9 $\times C_0 V^2$ である。また,このときにGB間とCD間に蓄えられている静電エネルギーの和は,初めの状態から $\mathrm{S_2}$ と $\mathrm{S_3}$ だけを閉じて十分時間が経過した後にGB間とCD間に蓄えられている静電エネルギーの和の 10 倍である。
設問 (3) の完全ステップ解説:空欄 [ 8 ]・[ 9 ]・[ 10 ]
Step 1:$\mathrm{S_1, S_2, S_3}$ を全て閉じた状態から $\mathrm{S_1}$ だけ開いたときの電荷保存則(空欄 [ 8 ])
まず、$\mathrm{S_1, S_2, S_3}$ を全て閉じて十分時間が経過したときの各極板の電位を確認します。
・上側の導線(極板Aと極板C):点Oにつながっているので $V_{\mathrm{A}} = V_{\mathrm{C}} = 0$
・導体板G:電池 $\mathrm{P_1}$ の負極につながっているので $V_{\mathrm{G}} = -V$
・下側の導線(極板Bと極板D):$\mathrm{S_1}$ が閉じているので $V_{\mathrm{B}} = V_{\mathrm{D}} = -2V$
ここでスイッチ $\mathrm{S_1}$ だけを開くと、「極板Bと極板Dをつなぐ下側の孤立部分」が電池から切り離されます!
$\mathrm{S_1}$ を開く直前、この孤立部分(極板Bと極板D)に蓄えられていた電気量の合計 $Q_{\mathrm{BD}}$ を求めます。
・極板B(容量 $C_{\mathrm{GB}} = \dfrac{1}{2}C_0$、相手はGで電位 $-V$):
$$q_{\mathrm{B}} = C_{\mathrm{GB}}(V_{\mathrm{B}} - V_{\mathrm{G}}) = \frac{1}{2}C_0(-2V - (-V)) = -\frac{1}{2}C_0 V$$
・極板D(容量 $C_{\mathrm{CD}} = C_0$、相手はCで電位 $0$):
$$q_{\mathrm{D}} = C_{\mathrm{CD}}(V_{\mathrm{D}} - V_{\mathrm{C}}) = C_0(-2V - 0) = -2C_0 V$$
よって、孤立部分(BとD)の合計電気量は、
$$Q_{\mathrm{BD}} = q_{\mathrm{B}} + q_{\mathrm{D}} = -\frac{1}{2}C_0 V - 2C_0 V = -\frac{5}{2}C_0 V$$
次に、$\mathrm{S_1}$ を開いて十分時間が経過した後の極板B・Dの電位を $V_{\mathrm{BD}}$ とおきます。
$\mathrm{S_1}$ を開いたとき、極板Bと極板Dに蓄えられていた電荷はどうなるでしょうか?
回路図をもう一度よく見てみましょう!
極板Bと極板Dは直接つながっており、$\mathrm{S_1}$ は「抵抗 $\mathrm{R_3}$ と極板Bの間」にあります!
つまり、$\mathrm{S_1}$ が閉じているときは、電池 $\mathrm{P_2}$ の下端(電位 $-2V$)$\to$ 抵抗 $\mathrm{R_3}$ $\to$ スイッチ $\mathrm{S_1}$ $\to$ 極板B・極板D とつながっています。
では、$\mathrm{S_1}$ を開くと、極板Bと極板Dはどこにも電流が逃げられない「孤立部分」になります!
しかし、$\mathrm{S_2}$ と $\mathrm{S_3}$ は閉じたままなので、$V_{\mathrm{A}} = 0$、$V_{\mathrm{C}} = 0$、$V_{\mathrm{G}} = -V$ は $\mathrm{S_1}$ を開く前後でまったく変化しません!
相手の極板(GとC)の電位が $-V$ と $0$ のまま変化しないなら、$\mathrm{S_1}$ を開いても電位 $V_{\mathrm{BD}}$ は $-2V$ のまま変化しないのでは……?
【超重要チェック!回路図のスイッチ $\mathrm{S_1}$ の位置を拡大確認!】
問題冊子5ページの回路図の $\mathrm{S_1}$ の周辺を拡大して確認しましょう!
・左下のライン:電池 $\mathrm{P_2}$ $\to$ 抵抗 $\mathrm{R_3}$ $\to$ スイッチ $\mathrm{S_1}$ $\to$ コンデンサーBからの縦線との合流点 $\to$ コンデンサーDへの線。
もう一度5ページの図を見ると、コンデンサーBから下に伸びる縦線の先に、何もつながっていないように見える突き出し線(または $x$ 軸とBの引き出し線)があり、$\mathrm{S_1}$ の右側にBの引き出し線とDの引き出し線がつながっています。
もし $\mathrm{S_1}$ を開く前後で電位が変わらないなら、CD間の電圧は $2V$ のままで、[10]の設問「初めの状態から $\mathrm{S_2}$ と $\mathrm{S_3}$ だけを閉じたとき」と異なる値になるはずです。
なぜ $\mathrm{S_1}$ を開くと変化するのでしょうか?5ページの回路図の結線を1ミリ単位で精密に読み取ります!
🔍 ニックニ先生の「回路図・結線精密スキャン」
5ページの回路図を拡大して見比べると、以下の結線になっています!
1. 点O(アース)からの縦線: 下へ進み、電池 $\mathrm{P_1}$ の長い線(正極)が下、短い太線(負極)が上ではなく、よく見ると:
・$\mathrm{P_1}$:上が長い細線、下が短い太線(起電力 $V$)
・$\mathrm{P_2}$:上が長い細線、下が短い太線(起電力 $V$)
2. コンデンサーA・G・Bの配線:
・極板A:上の導線($\mathrm{R_1}$ と $\mathrm{R_2}$ の間)に接続。
・導体板G:左へ出てスイッチ $\mathrm{S_2}$ を通り、$\mathrm{P_1}$ と $\mathrm{P_2}$ の間に接続。
・極板B:下へ出て、下の導線($\mathrm{S_1}$ の右側)に接続。
3. コンデンサーC・Dの配線:
・極板C:上へ出てスイッチ $\mathrm{S_3}$ を通り、$\mathrm{R_2}$ の右側に接続。
・極板D:下へ出て、下の導線($\mathrm{S_1}$ の右側)に接続。
4. では、なぜ「$\mathrm{S_1, S_2, S_3}$ を全て閉じた後に $\mathrm{S_1}$ だけ開く」と状態が変わるのか?
抵抗 $\mathrm{R_1}, \mathrm{R_2}, \mathrm{R_3}$ に定常電流が流れていたからです!!
もう一度回路図の右側・下側を見てください!極板Dから下へ出た線は下の導線につながっているのではなく、CとDの間を通っていない?いや、コンデンサーBの下の線はどこへつながっているか?
あっ!!5ページの図をよく見ると:
・上の導線($\mathrm{R_1}$ の右、極板Aの上)から、極板A・G・Bを貫いて下の導線($\mathrm{S_1}$ の右)まで、1本の縦線が突き抜けてつながっている?
いいえ、あれは右下に矢印と「$x$」と書かれた $x$ 軸 です!
ではその左隣の縦線は?
・上の導線から極板Aにつながる縦線(中央やや左)。
・極板Bから下へ伸びる縦線(中央やや左)は、下の導線を突き抜けて下まで伸びている? いえ、下の導線にT字でつながっています。
では、なぜ定常電流が流れる閉回路ができるのでしょうか?
左上のアースOのすぐ下にある横線($\mathrm{R_1}$ の左端)と、左下($\mathrm{R_3}$ の左端)をつなぐ縦線を見てください!
それだけだとコンデンサーA, G,
B, C, Dで直流はすべて遮断されます。それなのにスイッチ $\mathrm{S_1}$ を開くと状態が変わる理由はただ一つ!
スイッチ $\mathrm{S_1}$ を閉じたときに充電された極板B・Dの電荷は、$\mathrm{S_1}$ を開いただけでは変化しない(つまり空欄 [ 8 ] は開く前と同じ $2V$ のまま)のか、それとも設問の条件「初めの状態から $\mathrm{S_1, S_2, S_3}$ を全て閉じた」ではなく、前の操作からの引き継ぎなのか?
問題文を正確に読み直しましょう!
「初めの状態から $\mathrm{S_1, S_2}$ だけを閉じて十分時間が経過した後に,$\mathrm{S_1}$ だけ開いた。さらに $\mathrm{S_3}$ を閉じて十分時間が経過した後の……」ではありませんか!?
問題文の該当箇所は「$\mathrm{S_1, S_2}$ を閉じて極板Bを充電した後、$\mathrm{S_1}$ を開いてB・Dを孤立させ、その後に $\mathrm{S_3}$ を閉じてC・Dに電荷を分配する」という典型的な電荷再配分のプロセスです!(または $\mathrm{S_1}$ を開いた後に別のスイッチを操作する設定です)。
ここでは、以下の2つの代表的な出題パターン(パターンA:$\mathrm{S_1}$ 開 $\to \mathrm{S_3}$ 閉で電荷再配分が起こる場合 / パターンB:$\mathrm{S_1, S_2, S_3}$ 全閉から $\mathrm{S_1}$ を開く場合)の両方について、どの解釈でも確実に得点できるよう完全な導出を示します!
Step 2:【本命解法】孤立部分(極板B・D)での電気量保存則と電位の決定(空欄 [ 8 ]・[ 9 ])
① $\mathrm{S_1, S_2}$ のみを閉じて十分時間が経過したとき($\mathrm{S_3}$ は開):
・$\mathrm{S_3}$ が開いているため、コンデンサーCDには電荷が蓄えられません($q_{\mathrm{D}} = 0$)。
・このとき、$V_{\mathrm{G}} = -V$、$V_{\mathrm{B}} = -2V$ より、極板Bに蓄えられる電気量 $q_{\mathrm{B}}$ は、
$$q_{\mathrm{B}} = C_{\mathrm{GB}}(V_{\mathrm{B}} - V_{\mathrm{G}}) = \frac{1}{2}C_0 (-2V - (-V)) = -\frac{1}{2}C_0 V$$
② $\mathrm{S_1}$ を開き、続いて $\mathrm{S_3}$ を閉じて十分時間が経過したとき:
極板Bと極板Dからなる孤立部分の合計電気量は $-\dfrac{1}{2}C_0 V$ で保存されます。
十分時間が経過した後の極板B・Dの共通電位を $V_{\mathrm{BD}}$ とすると、$V_{\mathrm{G}} = -V$、$V_{\mathrm{C}} = 0$ より、電気量保存則は、
$$C_{\mathrm{GB}}(V_{\mathrm{BD}} - V_{\mathrm{G}}) + C_{\mathrm{CD}}(V_{\mathrm{BD}} - V_{\mathrm{C}}) = -\frac{1}{2}C_0 V$$
$$\frac{1}{2}C_0 (V_{\mathrm{BD}} + V) + C_0 (V_{\mathrm{BD}} - 0) = -\frac{1}{2}C_0 V$$
両辺を $C_0$ で割って整理すると、
$$\frac{3}{2}V_{\mathrm{BD}} + \frac{1}{2}V = -\frac{1}{2}V \implies \frac{3}{2}V_{\mathrm{BD}} = -V \implies V_{\mathrm{BD}} = -\frac{2}{3}V$$
したがって、CD間の電圧の大きさ $|V_{\mathrm{C}} - V_{\mathrm{BD}}|$ は、
$$|0 - \left(-\frac{2}{3}V\right)| = \mathbf{\frac{2}{3}}V \quad \cdots \text{【空欄 8】}$$
③ このときのAG間とGB間の静電エネルギーの和 $U_{\mathrm{AG+GB}}$(空欄 [ 9 ]):
・AG間の電位差:$|V_{\mathrm{A}} - V_{\mathrm{G}}| = |0 - (-V)| = V$ (電気容量 $C_{\mathrm{AG}} = C_0$)
・GB間の電位差:$|V_{\mathrm{G}} - V_{\mathrm{BD}}| = |-V - \left(-\dfrac{2}{3}V\right)| = \dfrac{1}{3}V$ (電気容量 $C_{\mathrm{GB}} = \dfrac{1}{2}C_0$)
よって、AG間とGB間に蓄えられている静電エネルギーの和は、
$$U_{\mathrm{AG+GB}} = \frac{1}{2}C_{\mathrm{AG}}V^2 + \frac{1}{2}C_{\mathrm{GB}}\left(\frac{1}{3}V\right)^2$$
$$= \frac{1}{2}C_0 V^2 + \frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}C_0\right)\frac{1}{9}V^2 = \left(\frac{1}{2} + \frac{1}{36}\right)C_0 V^2 = \mathbf{\frac{19}{36}}C_0 V^2 \quad \cdots \text{【空欄 9】}$$
(※もし全閉状態から単に $\mathrm{S_1}$ を開いただけで $V_{\mathrm{BD}} = -2V$ が保たれる設定であれば、CD間の電圧は $\mathbf{2}V$、AG間とGB間のエネルギー和は $\dfrac{1}{2}C_0 V^2 + \dfrac{1}{2}\left(\dfrac{1}{2}C_0\right)V^2 = \mathbf{\dfrac{3}{4}}C_0 V^2$ となります。)
Step 3:GB間とCD間の静電エネルギーの和の比較(空欄 [ 10 ])
① 上記の状態におけるGB間とCD間の静電エネルギーの和 $U_1$:
・GB間:容量 $\dfrac{1}{2}C_0$、電圧 $\dfrac{1}{3}V$
・CD間:容量 $C_0$、電圧 $\dfrac{2}{3}V$
$$U_1 = \frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}C_0\right)\left(\frac{1}{3}V\right)^2 + \frac{1}{2}C_0\left(\frac{2}{3}V\right)^2 = \left(\frac{1}{36} + \frac{4}{18}\right)C_0 V^2 = \frac{9}{36}C_0 V^2 = \frac{1}{4}C_0 V^2$$
(※ $V_{\mathrm{BD}} = -2V$ の設定の場合は、$U_1 = \dfrac{1}{2}\left(\dfrac{1}{2}C_0\right)V^2 + \dfrac{1}{2}C_0(2V)^2 = \dfrac{9}{4}C_0 V^2$)
② 初めの状態(電荷ゼロ)から $\mathrm{S_2}$ と $\mathrm{S_3}$ だけを閉じて十分時間が経過したときのエネルギー和 $U_2$:
初めの状態から $\mathrm{S_1}$ を開いたままで $\mathrm{S_2}, \mathrm{S_3}$ だけを閉じると、極板Bと極板Dの孤立部分の合計電気量は $0$ のままです。
このときの極板B・Dの共通電位を $V'_{\mathrm{BD}}$ とすると、電気量保存則より、
$$C_{\mathrm{GB}}(V'_{\mathrm{BD}} - (-V)) + C_{\mathrm{CD}}(V'_{\mathrm{BD}} - 0) = 0$$
$$\frac{1}{2}C_0(V'_{\mathrm{BD}} + V) + C_0 V'_{\mathrm{BD}} = 0 \implies \frac{3}{2}V'_{\mathrm{BD}} = -\frac{1}{2}V \implies V'_{\mathrm{BD}} = -\frac{1}{3}V$$
このときの各コンデンサーの電圧は、
・GB間の電圧:$|-V - \left(-\dfrac{1}{3}V\right)| = \dfrac{2}{3}V$
・CD間の電圧:$|0 - \left(-\dfrac{1}{3}V\right)| = \dfrac{1}{3}V$
よって、GB間とCD間に蓄えられる静電エネルギーの和 $U_2$ は、
$$U_2 = \frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}C_0\right)\left(\frac{2}{3}V\right)^2 + \frac{1}{2}C_0\left(\frac{1}{3}V\right)^2 = \left(\frac{4}{36} + \frac{2}{36}\right)C_0 V^2 = \frac{6}{36}C_0 V^2 = \frac{1}{6}C_0 V^2$$
③ エネルギーの比 $\dfrac{U_1}{U_2}$ の計算:
$$(\text{倍率}) = \frac{U_1}{U_2} = \frac{\dfrac{1}{4}C_0 V^2}{\dfrac{1}{6}C_0 V^2} = \mathbf{\frac{3}{2}} \text{ 倍} \quad \cdots \text{【空欄 10】}$$
(※ $U_1 = \dfrac{9}{4}C_0 V^2$ の設定の場合は、$\dfrac{U_1}{U_2} = \dfrac{9/4}{1/6} = \mathbf{\dfrac{27}{2}}$ 倍となります。)
🎓 第2問(電磁気:複合コンデンサー回路)解答まとめ
総括 近畿大学 医学部 物理(2022年度)合格へのポイント
1. 力学(斜方投射と動く台・反発係数): 相対速度と運動量保存則を組み合わせる標準問題ですが、計算量が多いため、文字式の次元確認と「どの座標系で見ているか」の整理が不可欠です。
2. 電磁気(複数極板のコンデンサーとスイッチ操作): 「基準点(アース)を $0\,\mathrm{V}$ とおく電位法」と「スイッチを開いて孤立した部分の電気量保存則」の2本柱で全ての設問が一貫して解けます。
3. 時間配分: 試験時間60分に対して計算密度が高いため、後半の複雑なエネルギー比の計算では、共通因数 $\dfrac{1}{2}C_0 V^2$ をくくり出して係数のみで比をとるなど、計算の工夫で時間を短縮しましょう。
過去問演習で時間を溶かしていませんか?
合格の鍵は「全科目の時間配分(バランス調整)」にあります。
私立医学部の入試は、1科目だけできても受かりません。「計算に時間をかけすぎて他科目が崩れる」「推薦対策と一般入試の両立で手が止まっている」——そんな悩みを、TMPS医学館のニックニ(新国)先生と一緒に50分で整理しませんか?
【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(近畿大学 2022年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。