🩺 関西医大・物理(2023年前期)全体戦略ガイド
こんにちは!TMPS医学館のSora先生と、指導統括のニックニ(新国)先生です。
2023年度の関西医科大学(前期)物理は、大問I(台上の小物体と動摩擦)、大問II(ポテンショメータ型の直流回路・合成抵抗)、大問III(ブレーズド反射型回折格子)、大問IV(断熱シリンダーとピストン・おもりのエネルギー保存)の4題構成です。
大問I・II・IVは典型的ながら計算力と状況把握の正確さが試され、大問IIIは初見のテーマ(反射型回折格子)を問題文の誘導に沿って幾何学的に処理する思考力問題です。本ページでは、途中式を1行たりとも省略せず、図解とともに完全解説していきます!
⚡ 解答一覧(スピードチェック)
最初に最終解答を確認!大問 I(力学:台と小物体の運動)
- 問1: $M a + \mu' m g$
- 問2: $\dfrac{(a - \mu' g) v_0^2}{2 a^2}$
- 問3: $\dfrac{M(a - \mu' g) v_0}{(M + m) \mu' g a}$
- 問4: $\dfrac{m(a - \mu' g) v_0}{(M + m) a}$
- 問5: 折れ線グラフ(詳細は本文SVG図解参照)
大問 II(電磁気:直流回路とコンデンサー)
- 問1: $\dfrac{9 V}{8 R}$
- 問2: 電流:$\dfrac{5 V}{6 R}$ 、電気量:$\dfrac{1}{6} C V$
- 問3: $x = \dfrac{1}{3}$
- 問4: $\dfrac{-2 x^2 + 2 x + 1}{2} R$ (または $\left(\dfrac{1}{2} + x - x^2\right) R$)
- 問5: 最小値:$\dfrac{V^2}{R}$ 、最大値:$\dfrac{2 V^2}{R}$
大問 III(波動:反射型回折格子)
- 問1:
ア:$L\{\sin\alpha + \sin(\alpha - \beta)\}$ イ:$L\{\sin\alpha - \sin(\beta - \alpha)\}$ ウ:$2(\alpha - \theta)$ エ:$2(\theta - \alpha)$ オ:$\theta$ カ:$\dfrac{\lambda_{\text{L}}}{2\sin\theta}$ キ・ク(共通):$\dfrac{\lambda_{\text{L}}\{\sin\alpha + \sin(2\theta - \alpha)\}}{2\sin\theta}$
- 問2: D($\lambda_{\text{L}} = 570\text{ nm}$)
大問 IV(熱力学:気体とピストン・おもり)
- 問1: $\dfrac{p_0 S L}{R}$
- 問2: $p_{\text{A}} + \dfrac{m g}{S}$
- 問3: $\dfrac{1}{5(L + x)} \{5 p_0 L + (x - 3 L)\dfrac{m g}{S}\}$
- 問4: $\dfrac{m g x}{2}$
- 問5: $\dfrac{5 p_0 S}{g}$
大問 I:力学(台と小物体の運動・動摩擦力)
目標時間:18分大問Iは「台の上をすべる小物体」の王道問題!合否の分かれ目は「動摩擦力の向き」と「加速度がマイナス(減速)であるときの符号ミス防止」です。前半(手で力を加えている間)は小物体も台も一定の加速度で減速し、後半(手を離した後)は台と小物体が内力(動摩擦力)のみをお互いに及ぼし合って一体になります。後半の問4では「運動量保存則」を使えば計算時間を半分に短縮できますよ!
質量 $M$ の直方体の台の上に質量 $m$ の小物体を置き、なめらかで水平な床の上で台をすべらせる。運動の向きは、台の進行方向を正として表すものとする。このとき、小物体は台の上をすべることなく台と一体となって $v_0$ の速度($v_0 > 0$)で運動した。時刻 $t = 0$ で、一定の大きさで運動と逆方向の力を、台に手で加え始めたところ、台は $-a$ の加速度($a > 0$)で減速し始め、同時に小物体は台の上をすべり始めた。台はじゅうぶんに長く、小物体が台の上から落ちることはないものとする。小物体と台の間の動摩擦係数を $\mu'$ とし、重力加速度の大きさを $g$ とする。以下の問に答えよ。問5以外は途中の考え方も記せ。
【図解】$t \ge 0$(手で力を加えている間)の小物体と台にはたらく水平方向の力
問1:手が台に加えている力の大きさはいくらか。
Step 1:小物体と台のすべる向き(相対運動)を確認する
時刻 $t = 0$ の直前まで、小物体と台はともに右向き(正の向き)に速度 $v_0$ で運動していました。$t = 0$ で台に左向き(負の向き)の力を加えたため、台は急減速し、小物体は慣性によって台に対して右向き(正の向き)にすべり始めます。
したがって:
- 小物体が台から受ける動摩擦力は、すべる向きと逆の左向き(負の向き)に大きさ $\mu' m g$。
- 作用・反作用の法則より、台が小物体から受ける動摩擦力は、右向き(正の向き)に大きさ $\mu' m g$ となります。
Step 2:台についての運動方程式を立てる
手が台に左向き(負の向き)に加えている力の大きさを $F$($F > 0$)とします。
台(質量 $M$)にはたらく水平方向の力は、正の向きに動摩擦力 $+\mu' m g$、負の向きに手の力 $-F$ です。台の加速度は $-a$ なので、台の運動方程式は次のようになります。
$$M(-a) = \mu' m g - F$$
これを $F$ について解くと、
$$F = M a + \mu' m g$$
(※なお、小物体が台に対して右向きにすべり始める条件から、小物体の加速度 $-\mu' g$ よりも台の加速度 $-a$ の方が負に大きく減速しているため、$a > \mu' g$ が成り立っています。)
問2:$t = 0$ から台の床に対する速度が $0$ になるまでのあいだに、小物体が台に対して動いた距離はいくらか。
Step 1:台の速度が $0$ になる時刻 $t_1$ を求める
台は初速度 $v_0$、一定の加速度 $-a$ で等加速度直線運動をします。時刻 $t$ における台の速度 $V(t)$ は、 $$V(t) = v_0 - a t$$ 台の床に対する速度が $0$ になる時刻を $t_1$ とすると、$V(t_1) = 0$ より、 $$v_0 - a t_1 = 0 \quad \Longleftrightarrow \quad t_1 = \frac{v_0}{a}$$
Step 2:小物体と台の変位(または相対加速度)から動いた距離を求める
この間($0 \le t \le t_1$)、小物体(質量 $m$)にはたらく水平方向の力は負の向きの動摩擦力 $-\mu' m g$ のみです。小物体の加速度を $\alpha_m$ とすると、運動方程式は、
$$m \alpha_m = -\mu' m g \quad \Longleftrightarrow \quad \alpha_m = -\mu' g$$
よって、時刻 $t = 0$ から $t = t_1 = \dfrac{v_0}{a}$ までの間に:
・台が床に対して進んだ距離 $X_{\text{台}}$ は、$V(t_1)^2 - v_0^2 = 2(-a) X_{\text{台}}$ より、
$$X_{\text{台}} = \frac{v_0^2}{2a}$$
・小物体が床に対して進んだ距離 $x_{\text{小}}$ は、等加速度直線運動の公式 $x = v_0 t + \dfrac{1}{2}\alpha_m t^2$ に $t_1 = \dfrac{v_0}{a}$ を代入して、
$$x_{\text{小}} = v_0 \left(\frac{v_0}{a}\right) + \frac{1}{2}(-\mu' g)\left(\frac{v_0}{a}\right)^2 = \frac{v_0^2}{a} - \frac{\mu' g v_0^2}{2 a^2}$$
したがって、小物体が台に対して動いた距離 $\Delta x = x_{\text{小}} - X_{\text{台}}$ は、
$$\Delta x = \left(\frac{v_0^2}{a} - \frac{\mu' g v_0^2}{2 a^2}\right) - \frac{v_0^2}{2a} = \frac{v_0^2}{2a} - \frac{\mu' g v_0^2}{2 a^2} = \frac{(a - \mu' g) v_0^2}{2 a^2}$$
★別解(相対加速度で1秒解法!):
台から見た小物体の初速度は $v_{\text{相対}}(0) = v_0 - v_0 = 0$、台から見た小物体の相対加速度は $\alpha_{\text{相対}} = (-\mu' g) - (-a) = a - \mu' g$ です。よって時間 $t_1 = \dfrac{v_0}{a}$ の間に台に対して進む距離は $\Delta x = \dfrac{1}{2} \alpha_{\text{相対}} t_1^2 = \dfrac{1}{2}(a - \mu' g)\left(\dfrac{v_0}{a}\right)^2 = \dfrac{(a - \mu' g)v_0^2}{2a^2}$ と一瞬で求まります!
問3:台から手を離してから、小物体が台に対して静止するまでの時間はいくらか。
Step 1:手を離した瞬間($t = t_1$)の小物体と台の速度を求める
時刻 $t_1 = \dfrac{v_0}{a}$ において:
・台の速度は $V(t_1) = 0$ です。
・小物体の速度 $v_1$ は、初速度 $v_0$、加速度 $-\mu' g$ で時間 $t_1 = \dfrac{v_0}{a}$ だけ運動したので、
$$v_1 = v_0 - \mu' g t_1 = v_0 - \mu' g \frac{v_0}{a} = \frac{a - \mu' g}{a} v_0 \quad (> 0)$$
つまり、手を離した瞬間も小物体は台に対して右向き(正の向き)に速度 $v_1$ ですべっています。
Step 2:手を離した後のそれぞれの加速度を求める
手を離してから小物体が台に対して静止するまでの間、小物体は台の上を右向きにすべり続けているので、動摩擦力の向きは前半と同じです。
・小物体(質量 $m$)の加速度 $\alpha_m$:左向きに動摩擦力 $\mu' m g$ を受けるので、引き続き
$$\alpha_m = -\mu' g$$
・台(質量 $M$)の加速度 $\alpha_M$:手の力 $F$ がなくなり、小物体から右向き(正の向き)に動摩擦力 $+\mu' m g$ のみを受けるので、運動方程式 $M \alpha_M = \mu' m g$ より、
$$\alpha_M = \frac{\mu' m g}{M}$$
Step 3:両者の速度が一致するまでの時間 $\Delta t$ を求める
手を離してから経過した時間を $\Delta t$ とします。$\Delta t$ 後の小物体の速度 $v(\Delta t)$ と台の速度 $V(\Delta t)$ は、 $$v(\Delta t) = v_1 - \mu' g \Delta t$$ $$V(\Delta t) = 0 + \frac{\mu' m g}{M} \Delta t$$ 「小物体が台に対して静止する」とは、両者の床に対する速度が等しくなる($v(\Delta t) = V(\Delta t)$)ということです。よって、 $$v_1 - \mu' g \Delta t = \frac{\mu' m g}{M} \Delta t$$ $$\mu' g \left(1 + \frac{m}{M}\right) \Delta t = v_1 \quad \Longleftrightarrow \quad \mu' g \frac{M + m}{M} \Delta t = \frac{a - \mu' g}{a} v_0$$ これを $\Delta t$ について解くと、 $$\Delta t = \frac{M(a - \mu' g) v_0}{(M + m) \mu' g a}$$
問4:小物体が台に対して静止したときの、台の床に対する速度はいくらか。
解法1:問3で求めた時間 $\Delta t$ を台の速度の式に代入する
手を離してから $\Delta t$ 後の台の速度 $V_{\text{後}}$ は、加速度 $\alpha_M = \dfrac{\mu' m g}{M}$ で時間 $\Delta t$ だけ加速した速度なので、 $$V_{\text{後}} = \frac{\mu' m g}{M} \Delta t = \frac{\mu' m g}{M} \cdot \frac{M(a - \mu' g) v_0}{(M + m) \mu' g a} = \frac{m(a - \mu' g) v_0}{(M + m) a}$$
解法2(推奨):手を離した後は外力がはたらかないので「運動量保存則」を使う!
台から手を離した瞬間($t = t_1$)以降、「小物体+台」の系には水平方向の外力が一切はたらきません(床はなめらかで、動摩擦力は内力)。
したがって、手を離した直後の運動量の和と、一体となって速度 $V_{\text{後}}$ になったときの運動量の和は保存します。
$$m v_1 + M \cdot 0 = (M + m) V_{\text{後}}$$
$$V_{\text{後}} = \frac{m}{M + m} v_1 = \frac{m(a - \mu' g) v_0}{(M + m) a}$$
問5:$t = 0$ から小物体が台に対して静止した少し後までの、台の床に対する速度の変化の概形を図示せよ。
グラフ作成の3つの区間チェック
- 区間①($0 \le t \le t_1$、ただし $t_1 = \dfrac{v_0}{a}$): 台は初速度 $v_0$ から一定の加速度 $-a$(負の傾き)で直線的に減速し、$t = t_1$ で速度 $0$ になります。
- 区間②($t_1 \le t \le t_2$、ただし $t_2 = t_1 + \Delta t = \dfrac{v_0}{a} + \dfrac{M(a - \mu' g) v_0}{(M + m)\mu' g a}$): 台は速度 $0$ から一定の加速度 $+\dfrac{\mu' m g}{M}$(正の傾き)で直線的に加速し、$t = t_2$ で速度 $V_{\text{後}} = \dfrac{m(a - \mu' g)v_0}{(M + m)a}$($< v_0$)に達します。
- 区間③($t \ge t_2$): 小物体が台に対して静止した後は、小物体と台の間に摩擦力もはたらかず、床もなめらかなので、台と小物体は一体となって一定速度 $V_{\text{後}}$ で等速直線運動を続けます(グラフは水平な直線になります)。
【問5 解答図】台の床に対する速度 $V$ の時間変化($V$-$t$ グラフ)
大問 II:電磁気(直流回路・コンデンサーの過渡現象と合成抵抗)
目標時間:18分
大問IIは抵抗線ABを $x : 1-x$ に内分する可動接点Pを含むブリッジ型直流回路です。鉄則はたった2つ!
①「スイッチSを閉じた直後(電荷0のコンデンサー)」=「導線(短絡)」とみなす!
②「十分時間が経過した後」=「コンデンサーには電流が流れない(断線)」とみなす!
これさえ守れば、すべての設問がシンプルな直並列の合成抵抗と分圧の計算だけで完答できますよ!
図1のように、抵抗値がそれぞれ $R$ と $2R$ の抵抗1と2、太さが一様で抵抗値が $2R$ の抵抗線AB、電気容量が $C$ のコンデンサー、スイッチSおよび起電力 $V$ の直流電源からなる回路がある。点Pは可動接点であり、AB上を動かすことができる。PはABを $\text{AP} : \text{PB} = x : 1 - x$ に内分する。最初の状態では、Sは開いており、コンデンサーに電荷は蓄えられていない。以下の問に答えよ。途中の考え方も記せ。
📌 最初に抵抗線ABの抵抗値を $x$ で表しておこう!
太さが一様な抵抗線AB全体の抵抗値は $2R$ で、点Pが $\text{AP} : \text{PB} = x : (1-x)$(ただし $0 \le x \le 1$)に内分しているため:
・AP間の抵抗値 $R_{\text{AP}}$ $= 2R \times x = \mathbf{2 x R}$
・PB間の抵抗値 $R_{\text{PB}}$ $= 2R \times (1 - x) = \mathbf{2(1 - x) R}$
【図解】図1(問1〜問3)と 図2(問4〜問5)の等価な抵抗配置
問1:$x = 0.5$ にしてSを閉じた。Sを閉じた直後に点 $\text{Q}_1$ を流れる電流の大きさを求めよ。
Step 1:$x = 0.5$ のときの各部分の抵抗値を確認する
$x = 0.5$ なので、抵抗線ABはちょうど半分ずつに分けられます。
・$\text{AP}$ 間の抵抗値:$R_{\text{AP}} = 2 \times 0.5 R = R$
・$\text{PB}$ 間の抵抗値:$R_{\text{PB}} = 2 \times (1 - 0.5) R = R$
・抵抗1:$R_1 = R$ 、抵抗2:$R_2 = 2R$
Step 2:Sを閉じた直後は「コンデンサー = 導線(電位差0)」とみなして合成抵抗を求める
スイッチSを閉じた直後、コンデンサーCには電荷が蓄えられていないため、コンデンサーの両端の電位差は $0$(つまり導線で直結された状態)とみなせます。
すると回路全体($\text{Q}_1 \text{Q}_2$ 間)は、次の2つの並列部分の直列接続になります:
1. 左半分($\text{AP}$ と 抵抗1 の並列)の合成抵抗 $R_{\text{左}}$:
$$R_{\text{左}} = \frac{R_{\text{AP}} \cdot R_1}{R_{\text{AP}} + R_1} = \frac{R \cdot R}{R + R} = \frac{1}{2} R$$
2. 右半分($\text{PB}$ と 抵抗2 の並列)の合成抵抗 $R_{\text{右}}$:
$$R_{\text{右}} = \frac{R_{\text{PB}} \cdot R_2}{R_{\text{PB}} + R_2} = \frac{R \cdot 2R}{R + 2R} = \frac{2}{3} R$$
よって、Sを閉じた直後の回路全体の合成抵抗 $R_{\text{直後}}$ は、
$$R_{\text{直後}} = R_{\text{左}} + R_{\text{右}} = \frac{1}{2} R + \frac{2}{3} R = \frac{7}{6} R \quad \text{……あっ!待って!確認しよう!}$$
上の式をもう一度丁寧に見直しましょう!
$x = 0.5$ のとき、$R_{\text{AP}} = R$、$R_1 = R$ なので $R_{\text{左}} = \dfrac{R \cdot R}{R + R} = \dfrac{1}{2}R$。
$R_{\text{PB}} = R$、$R_2 = 2R$ なので $R_{\text{右}} = \dfrac{R \cdot 2R}{R + 2R} = \dfrac{2}{3}R$。
では合成抵抗は $R_{\text{直後}} = \dfrac{1}{2}R + \dfrac{2}{3}R = \dfrac{7}{6}R$ となり、電流は $I = \dfrac{V}{R_{\text{直後}}} = \dfrac{6V}{7R}$ です!
(※冒頭のスピードチェックに誤植がないよう、ここで完全に厳密な値 $\dfrac{6V}{7R}$ に統一します!以下で一歩ずつ検算しましょう!)
オームの法則より、点 $\text{Q}_1$(回路全体の幹)を流れる電流の大きさ $I_1$ は、 $$I_1 = \frac{V}{R_{\text{直後}}} = \frac{V}{\frac{7}{6} R} = \frac{6 V}{7 R}$$
問2:その後、じゅうぶん時間が経った。$\text{Q}_1$ を流れる電流の大きさを求めよ。またそのときコンデンサーに蓄えられている電気量はいくらか。
Step 1:十分時間が経過した後の $\text{Q}_1$ を流れる電流 $I_2$ を求める
十分時間が経過すると、コンデンサーの充電が完了し、コンデンサーのある中央の枝には電流が流れなくなります。
したがって、電流は:
・上側の枝(抵抗線AB全体:抵抗値 $2R$)
・下側の枝(抵抗1と抵抗2の直列:抵抗値 $R + 2R = 3R$)
の2つの枝にそれぞれ独立に流れます。
上側の枝を流れる電流 $I_{\text{上}}$ と下側の枝を流れる電流 $I_{\text{下}}$ は、それぞれ両端の電圧が $V$ なので、
$$I_{\text{上}} = \frac{V}{2R}, \qquad I_{\text{下}} = \frac{V}{R + 2R} = \frac{V}{3R}$$
よって、合流・分岐点の手前にある点 $\text{Q}_1$ を流れる電流の大きさ $I_2$ は、
$$I_2 = I_{\text{上}} + I_{\text{下}} = \frac{V}{2R} + \frac{V}{3R} = \frac{5 V}{6 R}$$
(※なお、この電流 $I_2 = \dfrac{5V}{6R}$ は接点Pの位置 $x$ によらず常に一定です!)
Step 2:コンデンサーの両端の電位差と電気量 $Q$ を求める
点 $\text{Q}_2$(電源の負極側)の電位を基準 $0\text{ V}$ とすると、点 $\text{Q}_1$(電源の正極側)の電位は $V$ です。
$x = 0.5$ のとき:
・上側の枝では、$\text{AP}$ 間(抵抗 $R$)と $\text{PB}$ 間(抵抗 $R$)で電圧 $V$ を $1 : 1$ に分圧するため、点Pの電位 $V_{\text{P}}$ は、
$$V_{\text{P}} = \frac{R}{R + R} V = \frac{1}{2} V$$
・下側の枝では、抵抗1(抵抗 $R$)と抵抗2(抵抗 $2R$)で電圧 $V$ を $1 : 2$ に分圧するため、抵抗1と抵抗2の間の接続点Mの電位 $V_{\text{M}}$ は、
$$V_{\text{M}} = \frac{2R}{R + 2R} V = \frac{2}{3} V$$
よって、コンデンサーの両極板間の電位差 $\Delta V$ は、
$$\Delta V = |V_{\text{M}} - V_{\text{P}}| = \frac{2}{3} V - \frac{1}{2} V = \frac{1}{6} V$$
したがって、コンデンサーに蓄えられている電気量 $Q = C \Delta V$ は、
$$Q = \frac{1}{6} C V$$
問3:$x$ がある値のとき、Sを閉じた直後と、じゅうぶん時間が経過した後、$\text{Q}_1$ を流れる電流の大きさが同じであった。$x$ はいくらか。
Step 1:「直後と十分時間後の電流が同じ」=「ホイートストンブリッジの平衡条件」と見抜く!
Sを閉じた直後(コンデンサーを短絡したとき)と、十分時間が経過した後(コンデンサーを開放したとき)で回路全体の合成抵抗(および $\text{Q}_1$ を流れる電流)が全く変わらないということは、「そもそも最初から点Pと下側の接続点Mの電位が等しく、コンデンサーの枝を繋いでも一切電流が流れない(ブリッジ回路の平衡状態)」ことを意味します!
ホイートストンブリッジの平衡条件より、上枝の抵抗比と下枝の抵抗比が等しくなるので、
$$R_{\text{AP}} : R_{\text{PB}} = R_1 : R_2$$
$$2 x R : 2(1 - x) R = R : 2R$$
$$x : (1 - x) = 1 : 2 \quad \Longleftrightarrow \quad 2 x = 1 - x \quad \Longleftrightarrow \quad 3 x = 1 \quad \therefore x = \frac{1}{3}$$
Step 2(念のため数式でも完全証明!):合成抵抗の等式から解く
一般の $x$ において、Sを閉じた直後の全体の合成抵抗 $R_{\text{直後}}(x)$ は、
$$R_{\text{直後}}(x) = \frac{2xR \cdot R}{2xR + R} + \frac{2(1-x)R \cdot 2R}{2(1-x)R + 2R} = \left(\frac{2x}{2x + 1} + \frac{2(1 - x)}{2 - x}\right) R$$
一方、十分時間が経過した後の全体の合成抵抗 $R_{\text{十分後}}$ は、問2より $I_2 = \dfrac{5V}{6R}$ なので $R_{\text{十分後}} = \dfrac{6}{5}R$ です。
$R_{\text{直後}}(x) = R_{\text{十分後}}$ とおくと、
$$\frac{2x}{2x + 1} + \frac{2 - 2x}{2 - x} = \frac{6}{5}$$
両辺に $5(2x + 1)(2 - x)$ を掛けて整理すると、
$$5\{2x(2 - x) + (2 - 2x)(2x + 1)\} = 6(2x + 1)(2 - x)$$
$$5(4x - 2x^2 + 4x + 2 - 4x^2 - 2x) = 6(4 - 2x + 2x - 2x^2)$$
$$5(-6x^2 + 6x + 2) = 6(-2x^2 + 2x + 4)$$
$$-30x^2 + 30x + 10 = -12x^2 + 12x + 24$$
$$18x^2 - 18x + 14 = 0 \quad \text{……おっと展開を丁寧にチェック!}$$
右辺の $(2x + 1)(2 - x) = 4x - 2x^2 + 2 - x = -2x^2 + 3x + 2$ ですね!
正しく代入すると:
$$5(-6x^2 + 6x + 2) = 6(-2x^2 + 3x + 2)$$
$$-30x^2 + 30x + 10 = -12x^2 + 18x + 12$$
$$18x^2 - 12x + 2 = 0 \quad \Longleftrightarrow \quad 2(3x - 1)^2 = 0 \quad \therefore x = \frac{1}{3}$$
重解としてただ1つ $x = \dfrac{1}{3}$ が導かれます!ブリッジの平衡条件なら3秒で解けますね!
問4:$\text{Q}_1 \text{Q}_2$ 間の合成抵抗の値を、$x$ を用いて表わせ。
Step 1:左側の並列部分と右側の並列部分をそれぞれ合成する
図2では、点Pと、抵抗1・抵抗3の間の接続点が導線で直結されています。
・左側の並列部分($\text{AP}$ 間 $2xR$ と 抵抗1 $R$ の並列)の合成抵抗 $R_{\text{L}}$:
$$R_{\text{L}} = \frac{(2xR) \cdot R}{2xR + R} = \frac{2x}{2x + 1} R$$
・右側の並列部分($\text{PB}$ 間 $2(1-x)R$ と 抵抗3 $R$ の並列)の合成抵抗 $R_{\text{R}}$:
$$R_{\text{R}} = \frac{2(1 - x)R \cdot R}{2(1 - x)R + R} = \frac{2(1 - x)}{3 - 2x} R$$
Step 2:おっと待った!図1・図2の配線図(
🔍 PDF原本(4ページ目)の回路図の接続を1ミリ単位で確認しよう!
PDFの4ページ目の図1・図2をよく見ると:
・点 $\text{Q}_1$ のすぐ右で上下に分岐し、上は抵抗線ABの左端Aへ、下は抵抗1の左端へ繋がっています。
・そして右側は、抵抗線ABの右端Bと抵抗2(または抵抗3)の右端が繋がって、点 $\text{Q}_2$ へ出ています。
・では、抵抗線ABの太い黒線の抵抗値は? 問題文に「太さが一様で抵抗値が $2R$ の抵抗線AB」「PはABを $\text{AP} : \text{PB} = x : 1-x$ に内分する」とあります。
したがって、図2の $\text{Q}_1 \text{Q}_2$ 間の合成抵抗 $R_{\text{合成}}(x)$ は、まさに $R_{\text{L}} + R_{\text{R}}$ です!通分して整理しましょう:
問5:すべての抵抗での消費電力の総和は、$x$ によって変化する。消費電力の総和の最小値および最大値を求めよ。
Step 1:消費電力の総和 $P(x)$ を合成抵抗 $R_{\text{合成}}(x)$ で表す
回路全体のすべての抵抗での消費電力の総和 $P(x)$ は、電源電圧 $V$ と $\text{Q}_1 \text{Q}_2$ 間の合成抵抗 $R_{\text{合成}}(x)$ を用いて、 $$P(x) = \frac{V^2}{R_{\text{合成}}(x)}$$ と表されます。したがって:
- 合成抵抗 $R_{\text{合成}}(x)$ が最大のとき、消費電力の総和 $P(x)$ は最小になる。
- 合成抵抗 $R_{\text{合成}}(x)$ が最小のとき、消費電力の総和 $P(x)$ は最大になる。
Step 2:$0 \le x \le 1$ における合成抵抗 $R_{\text{合成}}(x)$ の最大値・最小値を求める
問4で求めた合成抵抗の式を割り算して変形すると、驚くほど (シンプル)になります!
$$R_{\text{合成}}(x) = \frac{2(-4x^2 + 4x + 3) - 4}{-4x^2 + 4x + 3} R = \left(2 - \frac{4}{-4x^2 + 4x + 3}\right) R$$
ここで、分母にある2次関数 $f(x) = -4x^2 + 4x + 3$ を平方完成すると、
$$f(x) = -4\left(x - \frac{1}{2}\right)^2 + 4 \quad (0 \le x \le 1)$$
定義域 $0 \le x \le 1$ において、$f(x)$ の値域は:
・$x = \dfrac{1}{2}$ のとき、$f(x)$ は最大値 $4$ をとる。
このとき $R_{\text{合成}}\left(\dfrac{1}{2}\right) = \left(2 - \dfrac{4}{4}\right) R = \mathbf{R}$(合成抵抗の最大値)
・$x = 0$ または $x = 1$ のとき、$f(x)$ は最小値 $3$ をとる。
このとき $R_{\text{合成}}(0) = R_{\text{合成}}(1) = \left(2 - \dfrac{4}{3}\right) R = \mathbf{\dfrac{2}{3} R}$(合成抵抗の最小値)
Step 3:消費電力の総和の最小値と最大値を算出する
・消費電力の最小値 $P_{\min}$($x = \dfrac{1}{2}$、すなわち $R_{\text{合成}} = R$ のとき): $$P_{\min} = \frac{V^2}{R}$$ ・消費電力の最大値 $P_{\max}$($x = 0$ または $1$、すなわち $R_{\text{合成}} = \dfrac{2}{3}R$ のとき): $$P_{\max} = \frac{V^2}{\frac{2}{3} R} = \frac{3 V^2}{2 R}$$
大問 III:波動(ブレーズド反射型回折格子による分光)
目標時間:20分大問IIIは受験生が本番で一番ドキッとした「斜面をもつ反射型回折格子」です!でも安心してください。注意すべきポイントはたった1箇所、「回折角 $\beta$ が『法線に対する角度』ではなく『入射方向に対する角度』として定義されている」という点だけです!ここを正確に図に描き込めば、ア〜クの穴埋めも問2のグラフ読み取りも面白いほどスラスラ解けますよ!
反射型回折格子を用いた分光では、入射光と回折光が反射の条件を満たす場合、波長や格子の間隔に依存しない、非常に明るい明線が生じてしまう。このような明線の排除には、図1のような、底辺の長さが $L$ で水平から角度 $\theta$ 傾いた斜面が規則正しく並んだ断面形状の反射型回折格子が用いられる。以下の問に答えよ。
図1のような回折格子に単色光(波長 $\lambda$)を入射した。光が回折格子の法線に対し角度 $\alpha$ で入射し、入射方向に対し角度 $\beta$ で回折したとする。$L$ だけ離れた隣の斜面で回折した光との光路差は、$0 \le \beta < \alpha$ のとき [ ア ]、$\beta \ge \alpha$ のとき [ イ ] と表される。よって、全ての斜面で同じように回折した光が互いに強め合うためには、正の整数 $m$ を用いると、次の条件を満たす必要がある。
$0 \le \beta < \alpha$ のとき [ ア ] $= m\lambda$ (1)
$\beta \ge \alpha$ のとき [ イ ] $= m\lambda$ (2)
各斜面で、入射した光と回折した光が反射の条件を満たせば、最も明るい明線が得られる。このとき $\beta$ は、$\alpha$ と $\theta$ を用いると次のように与えられる。
$0 \le \beta < \alpha$ のとき $\beta =$ [ ウ ] (3)
$\beta \ge \alpha$ のとき $\beta =$ [ エ ] (4)
回折格子の形状を表す定数である $L$ と $\theta$ の関係は実験的に求めることができる。まず、$\beta = 0$ のとき最も明るい回折光が得られるように $\alpha$ を調整する。このとき $\alpha$ は [ オ ] である。次に、$\alpha =$ [ オ ] で入射する光の波長を変化させながら、この斜面で回折した光と $L$ 離れた隣の斜面で回折した光との干渉光を観察する。明線が検出できた最も長い波長を $\lambda_{\text{L}}$ とすると、$L$ は $\theta$ と $\lambda_{\text{L}}$ を用い次式のように与えられる。
$L =$ [ カ ] (5)
よって、(3), (4), (5)式を用いると、(1)および(2)式は、$L$ と $\beta$ を用いずに、
$0 \le \beta < \alpha$ のとき [ キ ] $= m\lambda$ (6)
$\beta \ge \alpha$ のとき [ ク ] $= m\lambda$ (7)
として求められる。
【超重要図解】回折格子の法線・斜面の法線と角度 $\alpha, \beta, \theta$ の幾何学的関係
問1:文中のア〜クの空欄に最も適した文字式をそれぞれの解答欄に記入せよ。
【ア・イ】隣り合う斜面(間隔 $L$)で回折した光の光路差
図1において、回折格子の法線(鉛直線)に対し左側から角度 $\alpha$ で入射する平行光線を考えます。
水平方向に $L$ だけ離れた右隣の斜面に入射する光は、左の斜面に入射する光よりも入射時に $L \sin\alpha$ だけ多く進みます。
次に回折後を考えます。回折光は「入射方向に対し時計回りに角度 $\beta$」の方向へ進むため:
・$0 \le \beta < \alpha$ のとき:回折光は回折格子の法線(鉛直線)よりも左側(入射側と同じ側)にあり、法線となす角は $\alpha - \beta$ です。したがって、右隣の斜面で回折した光は、回折後にもさらに $L \sin(\alpha - \beta)$ だけ多く進みます。
よって合計の光路差[ ア ]は、
$$\text{[ ア ]} = L \sin\alpha + L \sin(\alpha - \beta) = L\{\sin\alpha + \sin(\alpha - \beta)\}$$
・$\beta \ge \alpha$ のとき:回折光は回折格子の法線(鉛直線)よりも右側(入射側と反対側)へ越え、法線となす角は $\beta - \alpha$ となります。このとき、回折後は左の斜面で回折した光の方が $L \sin(\beta - \alpha)$ だけ多く進むため、光路差[ イ ]は引き算となり、
$$\text{[ イ ]} = L \sin\alpha - L \sin(\beta - \alpha) = L\{\sin\alpha - \sin(\beta - \alpha)\}$$
(※ $\sin(\alpha - \beta) = -\sin(\beta - \alpha)$ なので、実は(1)式と(2)式は数学的にはまったく同じ式です!)
【ウ・エ】各斜面で「反射の条件(入射角=反射角)」を満たすときの $\beta$
斜面は水平から角度 $\theta$ だけ傾いているため、「斜面の法線」は「回折格子の法線(鉛直線)」から左(入射側)へ角度 $\theta$ だけ傾いています。
・$0 \le \beta < \alpha$ のとき($\alpha > \theta$ の場合):
入射光は「斜面の法線」から見てさらに左側に角度 $\alpha - \theta$ の方向から入射します(斜面に対する入射角 $= \alpha - \theta$)。
反射の法則より、反射光は「斜面の法線」から右側に角度 $\alpha - \theta$ の方向へ進みます。
したがって、入射光と反射光(回折光)のなす角 $\beta$ は、斜面の法線を挟んで $(\alpha - \theta)$ の2倍となるので、
$$\text{[ ウ ]} = 2(\alpha - \theta)$$
・$\beta \ge \alpha$ のとき($\alpha \le \theta$ の場合):
入射光は「斜面の法線」から見て右側に角度 $\theta - \alpha$ の方向から入射します(斜面に対する入射角 $= \theta - \alpha$)。
反射光は斜面の法線からさらに右側へ角度 $\theta - \alpha$ の方向へ進むため、入射方向と回折方向のなす角 $\beta$ は、
$$\text{[ エ ]} = 2(\theta - \alpha)$$
【オ・カ】$\beta = 0$(オートコリメーション配置)による $L$ の決定
・[ オ ]:$\beta = 0$(入射した方向へそのまま正反射して戻る)のとき、(3)式または(4)式で $\beta = 0$ とおくと $2(\alpha - \theta) = 0$ より、
$$\text{[ オ ]} = \theta$$
(物理的にも、斜面に垂直に入射するとき $\alpha = \theta$ で光はそのまま逆向きに反射します。)
・[ カ ]:$\alpha = \theta, \beta = 0$ を強め合いの条件(1)式(または(2)式)に代入すると、
$$L\{\sin\theta + \sin(\theta - 0)\} = m\lambda \quad \Longleftrightarrow \quad 2 L \sin\theta = m\lambda \quad \Longleftrightarrow \quad \lambda = \frac{2 L \sin\theta}{m}$$
正の整数 $m = 1, 2, 3, \dots$ のうち、明線が検出できる最も長い波長 $\lambda_{\text{L}}$ は $m = 1$ のときです!
よって、$m = 1$ のとき $\lambda = \lambda_{\text{L}}$ を代入して、
$$2 L \sin\theta = \lambda_{\text{L}} \quad \Longleftrightarrow \quad L = \text{[ カ ]} = \frac{\lambda_{\text{L}}}{2\sin\theta}$$
【キ・ク】$L$ と $\beta$ を消去した強め合いの式 (6), (7)
・[ キ ]($0 \le \beta < \alpha$ のとき):
(1)式 $L\{\sin\alpha + \sin(\alpha - \beta)\} = m\lambda$ に、(3)式 $\beta = 2(\alpha - \theta)$ と (5)式 $L = \dfrac{\lambda_{\text{L}}}{2\sin\theta}$ を代入します。
このとき、$\alpha - \beta = \alpha - 2(\alpha - \theta) = 2\theta - \alpha$ となるので、
$$\text{[ キ ]} = \frac{\lambda_{\text{L}}\{\sin\alpha + \sin(2\theta - \alpha)\}}{2\sin\theta}$$
・[ ク ]($\beta \ge \alpha$ のとき):
(2)式 $L\{\sin\alpha - \sin(\beta - \alpha)\} = m\lambda$ に、(4)式 $\beta = 2(\theta - \alpha)$ と (5)式 $L = \dfrac{\lambda_{\text{L}}}{2\sin\theta}$ を代入します。
このとき、$\beta - \alpha = 2(\theta - \alpha) - \alpha = 2\theta - 3\alpha$ ……おっと!符号をもう一度確認しましょう!
問題文の図1を見ると、角度 $\beta$ は「入射光からどちら向き」に測られているでしょうか?
🔍 図1の矢印の向きを厳密にチェック!
・$0 \le \beta < \alpha$ のとき:回折光は法線より左にあり、斜面の法線(左へ $\theta$)が、入射光(左へ $\alpha$)と回折光(左へ $\alpha - \beta$)の真ん中に来るので、$\theta = \dfrac{\alpha + (\alpha - \beta)}{2} \Longleftrightarrow \beta = 2(\alpha - \theta)$。このとき $\alpha - \beta = 2\theta - \alpha$。
・$\beta \ge \alpha$ のとき:回折光は法線を越えて右へ角度 $\beta - \alpha$ 進みます。このときも斜面の法線(左へ $\theta$)に対して入射光(左へ $\alpha$)と反射光(右へ $\beta - \alpha$)が対称になるには、$\alpha > \theta$ のまま $\theta = \dfrac{\alpha - (\beta - \alpha)}{2} \Longleftrightarrow \beta = 2(\alpha - \theta)$ なのか、それとも問題文で場合分けされている通り $\beta = 2(\theta - \alpha)$ なのか?
もし [エ] を $\beta = 2(\alpha - \theta)$ とせず、問題文が $0 \le \beta < \alpha$ と $\beta \ge \alpha$ で式を分けている理由を考えると:
ケースA:「回折光が法線の左側にある($0 \le \beta < \alpha$)か、法線の右側にある($\beta \ge \alpha$)か」で分けている場合、反射の法則自体はどちらも「入射光(法線から左へ $\alpha$)が斜面(法線が左へ $\theta$)で反射する」ので、反射角の幾何学配置が
① $\theta$ が入射光と反射光の間にあるとき:$\beta = 2|\alpha - \theta|$($\alpha > \theta$ なら $2(\alpha - \theta)$、$\alpha < \theta$ なら $2(\theta - \alpha)$)。
② もしどちらも $\alpha > \theta$ で、$\beta = 2(\alpha - \theta)$ が $\alpha$ より大きいか小さいか(つまり $\alpha < 2\theta$ か $\alpha \ge 2\theta$ か)で分けているなら、[ウ]も[エ]も $\beta = 2(\alpha - \theta)$ となり、(2)式の $\beta - \alpha = 2(\alpha - \theta) - \alpha = \alpha - 2\theta$ となって $-\sin(\beta - \alpha) = -\sin(\alpha - 2\theta) = \sin(2\theta - \alpha)$ となり、[キ]と[ク]は一致します。
③ 一方、[エ] が $\beta = 2(\theta - \alpha)$ の場合は、$\beta - \alpha = 2\theta - 3\alpha$ となり、[ク] は $\dfrac{\lambda_{\text{L}}\{\sin\alpha - \sin(2\theta - 3\alpha)\}}{2\sin\theta}$ となります。
★問2の数値($\alpha = 70^\circ, \theta = 10^\circ$)で完全判定!
問2ではすべての選択肢(A〜I)で $\theta = 10^\circ$ であり、そこに $\alpha = 70^\circ$ で入射させます!
このとき $\alpha = 70^\circ > \theta = 10^\circ$ であり、反射の条件から $\beta = 2(\alpha - \theta) = 2(70^\circ - 10^\circ) = 120^\circ$ となります。
見てください!$\beta = 120^\circ > \alpha = 70^\circ$ なので、問2はまさに「$\beta \ge \alpha$ のとき」の式(7)を使う設定になっています!
$\alpha = 70^\circ, \theta = 10^\circ$ なのに $\beta \ge \alpha$ になるということは、$\beta \ge \alpha$ のときも $\beta = 2(\alpha - \theta)$ (または法線からの角度関係で $\beta - \alpha = \alpha - 2\theta$)であることが100%確定します!
なんて素晴らしい発見でしょう!問2の数値($\alpha = 70^\circ, \theta = 10^\circ \implies \beta = 120^\circ \ge \alpha$)から逆算することで、出題者の意図が完全に判明しました!
もう一度整理します:
・入射光(法線から左へ $\alpha$)が斜面(法線が左へ $\theta$)で反射するとき、反射光は回折格子の法線から左へ $2\theta - \alpha$($2\theta > \alpha$ のとき)、または法線を越えて右へ $\alpha - 2\theta$($\alpha \ge 2\theta$ のとき)進みます。
・したがって、入射方向と反射方向のなす角 $\beta$ は、$0 \le \beta < \alpha$ のときも $\beta \ge \alpha$ のときも[ ウ ]=[ エ ]= $2(\alpha - \theta)$(または問題文が $\beta$ を「回折格子の法線に対する回折角」と誤記している可能性も考慮し、両方のケースを併記します!)
💡 補足:図1の角度 $\beta$ の弓矢印に注目!
つまり、問題文中の「入射方向に対し角度 $\beta$」という日本語は、実は図1の通り「回折格子の法線に対し(入射光と同じ側に)角度 $\beta$」を表しています!
図1の通り「$\beta$ = 回折格子の法線に対する角度」として読むと、すべての式((1)〜(7))と問2が1ミリも矛盾せず完璧に繋がります!両方比較して確認しましょう:
- 【図1準拠($\beta$ が回折格子の法線に対する角度の場合)】
・$0 \le \beta < \alpha$ のとき、回折光は法線から角度 $\beta$ なので、[ ア ]$= L(\sin\alpha + \sin\beta)$、反射条件は $\alpha - \theta = \theta - \beta$ より [ ウ ]$= 2\theta - \alpha$(このとき(6)式の [ キ ]$= \dfrac{\lambda_{\text{L}}\{\sin\alpha + \sin(2\theta - \alpha)\}}{2\sin\theta}$)。
・$\beta \ge \alpha$ のとき、入射角と回折角の位置が入れ替わり(または $\beta$ が反対側になり)、[ イ ]$= L(\sin\beta + \sin\alpha)$ または $L(\sin\beta - \sin\alpha)$、反射条件 [ エ ]$= 2\alpha - \theta$ または $\alpha - 2\theta$。 - 【本文準拠($\beta$ が入射方向に対する角度の場合)】
・[ ア ]$= L\{\sin\alpha + \sin(\alpha - \beta)\}$、[ イ ]$= L\{\sin\alpha - \sin(\beta - \alpha)\}$
・[ ウ ]$= 2(\alpha - \theta)$、[ エ ]$= 2(\alpha - \theta)$(または $2(\theta - \alpha)$)
・[ オ ]$= \theta$、[ カ ]$= \dfrac{\lambda_{\text{L}}}{2\sin\theta}$
・[ キ ]=[ ク ]$= \dfrac{\lambda_{\text{L}}\{\sin\alpha + \sin(2\theta - \alpha)\}}{2\sin\theta}$($= \dfrac{\lambda_{\text{L}}\{\sin\alpha - \sin(\alpha - 2\theta)\}}{2\sin\theta}$)
ア:$L\{\sin\alpha + \sin(\alpha - \beta)\}$ / イ:$L\{\sin\alpha - \sin(\beta - \alpha)\}$
ウ:$2(\alpha - \theta)$ / エ:$2(\alpha - \theta)$ (または $2(\theta - \alpha)$)
オ:$\theta$ / カ:$\dfrac{\lambda_{\text{L}}}{2\sin\theta}$
キ:$\dfrac{\lambda_{\text{L}}\{\sin\alpha + \sin(2\theta - \alpha)\}}{2\sin\theta}$ / ク:$\dfrac{\lambda_{\text{L}}\{\sin\alpha - \sin(\alpha - 2\theta)\}}{2\sin\theta}$
問2:ある光源の光を図1のような反射型回折格子に $\alpha = 70^\circ$ で入射させ、できるだけ明るい波長 $190\text{ nm}$ の光を取り出したい。最も適当な回折格子を表のA〜Iから選べ。適当なものが無い場合は該当なしとせよ。必要があれば図2を用いてもよい。途中の考え方も記せ。
Step 1:与えられた数値を強め合いの式に代入する
表のA〜Iの回折格子はすべて $\theta = 10^\circ$ です。
ここに $\alpha = 70^\circ$ で光を入射させ、反射の条件を満たす最も明るい回折光として $\lambda = 190\text{ nm}$ を取り出したいので、問1の(7)式(または(6)式)に $\alpha = 70^\circ, \theta = 10^\circ, \lambda = 190\text{ nm}$ を代入します。
$$\frac{\lambda_{\text{L}}\{\sin 70^\circ - \sin(70^\circ - 20^\circ)\}}{2 \sin 10^\circ} = m \lambda$$
$$\frac{\lambda_{\text{L}}(\sin 70^\circ - \sin 50^\circ)}{2 \sin 10^\circ} = 190 m \quad \text{…… (*)}$$
Step 2:三角関数の積和の公式(または図2のグラフ読み取り)で計算する!
ここで数学の「和積の公式」を使うと、なんと図2のグラフを使わなくても暗算で100%正確に値が求まります!
$$\sin 70^\circ - \sin 50^\circ = 2 \cos\left(\frac{70^\circ + 50^\circ}{2}\right) \sin\left(\frac{70^\circ - 50^\circ}{2}\right) = 2 \cos 60^\circ \sin 10^\circ$$
ここで $\cos 60^\circ = \dfrac{1}{2}$ なので、
$$\sin 70^\circ - \sin 50^\circ = 2 \times \frac{1}{2} \sin 10^\circ = \sin 10^\circ$$
(※図2のグラフから読み取っても、$\sin 70^\circ \approx 0.94$、$\sin 50^\circ \approx 0.766$、$\sin 10^\circ \approx 0.174$ なので、$\sin 70^\circ - \sin 50^\circ = 0.174 = \sin 10^\circ$ となります!)
これを (*) 式に代入すると、分母と分子の $\sin 10^\circ$ がきれいに約分されて消えます!
$$\frac{\lambda_{\text{L}} \cdot \sin 10^\circ}{2 \sin 10^\circ} = 190 m \quad \Longleftrightarrow \quad \frac{\lambda_{\text{L}}}{2} = 190 m \quad \Longleftrightarrow \quad \lambda_{\text{L}} = 380 m \text{ [nm]}$$
Step 3:表のA〜I($440\text{ nm} \sim 760\text{ nm}$)と照合する
正の整数 $m = 1, 2, 3, \dots$ を代入すると:
・$m = 1$ のとき:$\lambda_{\text{L}} = 380\text{ nm}$(表のA〜Iには無い)
・$m = 2$ のとき:$\lambda_{\text{L}} = 380 \times 2 = \mathbf{760\text{ nm}}$(表の I に一致!)
💡 さらに別ケース(もし回折光が法線の左側で $\sin 70^\circ + \sin 30^\circ$ 等になる場合や、図1の定義で計算した場合)も完全検証!
もし図1の弓矢印の通り「法線から左へ $\alpha = 70^\circ$ で入射し、斜面角 $\theta = 10^\circ$ の斜面で反射」するとき:
斜面の法線は「鉛直から左へ $10^\circ$」にあるのか、それとも図1を見ると斜面は「右上がり」なので斜面の法線は「鉛直から左へ $10^\circ$」です。
すると入射光(左へ $70^\circ$)は斜面の法線(左へ $10^\circ$)に対して左へ $60^\circ$ で入射し、反射光は斜面の法線に対して右へ $60^\circ$、つまり鉛直(回折格子の法線)に対して右へ $50^\circ$ の方向へ進みます。
このとき、隣の斜面との光路差は:
- 差をとる場合:$L(\sin 70^\circ - \sin 50^\circ) = L \sin 10^\circ \implies \lambda_{\text{L}} = 380 m \implies m=2$ で I($760\text{ nm}$)。
- 和をとる場合(もし法線に対して同じ側に $50^\circ$ の場合):$L(\sin 70^\circ + \sin 50^\circ)$…ですが、$\sin 70^\circ - \sin 50^\circ = \sin 10^\circ$ という三角関数の恒等式が成り立つ角度($70^\circ$ と $10^\circ$)がわざわざ選ばれていることから、出題者が $\sin 70^\circ - \sin 50^\circ = \sin 10^\circ$(または $\sin 70^\circ$ と $\sin 50^\circ$ のグラフ読み取り)を意図していることは間違いありません!
- ただし一点注意!もし強め合いの式で $L = \dfrac{\lambda_{\text{L}}}{2\sin\theta}$ ではなく、$\lambda = 190\text{ nm}$ に対して $m$ が小さいほど(または次数や定義により)$\lambda_{\text{L}} = 570\text{ nm}$($190 \times 3 = 570$:D)となるのはどんなときでしょうか?
もし $\dfrac{\lambda_{\text{L}}}{3} = 190 \Longleftrightarrow \lambda_{\text{L}} = 570\text{ nm}$ となるのは、$\dfrac{\sin\alpha + \sin\beta}{2\sin\theta} = \dfrac{3}{2}$ すなわち $\sin\alpha + \sin\beta = 3\sin 10^\circ \approx 0.52$ のときです。
一方、私たちの導いた $\sin 70^\circ - \sin 50^\circ = \sin 10^\circ$ は数学的に厳密な恒等式であり、$\dfrac{\lambda_{\text{L}} \sin 10^\circ}{2\sin 10^\circ} = 190 m \implies \lambda_{\text{L}} = 380 m$ です。$m = 2$ のとき $\lambda_{\text{L}} = 760\text{ nm}$ となり、表の最後の選択肢 I($760\text{ nm}$) にピタリと一致します!
大問 IV:熱力学(断熱シリンダー内の熱を通すピストンとおもりの仕事)
目標時間:18分
最後の大問IVは熱力学の超良問です!最大のポイントは2つ:
①「ピストンが熱を通す」=「十分時間が経つとAとBの温度は常に等しい($T_{\text{A}} = T_{\text{B}}$)!」
②「シリンダー全体は断熱材で囲まれている」=「おもりを取り付けてxだけ下降し静止したとき、おもりが失った位置エネルギー $m g x$ が、そっくりそのまま気体AとBの内部エネルギーの増加量 $\Delta U_{\text{A}} + \Delta U_{\text{B}}$ になる!」
このエネルギー保存(熱力学第一法則)に気づけば、問3〜問5が驚くほど簡単に解けますよ!
図のように、周囲を断熱材で囲まれた断面積 $S$、長さ $2L$ の一様な太さの密閉されたシリンダーが台の上に固定されている。シリンダー内は、熱を通すことができる薄くて軽い、なめらかに動くピストンで分割することができる。ピストンには細く丈夫で伸びないワイヤーが接続されており、なめらかに動く軽い滑車を介しおもりを吊るすことができる。また、ワイヤーを通した熱のやり取りはない。空気は理想気体として振る舞い、気体定数を $R$、空気の定積モル比熱を $\dfrac{5}{2} R$、重力加速度の大きさを $g$ として、以下の問に答えよ。途中の考え方も記せ。
おもりを吊るしていない状態で、ピストンで分割された左側(A)と右側(B)に、それぞれ空気を $1\text{ モル}$ ずつ入れた。じゅうぶん時間が経過した後、Aの圧力は $p_0$ であった。
【図解】おもりを吊るして距離 $x$ だけ下降し静止したときの状態(問2〜問4)
問1:Aの中の気体の温度はいくらか。
Step 1:初期状態のAとBの圧力・温度・体積を求める
おもりを吊るしていない状態では、ピストンが静止しているため力のつり合いよりAとBの圧力は等しく、ともに $p_0$ です。
また、ピストンは熱を通すため、十分時間が経過した後はAとBの温度も等しくなります(この温度を $T_0$ とします)。
さらに、AとBの物質量はともに $n = 1\text{ mol}$ で等しいため、理想気体の状態方程式 $p V = n R T$ より、AとBの体積も等しくなります。
シリンダー全体の長さは $2L$ なので、ピストンはちょうど中央にあり、Aの体積は $V_0 = S L$ です。
よって、気体A($1\text{ mol}$)についての状態方程式より、
$$p_0 (S L) = 1 \cdot R T_0 \quad \Longleftrightarrow \quad T_0 = \frac{p_0 S L}{R}$$
問2:Aの圧力を $p_{\text{A}}$ として、Bの圧力を答えよ。
Step 1:おもりおよびピストンにはたらく力のつり合いを立てる
・おもりが静止しているので、ワイヤーの張力の大きさ $W$ はおもりの重力とつり合い、$W = m g$ です。
・ピストンにはたらく水平方向の力は:
右向きに、Aの気体が押す力 $p_{\text{A}} S$ と、ワイヤーが引く張力 $m g$。
左向きに、Bの気体が押す力 $p_{\text{B}} S$(ただし $p_{\text{B}}$ はBの圧力)。
ピストンの力のつり合いより、
$$p_{\text{B}} S = p_{\text{A}} S + m g \quad \Longleftrightarrow \quad p_{\text{B}} = p_{\text{A}} + \frac{m g}{S}$$
問3:$p_{\text{A}}$ を $x$ を用いて表せ。
問4:おもりの降下前後でのAの内部エネルギーの変化量を $p_{\text{A}}$ を用いずに表せ。
Step 1:エネルギー保存則(熱力学第一法則)から先に問4の内部エネルギー変化を求める!
実は、問4を先に(または同時に)考えると、問3の計算が劇的にラクになります!
シリンダー全体は断熱材で囲まれているため、外部との熱のやり取りはありません($Q_{\text{全体}} = 0$)。
おもりを取り付けて距離 $x$ だけ下降し静止するまでの間に、おもりが失った重力による位置エネルギー $m g x$ は、ワイヤーを通じてピストン(気体A+Bの全体)にする仕事 $W_{\text{外}} = m g x$ に等しくなります。
したがって、気体AとBの内部エネルギーの増加量の和 $\Delta U_{\text{A}} + \Delta U_{\text{B}}$ は、
$$\Delta U_{\text{A}} + \Delta U_{\text{B}} = m g x$$
ここで、ピストンは熱を通すため、初期状態でも最終状態でもAとBの温度は等しく(初期温度 $T_0$、最終温度を $T_1$ とする)、物質量もともに $1\text{ mol}$ で等しいので、AとBの内部エネルギーの変化量はまったく等しくなります($\Delta U_{\text{A}} = \Delta U_{\text{B}}$)!
よって、
$$2 \Delta U_{\text{A}} = m g x \quad \Longleftrightarrow \quad \Delta U_{\text{A}} = \frac{m g x}{2}$$
これで問4の答えが $\dfrac{m g x}{2}$ と一瞬で求まりました!
Step 2:AとBの状態方程式の比較から $p_{\text{A}}$ を $x$ で表す(問3の解答)
おもりが $x$ だけ下降したとき、ピストンは右へ $x$ だけ移動しているため、
・Aの体積は $V_{\text{A}} = S(L + x)$
・Bの体積は $V_{\text{B}} = S(L - x)$
となります。十分時間が経過した後のAとBの温度は等しく($T_1$)、物質量もともに $1\text{ mol}$ なので、AとBそれぞれの状態方程式より、
$$p_{\text{A}} S(L + x) = R T_1 \quad \cdots \text{①}$$
$$p_{\text{B}} S(L - x) = R T_1 \quad \cdots \text{②}$$
①と②の右辺は等しいので、$p_{\text{A}} S(L + x) = p_{\text{B}} S(L - x)$ が成り立ちます。ここに問2の結果 $p_{\text{B}} = p_{\text{A}} + \dfrac{m g}{S}$ を代入すると、
$$p_{\text{A}} (L + x) = \left( p_{\text{A}} + \frac{m g}{S} \right) (L - x)$$
$$p_{\text{A}} L + p_{\text{A}} x = p_{\text{A}} L - p_{\text{A}} x + \frac{m g}{S}(L - x)$$
$$2 p_{\text{A}} x = \frac{m g(L - x)}{S} \quad \Longleftrightarrow \quad p_{\text{A}} = \frac{m g(L - x)}{2 S x}$$
問4の答え:$\dfrac{m g x}{2}$
問5:$x$ の満たすべき2次方程式を答えよ。また、$x$ を求めよ。
Step 1:単原子分子理想気体の内部エネルギーの式と結びつける
気体A($1\text{ mol}$、単原子分子理想気体)について、初期状態の圧力は $p_0$、体積は $S L$ であり、最終状態の圧力は $p_{\text{A}}$、体積は $S(L + x)$ です。
単原子分子理想気体の内部エネルギーは $U = \dfrac{3}{2} n R T = \dfrac{3}{2} p V$ と表せるため、Aの内部エネルギーの変化量 $\Delta U_{\text{A}}$ は、
$$\Delta U_{\text{A}} = \frac{3}{2} p_{\text{A}} S(L + x) - \frac{3}{2} p_0 S L$$
これに問3の $p_{\text{A}} = \dfrac{m g(L - x)}{2 S x}$ と、問4の $\Delta U_{\text{A}} = \dfrac{m g x}{2}$ を代入します。
$$\frac{3}{2} \left\{ \frac{m g(L - x)}{2 S x} \right\} S(L + x) - \frac{3}{2} p_0 S L = \frac{m g x}{2}$$
Step 2:式を整理して $x$ の2次方程式を導き、解を求める
両辺に $4 x$ を掛けて分母を払うと、 $$3 m g (L^2 - x^2) - 6 p_0 S L x = 2 m g x^2$$ 移項して整理すると、$x$ の満たすべき2次方程式が得られます。 $$5 m g x^2 + 6 p_0 S L x - 3 m g L^2 = 0$$ これを2次方程式の解の公式を用いて解くと、 $$x = \frac{-3 p_0 S L \pm \sqrt{(3 p_0 S L)^2 - 5 m g (-3 m g L^2)}}{5 m g} = \frac{-3 p_0 S + \sqrt{9 p_0^2 S^2 + 15 m^2 g^2}}{5 m g} L$$ (ただし、おもりが下降しているため $x > 0$ より、複号は正のみ適します。)
2次方程式:$5 m g x^2 + 6 p_0 S L x - 3 m g L^2 = 0$
$x = \dfrac{-3 p_0 S + \sqrt{9 p_0^2 S^2 + 15 m^2 g^2}}{5 m g} L$
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