「途中式ゼロの赤本」で悩むのは今日で終わり!Sora先生&ニックニ先生の1ステップ完全講義
埼玉医科大学の物理(前期)は大問3題・マーク番号1〜28(制限時間は理科2科目で90分、1科目あたり約45分)です。典型的な題材に見えて、大問1のすっとびボール(2球の落下衝突)や大問3のコンデンサーの電荷再配分からの電気振動(初期電荷が残るタイプ!)など、公式の丸暗記では絶対に引っかかる良問が並んでいます。どの式をどう連立し、どう変形したのか、1行も飛ばさずに解説します!
⚡ 解答一覧(スピードチェック:解答番号 1 〜 28)
まずは自分の答え合わせに活用しよう!【大問 1】力学:2つの小球と壁・床の衝突(すっとびボールの原理)
【大問 2】熱力学:気体分子運動論と断熱変化
【大問 3】電磁気:コンデンサーの接続切り替えと電気振動
大問 1 : 力学(2つの小球の壁・床との連続衝突)
解答番号 1 〜 9
大問1は、2つの小球A、Bが壁(前半〔1〕)や床(後半〔2〕)にぶつかって跳ね返り、直後にAとBが正面衝突する、いわゆる「すっとびボール(2段ロケット衝突)」の問題だよ!
一番の急所は、「〔1〕の水平な壁との衝突」と「〔2〕の鉛直な床との衝突」が、正の向きの取り方まで含めて数学的にまったく同じ現象になっていることに気づけるかどうか!前半の問2で計算した $v_{\text{A}}, v_{\text{B}}$ の式をそのまま後半の問4・問5に使い回せば、計算時間を半分以下に短縮できるよ!
大きさの無視できる2つの小球 $\text{A}, \text{B}$ がある。$\text{A}$ の質量を $m_{\text{A}}$、$\text{B}$ の質量を $m_{\text{B}}$ とし、$\text{A}$ と $\text{B}$ の運動は同一直線上で行われるものとする。
〔1〕水平で滑らかな床面を同じ向きに進む $\text{A}, \text{B}$ および鉛直な壁の衝突を考える。図1のように $\text{A}$ と $\text{B}$ が並んでおり、$\text{B}$ が先に壁に衝突するものとする。$\text{A}$ と $\text{B}$ が壁へ進む向きを正とし、初速度はどちらも $v \, (>0)$ とする。$\text{B}$ と壁との間、$\text{A}$ と $\text{B}$ との間の反発係数は共に $e \, (0 < e \leqq 1)$ とする。
問 1 : Bが壁に衝突した直後の運動量の和と相対速度
$\text{B}$ が壁に衝突した直後の、$\text{A}$ と $\text{B}$ の運動量の和は 1 $v$ であり、$\text{B}$ から見た $\text{A}$ の相対速度は 2 $v$ である。
(1) 1 の選択肢:① $(m_{\text{A}}+m_{\text{B}})$ ② $(m_{\text{A}}-m_{\text{B}})$ ③ $(-m_{\text{A}}+m_{\text{B}})$ ④ $(m_{\text{A}}+em_{\text{B}})$ ⑤ $(m_{\text{A}}-em_{\text{B}})$ ⑥ $(-m_{\text{A}}+em_{\text{B}})$ ⑦ $(em_{\text{A}}+m_{\text{B}})$ ⑧ $(em_{\text{A}}-m_{\text{B}})$ ⑨ $(-em_{\text{A}}+m_{\text{B}})$
(2) 2 の選択肢:① $1$ ② $e$ ③ $(1+e)$ ④ $(1-e)$ ⑤ $-1$ ⑥ $-e$ ⑦ $-(1+e)$ ⑧ $(-1+e)$ ⑨ $0$
問題文より、右向き(壁へ進む向き)が正です。
小球 $\text{B}$ は壁に速さ $v$(速度 $+v$)で衝突し、反発係数 $e$ で左向き(負の向き)にはね返ります。
したがって、壁と衝突した直後の $\text{B}$ の速度 $v_{\text{B}}'$ は、
$$v_{\text{B}}' = -e v$$
一方、小球 $\text{A}$ はまだ何にも衝突していないので、速度 $v_{\text{A}}'$ は初速度のままです。
$$v_{\text{A}}' = +v$$
運動量は「質量 $\times$ 速度(符号付き!)」です。$\text{A}$ と $\text{B}$ の運動量の和 $P$ は、 $$P = m_{\text{A}} v_{\text{A}}' + m_{\text{B}} v_{\text{B}}' = m_{\text{A}} v + m_{\text{B}} (-ev) = (m_{\text{A}} - e m_{\text{B}}) v$$ よって、1 に入るのは ⑤ $(m_{\text{A}} - e m_{\text{B}})$ です。
「$\text{B}$ から見た $\text{A}$ の相対速度 $v_{\text{BA}}$」は、公式通り「(相手 $\text{A}$ の速度)$-$(自分 $\text{B}$ の速度)」で計算します。符号ミスに気をつけて代入しましょう! $$v_{\text{BA}} = v_{\text{A}}' - v_{\text{B}}' = v - (-ev) = (1 + e) v$$ よって、2 に入るのは ③ $(1 + e)$ です。
問 2 : AとBが衝突した直後のAとBの速度 $v_{\text{A}}, v_{\text{B}}$
$\text{B}$ が壁に衝突し、続いて $\text{A}$ と $\text{B}$ とが衝突した後の、$\text{A}$ と $\text{B}$ の速度をそれぞれ $v_{\text{A}}, v_{\text{B}}$ とすると、$v_{\text{A}} =$ 3 $v$、$v_{\text{B}} =$ 4 $v$ である。
選択肢:① $-1$ ② $-e$ ③ $e$ ④ $\dfrac{m_{\text{A}}-em_{\text{B}}}{m_{\text{A}}+m_{\text{B}}}$ ⑤ $\dfrac{m_{\text{A}}-(1+2e)m_{\text{B}}}{m_{\text{A}}+m_{\text{B}}}$ ⑥ $\dfrac{m_{\text{A}}-3em_{\text{B}}}{m_{\text{A}}+m_{\text{B}}}$ ⑦ $\dfrac{m_{\text{A}}-(2+e)em_{\text{B}}}{m_{\text{A}}+m_{\text{B}}}$ ⑧ $\dfrac{(1+2e)m_{\text{A}}}{m_{\text{A}}+m_{\text{B}}}$ ⑨ $\dfrac{(1+e)em_{\text{A}}-(2+e)em_{\text{B}}}{m_{\text{A}}+m_{\text{B}}}$ ⓪ $\dfrac{(1+e+e^2)m_{\text{A}}-em_{\text{B}}}{m_{\text{A}}+m_{\text{B}}}$
未知の速度 $v_{\text{A}}, v_{\text{B}}$ はどちらも正の向き(右向き)と仮定して式を立てます。
① 運動量保存則(衝突直前の運動量の和は問1(1)で求めた $(m_{\text{A}} - e m_{\text{B}}) v$):
$$m_{\text{A}} v_{\text{A}} + m_{\text{B}} v_{\text{B}} = (m_{\text{A}} - e m_{\text{B}}) v \quad \cdots \text{①}$$
② AとBの間の反発係数の式(反発係数 $e$):
$$v_{\text{A}} - v_{\text{B}} = -e (v_{\text{A}}' - v_{\text{B}}')$$
ここで、$v_{\text{A}}' - v_{\text{B}}'$ は問1(2)で求めた相対速度 $(1 + e) v$ なので、そのまま代入できます!
$$v_{\text{A}} - v_{\text{B}} = -e (1 + e) v \quad \cdots \text{②}$$
②式より、$v_{\text{B}}$ を消去するために②の両辺に $m_{\text{B}}$ を掛けます。 $$m_{\text{B}} v_{\text{A}} - m_{\text{B}} v_{\text{B}} = - m_{\text{B}} e(1+e) v \quad \cdots \text{②}'$$ ①式 $+$ ②$'$式 を計算すると、$m_{\text{B}} v_{\text{B}}$ が消去されます。 $$(m_{\text{A}} + m_{\text{B}}) v_{\text{A}} = (m_{\text{A}} - e m_{\text{B}}) v - m_{\text{B}} e(1+e) v$$ 右辺の $m_{\text{B}}$ の係数を丁寧にまとめましょう: $$\begin{aligned} (m_{\text{A}} + m_{\text{B}}) v_{\text{A}} &= \left\{ m_{\text{A}} - e m_{\text{B}} - (e + e^2) m_{\text{B}} \right\} v \\ &= \left\{ m_{\text{A}} - (2e + e^2) m_{\text{B}} \right\} v \\ &= \left\{ m_{\text{A}} - (2 + e) e m_{\text{B}} \right\} v \end{aligned}$$ 両辺を $(m_{\text{A}} + m_{\text{B}})$ で割ると、 $$v_{\text{A}} = \frac{m_{\text{A}} - (2 + e) e m_{\text{B}}}{m_{\text{A}} + m_{\text{B}}} v$$ よって、3 に入るのは ⑦ $\dfrac{m_{\text{A}} - (2 + e) e m_{\text{B}}}{m_{\text{A}} + m_{\text{B}}}$ です。
②式 $v_{\text{A}} - v_{\text{B}} = -e(1+e)v$ より、 $$v_{\text{B}} = v_{\text{A}} + e(1+e) v$$ ここに今求めた $v_{\text{A}}$ を代入して、分母 $(m_{\text{A}} + m_{\text{B}})$ で通分します! $$\begin{aligned} v_{\text{B}} &= \frac{m_{\text{A}} - (2 + e) e m_{\text{B}}}{m_{\text{A}} + m_{\text{B}}} v + \frac{(1 + e) e (m_{\text{A}} + m_{\text{B}})}{m_{\text{A}} + m_{\text{B}}} v \\ &= \frac{m_{\text{A}} - (2e + e^2) m_{\text{B}} + (e + e^2) m_{\text{A}} + (e + e^2) m_{\text{B}}}{m_{\text{A}} + m_{\text{B}}} v \end{aligned}$$ 分子の $m_{\text{A}}$ の項と $m_{\text{B}}$ の項をそれぞれ整理すると、
- $m_{\text{A}}$ の係数:$1 + e + e^2$ ……みましょう!
分子の $m_{\text{A}}$ の係数は $1 + e + e^2$、$m_{\text{B}}$ の係数は $-(2e+e^2) + (e+e^2) = -e$ です!
したがって、正しくは $$v_{\text{B}} = \frac{(1 + e + e^2) m_{\text{A}} - e m_{\text{B}}}{m_{\text{A}} + m_{\text{B}}} v$$ となります!分子の $m_{\text{B}}$ の項から $-e^2 m_{\text{B}}$ と $+e^2 m_{\text{B}}$ が打ち消し合って $-e m_{\text{B}}$ だけが残るのです!
もう一度分子の計算を1項ずつ確認しましょう: $$\begin{aligned} \text{分子} &= \left\{ 1 + (1 + e) e \right\} m_{\text{A}} + \left\{ -(2 + e)e + (1 + e)e \right\} m_{\text{B}} \\ &= (1 + e + e^2) m_{\text{A}} + (-2e - e^2 + e + e^2) m_{\text{B}} \\ &= (1 + e + e^2) m_{\text{A}} - e m_{\text{B}} \end{aligned}$$ したがって、 $$v_{\text{B}} = \frac{(1 + e + e^2) m_{\text{A}} - e m_{\text{B}}}{m_{\text{A}} + m_{\text{B}}} v$$ よって、4 に入るのは ⓪ $\dfrac{(1 + e + e^2) m_{\text{A}} - e m_{\text{B}}}{m_{\text{A}} + m_{\text{B}}}$ です!(※スピードチェック欄も⓪に合わせて確認しておきましょう!)
問 3 : Bとの衝突によりAが受けた力積
$\text{B}$ との衝突により $\text{A}$ が受けた力積は 5 $m_{\text{A}} v$ である。
選択肢:① $-1$ ② $-2$ ③ $-(1+e)$ ④ $\dfrac{-(1+e)m_{\text{B}}}{m_{\text{A}}+m_{\text{B}}}$ ⑤ $\dfrac{-2em_{\text{B}}}{m_{\text{A}}+m_{\text{B}}}$ ⑥ $\dfrac{-(1+3e)m_{\text{B}}}{m_{\text{A}}+m_{\text{B}}}$ ⑦ $\dfrac{-(1+e)^2 m_{\text{B}}}{m_{\text{A}}+m_{\text{B}}}$ ⑧ $\dfrac{2em_{\text{A}}-m_{\text{B}}}{m_{\text{A}}+m_{\text{B}}}$ ⑨ $\dfrac{(-1+e+e^2)m_{\text{A}}-(1+e)^2 m_{\text{B}}}{m_{\text{A}}+m_{\text{B}}}$ ⓪ $\dfrac{(1+e)em_{\text{A}}-(1+e)m_{\text{B}}}{m_{\text{A}}+m_{\text{B}}}$
物体が受けた力積 $I_{\text{A}}$ は、「(衝突後の $\text{A}$ の運動量)$-$(衝突前の $\text{A}$ の運動量)」に等しくなります。
衝突前の $\text{A}$ の速度は $v_{\text{A}}' = v$、衝突後の $\text{A}$ の速度は問2で求めた $v_{\text{A}}$ です。
$$\begin{aligned}
I_{\text{A}} &= m_{\text{A}} v_{\text{A}} - m_{\text{A}} v = m_{\text{A}} (v_{\text{A}} - v) \\
&= m_{\text{A}} \left( \frac{m_{\text{A}} - (2 + e) e m_{\text{B}}}{m_{\text{A}} + m_{\text{B}}} - 1 \right) v \\
&= m_{\text{A}} \left( \frac{m_{\text{A}} - (2e + e^2) m_{\text{B}} - (m_{\text{A}} + m_{\text{B}})}{m_{\text{A}} + m_{\text{B}}} \right) v \\
&= \frac{-(1 + 2e + e^2) m_{\text{B}}}{m_{\text{A}} + m_{\text{B}}} m_{\text{A}} v \\
&= \frac{-(1 + e)^2 m_{\text{B}}}{m_{\text{A}} + m_{\text{B}}} m_{\text{A}} v
\end{aligned}$$
よって、5 に入るのは ⑦ $\dfrac{-(1+e)^2 m_{\text{B}}}{m_{\text{A}}+m_{\text{B}}}$ です。
〔2〕次に、床の上の同じ位置から小球を $\text{B}, \text{A}$ の順に続けて落とす。$\text{A}$ と $\text{B}$ の初速度はどちらも $0$ とする。$\text{B}$ が床に衝突する直前の様子を図2に示す。$\text{B}$ が先に床と衝突してはねかえった後、すぐに $\text{A}$ と $\text{B}$ とが衝突する。これらの衝突の時間差は落下時間に比べて極めて短く、$\text{B}$ が床に衝突してから $\text{A}$ と衝突するまでの重力による $\text{B}$ の速度の変化は無視でき、$\text{A}$ と $\text{B}$ との衝突は床面直上で起こるものとする。$\text{B}$ と床との間、$\text{A}$ と $\text{B}$ との間の反発係数は共に $e \, (0 < e \leqq 1)$ とする。また、鉛直下向きを正の向きとする。
問 4 : 衝突直後のBの運動エネルギーが0となる条件
仮定から、$\text{B}$ が床に衝突する直前の $\text{B}$ の速度と $\text{A}$ が $\text{B}$ に衝突する直前の $\text{A}$ の速度は等しく、それを $v$ とする。$\text{A}$ と $\text{B}$ とが衝突した直後の $\text{B}$ の運動エネルギーが $0$ となるとき、$m_{\text{B}} =$ 6 $m_{\text{A}}$ が成り立つ。
選択肢:① $e$ ② $(1+e)$ ③ $(1-e)$ ④ $\left(1+\dfrac{1}{e}\right)$ ⑤ $\left(1-\dfrac{1}{e}\right)$ ⑥ $(1+e+e^2)$ ⑦ $(1-e+e^2)$ ⑧ $\left(\dfrac{1}{e}+1+e\right)$ ⑨ $1$
〔2〕では「鉛直下向き(床へ進む向き)が正」であり、衝突直前の速度はともに $+v$、$\text{B}$ が床とはね返った直後の速度は $-ev$ です。
これは〔1〕と文字も符号もすべて同一なので、$\text{A}$ と $\text{B}$ が衝突した直後の速度 $v_{\text{A}}, v_{\text{B}}$ は、問2で求めた式がそのまま成り立ちます!
$$v_{\text{B}} = \frac{(1 + e + e^2) m_{\text{A}} - e m_{\text{B}}}{m_{\text{A}} + m_{\text{B}}} v$$
「衝突した直後の $\text{B}$ の運動エネルギーが $0$ となる」とは、すなわち $v_{\text{B}} = 0$ となることです。
上式の分子 $= 0$ とおくと、
$$(1 + e + e^2) m_{\text{A}} - e m_{\text{B}} = 0 \quad \Longleftrightarrow \quad e m_{\text{B}} = (1 + e + e^2) m_{\text{A}}$$
両辺を $e \, (>0)$ で割ると、
$$m_{\text{B}} = \left( \frac{1}{e} + 1 + e \right) m_{\text{A}}$$
よって、6 に入るのは ⑧ $\left(\dfrac{1}{e} + 1 + e\right)$ です!
問 5 : $e=1$ におけるAの力学的エネルギーの最大値と最高到達点
以下では $e = 1$ とする。このとき $\text{B}$ と床、$\text{A}$ と $\text{B}$、いずれの衝突においても $\text{A}, \text{B}$ の力学的エネルギーの和は保存する。位置エネルギーの基準を床面とする。
全質量 $m_{\text{A}} + m_{\text{B}} \, (= M \text{ とする})$ を一定にして、$m_{\text{A}}$ と $m_{\text{B}}$ の質量比のみを変えて、$\text{A}$ と $\text{B}$ を落下させる。このとき、$\text{A}$ と $\text{B}$ の衝突後の $\text{A}$ の力学的エネルギーが最大になるのは、$m_{\text{A}} =$ 7 $M$ のときであり、その最大値は 8 $M v^2$ である。また、そのときはねかえった後の $\text{A}$ の最高到達点の高さは、はじめの高さの 9 倍である。
選択肢:① $5$ ② $4$ ③ $3$ ④ $2$ ⑤ $1$ ⑥ $\dfrac{1}{2}$ ⑦ $\dfrac{1}{3}$ ⑧ $\dfrac{1}{4}$ ⑨ $\dfrac{1}{5}$
普通に $K_{\text{A}} = \frac{1}{2} m_{\text{A}} v_{\text{A}}^2$ を $m_{\text{A}}$ の関数として微分しても解けますが、問題文の「いずれの衝突においてもA、Bの力学的エネルギーの和は保存する」という一文が特大のヒントです!
床面(高さ $0$)の直上で衝突するため、位置エネルギーはどちらも $0$ です。衝突前の $\text{A}, \text{B}$ の力学的エネルギーの和 $E_{\text{全}}$ は、
$$E_{\text{全}} = \frac{1}{2} m_{\text{A}} v^2 + \frac{1}{2} m_{\text{B}} v^2 = \frac{1}{2} (m_{\text{A}} + m_{\text{B}}) v^2 = \frac{1}{2} M v^2 \quad (\text{一定!})$$
衝突後も力学的エネルギーの和は保存するので、衝突直後の $\text{A}, \text{B}$ の運動エネルギーを $K_{\text{A}}, K_{\text{B}}$ とすると、
$$K_{\text{A}} + K_{\text{B}} = \frac{1}{2} M v^2 \quad \Longleftrightarrow \quad K_{\text{A}} = \frac{1}{2} M v^2 - K_{\text{B}}$$
運動エネルギーは常に $K_{\text{B}} \geqq 0$ ですから、$K_{\text{A}}$ が最大になるのは、$\text{B}$ の運動エネルギー $K_{\text{B}} = 0$(つまり問4のように衝突後に $\text{B}$ がピタッと静止し、全エネルギー $\frac{1}{2} M v^2$ をすべて $\text{A}$ が受け取るとき!)です!
問4の結果 $m_{\text{B}} = \left(\frac{1}{e} + 1 + e\right) m_{\text{A}}$ に $e = 1$ を代入すると、$K_{\text{B}} = 0$ となる条件は、
$$m_{\text{B}} = (1 + 1 + 1) m_{\text{A}} = 3 m_{\text{A}}$$
全質量 $M = m_{\text{A}} + m_{\text{B}}$ に $m_{\text{B}} = 3 m_{\text{A}}$ を代入すると、
$$M = m_{\text{A}} + 3 m_{\text{A}} = 4 m_{\text{A}} \quad \Longleftrightarrow \quad m_{\text{A}} = \frac{1}{4} M$$
よって、7 は ⑧ $\dfrac{1}{4}$ です。
そしてこのとき、$K_{\text{B}} = 0$ なので、$\text{A}$ の力学的エネルギーの最大値 $K_{\text{A max}}$ は全エネルギーそのものに等しく、
$$K_{\text{A max}} = \frac{1}{2} M v^2$$
よって、8 は ⑥ $\dfrac{1}{2}$ です。
はじめの高さを $h$ とすると、初速度 $0$ で高さ $h$ から落下して床面直上で速さ $v$ になったので、力学的エネルギー保存則より、
$$m_{\text{A}} g h = \frac{1}{2} m_{\text{A}} v^2 \quad \Longleftrightarrow \quad h = \frac{v^2}{2g}$$
一方、$e=1, m_{\text{A}} = \frac{1}{4} M \, (m_{\text{B}} = 3 m_{\text{A}})$ のとき、衝突直後の $\text{A}$ の速度 $v_{\text{A}}$ を問2の式から求めると、
$$v_{\text{A}} = \frac{m_{\text{A}} - (2+1)\cdot 1 \cdot (3m_{\text{A}})}{m_{\text{A}} + 3m_{\text{A}}} v = \frac{1 - 9}{4} v = -2 v$$
(または $\frac{1}{2} m_{\text{A}} v_{\text{A}}^2 = \frac{1}{2} M v^2 = \frac{1}{2} (4m_{\text{A}}) v^2$ より $|v_{\text{A}}| = 2v$ でもOK!)
つまり、衝突直後の $\text{A}$ の速さは落下直前の $2$ 倍($2v$)になります!
最高到達点の高さ $h'$ は速さの $2$ 乗に比例するので、
$$m_{\text{A}} g h' = \frac{1}{2} m_{\text{A}} (2v)^2 = 4 \times \left(\frac{1}{2} m_{\text{A}} v^2\right) = 4 m_{\text{A}} g h \quad \Longleftrightarrow \quad h' = 4 h$$
よって、はじめの高さの $4$ 倍となり、9 は ② $4$ です!
大問 2 : 熱力学(気体分子運動論とポアソンの式)
解答番号 10 〜 21
大問2は、教科書でおなじみの「立方体容器内の気体分子運動論」の導出と、「2乗平均速度 $\sqrt{\overline{v^2}} = \sqrt{\frac{3RT}{M}}$」を使った数値計算・断熱変化の問題だよ!
ここで絶対に引っかかってはいけないトラップが問1(1)!「壁が分子から受ける力積」ではなく、「分子が壁Sから受ける力積(符号付き)」が聞かれていること!$x$ 軸の正の向きに進んで壁 $\text{S}$ にぶつかり、負の向きにはね返るから、分子が受ける力積は負($-2mv_x$)になるよ。ここさえ冷静に読めば大問2は満点が狙える得点源だよ!
図1のように、一辺の長さ $L$ の立方体容器内に、質量 $m$ の単原子分子 $N$ 個からなる理想気体が入っている。気体分子は容器の壁と弾性衝突をし、どの方向にも偏りなく運動する。また、分子どうしの衝突と重力の影響は無視できるものとする。気体定数を $R$、絶対温度を $T$ とする。
問 1 : 気体分子運動論の基本導出
容器内の、ある分子の $x$ 軸方向の速度成分を $v_x$ とする。この分子が $x$ 軸に垂直な壁 $\text{S}$ に衝突することを考える。この分子が $1$ 回の衝突で壁 $\text{S}$ から受ける力積は 10 である。また、この分子が壁 $\text{S}$ に衝突してから、再び壁 $\text{S}$ に衝突するまでの時間は 11 であるから、この分子が壁 $\text{S}$ に及ぼす平均の力は 12 となる。ここで、壁 $\text{S}$ が受ける力 $F$ は $N$ 個の分子が及ぼす平均の力の合計であるから、分子の速さの $2$ 乗の平均値を $\overline{v^2}$ とすると、壁 $\text{S}$ が気体から受ける力 $F$ は 13 $m \overline{v^2}$ となる。そして、容器内の圧力 $p$ は $F$ を壁 $\text{S}$ の面積 $L^2$ で割ることで求められる。
(1) 10:① $mv_x^2$ ② $\frac{1}{2}mv_x^2$ ③ $2mv_x$ ④ $mv_x$ ⑤ $0$ ⑥ $-mv_x$ ⑦ $-2mv_x$ ⑧ $-\frac{1}{2}mv_x^2$ ⑨ $-mv_x^2$
(2) 11:① $\frac{3L}{2v_x}$ ② $\frac{L}{2v_x}$ ③ $\frac{L}{v_x}$ ④ $\frac{2L}{v_x}$ ⑤ $\frac{v_x}{L}$ ⑥ $\frac{v_x}{2L}$ ⑦ $\frac{2v_x}{L}$ ⑧ $v_x L$ ⑨ $2v_x L$
(3) 12:① $\frac{mv_x}{L}$ ② $\frac{mv_x^2}{L}$ ③ $\frac{2mv_x}{L}$ ④ $\frac{2mv_x^2}{L}$ ⑤ $\frac{mv_x}{2L}$ ⑥ $\frac{mv_x^2}{2L}$ ⑦ $mv_x L$ ⑧ $2mv_x L$ ⑨ $\frac{mv_x L}{2}$
(4) 13:① $\frac{1}{2NL}$ ② $\frac{1}{NL}$ ③ $\frac{2}{NL}$ ④ $\frac{3}{NL}$ ⑤ $\frac{3N}{L}$ ⑥ $\frac{N}{L}$ ⑦ $\frac{N}{2L}$ ⑧ $\frac{N}{3L}$ ⑨ $NL$
壁 $\text{S}$($x = L$ の面)に衝突する分子は、衝突前に $x$ 軸の正の向きの速度成分 $+v_x \, (>0)$ を持ち、弾性衝突によって衝突後に $-v_x$ となります。
したがって、分子が壁 $\text{S}$ から受ける力積(=分子の運動量の変化)は、
$$(\text{衝突後の運動量}) - (\text{衝突前の運動量}) = m(-v_x) - m v_x = -2 m v_x$$
よって、10 は ⑦ $-2 m v_x$ です。(※作用・反作用の法則により、壁 $\text{S}$ が受ける力積は $+2 m v_x$ になります。)
壁 $\text{S}$($x=L$)で跳ね返った分子が、向かい側の壁($x=0$)で跳ね返って再び壁 $\text{S}$($x=L$)に戻ってくるまでに、$x$ 軸方向に進む往復距離は $2L$ です。
$x$ 軸方向の速さは変わらず $v_x$ なので、かかる時間 $\Delta t$ は、
$$\Delta t = \frac{2L}{v_x}$$
よって、11 は ④ $\dfrac{2L}{v_x}$ です。
時間 $\Delta t$ の間に壁 $\text{S}$ が $1$ 個の分子から受ける力積は $+2 m v_x$ です。
これを時間 $\Delta t$ で割ると、$1$ 個の分子が壁 $\text{S}$ に及ぼす平均の力 $f$ が求まります。
$$f = \frac{2 m v_x}{\Delta t} = \frac{2 m v_x}{\dfrac{2L}{v_x}} = \frac{m v_x^2}{L}$$
よって、12 は ② $\dfrac{m v_x^2}{L}$ です。
$N$ 個の分子について平均をとると、壁 $\text{S}$ が受ける合力の大きさ $F$ は、 $$F = N \overline{f} = \frac{N m \overline{v_x^2}}{L}$$ ここで、分子の速さの $2$ 乗は三平方の定理より $v^2 = v_x^2 + v_y^2 + v_z^2$ であり、分子はどの方向にも偏りなく運動するため(等方性)、 $$\overline{v_x^2} = \overline{v_y^2} = \overline{v_z^2} \quad \Longrightarrow \quad \overline{v^2} = 3 \overline{v_x^2} \quad \Longleftrightarrow \quad \overline{v_x^2} = \frac{1}{3} \overline{v^2}$$ これを $F$ の式に代入すると、 $$F = \frac{N}{3L} m \overline{v^2}$$ よって、13 は ⑧ $\dfrac{N}{3L}$ です。
問 2 : 等温圧縮で圧力が大きくなるミクロな理由
理想気体の温度を一定に保ちつつ、体積を小さくすると圧力は大きくなる。この理由として最も適切なものを、次の①〜⑤のうちから1つ選べ。14
① 体積を小さくする際に気体がされた仕事により、気体分子の2乗平均速度が大きくなる(運動エネルギーが増す)ので、圧力は大きくなる。
② 体積を小さくする際に気体がされた仕事により、気体分子の分子間力による位置エネルギーが増すので、圧力は大きくなる。
③ 気体分子の1回の衝突における力積が大きくなるので、圧力は大きくなる。
④ 単位面積あたりの、気体分子が容器の壁に衝突する回数が増えるので、圧力は大きくなる。
⑤ 体積を小さくする際に気体がした仕事により、圧力は大きくなる。
- 温度 $T$ が一定なので、気体分子の運動エネルギー(2乗平均速度)は変化しません(①は誤り)。また、1回の衝突で壁に与える力積の平均も変化しません(③は誤り)。
- 理想気体では分子間力による位置エネルギーは無視します(②は誤り)。
- 体積 $V$ を小さくすると、容器内の分子の数密度(単位体積あたりの分子数)が増え、また往復距離が短くなるため、単位時間・単位面積あたりに気体分子が容器の壁に衝突する回数が増えます。その結果、圧力が大きくなります!
問 3 : 気体分子の運動エネルギーの総和の数値計算
$0\,^\circ\text{C} \, (= 273\text{ K})$、$1.0 \times 10^5\text{ Pa}$ の気体 $1\text{ m}^3$ あたりの気体分子の運動エネルギーの総和は 15 . 16 $\times 10^{\text{[ 17 ]}}\text{ J}$ である。
問1(4)より、圧力 $p = \dfrac{F}{L^2} = \dfrac{N m \overline{v^2}}{3 L^3} = \dfrac{N m \overline{v^2}}{3 V}$ すなわち
$$pV = \frac{1}{3} N m \overline{v^2} = \frac{2}{3} N \left( \frac{1}{2} m \overline{v^2} \right)$$
ここで、$N \left( \dfrac{1}{2} m \overline{v^2} \right)$ がまさに「気体分子の運動エネルギーの総和 $U$」です!
したがって、温度 $273\text{ K}$ を使わなくても、$p = 1.0 \times 10^5\text{ Pa}$、$V = 1\text{ m}^3$ を代入するだけで一発で求まります!
$$U = N \left( \frac{1}{2} m \overline{v^2} \right) = \frac{3}{2} p V = \frac{3}{2} \times (1.0 \times 10^5\text{ Pa}) \times (1\text{ m}^3) = 1.5 \times 10^5\text{ J}$$
よって、15 $=$ 1、16 $=$ 5、17 $=$ 5 です。
問 4 : HeとNeの2乗平均速度の比較
$27\,^\circ\text{C}$ のときの $\text{He}$ の2乗平均速度が $1.37 \times 10^3\text{ m/s}$ であったとすると、$687\,^\circ\text{C}$ における $\text{Ne}$ の2乗平均速度はおよそ 18 . 19 $\times 10^{\text{[ 20 ]}}\text{ m/s}$ である。ただし、$\text{He}$ の原子量を $4.0$ とし、$\text{Ne}$ の原子量を $20$ とする。
気体分子 $1\text{ mol}$($N_{\text{A}}$ 個)の質量をモル質量 $M_{\text{mol}}$(原子量に比例)とすると、$\frac{1}{3} N_{\text{A}} m \overline{v^2} = \frac{1}{3} M_{\text{mol}} \overline{v^2} = RT$ より、2乗平均速度 $v_{\text{rms}} = \sqrt{\overline{v^2}}$ は、 $$\sqrt{\overline{v^2}} = \sqrt{\frac{3RT}{M_{\text{mol}}}} \propto \sqrt{\frac{T}{(\text{原子量})}}$$ すなわち、2乗平均速度は「絶対温度 $T$ の平方根に比例」し、「原子量の平方根に反比例」します!
まず、セルシウス温度に $273$ を足して絶対温度 $T\text{ [K]}$ に直します(ここ超重要!):
- $\text{He}$ の絶対温度:$T_{\text{He}} = 27 + 273 = 300\text{ K}$、原子量 $4.0$
- $\text{Ne}$ の絶対温度:$T_{\text{Ne}} = 687 + 273 = 960\text{ K}$、原子量 $20$
よって、18 $=$ 1、19 $=$ 1、20 $=$ 3 です。
問 5 : 断熱変化における2乗平均速度の変化率
熱の出入りを断って気体の体積を $V_0$ から $V$ に変化させると、気体分子の2乗平均速度は 21 倍となる。ただし、必要であれば、断熱変化の際の圧力 $p$ と体積 $V$ の関係 $pV^\gamma = \text{一定}$、または、温度 $T$ と体積 $V$ の関係 $TV^{\gamma-1} = \text{一定}$ を用いてもよい。
選択肢:① $\sqrt{\left(\dfrac{V_0}{V}\right)^\gamma}$ ② $\sqrt{\left(\dfrac{V_0}{V}\right)^{\gamma-1}}$ ③ $\sqrt{\left(\dfrac{V}{V_0}\right)^\gamma}$ ④ $\sqrt{\left(\dfrac{V}{V_0}\right)^{\gamma-1}}$ ⑤ $1$ ⑥ $\left(\dfrac{V_0}{V}\right)^\gamma$ ⑦ $\left(\dfrac{V_0}{V}\right)^{\gamma-1}$ ⑧ $\left(\dfrac{V}{V_0}\right)^\gamma$ ⑨ $\left(\dfrac{V}{V_0}\right)^{\gamma-1}$
変化前の絶対温度を $T_0$、変化後の絶対温度を $T$ とすると、断熱変化の関係式 $TV^{\gamma-1} = \text{一定}$ より、 $$T V^{\gamma-1} = T_0 V_0^{\gamma-1} \quad \Longleftrightarrow \quad \frac{T}{T_0} = \left( \frac{V_0}{V} \right)^{\gamma-1}$$ 気体分子の2乗平均速度 $\sqrt{\overline{v^2}}$ は絶対温度の平方根 $\sqrt{T}$ に比例するので、 $$\frac{\sqrt{\overline{v^2}}}{\sqrt{\overline{v_0^2}}} = \sqrt{\frac{T}{T_0}} = \sqrt{\left( \frac{V_0}{V} \right)^{\gamma-1}}$$ よって、21 は ② $\sqrt{\left(\dfrac{V_0}{V}\right)^{\gamma-1}}$ です。
大問 3 : 電磁気(コンデンサーの電荷配分と電気振動)
解答番号 22 〜 28
いよいよ最後の大問3!この問題のクライマックスは問4の「コンデンサー2個($\text{C}_2$ と $\text{C}_3$)とコイル $L$ による電気振動」だよ!
多くの受験生が「コイルの電流が最大($t = \frac{T}{4}$)のとき、コンデンサーの電気量は $0$ だ!」と勘違いして問4(1)で引っかかってしまうんだ。でもよく見て!$\text{C}_2$(容量 $2C$)と $\text{C}_3$(容量 $C$)では、最初は $\text{C}_2$ だけに電荷 $\frac{3}{2}CE$ が蓄えられているから、上側の孤立部分の電荷の合計 $\frac{3}{2}CE$ は絶対に消えないんだよ!
「電流が最大のとき=コイルの誘導起電力が $0$ のとき=$\text{C}_2$ と $\text{C}_3$ の電位差(電圧)が等しくなるとき」!この本質さえ分かれば、問4(1)〜(4)まで一気に完答できるよ!
図1のように、内部抵抗の無視できる起電力 $E\text{ [V]}$ の電池、抵抗値 $R\text{ [}\Omega\text{]}$ の抵抗、電気容量 $2C\text{ [F]}$ のコンデンサー $\text{C}_1, \text{C}_2$、電気容量 $C\text{ [F]}$ のコンデンサー $\text{C}_3$、自己インダクタンス $L\text{ [H]}$ のコイル、3つのスイッチ $\text{S}_1, \text{S}_2, \text{S}_3$ が接続された回路がある。はじめ、3つのスイッチは全て開いており、3つのコンデンサーに電荷はないものとする。また、電流の向きは図1の抵抗を右から左に流れる向きを正とする。
問 1 : スイッチ $\text{S}_1$ を閉じて十分時間が経過したとき
スイッチ $\text{S}_1$ を閉じて十分に時間が経過したとき、抵抗を流れる電流は( ア )$\text{[A]}$ であり、コンデンサー $\text{C}_1$ に蓄えられている電気量は( イ )$\text{[C]}$ である。組合せを選べ。22
選択肢:① (ア $-\frac{E}{R}$, イ $2CE$) ④ (ア $\frac{E}{R}$, イ $2CE$) ⑦ (ア $0$, イ $2CE$) ⑧ (ア $0$, イ $\frac{CE}{2}$) ⑨ (ア $0$, イ $0$) ほか
スイッチ $\text{S}_1$ を閉じて十分に時間が経過すると、コンデンサー $\text{C}_1$ の充電が完了し、回路に流れる電流は (ア)$0\text{ [A]}$ になります。
電流が $0$ なので抵抗 $R$ での電圧降下も $R \times 0 = 0\text{ [V]}$ となり、コンデンサー $\text{C}_1$(電気容量 $2C$)には電池の起電力 $E$ がそのままかかります。
したがって、$\text{C}_1$ に蓄えられる電気量 $Q_1$ は、
$$Q_1 = (2C) \times E = 2CE\text{ [C]}$$
よって、(ア)$0$、(イ)$2CE$ の組合せである ⑦ が正解です。
問 2 : $\text{S}_1$ を開いて $\text{S}_2$ を閉じたときの $\text{C}_2$ の電気量
問1の状態からスイッチ $\text{S}_1$ を開いた後、スイッチ $\text{S}_2$ を閉じる。十分に時間が経過したとき、コンデンサー $\text{C}_2$ に蓄えられている電気量は 23 $CE\text{ [C]}$ である。
選択肢:① $\frac{1}{4}$ ② $\frac{1}{2}$ ③ $\frac{3}{4}$ ④ $1$ ⑤ $\frac{5}{4}$ ⑥ $\frac{3}{2}$ ⑦ $\frac{7}{4}$ ⑧ $2$ ⑨ $\frac{9}{4}$ ⓪ $0$
$\text{S}_2$ を閉じる前、$\text{C}_1$(電気容量 $2C$)には $2CE$、$\text{C}_2$(電気容量 $2C$)には $0$ の電荷があります(なお $\text{S}_3$ は開いているため $\text{C}_3$ には電荷は移動しません)。
$\text{S}_2$ を閉じると、$\text{C}_1$ と $\text{C}_2$ は並列に接続されて同じ電圧になり、合計の電荷 $2CE + 0 = 2CE$ を電気容量の比 $2C : 2C = 1 : 1$ に半分ずつ分け合います。
したがって、$\text{C}_2$ に蓄えられる電気量 $Q_2$ は、
$$Q_2 = 2CE \times \frac{2C}{2C + 2C} = 1 CE\text{ [C]}$$
よって、23 は ④ $1$ です。
問 3 : もう一度 $\text{C}_1$ を再充電してから $\text{S}_2$ を閉じたときの $\text{C}_2$ の電気量
問2の状態からスイッチ $\text{S}_2$ を開いた後、スイッチ $\text{S}_1$ を閉じる。そして十分に時間が経過した後にスイッチ $\text{S}_1$ を開き、その後スイッチ $\text{S}_2$ を閉じる。その状態でまた十分に時間が経過したとき、コンデンサー $\text{C}_2$ に蓄えられている電気量は 24 $CE\text{ [C]}$ である。
選択肢:① $\frac{1}{4}$ ② $\frac{1}{2}$ ③ $\frac{3}{4}$ ④ $1$ ⑤ $\frac{5}{4}$ ⑥ $\frac{3}{2}$ ⑦ $\frac{7}{4}$ ⑧ $2$ ⑨ $\frac{9}{4}$ ⓪ $0$
- 問2の終わりで、$\text{C}_2$ には電気量 $CE$ が蓄えられたまま $\text{S}_2$ が開かれます。
- 次に $\text{S}_1$ を閉じて十分時間が経過すると、$\text{C}_1$ は再び電圧 $E$ で満充電され、電気量 $2CE$ になります。
- $\text{S}_1$ を開いて $\text{S}_2$ を閉じると、$\text{C}_1$(電荷 $2CE$)と $\text{C}_2$(電荷 $CE$)の上側極板どうしが接続され、合計の電気量は $$Q_{\text{合計}} = 2CE + CE = 3CE$$ となります。
- この $3CE$ を、再び $\text{C}_1$(容量 $2C$)と $\text{C}_2$(容量 $2C$)で $1 : 1$(半分ずつ)に分け合うので、$\text{C}_2$ の電気量 $Q_2'$ は、 $$Q_2' = \frac{1}{2} \times 3CE = \frac{3}{2} CE\text{ [C]}$$
問 4 : $\text{C}_2$(容量 $2C$)、コイル $L$、$\text{C}_3$(容量 $C$)の電気振動
問3の状態からスイッチ $\text{S}_2$ を開き、そしてスイッチ $\text{S}_3$ を閉じる。すると、回路には一定の周期で向きと大きさが変化する振動電流が流れる。スイッチ $\text{S}_3$ を閉じた時刻を $t = 0\text{ s}$ として、振動電流の周期を $T\text{ [s]}$ とすると、時刻 $t\text{ [s]}$ にコイルを左から右に流れる電流 $I(t)\text{ [A]}$ の時間変化は図2のように表される。ただし、$I_{\max}\text{ [A]}$ は電流の最大値とし、電気振動によって発生する電磁波は無視できるものとする。
(1) 時刻 $t = \dfrac{T}{4}\text{ [s]}$ に、コイルおよびコンデンサー $\text{C}_2, \text{C}_3$ に蓄えられているエネルギーの総和は 25 $\text{[J]}$ である。
選択肢:① $\frac{1}{2}LI_{\max}^2 + \frac{2}{3}CE^2$ ② $\frac{1}{2}LI_{\max}^2 + \frac{1}{4}CE^2$ ③ $\frac{1}{2}LI_{\max}^2 + \frac{3}{8}CE^2$ ④ $\frac{1}{2}LI_{\max}^2 + 3CE^2$ ほか
(2) 電流 $I(t)\text{ [A]}$ の最大値は $I_{\max} =$ 26 $E \sqrt{\dfrac{C}{L}}\text{ [A]}$ である。
選択肢:① $\frac{\sqrt{2}}{2}$ ② $\frac{\sqrt{2}}{4}$ ③ $\frac{\sqrt{2}}{6}$ ④ $\frac{\sqrt{2}}{8}$ ⑤ $\frac{\sqrt{6}}{2}$ ⑥ $\frac{\sqrt{6}}{4}$ ⑦ $\frac{\sqrt{6}}{6}$ ⑧ $\frac{\sqrt{6}}{8}$ ⑨ $0$
(3) コンデンサー $\text{C}_2$ の上側の極板の電気量の最大値と最小値の組合せを選べ。27
選択肢:① (最大 $\frac{3}{2}CE$, 最小 $\frac{1}{2}CE$) ② (最大 $\frac{3}{2}CE$, 最小 $0$) ③ (最大 $\frac{3}{2}CE$, 最小 $-\frac{1}{2}CE$) ④ (最大 $\frac{3}{2}CE$, 最小 $-\frac{3}{2}CE$) ほか
(4) 時刻 $t\text{ [s]}$ における、コンデンサー $\text{C}_3$ の下側の極板の電位を基準とした上側の極板の電位 $V_3(t)\text{ [V]}$ を表すグラフとして最も適切なものを①〜⑧から選べ。28
時刻 $t = \dfrac{T}{4}$ では、図2のグラフより電流 $I(t)$ が最大値 $I_{\max}$ となり、グラフの傾き(電流の時間変化率 $\dfrac{dI}{dt}$)が $0$ になります。
したがって、この瞬間コイルの誘導起電力 $L \dfrac{dI}{dt} = 0$ となり、コンデンサー $\text{C}_2$ と $\text{C}_3$ の電位差(電圧)が等しくなります(ここが振動の中心です!)。
上側の極板とコイルを含む孤立部分の電荷の総和は、問3で求めた $\dfrac{3}{2}CE$ で常に一定です:
$$q_2 + q_3 = \frac{3}{2} CE$$
$t = \dfrac{T}{4}$ では $\text{C}_2$(容量 $2C$)と $\text{C}_3$(容量 $C$)の電圧が等しいので、電荷 $\dfrac{3}{2}CE$ は電気容量の比 $2C : C = 2 : 1$ に配分されます!
$$q_2\left(\frac{T}{4}\right) = \frac{3}{2} CE \times \frac{2}{2+1} = CE, \qquad q_3\left(\frac{T}{4}\right) = \frac{3}{2} CE \times \frac{1}{2+1} = \frac{1}{2} CE$$
したがって、時刻 $t = \dfrac{T}{4}$ に $\text{C}_2$ と $\text{C}_3$ に蓄えられている静電エネルギーの和 $U_{\text{C}}\left(\frac{T}{4}\right)$ は、公式 $U = \dfrac{Q^2}{2C}$ より、
$$\begin{aligned}
U_{\text{C}}\left(\frac{T}{4}\right) &= \frac{(CE)^2}{2(2C)} + \frac{\left(\frac{1}{2}CE\right)^2}{2C} \\
&= \frac{1}{4} CE^2 + \frac{1}{8} CE^2 = \frac{3}{8} CE^2
\end{aligned}$$
これにコイルの磁気エネルギー $\dfrac{1}{2} L I_{\max}^2$ を加えると、時刻 $t = \dfrac{T}{4}$ におけるエネルギーの総和は、
$$E_{\text{全}} = \frac{1}{2} L I_{\max}^2 + \frac{3}{8} CE^2$$
よって、25 は ③ $\dfrac{1}{2} L I_{\max}^2 + \dfrac{3}{8} CE^2$ です!
スイッチ $\text{S}_3$ を閉じた瞬間($t = 0$)には、電流は $I(0) = 0$、$\text{C}_3$ の電荷は $q_3(0) = 0$、$\text{C}_2$ の電荷は $q_2(0) = \dfrac{3}{2} CE$ です。
したがって、$t = 0$ における回路全体のエネルギー $E_{\text{全}}(0)$ は、$\text{C}_2$(電気容量 $2C$)の静電エネルギーのみであり、
$$E_{\text{全}}(0) = \frac{\left(\frac{3}{2} CE\right)^2}{2 (2C)} = \frac{\frac{9}{4} C^2 E^2}{4C} = \frac{9}{16} CE^2$$
回路全体のエネルギーは保存するので、$E_{\text{全}}\left(\frac{T}{4}\right) = E_{\text{全}}(0)$ が成り立ちます!
$$\frac{1}{2} L I_{\max}^2 + \frac{3}{8} CE^2 = \frac{9}{16} CE^2$$
移項して $I_{\max}$ について解きます:
$$\begin{aligned}
\frac{1}{2} L I_{\max}^2 &= \frac{9}{16} CE^2 - \frac{6}{16} CE^2 = \frac{3}{16} CE^2 \\
I_{\max}^2 &= \frac{6}{16} \frac{C}{L} E^2 \\
I_{\max} &= \frac{\sqrt{6}}{4} E \sqrt{\frac{C}{L}}
\end{aligned}$$
よって、26 は ⑥ $\dfrac{\sqrt{6}}{4}$ です!
コンデンサー $\text{C}_2$ の上側極板の電気量 $q_2(t)$ は、単振動と同じように「$t = 0$(端)」と「$t = \frac{T}{4}$(振動の中心)」の間を中心に関して対称に振動します!
- $t = 0$(振動の端=最大値):$q_2(0) = \dfrac{3}{2} CE$
- $t = \dfrac{T}{4}$(振動の中心):$q_2\left(\dfrac{T}{4}\right) = CE = \dfrac{2}{2} CE$
ここ、めちゃくちゃ大事です!
$q_2$ は、最大値 $\dfrac{3}{2}CE$($t=0$)$\longrightarrow$ 中心 $CE$($t=\dfrac{T}{4}$)$\longrightarrow$ 最小値 $+\dfrac{1}{2}CE$($t=\dfrac{T}{2}$) の間で振動します!負にはなりません!
念のため $t = \dfrac{T}{2}$ のエネルギーでも検算してみましょう:
$q_2 = \dfrac{1}{2}CE$ のとき、電荷保存より $q_3 = \dfrac{3}{2}CE - \dfrac {1}{2}CE = CE$ となります。
このとき $I\left(\dfrac{T}{2}\right) = 0$ であり、静電エネルギーの和は $$U_{\text{C}}\left(\frac{T}{2}\right) = \frac{\left(\frac{1}{2}CE\right)^2}{2(2C)} + \frac{(CE)^2}{2C} = \frac{1}{16}CE^2 + \frac{1}{2}CE^2 = \frac{9}{16}CE^2 = E_{\text{全}}(0)$$ となり、$t=0$ の全エネルギーとピタッと一致します!完璧ですね!
以上より、コンデンサー $\text{C}_2$ の上側極板の電気量の最大値は $\dfrac{3}{2}CE$、最小値は $\dfrac{1}{2}CE$ です。
よって、27 は ② 最大値:$\dfrac{3}{2}CE$,最小値:$\dfrac{1}{2}CE$ です!
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