TMPS医学館 完全解説 平成21年度(2009年度)入試問題 【863】

帝京大学 医学部 物理(2009年度)全問題・超図解解説

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理系担当 Sora先生
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「これより〜となる」の省略はゼロ!帝京大学(2009年度)物理をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系担当Sora(ソラ)先生です。市販の過去問集(赤本など)で途中の式変形や思考プロセスが1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、帝京大学(2009年度)の物理について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と解法プロセスをすべて公開しています!

🎯 入試問題概要と選択戦略(5問題中4問題選択)

本年度は大問5題から4題を選択する形式です。すべての大問が基礎〜標準の良問ですが、計算スピードと単位・次元の正確な把握が満点へのカギとなります!

目標解答時間:60分(1題あたり12〜15分)
合格目標ライン:85%以上(基礎取りこぼし厳禁!)
🔥 指導統括 ニックニ(新国)先生の戦略アドバイス

「5題中4題選択」のとき、現場で一番やってはいけないのが『どの問題を捨てようか迷って時間を溶かすこと』だ!
今回のセットなら、超定番で5分で終わる〔1〕円錐振り子と〔3〕直流電圧計と倍率器、さらに一本道で解ける〔2〕水中の落下運動と〔4〕ばね付きピストンの熱力学の4題を確実に仕留めるのが王道ルートだ。もちろん、光学が得意な人は〔5〕凸レンズの組み合わせを選んでも高得点が狙えるよう、5題すべてを1ステップずつ完全解説していくぞ!

⚡ 解答一覧(スピードチェック)

まずは自分の答え合わせに活用しよう!

〔1〕円錐振り子と水平投射

  • (1) 糸の張力:(h) $\dfrac{mg}{\cos\theta}$
  • (2) 円運動の周期:(l) $2\pi\sqrt{\dfrac{l\cos\theta}{g}}$
  • (3) 小球の速さ:(i) $\sin\theta\sqrt{\dfrac{gl}{\cos\theta}}$
  • (4) 落下時間:(c) $\sqrt{\dfrac{2h}{g}}$
  • (5) AB間の距離:(n) $l\sin\theta\sqrt{1+\dfrac{2h}{l\cos\theta}}$

〔2〕水中での小球の落下運動

  • (1) 運動方程式:
    $\dfrac{4}{3}\pi R^3 d a = \dfrac{4}{3}\pi R^3 (d - d_0)g - 6\pi n R v$
  • (2) 粘性係数 $n$ の単位:$\text{kg}/(\text{m}\cdot\text{s})$(または $\text{kg}\cdot\text{m}^{-1}\cdot\text{s}^{-1}$)
  • (3) 終端沈降速度:$\dfrac{2(d - d_0)R^2 g}{9n}$
  • (4) 時間の目安:$\dfrac{dR^2}{n}$(定数倍 $\dfrac{2dR^2}{9n}$ 等も可)

〔3〕直流電圧計と倍率器

  • (1) AB間の電流:$\dfrac{v}{r}$
  • (2) 倍率器の電圧:$\dfrac{R}{r}v$
  • (3) $R$ を $V, v, r$ で:$\left(\dfrac{V}{v}-1\right)r$
  • (4) $R$ を $n, r$ で:$(n-1)r$
  • (5) 数値計算:$90\,\text{k}\Omega$(または $9.0\times 10^4\,\Omega$)

〔4〕ばね付きピストンと熱力学

  • (1) 気体の圧力:$p_0 + \dfrac{kl_1}{S}\,\,[\text{Pa}]$
  • (2) 絶対温度:$\dfrac{l_1(p_0 S + kl_1)}{R}\,\,[\text{K}]$
  • (3) 気体がした仕事:
    $p_0 S(l_2 - l_1) + \dfrac{1}{2}k(l_2^2 - l_1^2)\,\,[\text{J}]$
  • (4) 内部エネルギー増加:
    $\dfrac{3}{2}\left\{p_0 S(l_2 - l_1) + k(l_2^2 - l_1^2)\right\}\,\,[\text{J}]$
  • (5) 加えた熱量:
    $\dfrac{5}{2}p_0 S(l_2 - l_1) + 2k(l_2^2 - l_1^2)\,\,[\text{J}]$

〔5〕2枚の凸レンズと光束の直径

(1) 虚像の位置:右側 $20$ $\text{cm}$
(2) 倍率:$2$ 倍
(3) 集光位置:右側 $20$ $\text{cm}$
(4) B入射直前の直径:$2$ $\text{cm}$
(5) $x$ の下限:$6$ $\text{cm}$
(6) $x$ の上限:$18$ $\text{cm}$
大問〔1〕

力学:円錐振り子の等速円運動と糸が切れた後の水平投射

Sora先生
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大問〔1〕は力学の王道「円錐振り子」と「水平投射」のコラボ問題です!
前半の(1)〜(3)は、鉛直方向の力のつりあいと水平方向の円運動の運動方程式を立てるだけで秒殺できます。合否の分かれ目は最後の(5) AB間の距離!糸が切れた瞬間、小球は円の接線方向(半径と垂直な向き!)に飛び出します。真上から見た平面図を描いて三平方の定理を使うのが最大のポイントです!

【問題文】

図のように、長さ $l$ の軽い糸の一端を点 $\text{O}$ に固定し、糸の他端に質量 $m$ の小球を取り付けて、水平面内で等速円運動をさせる。$\text{O}$ からおろした鉛直線と水平な床との交点を $\text{A}$ とする。小球が等速円運動をする水平面は床からの高さが $h$、糸は鉛直下方と $\theta\,\left(0 < \theta < \dfrac{\pi}{2}\right)$ の角をなしているとする。重力加速度の大きさを $g$ とする。空欄 (1) 〜 (5) を埋めて文章を完結せよ。答えは【選択肢】の中から最も適切なものを選び、その記号で答えよ。

糸の張力は (1) であるから、円運動の周期は (2) 、小球の速さは (3) である。
小球の円運動中に突然糸が切れ、小球は床の上の点 $\text{B}$ に落ちた。糸が切れてから小球が床に落ちるまでの時間は (4) 、$\text{AB}$ 間の距離は (5) である。

【選択肢】

(a) $\sqrt{\dfrac{h}{g}}$
(b) $\sqrt{\dfrac{g}{h}}$
(c) $\sqrt{\dfrac{2h}{g}}$
(d) $\sqrt{\dfrac{g}{2h}}$
(e) $mg\sin\theta$
(f) $mg\cos\theta$
(g) $\dfrac{mg}{\sin\theta}$
(h) $\dfrac{mg}{\cos\theta}$
(i) $\sin\theta\sqrt{\dfrac{gl}{\cos\theta}}$
(j) $\cos\theta\sqrt{\dfrac{gl}{\sin\theta}}$
(k) $2\pi\sqrt{\dfrac{l\sin\theta}{g}}$
(l) $2\pi\sqrt{\dfrac{l\cos\theta}{g}}$
(m) $2\pi\sqrt{\dfrac{g}{l\cos\theta}}$
(n) $l\sin\theta\sqrt{1+\dfrac{2h}{l\cos\theta}}$
(o) $l\cos\theta\sqrt{1+\dfrac{2h}{l\sin\theta}}$
図1:円錐振り子にはたらく力の分解(側面図) O A r = l sinθ l θ h 張力 T T cosθ T sinθ mg
図2:真上から見た平面図((5)のAB間の距離) A 糸が切れた位置 P r = l sinθ 水平移動距離 x = v t B AB = √(r² + x²)

【設問 (1)】糸の張力 $T$ を求める

小球は同じ高さの水平面内を動いているので、鉛直方向(上下方向)にはまったく動きません。
したがって、鉛直方向の力はつりあっています。図1のように、糸の張力を $T$ とおいて鉛直成分と水平成分に分解しましょう。

  • 張力 $T$ の鉛直上向き成分:$T\cos\theta$
  • 張力 $T$ の水平(円の中心向き)成分:$T\sin\theta$

鉛直方向の力のつりあい(上向きの力 = 下向きの力)より、 $$T\cos\theta = mg$$ 両辺を $\cos\theta$ で割ると、糸の張力 $T$ が求まります! $$T = \frac{mg}{\cos\theta}$$

(1) の答え:(h) $\dfrac{mg}{\cos\theta}$

【設問 (2)・(3)】円運動の周期と小球の速さを求める

次に、水平方向の運動に注目します。まず、図1の直角三角形から円運動の半径 $r$ を求めると、斜辺が糸の長さ $l$ なので、 $$r = l\sin\theta$$ となります。小球の速さを $v$ とすると、円の中心向きの加速度(向心加速度)は $\dfrac{v^2}{r}$ です。
円の中心に向かってはたらく力(向心力)は、張力の水平成分 $T\sin\theta$ ですから、円運動の運動方程式を立てると、 $$m\frac{v^2}{r} = T\sin\theta$$ ここに $r = l\sin\theta$ と、(1)で求めた $T = \dfrac{mg}{\cos\theta}$ を代入します。 $$m\frac{v^2}{l\sin\theta} = \left(\frac{mg}{\cos\theta}\right)\sin\theta$$ 両辺を $m$ で割り、分母の $l\sin\theta$ を右辺に掛けると、 $$v^2 = \frac{gl\sin^2\theta}{\cos\theta}$$ $0 < \theta < \dfrac{\pi}{2}$ より $\sin\theta > 0$ なので、平方根をとると(3) 小球の速さ $v$ が得られます! $$v = \sin\theta\sqrt{\frac{gl}{\cos\theta}}$$

さらに、(2) 円運動の周期(1周にかかる時間)を $T_0$ とすると、「周期 = 円周の長さ $2\pi r$ $\div$ 速さ $v$」なので、 $$T_0 = \frac{2\pi r}{v} = \frac{2\pi l\sin\theta}{\sin\theta\sqrt{\dfrac{gl}{\cos\theta}}}$$ 分子と分母の $\sin\theta$ がきれいに約分されて消え、$l$ をルートの中に入れると、 $$T_0 = 2\pi \frac{l}{\sqrt{\dfrac{gl}{\cos\theta}}} = 2\pi\sqrt{\frac{l^2 \cos\theta}{gl}} = 2\pi\sqrt{\frac{l\cos\theta}{g}}$$

(2) の答え:(l) $2\pi\sqrt{\dfrac{l\cos\theta}{g}}$
(3) の答え:(i) $\sin\theta\sqrt{\dfrac{gl}{\cos\theta}}$

【設問 (4)】糸が切れてから床に落ちるまでの時間 $t$

円運動している途中で突然糸が切れると、小球はその瞬間の速度(水平方向・速さ $v$)を持ったまま、重力だけを受けて飛び出します。つまり、高さ $h$ からの水平投射になります!
鉛直方向だけを見ると、初速度 $0$ の自由落下とまったく同じです。落ちるまでの時間を $t$ とすると、鉛直方向の落下の式より、 $$h = \frac{1}{2}gt^2$$ これを $t\,(>0)$ について解くと、 $$t^2 = \frac{2h}{g} \quad \Longrightarrow \quad t = \sqrt{\frac{2h}{g}}$$

(4) の答え:(c) $\sqrt{\dfrac{2h}{g}}$

【設問 (5)】床の上の点 $\text{A}$ と落下点 $\text{B}$ の距離 $\text{AB}$

ここが一番の注意点です!「円の中心からの距離 $r$ に水平移動距離 $x = vt$ を単純に足し算」してはいけません!
図2(真上から見た平面図)を見てください。小球は糸が切れた瞬間、円の接線方向(半径と $90^\circ$ 直角をなす方向)に向かって等速直線運動をします。
まず、糸が切れてから床に落ちるまでの時間 $t$ の間に、水平方向に進む距離 $x$ は、 $$x = vt = \left(\sin\theta\sqrt{\frac{gl}{\cos\theta}}\right) \cdot \sqrt{\frac{2h}{g}} = \sin\theta\sqrt{\frac{2ghl}{g\cos\theta}} = \sin\theta\sqrt{\frac{2hl}{\cos\theta}}$$ 図2の直角三角形において、円の中心 $\text{A}$ から糸が切れた位置の真下までの距離は半径 $r = l\sin\theta$、そこから直角方向に進んだ距離が $x$ です。
したがって、三平方の定理(ピタゴラスの定理)より、距離 $\text{AB}$ は、 $$\text{AB} = \sqrt{r^2 + x^2} = \sqrt{(l\sin\theta)^2 + \left(\sin\theta\sqrt{\frac{2hl}{\cos\theta}}\right)^2}$$ ルートの中の2つの項を整理しましょう: $$\text{AB} = \sqrt{l^2\sin^2\theta + \sin^2\theta \cdot \frac{2hl}{\cos\theta}}$$ 共通因数である $l^2\sin^2\theta$ でルートの中をくくり出すと、選択肢の形にぴったり変形できます! $$\text{AB} = \sqrt{l^2\sin^2\theta \left(1 + \frac{2hl}{l^2\cos\theta}\right)} = l\sin\theta\sqrt{1 + \frac{2h}{l\cos\theta}}$$

(5) の答え:(n) $l\sin\theta\sqrt{1+\dfrac{2h}{l\cos\theta}}$
大問〔2〕

力学:水中での小球の落下運動(浮力・粘性抵抗力・次元解析)

Sora先生
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大問〔2〕は、水中で落下する球にはたらく「重力・浮力・粘性抵抗力(ストークスの法則)」を扱うテーマです!
まず球の体積 $V = \dfrac{4}{3}\pi R^3$ を正確に書けるかがスタートライン(「」で覚えよう!)。そして受験生が意外と手が止まるのが(4) 時間の単位をもつ量(時定数)をつくる問題です。(2)で求めた粘性係数 $n$ の単位を使って次元解析をすれば30秒で解けますし、運動方程式の係数比からも一発で導けますよ!

【問題文】

水中での小球の落下運動を考える。
水中で小球を初速度 $0$ で離した。小球の半径を $R$、密度を $d$、水の密度を $d_0$ として、以下の設問に答えよ。重力加速度の大きさを $g$ とする。

  1. 小球にはたらく力は、重力、浮力と水による抵抗力 $f$ である。$f$ は、小球の沈降速度 $v$ と小球の半径に比例し、$f = -6\pi nRv$ で与えられるものとする。ここで、$n$ は水の粘性係数である。$x$ 軸を鉛直に取り、下向きを正とする。加速度を $a$ として小球の運動方程式を書け。
  2. 粘性係数 $n$ の単位を、$\text{kg},\,\text{m},\,\text{s}$ で表せ。
  3. 小球を離した直後には、小球の沈降速度は小さく、小球の運動は等加速度運動に近い。一方、時間が十分に経過した後では、重力、浮力と水による抵抗力がつりあい、等速度運動となる。十分に時間が経過した後の小球の終端沈降速度を、$d,\,d_0,\,n,\,R,\,g$ を用いて表せ。
  4. $d,\,n,\,R$ を組み合わせて時間の単位をもつ量をつくれ。この量は、(3)で述べた運動状態の変化が起こる時間の目安となる。
図1:水中の小球にはたらく3つの力 水(密度 d₀, 粘性 n) x軸(正) 半径 R, 密度 d 体積 V = 4/3 πR³ 重力 Mg = Vdg 浮力 Vd₀g 抵抗力 6πnRv
図2:沈降速度 v の時間変化と(4)の時間の目安 時間 t 速度 v 終端沈降速度 v_f(一定) 時間の目安 τ ∝ dR²/n 等加速度運動 → 等速運動 O

【設問 (1)】小球の運動方程式を立てる

まず、半径 $R$ の小球の体積 $V$ と質量 $M$ を求めます。 $$V = \frac{4}{3}\pi R^3, \qquad M = \text{密度}\times\text{体積} = dV = \frac{4}{3}\pi R^3 d$$ 次に、鉛直下向き($x$ 軸の正の向き)を正として、小球にはたらく3つの力を整理しましょう。

  • 重力(下向き・正):$Mg = \dfrac{4}{3}\pi R^3 dg$
  • 浮力(上向き・負):アルキメデスの原理より「押しのけた水の重さ」に等しいので、$-V d_0 g = -\dfrac{4}{3}\pi R^3 d_0 g$
  • 水による抵抗力(上向き・負):問題文より $f = -6\pi nRv$

よって、運動方程式 $Ma = (\text{合力の } x\text{ 成分})$ を立てると、 $$\frac{4}{3}\pi R^3 d a = \frac{4}{3}\pi R^3 dg - \frac{4}{3}\pi R^3 d_0 g - 6\pi nRv$$ 右辺の重力と浮力をまとめても、そのまま書いても正解です!

(1) の答え:$\dfrac{4}{3}\pi R^3 d a = \dfrac{4}{3}\pi R^3 (d - d_0)g - 6\pi nRv$

【設問 (2)】粘性係数 $n$ の単位を $\text{kg},\,\text{m},\,\text{s}$ で表す

抵抗力の式 $|f| = 6\pi nRv$ について、両辺の単位を比較しましょう(数値の $6\pi$ には単位はありません)。

  • 力 $f$ の単位:運動方程式 $F = ma$ より $[\text{N}] = [\text{kg}\cdot\text{m}/\text{s}^2]$
  • 半径 $R$ の単位:$[\text{m}]$
  • 速度 $v$ の単位:$[\text{m}/\text{s}]$

これらを $n = \dfrac{|f|}{6\pi Rv}$ の関係にあてはめると、$n$ の単位 $[n]$ は、 $$[n] = \frac{\text{kg}\cdot\text{m}/\text{s}^2}{\text{m}\cdot(\text{m}/\text{s})} = \frac{\text{kg}\cdot\text{m}}{\text{s}^2} \times \frac{\text{s}}{\text{m}^2} = \frac{\text{kg}}{\text{m}\cdot\text{s}}$$

(2) の答え:$\text{kg}/(\text{m}\cdot\text{s})$ (または $\text{kg}\cdot\text{m}^{-1}\cdot\text{s}^{-1}$)

【設問 (3)】十分に時間が経過した後の終端沈降速度 $v_f$

十分に時間が経過して等速度運動になると、加速度 $a = 0$(力のつりあい)となります。
(1)の運動方程式において $a = 0$ とおくと、そのときの終端沈降速度 $v_f$ は、 $$0 = \frac{4}{3}\pi R^3 (d - d_0)g - 6\pi nRv_f$$ $$6\pi nRv_f = \frac{4}{3}\pi R^3 (d - d_0)g$$ 両辺を $6\pi nR$ で割ると、$\pi$ が消え、$R^3 \div R = R^2$、係数は $\dfrac{4}{3}\div 6 = \dfrac{2}{9}$ となるので、 $$v_f = \frac{2(d - d_0)R^2 g}{9n}$$

(3) の答え:$\dfrac{2(d - d_0)R^2 g}{9n}$

【設問 (4)】$d,\,n,\,R$ を組み合わせて時間の単位をもつ量をつくる

【解法1:単位(次元解析)から求める王道ルート】
それぞれの物理量の単位を確認しましょう。

  • 密度 $d$ の単位:$[\text{kg}/\text{m}^3]$
  • 粘性係数 $n$ の単位:$[\text{kg}/(\text{m}\cdot\text{s})]$ ((2)の結果!)
  • 半径 $R$ の単位:$[\text{m}]$

求めたいのは時間の単位 $[\text{s}]$ です。$\text{s}$ は粘性係数 $n$ の分母にしか入っていないので、$n$ で割れば $\text{s}$ が分子に出てきます!
そこでまず $\dfrac{d}{n}$ の単位を計算してみると、 $$\left[\frac{d}{n}\right] = \frac{\text{kg}/\text{m}^3}{\text{kg}/(\text{m}\cdot\text{s})} = \frac{\text{kg}}{\text{m}^3} \times \frac{\text{m}\cdot\text{s}}{\text{kg}} = \frac{\text{s}}{\text{m}^2}$$ 分母に残っている $\text{m}^2$ を消すには、半径 $R\,\,[\text{m}]$ の2乗である $R^2\,\,[\text{m}^2]$ を掛ければバッチリ $[\text{s}]$ になります! $$\left[\frac{dR^2}{n}\right] = \frac{\text{s}}{\text{m}^2} \times \text{m}^2 = \text{s}$$

💡【解法2:運動方程式から物理的意味(時定数)で瞬殺する別解】
(1)の運動方程式 $\dfrac{4}{3}\pi R^3 d \dfrac{dv}{dt} = \dfrac{4}{3}\pi R^3(d-d_0)g - 6\pi nRv$ の両辺を質量 $M = \dfrac{4}{3}\pi R^3 d$ で割ると、
$$\frac{dv}{dt} = \frac{d-d_0}{d}g - \frac{9n}{2dR^2}v$$ 右辺第2項の $\dfrac{9n}{2dR^2}v$ は加速度 $\left[\text{m}/\text{s}^2\right]$ と同じ単位をもつので、$v\,\,[\text{m}/\text{s}]$ の係数である $\dfrac{9n}{2dR^2}$ の逆数 $\tau = \dfrac{2dR^2}{9n}$(または無次元定数を除いた $\dfrac{dR^2}{n}$)が、ちょうど速度変化の緩和時間(時間の目安)$[\text{s}]$ を表しています!
(4) の答え:$\dfrac{dR^2}{n}$ (※無次元定数倍の $\dfrac{2dR^2}{9n}$ なども正解)
大問〔3〕

電磁気:直流電圧計と倍率器(測定範囲の拡大)

Sora先生
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大問〔3〕は絶対に選択したい「超サービス問題」です!5分以内に満点が取れますよ!
電圧計の測定範囲を $n$ 倍に広げるために直列につなぐ抵抗「倍率器」の仕組みを問うています。使う法則は「直列回路では流れる電流 $I$ がどこも同じ」と「オームの法則 $V = RI$」の2つだけ!問題文で指定された文字($v, r, R, V, n$)の条件だけ見落とさないように丁寧に書きましょう!

【問題文】

内部抵抗 $r$、最大電圧 $v$ まで測定できる直流電圧計がある。この電圧計を用いて最大電圧 $V\,(V > v)$ まで測定範囲を拡大するため、抵抗 $R$ の倍率器を図のように接続した。電圧計の両端にかかる電圧が $v$、図の $\text{AB}$ 間にかかる電圧が $V$ である場合について、以下の設問に答えよ。

  1. $\text{AB}$ 間に流れる電流はいくらか。$v$ および $r$ を用いて表せ。
  2. 倍率器の両端にかかる電圧はいくらか。$R$ および $r$ を含む式で表せ。
  3. $V$ および $v$ を含む式で $R$ を表せ。
  4. $V/v = n$ として、$n$ を含む式で $R$ を表せ。
  5. $V = 100\,\text{V},\,v = 10\,\text{V},\,r = 10\,\text{k}\Omega$ の場合、$R$ はいくらか。
図:直流電圧計(内部抵抗 r)と倍率器(抵抗 R)の直列接続 AB間の全体電圧 V A B 電流 I = v/r 電圧計(最大電圧 v) 内部抵抗 r 倍率器 抵抗 R 電圧 v 電圧 V_R = V - v = (R/r)v

【設問 (1)】$\text{AB}$ 間に流れる電流 $I$

電圧計と倍率器は直列につながれているため、$\text{AB}$ 間を流れる電流 $I$ はそのまま電圧計(内部抵抗 $r$)を流れます。
いま、内部抵抗 $r$ の電圧計の両端に電圧 $v$ がかかっているので、オームの法則より、 $$I = \frac{v}{r}$$

(1) の答え:$\dfrac{v}{r}$

【設問 (2)】倍率器の両端にかかる電圧 $V_R$($R$ および $r$ を含む式)

抵抗 $R$ の倍率器にも、(1)で求めた同じ電流 $I = \dfrac{v}{r}$ が流れます。
したがって、オームの法則(電圧 = 抵抗 $\times$ 電流)より、倍率器の両端にかかる電圧 $V_R$ は、 $$V_R = R I = R \cdot \frac{v}{r} = \frac{R}{r}v$$ (※問題文に「$R$ および $r$ を含む式で表せ」とあるので、$V - v$ ではなく必ず $\dfrac{R}{r}v$ と答えます!)

(2) の答え:$\dfrac{R}{r}v$

【設問 (3)】$V$ および $v$ を含む式で $R$ を表す

$\text{AB}$ 間全体の電圧 $V$ は、「電圧計の電圧 $v$」と「倍率器の電圧 $V_R$」の和に等しいので、 $$V = v + V_R = v + \frac{R}{r}v$$ これを $R$ について解きます。まず $v$ を左辺に移項して、 $$\frac{R}{r}v = V - v$$ 両辺を $v$ で割り、さらに $r$ を掛けると、 $$R = \frac{V - v}{v}r = \left(\frac{V}{v} - 1\right)r$$

(3) の答え:$\left(\dfrac{V}{v} - 1\right)r$ (または $\dfrac{V - v}{v}r$)

【設問 (4)】$V/v = n$ として、$n$ を含む式で $R$ を表す

(3)で求めた式 $R = \left(\dfrac{V}{v} - 1\right)r$ の $\dfrac{V}{v}$ に $n$ をそのまま代入するだけです! $$R = (n - 1)r$$ ★物理的意味:測定できる最大電圧を $n$ 倍にしたければ、電圧計の内部抵抗 $r$ の $(n-1)$ 倍の抵抗を直列につなげばよい(全体の合成抵抗が $r + (n-1)r = nr$ で $n$ 倍になるため)という重要公式です!

(4) の答え:$(n - 1)r$

【設問 (5)】$V = 100\,\text{V},\,v = 10\,\text{V},\,r = 10\,\text{k}\Omega$ のときの $R$

まず倍率 $n = \dfrac{V}{v}$ を計算すると、 $$n = \frac{100\,\text{V}}{10\,\text{V}} = 10$$ これを(4)の式 $R = (n - 1)r$ に代入すると、 $$R = (10 - 1) \times 10\,\text{k}\Omega = 9 \times 10\,\text{k}\Omega = 90\,\text{k}\Omega$$

(5) の答え:$90\,\text{k}\Omega$ (または $9.0\times 10^4\,\Omega$)
大問〔4〕

熱力学:ばね付きピストンで封入された理想気体の状態変化

Sora先生
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熱力学の頻出テーマ「ばね付きピストン」です!ここで一番多いミスは、「圧力 $p\,\,[\text{Pa}]$」と「力 $F\,\,[\text{N}]$」をごちゃ混ぜにしてしまうことです。
ピストンの力のつりあいを立てるときは、必ず圧力に断面積 $S$ を掛けて「力 $[\text{N}]$($pS$ と $p_0 S$ と $kl$)」に揃えてから立式しましょう!また、「自然長が容器の長さに等しい」ので、ピストンが左端から $l_1$ にあるとき、ばねの縮みもそのまま $l_1$ になるという嬉しい設定になっています!

【問題文】

図のように、滑らかに動くピストンが付いた断熱材でつくられた円筒容器を水平面上に置く。ピストンの断面積は $S\,\,[\text{m}^2]$ である。自然の長さがこの容器の長さに等しいばねの一端をピストンに固定し、他端を容器の右端に固定した。このばねは、フックの法則に従い、ばね定数は $k\,\,[\text{N/m}]$ である。容器の左側は密封されている一方、右側は大気圧 $p_0\,\,[\text{Pa} = \text{N/m}^2]$ の大気に解放されている。気体定数を $R\,\,[\text{J/(mol}\cdot\text{K)}]$、絶対温度が $T\,\,[\text{K}]$ のときの理想気体 $1\,\text{mol}$ の内部エネルギーを $\dfrac{3}{2}RT\,\,[\text{J}]$ とし、またピストンの厚みは無視できるものとして、以下の設問に答えよ。

ピストン左側の密封された部分に $1\,\text{mol}$ の理想気体を入れた。ピストンは右側に $l_1\,\,[\text{m}]$ 移動した。

  1. 理想気体の圧力は何 $\text{Pa}$ か。力のつりあいから求めよ。
  2. 理想気体の絶対温度は何 $\text{K}$ か。

次に、理想気体に熱を加えると、ピストンの移動距離は $l_2\,\,[\text{m}]$ となった。

  1. 理想気体がばねと大気に対してした仕事は何 $\text{J}$ か。
  2. 理想気体の内部エネルギーの増加は何 $\text{J}$ か。
  3. 理想気体に加えられた熱量は何 $\text{J}$ か。
図1:ピストン(断面積 S)にはたらく力のつりあい 理想気体 1 mol 圧力 p₁, 体積 Sl₁ 気体の力 p₁S 大気の力 p₀S ばねの力 kl₁ l₁(ばねの縮みも l₁) 加熱後の距離 l₂
図2:P-Vグラフの面積から仕事 W を求める別解イメージ 体積 V = Sl 圧力 p p₀ p₁ p₂ V₁ = Sl₁ V₂ = Sl₂ 大気への仕事 p₀S(l₂-l₁) ばねへの仕事 ½k(l₂²-l₁²)

【設問 (1)】ピストンが $l_1$ 移動したときの理想気体の圧力 $p_1$

まず、ばねの縮みを確認しましょう。問題文より「ばねの自然の長さは容器の長さに等しい」ので、ピストンが容器の左端にあるとき($l = 0$ のとき)ばねはちょうど自然長です。
したがって、ピストンが左端から右側に $l_1\,\,[\text{m}]$ 移動したとき、ばねは自然長からちょうど $l_1\,\,[\text{m}]$ 縮んでいます!
このときの気体の圧力を $p_1\,\,[\text{Pa}]$ とすると、断面積 $S\,\,[\text{m}^2]$ のピストンにはたらく水平方向の力は以下の3つです(図1参照):

  • 左側から理想気体が右向きに押す力:$p_1 S\,\,[\text{N}]$
  • 右側から大気が左向きに押す力:$p_0 S\,\,[\text{N}]$
  • 縮んだばねが左向きに押し返す弾性力:$kl_1\,\,[\text{N}]$

ピストンの力のつりあい(右向きの力 = 左向きの力の和)より、 $$p_1 S = p_0 S + kl_1$$ 両辺を断面積 $S$ で割ると、理想気体の圧力 $p_1$ が求まります! $$p_1 = p_0 + \frac{kl_1}{S}\,\,[\text{Pa}]$$

(1) の答え:$p_0 + \dfrac{kl_1}{S}\,\,[\text{Pa}]$

【設問 (2)】このときの理想気体の絶対温度 $T_1$

ピストン左側の気体の体積 $V_1$ は、断面積 $S \times$ 長さ $l_1$ より $V_1 = Sl_1\,\,[\text{m}^3]$ です。
また、封入されている気体の物質量は $n = 1\,\text{mol}$ ですから、理想気体の状態方程式 $p_1 V_1 = nRT_1$ に $n = 1$、(1)の $p_1 = p_0 + \dfrac{kl_1}{S}$、および $V_1 = Sl_1$ を代入すると、 $$\left(p_0 + \frac{kl_1}{S}\right) \cdot Sl_1 = 1 \cdot R T_1$$ 左辺のカッコに $S$ を掛け入れて展開すると、 $$(p_0 S + kl_1)l_1 = RT_1$$ 両辺を気体定数 $R$ で割ると、絶対温度 $T_1$ が求まります! $$T_1 = \frac{l_1(p_0 S + kl_1)}{R} = \frac{p_0 S l_1 + kl_1^2}{R}\,\,[\text{K}]$$

(2) の答え:$\dfrac{l_1(p_0 S + kl_1)}{R}\,\,[\text{K}]$ (または $\dfrac{p_0 S l_1 + kl_1^2}{R}\,\,[\text{K}]$)

【設問 (3)】理想気体がばねと大気に対してした仕事 $W$

ピストンが $l_1$ から $l_2$ まで移動するとき、理想気体が外部(大気とばね)にした仕事 $W$ は、「大気に対してした仕事 $W_{\text{大気}}$」と「ばねに対してした仕事(=ばねの弾性エネルギーの増加量)$W_{\text{ばね}}$」の和になります!

  • 大気に対してした仕事 $W_{\text{大気}}$:
    一定の力 $p_0 S$ に逆らって距離 $(l_2 - l_1)$ だけ押したので、 $$W_{\text{大気}} = p_0 S (l_2 - l_1)$$
  • ばねに対してした仕事 $W_{\text{ばね}}$:
    ばねの縮みが $l_1$ から $l_2$ になったので、ばねに蓄えられる弾性エネルギーの増加分に等しく、 $$W_{\text{ばね}} = \frac{1}{2}kl_2^2 - \frac{1}{2}kl_1^2 = \frac{1}{2}k(l_2^2 - l_1^2)$$

この2つを足し合わせると、求める仕事 $W$ が得られます! $$W = p_0 S(l_2 - l_1) + \frac{1}{2}k(l_2^2 - l_1^2)\,\,[\text{J}]$$ (※図2のように、$p$-$V$ グラフの台形の面積 $W = \dfrac{p_1 + p_2}{2}(V_2 - V_1) = \dfrac{1}{2}\left\{\left(p_0 + \dfrac{kl_1}{S}\right) + \left(p_0 + \dfrac{kl_2}{S}\right)\right\}S(l_2 - l_1)$ を計算してもまったく同じ式になります!)

(3) の答え:$p_0 S(l_2 - l_1) + \dfrac{1}{2}k(l_2^2 - l_1^2)\,\,[\text{J}]$

【設問 (4)】理想気体の内部エネルギーの増加 $\Delta U$

ピストンの移動距離が $l_2$ になったときの気体の圧力を $p_2$、体積を $V_2 = Sl_2$、絶対温度を $T_2$ とすると、(1)・(2)とまったく同じ手順で、 $$p_2 = p_0 + \frac{kl_2}{S}, \qquad RT_2 = p_2 V_2 = p_0 S l_2 + kl_2^2$$ となります。問題文より、絶対温度 $T$ の理想気体 $1\,\text{mol}$ の内部エネルギーは $U = \dfrac{3}{2}RT$ なので、内部エネルギーの増加量 $\Delta U$ は、 $$\Delta U = \frac{3}{2}RT_2 - \frac{3}{2}RT_1 = \frac{3}{2}\left(RT_2 - RT_1\right)$$ ここに $RT_2 = p_0 S l_2 + kl_2^2$ と $RT_1 = p_0 S l_1 + kl_1^2$ を代入すると、 $$\Delta U = \frac{3}{2}\left\{(p_0 S l_2 + kl_2^2) - (p_0 S l_1 + kl_1^2)\right\} = \frac{3}{2}\left\{p_0 S(l_2 - l_1) + k(l_2^2 - l_1^2)\right\}\,\,[\text{J}]$$

(4) の答え:$\dfrac{3}{2}\left\{p_0 S(l_2 - l_1) + k(l_2^2 - l_1^2)\right\}\,\,[\text{J}]$

【設問 (5)】理想気体に加えられた熱量 $Q$

熱力学第一法則(加えた熱量 $Q$ = 内部エネルギーの増加 $\Delta U$ + 気体が外部にした仕事 $W$)より、(4)の $\Delta U$ と(3)の $W$ を足し合わせます! $$Q = \Delta U + W$$ $$Q = \left[\frac{3}{2}p_0 S(l_2 - l_1) + \frac{3}{2}k(l_2^2 - l_1^2)\right] + \left[p_0 S(l_2 - l_1) + \frac{1}{2}k(l_2^2 - l_1^2)\right]$$ 同類項の係数をまとめると、

  • $p_0 S(l_2 - l_1)$ の係数:$\dfrac{3}{2} + 1 = \dfrac{5}{2}$
  • $k(l_2^2 - l_1^2)$ の係数:$\dfrac{3}{2} + \dfrac{1}{2} = \dfrac{4}{2} = 2$

よって、非常にすっきりした形で熱量 $Q$ が求まります! $$Q = \frac{5}{2}p_0 S(l_2 - l_1) + 2k(l_2^2 - l_1^2)\,\,[\text{J}]$$

(5) の答え:$\dfrac{5}{2}p_0 S(l_2 - l_1) + 2k(l_2^2 - l_1^2)\,\,[\text{J}]$
大問〔5〕

波動(光学):2枚の凸レンズの組み合わせと光束の相似比

Sora先生
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最後の大問〔5〕はレンズの公式と光束(光の束)の幾何学の問題です!
前半(1)〜(3)は基本の写像公式 $\dfrac{1}{a} + \dfrac{1}{b} = \dfrac{1}{f}$ で瞬殺できます。差がつくのは後半の(4)〜(6)「明るい部分の直径」!これはレンズの公式ではなく、「平行光が焦点に向かって円錐状に集まり、焦点を通過した後は再び円錐状に広がっていく」という三角形の相似を描けば、小学生の算数レベルで超簡単に解けちゃいます!特に(6)の「集光点($x=12\,\text{cm}$)を通り過ぎた後も直径 $1\,\text{cm}$ 以下になる領域がある」ことを見落とさないように図解で完璧にマスターしましょう!

【問題文】

口径(直径)が $3\,\text{cm}$、焦点距離が $30\,\text{cm}$ および $20\,\text{cm}$ のレンズの式にしたがう薄肉の凸レンズ $\text{A},\,\text{B}$ に関して、適切な数字で空欄 (1) 〜 (6) を埋めて、文章を完結せよ。

まず、焦点距離 $20\,\text{cm}$ のレンズ $\text{B}$ 単独で考える。レンズの光軸上右側 $10\,\text{cm}$ の距離に物体を置くと、その虚像は、レンズの右側 (1) $\text{cm}$ の位置にでき、このときの倍率は (2) 倍である。

次に、図のように、レンズ $\text{A},\,\text{B}$ を光軸を同じにして一直線上に $10\,\text{cm}$ 離して配置する。レンズ $\text{A}$ の左側 $30\,\text{cm}$ の位置に置いた点光源から出た光はレンズ $\text{A}$ を通過後、光軸に平行に進む。さらに、レンズ $\text{B}$ を通過した後、レンズ $\text{B}$ の右側 (3) $\text{cm}$ の位置で集光される。

今度は、レンズ $\text{A}$ の左側からレンズ全面に平行光を入射させると、レンズ $\text{B}$ に入射直前の明るい部分の直径は (4) $\text{cm}$ となる。さらに、レンズ $\text{B}$ の右側にスクリーンを置く。スクリーンにうつる明るい部分の直径が $1\,\text{cm}$ 以下になるレンズ $\text{B}$ とスクリーンの間の距離 $x$ の範囲は (5) $\text{cm} \leqq x \leqq$ (6) $\text{cm}$ である。

図:(4)〜(6) 平行光を入射させたときの光束の収束と発散(相似な三角形) 平行光(直径3cm) Aの焦点 F_A (Bの右20cm) レンズA (f_A=30cm) 直径 3 cm レンズB (f_B=20cm) (4) 直径 2 cm 集光点 (x = 12 cm) 直径1cm (5) x = 6 cm 直径1cm (6) x = 18 cm 直径 ≤ 1 cm の範囲 (6 ≦ x ≦ 18) 10 cm

【設問 (1)・(2)】レンズ $\text{B}$ 単独での虚像の位置と倍率

焦点距離 $f_B = 20\,\text{cm}$ の凸レンズ $\text{B}$ に対し、右側 $10\,\text{cm}$(焦点の内側!)に物体を置きます。
物体からレンズまでの距離を $a = 10\,\text{cm}$、像の位置を $b$ とおいて、レンズの写像公式を立てると、 $$\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f_B} \quad \Longrightarrow \quad \frac{1}{10} + \frac{1}{b} = \frac{1}{20}$$ $$\frac{1}{b} = \frac{1}{20} - \frac{1}{10} = -\frac{1}{20} \quad \Longrightarrow \quad b = -20\,\text{cm}$$ $b < 0$ は「物体と同じ側(=レンズ $\text{B}$ の右側)に距離 $20\,\text{cm}$ の位置に虚像ができる」ことを表しています。
また、このときの倍率 $m$ は、 $$m = \left|\frac{b}{a}\right| = \frac{|-20|}{10} = 2\,\text{倍}$$

(1) の答え:$20$
(2) の答え:$2$

【設問 (3)】レンズ $\text{A}$ の左焦点から出た光がレンズ $\text{B}$ を通過して集光する位置

レンズ $\text{A}$ の焦点距離は $f_A = 30\,\text{cm}$ です。レンズ $\text{A}$ の左側 $30\,\text{cm}$(ちょうど左側の焦点)に置いた点光源から出た光は、問題文にも書かれている通り、レンズ $\text{A}$ を通過したあと光軸に平行な光となってレンズ $\text{B}$ に入射します。
凸レンズに光軸と平行に入射した光は、レンズとの距離に関係なく、必ずそのレンズの後方焦点に集まります!
レンズ $\text{B}$ の焦点距離は $f_B = 20\,\text{cm}$ なので、レンズ $\text{B}$ の右側 $20\,\text{cm}$ の位置で集光されます。

(3) の答え:$20$

【設問 (4)】レンズ $\text{A}$ に平行光を入射させたとき、レンズ $\text{B}$ 入射直前の明るい部分の直径

今度は、レンズ $\text{A}$(口径=直径 $3\,\text{cm}$、焦点距離 $f_A = 30\,\text{cm}$)の左側から平行光を入射させます。
上の図を見てください。もし途中にレンズ $\text{B}$ がなければ、レンズ $\text{A}$ を通過した光束は、レンズ $\text{A}$ の右側 $30\,\text{cm}$ にある焦点 $\text{F}_A$ に向かってまっすぐ円錐状に縮まっていきます。
レンズ $\text{B}$ はレンズ $\text{A}$ の右側 $10\,\text{cm}$ の位置にあるので、焦点 $\text{F}_A$ から見れば手前 $30 - 10 = 20\,\text{cm}$ の位置にあります。
したがって、焦点 $\text{F}_A$ を頂点とする相似な三角形の比より、レンズ $\text{B}$ に入射直前の明るい円の直径 $D_B$ は、 $$D_B : 3\,\text{cm} = (30 - 10)\,\text{cm} : 30\,\text{cm} = 20 : 30 = 2 : 3$$ $$D_B = 3\,\text{cm} \times \frac{20}{30} = 2\,\text{cm}$$

(4) の答え:$2$

【設問 (5)・(6)】スクリーン上の明るい部分の直径が $1\,\text{cm}$ 以下になる距離 $x$ の範囲

【ステップ1:レンズ $\text{B}$ を通過した光が実際に集光する位置を求める】
レンズ $\text{B}$ に入射する光は、レンズ $\text{B}$ の右側 $20\,\text{cm}$ の点 $\text{F}_A$ に集まろうとする収束光です。
このように「レンズの後方 $20\,\text{cm}$ に向かって集まる光」がレンズ $\text{B}$ に入射するとき、写像公式では虚光源として $a = -20\,\text{cm}$ として扱います(あるいは光線の逆行性から(1)の結果を使ってもOKです)。
レンズ $\text{B}$($f_B = 20\,\text{cm}$)の写像公式 $\dfrac{1}{a} + \dfrac{1}{b} = \dfrac{1}{f_B}$ に $a = -20\,\text{cm}$ を代入すると?
ここを丁寧に確認しましょう!
レンズ $\text{A}$ を通過した光が集まろうとしている点 $\text{F}_A$ は、レンズ $\text{B}$ の右側 $20\,\text{cm}$ です。
もし写像公式でそのまま計算する前に、各光線の道筋(幾何光学の基本作図)で考えるとさらに確実でミスがありません!

🔍 光線の作図による集光点 $x_0$ の確実な導出(2通りの確認):

レンズ $\text{A}$ の上端(光軸からの高さ $1.5\,\text{cm}$)を通った光線は、レンズ $\text{B}$ の位置では高さ $1.0\,\text{cm}$(直径 $2\,\text{cm}$ の半分)を通過し、もし $\text{B}$ がなければ $\text{B}$ の右側 $20\,\text{cm}$ で光軸と交わります。
ここで、レンズ $\text{B}$ の写像公式において、$\text{B}$ の右側 $20\,\text{cm}$ に集まろうとする光(虚物体)の像の位置 $b$ は、符号規約により $a = -20\,\text{cm}$ ではなく、高校物理の「1枚目のレンズによる像が2枚目のレンズの後方 $d$ にあるときは $a = -d$」の公式から: $$\frac{1}{-20} + \frac{1}{b} = \frac{1}{20} \quad \Longrightarrow \quad \frac{1}{b} = \frac{1}{20} + \frac{1}{20} = \frac{2}{20} = \frac{1}{10} \quad (\text{※これは凹レンズと混同しやすい要注意ポイント!})$$

💡 なぜ(1)が誘導として与えられているのか?(出題者の意図!)
設問(1)をもう一度見てください!
「レンズ $\text{B}$ の右側 $10\,\text{cm}$ に物体を置くと、その虚像はレンズ $\text{B}$ の右側 $20\,\text{cm}$ にできる」とありましたね!
光の逆行の原理(光路可逆の法則)を思い出してください!

  • (1)の現象:$\text{B}$ の右側 $10\,\text{cm}$ から広がりながら左へ進む光 $\xrightarrow{\text{レンズB}}$ まるで $\text{B}$ の右側 $20\,\text{cm}$ から出たかのように広がる。
  • 今回の現象:左から来て、$\text{B}$ の右側 $20\,\text{cm}$(=$\text{F}_A$)に向かって集まろうとする光がレンズ $\text{B}$ に入射する!
つまり、凸レンズ $\text{B}$ は「さらに光を内側に曲げる(集める)はたらき」をするので、$\text{B}$ の右側 $20\,\text{cm}$ に向かっていた光は、レンズ $\text{B}$ でさらに強く屈折してもっと手前に集まります!
どれくらい手前に集まるかというと:

  • 方法A(写像公式の正しい符号):レンズの後方 $20\,\text{cm}$ にできるはずの実像を「仮想的な物体($a = -20\,\text{cm}$)」とみなすとき、凸レンズの式は $\dfrac{1}{a} + \dfrac{1}{b} = \dfrac{1}{f_B}$ に $a = +20$ ではなく、収束光なので $\dfrac{1}{-20}$ ではなく逆向きの実像点として:実は( 1)で立てた式 $\dfrac{1}{10} + \dfrac{1}{-20} = \dfrac{1}{20}$ の左辺の2項を入れ替えた $\dfrac{1}{-20} + \dfrac{1}{b} = \dfrac{1}{20}$ から $\dfrac{1}{b} = \dfrac{1}{10}$ となり、$b = 10\,\text{cm}$(レンズ $\text{B}$ の右側 $10\,\text{cm}$)となります!
  • 方法B((1)の光の逆行から一瞬で求める!):(1)では「右側 $10\,\text{cm}$ の点と右側 $20\,\text{cm}$ の点が共役(ペア)」であることがわかりました。光線をそのまま逆向きにたどれば、「右側 $20\,\text{cm}$ に向かって集まる光は、レンズ $\text{B}$ によって右側 $10\,\text{cm}$ の点に集光する」ことが計算なしで一瞬でわかります!

【ステップ2:相似な三角形を使って直径が $1\,\text{cm}$ 以下になる範囲を求める】
以上より、レンズ $\text{B}$ を出た直後の光束は直径 $2\,\text{cm}$ でスタートし、レンズ $\text{B}$ の右側 $x_0 = 10\,\text{cm}$ の位置で1点(直径 $0\,\text{cm}$)に集光し、その後は再び円錐状に広がっていきます。
レンズ $\text{B}$ からの距離 $x$ における明るい円の直径 $D(x)$ が $1\,\text{cm}$(つまりレンズ $\text{B}$ 直後の直径 $2\,\text{cm}$ のちょうど半分)になる位置を探しましょう!
集光点($x_0 = 10\,\text{cm}$)を頂点とする相似な三角形を考えると、直径は「集光点からの距離 $|x - 10|$」に比例します。

  • レンズ $\text{B}$ の位置($x = 0\,\text{cm}$、集光点からの距離 $10\,\text{cm}$)で、直径は $2\,\text{cm}$ です。
  • したがって、直径が半分の $1\,\text{cm}$ になるのは、集光点($x_0 = 10\,\text{cm}$)からの距離が半分の $5\,\text{cm}$ になるときです!
集光点 $10\,\text{cm}$ の前後 $5\,\text{cm}$ の範囲を計算すると、 $$10 - 5 \le x \le 10 + 5 \quad \Longrightarrow \quad 5 \le x \le 15$$ よって、スクリーン上の明るい部分の直径が $1\,\text{cm}$ 以下になるのは、$x$ が $5\,\text{cm}$ 以上、$15\,\text{cm}$ 以下のときです。

(5) の答え:$5$
(6) の答え:$15$

🏆 2009年度 帝京大学医学部 物理 攻略まとめ

📌 力学・電磁気(大問1・2)のポイント

大問1の連結2物体単振動は、「糸がたるむ条件=張力 $T=0$ かつ両物体の加速度が等しい」という定番の考え方を押さえていれば完答できます。大問2のミリカン型の荷電粒子問題は、電場の向きと力のつり合い・等加速度運動の基礎公式を丁寧に当てはめるだけで高得点が狙えます。

📌 熱力学・波動(大問3・4)のポイント

大問3の気体の混合は「全体の内部エネルギー保存」と「状態方程式」の2本柱で解く典型問題です。大問4の組合せレンズは、(1)が(5)・(6)の「光路の逆行性」の誘導になっていることに気づけば、符号ミスを完全に防いでスピーディーに解き切ることができます。

Sora先生
Sora先生 ✕ ニックニ(新国)先生からのメッセージ

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【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(帝京大学 2009年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。