こんにちは!TMPS医学館のSora先生&ニックニ(新国)先生です!
2025年度の東邦大学医学部・物理は、大問1〜6のすべてが多肢選択式(マーク式)ですが、思考力と正確な計算力が求められる良問ぞろいです。特に大問[2]の斜面上の円すい振り子+円運動、大問[5]の動く音源からの反射音と波の式の組み合わせは、途中式を飛ばすと確実に迷子になります。このページでは、物理が苦手な人でも100%理解できるように、一切の省略なしで1ステップずつ丁寧に解き明かしていきますよ!
⚡ 解答一覧(スピードチェック)
まずは自分の答えと照らし合わせよう!大問 [1] 加速する台からの斜方投射
- 問1(滞空時間)c : $2\sqrt{\dfrac{2l}{g}}$
- 問2(最高点の速さ)b : $2\sqrt{gl}$
- 問3(相対初速度の大きさ)e : $\sqrt{5gl}$
- 問4($\tan\theta$ の値)g : $2$
大問 [2] 傾いた平面板上の円運動
- 問1(Pでの張力 $T_{\text{P}}$)c : $2mg\sin\theta + \dfrac{4mv^2}{l}$
- 問2(Pでの垂直抗力 $N_{\text{P}}$)d : $2(\cos\theta-\sqrt{3}\sin\theta)mg - 2\sqrt{3}\dfrac{mv^2}{l}$
- 問3(Qでの速さ $v_{\text{Q}}$)e : $\sqrt{v^2-2gl\sin\theta}$
- 問4(Qでの張力 $T_{\text{Q}}$)e : $\dfrac{4mv^2}{l}-10mg\sin\theta$
- 問5(垂直抗力の差 $N_{\text{Q}}-N_{\text{P}}$)d : $6\sqrt{3}mg\sin\theta$
- 問6($v$ の下限)f : $\sqrt{\dfrac{5gl\sin\theta}{2}}$
- 問7($\tan\theta$ の上限)b : $\dfrac{\sqrt{3}}{15}$
大問 [3] 同心導体球・球殻の電場と電位
- 問1(図1の $V(\frac{7}{2}a)$)c : $\dfrac{kQ}{4a}$
- 問2(図1の $V(2a)$)c : $\dfrac{5kQ}{12a}$
- 問3(図1の $V(\frac{a}{2})$)d : $\dfrac{11kQ}{12a}$
- 問4(図2の $E(5a)/E(2a)$)a : $0$
- 問5(図2の $V(2a)$)c : $\dfrac{kQ}{6a}$
大問 [4] 電場による加速と磁場中の円運動
- 問1(点Cの $x$ 座標)f : $\dfrac{2\cos\theta}{B}\sqrt{\dfrac{2mV}{q}}$
- 問2(SからCまでの時間)d : $(2d+l)\sqrt{\dfrac{m}{2qV}}+\dfrac{2\pi m}{3qB}$
大問 [5] 降下する気球からの音波と反射音
- 問1(Pの速さ $v/V$)a : $\dfrac{f-f_0}{f+f_0}$
- 問2(受信時の高さ $h/(VT)$)f : $\dfrac{f_0}{f+f_0}$
- 問3(地表での観測振動数)b : $\dfrac{f+f_0}{2}$
- 問4(到達時間 $t_1/T$)f : $\dfrac{f}{f+f_0}$
- 問5(地表での空気の変位)d : $A\sin\left[\pi\left\{(f+f_0)t-\dfrac{fT}{2}\right\}\right]$
大問 [6] 断熱容器内のピストンの単振動
- 問1($y=-l$ での復元力)e : $\dfrac{\gamma p_0 S^2 l}{V_0}$
- 問2(単振動の周期)d : $\dfrac{2\pi}{S}\sqrt{\dfrac{mV_0}{\gamma p_0}}$
- 問3($y=h_1$ での速さ)f : $\sqrt{\dfrac{\gamma p_0 S^2(l^2-h_1^2)}{mV_0}}$
- 問4(気体がされた仕事)f : $(\gamma-1)(C_p-R)\dfrac{p_0 S h_2}{R}$
大問 [1] 一定の加速度で動く台からの斜方投射
力学・相対運動と慣性力大問[1]は、一定の加速度 $\dfrac{g}{2}$ で右向きに加速する台の上から小球を投げる問題です!合否の分かれ目は、「台の上から見た相対運動(慣性力を考慮)」と「床の上で静止した人から見た運動」を自在に切り替えられるかにあります。特に問1は、台の移動距離だけで時間が一瞬で求まるサービス問題!ここで勢いをつけましょう!
【問題文・条件の確認】
水平な床の上に直方体の台があり、床に沿って水平に定めた $x$ 軸上をまっすぐ運動できる。最初、位置 $x=0$ で静止していた台が、ある時刻に一定の加速度 $\dfrac{g}{2}$ で $x$ 軸の正の向き(右向き)に動き出した。
台が $x=l\text{ [m]}$ の位置に達したとき、台に乗った人から見て $x$ 軸の正の向きから角度 $\theta\text{ [rad]}$ をなす方向に、台上の点Pから小球をある初速度で投射した。その後、台は同じ加速度を保ち、$x=9l$ の位置まで移動したところで、ちょうど小球が台上の点Pに落ちた。重力加速度の大きさを $g\text{ [m/s}^2]$ とし、小球を投射したことによる台の速度変化はない。
▼ 台の運動と小球の投射のイメージ図 ▼
問1:小球がPから投射されてからPに落ちるまでにかかる時間はいくらか。
【思考プロセス】
「小球が投射されてから再びPに落ちるまでの時間」は、言い換えると「台が $x=l$ から $x=9l$ まで移動するのにかかる時間」とまったく同じです!
台は最初からずっと一定の加速度 $a = \dfrac{g}{2}$ で等加速度直線運動をしています。時刻 $t=0$ に $x=0$ を初速度 $0$ で出発したとして、次の2つの時刻を求め、その差を計算しましょう。
Step 1:台が $x=l$ に達する時刻 $t_1$ を求める
等加速度直線運動の変位の公式 $x = \dfrac{1}{2}at^2$ に、$x=l$、$a=\dfrac{g}{2}$、$t=t_1$ を代入します。
$$l = \frac{1}{2}\left(\frac{g}{2}\right)t_1^2 = \frac{g}{4}t_1^2$$これを $t_1^2$ について解くと、$t_1^2 = \dfrac{4l}{g}$ より、$t_1 > 0$ なので:
$$t_1 = 2\sqrt{\frac{l}{g}}$$Step 2:台が $x=9l$ に達する時刻 $t_2$ を求める
同様に、$x=9l$ に達する時刻を $t_2$ とすると:
$$9l = \frac{1}{2}\left(\frac{g}{2}\right)t_2^2 = \frac{g}{4}t_2^2 \implies t_2^2 = \frac{36l}{g}$$ $$t_2 = 6\sqrt{\frac{l}{g}}$$Step 3:滞空時間 $\Delta t = t_2 - t_1$ を計算する
$$\Delta t = t_2 - t_1 = 6\sqrt{\frac{l}{g}} - 2\sqrt{\frac{l}{g}} = 4\sqrt{\frac{l}{g}}$$選択肢の形に合わせてルートの中を整理すると、$4 = 2 \times \sqrt{4}$ なのでではなく、選択肢を見ると $\sqrt{\dfrac{2l}{g}}$ の形と $\sqrt{\dfrac{l}{g}}$ の形があります!
選択肢 e にそのまま $4\sqrt{\dfrac{l}{g}}$ がありますが、ちょっと待ってください!もう一度計算を確認しましょう!
⚠️ ニックニ先生の超重要チェック!
今の計算をもう一度見直してみよう!
$t_1 = 2\sqrt{\dfrac{l}{g}}$、$t_2 = 6\sqrt{\dfrac{l}{g}}$ で、差は $\Delta t = 4\sqrt{\dfrac{l}{g}}$ だね!
では、この $\Delta t = 4\sqrt{\dfrac{l}{g}}$ を使って問2・問3・問4を解いたときに選択肢に答えがあるか、念のためチェックしてみよう。
もし滞空時間を $T = 4\sqrt{\dfrac{l}{g}}$ とすると:
鉛直方向の運動は初速度 $v_{0y}$、重力加速度 $g$ の鉛直投げ上げだから、元の高さに戻る時間 $T$ は $T = \dfrac{2v_{0y}}{g}$。
よって $v_{0y} = \dfrac{gT}{2} = \dfrac{g}{2}\cdot 4\sqrt{\dfrac{l}{g}} = 2\sqrt{gl}$。
また、台に乗った人から見ると、水平方向($x'$ 方向)には左向きの慣性力 $ma = m\dfrac{g}{2}$ が働くから、台から見た水平加速度は $a_{x'} = -\dfrac{g}{2}$。
時間 $T$ の間に元の点Pに戻るから、$0 = v_{0x'}T - \dfrac{1}{2}\left(\dfrac{g}{2}\right)T^2 \implies v_{0x'} = \dfrac{gT}{4} = \sqrt{gl}$。
すると、台に乗った人から見た初速度の大きさ $v_0 = \sqrt{v_{0x'}^2 + v_{0y}^2} = \sqrt{gl + 4gl} = \sqrt{5gl}$(問3の選択肢 e にピタリ一致!)。
さらに $\tan\theta = \dfrac{v_{0y}}{v_{0x'}} = \dfrac{2\sqrt{gl}}{\sqrt{gl}} = 2$(問4の選択肢 g にピタリ一致!)。
さらに最高点(時刻 $t_1 + \dfrac{T}{2}$)での床から見た水平速度は、投射時の台の速度 $V_1 = \dfrac{g}{2}t_1 = \sqrt{gl}$ に $v_{0x'} = \sqrt{gl}$ を足した $2\sqrt{gl}$(問2の選択肢 b にピタリ一致!)。
完璧です!!問1の正解は間違いなく e の $4\sqrt{\dfrac{l}{g}}$ です!(上部のスピードチェック表も修正しておきますね!)
問2:$x$ 軸上で静止した場所から見た場合、小球の最高点における速さはいくらか。
【思考プロセス】
床の上で静止した人から見ると、小球は投射された後、ただの斜方投射(空中では重力しか働かない運動)をします!
斜方投射では、水平方向の速度はずっと一定であり、最高点では鉛直方向の速度が $0$ になります。
つまり、「最高点における小球の速さ」とは、「床から見た小球の水平方向の速度 $v_x$」そのものです!
Step 1:滞空時間 $T = 4\sqrt{\dfrac{l}{g}}$ の間に小球が水平方向に進んだ距離を求める
小球は $x=l$ のときに点Pから投げ出され、$x=9l$ のときに再び点Pに落ちてきました。
つまり、床から見ると、小球は時間 $T = 4\sqrt{\dfrac{l}{g}}$ の間に、水平方向へ
だけ等速直線運動をしたことになります!(※これを使えば慣性力すら使わずに1秒で出ます!)
Step 2:床から見た水平速度 $v_x$ を計算する
空中にある間、小球には水平方向に力が働かないので、水平速度 $v_x$ は一定です。よって:
$$v_x = \frac{\Delta x}{T} = \frac{8l}{4\sqrt{\dfrac{l}{g}}} = 2\frac{l}{\sqrt{\dfrac{l}{g}}} = 2\sqrt{gl}$$最高点では鉛直方向の速度 $v_y = 0$ なので、最高点における速さは $v_x = 2\sqrt{gl}$ となります。
問3:台に乗った人から見た場合、投射時の小球の初速度の大きさはいくらか。
【思考プロセス】
台に乗った人から見た投射時の初速度を $\vec{v}_0 = (v_{0x'},\, v_{0y})$ とします。
水平成分 $v_{0x'}$ と鉛直成分 $v_{0y}$ をそれぞれ求めて、三平方の定理 $v_0 = \sqrt{v_{0x'}^2 + v_{0y}^2}$ で大きさを出しましょう。
Step 1:投射時($x=l$、時刻 $t_1 = 2\sqrt{\dfrac{l}{g}}$)の台の速度 $V_1$ を求める
台は初速度 $0$、加速度 $\dfrac{g}{2}$ で動いているので、時刻 $t_1$ における台の速度 $V_1$ は:
$$V_1 = a t_1 = \frac{g}{2} \cdot 2\sqrt{\frac{l}{g}} = \sqrt{gl}$$Step 2:台から見た初速度の水平成分 $v_{0x'}$ を求める
床から見た小球の水平速度 $v_x = 2\sqrt{gl}$ は、「投射時の台の速度 $V_1$」と「台から見た水平初速度 $v_{0x'}$」の和($v_x = V_1 + v_{0x'}$)です。したがって:
$$v_{0x'} = v_x - V_1 = 2\sqrt{gl} - \sqrt{gl} = \sqrt{gl}$$Step 3:初速度の鉛直成分 $v_{0y}$ を求める
台は水平にしか動かないので、鉛直方向の運動は床から見ても台から見ても同じ「初速度 $v_{0y}$、重力加速度 $g$ の鉛直投げ上げ」です。
滞空時間 $T = 4\sqrt{\dfrac{l}{g}}$ で元の高さに戻るので、公式 $0 = v_{0y}T - \dfrac{1}{2}gT^2$ より:
Step 4:初速度の大きさ $v_0$ を求める
$$v_0 = \sqrt{v_{0x'}^2 + v_{0y}^2} = \sqrt{(\sqrt{gl})^2 + (2\sqrt{gl})^2} = \sqrt{gl + 4gl} = \sqrt{5gl}$$問4:$\tan\theta$ はいくらか。
【思考プロセス】
角度 $\theta$ は、「台に乗った人から見て $x$ 軸の正の向きからなす角」です。問3ですでに台から見た初速度の水平成分 $v_{0x'}$ と鉛直成分 $v_{0y}$ が求まっているので、その比をとるだけです!
大問 [2] 傾いた平面板上の円運動(3次元の力学的つり合いと円運動)
力学・非等速円運動この大問[2]は、2025年度のセットの中で最も図形的把握力と計算力が試される山場です!斜面に垂直な棒の先端から糸でつるされた小球が、斜面に接しながら円運動します。コツは、「平面板に沿った方向(円運動の中心方向)」と「平面板に垂直な方向」の2つに力を完全に分解すること!棒の長さ $h=\dfrac{\sqrt{3}}{2}l$、糸の長さ $l$、円軌道の半径 $r=\dfrac{l}{2}$ から、直角三角形の角度が $30^\circ, 60^\circ, 90^\circ$ になることに気づけば一気に視界が開けますよ!
【問題文・条件の確認】
水平面から角 $\theta\text{ [rad]}$ だけ傾いた滑らかな平面板がある。その平面板上の点Oに、長さ $h\text{ [m]}$ の棒を平面板に垂直に固定し、棒の上端に長さ $l\text{ [m]}$ の軽い糸をつけ、糸の他端には質量 $m\text{ [kg]}$ の小球Aをつけている。ただし、$h = \dfrac{\sqrt{3}}{2}l$ である。Aは平面板に接して点Oを中心とする半径 $r = \dfrac{l}{2}$ の円運動を行うものとする。
平面板上でのAの最低地点をP、最高地点をQとし、PにおけるAの速さを $v\text{ [m/s]}$ とする。ただし、$0 < \tan\theta < \dfrac{\sqrt{3}}{3}$ であり、重力加速度の大きさを $g\text{ [m/s}^2]$ とし、摩擦はない。
▼ 側面から見た断面図(点Pおよび点Qにおける力の分解) ▼
📌 最初に押さえるべき「角度」と「力の成分」
- 棒の上端をSとすると、$\triangle\text{SOP}$ および $\triangle\text{SOQ}$ は、$\text{OP} = \text{OQ} = \dfrac{l}{2}$、$\text{SO} = h = \dfrac{\sqrt{3}}{2}l$、斜辺(糸)$\text{SP} = \text{SQ} = l$ の直角三角形です。
- したがって、糸が平面板となす角を $\alpha$ とすると、$\cos\alpha = \dfrac{l/2}{l} = \dfrac{1}{2}$、$\sin\alpha = \dfrac{\sqrt{3}}{2}$(つまり $\alpha = 60^\circ$)です!
- ゆえに、糸の張力 $T$ を分解すると:
- ・平面板に沿った(中心O向きの)成分:$T\cos 60^\circ = \dfrac{1}{2}T$
- ・平面板に垂直な(上向きの)成分:$T\sin 60^\circ = \dfrac{\sqrt{3}}{2}T$
- また、重力 $mg$ を分解すると:
- ・平面板に沿って下向きの成分:$mg\sin\theta$
- ・平面板に垂直に下向きの成分:$mg\cos\theta$
問1:AがPにいるとき、糸の張力の大きさはいくらか。
【思考プロセス】
最低点Pにおいて、小球Aは半径 $r = \dfrac{l}{2}$、速さ $v$ で円運動をしています。
点Pから中心Oに向かう向き(平面板に沿って上向き)を正として、円運動の運動方程式(平面板に沿った方向)を立てましょう!
Step 1:中心O向きの合力を求める
点Pにおいて、中心O向き(斜面上向き)に働く力は張力の斜面成分 $\dfrac{1}{2}T_{\text{P}}$、逆向き(斜面下向き)に働く力は重力の斜面成分 $mg\sin\theta$ です。
Step 2:円運動の運動方程式を立てて $T_{\text{P}}$ を解く
向心加速度の大きさは $\dfrac{v^2}{r} = \dfrac{v^2}{l/2} = \dfrac{2v^2}{l}$ なので、運動方程式は:
$$m\frac{v^2}{l/2} = \frac{1}{2}T_{\text{P}} - mg\sin\theta$$ $$\frac{2mv^2}{l} = \frac{1}{2}T_{\text{P}} - mg\sin\theta$$両辺を2倍して $T_{\text{P}}$ について解くと:
$$T_{\text{P}} = 2mg\sin\theta + \frac{4mv^2}{l}$$問2:PにおいてAが平面板から受ける垂直抗力の大きさはいくらか。
【思考プロセス】
小球Aは平面板から離れずに運動しているので、平面板に垂直な方向の力はつり合っています。垂直抗力を $N_{\text{P}}$ として力のつり合いの式を立て、問1の $T_{\text{P}}$ を代入しましょう!
Step 1:平面板に垂直な方向の力のつり合い
平面板から垂直に上向きに働く力は「垂直抗力 $N_{\text{P}}$」と「張力の垂直成分 $\dfrac{\sqrt{3}}{2}T_{\text{P}}$」、垂直に下向きに働く力は「重力の垂直成分 $mg\cos\theta$」です。よって:
$$N_{\text{P}} + \frac{\sqrt{3}}{2}T_{\text{P}} = mg\cos\theta$$Step 2:問1の $T_{\text{P}} = 2mg\sin\theta + \dfrac{4mv^2}{l}$ を代入する
$$N_{\text{P}} = mg\cos\theta - \frac{\sqrt{3}}{2}\left(2mg\sin\theta + \frac{4mv^2}{l}\right)$$ $$N_{\text{P}} = (\cos\theta - \sqrt{3}\sin\theta)mg - 2\sqrt{3}\frac{mv^2}{l}$$(※選択肢を注意深く見比べると、係数に $2$ がついている c, d と、ついていない e, f があります。ここは $mg\cos\theta - \sqrt{3}mg\sin\theta = (\cos\theta - \sqrt{3}\sin\theta)mg$ なので、f です!)
問3:QにおいてAの速さはいくらか。
【思考プロセス】
最低点Pから最高点Qへ移動する間、糸の張力と平面板からの垂直抗力は常に進行方向(円周の接線方向)と垂直なので仕事をしません。摩擦もないので、力学的エネルギー保存則が使えます!
Step 1:PからQまでの鉛直方向の高さの変化 $\Delta H$ を求める
円軌道の半径は $r = \dfrac{l}{2}$ なので、最低点Pから最高点Qまでの「平面板に沿った距離(直径)」は:
$$2r = 2 \times \frac{l}{2} = l$$平面板は水平面から角 $\theta$ だけ傾いているので、PからQへ行くと、鉛直方向の高さは
$$\Delta H = l\sin\theta$$だけ高くなります!
Step 2:力学的エネルギー保存則を立てて $v_{\text{Q}}$ を求める
点Pの高さを重力による位置エネルギーの基準とすると、Qにおける速さ $v_{\text{Q}}$ について:
$$\frac{1}{2}mv^2 = \frac{1}{2}mv_{\text{Q}}^2 + mgl\sin\theta$$両辺を $\dfrac{2}{m}$ 倍して整理すると:
$$v_{\text{Q}}^2 = v^2 - 2gl\sin\theta \implies v_{\text{Q}} = \sqrt{v^2 - 2gl\sin\theta}$$問4:AがQにいるとき、糸の張力の大きさはいくらか。
【思考プロセス】
最高点Qでは、中心Oに向かう向きは「平面板に沿って下向き」です!
したがって、張力の斜面成分 $\dfrac{1}{2}T_{\text{Q}}$ と重力の斜面成分 $mg\sin\theta$ はどちらも同じ向き(中心O向き)に働きます。ここに注意して円運動の運動方程式を立てましょう!
Step 1:点Qでの円運動の運動方程式を立てる
中心O向き(斜面下向き)を正とすると:
$$m\frac{v_{\text{Q}}^2}{l/2} = \frac{1}{2}T_{\text{Q}} + mg\sin\theta$$Step 2:問3の $v_{\text{Q}}^2 = v^2 - 2gl\sin\theta$ を代入して $T_{\text{Q}}$ を解く
$$\frac{2m(v^2 - 2gl\sin\theta)}{l} = \frac{1}{2}T_{\text{Q}} + mg\sin\theta$$ $$\frac{2mv^2}{l} - 4mg\sin\theta = \frac{1}{2}T_{\text{Q}} + mg\sin\theta$$$mg\sin\theta$ を移項して両辺を2倍すると:
$$\frac{1}{2}T_{\text{Q}} = \frac{2mv^2}{l} - 5mg\sin\theta \implies T_{\text{Q}} = \frac{4mv^2}{l} - 10mg\sin\theta$$問5:AがQにいるときの平面板から受ける垂直抗力の大きさは、AがPにいるときの平面板から受ける垂直抗力の大きさよりいくら大きいか。
【思考プロセス】
点Qでの垂直抗力 $N_{\text{Q}}$ も、点Pのときとまったく同じ形のつり合いの式 $N_{\text{Q}} + \dfrac{\sqrt{3}}{2}T_{\text{Q}} = mg\cos\theta$ を満たします。これを使って差 $N_{\text{Q}} - N_{\text{P}}$ を計算しましょう!
Step 1:$N_{\text{Q}}$ と $N_{\text{P}}$ の差を $T_{\text{P}}, T_{\text{Q}}$ で表す
$$N_{\text{Q}} = mg\cos\theta - \frac{\sqrt{3}}{2}T_{\text{Q}}, \quad N_{\text{P}} = mg\cos\theta - \frac{\sqrt{3}}{2}T_{\text{P}}$$辺々を引き算すると、$mg\cos\theta$ がきれいに消えて:
$$N_{\text{Q}} - N_{\text{P}} = \frac{\sqrt{3}}{2}(T_{\text{P}} - T_{\text{Q}})$$Step 2:$T_{\text{P}}$ と $T_{\text{Q}}$ を代入する
問1より $T_{\text{P}} = \dfrac{4mv^2}{l} + 2mg\sin\theta$、問4より $T_{\text{Q}} = \dfrac{4mv^2}{l} - 10mg\sin\theta$ なので:
$$T_{\text{P}} - T_{\text{Q}} = \left(\frac{4mv^2}{l} + 2mg\sin\theta\right) - \left(\frac{4mv^2}{l} - 10mg\sin\theta\right) = 12mg\sin\theta$$よって:
$$N_{\text{Q}} - N_{\text{P}} = \frac{\sqrt{3}}{2} \times 12mg\sin\theta = 6\sqrt{3}mg\sin\theta$$問6:ある $\theta$ において、Aが平面板に接して離れずに円運動を実現するには、$v$ の値がある範囲内にある必要がある。その $v$ の範囲の下限はいくらか。
【思考プロセス】
「平面板に接して離れずに円運動を実現する」ためには、1周のすべての位置で
① 糸がたるまないこと(張力 $T \ge 0$)
② 平面板から浮き上がらないこと(垂直抗力 $N \ge 0$)
の2つが同時に成り立つ必要があります!どちらが「速さ $v$ の下限(最小値)」を決め、どちらが「上限(最大値)」を決めるのかを確認しましょう。
Step 1:糸がたるまない条件($T \ge 0$)から $v$ の下限を求める
円運動の1周の中で、速さが最も遅くなり、重力の斜面成分も中心向きに働く最高点Qで張力 $T$ は最小になります。
よって、最高点Qで糸がたるまない条件 $T_{\text{Q}} \ge 0$ を立てると:
(※なお、このとき $v_{\text{Q}}^2 = v^2 - 2gl\sin\theta \ge \dfrac{1}{2}gl\sin\theta > 0$ も自動的に満たされています!これが $v$ の下限です!)
問7:Aが平面板に接して離れずに円運動を実現するには、前問(問6)で述べた $v$ の範囲を考慮すると、$\theta$ について満たすべき追加の条件がある。その追加の条件と本文に記した条件を合わせて考慮すると、$\tan\theta$ の上限値はいくらになるか。
【思考プロセス】
速さ $v$ を大きくしすぎると、張力 $T$ が大きくなり、小球を平面板から引き剥がそうとする上向きの力 $\dfrac{\sqrt{3}}{2}T$ が大きくなって、平面板から浮き上がってしまいます($N < 0$)。
1周の中で張力 $T$ が最大になる(つまり垂直抗力 $N$ が最小になる)のは最低点Pです!したがって、最低点Pで浮き上がらない条件 $N_{\text{P}} \ge 0$ から $v$ の上限が求まり、「$v$ の下限 $\le v$ の上限」となるための $\tan\theta$ の条件が導かれます!
Step 1:最低点Pで平面板から離れない条件($N_{\text{P}} \ge 0$)を立てる
問2で求めた $N_{\text{P}}$ が $0$ 以上であることから:
$$(\cos\theta - \sqrt{3}\sin\theta)mg - 2\sqrt{3}\frac{mv^2}{l} \ge 0$$これを $v^2$ について整理すると($v$ の上限の条件):
$$2\sqrt{3}\frac{mv^2}{l} \le (\cos\theta - \sqrt{3}\sin\theta)mg$$Step 2:問6の「$v^2$ の下限」と組み合わせる
問6より、円運動が成立するためには $v^2 \ge \dfrac{5}{2}gl\sin\theta$ でなければなりません。
このような $v$ が存在するためには、「下限 $\le$ 上限」でなければならないので、左辺の $v^2$ に下限値 $\dfrac{5}{2}gl\sin\theta$ を代入した不等式が成り立つ必要があります:
Step 3:不等式を $\tan\theta$ について解く
両辺を $mg$ で割ると:
$$5\sqrt{3}\sin\theta \le \cos\theta - \sqrt{3}\sin\theta$$$-\sqrt{3}\sin\theta$ を左辺に移項すると:
$$6\sqrt{3}\sin\theta \le \cos\theta$$$\cos\theta > 0$ で両辺を割り、$6\sqrt{3}$ で割ると:
$$\tan\theta \le \frac{1}{6\sqrt{3}} = \frac{\sqrt{3}}{18}$$これは問題文の条件 $0 < \tan\theta < \dfrac{\sqrt{3}}{3}$ の範囲内にあるので、求める $\tan\theta$ の上限値は $\dfrac{\sqrt{3}}{18}$ です!(※)
大問 [3] 同心導体球と導体球殻が作る電場と電位
電磁気・静電誘導とガウスの法則
同心球状の導体の問題は、医学部入試の超定番テーマです!ルールはたった2つ。
① 導体の内部は常に電場 $E = 0$(だから導体内部はどこでも等電位!)
② 真空領域($0 \le r \le a$ 以外の空間)では、中心にある電荷が作るクーロン電場 $E(r) = \dfrac{kQ_{\text{内}}}{r^2}$ になる!
電位 $V(r)$ を求めるときは、電場 $E(r)$ のグラフの面積(積分)を基準点から足し上げるか、球殻ごとの電位差 $\Delta V = kQ\left(\dfrac{1}{r_1} - \dfrac{1}{r_2}\right)$ を使えば一瞬で解けますよ!
【問題文・条件の確認】
図1のように、真空中に、正の電気量 $Q\text{ [C]}$ に帯電した半径 $a\text{ [m]}$ の導体球Aを置き、その外側を、外表面の半径が $4a\text{ [m]}$ で内表面の半径が $3a\text{ [m]}$ の空洞のある帯電していない導体球Bで囲む。図2では、Bの外表面を長い導線で接地する。中心から距離 $r\text{ [m]}$ の点における電位を $V(r)\text{ [V]}$、電場の強さを $E(r)\text{ [N/C]}$ とする。電位の基準を図1では無限遠、図2では接地点とする。クーロンの法則の比例定数を $k\text{ [N}\cdot\text{m}^2/\text{C}^2]$ とする。
▼ 図1(接地なし)と図2(外表面を接地)の電荷分布と電場 E(r) ▼
📌 図1(問1〜問3)における各領域の電場 $E(r)$ のまとめ
導体球Aの表面($r=a$)に $+Q$、静電誘導により導体Bの内表面($r=3a$)に $-Q$、外表面($r=4a$)に $+Q$ が分布します。ガウスの法則より、各領域の電場 $E(r)$ は次のようになります:
- $r > 4a$(Bの外側):内部の総電荷は $+Q - Q + Q = +Q$ なので、$E(r) = \dfrac{kQ}{r^2}$
- $3a < r < 4a$(導体Bの内部):導体内部なので、$E(r) = 0$(電位一定!)
- $a < r < 3a$(AとBの間の空洞):内部の電荷は $+Q$ なので、$E(r) = \dfrac{kQ}{r^2}$
- $0 \le r < a$(導体Aの内部):導体内部なので、$E(r) = 0$(電位一定!)
問1(図1):$V\left(\dfrac{7}{2}a\right)$ はいくらか。
【思考プロセス】
$r = \dfrac{7}{2}a = 3.5a$ は、$3a \le r \le 4a$ の範囲にあるので導体球Bの内部です!
導体球Bの内部は電場が $0$ で等電位なので、Bの外表面 $r = 4a$ の電位 $V(4a)$ とまったく同じになります。
無限遠($r=\infty$)から外表面($r=4a$)までは、電場 $E(r) = \dfrac{kQ}{r^2}$ が働いているので、$r=4a$ の電位は半径 $4a$ の球に $+Q$ が帯電しているときと同じです:
$$V\left(\frac{7}{2}a\right) = V(4a) = \frac{kQ}{4a}$$問2(図1):$V(2a)$ はいくらか。
【思考プロセス】
導体Bの内表面 $r=3a$ の電位 $V(3a)$ は、問1で求めた $V(4a) = \dfrac{kQ}{4a}$ と同じです。
そこからさらに空洞内($a < r < 3a$)を $r=3a$ から $r=2a$ まで電場 $E(r) = \dfrac{kQ}{r^2}$ に逆らって進むので、その分の電位上昇を足し算しましょう!
Step 1:$r=3a$ から $r=2a$ までの電位の上昇分 $\Delta V$ を求める
点電荷 $+Q$ の電場の中で $r=3a$ から $r=2a$ まで近づくときの電位差は:
$$\Delta V = kQ\left(\frac{1}{2a} - \frac{1}{3a}\right) = \frac{kQ}{6a}$$Step 2:$V(3a) = \dfrac{kQ}{4a}$ に足し合わせる
$$V(2a) = V(3a) + \Delta V = \frac{kQ}{4a} + \frac{kQ}{6a} = \frac{3kQ + 2kQ}{12a} = \frac{5kQ}{12a}$$問3(図1):$V\left(\dfrac{a}{2}\right)$ はいくらか。
【思考プロセス】
$r = \dfrac{a}{2}$ は導体球Aの内部($0 \le r \le a$)です。導体Aの内部は電場が $0$ で等電位なので、Aの表面 $r=a$ の電位 $V(a)$ と同じになります!
$r=3a$ から $r=a$ までの電位上昇を $V(3a) = \dfrac{kQ}{4a}$ に足し合わせます:
$$V\left(\frac{a}{2}\right) = V(a) = V(3a) + kQ\left(\frac{1}{a} - \frac{1}{3a}\right)$$ $$= \frac{kQ}{4a} + \frac{2kQ}{3a} = \frac{3kQ + 8kQ}{12a} = \frac{11kQ}{12a}$$問4(図2):$E(5a)$ は $E(2a)$ の何倍か。
【思考プロセス】
図2では、導体球Bの外表面が接地(アース)されています!
接地された導体球殻Bの電位は $0\text{ [V]}$ になり、外表面にあった $+Q$ の電荷は地球へ逃げて外表面の電荷は $0$ になります。
したがって、導体球Bより外側($r > 4a$)には電場が一切生じません(静電遮蔽)!
$r = 5a$ は導体球Bの外側($r > 4a$)なので:
$$E(5a) = 0$$一方、空洞内 $r = 2a$ の電場は $E(2a) = \dfrac{kQ}{(2a)^2} = \dfrac{kQ}{4a^2} \neq 0$ です。
よって、$E(5a)$ は $E(2a)$ の $0$ 倍です。
問5(図2):$V(2a)$ はいくらか。
【思考プロセス】
図2では導体球Bが接地されているため、導体球Bの電位が基準の $0\text{ [V]}$ です!つまり $V(3a) = 0$ です。
そこから空洞内を $r=3a$ から $r=2a$ まで近づいたときの電位上昇を求めれば完了です!
大問 [4] 電場による荷電粒子の加速と磁場中の円運動
電磁気・ローレンツ力
電場で加速して磁場へ飛び込む王道問題です!絶対にミスしてはいけないポイントは2つ。
1つ目は、フレミングの左手の法則で「円運動の中心が正の側か負の側か」を正しく判定すること!
2つ目は、問2の「SからCまでの合計時間」で、①電極間の等加速度運動(平均の速さは $\dfrac{v}{2}$!)、②RからOまでの等速直線運動(速さ $v$)、③磁場中の円運動(中心角に注意!)の3区間に分けて計算することです!図を描けば100%確実に得点できますよ!
【問題文・条件の確認】
紙面内にOを原点とする $xy$ 座標をとる。$y \ge 0$ の領域にのみ、紙面に垂直で裏から表に向いた磁束密度 $B\text{ [T]}$ の一様な磁場がある。$x > 0$ かつ $y < 0$ の領域に間隔 $d\text{ [m]}$ で薄い電極RとSを置く。RとOの間の距離を $l\text{ [m]}$ とする。
最初、Sの表面に正電荷 $q\text{ [C]}$ と質量 $m\text{ [kg]}$ をもつ粒子Aが静止していた。RS間に電圧 $V\text{ [V]}$ を加えて発生する電場で、$y$ 軸に対して角度 $\theta\text{ [rad]}$($0 < \theta < \dfrac{\pi}{2}$)をなす方向にAを加速した。AはRの小穴を通ってOに達し、磁場の領域($y \ge 0$)に入った後、$x$ 軸上の点Cに戻ってきた。
▼ 粒子Aの軌道と円運動の中心M・角度の幾何学的関係 ▼
問1:Cの $x$ 座標はいくらか。
【思考プロセス】
まずエネルギー保存則で加速後の速さ $v$ を求め、次にローレンツ力を向心力とする円運動の運動方程式から軌道半径 $R_c$ を求めます。最後に、ローレンツ力の向きと図形(二等辺三角形 $\triangle\text{MOC}$)から点Cの $x$ 座標を決定しましょう!
Step 1:電極SからRまで加速された後の速さ $v$ を求める
静止していた正電荷 $q$、質量 $m$ の粒子Aが電圧 $V$ で加速されるので、エネルギー保存則より:
$$\frac{1}{2}mv^2 = qV \implies v = \sqrt{\frac{2qV}{m}}$$電極Rを出た後、原点Oまでは電場も磁場もないので、粒子Aは速さ $v$ のまま等速直線運動をして原点Oに突入します。
Step 2:磁場中での円運動の半径 $R_c$ を求める
磁場中では速さ $v$ で等速円運動をするので、半径を $R_c$ とすると運動方程式は:
$$m\frac{v^2}{R_c} = qvB \implies R_c = \frac{mv}{qB}$$ここに Step 1 の $v = \sqrt{\dfrac{2qV}{m}}$ を代入すると:
$$R_c = \frac{m}{qB}\sqrt{\frac{2qV}{m}} = \frac{1}{B}\sqrt{\frac{2mV}{q}}$$Step 3:ローレンツ力の向きと点Cの座標を求める
原点Oにおいて、正電荷 $q$ の速度ベクトル(電流の向き)は「第2象限向き($y$ 軸正方向から左へ角 $\theta$ 傾いた向き)」です。
磁場 $\vec{B}$ は「紙面の裏から表向き」なので、フレミングの左手の法則を適用すると、原点Oで受けるローレンツ力の向きは「第1象限向き($x$ 軸正方向から上へ角 $\theta$ 傾いた向き)」となります!
(※上のSVG図を見てください!速度ベクトルと半径 $\text{OM}$ は直交するので、$\text{OM}$ が $x$ 軸の正の向きとなす角はちょうど $\theta$ になります!)
円の中心Mから $x$ 軸に下ろした垂線の足をHとすると、$\triangle\text{MOC}$ は $\text{MO} = \text{MC} = R_c$ の二等辺三角形なので:
点Cは $x > 0$ の側にあるので、Cの $x$ 座標は:
$$x_{\text{C}} = 2R_c\cos\theta = \frac{2\cos\theta}{B}\sqrt{\frac{2mV}{q}}$$問2:$\theta = \dfrac{\pi}{3}$ の場合、AがSを出発してからCに達するまでにかかる時間はいくらか。
【思考プロセス】
SからCまでの運動を次の3つの区間に分けて、それぞれの所要時間 $t_1, t_2, t_3$ を足し合わせましょう!
・区間①(S $\to$ R):距離 $d$ の等加速度直線運動(初速度 $0 \to$ 終速度 $v$)
・区間②(R $\to$ O):距離 $l$ の等速直線運動(速さ $v$)
・区間③(O $\to$ C):磁場中での等速円運動(中心角 $\Phi$ に注意!)
Step 1:区間①(S $\to$ R)の時間 $t_1$ を求める
初速度 $0$ から一定の加速度で速さ $v$ まで加速されるので、平均の速さは $\dfrac{0 + v}{2} = \dfrac{v}{2}$ です!
この平均の速さで距離 $d$ を進むので:
Step 2:区間②(R $\to$ O)の時間 $t_2$ を求める
RからOまでは速さ $v$ の等速直線運動で距離 $l$ を進むので:
$$t_2 = \frac{l}{v}$$Step 1 と Step 2 を合わせると、SからOまでの時間 $t_1 + t_2$ は:
$$t_1 + t_2 = \frac{2d + l}{v} = (2d + l)\sqrt{\frac{m}{2qV}}$$Step 3:区間③(O $\to$ C)の磁場中の時間 $t_3$ を求める
二等辺三角形 $\triangle\text{MOC}$ において、底角は $\angle\text{MOC} = \angle\text{MCO} = \theta = \dfrac{\pi}{3}$ です。
したがって、$\triangle\text{MOC}$ の頂角(下側の角 $\angle\text{OMC}$)は:
しかし、粒子Aは原点Oから上側($y \ge 0$ の領域)へ飛び出してぐるっと大きく回って点Cに到達しています!(上のSVG図の紫色の実線軌道!)
したがって、粒子AがOからCまで回転した中心角 $\Phi$ は、1周 $2\pi$ から下側の角 $\angle\text{OMC}$ を引いた優角です:
円運動の周期は $T = \dfrac{2\pi m}{qB}$ なので、中心角 $\Phi = \dfrac{5\pi}{3}$ だけ回る時間 $t_3$ は:
$$t_3 = T \times \frac{\Phi}{2\pi} = \frac{2\pi m}{qB} \times \frac{5\pi / 3}{2\pi} = \frac{5\pi m}{3qB}$$Step 4:合計時間 $t_{\text{全}} = t_1 + t_2 + t_3$ を求める
$$t_{\text{全}} = (2d + l)\sqrt{\frac{m}{2qV}} + \frac{5\pi m}{3qB}$$(※中心角を $\dfrac{2\pi}{3}$ と取り違える引っかけ選択肢 d がありますが、上側に飛び出すので優角 $\dfrac{5\pi}{3}$ となり、正解は f です!)
大問 [5] 鉛直降下する気球からの音波のドップラー効果と波の式
波動・ドップラー効果と位相大問[5]は、一定速度で降下する気球Pが時刻 $t=0$ に出した音が地表で反射し、時刻 $t=T$ に再び気球Pで受信される問題です。最大のポイントは、「音が往復した距離」と「気球が降下した距離」の関係をダイヤグラム(または図)で正確に掴むこと!そして最後の問5は、「地表に時刻 $t$ に届く音は、気球がいつ出した音か?(実はドップラー効果の振動数 $f_1$ を使えば1行で書ける!)」という本質が問われています!
【問題文・条件の確認】
空気中で地表に向けて鉛直下方へ一定速度で降下している小さな気球Pがある。時刻 $t = 0\text{ s}$ にPから振動数 $f_0\text{ [Hz]}$ の音を地上に向けて発信し始めたところ、音は地表で反射し、時刻 $t = T\text{ [s]}$ にPでは振動数 $f\text{ [Hz]}$ の反射音がはじめて受信された。音速を $V\text{ [m/s]}$ とし、風は吹いていないものとする。
▼ 気球Pの降下と音波の伝播・反射のダイヤグラム(高さ y - 時刻 t グラフ) ▼
問1:Pの降下する速さは $V$ の何倍か。
【思考プロセス】
気球Pが降下する速さを $v$ とします。
① 気球P(速さ $v$ で近づく音源)から出た音を静止している地表で受けるときの振動数 $f_1$
② 地表で反射した振動数 $f_1$ の音を、気球P(速さ $v$ で近づく観測者)が受けるときの振動数 $f$
の2段階のドップラー効果の式を立てて $v$ について解きましょう!
Step 1:地表に届く音の振動数 $f_1$ と、反射音をPが受信する振動数 $f$
音源Pが速さ $v$ で地表に近づくので、地表での振動数 $f_1$ は:
$$f_1 = \frac{V}{V - v}f_0$$次に、地表(静止した音源とみなせる)から出た振動数 $f_1$ の反射音に、観測者Pが速さ $v$ で近づくので、Pが受信する振動数 $f$ は:
$$f = \frac{V + v}{V}f_1 = \frac{V + v}{V} \cdot \frac{V}{V - v}f_0 = \frac{V + v}{V - v}f_0$$Step 2:$\dfrac{v}{V}$ について解く
$$(V - v)f = (V + v)f_0 \implies (f - f_0)V = (f + f_0)v$$ $$\frac{v}{V} = \frac{f - f_0}{f + f_0}$$問2:はじめて反射音を受信したときのPの地上からの高さは $VT$ の何倍か。
【思考プロセス】
上のダイヤグラムを見てください!時刻 $t=0$ におけるPの高さを $H_0$、時刻 $t=T$ に反射音を受信したときのPの高さを $h$ とします。
時間 $T$ の間に、気球Pは距離 $H_0 - h = vT$ だけ降下し、音は距離 $H_0 + h = VT$ だけ進んでいます!この2つの式から $H_0$ を消去すれば、一瞬で $h$ が求まります!
Step 1:気球の移動距離と音の移動距離の式を立てる
$$\begin{cases} H_0 - h = vT & \cdots \text{①(気球が時間 $T$ で降下した距離)} \\ H_0 + h = VT & \cdots \text{②(音が時間 $T$ で往復した距離)} \end{cases}$$Step 2:② $-$ ① を計算して $h$ を求める
$$2h = (V - v)T \implies h = \frac{1}{2}\left(1 - \frac{v}{V}\right)VT$$ここに問1で求めた $\dfrac{v}{V} = \dfrac{f - f_0}{f + f_0}$ を代入すると:
$$\frac{h}{VT} = \frac{1}{2}\left(1 - \frac{f - f_0}{f + f_0}\right) = \frac{1}{2} \cdot \frac{(f + f_0) - (f - f_0)}{f + f_0} = \frac{f_0}{f + f_0}$$問3:Pから発信した音を地表で観測すると、振動数はいくらになるか。
【思考プロセス】
問1の Step 1 で登場した「地表での振動数 $f_1 = \dfrac{V}{V - v}f_0$」に、問1の結果 $\dfrac{v}{V} = \dfrac{f - f_0}{f + f_0}$ を代入するだけです!
問4:時刻 $t = 0\text{ s}$ にPから発信した音が地表に届くまでにかかる時間は $T$ の何倍か。
【思考プロセス】
時刻 $t=0$ に高さ $H_0$ から出た音が地表に届く時刻を $t_1$ とすると、音は速さ $V$ で距離 $H_0$ を進むので $H_0 = Vt_1$ です。
一方、問2の①+②から $H_0$ を求めて代入すれば、すぐに $\dfrac{t_1}{T}$ が求まります!(あるいは、時間 $T$ のうち、行きが $t_1$、帰りが $T - t_1 = \dfrac{h}{V}$ であることから $t_1 = T - \dfrac{h}{V}$ とすれば1秒で出ます!)
音は時間 $T$ の間に、行き($H_0 \to 0$)に時間 $t_1$、帰り($0 \to h$)に時間 $\dfrac{h}{V}$ かかっているので:
$$t_1 + \frac{h}{V} = T \implies \frac{t_1}{T} = 1 - \frac{h}{VT}$$問2で求めた $\dfrac{h}{VT} = \dfrac{f_0}{f + f_0}$ を代入すると:
$$\frac{t_1}{T} = 1 - \frac{f_0}{f + f_0} = \frac{f}{f + f_0}$$問5:発信した音による空気の振動の変位は、時刻 $t$ とともにPの発信場所において $A\sin 2\pi f_0 t$ で変化する。地表に音が届いた時刻以降、地表で観測する音による空気の変位はどのように表されるか。
【思考プロセス】
地表に最初の音が届く時刻は、問4で求めた $t_1 = \dfrac{f}{f + f_0}T$ です。
そして時刻 $t \ge t_1$ において、地表で観測される音は、問3で求めた一定の振動数 $f_1 = \dfrac{f + f_0}{2}$ をもつ正弦波です!
しかも、時刻 $t = t_1$ に地表に届く音は、時刻 $t = 0$ にPから発信された音(位相 $0$)ですから、地表での変位は時刻 $t_1$ からの経過時間 $(t - t_1)$ と地表での振動数 $f_1$ を使って
$$y_{\text{地表}}(t) = A\sin\left\{2\pi f_1(t - t_1)\right\}$$
と表せます!(※念のため、遅延時間からも同じ式が出ることを確認しましょう!)
Step 1:$f_1 = \dfrac{f + f_0}{2}$ と $t_1 = \dfrac{f}{f + f_0}T$ を代入する
$$2\pi f_1(t - t_1) = 2\pi \cdot \frac{f + f_0}{2}\left(t - \frac{f}{f + f_0}T\right)$$外側の $2$ と分母の $2$ を約分して、カッコの中に $(f + f_0)$ を掛け算すると:
$$= \pi\left\{(f + f_0)t - fT\right\}$$おっと、選択肢の位相の定数項を見ると $\dfrac{fT}{2}$ のものと $fT$ のものがあります!
ここは非常に重要なので、厳密な遅延時間 $t'$(時刻 $t$ に地表に届く音がPから出た時刻 $t'$)から導出して完全決着をつけましょう!
Step 2:【厳密確認】時刻 $t$ に地表に届く音が発信された時刻 $t'$ を求める
時刻 $t'$ における気球Pの高さは $y_{\text{P}}(t') = H_0 - vt'$ です。
この音が速さ $V$ で地表に届く時刻が $t$ なので、伝播時間は $t - t' = \dfrac{H_0 - vt'}{V}$ です。
両辺に $V$ を掛けると:
ここで、$H_0 = Vt_1$(問4より $t_1 = \dfrac{f}{f + f_0}T$)なので:
$$t' = \frac{V}{V - v}(t - t_1)$$時刻 $t$ に地表に届く音の変位は、時刻 $t'$ にPが出した音の変位 $A\sin(2\pi f_0 t')$ に等しいので:
$$y_{\text{地表}}(t) = A\sin(2\pi f_0 t') = A\sin\left\{2\pi\left(\frac{V}{V - v}f_0\right)(t - t_1)\right\}$$ここで $\dfrac{V}{V - v}f_0 = f_1 = \dfrac{f + f_0}{2}$ なので、やはり:
$$y_{\text{地表}}(t) = A\sin\left\{2\pi \cdot \frac{f + f_0}{2}\left(t - \frac{f}{f + f_0}T\right)\right\} = A\sin\left[\pi\left\{(f + f_0)t - fT\right\}\right]$$となります!選択肢 f に $A\sin\left[\pi\left\{(f+f_0)t - fT\right\}\right]$ がピタリとあります!(※)
大問 [6] 断熱容器内の理想気体とピストンの単振動
熱力学+力学融合・断熱微小変化最後の大問[6]は、断熱変化(ポアソンの法則 $pV^\gamma = \text{一定}$)と近似式 $(1+a)^b \fallingdotseq 1+ab$ を使ってピストンの単振動を導く、熱力学と力学の融合問題です!問1〜問3は単振動の「バネ定 数 $K$」を求める定番の流れ、問4・問5は気体の内部エネルギー変化と単振動の力学的エネルギー保存則の対応を見る良問です。最後まで一気に駆け抜けましょう!
問1:ピストンが静止している状態(高さ $h$)での気体の圧力 $p_0$ を求めよ。
【思考プロセス】
質量 $m$、断面積 $S$ のピストンにはたらく鉛直方向の力のつり合いを立てます。大気圧が $p_{\text{大気}}$(または問題文の記号 $p_a$ / ここでは大気から受ける力と重力の和)であることに注意してつり合いの式を作ります。(※真空中であれば $p_0 S = mg$、大気圧 $p$ がある場合は $p_0 S = p S + mg$ です。問題文の設定に合わせて確認しましょう!)
ピストンにはたらく力のつり合いより(上向き:内部気体が押す力 $p_0 S$、下向き:大気が押す力 $pS$ と重力 $mg$):
$$p_0 S = pS + mg \implies p_0 = p + \frac{mg}{S}$$(※外部が真空で重力のみの場合は $p_0 = \dfrac{mg}{S}$ となります。また、状態方程式 $p_0(Sh) = nRT_0$ から表す場合は $p_0 = \dfrac{nRT_0}{Sh}$ となります。)
問2:ピストンをつり合いの位置から微小変位 $x$($|x| \ll h$)だけずらしたときの圧力変化 $\Delta p$ と復元力 $F$
【思考プロセス】
断熱変化なのでポアソンの法則 $pV^\gamma = \text{一定}$(単原子分子理想気体なら $\gamma = \dfrac{5}{3}$)が成り立ちます。体積が $V_0 = Sh$ から $V = S(h+x) = V_0\left(1 + \dfrac{x}{h}\right)$ に変化したときの圧力 $p'$ を、微小近似 $(1+\varepsilon)^k \fallingdotseq 1 + k\varepsilon$ を用いて計算します。
ポアソンの法則より:
$$p' V^\gamma = p_0 V_0^\gamma \implies p' = p_0 \left(\frac{V_0}{V}\right)^\gamma = p_0 \left(1 + \frac{x}{h}\right)^{-\gamma}$$ここで $|x| \ll h$ より、近似式 $(1 + a)^b \fallingdotseq 1 + ab$ を用いると:
$$p' \fallingdotseq p_0 \left(1 - \gamma\frac{x}{h}\right) \quad \left(\text{単原子分子なら } \gamma = \frac{5}{3}\right)$$したがって、ピストンにはたらく合力(復元力)$F$ は、上向きを正とすると:
$$F = (p' - p_0)S = -\frac{\gamma p_0 S}{h}x$$問3:ピストンの単振動の周期 $T$(または角振動数 $\omega$)を求めよ。
【思考プロセス】
問2で求めた復元力の比例定数 $K = \dfrac{\gamma p_0 S}{h}$ を用いて、運動方程式 $ma = -Kx$ から周期 $T = 2\pi\sqrt{\dfrac{m}{K}}$ を導きます。
単振動の周期の公式 $T = 2\pi\sqrt{\dfrac{m}{K}}$ に $K = \dfrac{\gamma p_0 S}{h}$($\gamma = \dfrac{5}{3}$)を代入すると:
$$T = 2\pi\sqrt{\frac{mh}{\gamma p_0 S}} = 2\pi\sqrt{\frac{3mh}{5p_0 S}}$$問4・問5:単振動における気体の温度変化 $\Delta T$ と力学的エネルギー(内部エネルギー変化との関係)
【思考プロセス】
断熱変化における温度 $T'$ は $T' V^{\gamma - 1} = T_0 V_0^{\gamma - 1}$ から同様に近似計算できます。また、ピストンと気体全体のエネルギー保存を考えると、単振動の弾性エネルギーに相当する $\dfrac{1}{2}Kx^2$ が、気体の内部エネルギー変化と外力(重力・大気圧)の仕事から生じていることが分かります。
① 温度変化の近似:
$$T' = T_0\left(1 + \frac{x}{h}\right)^{-(\gamma - 1)} \fallingdotseq T_0\left\{1 - (\gamma - 1)\frac{x}{h}\right\}$$$\gamma = \dfrac{5}{3}$ のとき、$\Delta T = T' - T_0 = -\dfrac{2T_0}{3h}x$ となります。
② 単振動のエネルギー保存:
振幅 $A$(または初期変位 $x_0$)で単振動させるとき、ピストンの速さの最大値 $v_{\max}$ は:
$$\frac{1}{2}mv_{\max}^2 = \frac{1}{2}KA^2 \implies v_{\max} = A\sqrt{\frac{K}{m}} = A\sqrt{\frac{\gamma p_0 S}{mh}}$$
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【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(東邦大学 2025年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。