問一は、「餅」と「介入(規制)」を入れて15字にまとめます。問二は、本文が挙げる反対論や応答から、観点の異なる3つを選び、1つずつ「〜から」で言い切ります。
📌 このページの使い方
- 過去問集をお持ちの方:まず90分で自分の答案を書き、各日の解答例と見比べてから解説へ
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※ 著作権に配慮し、入試問題の本文は掲載していません。小論文に唯一の正解はなく、解答例はTMPSの一例です。大学の採点基準は公開されていないため、「採点の見立て」もTMPSの考えです。日程と課題の対応や字数の条件は、過去問集の掲載から読み取ったものです。念のため手元の資料でも確認してください。
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LINEで誤りを連絡3分で分かる 2024年度の北里大の小論文
- ✅ 3日とも「課題文を読んで、問一→問二→問三」の同じ形。各90分。問一はタイトル、問二は理由や傍線部の説明、問三は700〜900字の意見論述です。字数は日ごとに違います。
- ✅ 2/3は餅の窒息事故と販売規制。問二は「禁止すべきでない(できない)理由」を3つ、問三は餅の販売をどうすべきか(700字)。自由か安全かの二択にせず、規制の強さを段階で考えるのが核心です。
- ✅ 2/4はエビデンスに基づく医療と病の経験。問二は傍線部の説明(120字)、問三は医師が数字の他に気を付けること(800字)。確率と個人の暮らしのずれがテーマです。
- ✅ 2/5は治せない病気と医師の役割。問二は先生の言葉が強く記憶された理由(80字)、問三は医師として・家族として何ができるか(900字、3日で最長)。「治す」から「支える」への視点の広がりが問われます。
- ✅ 共通して問われるのは「本文を使って考える力」。問二で本文の言葉を正確に使い、問三で本文を踏まえて自分の意見を組み立てます。700〜900字は設計図なしでは書き切れません。


90分の立ち回りマップ
1日分の課題は90分。時間はTMPSの目安です。解答用紙の形式(原稿用紙か、下書き用紙の有無)は過去問集からは分からなかったため、手元の資料で確認してください 要確認
- 死守ライン:開始35分で問二まで書き終える。問三の設計図に8分は確保する。
- 損切り:問一のタイトルに5分以上かけない。本文の中心の言葉を使って、字数以内にまとめる。
- 初手のトリガー:課題文を読みながら、「筆者の主張」「それへの反論や対比」「傍線部の理由づけ」に印をつける。問二・問三はこの印から作れる。
2月3日 ── 餅の窒息事故と販売規制(個人の自由と公衆衛生)
課題餅の窒息事故と販売規制(問一15字・問二理由3つ・問三700字)
身近な食べ物の事故を題材に、個人の自由と公衆衛生の釣り合いを論じた文章を読み、規制に反対する理由を整理したうえで、自分なりの対応を提案する小論文。
- 答えるもの:問一=本文のタイトル(15字以内)/問二=餅の販売を禁止すべきでない、あるいは禁止できない理由を3つ/問三=餅の販売をどのようにすべきか、医師を目指す者としての考え(700字以内)
- 条件:90分。問二の字数の指定は読み取れなかった 要確認。解答例は公表されていない
- 材料:餅による窒息事故が毎年起きていること、個人の自由を理由とする規制反対論と、それへの二つの応答(情報提供の不足・規制の一貫性)、こんにゃくゼリーとの比較、規制の強さを段階で考える「介入のはしご」の考え方


問一・問二短い記述の型
▶ 問一・問二の解答例(TMPSの一例)
- 食べるかどうかは本人が決めることで、規制は余計なおせっかいになるから(個人の自由・自己決定)。
- 餅は正月の食文化など、社会全体にとって得られる利益が大きく、危険だけを理由に販売をやめさせる根拠が弱いから。
- 同程度の危険がある他の食品との釣り合いがとれず、餅だけ禁止すると規制の一貫性を欠き、線引きも難しいから。
問二の骨格:個人の自由→社会にとっての利益→規制の一貫性、の3観点です。字数の指定は読み取れなかったため、各1文で書きました。
問三700字の設計図と解答例
| 部品 | 字数の目安 | 書くこと | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| 立場 | 60 | 「禁止せず、情報提供と選択の誘導で」など結論を先に | 「規制するべきでない」で止まる |
| 本文との関係 | 110 | 反対論への応答と、介入の段階の考え方を1か所 | 本文の説明が長くなる |
| 具体策(強さの段階) | 240 | 弱い順に2〜3つ。誰が・どこで・何をするか | 「注意喚起する」で終わる |
| 限界と一貫性 | 170 | 効果が乏しい場合の次の手と、他の食品との釣り合い | 反対意見に触れない |
| 医師を目指す者として | 100 | 診察や地域でどう関わるか(動詞で) | 感想で終わる |
採点の見立て(TMPSの考え):規制の強さに段階があることが具体策の組み立てに使われているか、「自由」と「命」の両方に触れて結べているかを、まず見ると考えます。 要確認
▶ 問三の解答例A:情報提供と選択の誘導を軸にする立場
私は、餅の販売を禁止せず、危険についての情報提供と、より安全な選択へ導く工夫を組み合わせて対応すべきだと考える。
本文は、餅の窒息事故を公衆衛生上の災害としつつ、個人の自由を理由に規制に反対する主張には、情報提供の不足と規制の一貫性という二つの問題があると指摘する。そして、自由か安全かの二択ではなく、介入の強さを段階的にとらえ、中間的な着地点を探る考え方を示している。
禁止は最も強い介入であり、食文化として親しまれる餅には強すぎると考える。そこで、弱い段階の対応から組み合わせたい。第一に、袋に分かりやすい注意書きを載せ、小さく切って食べる、水分と一緒にとる、高齢者や子どもには特に注意するといった情報を、販売の場でも伝える。第二に、小さめの餅や小分けの商品を選びやすくするため、価格や陳列を工夫して、安全な選択へ自然に導く。第三に、事故が起きたときの応急手当を学べる機会を、地域や学校で広げる。
ただし、この方法には限界もある。注意書きを読まない人や、情報が届きにくい一人暮らしの高齢者には、効果が小さい。そこで、事故の件数や状況を継続して集め、効果が乏しければ、販売方法の制限など、一段強い介入を検討する余地を残すべきである。また、一貫性を保つため、同程度の危険がある食品にも同じ考え方を当てはめることが求められる。
私は将来、医師として、診察の場で高齢の患者や家族に餅の食べ方を具体的に伝え、地域の予防活動にも関わりたい。自由を尊重しながら、命を守る工夫を提案できる医師を目指す。
設計図の対応:立場→本文との関係→具体策3つ(注意書き・誘導・応急手当)→限界と一貫性→医師として。
▶ 問三の解答例B:販売方法に条件をつけ、応急手当の周知も進める立場
私は、餅の販売そのものは認めたうえで、窒息の危険が特に高い人に関わる場面を中心に、販売方法に条件をつけ、あわせて応急手当の周知を進めるべきだと考える。
本文は、餅の事故を見過ごせない公衆衛生上の災害と位置づけ、個人の自由だけを理由に規制を退けることには、情報提供と一貫性の面で問題があると述べる。また、介入には強さの段階があり、販売しないといった強い規制から、情報提供や選択の誘導まで幅があることを示している。
この考え方に沿えば、全面禁止は選択の自由を大きく奪うため、望ましくない。一方、情報提供だけでは、注意書きを読まない人には届かない。そこで、切り分けやすい包装にする、食べる前に小さく切るよう表示する、高齢者向けの売り場に目立つ注意を掲げるなど、販売の方法に条件をつけるのが現実的だと考える。これは、買う自由を残しながら、事故の確率を下げる中間の対応である。
次に、条件づけは一貫した考え方で行う必要がある。餅だけを厳しく扱えば、同程度の危険がある他の食品との釣り合いが問われる。そこで、事故の件数と状況を継続して集め、危険の大きさを比べたうえで、対象と強さを決める。また、効果を毎年確かめ、乏しければ見直す。さらに、事故が起きたときに周囲の人が動けるよう、学校や地域での応急手当の講習も進めたい。情報は、誰にでも分かる言葉で、販売の場と家庭の双方に届けることが望ましい。
私は、医師を目指す者として、個人の自由と命を守る責任の両方を考え、根拠となる数字を示しながら、人々が納得して選べる環境づくりに協力したい。
設計図の対応:立場→本文との関係→条件づけ→一貫性と見直し→医師として。
2月4日 ── エビデンスに基づく医療と、病の経験
課題エビデンスに基づく医療と病の経験(問一20字・問二120字・問三800字)
統計に基づく医療の広がりを背景に、数字では語り切れない病の経験を述べた文章を読み、傍線部を説明したうえで、医師が数字の他に気を付けることを自分で組み立てる小論文。
- 答えるもの:問一=本文のタイトル(20字以内)/問二=傍線部①(病の経験は、エビデンスに基づく選択だけでは語り切れない、という趣旨の一文)は実際にどのようなことか(文中の言葉を用いて120字以内)/問三=エビデンスにもとづく医療が広がる中で、医師は他にどのようなことに気を付けて診療にあたるべきか(800字以内)
- 条件:90分。解答例は公表されていない
- 材料:エビデンスに基づく医療の考え方、再発したがんの患者が確率で選ぶときに感じる不安、人生が可能性とリスクで細分化されていくこと、統計が世界の事実そのものの位置を占めるようになったこと、平均寿命の数字が一人ひとりの暮らしを説明しないこと


問一・問二短い記述の型
問一は、「エビデンス(数字)」と「病の経験」の両方を20字に入れます。問二は、「選択はできても、その後の生活や不安は語れない」という対比を、本文の言葉で120字に収めます。
▶ 問一・問二の解答例(TMPSの一例)
問二の骨格:エビデンスで選べる→確率に従うほど可能性とリスクの計算に支配される→数値は暮らしや不安を語れない、の3部です。
問三800字の設計図と解答例
| 部品 | 字数の目安 | 書くこと | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| 立場 | 70 | 「数字を尊重しつつ、語りと暮らしを聴く」など結論を先に | 「患者に寄り添う」で止まる |
| 本文の整理 | 150 | 確率に支配される不安と、平均と個人の違いを1か所 | 本文の説明が長くなる |
| 気を付ける点① | 190 | 例:患者の語りと生活を聴く。診察の具体場面で | 能力名を並べるだけ |
| 気を付ける点② | 190 | 例:数字の伝え方、決め方の共有 | ①と内容が重なる |
| 留保 | 70 | エビデンスを軽視しない一文 | エビデンス否定になる |
| 医療者として | 100 | 今から何をするか(動詞で) | 感想で終わる |
採点の見立て(TMPSの考え):本文の「確率」「平均と個人」が診療の具体場面に使われているか、エビデンスを尊重する留保があるかを、まず見ると考えます。 要確認
▶ 問三の解答例A:患者の語りと生活を聴くことを軸にする立場
私は、医師はエビデンスを尊重しつつ、数字では表せない患者の語りと生活を聴き、その人にとっての意味を一緒に考えるべきだと考える。
本文は、統計に基づいて有効な治療を選ぶ営みが広がる一方、患者は確率とリスクの計算に追われ、人生が細分化されていくと述べる。また、平均寿命のような数字は、一人ひとりの暮らしを説明しないとも指摘している。
この指摘は診療の場面に当てはまる。たとえば、効果が出る確率の高い治療があっても、その治療で生活の質が下がることを、本人が受け入れられるとは限らない。仕事や家族、大切にしてきた時間は、人によって違う。そこで、第一に、患者の語りを時間をかけて聴き、何を大切にして生きてきたのかを知る姿勢が必要である。診察の初めに「いま、いちばん気がかりなことは何ですか」と尋ね、答えを遮らずに待つことが、その入り口になる。こうした聴き取りは、治療の選択にも役立ち、患者が自分の病気を自分のこととして考える手助けにもなる。
第二に、数字を伝えるときの言葉に注意が要る。「四割の人に効かない」という説明は、聞く人に強い不安を与える。確率は、一人の人に何が起きるかを約束するものではないことを添え、不安な気持ちにも触れながら、選択肢を一緒に整理したい。第三に、決める過程そのものを患者と共有する。エビデンスは判断の材料の一つであり、最後の判断は本人の価値観と合わせて行う。さらに、患者が不安を口にしたときは、数字で打ち消そうとせず、まず気持ちを受け止めたうえで、利用できる支援も含めて話し合いたい。
もちろん、エビデンスを軽視してよいわけではない。根拠のない治療を勧めれば、患者を傷つける。数字と語りの両方を大切にする医師になるため、私はまず、身近な人の話を最後まで聴く習慣を身につけたい。
設計図の対応:立場→本文の整理→点①(語りを聴く)→点②(数字の伝え方・決め方の共有)→留保と医療者として。
▶ 問三の解答例B:平均と個人の違い、不確かさを率直に伝えることを軸にする立場
私は、医師はエビデンスの限界を理解したうえで、患者一人ひとりの違いと不確かさを率直に伝え、本人とともに決める診療を心がけるべきだと考える。
本文は、確率に基づく選択が、患者を可能性とリスクの計算に追い込み、人生を細分化してしまうと述べる。さらに、統計の数字が世界の事実そのものの位置を占めるようになったことと、平均の数字は個人の暮らしを説明しないことを指摘している。
診療で気を付けるべき点の一つ目は、平均と個人の違いである。ある治療の有効率が高くても、目の前の患者に効くかどうかは、治療を始めてみなければ分からない。この限界を、医師が最初に自覚しておく必要がある。二つ目は、不確かさを隠さず伝えることである。「確実に治ります」とも「どうしようもありません」とも言わず、分かっていることと分からないことを分けて説明する。三つ目は、患者の置かれた状況を知ることである。仕事、家族、住まいなどによって、同じ治療でも負担は大きく変わる。医師が患者の暮らしを知らずに、最良の治療を決めることはできない。
これらを実行するため、診察では、説明のあとに、患者が理解した内容を言葉で返してもらい、疑問や不安を確かめたい。また、決断を急がせず、家族や他の職種とも相談できる時間を設ける。決めたあとも、経過に応じて何度でも選び直せることを伝え、患者が一人で責任を負う気持ちにならないようにしたい。説明に使う資料や図も、患者の理解に合わせて選び、必要なら家族にも同席してもらう。
私は、数字を正しく読み、数字の外にある暮らしにも目を向ける医師になりたい。そのために、統計の読み方を学び、同時に患者の話を聴く練習を重ねる。医療の根拠と患者の実感を結びつける力を、日頃から養いたい。
設計図の対応:立場→本文の整理→点①(平均と個人・不確かさ・暮らし)→点②(確かめながら説明)→医療者として。
2月5日 ── 有効な治療法がない病気に対して、医師・家族にできること
課題有効な治療法がない病気と、医師・家族にできること(問一20字・問二80字・問三900字)
「医」とは何かを問う文章を読み、傍線部の言葉が著者に強く残った理由を説明したうえで、治せない病気に対して医師や家族に何ができるかを自分の言葉で論じる小論文。
- 答えるもの:問一=本文の内容を表すタイトル(20字以内)/問二=傍線部(著者が、この時の先生の言葉を今も忘れないと述べる一文)について、なぜその言葉が著者の心に強く記憶されたのか(80字以内)/問三=有効な原因治療法がない病気に対して、医師として、あるいは家族として何ができ、何が求められるのか(900字以内)
- 条件:90分。解答例は公表されていない
- 材料:「医」という言葉の定義、「健康」を「病気でないこと」という否定形ではなく肯定形で答える難しさ、学生時代に見学した神経内科の診察での部長先生の言葉、原因治療法のない進行性の病気と障害との闘い


問一・問二短い記述の型
問一は、「治せない」と「医師の役割」を入れて20字にまとめます。問二は、「それまでの著者の考え→言葉で気づいたこと」の2部で、80字に収めます。
▶ 問一・問二の解答例(TMPSの一例)
問二の骨格:それまでの考え(治せない病気では医者は無力)→言葉が示したこと(生活の困りごとを一緒に考える役割)→進路への影響、の流れです。
問三900字の設計図と解答例
| 部品 | 字数の目安 | 書くこと | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| 立場 | 70 | 「治せなくても、生活を支え続ける」など結論を先に | 「寄り添う」で止まる |
| 本文の整理 | 170 | 治療法がない病気の特徴と、先生の言葉の意味を1か所 | 本文の説明が長くなる |
| 医師として | 260 | 困りごとの把握・職種の連携・見通しの説明など2〜3つ | 能力名を並べるだけ |
| 家族として | 200 | 聴く・記録する・相談する・休むなど | 「支える」で終わる |
| 留保 | 70 | 本人の意思・押しつけの危険・家族の負担 | 留保がない |
| 結び | 110 | 将来どう関わるか(動詞で) | 感想で終わる |
採点の見立て(TMPSの考え):本文の「治すことだけが仕事ではない」という観点が具体策に使われているか、本人の意思に留保が置かれているかを、まず見ると考えます。 要確認
▶ 問三の解答例A:医師の役割を軸にし、家族にも触れる立場
私は、有効な原因治療法がない病気に対して、医師には、患者の生活の困りごとを一緒に考え続けることが求められ、家族にも、患者の思いを受け止めて支える役割があると考える。
本文は、病気を治すことだけが医師の仕事ではなく、治療法がなくても、日常生活の困りごとを患者と一緒に考える人が必要だと述べる。また、原因治療法のない病気では、進行する障害との闘いが問題になり、医師には何ができ、何が求められるのかが難しい課題になると指摘している。
医師にできることの一つ目は、障害の進行に合わせて、生活の困りごとを具体的に把握することである。歩く、食べる、話すといった日々の動作の変化を聴き取り、手すりや車いす、食事の形態などを調整すれば、できる範囲を保てる。二つ目は、必要な職種につなぐことである。リハビリや看護、介護、福祉の専門職と連携すれば、医師一人では解決できない問題にも対応できる。三つ目は、見通しを誠実に伝えることである。進行する病気の説明は重いが、分からないことは分からないと伝え、これからの選択を一緒に考える。
家族にできることも多い。患者が不安を口にしたとき、励ましや解決策をすぐに差し出さず、まず話を聴くことが支えになる。また、介護の負担を一人で抱えず、医療者や地域の制度に相談することも、長く支えるために欠かせない。医師は、患者だけでなく家族の疲れにも気を配り、家族が相談しやすい雰囲気をつくることが求められる。家族の希望と患者の希望が異なるときは、本人の意思を確かめる。
ただし、医師が生活の問題に関わるといっても、患者の意思を置き去りにしてはならない。何を困りごととするかを決めるのは本人であり、医師の考えを押しつけない姿勢が前提になる。本人が望まない支援は、善意でも負担になりうる。
私は将来、治せない病気の患者の前でも逃げず、できることを患者と一緒に探し続ける医師になりたい。そのために、実習や福祉の場で、病気とともに暮らす人の話を聴く経験を重ねたい。
設計図の対応:立場→本文の整理→医師の具体策3つ→家族の役割→留保→結び。
▶ 問三の解答例B:家族の役割を軸にし、医師との連携を書く立場
私は、有効な原因治療法がない病気では、医師と家族が役割を分け合い、患者の生活を支える共同の営みが必要だと考える。特に、家族の立場では、患者の気持ちを聴き、医療者と情報を共有することが求められる。
本文は、病気を治せない場面でも、日常生活の困りごとを患者と一緒に考える仕事が医師にあると述べ、進行する障害を抱える患者に、医師と周囲が何をすべきかが難しい問題だと指摘する。この指摘は、医療者だけでなく、患者を日々支える家族にも当てはまる。
家族として大切なのは、まず、患者の「できなくなったこと」ではなく、「いまできること」と「やりたいこと」に目を向けることである。歩行が難しくなっても、食事や会話、趣味を続けられる工夫はある。次に、気づいた変化を記録し、診察のときに医師へ伝えることである。毎日一緒にいる家族の観察は、医師が生活の困りごとを知る大切な手がかりになる。さらに、介護を担う人が疲れ切らないよう、きょうだいや親族、地域の制度に頼り、休む時間を確保することも必要である。写真や日記など、思い出を残す作業を一緒に行うことも、患者の支えになる。
医師に求められるのは、家族の情報を受け止め、患者本人の意思を中心に据えて、生活を支える提案を続けることである。治療法の説明だけでなく、介護の方法、使える制度、相談できる窓口まで具体的に伝える。また、患者と家族の考えが食い違うときには、双方の話を聴き、本人の気持ちを確かめながら調整したい。進行に合わせて、方針を何度でも見直す姿勢も欠かせない。住まいの改修や介護用品の選び方も、早めに相談したい。
ただし、家族に任せすぎると、負担が偏り、関係が壊れかねない。医療者は、家族を支援の対象としても見る必要がある。
私は、医師を目指す者として、治せないときこそ、患者と家族の両方の声に耳を傾け、できることを一緒に探す姿勢を養いたい。そのために、身近な人の困りごとを聴き、解決策を考える経験を重ねたい。
設計図の対応:立場→本文の整理→家族の具体策3つ→医師に求められること→留保→結び。
3日に共通する「型」と本文の使い方
| 問 | 役割 | 字数 | 型 |
|---|---|---|---|
| 問一 | 本文の中心をつかむ | 15〜20字以内 | 中心の言葉を1〜2個入れた名詞止め・体言止めのタイトル |
| 問二 | 本文の言葉で説明する | 理由3つ/80字/120字 | 対比・理由づけを、本文の言葉で2〜3文に(2/3は観点の違う3つを1文ずつ) |
| 問三 | 本文を踏まえて意見を書く | 700〜900字以内 | 立場→本文との関係→柱(1〜2本)→留保・条件→医療者として |
本文の使い方は、「1か所を、短く、根拠として」が基本です。本文を長く写すと、字数が足りなくなり、自分の考えが薄くなります。
字数は、段落の最初の1マス空きまで数えて、制限字数の9割以上、制限以内に収めるのが安全です(700字なら630字以上、800字なら720字以上、900字なら810字以上)。解答用紙の形式が分からない場合は、数え方を手元の資料で確認してください 要確認


自己診断:手が止まった人への処方箋
🩺【自己診断】小論文で手が止まった人への処方箋
- 問二で本文の言葉が使えない傍線部の前後を読み、「理由」を表す言葉に線を引く。その言葉を、そのまま使って2文にまとめる
- 問三の立場が決まらない先に「利点」「欠点」など両方の材料を3つずつ書き、重い方を選ぶ。軸が決まれば立場は決まる
- 字数に届かない具体例(医療の場面)を各段落に1文足す。結びに「自分が何をするか」を動詞で書く
- 本文の説明が長くなる説明は1段落、200字以内を目安にする。残りは自分の考えに回す
- きれいごとになる現実の制約(時間・個人情報・責任)を1文入れ、条件をつけて結ぶ
北里大2024型 そっくり類題
(3日分・解答例つき)
3日分と同じ形式(本文+問一・問二・問三)で、題材と本文を新しく作ったTMPSオリジナル問題です。設計図を作ってから書く習慣と、90分の立ち回りを確かめられます。入試問題ではありません。
印刷して本番と同じように90分で書けます(問題用紙と原稿用紙)。解答・解説はこのページの下に掲載しています。
※ 北里大学の入試問題ではありません。本文・設問・人物・団体(架空)はすべてTMPS医学館が作成したオリジナルで、出典のある引用ではありません。
本文は新しく作ったものです。
自転車に乗るときにヘルメットをかぶるかどうかは、長く個人の判断に任されてきた。頭を守る効果があることは広く知られているが、かぶらない人は今も少なくない。そこで、ヘルメットの着用を法律で義務づけるべきだという意見が出ている。
これに対して、義務化に反対する人は、次のように言う。自分の頭を守るかどうかは本人が決めることで、国が口を出すのは行き過ぎである。ヘルメットは暑く、髪型も崩れる。短い距離の移動のたびに義務づけるのは、生活の実情に合わない。
しかし、事故で頭を強く打てば、本人だけでなく、家族や医療を支える社会全体の負担も大きくなる。着用の効果や事故の実態を十分に知らされないまま「自己責任」とされるのは、公平ではない。もっとも、義務にして罰則を設けても、すべての人に守らせることは難しい。着用を勧める情報の出し方や、着用しやすい環境づくりなど、強さの異なる対策を組み合わせる方法を考える必要がある。
問一 本文の内容を要約したタイトルを15字以内でつけなさい。
問二 本文に書かれている、ヘルメットの着用を義務づけるべきでない、あるいは義務づけにくい理由を3つ書きなさい。
問三 本文を参考にしたうえで、あなたは自転車のヘルメットの扱いをどのようにすべきだと思うか、医師を目指す者として自分の考えを700字以内で述べなさい。
※ 句読点・かっこも1字、段落の最初は1マスあける。90分で書いてから、下の解答例を見てください。
▶ 類題の解答例と解説を見る
- 自分の頭を守るかどうかは本人が決めることで、国が義務づけるのは行き過ぎだから(個人の自由)。
- 暑さや髪型の乱れ、短距離の移動のたびの着用など、生活の実情に合わず、負担が大きいから。
- 義務にして罰則を設けても、すべての人に守らせることは難しく、実効性に限界があるから。
私は、ヘルメットの着用は直ちに罰則つきの義務にはせず、効果と事故の実態を伝える情報提供と、着用しやすい環境づくりを組み合わせて進めるべきだと考える。
本文は、義務化に反対する理由として、個人の自由、生活の実情に合わない負担、守らせることの難しさを挙げる。一方で、事故の負担は社会全体に及び、十分に知らされない状態での自己責任は公平でないと述べ、強さの異なる対策を組み合わせる必要を示している。
まず、情報提供を強める。ヘルメットが頭の怪我をどれだけ減らせるのかを、事故の例とともに、学校や地域、販売店で伝える。知らずにかぶらない人が多い現状では、知ってもらうだけで行動が変わる人もいるはずである。次に、着用しやすい環境を整える。軽くて通気のよい製品の普及を進め、貸し出しや購入費の補助を行えば、暑さや費用という負担は小さくなる。店や学校では、試着の機会や、子ども向けの講習も設けたい。
ただし、この方法には限界がある。情報が届かない人や、分かっていても守らない人は残る。そこで、事故の件数と、着用の割合を毎年調べ、改善が乏しい場合には、子どもや高齢者など危険の大きい対象から、段階的に義務化を検討することも必要である。着用の割合と事故の重さを、地域ごとに公表して比べる方法も有効である。一方、全員への罰則つきの義務は、実効性と公平さの面で慎重に考えたい。
私は、医師を目指す者として、頭の怪我の重さを患者と家族の姿から学び、診察の場や地域の活動で、予防の大切さを分かりやすく伝えたい。
TMPSの一例です(模範解答ではありません)。
題材は変わっても、「問一(要旨)→問二(本文の言葉)→問三(立場→柱→留保→医療者として)」の骨格は本番と同じです。
本文は新しく作ったものです。下線部が問二の対象です。
健康診断の結果には、検査の数値ごとに「基準値」が示される。基準値は、大勢の人の数値をもとに、統計の考え方で定められている。基準値から外れると、再検査や生活の見直しが勧められ、数値が基準値の内側に入ることが、一つの目標になる。
私の祖母は、検査の数値が基準値より少し高いことを指摘され、毎日の食事や散歩の時間を、数値を下げるために細かく見直すようになった。数値は確かに下がったが、祖母は以前のように台所に立つことを楽しめなくなってしまった。
基準値は、多くの人にとって役立つ目安である。だが、目安は「平均的な誰か」のものであり、祖母のように、孫に料理を作ることを生きがいにしてきた一人の暮らしを、そのまま映すものではない。数値は暮らしの一部を切り取る道具であり、暮らしの全体を語るものではないのだ。
問一 この文章に20字以内でタイトルをつけなさい。
問二 傍線部「数値は確かに下がったが、祖母は以前のように台所に立つことを楽しめなくなってしまった」とは実際にどのようなことか。文中の言葉を用いて、120字以内で説明しなさい。
問三 数値の基準に基づく医療が広がっている中で、医師は数値の他にどのようなことに気を付けて患者の診療にあたるべきか。本文の内容もふまえ、あなたの考えを800字以内で述べなさい。
※ 句読点・かっこも1字、段落の最初は1マスあける。90分で書いてから、下の解答例を見てください。
▶ 類題の解答例と解説を見る
私は、医師は数値の基準を活用しつつ、患者にとっての生活の意味や大切にしている時間を聴き取り、数値の改善と暮らしの充実の両方を考えて診療にあたるべきだと考える。
本文は、基準値が大勢の人の統計から定められた目安であり、数値を下げることを優先した祖母が、生きがいを失った例を挙げる。そして、数値は暮らしの一部を切り取る道具であり、一人の暮らしの全体を語るものではないと述べている。
診療で気を付けるべき点の一つ目は、数値の背景にある生活を知ることである。同じ数値でも、仕事の内容、家族との関わり、食事の楽しみ、趣味などによって、本人にとっての重みは違う。診察では、数値の説明に入る前に、「普段どのように過ごしていますか」「大切にしていることは何ですか」と尋ね、答えを最後まで聴きたい。二つ目は、数値の目標を一人ひとりに合わせて相談することである。基準値に届かせることだけを目標にせず、本人が無理なく続けられる方法を一緒に探せば、生活の満足も保てる。本人が続けたいことを守る工夫も、治療計画の一部になる。
三つ目は、数値が示す危険の大きさを、正しく、過不足なく伝えることである。数値が少し外れているだけなのに、強い不安を与えれば、患者は生活を過度に制限してしまう。反対に、危険を軽く伝えすぎれば、必要な対策が遅れる。そこで、根拠となる資料を示しながら、「いまの数値は、このくらいの注意で十分です」のように、具体的に説明する。また、数値が改善したときも、生活の楽しみが失われていないかを、あらためて尋ねたい。
もちろん、基準値を軽んじるべきではない。基準は多くの人の経験の積み重ねであり、治療の出発点として欠かせない。数値と暮らしの両方に目を向けるため、私はまず、身近な人の話を最後まで聴く習慣を身につけたい。
TMPSの一例です(模範解答ではありません)。
題材は変わっても、「問一(要旨)→問二(本文の言葉)→問三(立場→柱→留保→医療者として)」の骨格は本番と同じです。
本文は新しく作ったものです。下線部が問二の対象です。
私が研修医になって半年ほどたった冬の夜、救急外来に運ばれてきた高齢の男性を、私たちは救うことができなかった。初めて自分の担当した患者が亡くなったことに動揺した私は、廊下に立ち尽くしていた。
そこへ、当直の先輩の医師が来て、静かにこう言った。「君は何もできなかったと思っているだろう。でも、あの方の奥さんは、最後まで手を握っていた。その横で、状況を説明し、座る場所を用意し、お茶を勧める人が必要だったんだ。それも、私たちの仕事だよ」
私はそれまで、医師の仕事は、病気を治して命を救うことだと信じていた。先輩の言葉は、救えない場面でも医師の役割があることを、初めて私に教えてくれた。あの夜から十年以上たった今も、私はこの言葉を忘れたことがない。
問一 この文章の内容を表すタイトルを文字数20文字以内でつけなさい。
問二 傍線部の先輩の言葉は、なぜ著者の心に強く記憶されたのか、80字以内で述べなさい。
問三 本文全体の文意を踏まえて、医療でも救えない場面で、医師として、あるいは家族として何ができ何が求められるのか、あなたの考えを900字以内で述べなさい。
※ 句読点・かっこも1字、段落の最初は1マスあける。90分で書いてから、下の解答例を見てください。
▶ 類題の解答例と解説を見る
私は、医療でも救えない場面で、医師には、患者の家族に寄り添い、状況を誠実に説明し、悲しみの場を整える役割が求められ、家族には、患者のそばで思いを受け止め、医療者と情報を分け合う役割があると考える。
本文は、救えなかった患者の傍らで、手を握り続けた家族がいたこと、その家族に状況を説明し、座る場所を用意し、お茶を勧める人も必要だったことを述べる。そして、治すことだけが医師の仕事ではなく、救えない場面にも医師の役割があるという気づきが、著者の心に長く残ったと述べている。
医師にできることの一つ目は、現在の状態と、これから起こりうることを、分かる言葉で誠実に伝えることである。専門用語を避け、分からないことは分からないと伝えれば、家族は心の準備を進められる。二つ目は、家族が患者のそばにいられる環境を整えることである。面会の時間や場所に配慮し、手を握る、声をかけるといった行動を妨げない。三つ目は、亡くなったあとも、家族の気持ちに寄り添うことである。感謝や後悔の言葉に耳を傾け、必要があれば、相談できる窓口も紹介したい。
家族にできることもある。患者が意識を保っているうちは、本人の希望を聴き、好きだった話や音楽で時間を過ごすことができる。また、医療者の説明で分からない点は、遠慮せずに尋ねる。家族が納得できる説明を受けることは、後悔を小さくする助けになる。さらに、一人で抱えず、親族や友人にも気持ちを話し、支えてもらうことも大切である。
ただし、医療者の側が、家族に必要以上の言葉を求めたり、悲しみ方を決めつけたりしてはならない。家族の反応は人によって異なり、沈黙や涙、怒りも自然な反応である。医療者は、家族がそれぞれの形で気持ちを表せるよう、急かさずに待つ姿勢が前提になる。
私は将来、救えない場面でも逃げず、患者と家族の傍らに立てる医師になりたい。そのために、実習やボランティアの場で、つらい状況にある人の話を聴く経験を重ね、自分の言葉を磨きたい。
TMPSの一例です(模範解答ではありません)。
題材は変わっても、「問一(要旨)→問二(本文の言葉)→問三(立場→柱→留保→医療者として)」の骨格は本番と同じです。
※ 類題は、本番の骨格を残しつつ、題材・本文・設定をすべて新しく作っています。解答例は字数をスクリプトで数え、制限字数以内(段落頭の空きを含めて)であることを確認しています。
30秒 得点診断
本番の過去問、またはそっくり類題を90分で書いた結果を選んでください。次にやるべきことを表示します。
保護者の方へ:北里大の小論文で知っておきたい3つのこと
よくある質問
Q. 北里大学 医学部の小論文2024年度は、何をどのくらい書きますか?
2024年度は、試験日(2/3・2/4・2/5)ごとに異なる課題文が出ました。いずれも90分で、問一(タイトル。2/3は15字以内、2/4・2/5は20字以内)、問二(2/3は理由を3つ、2/4は120字以内、2/5は80字以内)、問三(2/3は700字以内、2/4は800字以内、2/5は900字以内)の3問構成と読み取れました。
Q. 問題文が載っていなくても、どんな問題か分かりますか?
分かります。著作権に配慮して課題文は掲載していませんが、「どういう問題か」で、題材の論点・答えるもの・字数の条件をTMPSの言葉で説明しています。
Q. 解答例は模範解答ですか?
いいえ。解答例が公表されていないため、TMPSが作った「一例」です。小論文に唯一の正解はなく、問三は立場の異なる2本を並べています。大学の採点基準は公開されていないので、「採点の見立て」もTMPSの考えです。
Q. そっくり類題セットとは何ですか?
3日分と同じ形式(本文+問一・問二・問三。問三は700字・800字・900字以内)で、題材と本文を新しく作ったTMPSオリジナルの問題です。問題と原稿用紙のPDF(10ページ)を無料で配布し、解答例と解説はこのページに載せています。
Q. 解答用紙の形式(原稿用紙かどうか)は分かりますか?
過去問集からは解答用紙の形が分かりませんでした。この冊子の原稿用紙はTMPSの練習用です。実際の形式は、大学の発表や手元の資料で確認してください。
Q. 解説に誤りを見つけたらどうすればいいですか?
公式LINEからお知らせください。確認のうえ修正し、更新日を記載します。
問題等で誤りを発見された場合、修正しますので、TMPS医学館までLINEを下さい。
受験生・指導者の皆様からのご指摘を真摯に受け止め、最も信頼できる過去問解説・類題ライブラリーとして随時アップデートいたします。
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