問一は、「共感」と「区別」を入れて20字にまとめます。問二は、自他未分がなぜ共感と言えないのかを、本文の言葉で100字に収めます。
📌 このページの使い方
- 過去問集をお持ちの方:まず90分で自分の答案を書き、各日の解答例と見比べてから解説へ
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※ 著作権に配慮し、入試問題の本文は掲載していません。小論文に唯一の正解はなく、解答例はTMPSの一例です。大学の採点基準は公開されていないため、「採点の見立て」もTMPSの考えです。日程と課題の対応は、過去問集の掲載から読み取ったものです。念のため手元の資料でも確認してください。
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LINEで誤りを連絡3分で分かる 2025年度の北里大の小論文
- ✅ 3日とも「課題文を読んで、問一→問二→問三」の同じ形。各90分。問一はタイトル(20字以内)、問二は傍線部などの説明(100字以内)、問三は800字以内の意見論述です。
- ✅ 2/8は共感の正体。問二は「自他未分の感情は共感と言えない」の説明、問三は医師に必要な能力と経験。「区別」と「混同」の線引きが核心です。
- ✅ 2/9は難病診療と医師のバーンアウト。問二は傍線部の「辛かった」の中身、問三は医療現場の課題と対策。課題と対策を1対1で対応させます。
- ✅ 2/10はSafety-IとSafety-II。問二は人間への期待の違い、問三はミスや事故への対応。2つの考え方を、医療の具体場面で使い分けます。
- ✅ 共通して問われるのは「本文を使って考える力」。問二で本文の言葉を正確に使い、問三で本文を踏まえて自分の意見を組み立てます。800字は設計図なしでは書き切れません。


90分の立ち回りマップ
1日分の課題は90分。時間はTMPSの目安です。解答用紙の形式(原稿用紙か、下書き用紙の有無)は過去問集からは分からなかったため、手元の資料で確認してください 要確認
- 死守ライン:開始35分で問二まで書き終える。問三の設計図に8分は確保する。
- 損切り:問一のタイトルに5分以上かけない。本文の中心の言葉を使って、20字にまとめる。
- 初手のトリガー:課題文を読みながら、「対立する2つの考え」と「傍線部の理由づけ」に印をつける。問二・問三はこの印から作れる。
2月8日 ── 共感の正体(自他の区別と混同)
課題共感の正体(問一20字・問二100字・問三800字)
共感をめぐる評論を読み、「区別」と「混同」の違いを説明したうえで、医師に必要な力と経験を自分で組み立てる小論文。
- 答えるもの:問一=本文のタイトル(20字以内)/問二=「自他未分の感情は共感と言えない」とはどういうことか(100字以内)/問三=医師に必要な能力と、そのために必要な経験(800字以内)
- 条件:90分。解答例は公表されていない
- 材料:共感は自己と他者の違いを認識しながら同一視すること、情動的共感と認知的共感、自他の混同は共感ではないこと、想像・推論・経験の蓄積が共感を支えること


問一・問二短い記述の型
▶ 問一・問二の解答例(TMPSの一例)
問二の骨格:自他未分とは→区別も自覚もない→だから共感ではない、の3部です。
問三800字の設計図と解答例
| 部品 | 字数の目安 | 書くこと | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| 立場 | 80 | 「相手に心を寄せつつ区別を保つ力」など結論を先に | 「共感が大切」で止まる |
| 本文との関係 | 150 | 区別と混同、2種類の共感を1か所だけ使う | 本文の説明が長くなる |
| 必要な能力 | 200 | 想像力・自他を区別する力などを診察の場面で | 能力名を並べるだけ |
| 必要な経験 | 200 | 多様な人との関わり・自分の感情の振り返りなど | 「経験を積む」で終わる |
| 医療者として | 140 | 将来どう患者と向き合うか(動詞で) | 感想で終わる |
採点の見立て(TMPSの考え):本文の「区別」の観点が能力の説明に使われているか、経験が能力と対応しているかを、まず見ると考えます。 要確認
▶ 問三の解答例A:区別を保ちつつ寄り添う力を軸にする立場
医師に求められる共感は、相手の感情に心を寄せつつ自分との違いを保つ力であり、その力を養うには、多様な人と関わる経験と、自分の感情を振り返る経験が必要だと考える。
本文は、共感には自分と相手を同一視する面があるが、自己と他者の区別がなければ共感として認識されないと述べる。また、想像や推論を介する認知的共感と、相手の様子に即座に反応する情動的共感を分け、後者も感情体験の豊かさに支えられていると説明する。
医療の場面では、患者の痛みや不安に心を寄せる力と、自分の感情と患者の感情を区別して冷静に判断する力の両方が欠かせない。患者の苦しみに飲み込まれて同じ気持ちになってしまえば、適切な説明や治療方針の相談ができなくなる。反対に、距離を置きすぎれば、患者は理解されていないと感じる。そこで、相手の状況を想像して気持ちを推し量り、それを自分の見立てと分けて言葉にし、本人に確かめる能力が求められる。例えば、診察室で涙を流す患者を前にしたとき、医師が一緒に動揺するのではなく、落ち着いて受け止めて次の説明に進むことが、患者の安心にもつながる。
その能力を養うために、第一に、年齢や立場の異なる多様な人と関わる経験が必要である。実習やボランティアで患者や家族の話を聴けば、同じ病気でも受け止め方が人によって違うことが分かる。第二に、自分自身の喜びや失敗、悔しさといった感情を振り返る経験が必要である。自分の感情を言葉にできる人ほど、相手の感情を想像する手がかりが増えるからである。また、臨床の場で患者の話を聴き、その後で先輩と振り返る経験も、想像を確かめる機会になる。
私は、患者の言葉を決めつけずに聴き、確かめながら寄り添い、必要なときには自分の感情と距離を取れる医師を目指し、日々の関わりと振り返りを重ねたい。
設計図の対応:立場→本文との関係→能力(寄り添い・区別)→経験(多様な人・振り返り)→医療者として。
▶ 問三の解答例B:分かったつもりにならず確かめる力を軸にする立場
私は、医師にとって重要な共感は、相手の気持ちを分かったつもりにならず、確かめながら理解しようとする力だと考える。そのために、患者の語りに耳を傾ける経験と、自分の思い込みに気づく経験が必要である。
本文は、共感では自分と相手の混同が一時的に生じても、区別がなければ共感として認識されないと述べる。つまり、「相手の気持ちが分かった」という感覚は、自分の感情と相手の感情を取り違えている可能性がある。この指摘は、医師が患者に接するときの自戒にもなる。
診察の場面を考えると、医師が「自分ならつらいだろう」と考えて患者の気持ちを決めつけると、患者の本当の不安とずれる危険がある。例えば、病気の告知を受けた患者が、病状よりも仕事や家族の心配を強く抱えていることもある。そこで、「今、いちばん気がかりなことは何ですか」と尋ね、答えを待って受け止める力が必要になる。これは、自分の感情と相手の感情を区別し、確かめながら理解を重ねる力である。診察で、患者が「大丈夫です」と答えても、本心とは限らない。表情や間合いにも注意を向け、確かめる質問を重ねたい。
この力は、座学だけでは身につかない。まず、実習や地域の活動で、年齢や立場の異なる人の話を最後まで聴く経験を重ねたい。次に、自分が相手の話を聞いて「こう思い込んでいた」と気づいた場面を記録して振り返る。さらに、先輩や仲間と、患者への関わり方を話し合う場を持てば、自分では気づけない偏りも見つかる。こうした経験は、時間がかかるが、積み重ねることで想像の幅が広がる。
私は、患者の気持ちを推し量りつつ、確かめる姿勢を忘れない医師になりたい。そのために、人の話を聴き、自分の思い込みを疑う経験を、今から意識して積み重ねる。共感を、相手を理解する出発点として大切にしたい。
設計図の対応:立場→本文(混同の危険)→診察の例→経験(聴く・思い込みの記録・話し合い)→医療者として。
2月9日 ── 難病診療と医師のバーンアウト
課題難病診療と医師のバーンアウト(問一20字・問二100字・問三800字)
難病診療を語る文章と調査の紹介を読み、傍線部の「辛さ」を説明したうえで、医療現場の課題と対策を自分で整理する小論文。
- 答えるもの:問一=本文のタイトル(20字以内)/問二=傍線部の「辛かった」とは何がどう辛かったのか(100字以内)/問三=本文全体をふまえ、医療現場の課題を抽出し、必要な対策を述べる(800字以内)
- 条件:90分。解答例は公表されていない
- 材料:難病の療養者を診る臨床の経験、悪い知らせを伝える難しさ、バーンアウト(慢性的な感情的・対人的ストレスへの反応)と医師の調査、伝え方の研修への関心、労働や配慮の負担


問一・問二短い記述の型
問一は、「悪い知らせ」と「燃え尽き」の両方を20字に入れます。問二は、辛かった場面と理由を、本文の言葉で100字に収めます。
▶ 問一・問二の解答例(TMPSの一例)
問二の骨格:辛かった場面(悪い知らせを伝える)→辛さの理由(役割・周囲の対応・拠り所の不足)の2部です。
問三800字の設計図と解答例
| 部品 | 字数の目安 | 書くこと | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| 立場 | 70 | 「仕組みで負担を分け合う」など結論を先に | 「医師の負担を減らしたい」で止まる |
| 本文の整理 | 150 | バーンアウトの定義と、悪い知らせの負担を1か所だけ | 本文の説明が長くなる |
| 課題の抽出 | 150 | 教育・孤立・働き方などを2〜3つに分ける | 課題が1つに混ざる |
| 対策 | 250 | 課題と1対1で対応させ、誰が何をするかを書く | 精神論/課題と対応しない |
| 医療者として | 150 | 自分はどう備えるか(動詞で) | 感想で終わる |
採点の見立て(TMPSの考え):課題が本文に根拠をもって抽出され、対策がその課題に1対1で対応しているかを、まず見ると考えます。 要確認
▶ 問三の解答例A:伝え方の教育とチーム体制を軸にする立場
医師の燃え尽きを防ぐには、悪い知らせを伝える負担を一人で抱えない仕組みと、無理のない働き方の両方が必要だと考える。そのために、教育、チーム、働き方の三つの面から考えたい。
本文は、神経内科医のバーンアウトの頻度が高いことを示し、バーンアウトを仕事上の慢性的な感情的・対人的ストレスへの反応と定義している。そのうえで、難病の診断や進行の説明といった悪い知らせを伝える場面が負担になり、その伝え方を学ぶ研修への関心も高いことを紹介している。また、労働時間や患者数だけでなく、仕事を有意義と感じにくい作業や、患者・家族への配慮の大きさも関係すると考察している。この調査は、医師の負担が個人の資質の問題ではなく、診療の性質に根ざしていることを示している。
課題は三つに整理できる。第一に、悪い知らせを伝える技術を体系的に学ぶ機会が少ないこと。第二に、告知の場面で、医師が一人で対応し、感情の負担を抱えこむこと。第三に、診療以外の作業や長い労働時間で、仕事の意味を感じにくいことである。いずれも、個人の努力だけでは解決しにくい。
これらへの対策として、まず、医学教育の早い段階から、悪い知らせを伝える手順を学び、模擬患者を相手に練習する機会を設ける。次に、告知の場には看護師や相談員も同席し、役割を分担して患者と家族を支えるチーム体制にする。さらに、事務作業の分担や勤務時間の管理を進め、困難な症例を話し合って気持ちを共有する場も定期的に設ける。対策の効果は、導入後に医師の声を集めて確かめ、必要に応じて見直す仕組みも求められる。
私は将来、悪い知らせから逃げず、チームで支え合える医師になりたい。一人で抱えこまず、同僚に相談することも、患者のために働き続ける責任の一つだと考える。また、将来は後輩が相談しやすい雰囲気づくりにも努めたい。
設計図の対応:立場→本文の整理→課題3つ→対策3つ(教育・チーム・働き方)→医療者として。
▶ 問三の解答例B:個人の努力に任せない仕組みを軸にする立場
私は、燃え尽きの背景には、患者や家族への配慮を医師の個人の努力に任せている構造があると考え、教育と職場の仕組みで負担を分け合うことが必要だと考える。以下、本文の内容と医療現場の課題を整理して述べる。
本文は、難病の療養者を診る医師が、診断や進行の見通しを伝える場面で辛さを感じ、周囲の医師の対応も一様でなかった経験を語る。また、神経内科医のバーンアウトの頻度が高いこと、悪い知らせを伝える場面が負担と関連することを紹介している。この調査結果は、医師の苦痛が特別な人だけのものではないことを示している。
医療現場の課題として、私は次の二点を挙げる。一つは、悪い知らせの伝え方が、先輩の背中を見て覚えるものになりやすく、誰もが使える基本の型として共有されていないことである。もう一つは、重い話を受け止めた医師が、その気持ちを話せる場が少なく、一人で抱えやすいことである。どちらも、個人の資質ではなく、組織の側の課題である。
対策の一つ目は、悪い知らせを伝える手順を、研修医の教育に位置づけ、振り返りまで含めて学ぶことである。二つ目は、困難な告知のあとに、チームで短い振り返りを行い、辛かった点や次への改善を話し合う習慣をつくることである。また、勤務の負担が大きい診療科では、当直や外来の人数を見直し、休息を確保することも欠かせない。こうした取り組みは、医師の離職を防ぎ、患者への診療の質を保つことにもつながる。さらに、悪い知らせを受けた患者や家族への支援を担う職種との連携も、負担を分ける助けになる。
私は、医師を目指す者として、患者の人生を左右する話を伝える重みを、一人で背負わず、仲間と分かち合える姿勢を養いたい。そのために、今から、相手の話を聴く練習と、自分の感情を言葉にして相談する習慣を身につける。患者の人生に関わる医師の仕事を、長く続けるための準備でもある。
設計図の対応:立場→本文→課題2つ(型の共有・孤立)→対策(教育・振り返り・休息)→医療者として。
2月10日 ── Safety-IとSafety-II(ミスや事故への対応)
課題Safety-IとSafety-II(問一20字・問二100字・問三800字)
安全をめぐる2つの考え方を対比した文章を読み、人間への期待の違いを説明したうえで、医療のミスや事故への対応を自分の立場で論じる小論文。
- 答えるもの:問一=本文のタイトル(20字以内)/問二=Safety-IとSafety-IIで、人間に期待することはどう違うか(100字以内)/問三=ミスや事故への対応としてどのような対応が望まれるか(800字以内)
- 条件:90分。解答例は公表されていない
- 材料:エラーをなくすことを目標とする考え方と、エラーは起こるものとして人の柔軟な対応に期待する考え方の対比、システムが複雑になると指標にしにくいこと、感染症対策の例


問一・問二短い記述の型
問一は、2つの安全の考え方を入れて20字にまとめます。問二は、人間への期待を同じ軸で対比し、100字に収めます。
▶ 問一・問二の解答例(TMPSの一例)
問二の骨格:Safety-I(なくす・起こさないことを求める)→Safety-II(起こるもの・柔軟な対応に期待)の対比です。
問三800字の設計図と解答例
| 部品 | 字数の目安 | 書くこと | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| 立場 | 80 | 「仕組みの改善と共有を重んじる」など結論を先に | 「ミスをなくす」だけで止まる |
| 本文の整理 | 160 | 2つの考え方の対比と、複雑な現場の話を1か所 | 本文の説明が長くなる |
| 現場への当てはめ | 220 | 医療のミスの場面(報告・確認・説明)に当てはめる | 一般論で終わる |
| 具体策と留保 | 200 | 仕組みの改善・成功例の共有・重大事故の原因分析 | 責任追及と仕組みの区別がない |
| 医療者として | 110 | 自分は誤りにどう向き合うか(動詞で) | 感想で終わる |
採点の見立て(TMPSの考え):本文の対比が具体策の選び方に使われているか、責任追及に偏らず、留保(重大事故の分析)まで書けているかを、まず見ると考えます。 要確認
▶ 問三の解答例A:仕組みの改善と、うまくいった事例の共有を軸にする立場
私は、医療のミスや事故への対応は、個人の責任追及で終わらせず、仕組みの改善と、うまくいった対応からも学ぶ姿勢が望まれると考える。
本文は、エラーをなくすことを目標とするSafety-Iと、エラーは起こるものとして、人間が柔軟に対応してうまくいくようにするSafety-IIを対比している。Safety-Iは、システムが単純な場合には有効だが、複雑になると、エラーが少ないことを安全の指標にするのは難しいと述べる。本稿では、この対比を医療の場に当てはめて考える。
医療は、患者の状態も、関わる職種も、時間の制約も多様で、複雑な現場である。この現場で、ミスをした個人を責めれば、報告をためらう人が増え、事故の背景にある原因が分からなくなる。そこで、事故が起きたときは、誰がしたかより、どのような状況で起きたかを調べ、確認の手順や人員配置、機器の表示といった仕組みを改善することが重要である。例えば、薬の取り違えが起きたときも、誰の不注意かではなく、ラベルの表示や保管場所が紛らわしくなかったかを確かめたい。
さらに、事故が起きなかった場面にも目を向けたい。忙しい中でも、看護師と薬剤師が気づいて誤りを防げた事例は、うまくいった理由を示している。こうした成功の事例を共有し、日々の診療の中で人が工夫していることを守れば、現場の力を生かせる。ただし、重大な事故では、再発を防ぐための原因分析が不可欠であり、Safety-Iの考え方も必要である。このように、二つの考え方は対立するものではなく、場面に応じて組み合わせるものである。
私は将来、誤りに気づいたら、すぐに声に出して共有できる医療者になりたい。患者には、事実を誠実に伝え、再発防止の取り組みも説明できるようにしたい。さらに、学生のうちから、症例検討で成功と失敗の両方を学ぶ習慣を持ちたい。
設計図の対応:立場→本文の対比→医療の当てはめ→具体策(仕組み・成功例)と留保→医療者として。
▶ 問三の解答例B:報告しやすい環境と、患者への誠実な説明を軸にする立場
私は、医療のミスや事故に対して、ミスを報告しやすい環境づくりと、患者への誠実な説明の二つを軸にした対応が望まれると考える。その理由を、本文の対比を手がかりに述べる。
本文は、エラーをゼロにすることを目標とする考え方は、システムが複雑になると、エラーが少ないことを安全の指標にしにくくなると述べる。そして、エラーは起こるものとして、人間が状況に応じて柔軟に対処することを重視する考え方を示している。この対比は、医療の安全を考える上で、個人の責任追及に偏らない見方を与えてくれる。
医療では、小さなミスや、ミスになりかけた出来事が日常的に起こる。これらを一人で抱え込まず、すぐに報告できる環境があれば、大きな事故になる前に仕組みを見直せる。そのためには、報告した人を責めず、改善に役立てる姿勢を、組織全体で持つ必要がある。また、報告の方法を簡単にし、匿名でも出せる窓口を用意することも有効である。報告が集まれば、同じ種類のミスが繰り返される場所も分かり、重点的に対策を立てられる。
事故が起きたときには、患者や家族への説明も欠かせない。起きた事実や分かっている原因を誠実に伝え、分からないことは分からないと伝える。そのうえで、再発を防ぐために何を改めるのかを示せば、信頼を保つ助けになる。一方で、事故の報道では結果だけが強調されやすいため、医療者は、現場の複雑さと、日々の対応の積み重ねについても、社会に分かりやすく伝える努力をしたい。こうした説明と改善の積み重ねが、医療への信頼の土台になる。
私は、ミスを隠さず、すぐに共有し、患者に誠実に向き合う医療者になりたい。そのために、学生のうちから、失敗や疑問を周囲に伝える習慣を身につける。加えて、患者に説明する際の言葉づかいも、練習しておきたい。
設計図の対応:立場→本文→報告の環境→患者・社会への説明→医療者として。
3日に共通する「型」と本文の使い方
| 問 | 役割 | 字数 | 型 |
|---|---|---|---|
| 問一 | 本文の中心をつかむ | 20字以内 | 中心の言葉を1〜2個入れた名詞止め・体言止めのタイトル |
| 問二 | 本文の言葉で説明する | 100字以内 | 対比・理由づけを、本文の言葉で2〜3文に |
| 問三 | 本文を踏まえて意見を書く | 800字以内 | 立場→本文との関係→柱2本→留保・条件→医療者として |
本文の使い方は、「1か所を、短く、根拠として」が基本です。本文を長く写すと、字数が足りなくなり、自分の考えが薄くなります。
字数は、段落の最初の1マス空きまで数えて、800字の9割(720字)以上、800字以内に収めるのが安全です。解答用紙の形式が分からない場合は、数え方を手元の資料で確認してください 要確認


自己診断:手が止まった人への処方箋
🩺【自己診断】小論文で手が止まった人への処方箋
- 問二で本文の言葉が使えない傍線部の前後を読み、「理由」を表す言葉に線を引く。その言葉を、そのまま使って2文にまとめる
- 問三の立場が決まらない先に「利点」「欠点」など両方の材料を3つずつ書き、重い方を選ぶ。軸が決まれば立場は決まる
- 800字に届かない具体例(医療の場面)を各段落に1文足す。結びに「自分が何をするか」を動詞で書く
- 本文の説明が長くなる説明は1段落、250字以内を目安にする。残りは自分の考えに回す
- きれいごとになる現実の制約(時間・個人情報・責任)を1文入れ、条件をつけて結ぶ
北里大2025型 そっくり類題
(3日分・解答例つき)
3日分と同じ形式(本文+問一・問二・問三800字)で、題材と本文を新しく作ったTMPSオリジナル問題です。設計図を作ってから書く習慣と、90分の立ち回りを確かめられます。入試問題ではありません。
印刷して本番と同じように90分で書けます(問題用紙と原稿用紙)。解答・解説はこのページの下に掲載しています。
※ 北里大学の入試問題ではありません。本文・設問・人物・団体(架空)はすべてTMPS医学館が作成したオリジナルで、出典のある引用ではありません。
本文は新しく作ったものです。下線部が問二の対象です。
私たちは日常、「聞く」と「聴く」を区別せずに使っている。しかし、相手の話を聴くとは、単に音声を耳に入れることではない。相手が言葉にしきれずにいる思いを、待ちながら受け取ろうとする営みである。
話を聞いている最中、人はつい、次に自分が言うべき言葉を考えてしまう。相手の話が終わる前に答えを用意し、助言や解決策を差し出したくなる。だが、それは相手の話を自分の枠組みに当てはめているにすぎない。相手が語りたかったことは、その枠の外に残されてしまう。
聴くためには、まず自分の考えをいったん脇に置く必要がある。そのうえで、沈黙を恐れず、相手が言葉を探す時間を待つ。そして、受け取ったことを「こういうことでしょうか」と返して確かめる。この確かめの繰り返しによって、相手は自分の思いを整理でき、聴き手も自分の理解の偏りに気づくことができる。
問一 20字以内でタイトルをつけなさい。
問二 傍線部「聴く」とは、単に聞くこととどのように違うのか、文中の言葉を用いて100字以内で説明しなさい。
問三 医師として患者の話を聴くためには、どのような能力が求められるか、またそのためにはどのような経験が必要か、本文の内容をふまえて、あなたの考えを800字以内で述べなさい。
※ 句読点・かっこも1字、段落の最初は1マスあける。90分で書いてから、下の解答例を見てください。
▶ 類題の解答例と解説を見る
患者の話を聴くには、自分の考えを脇に置いて待つ力と、受け取ったことを確かめる力が必要であり、そのために、さまざまな人の話を最後まで聴く経験と、自分の聴き方を振り返る経験が欠かせないと考える。
本文は、聴くとは、相手が言葉にしきれない思いを待ちながら受け取ることであり、助言や解決策をすぐに差し出すことは、相手の話を自分の枠組みに当てはめることにすぎないと指摘する。また、受け取ったことを返して確かめることで、相手は思いを整理でき、聴き手も自分の偏りに気づけると述べる。
診察の場では、時間に限りがあるため、医師は患者の話を途中で遮り、診断に必要な情報だけを尋ねたくなる。しかし、患者が本当に気がかりなことは、最初の訴えとは別のところにあることも多い。そこで、まず自分の見立てをいったん脇に置き、患者が言葉を探しているときは、沈黙を急がずに待つ力が求められる。さらに、「痛みが続いて、お仕事が心配なのですね」のように、受け取ったことを返して確かめる力も必要である。最初の訴えの裏にある不安に気づくことは、診断の精度を上げることにもつながる。
これらの力を養うために、第一に、年齢や立場の異なる人の話を、途中で遮らず最後まで聴く経験を重ねたい。実習やボランティアの場で、聴いたことを相手に返して確かめる練習をすれば、自分の思い込みに気づける。第二に、自分の面談を録音や記録で振り返り、遮った場面や、決めつけた場面を探す経験が必要である。第三に、先輩の面談に同席して、聴き方を学ぶことも有効である。
私は、患者の話を待ち、確かめながら聴く医師になりたい。そのために、日頃から、友人や家族の話を最後まで聴き、自分の聴き方を振り返る習慣をつける。その積み重ねが、患者の信頼につながると考える。
TMPSの一例です(模範解答ではありません)。
題材は変わっても、「問一(要旨)→問二(本文の言葉)→問三(立場→柱→留保→医療者として)」の骨格は本番と同じです。
本文は新しく作ったものです。下線部が問二の対象です。
私は医師になって三年目に、地方の病院で月に数回、夜間の当直を任されるようになった。当直の夜は、病棟でも救急外来でも、その場に医師が自分一人しかいないことが多い。
当直の夜は、いつも怖かった。患者の容体が急に変わったとき、自分の判断が正しいのか、誰にも確かめられない。上級医に電話をかけてよいのかも、ためらわれた。夜中に起こして迷惑をかけたくない、という気持ちがあったからである。実際に、電話をかけることを「頼りない」と受け取る空気も、職場には残っていた。
当直の経験が増えると、不安はやわらいだが、休みなく働いた翌朝の疲れは重かった。当時の私には、迷ったときの連絡の基準も、仕事のあとの振り返りの場もなかった。同じ悩みを持つ同僚が、少なくなかったことは、あとで知った。
問一 20字以内で本文の内容を表すタイトルをつけなさい。
問二 傍線部で著者は「怖かった」と述べている。著者は何を怖く感じたのか、なぜ怖く感じたのか、100字以内で説明しなさい。
問三 本文全体の文意をふまえて、若手医師の当直の負担につながる医療現場の課題を抽出し、その課題に対してどのような対策が必要かについて、医師を目指す者として自分の考えを800字以内で述べなさい。
※ 句読点・かっこも1字、段落の最初は1マスあける。90分で書いてから、下の解答例を見てください。
▶ 類題の解答例と解説を見る
若手医師の当直の負担を減らすには、迷ったときに相談できる基準と、振り返りと休息を確保する仕組みを、病院の制度として整えることが必要だと考える。以下、本文の内容を整理し、課題と対策を述べる。
本文は、著者が当直の夜に、一人で判断を迫られて怖かったことを語る。上級医に連絡してよいのか迷い、連絡を頼りなさと受け取る空気もあったこと、連絡の基準や、仕事のあとの振り返りの場がなかったことも述べている。本文の著者の経験は、特定の個人の問題ではなく、多くの若手医師が共有する課題だと考えられる。
課題は三つに整理できる。第一に、夜間に医師が一人で判断する場面が多く、責任が個人に集中すること。第二に、上級医に連絡する基準が示されておらず、連絡することをためらう空気があること。第三に、当直明けの休息や振り返りの機会が十分でないことである。いずれも、個人の我慢や努力では解決できない。
対策として、まず、容体の変化の種類ごとに、上級医へ連絡する基準を文書で示し、基準に従った連絡は当然の行動として扱う。次に、夜間でも、看護師や薬剤師、遠隔の専門医に相談できる体制を整える。さらに、当直明けは勤務を休みにし、後日、判断に迷った事例を振り返る機会を設ける。こうした制度は、一人ひとりの努力に任せず、病院全体で運用することが大切である。また、当直の負担を調べる調査を病院で定期的に行い、制度が機能しているかを確かめる。さらに、相談しやすい雰囲気づくりのため、上級医が自ら声をかける運用も必要である。
私は、医師を目指す者として、迷ったときに早めに相談する習慣を学生のうちから身につけたい。それは頼りなさではなく、患者の安全を守る責任の果たし方だと考える。患者の安全を守るために、自分の限界を知る姿勢も大切にしたい。
TMPSの一例です(模範解答ではありません)。
題材は変わっても、「問一(要旨)→問二(本文の言葉)→問三(立場→柱→留保→医療者として)」の骨格は本番と同じです。
本文は新しく作ったものです。下線部が問二の対象です。
安全を守るための方法には、大きく二つの考え方がある。一つは、手順書を細かく定め、それに従うことを人に求める考え方(A)である。手順どおりに行えば誤りは防げるとし、逸脱を「違反」として減らそうとする。
もう一つは、現場の状況は手順書で書き尽くせないと考え、人の判断で手順を調整することを認める考え方(B)である。この考え方では、人は状況を見て柔軟に動ける存在とされ、うまくいった工夫を集めて共有することが重視される。
手順が単純な作業では、(A)が大きな力を発揮する。しかし、状況が刻々と変わる現場で、手順書だけに頼ると、書かれていない場面で人が動けなくなる。一方、(B)だけでは、人によって判断が異なり、ばらつきが生まれる。両者の使いどころを見極めることが大切である。
問一 20字以内で本文の内容を表すタイトルをつけなさい。
問二 傍線部(A)と(B)の考え方では、現場の人に求められることはどのように違うか。本文の内容に即して100字以内で述べなさい。
問三 医療現場の手順書やマニュアルとの付き合い方について、どのような対応が望まれると考えるか。本文の内容をふまえ、あなたの考えを800字以内で述べなさい。
※ 句読点・かっこも1字、段落の最初は1マスあける。90分で書いてから、下の解答例を見てください。
▶ 類題の解答例と解説を見る
私は、医療現場では、手順書を守ることを基本にしつつ、手順では書き切れない場面で判断を許し、その判断を共有して手順書を見直す関係が望まれると考える。以下、その理由を述べる。
本文は、手順書に従うことを求める(A)の考え方と、人の判断で手順を調整することを認める(B)の考え方を対比する。そして、手順が単純な作業では(A)が力を発揮するが、状況が変わる現場では手順書だけでは動けなくなる場面があり、(B)だけでは判断にばらつきが生まれるため、両者の使いどころを見極めることが大切だと述べる。この整理は、医療現場の安全を考える出発点になる。
医療には、(A)が欠かせない場面がある。薬の投与量の確認や、手術前の患者の取り違え防止のように、手順を一つ飛ばすことが重大な事故につながる作業では、決められた手順を守ることが何よりも大切である。ここで個人の判断を持ち込めば、ばらつきが事故の原因になる。手順書がなぜ必要かを、新人にも説明できる形で共有することも欠かせない。
一方で、患者の状態は一人ひとり違い、手順書が想定していない場面も多い。例えば、容体の変化が手順書の想定と少し違うとき、手順だけに従えば対応が遅れる。このとき、現場の医療者が状況を見て判断し、その理由を記録して共有できる環境が必要である。共有された判断が積み重なれば、手順書の改訂にも生かせる。ただし、現場の判断を認めるときは、判断を一人に任せきりにしない仕組みも要る。
私は、手順を守る責任と、状況を見て考える責任の両方を、患者の安全のために果たせる医療者になりたい。判断に迷ったときは一人で決めず、周囲に確認してから動く習慣も身につけたい。二つの考え方を場面で使い分ける姿勢を、日頃から身につけたい。手順書の改訂にも、積極的に意見を出したい。
TMPSの一例です(模範解答ではありません)。
題材は変わっても、「問一(要旨)→問二(本文の言葉)→問三(立場→柱→留保→医療者として)」の骨格は本番と同じです。
※ 類題は、本番の骨格を残しつつ、題材・本文・設定をすべて新しく作っています。解答例は字数をスクリプトで数え、制限字数以内(段落頭の空きを含めて)であることを確認しています。
30秒 得点診断
本番の過去問、またはそっくり類題を90分で書いた結果を選んでください。次にやるべきことを表示します。
保護者の方へ:北里大の小論文で知っておきたい3つのこと
よくある質問
Q. 北里大学 医学部の小論文2025年度は、何をどのくらい書きますか?
2025年度は、試験日(2/8・2/9・2/10)ごとに異なる課題文が出ました。いずれも90分で、問一(20字以内のタイトル)、問二(100字以内)、問三(800字以内)の3問構成と読み取れました。
Q. 問題文が載っていなくても、どんな問題か分かりますか?
分かります。著作権に配慮して課題文は掲載していませんが、「どういう問題か」で、題材の論点・答えるもの・字数の条件をTMPSの言葉で説明しています。
Q. 解答例は模範解答ですか?
いいえ。解答例が公表されていないため、TMPSが作った「一例」です。小論文に唯一の正解はなく、問三は立場の異なる2本を並べています。大学の採点基準は公開されていないので、「採点の見立て」もTMPSの考えです。
Q. そっくり類題セットとは何ですか?
3日分と同じ形式(本文+問一・問二・問三、問三は800字以内)で、題材と本文を新しく作ったTMPSオリジナルの問題です。問題と原稿用紙のPDF(10ページ)を無料で配布し、解答例と解説はこのページに載せています。
Q. 解答用紙の形式(原稿用紙かどうか)は分かりますか?
過去問集からは解答用紙の形が分かりませんでした。この冊子の原稿用紙はTMPSの練習用です。実際の形式は、大学の発表や手元の資料で確認してください。
Q. 解説に誤りを見つけたらどうすればいいですか?
公式LINEからお知らせください。確認のうえ修正し、更新日を記載します。
問題等で誤りを発見された場合、修正しますので、TMPS医学館までLINEを下さい。
受験生・指導者の皆様からのご指摘を真摯に受け止め、最も信頼できる過去問解説・類題ライブラリーとして随時アップデートいたします。
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