問一は、本文の中心を20字に絞る練習です。問二は「何ができて、何ができないか」を、System1/System2の言葉で対比して、傍線部の理由づけまで200字に収めます。
📌 このページの使い方
- 過去問集をお持ちの方:まず90分で自分の答案を書き、各日の解答例と見比べてから解説へ
- お持ちでない方:各日の「どういう問題か」を読めば、課題の中身が分かります
- 最後にそっくり類題(問題+原稿用紙PDF)を90分で書く
※ 著作権に配慮し、入試問題の本文は掲載していません。小論文に唯一の正解はなく、解答例はTMPSの一例です。大学の採点基準は公開されていないため、「採点の見立て」もTMPSの考えです。日程と課題の対応は、過去問集の掲載から読み取ったものです。念のため手元の資料でも確認してください。
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LINEで誤りを連絡3分で分かる 2026年度の北里大の小論文
- ✅ 3日とも「課題文を読んで、問一→問二→問三」の同じ形。各90分。問一はタイトル(20字以内)、問二は傍線部などの説明(100〜200字以内)、問三は800字以内の意見論述です。
- ✅ 2/14はAIの限界と可能性。問三は「医療現場で生成AIを活用する利点と欠点」。2つを両方書く問題です。
- ✅ 2/15は医師のキャリア。問三は「著者の主張の説明→自分の考え」の2段構え。説明と意見を混ぜないことが大切です。
- ✅ 2/16は脳の性質と情報の取り入れ方。問三は「大量の情報を、自分の見識や学習にどう活かすか」。具体的な習慣まで書きます。
- ✅ 共通して問われるのは「本文を使って考える力」。問二で本文の言葉を正確に使い、問三で本文を踏まえて自分の意見を組み立てます。800字は設計図なしでは書き切れません。


90分の立ち回りマップ
1日分の課題は90分。時間はTMPSの目安です。解答用紙の形式(原稿用紙か、下書き用紙の有無)は過去問集からは分からなかったため、手元の資料で確認してください 要確認
- 死守ライン:開始35分で問二まで書き終える。問三の設計図に8分は確保する。
- 損切り:問一のタイトルに5分以上かけない。本文の中心の言葉を使って、20字にまとめる。
- 初手のトリガー:課題文を読みながら、「対立する2つの考え」と「傍線部の理由づけ」に印をつける。問二・問三はこの印から作れる。
2月14日 ── AIの限界と可能性(System1/System2)
課題AIの限界と可能性(問一20字・問二200字・問三800字)
AIをめぐる評論を読み、本文の枠組み(System1/System2)で説明したうえで、医療の場での利点と欠点を自分で整理する小論文。
- 答えるもの:問一=本文のタイトル(20字以内)/問二=傍線部「ChatGPTといえども万能ではない」を「System1/System2」の視点から(200字以内)/問三=医療現場で生成AIを使う利点と欠点(800字以内)
- 条件:90分。解答例は公表されていない
- 材料:人間の「速い思考(System1)」と「遅い思考(System2)」、従来AIと生成AIの違い、ChatGPTの限界(学習した知識の範囲、自律性、他者理解)、今後の方向(複数AIの連携、言語以外の処理)


問一・問二短い記述の型
▶ 問一・問二の解答例(TMPSの一例)
問二の骨格:ChatGPTが達成したこと→人間との違い→万能ではない理由、の3部です。
問三800字の設計図と解答例
| 部品 | 字数の目安 | 書くこと | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| 立場 | 80 | 「補助として活用し、判断は人が行う」など結論を先に | 賛成・反対の二択にして条件を書かない |
| 利点 | 180 | 情報処理の速さ・書類作成・考え漏れの防止(医療の具体例で) | 一般的なAIの便利さで終わる |
| 欠点 | 220 | 本文の指摘+医療の具体例(非言語情報・誤り・個人情報) | 本文の写しになる/具体例がない |
| 使い方の条件 | 200 | 確認の責任・使う場面の限定・規則づくり | 「気をつける」だけの精神論 |
| 医療者として | 90 | 将来、自分はAIとどう向き合うか | 感想で終わる |
採点の見立て(TMPSの考え):利点と欠点の両方に本文の観点と具体例が入っているか、条件づきの結論まで書けているかを、まず見ると考えます。 要確認
▶ 問三の解答例A:補助として活用し、最終判断は人が担う立場
医療現場の生成AIは、医師の判断を支える補助として積極的に使い、最終的な判断と患者との対話は人が担うべきだと考える。
利点は、情報処理の速さと網羅性である。生成AIは大量の文章を学習しており、診療録の要約、説明文書の下書き、診療指針や文献の整理を短時間でこなせる。本文が述べるように、ChatGPTは熟考に近い処理も、学習した知識の範囲では可能にした。書類作成にかかる時間を減らせれば、医師は診察や患者への説明に時間を回せる。また、考えられる病名の候補を挙げさせれば、考え漏れに気づく助けにもなる。また、日々更新される医学の知識を、最新の研究から要約して示してもらえる点も大きい。
一方で、欠点も大きい。本文によれば、ChatGPTは知識の範囲に閉じた思考にとどまり、状況に応じて速い思考と遅い思考を使い分けたり、自律的に判断を変えたりすることが得意ではない。診察室では、患者の表情や声、家族の様子といった言語以外の情報が欠かせないが、それらを踏まえて適応的に判断することは難しい。さらに、もっともらしい誤りを述べることがあり、患者の情報を入力すれば、個人情報が漏れる危険もある。AIの出力を信じすぎれば、医師自身が考える機会を失う恐れもある。
そこで、使う範囲と責任を明確にしたい。書類作成や情報整理のように、人が結果を確認できる場面から使い始める。診断や治療の方針では、AIの出力を一つの意見として扱い、根拠を確かめたうえで医師が決める。個人情報は入力しないか、保護された環境の中だけで扱うという規則を、病院全体で整えるべきである。
私は将来、AIの得意と不得意を理解したうえで、結果を鵜呑みにせず、患者の言葉や表情に向き合う医師になりたい。AIによって生まれた時間は、患者の不安を聞き、納得できる説明をするために使いたい。
設計図の対応:立場→利点→欠点→条件→医療者として。
▶ 問三の解答例B:利点を限り、人が中心であり続ける立場
生成AIは、利点を生かせる場面を限り、診断や治療の決定、患者の気持ちに関わる場面では、人が中心であり続けるべきだと考える。
まず利点を整理する。生成AIは、診療録の要約や検査結果の説明文の作成など、言葉を扱う作業を速く行える。専門医が少ない地域でも、疑わしい病気の候補や最新の知見を調べる補助として役立つ可能性がある。患者への説明を、やさしい言葉に言い換える手助けにもなるだろう。外国語の文献を読む負担を減らしたり、若手医師の学習を支えたりする使い方も期待できる。
次に欠点である。本文は、ChatGPTが与えられた知識の範囲に閉じた熟考しかできず、目や耳から入る周囲の状況をもとに、速い思考と遅い思考を使い分けて行動を変えることまではできないと指摘する。また、相手の気持ちをシミュレーションできても、人のような思考ができるわけではない。診療では、検査の数値に表れない不安や生活の事情を聞き取る力が重要であり、ここをAIに任せることはできない。学習したデータに偏りがあれば、特定の患者に不利な提案をする危険もある。AIの出力はもっともらしく見えるため、誤りに気づきにくいことも、診療では重大な問題になる。
したがって、AIの結果を使うときは、必ず医師が根拠を確かめ、責任は人が負うと明確にする。患者にも、AIを使っていること、その限界を伝え、納得を得たうえで使うことが大切である。また、AIに頼りすぎて、自分で考える力や診察の技術が衰えないよう、教育の場でも自ら考える訓練を続ける必要がある。患者の個人情報を扱う以上、入力する情報の範囲や保存の仕方についても、病院ごとに明確な決まりが必要である。
私は医療者として、AIの力を道具として使いこなしながら、患者と向き合う時間と責任だけは手放さない医師になりたい。
設計図の対応:立場→利点→欠点(本文の指摘)→責任と教育→医療者として。
2月15日 ── 医師のキャリア(北極星型と万華鏡型)
課題医師のキャリア(問一20字・問二160字・問三800字)
医師のキャリアの描き方を扱う文章を読み、2つの考え方の対比を説明したうえで、著者の主張と自分の考えを書き分ける小論文。
- 答えるもの:問一=本文のタイトル(20字以内)/問二=傍線(A)(B)の意味を具体的に(160字以内)/問三=本文全体をふまえた著者の主張の説明、その次に自分の考え(800字以内)
- 条件:90分。解答例は公表されていない
- 材料:進路に迷う研修医、先行きが見通せない時代、AI・DXによる変化、自己分析の不足、「好き」を集める、(A)遠い目標を探す考え方と(B)好きを組み替える考え方の対比


問一・問二短い記述の型
問一は、対比の中心(2つの考え方)を20字に含めます。問二は、(A)と(B)をそれぞれ具体的に言い換え、違いが分かるように160字に収めます。
▶ 問一・問二の解答例(TMPSの一例)
問二の骨格:(A)の内容→なぜ向かないか→(B)の内容と進め方、の3部です。
問三800字の設計図と解答例
| 部品 | 字数の目安 | 書くこと | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| 主張の整理 | 190 | 著者の主張を本文の言葉で、短く | 本文の細部を書き写す |
| 賛否と理由 | 250 | 「私は賛成/一部賛成」+根拠+具体例 | 理由が感想で終わる |
| 補足・留保 | 160 | 主張だけでは足りない点(責任・基礎学習など) | 主張への批判だけになる |
| 自分の進路観 | 170 | 将来、自分はどう進路を考えるか(動詞で) | 「頑張りたい」で終わる |
採点の見立て(TMPSの考え):前半が著者の主張の的確な要約になっているか、後半が本文を踏まえた自分の考えになっているかの切り分けを、まず見ると考えます。 要確認
▶ 問三の解答例A:主張に賛成し、責任と基礎学習を補う立場
著者は、先行きが見通せない時代の医師のキャリアは、遠い将来の理想を一つ定めて進む「北極星型」ではなく、好きなことや得意なことを集めて変化に合わせて組み替える「万華鏡型」で築くべきだと主張している。診療科が決められない研修医の悩みは、自分が何に興味があるのかを知る機会が少ないことにも原因があり、自己分析や他者からの意見を材料に、近い将来のなりたい医師像を描くことを勧めている。つまり著者は、一つの正解を探すのではなく、変化に応じて組み替え続ける姿勢を重視している。
私はこの主張に賛成である。医療現場はDXやAIの導入で役割が変わり続けており、10年先の自分を細かく決めても、前提が崩れる可能性が高い。変化のたびに計画を作り直すことは負担になるが、好きなことや得意なことを手がかりにするなら、変化を前向きに受け止めやすい。実習や臨床で嬉しかったこと、時間を忘れた経験を記録しておけば、進路に迷ったときの判断材料になる。例えば、新しい技術が広まれば、今は需要の少ない分野が大きく伸びることもある。
ただし、好きなことを集めるだけでは足りないとも考える。患者の苦痛に向き合い、安全な医療を守るという医師としての責任は、好みに関わらず担わなければならない。基礎となる知識や技術の学習は、好き嫌いにかかわらず積み重ねる必要があり、それが変化に対応する力の土台になる。責任や基礎学習を軸に据えることで、好きなことだけに偏る危険も避けられる。
以上より、私は、医師としての責任と基礎の学習を軸にしながら、好きなことを集めて進路を柔軟に組み替える姿勢を持ちたい。周りの医師に進路の考え方を聞き、自分の関心を言葉にしながら、患者にとって必要な医師であり続けたい。また、進路を決められない自分を責めず、迷う時間も経験を広げる機会と捉えたい。
設計図の対応:著者の主張→賛成と理由→補足(責任・基礎)→自分の進路観。
▶ 問三の解答例B:大筋で賛成しつつ、変わらない軸が必要とする立場
著者は、将来が見通せないVUCAの時代には、遠い理想に向けた北極星型のキャリアよりも、好きなことや得意なことを集めて変化に合わせて組み替える万華鏡型が求められると主張している。そのために、自己分析の機会を持ち、他者の意見を聞いて、近い将来のなりたい医師像を描くよう勧めている。
私は、この主張に大筋で賛成するが、万華鏡型だけでは足りないと考える。好きなことは変わりうるので、集めるだけでは軸が定まらず、周囲に流されて進路が散らばる恐れがある。実際、好きなことは経験によって変わることが多く、数年後の関心を今から予測するのは難しい。変化の中でも変わらない「何のために医師になるのか」という価値観を、一つ持っておくことが必要だ。
これは、北極星型を完全に否定することではない。遠い目標を細かい計画として固めるのではなく、「患者の人生を支える」といった方向を示す大きな目印として持ち、その近くの道を、好きなことを手がかりに自由に選ぶという組み合わせが現実的だと考える。例えば、救急に魅力を感じても、その後に家庭医療へ関心が移ることがある。しかし、人の生活に寄り添うという目印があれば、進路が変わっても経験が生きる。迷ったときに立ち返る場所があることは、精神的な支えにもなる。
また、医療は、好きなことだけでは成り立たない場面も多い。夜間の対応や、気が進まない書類の作業も、患者の安全に関わる。好きなことを大切にしつつ、責任としてやるべきことを引き受ける覚悟も、キャリアの一部である。
私は、変わらない目印と、変化に合わせて組み替える柔軟さの両方を持つ医師を目指し、自己分析と他者の意見を繰り返し取り入れて進みたい。そのために、折に触れて自分の価値観を書き出し、見直す習慣を持つつもりだ。
設計図の対応:著者の主張→大筋で賛成→留保(軸が必要)→両方を組み合わせる→自分の進路観。
2月16日 ── 脳の省エネと確信(情報の取り入れ方)
課題脳の性質と情報の取り入れ方(問一20字・問二100字・問三800字)
脳の性質についての評論を読み、傍線部の内容を100字で説明したうえで、情報があふれる環境での自分の取り入れ方を提案する小論文。
- 答えるもの:問一=本文のタイトル(20字以内)/問二=傍線部「少しでも楽をしたい」ために脳が何をしてしまうのか、文中の言葉で(100字以内)/問三=ウェブ・SNS・生成AIなどの大量の情報を、自分の見識や学習にどう活かしたいか(800字以内)
- 条件:90分。解答例は公表されていない
- 材料:脳は省エネの臓器で、あいまいさや「わからない」を嫌い、簡易な処理や確信で安心しようとする(バランス理論・認知バイアス・確証など)


問一・問二短い記述の型
問一は、「脳」「楽」「確信」のどれかを入れて20字にまとめます。問二は、傍線部の理由を本文の言葉で、100字以内に収めます。
▶ 問一・問二の解答例(TMPSの一例)
問二の骨格:脳の性質(あいまいさを嫌う)→とってしまう行動(簡易な処理・確信を強める)の2部です。
問三800字の設計図と解答例
| 部品 | 字数の目安 | 書くこと | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| 立場 | 80 | 「仮の答えとして受け取り、確かめる」など | 「活用したい」だけで中身がない |
| 脳の性質との関係 | 130 | 本文の指摘を、問題の原因として使う | 本文の説明が長くなる |
| 具体策① | 200 | 取り入れ方(保留・複数の情報源・反対意見) | 「気をつける」で終わる |
| 具体策② | 200 | 学習への活用(自分の言葉で書き直す・記録) | ①と同じ内容の繰り返し |
| 医療者として | 160 | 患者の情報への向き合い方・学び続ける姿勢 | 感想で終わる |
採点の見立て(TMPSの考え):本文の指摘が問題の原因として使われ、具体的な行動の提案につながっているかを、まず見ると考えます。 要確認
▶ 問三の解答例A:仮の答えとして受け取り、複数の情報源と照らして確かめる立場
私は、大量の情報を「仮の答え」として受け取り、複数の情報源と照らして確かめる習慣で、見識と学習に活かしたい。
本文によれば、脳はできるだけ楽をしようと、あいまいなままにしておくことを嫌い、一つの考えに確信を持って安心しようとする。ウェブやSNS、生成AIから答えがすぐに得られる現在は、この性質が強く働き、最初に見た情報や自分に都合のよい情報を、確信にしてしまう危険が大きい。特に、検索結果やおすすめ表示は、自分の関心に合う情報を優先して示すため、偏りに気づきにくい。
そこで第一に、情報を見たら、すぐに結論を出さず、「まだ分からない」として保留する。気になる情報は、ウェブの別の記事だけでなく、教科書、論文、公的機関の資料など、書いた人や根拠が分かる情報源と照らし合わせて確かめる。第二に、自分と反対の意見も意識して探す。意見が食い違うときは、どこが違うのかを書き出し、根拠の強さで比べる。確かめる時間がないときは、その情報を「未確認」として扱い、人に伝えることも控える。
生成AIは、答えを整った文章で示すため、正しそうに見えやすい。そこで、AIの答えは、調べるための出発点として使い、出てきた用語や数字は、必ず自分で調べ直す。また、学習では、AIや動画の説明を読んだ後に、自分の言葉で書き直してみる。説明できない部分は、理解できていないところなので、その部分を重点的に学ぶ。AIが示した根拠が実在するかどうかも、元の資料に当たって確認する。
私は将来、医療者として、患者が持ち込む情報にも、頭ごなしに否定せず、根拠を一緒に確かめる姿勢で向き合いたい。そのためにも、まず自分が、確信を持つ前に立ち止まって確かめる習慣を身につけたい。また、自分が誤っていたと分かったときには、素直に考えを改める柔軟さも持ちたい。
設計図の対応:立場→本文との関係→具体策①→具体策②→医療者として。
▶ 問三の解答例B:問いを立て、記録して振り返る立場
私は、情報を取り入れる前に自分の問いを立て、得た情報は記録して振り返ることで、見識や学習に活かしたいと考える。
本文は、脳が働くのを嫌い、あいまいさに耐えられず、手早く確信に飛びつく臓器だと述べる。大量の情報が手に入る現在は、考えなくても答えが得られるため、この性質に流されやすい。確信を持つと、それに合う情報ばかりが目に入り、偏りは強まっていく。SNSでは、感情を強く揺さぶる投稿ほど広まりやすく、冷静に検討する前に信じてしまいやすい。
この性質に流されないために、まず、情報を探す前に「何を知りたいのか」を一文で書く。目的が決まっていれば、関係の薄い情報や、感情を刺激する情報に引きずられにくい。次に、得た情報を、「事実」「意見」「分からないこと」に分けてノートに記録する。分からないことは、無理に結論を出さず、そのまま残しておき、後で調べる。これは、あいまいなままにしておく力を鍛える練習にもなる。こうして整理した記録を週に一度見返せば、自分がどんな情報に偏りやすいかも分かってくる。
生成AIについては、答えを写すのではなく、自分の考えを確かめる相手として使う。まず自分の考えを書き、その後でAIに反論を挙げさせ、足りなかった視点を補う。また、人と話し合うことも大切である。友人や教員に自分の理解を説明し、質問されることで、思い込みに気づける。AIが誤った内容を自信ありげに述べることもあるため、重要な点は必ず一次資料で確認する。
医療者になれば、診断の見立てに早く確信を持ちすぎることが、患者の危険にもつながる。今から、確信を持つ前に別の可能性を考える習慣を身につけ、学び続ける医師になりたい。患者の話を聞くときも、最初の印象に引きずられず、複数の可能性を並べて検討したい。
設計図の対応:立場→本文との関係→問いを立てる・記録する→AIの使い方・対話→医療者として。
3日に共通する「型」と本文の使い方
| 問 | 役割 | 字数 | 型 |
|---|---|---|---|
| 問一 | 本文の中心をつかむ | 20字以内 | 中心の言葉を1〜2個入れた名詞止め・体言止めのタイトル |
| 問二 | 本文の言葉で説明する | 100〜200字以内 | 対比・理由づけを、本文の言葉で2〜3文に |
| 問三 | 本文を踏まえて意見を書く | 800字以内 | 立場→本文との関係→柱2本→留保・条件→医療者として |
本文の使い方は、「1か所を、短く、根拠として」が基本です。本文を長く写すと、字数が足りなくなり、自分の考えが薄くなります。
字数は、段落の最初の1マス空きまで数えて、800字の9割(720字)以上、800字以内に収めるのが安全です。解答用紙の形式が分からない場合は、数え方を手元の資料で確認してください 要確認


自己診断:手が止まった人への処方箋
🩺【自己診断】小論文で手が止まった人への処方箋
- 問二で本文の言葉が使えない傍線部の前後を読み、「理由」を表す言葉に線を引く。その言葉を、そのまま使って2文にまとめる
- 問三の立場が決まらない先に「利点」「欠点」など両方の材料を3つずつ書き、重い方を選ぶ。軸が決まれば立場は決まる
- 800字に届かない具体例(医療の場面)を各段落に1文足す。結びに「自分が何をするか」を動詞で書く
- 本文の説明が長くなる説明は1段落、250字以内を目安にする。残りは自分の考えに回す
- きれいごとになる現実の制約(時間・個人情報・責任)を1文入れ、条件をつけて結ぶ
北里大2026型 そっくり類題
(3日分・解答例つき)
3日分と同じ形式(本文+問一・問二・問三800字)で、題材と本文を新しく作ったTMPSオリジナル問題です。設計図を作ってから書く習慣と、90分の立ち回りを確かめられます。入試問題ではありません。
印刷して本番と同じように90分で書けます(問題用紙と原稿用紙)。解答・解説はこのページの下に掲載しています。
※ 北里大学の入試問題ではありません。本文・設問・人物・団体(架空)はすべてTMPS医学館が作成したオリジナルで、出典のある引用ではありません。
本文は新しく作ったものです。下線部が問二の対象です。
病院の電子カルテに記録された長い文章を、数秒で要点にまとめるAIが使われ始めている。AIは、書かれた言葉の中から重要そうな部分を取り出す作業が得意だ。ところが、診察では、記録に書かれていない情報が、診断に大きく影響することがある。
例えば、患者が「大丈夫です」と答えたときの表情の曇りや、家族の付き添いの様子は、文章には残りにくい。熟練した医師は、記録を読みながら、同時に目の前の患者の様子を観察し、必要に応じて質問を変える。すなわち、既にある文章を処理する力と、その場の状況を見て判断を変える力の両方を使っているのである。
要約AIは、前者を大きく助けてくれる。しかし、要約は診察の代わりにならない。AIが整えた文章が、いつも患者の全体像を表しているとは限らないからだ。今後は、AIが使える情報の幅が広がり、表情や声の調子にも対応できるようになるかもしれない。それでも、記録の外にある患者の事情を引き出すのは、人と人との対話である。
問一 20字以内でタイトルをつけなさい。
問二 傍線部「要約は診察の代わりにならない」について、「記録に書かれた情報」と「その場の状況」という言葉を用いて、150字以内で説明しなさい。
問三 医療現場において要約AIを活用する場合の利点と欠点について、本文を参考に800字以内で述べなさい。
※ 句読点・かっこも1字、段落の最初は1マスあける。90分で書いてから、下の解答例を見てください。
▶ 類題の解答例と解説を見る
要約AIは、診察の準備や記録の整理を助ける道具として活用し、患者の状況を捉える診察と最終的な判断は医師が行うべきだと考える。
利点は、読む時間を大きく減らせることである。長い経過の記録や、過去の検査結果の中から要点を短時間で取り出せれば、医師は診察の前に患者の経過をつかみやすくなる。また、複数の医療者が関わる場面では、引き継ぎの内容をそろえ、伝え漏れを減らすことにも役立つ。そこで生まれた時間を、患者の話を聞くことに回せるなら、診療の質は高まるだろう。さらに、外来で多くの患者を診る医師にとっては、準備にかかる負担の軽減にもつながる。
一方で欠点もある。AIは、書かれた情報から要点を取り出すが、書かれていないことは扱えない。患者の遠慮や不安、家族の事情は、記録に残りにくく、診断の鍵になることも多い。また、AIが整えた短い文章を読むと、全体を理解した気になりやすい。要点から外れた小さな記載が、実は重要な手がかりだったという場合に、見落とす危険がある。さらに、記録を外部のサービスに送る場合には、個人情報の保護にも注意が必要である。AIの出力が誤っていても、整った文章であるために気づかれにくい点も問題である。
したがって、要約は参考として使い、気になる部分は元の記録に戻って確認する習慣が必要である。診察では、要約を読むだけにせず、患者に直接尋ねて、表情や声の調子も観察する。病院としても、使い方の規則や、情報の扱いの責任を明確にしておくべきである。あわせて、AIを使ったことを患者に伝え、理解を得る配慮も大切である。
私は、AIが作る整った要約に頼りすぎず、患者と向き合う中で、記録に書かれていない事情を聞き出せる医療者を目指したい。そうした姿勢が、AIと共に働く時代の医療者に求められると考える。
TMPSの一例です(模範解答ではありません)。
題材は変わっても、「問一(要旨)→問二(本文の言葉)→問三(立場→柱→留保→医療者として)」の骨格は本番と同じです。
本文は新しく作ったものです。下線部が問二の対象です。
進路に悩む学生にとって、ロールモデルは心強い存在である。しかし、「あの先生のようになりたい」と一人の姿を目標にすると、その人と自分との違いが、かえって苦しさを生むことがある。
私は、キャリアを一枚の完成した地図(A)のように描くのではなく、手元の方位磁針(B)を頼りに歩くものと考えている。方位磁針とは、自分が大切にしたい価値観のことである。道の先は見通せなくても、価値観が示す方角に向かって一歩ずつ進めば、実際に歩いた道がそのまま自分の地図になる。
そのために勧めたいのは、一人の「完成した人」を探すことではなく、複数の人の「小さな部分」から学ぶことである。診察の説明が丁寧な先輩、手技が正確な先生、チームをまとめるのが上手な看護師。それぞれの良い点を集めれば、自分だけのモデルができあがる。そして、時々立ち止まって、自分は何を大切にしたいのかを問い直してほしい。
問一 20字以内で本文の内容を表すタイトルをつけなさい。
問二 著者は傍線(A)で「一枚の完成した地図」、傍線(B)で「手元の方位磁針」と記載している。キャリアに関するこの2つは具体的にはどのような意味か、150字以内で説明しなさい。
問三 本文全体の意をふまえて、医師のキャリアについての著者の主張を説明しなさい。その次に、著者の主張に対してあなた自身の考えを述べなさい。問三全体で800字以内で記述しなさい。
※ 句読点・かっこも1字、段落の最初は1マスあける。90分で書いてから、下の解答例を見てください。
▶ 類題の解答例と解説を見る
著者は、医師のキャリアを、最初から完成した地図として描くのではなく、自分の価値観という方位磁針を頼りに歩きながら形づくるものだと主張している。そのために、一人の完成したロールモデルを探さず、複数の人の小さな良い点から学び、時々立ち止まって、自分が何を大切にしたいのかを問い直すよう勧めている。著者は、一人の人を目標にするより、複数の人の良い点を集めたほうが自分だけのモデルになると述べている。
私はこの主張に賛成である。医療は、技術や制度が変わり続けており、最初から細かく決めた計画は、状況の変化で意味を失いやすい。また、一人の理想の医師を目標にすると、その人との差に目が向き、自分の強みを見失う危険がある。複数の人から良い点を学ぶほうが、現実的で、自分に合った成長につながると考える。例えば、新しい治療法やAIの導入によって、医師に求められる役割は数年で大きく変わりうる。
ただし、価値観という方位磁針は、考えるだけでは育たない。患者と接する実習や、先輩との対話の中で、自分は何に心を動かされるのかを言葉にして記録していく必要がある。そのうえで、価値観が方向を示しても、基礎の知識や技術がなければ、進める道は狭くなる。方向を決めることと、力を蓄えることは、並行して行うべきだと考える。実習で心が動いた場面を日記のように残しておけば、価値観を言葉にする助けとなる。また、迷ったときに周りの人へ相談することも、視野を広げる大切な手段であると考える。
私は、医師として何を大切にするのかを、折に触れて問い直し、複数の先輩から学ぶ姿勢を持ち続けたい。そして、患者にとって必要な医師であるために、変化に合わせて学び続ける医療者を目指す。その過程で失敗しても、それを次の選択に生かす姿勢を忘れずにいたい。
TMPSの一例です(模範解答ではありません)。
題材は変わっても、「問一(要旨)→問二(本文の言葉)→問三(立場→柱→留保→医療者として)」の骨格は本番と同じです。
本文は新しく作ったものです。下線部が問二の対象です。
人は「分かりやすい話」が好きである。原因が一つに決まり、善と悪がはっきりしている物語は、聞いたそばから腑に落ちる。しかし、現実の出来事は、複数の原因が絡み合い、すっきりとは説明できないことがほとんどである。
脳にとって、複雑なものをそのまま抱えておくことは負担が大きい。だから脳は、手早く筋の通った物語をつくって、「分かった」と感じようとする。一度「分かった」と感じると、その物語に合わない情報は目に入りにくくなり、合う情報ばかりが集まる。こうして、実は単純化された理解が、本人には確かなものに思えてしまう。
健康に関する情報は、特にこの落とし穴にはまりやすい。「この食品だけで病気が治る」といった話は、分かりやすく、希望を与えてくれる。だからこそ、納得できたときに、一度立ち止まる習慣が必要である。
問一 20字以内でタイトルをつけなさい。
問二 傍線部「手早く筋の通った物語をつくって、『分かった』と感じようとする」について、脳がなぜそのようなことをするのか、文中の言葉を用いて100字以内で答えなさい。
問三 動画やSNSなどから健康に関する情報が大量に得られるようになったが、それらをどのように取り入れて、自分の判断や学習に活かしていきたいと考えるか。この文章の内容も含めて、あなたの考えを800字以内で述べなさい。
※ 句読点・かっこも1字、段落の最初は1マスあける。90分で書いてから、下の解答例を見てください。
▶ 類題の解答例と解説を見る
私は、納得できた情報ほど一度立ち止まり、根拠を確かめてから取り入れることで、自分の判断と学習に活かしたい。
本文によれば、脳は複雑なものを抱えておくことを負担に感じ、手早く物語をつくって「分かった」と感じようとする。動画やSNSの健康情報は、短く分かりやすい話が多く、この性質に強く働きかける。「分かった」と感じた時点で、他の可能性を考えなくなる点が、最も危険だと考える。私は、この「分かった」という感覚そのものが、確かめを止めてしまう合図だと考える。
そこで、まず、強く納得した情報や、希望を与えてくれる情報に出会ったときほど、すぐに人に伝えたり、行動に移したりしない。次に、誰がどんな根拠で述べているのかを確かめる。公的機関や学会の資料、教科書のように、根拠と責任の所在が分かる情報と照らし合わせ、一致しない場合は、どちらが信頼できるかを比べる。「必ず」「だけで治る」といった断定的な言葉は、特に注意する。さらに、同じ主張が複数の場所で繰り返されていても、元の情報源が同じなら、確かさが増したことにはならない。
学習の面では、情報を受け取って終わりにせず、自分の言葉で説明し直す。説明する中で、曖昧なところや、確かめていないところに気づける。分からないことは、無理に結論を出さず、「まだ分からない」と書いて残し、後で調べる。この習慣は、あいまいなままに耐える力を育てる。家族や友人に説明してみることも、思い込みに気づく良い方法である。
医療者になれば、患者が、こうした情報を信じて相談に来ることもある。そのときに、頭ごなしに否定せず、根拠を一緒に確かめられるように、私自身が確かめる習慣を今から身につけたい。また、自分自身の健康についても、医師などの専門家に相談する選択肢を常に持っておきたい。
TMPSの一例です(模範解答ではありません)。
題材は変わっても、「問一(要旨)→問二(本文の言葉)→問三(立場→柱→留保→医療者として)」の骨格は本番と同じです。
※ 類題は、本番の骨格を残しつつ、題材・本文・設定をすべて新しく作っています。解答例は字数をスクリプトで数え、制限字数以内(段落頭の空きを含めて)であることを確認しています。
30秒 得点診断
本番の過去問、またはそっくり類題を90分で書いた結果を選んでください。次にやるべきことを表示します。
保護者の方へ:北里大の小論文で知っておきたい3つのこと
よくある質問
Q. 北里大学 医学部の小論文2026年度は、何をどのくらい書きますか?
2026年度は、試験日(2/14・2/15・2/16)ごとに異なる課題文が出ました。いずれも90分で、問一(20字以内のタイトル)、問二(傍線部などについて100〜200字以内)、問三(800字以内)の3問構成と読み取れました。
Q. 問題文が載っていなくても、どんな問題か分かりますか?
分かります。著作権に配慮して課題文は掲載していませんが、「どういう問題か」で、題材の論点・答えるもの・字数の条件をTMPSの言葉で説明しています。
Q. 解答例は模範解答ですか?
いいえ。解答例が公表されていないため、TMPSが作った「一例」です。小論文に唯一の正解はなく、問三は立場の異なる2本を並べています。大学の採点基準は公開されていないので、「採点の見立て」もTMPSの考えです。
Q. そっくり類題セットとは何ですか?
3日分と同じ形式(本文+問一・問二・問三、問三は800字以内)で、題材と本文を新しく作ったTMPSオリジナルの問題です。問題と原稿用紙のPDF(10ページ)を無料で配布し、解答例と解説はこのページに載せています。
Q. 解答用紙の形式(原稿用紙かどうか)は分かりますか?
過去問集からは解答用紙の形が分かりませんでした。この冊子の原稿用紙はTMPSの練習用です。実際の形式は、大学の発表や手元の資料で確認してください。
Q. 解説に誤りを見つけたらどうすればいいですか?
公式LINEからお知らせください。確認のうえ修正し、更新日を記載します。
問題等で誤りを発見された場合、修正しますので、TMPS医学館までLINEを下さい。
受験生・指導者の皆様からのご指摘を真摯に受け止め、最も信頼できる過去問解説・類題ライブラリーとして随時アップデートいたします。
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