TMPS医学館 完全解説 2024年1月21日実施(一般選抜 1日目)

獨協医科大学 医学部 生物(2024年度1日目)全問題・超図解解説

TMPS医学館 TOP › 最先端医学部受験ジャーナル › 私立医大31校・生物超解説ライブラリー › 獨協医科大学(2024年度1日目)
📚 31大学の生物過去問一覧へ
理系担当 Sora先生
赤本キラー!途中式・図解100%網羅 Sora先生 ✕ ニックニ先生 徹底解説

「これより〜となる」の省略はゼロ!獨協医科大学(2024年度1日目)生物をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系担当Sora先生です。市販の過去問集(赤本など)で途中の式変形や思考プロセスが1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、獨協医科大学(2024年度1日目)の生物について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と解法プロセスをすべて公開しています!

🩺 獨協医大・生物(1日目)攻略の全体戦略

獨協医科大学の生物は、基礎〜標準レベルの正確な知識と、その場で条件を整理して計算・論理推論する問題がバランスよく出題されます。特に計算問題(ATP合成量とグリコーゲン消費量、選択的スプライシングの確率など)は、焦ると単位や条件を見落としやすいのが特徴です。Sora先生とニックニ先生と一緒に、1ステップも省略せずに完全マスターしていきましょう!

📊 出題データ(収録範囲)
試験時間:理科2科目 120分
解答形式:全問マークシート方式
大問1:呼吸と発酵・筋収縮
大問2:遺伝情報の発現
大問3(問1・2):植物の花芽形成

⚡ 解答一覧(スピードチェック)

自己採点・復習用

大問 1(呼吸と発酵) 解答番号 1〜8

問1 1⑦
問2 2①
問3 3⑦
問4 4④
問5 5②
問6 6⑥
問7 7③ (60g)
問8 8⑥

大問 2(遺伝情報の発現) 解答番号 1〜7

問1 1②
問2 2①
問3 3③ (12種)
問4 4① (4.8%)
問5 5②
問6(1)6④
問6(2) 7②

大問 3(植物の環境応答 A) 解答番号 1〜2

問1 1(中性植物)⑤
問2 2(フロリゲン)⑦
※に含まれるすべての問題を完全網羅しています。

大問 1 呼吸と発酵・筋収縮のエネルギー代謝

目標解答時間:18分
Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

大問1は「呼吸・発酵」と「筋肉の解糖(グリコーゲン分解)」の融合問題です!
前半(A)はクエン酸回路の炭素数やツンベルク管(メチレンブルー)の定番問題ですが、合否を分ける最大の山場は後半(B)の問7(グリコーゲン消費量の計算)です!「グルコースから始まる解糖(差し引き2ATP)」と「グリコーゲンから始まる解糖(差し引き3ATP!)」の違いをリード文から正確に読み取れたかどうかが勝負の分かれ目ですよ!

📖 リード文 A の要旨と「呼吸の3ステップ」超図解

呼吸は解糖系(細胞質基質)、クエン酸回路(ミトコンドリアのマトリックス)、電子伝達系(ミトコンドリアの内膜)の3過程からなる。グルコース1分子あたり、解糖系で2ATP、クエン酸回路で2ATP、電子伝達系で最大34ATP(合計最大38ATP)が合成される。

1. 解糖系(細胞質基質) 2. クエン酸回路(マトリックス[ア]) 3. 電子伝達系(内膜[イ]) グルコース (C6) +2 ATP +2 NADH ピルビン酸 2分子 (C3) アセチルCoA (C2) クエン酸 (C6) α-ケトグルタル酸(C5) コハク酸 (C4) フマル酸(C4) オキサロ酢酸(C4) 酵素X(-2H) 10 NADH + 2 FADH₂ + 6 O₂ → 12 H₂O H⁺勾配 → ATP合成酵素 最大 34 ATP [ウ]
【大問1 問1】解答番号 1

文中の ア 〜 ウ にあてはまる語句の組合せとして最も適当なものはどれか。次の①〜⑧のうちから一つ選びなさい。

Step 1空欄[ア](クエン酸回路の場所):ミトコンドリアの内部空間であるマトリックスで行われます。(※ストロマは葉緑体でカルビン・ベンソン回路が行われる場所なので注意!)

Step 2空欄[イ](電子伝達系の場所):ミトコンドリアの内膜(クリステ)に存在するタンパク質複合体で行われます。

Step 3空欄[ウ](電子伝達系でのATP生成数):グルコース1分子あたり、解糖系で2分子、クエン酸回路で2分子、そして電子伝達系では最大で 34 分子のATPが生成されます(呼吸全体で合計最大 $2 + 2 + 34 = 38$ 分子)。文脈は「電子伝達系は…ATP合成酵素によって、最大で[ウ]分子のATPが生成される」なので 34 です。

よって、ア=マトリックス、イ=内膜、ウ=34 の組合せである ⑦ が正解です。

【大問1 問2】解答番号 2

下線部a(呼吸や発酵)に関して、呼吸、乳酸発酵、アルコール発酵の共通点や相違点についての記述として最も適当なものはどれか。次の①〜⑥のうちから一つ選びなさい。ただし、呼吸から生成されるATPの量は最大であるとする。

全選択肢の徹底検証

  • ① 正しい:グルコース1分子から合成されるATPは、呼吸では最大38分子、発酵(乳酸発酵・アルコール発酵)では2分子(解糖系のみ)です。したがって、逆に「1分子のATPを合成するために必要なグルコースの量」は、呼吸では $\dfrac{1}{38}\text{ 分子}$、発酵では $\dfrac{1}{2}\text{ 分子}$ となり、呼吸より発酵の方が大きく(19倍多く)なります。
  • ② 誤り:アルコール発酵でも、解糖系で生じた2分子の $\text{NADH}$ は、アセトアルデヒド(2分子)をエタノール(2分子)に還元する過程ですべて消費されて $\text{NAD}^+$ に戻ります(残らない)。
  • ③ 誤り:アルコール発酵では、ピルビン酸($\text{C}_3$)がアセトアルデヒド($\text{C}_2$)になる過程で二酸化炭素($\text{CO}_2$)が発生します(発生しないのは乳酸発酵)。
  • ④ 誤り:解糖系でも脱水素酵素がはたらいて $\text{NAD}^+$ を $\text{NADH}$ に還元し、その反応と共役してATPを合成します。またピルビン酸を乳酸にする反応も乳酸脱水素酵素(逆反応)が担うため、脱水素酵素を阻害すると呼吸も乳酸発酵も停止します。
  • ⑤ 誤り:アルコール発酵では、ピルビン酸を脱炭酸してアセトアルデヒドにする際に脱炭酸酵素が必須なので、これを阻害するとアルコール発酵も停止します。
  • ⑥ 誤り:乳酸発酵でATPが合成されるのは「グルコースがピルビン酸になる過程(解糖系)」のみであり、ピルビン酸が乳酸になる過程ではATPは合成されません($\text{NADH}$ を $\text{NAD}^+$ に戻すだけの反応)。

したがって、最も適当なものは ① です。

【大問1 問3】解答番号 3

下線部bに関して、次の各物質1分子に含まれる炭素の数の組合せとして最も適当なものはどれか。次の①〜⑧のうちから一つ選びなさい。
対象物質:[オキサロ酢酸 / クエン酸 / $\alpha$-ケトグルタル酸 / コハク酸]

Step 1炭素数(C数)の推移ルール:

オキサロ酢酸(C4)+ アセチルCoA(C2)
➔ クエン酸(C6)
➔($\text{CO}_2$ 離脱)➔ $\alpha$-ケトグルタル酸(C5)
➔($\text{CO}_2$ 離脱)➔ コハク酸(C4)➔ フマル酸(C4)➔ リンゴ酸(C4)➔ オキサロ酢酸(C4)

Step 2したがって、各物質1分子に含まれる炭素数は、

  • オキサロ酢酸 = 4
  • クエン酸 = 6
  • $\alpha$-ケトグルタル酸 = 5
  • コハク酸 = 4

よって、[4, 6, 5, 4]の組合せである ⑦ が正解です。

【大問1 問4】解答番号 4

クエン酸回路においてコハク酸をフマル酸にする反応を触媒する酵素を、酵素Xとする。酵素Xによる反応の有無はメチレンブルーを用いて実験的に確かめることができ、メチレンブルーには酸化型(青色)と還元型(無色)がある。酵素Xならびにメチレンブルーを用いた実験に関する記述として最も適当なものはどれか。次の①〜⑥のうちから一つ選びなさい。

Step 1酵素X(コハク酸脱水素酵素)の反応式:

$\text{コハク酸}(\text{C}_4\text{H}_6\text{O}_4) + \text{FAD} \xrightarrow{\text{コハク酸脱水素酵素(酵素X)}} \text{フマル酸}(\text{C}_4\text{H}_4\text{O}_4) + \text{FADH}_2$

つまり、1分子のコハク酸から 2つの水素原子($2\text{H}$)が奪われ、1分子の $\text{FAD}$ が還元されて 1分子の $\text{FADH}_2$ が生じます。

Step 2各選択肢の検討:

  • ① 誤り:ATPが生じるのは「$\alpha$-ケトグルタル酸 → コハク酸(正確にはスクシニルCoA → コハク酸)」の過程です。
  • ②・③ 誤り:1分子のコハク酸から生じるのは 1分子の $\text{FADH}_2$ です($\text{NADH}$ でもなく、2分子の $\text{FADH}_2$ でもありません)。
  • ④ 正しい:酵素X(コハク酸脱水素酵素)によって、1分子のコハク酸から2つの水素($2\text{H}$)が奪われます。
  • ⑤ 誤り:ツンベルク管を用いた実験では、還元型メチレンブルー(無色)が空気中の酸素($\text{O}_2$)によって再び酸化されて青色に戻ってしまうのを防ぐため、実験容器から酸素(空気)を除いて(真空にして)おく必要があります(二酸化炭素ではありません)。
  • ⑥ 誤り:酸化型メチレンブルー(青色)がコハク酸から奪われた水素を受け取って還元型メチレンブルー(無色)になるため、色は「青色から無色」へ変化します。

したがって、正解は ④ です。

【大問1 問5】解答番号 5

酸素が得られない状態では、クエン酸回路は停止するが発酵は停止しない。この理由に関する記述A〜Dのうち、正しい記述を過不足なく含むものはどれか。下の①〜⑥のうちから一つ選びなさい。
A:クエン酸回路の進行に必要な酸化型の補酵素が枯渇するため。
B:クエン酸回路の進行には、回路内に直接酸素を取り入れる必要があるため。
C:発酵の反応に必要な酸化型の補酵素は、酸素がなくても生成されるため。
D:発酵の反応過程で酸素が発生し、この酸素によって発酵の進行に必要な補酵素が供給されるため。

Step 1なぜ酸素がないとクエン酸回路が止まるのか?(A・Bの判定)

クエン酸回路自体の化学反応には酸素($\text{O}_2$)は直接使われません(よってBは誤り)。しかし、酸素がないと電子伝達系が停止し、$\text{NADH}$ や $\text{FADH}_2$(還元型の補酵素)を酸化して $\text{NAD}^+$ や $\text{FAD}$(酸化型の補酵素)に戻すことができなくなります。その結果、クエン酸回路を回すのに必要な酸化型の補酵素($\text{NAD}^+, \text{FAD}$)が枯渇してクエン酸回路が停止します(よってAは正しい)。

Step 2なぜ発酵は酸素がなくても止まらないのか?(C・Dの判定)

発酵では、ピルビン酸(またはアセトアルデヒド)に $\text{NADH}$ の水素を渡して乳酸(またはエタノール)に還元することで、酸素を使わずに酸化型の補酵素($\text{NAD}^+$)を再生できます(よってCは正しい)。発酵で酸素が発生することはありません(よってDは誤り)。

以上より、正しい記述は A, C なので、正解は ② です。

📖 リード文 B の要旨と「解糖系とグリコーゲン分解」の決定的な違い!

① グルコースからの解糖(差し引き 2 ATP)
  1. グルコース $\xrightarrow{\mathbf{-1\text{ ATP}}}$ グルコース6-リン酸
  2. $\rightarrow$ フルクトース6-リン酸 $\xrightarrow{\mathbf{-1\text{ ATP}}}$ フルクトース1,6-ビスリン酸
  3. $\rightarrow$ [エ]グリセルアルデヒド3-リン酸(2分子)
  4. $\rightarrow$ [オ]1,3-ビスホスホグリセリン酸(2分子)
  5. $\xrightarrow{\mathbf{+4\text{ ATP}}}$ ピルビン酸(2分子)
収支:$-2\text{ ATP} + 4\text{ ATP} =$ 差し引き $2\text{ ATP}$ 生成
② グリコーゲンからの解糖(差し引き 3 ATP!)
  1. グリコーゲン $\xrightarrow{\text{無機リン酸(}\mathbf{\text{ATP消費なし!}}\text{)}}$ グルコース6-リン酸
  2. $\rightarrow$ フルクトース6-リン酸 $\xrightarrow{\mathbf{-1\text{ ATP}}}$ フルクトース1,6-ビスリン酸
  3. $\rightarrow$ グリセルアルデヒド3-リン酸(2分子)
  4. $\rightarrow$ 1,3-ビスホスホグリセリン酸(2分子)
  5. $\xrightarrow{\mathbf{+4\text{ ATP}}}$ ピルビン酸(2分子)
収支:$-1\text{ ATP} + 4\text{ ATP} =$ 差し引き $3\text{ ATP}$ 生成!
【大問1 問6】解答番号 6

文中の エ 〜 カ にあてはまる語句の組合せとして最も適当なものはどれか。次の①〜⑧のうちから一つ選びなさい。

Step 1空欄[エ]・[オ](解糖系の中間体):

炭素6個のフルクトース1,6-ビスリン酸(リン酸基が2個ついた$\text{C}_6$化合物)は、半分に割れて炭素3個のグリセルアルデヒド3-リン酸[エ](リン酸基が1個ついた$\text{C}_3$化合物、2分子)になります。その後、無機リン酸を取り込みながら脱水素反応($\text{NAD}^+ \rightarrow \text{NADH}$)を受けて、リン酸基を2個もつ1,3-ビスホスホグリセリン酸[オ]になります。(※「ビス(bis)」は「2つの」という意味です!1個開裂してモノリン酸[エ]になり、再びリン酸がついてビスホスホ[オ]になる、と覚えると絶対に逆になりません!)

Step 2空欄[カ](筋肉の高エネルギーリン酸化合物):

動物の筋組織に多量に貯蔵され、ADPからATPを素早く再合成できる高エネルギー物質はクレアチンリン酸[カ]です(クレアチンキナーゼの働きで $\text{クレアチンリン酸} + \text{ADP} \rightarrow \text{クレアチン} + \text{ATP}$ となります)。

よって、エ=グリセルアルデヒド3-リン酸、オ=1,3-ビスホスホグリセリン酸、カ=クレアチンリン酸 の組合せである ⑥ が正解です。

【大問1 問7】解答番号 7

下線部cに関して、グリコーゲンは $(\text{C}_6\text{H}_{10}\text{O}_5)_n$ で表される、$\text{C}_6\text{H}_{10}\text{O}_5$ が多数連なった多糖類である。グリコーゲンを解糖ですべて消費すると仮定するとき、差し引き $1\text{ mol}$ のATPを生成するのに必要なグリコーゲンの量として最も適当なものはどれか。次の①〜⑥のうちから一つ選びなさい。ただし、原子量は $\text{H}=1, \text{C}=12, \text{O}=16$ とし、$1\text{ g}$ のグリコーゲンと $1\text{ g}$ のグルコースでは、生成されるグルコース-6リン酸の分子数は等しいものとする。

Step 1問題文のただし書き条件を数式化する:

グルコース($\text{C}_6\text{H}_{12}\text{O}_6$)の分子量は、

$12 \times 6 + 1 \times 12 + 16 \times 6 = 72 + 12 + 96 = 180\text{ g/mol}$

よって、グルコース $180\text{ g}$($= 1\text{ mol}$)からは、グルコース-6リン酸が $1\text{ mol}$ 生成されます。
ここで問題文の条件「$1\text{ g}$ のグリコーゲンと $1\text{ g}$ のグルコースでは、生成されるグルコース-6リン酸の分子数は等しい」より、グルコース-6リン酸を $1\text{ mol}$ 生成するのに必要なグリコーゲンの質量も、グルコースと同じく $180\text{ g}$ となります!

Step 2グルコース-6リン酸 $1\text{ mol}$ から解糖で生成されるATPの差し引きモル数:

リード文Bの第3段落に「グリコーゲンが分解される過程では、ATPを消費することなくグルコース-6リン酸が生成される」と書かれています。
通常のグルコースからの解糖では最初に2段階(計 $2\text{ mol}$)のATPを消費しますが、グリコーゲンからグルコース-6リン酸になる段階ではATPを消費しないため、消費するのは「フルクトース6-リン酸 → フルクトース1,6-ビスリン酸」の $1\text{ mol}$ のATPのみです。
その後、ピルビン酸になる過程で $4\text{ mol}$ のATPが合成されるため、グルコース-6リン酸 $1\text{ mol}$(=グリコーゲン $180\text{ g}$)あたり、解糖で生成される差し引きのATP量は、

$4\text{ mol} - 1\text{ mol} = \mathbf{3\text{ mol}}\text{ の ATP}$

Step 3差し引き $1\text{ mol}$ のATPを生成するのに必要なグリコーゲン量を求める:

$3\text{ mol}$ のATPを生成するのに $180\text{ g}$ のグリコーゲンが必要なので、$1\text{ mol}$ のATPを生成するのに必要なグリコーゲンの量は、

$\dfrac{180\text{ g}}{3\text{ mol}} \times 1\text{ mol} = \mathbf{60\text{ g}}$

したがって、正解は ③ (60) です。

【大問1 問8】解答番号 8

動物から筋組織を摘出し、組織中のクレアチンおよびクレアチンリン酸を取り除いた。その後、次の記述A〜Cのいずれかの処理を行い、呼吸または解糖によってATPが合成されるかどうかをしらべた。ATPが合成された処理を過不足なく含むものはどれか。下の①〜⑧のうちから一つ選びなさい。なお、記述A〜Cの処理によって呼吸または解糖のある過程を阻害したとき、それ以降の過程も瞬時に停止するものとする。
A:酸素を含む状態で、解糖系のみを完全に阻害した。
B:酸素を含む状態で、クエン酸回路のみを完全に阻害した。
C:酸素を完全に除いた。

処理A〜Cの判定(「それ以降の過程も瞬時に停止する」という条件に注目!)

  • 処理A(ATPは合成されない):最初の過程である解糖系を完全に阻害すると、解糖系でATPが合成されないだけでなく、問題文の「それ以降の過程(クエン酸回路・電子伝達系)も瞬時に停止する」という条件により、すべての過程が停止するため、ATPは一切合成されません。
  • 処理B(ATPが合成される!):クエン酸回路を阻害すると、クエン酸回路とそれ以降の電子伝達系は停止しますが、その前段階である解糖系(解糖)は停止せずに進行し、ATPが合成されます。
  • 処理C(ATPが合成される!):酸素を完全に除くと、電子伝達系とクエン酸回路は停止しますが、筋組織では酸素がなくても解糖(乳酸発酵と同じ代謝)が進行し、ATPが合成されます。

よって、ATPが合成された処理は B, C であり、正解は ⑥ です。

大問 2 遺伝情報の発現(転写・翻訳・選択的スプライシング・オペロン)

目標解答時間:18分
Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

大問2は分子生物学の王道フルコースです!
とくに注意したいのが問2(DNA配列からの翻訳アミノ酸数の決定)と問3・問4(選択的スプライシングの組み合わせと確率)です。問2では「終止コドンはアミノ酸を指定しない(数に入れない)」こと、問3では「エキソンCが表1で60%になっている=残らない場合(40%)がある!」という隠れ条件を見抜けるかどうかが100点への鍵になります!

【大問2 問1】解答番号 1

下線部a(遺伝情報の発現)に関して、真核生物の遺伝情報の発現に関する記述として最も適当なものはどれか。次の①〜⑥のうちから一つ選びなさい。

全選択肢の徹底検証

  • ① 誤り:真核生物において、mRNA前駆体がスプライシングを受ける場所は細胞質ではなく核内です。
  • ② 正しい:真核生物の成熟mRNAの $5'$ 末端にはキャップ構造、$3'$ 末端にはポリA鎖(ポリA尾部)が付加されており、mRNAの分解を防いで寿命を調節しています。細胞質で時間が経ち、ポリA鎖がある程度短縮(分解)されると、$5'$ 末端のキャップが除去され、mRNAは急速に分解されます。
  • ③ 誤り:真核生物では、DNAの複製だけでなくRNAへの転写も核内で行われます(細胞質基質・リボソームで行われるのは翻訳です)。
  • ④ 誤り:DNAヘリカーゼはDNAの二重らせん(水素結合)をほどく酵素であり、ヒストンとDNAの結合(クロマチン繊維)を緩めるのはヒストンのアセチル化などの働きです。また、クロマチン繊維をほどいて行われるのは複製や転写であり、翻訳ではありません。
  • ⑤ 誤り:プロモーター(やオペレーター)から転写抑制因子(リプレッサー)が外れることで転写が進む場合を「負の調節」、転写活性化因子が結合することで転写が促進される場合を「正の調節」といいます。
  • ⑥ 誤り:プロモーターに基本転写因子とRNAポリメラーゼが結合して転写開始複合体を形成します。「調節タンパク質とRNAポリメラーゼからなる基本転写因子」という記述は誤りです。

したがって、最も適当なものは ② です。

【大問2 問2】解答番号 2

次の図1はあるペプチドを指定するDNA領域を示している。この領域には開始コドンと終止コドンが含まれ、転写産物はスプライシングを受けずに翻訳され、完成したペプチドとなる。a・b鎖のうち翻訳の際に鋳型となるヌクレオチド鎖と、合成されたペプチドを構成するアミノ酸の数の組合せとして最も適当なものはどれか。下の①〜⑥のうちから一つ選びなさい。ただし、開始コドンはAUG、終止コドンはUAA、UAG、UGAである。
a鎖 3'-ATGCCCGATGTACAAATTCGAGAGCTTAGGATACATCAACTGCTTGGGC-5'
b鎖 5'-TACGGGCTACATGTTTAAGCTCTCGAATCCTATGTAGTTGACGAACCCG-3'

Step 1転写・翻訳の方向性の鉄則を確認!

RNAポリメラーゼは、鋳型DNA鎖を $3' \rightarrow 5'$ の向きに読み取りながら、mRNAを $5' \rightarrow 3'$ の向きに合成します。そしてリボソームは、mRNAを $5' \rightarrow 3'$ の向きに読んで翻訳します。
つまり、mRNAの塩基配列($5' \rightarrow 3'$)は、非鋳型鎖(センス鎖)の $5' \rightarrow 3'$ のTをUに変えたものと一致します!

Step 2a鎖とb鎖のそれぞれが鋳型鎖だった場合のmRNA($5' \rightarrow 3'$)を作る:

【ケース1:a鎖($3'\rightarrow 5'$)が鋳型鎖の場合】(b鎖のTをUに変えて左から読む)
mRNA: 5'-UACGGGCUACAUG UUU AAG CUC UCG AAU CCU AUG UAGUUGACGAACCCG-3'
【ケース2:b鎖($5'\rightarrow 3'$)が鋳型鎖の場合】(a鎖を右の $3'$ 側から相補的に読む=a鎖を右から左へT→Uにして読む)
a鎖を右($5'$)から左($3'$)へ:5'-CGGGTTCGTCAACTACATAGGATTCGAGAGCTTAAACATGTAGCCCGTA-3'
mRNA: 5'-CGGGUUCGUCAACUACAUAGGAUUCGAGAGCUUAAACAUG UAGCCCGUA-3'
(※AUGの直後がいきなり終止コドンUAGになり、アミノ酸1個になってしまうため選択肢に該当なし)

Step 3ケース1(鋳型鎖=a鎖)のコドンを1つずつ区切って数える:

ケース1のmRNA(b鎖のT→U)を左($5'$側)から探すと、11〜13番目に開始コドン AUG が見つかります!そこから3塩基(コドン)ずつ区切ると、

5'-UACGGGCUAC ① AUG (開始) ② UUU ③ AAG ④ CUC ⑤ UCG ⑥ AAU ⑦ CCU ⑧ AUG UAG (終止・翻訳終了) UUGACGAACCCG-3'

終止コドン(UAG)に対応するアミノ酸はないため、合成されるペプチドを構成するアミノ酸の数は ①〜⑧ の 8個 です!

よって、鋳型鎖=a鎖、アミノ酸数=8 の組合せである ① が正解です。

📊 リード文 B(図2・表1)の選択的スプライシング条件整理

エキソン A
100% 残る
(1通り)
エキソン B / b
B: 80% / b: 20%
どちらか一方(2通り)
エキソン C
残る: 60%
残らない: 40%(2通り)
エキソン D / d
D:50% / d:40% / Dd:10%
Dのみ・dのみ・両方(3通り)
エキソン E
100% 残る
(1通り)
【大問2 問3】解答番号 3

このmRNA前駆体から選択的スプライシングによって生成されるmRNAの種類の数は最大でいくつか。次の①〜⑥のうちから一つ選びなさい。

Step 1各領域の選び方が何通りあるかを掛け合わせます(積の法則):

  • エキソンA:100%残るので 1通り
  • エキソンB・b:Bが残る(80%)か、bが残る(20%)かの 2通り
  • エキソンC:Cが残る(60%)か、Cが除去されて残らない(40%)かの 2通り
  • エキソンD・d:Dのみ残る(50%)、dのみ残る(40%)、Dとdの両方が残る(10%)の 3通り(合計 $50+40+10=100\%$ なので「両方残らない」はありません)
  • エキソンE:100%残るので 1通り

Step 2したがって、生成されるmRNAの種類数は最大で、

$1 \times 2 \times 2 \times 3 \times 1 = \mathbf{12\text{ 種類}}$

よって、正解は ③ (12) です。

【大問2 問4】解答番号 4

このmRNA前駆体から選択的スプライシングによって、エキソンABCDdEからなるmRNAが生じる確率(%)として最も適当なものはどれか。次の①〜⑥のうちから一つ選びなさい。

Step 1「エキソンABCDdE」となるための各エキソンの選択確率を表1から抜き出します:

  • エキソン A が残る確率:$100\% = 1.0$
  • エキソン B が残る確率:$80\% = 0.8$
  • エキソン C が残る確率:$60\% = 0.6$
  • エキソン Dとdが両方 残る確率:$10\% = 0.1$
  • エキソン E が残る確率:$100\% = 1.0$

Step 2すべての事象が同時に起こる確率を計算します:

$1.0 \times 0.8 \times 0.6 \times 0.1 \times 1.0 = 0.048 = \mathbf{4.8\%}$

よって、正解は ① (4.8) です。

【大問2 問5】解答番号 5

下線部bに関して、原核生物の遺伝情報の発現に関する記述として最も適当なものはどれか。次の①〜⑤のうちから一つ選びなさい。

  • ① 誤り:タンパク質合成(翻訳)の場として働くのはリボソームです(RNAポリメラーゼは転写を行う酵素です)。
  • ② 正しい:原核生物には核膜がなく、遺伝子にふつうイントロンが存在しない(スプライシングの必要がない)ため、転写が完了する前にmRNAの $5'$ 末端側にリボソームが結合して翻訳がはじまります。
  • ③ 誤り:転写はプロモーターから一方向(鋳型鎖を $3' \rightarrow 5'$ へ読む方向)にのみ進みます(両方向へ進むのはDNAの複製です)。
  • ④ 誤り:原核生物の翻訳でも開始コドン(AUGなど)は必要です。
  • ⑤ 誤り:1つのオペロンには、1組のプロモーターとオペレーターの下流に複数の構造遺伝子が並んで存在し、1本のmRNAとしてまとめて転写されます。

したがって、正解は ② です。

🧬 ラクトースオペロンの仕組みと大腸菌の二段階増殖(図3)

ラクトースオペロンのON/OFF制御 プロモーター[ウ] オペレーター[ア] 構造遺伝子(β-ガラクトシダーゼ[オ]等) ・条件3(ラクトース無):リプレッサー[イ]がオペレーター[ア]に結合 → 転写抑制 ・条件4(グルコース無・ラクトース有):アロラクトースがリプレッサー[イ]に結合 → [イ]が外れ、RNAポリメラーゼがプロモーター[ウ]から転写開始! 条件2(Glu+, Lac+)の増殖曲線 培養時間 大腸菌数 区間I [エ]グルコース消費 区間II [オ]発現開始 区間III [カ]ラクトース消費
【大問2 問6(1)】解答番号 6

文中の ア 〜 ウ にあてはまる語句の組合せとして最も適当なものはどれか。次の①〜⑧のうちから一つ選びなさい。

・条件3(グルコース有・ラクトース無)の場合、DNA上のオペレーター[ア]に調節タンパク質であるリプレッサー[イ]が結合し、オペロンの発現は抑制されています。
・条件4(グルコース無・ラクトース有)では、ラクトースの代謝産物(アロラクトース)がリプレッサー[イ]に結合して立体構造を変化させるため、リプレッサー[イ]はオペレーター[ア]に結合できなくなり、RNAポリメラーゼがプロモーター[ウ]に結合して転写抑制が解除されます。

よって、ア=オペレーター、イ=リプレッサー、ウ=プロモーター の組合せである ④ が正解です。

【大問2 問6(2)】解答番号 7

文中の エ 〜 カ にあてはまる語句の組合せとして最も適当なものはどれか。次の①〜⑧のうちから一つ選びなさい。

大腸菌を条件2(グルコース有・ラクトース有)で培養すると、次のように二段階の増殖(ジアウキシー)を示します:

  • 区間I:培地中にグルコースが存在する間は、タンパク質X(cAMP受容体タンパク質:CRP/CAP)が不活性なためラクトースオペロンは発現せず、大腸菌は栄養源として主にグルコース[エ]のみを消費して増殖します。
  • 区間II:グルコースが使い果たされると増殖が一時停止し、ラクトースを分解する酵素である$\beta$-ガラクトシダーゼ[オ](ラクトースオペロンの構造遺伝子産物)の発現がはじまります。
  • 区間III:合成された $\beta$-ガラクトシダーゼによって、残っているラクトース[カ]を栄養源として消費しながら再び増殖します(※このときグルコースはすでに枯渇しているので「グルコースとラクトース」ではなく「ラクトース」のみです)。

よって、エ=グルコース、オ=$\beta$-ガラクトシダーゼ、カ=ラクトース の組合せである ② が正解です。

大問 3 植物の環境応答 A(光周性と花芽形成)

74ページ収録分(問1・問2)
Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

大問3のパートAは「植物の光周性(短日植物・長日植物・中性植物の具体例)」と「花成ホルモン(フロリゲン)の合成部位・移動経路」です!
医学部入試では植物生理が手薄になりがちですが、ここを秒殺できれば大きなアドバンテージになります。中性植物の代表例語呂合わせと、フロリゲンが「葉」で作られて「師管」を通る理由をここで完璧に整理しておきましょう!

【大問3 問1】解答番号 1

中性植物の例として最も適当なものはどれか。次の①〜⑥のうちから一つ選びなさい。
① アブラナ、エンドウ ② アブラナ、サツマイモ ③ アブラナ、トウモロコシ
④ エンドウ、サツマイモ ⑤ エンドウ、トウモロコシ ⑥ サツマイモ、トウモロコシ

Step 1入試頻出!光周性による植物の分類まとめ表:

☀️ 長日植物(春〜初夏咲き)

アブラナ、ホウレンソウ、コムギ、ダイコン、アヤメ、カーネーション

🌙 短日植物(秋咲き)

サツマイモ、アサガオ、キク、ダイズ、イネ、コスモス、オナモミ

🌿 中性植物(日長に無関係)

エンドウ、トウモロコシ、トマト、タンポポ、ヒマワリ、キュウリ、ソバ

Step 2選択肢に登場する4種の植物を分類すると、

  • アブラナ:長日植物
  • サツマイモ:短日植物
  • エンドウ、トウモロコシ:中性植物(覚え方:「ヒ(ヒマワリ)タ(タンポポ)ソ(ソバ)キ(キュウリ)」)

したがって、中性植物の組合せとして最も適当なものは ⑤(エンドウ、トウモロコシ) です。

【大問3 問2】解答番号 2

文中の ア 〜 ウ にあてはまる語句の組合せとして最も適当なものはどれか。次の①〜⑧のうちから一つ選びなさい。
「日長は葉で感知される。日長を感知すると ア と呼ばれる植物ホルモンが イ で合成され ウ を通って茎頂分裂組織に移動し、花芽の分化を促進する。」

Step 1空欄[ア](花芽形成を促進する植物ホルモン):

花芽の分化(花成)を促進する植物ホルモン(タンパク質であるFTタンパク質やHd3aタンパク質)はフロリゲン[ア]と呼ばれます。

Step 2空欄[イ](フロリゲンの合成場所):

光周性(日長・連続暗期の長さ)は葉にある光受容体(フィトクロムなど)で感知され、そのまま葉[イ](の維管束伴細胞)でフロリゲンが合成されます。

Step 3空欄[ウ](フロリゲンの移動経路):

葉で合成されたフロリゲンは、光合成産物(スクロースなど)の転流と同じく師管[ウ]を通って茎頂(頂芽)の分裂組織へと移動し、花芽の形成を誘導します(※道管は根から吸収した水や無機塩類が上昇する管です)。

よって、ア=フロリゲン、イ=葉、ウ=師管 の組合せである ⑦ が正解です。

Sora先生
🎓 ニックニ先生&Sora先生からの総括アドバイス

「リード文の条件」×「基礎知識の正確な運用」で獨協医大は突破できる!

お疲れ様でした!大問1の問7(グリコーゲン180gから3molのATPが生じる計算)や、大問2の問3・問4(選択的スプライシングの表の読み取り)のように、獨協医科大学の生物では「知っている知識に、問題文固有のルールを掛け合わせる問題」が毎年出題されます。今回間違えた問題や迷った選択肢は、解説のStepをもう一度たどって自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。あなたの医学部合格を心から応援しています!

Sora先生
Sora先生 ✕ ニックニ先生からのメッセージ

過去問演習で時間を溶かしていませんか?
合格の鍵は「全科目の時間配分(バランス調整)」にあります。

私立医学部の入試は、1科目だけできても受かりません。「計算に時間をかけすぎて他科目が崩れる」「推薦対策と一般入試の両立で手が止まっている」——そんな悩みを、TMPS医学館のニックニ先生と一緒に50分で整理しませんか?

【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(獨協医科大学 2024年度1日目 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。