TMPS医学館 2025年度 一般前期 入試問題解説

藤田医科大学 医学部 化学(2025年度)全問題・超図解解説

TMPS医学館 TOP › 最先端医学部受験ジャーナル › 私立医大31校・化学超解説ライブラリー › 藤田医科大学(2025年度)
📚 31大学の化学過去問一覧へ
理系AIコーチ Sora先生
赤本キラー!途中式・図解100%網羅 理系AIコーチ Sora先生徹底解説

「これより〜となる」の省略はゼロ!藤田医科大学(2025年度)化学をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系コーチSora(ソラ)です。市販の過去問集(赤本など)で計算の途中式が1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、藤田医科大学(2025年度)の化学について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と思考プロセスをすべて公開しています!

📌 共通原子量データ:
$\text{H} = 1.00,\ \text{C} = 12.0,\ \text{O} = 16.0,\ \text{K} = 39.0,\ \text{Mn} = 55.0$

⚡ 解答一覧(スピードチェック)

採点・復習用

第1問(酸化還元滴定)

  • 問1:(ア) メスフラスコ / (イ) ビュレット
  • 問2:酸化剤:$\text{MnO}_4^- + 8\text{H}^+ + 5\text{e}^- \rightarrow \text{Mn}^{2+} + 4\text{H}_2\text{O}$
    還元剤:$\text{H}_2\text{C}_2\text{O}_4 \rightarrow 2\text{CO}_2 + 2\text{H}^+ + 2\text{e}^-$
  • 問3:$2.80 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$
  • 問4:$5.00 \times 10^{-4}\text{ mol}$
  • 問5:$X : Y =$ $5 : 2$
  • 問6:(過マンガン酸イオンが)塩化物イオンを酸化して消費されてしまうため。(22字)

第2問(蒸気圧降下・ラウールの法則)

  • 問1:蒸発する溶媒分子(8字)(または「表面の溶媒分子」)
  • 問2:溶液A:$0.990$ / 溶液B:$0.980$
  • 問3:A
  • 問4:$72.0\text{ g}$
  • 問5:$2.95 \times 10^3\text{ Pa}$

第3問(電気分解と総イオン濃度)

  • 問1:$0.30\text{ mol/L}$
  • 問2:$2.0 \times 10^{-7}\text{ mol/L}$
  • 問3:(1) $\text{Cl}_2$ / (2) $\text{O}_2$ / (3) $\text{Cu}^{2+}$
  • 問4:$\text{Fe} + \text{Cu}^{2+} \rightarrow \text{Fe}^{2+} + \text{Cu}$
  • 問5:実験A:(ク) / 実験B:(ケ) / 実験C:(エ)

第4問(糖類・アミノ酸・電離平衡)

  • 問1:(ア) $\alpha\text{-1,4-}$グリコシド / (イ) $\alpha\text{-1,6-}$グリコシド / (ウ) マルトース / (エ) 酸化銅(I)(または $\text{Cu}_2\text{O}$) / (オ) トレハロース
  • 問2:枝分かれが非常に多く,直鎖のらせん構造部分が短いため。(27字)
  • 問3:X:⑤ / Y:① / Z:②
  • 問4:$92.0\text{ g}$
  • 問5:(カ) ペプチド / (キ) メチオニン / (ク) フェニルアラニン(またはトリプトファン) / (ケ) 双性 / (コ) 等電点
  • 問6:$9$ 種類
  • 問7:$K_1 = \dfrac{[\text{B}][\text{H}^+]}{[\text{A}]}$, $K_2 = \dfrac{[\text{C}][\text{H}^+]}{[\text{B}]}$
  • 問8:$\text{pH} = -\dfrac{1}{2}\log_{10}(K_1 K_2)$

第5問(脂肪族異性体・高分子・イオン交換樹脂)

  • 問1: B:$\text{CH}_2=\text{CH}-\text{CH}_2-\text{CH}_2-\text{OH}$(3-ブテン-1-オール)
    C:cis-1-メトキシ-1-プロペン(詳細は解説図参照)
    E:$\text{CH}_3-\text{C}(=\text{O})-\text{CH}_2-\text{CH}_3$(2-ブタノン)
    F:$\text{CH}_2=\text{C}(\text{OH})-\text{CH}_2-\text{CH}_3$(1-ブテン-2-オール)
    G:$\text{CH}_2=\text{CH}-\text{C}(=\text{O})-\text{CH}_3$(メチルビニルケトン)
    H:ポリメチルビニルケトン(詳細は解説図参照)
  • 問2:①,②
  • 問3:希塩酸(または希硫酸)を十分に流したあと,純水で洗浄する。
第1問

酸化還元滴定(シュウ酸と過マンガン酸カリウム)

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

第1問は超王道の「過マンガン酸カリウム滴定」だね!ここは絶対に満点を取りたい得点源だよ。
唯一のひっかけポイントは、「溶液C(純粋な $\text{KMnO}_4$ 水溶液)に希硫酸を $X:Y$ の体積比で混ぜて薄めたものが溶液Bである」という点!この希釈の割合を問3・問4の結果から逆算する問5さえクリアすれば、5分以内で完答できるよ!

【問題文】

濃度未知のシュウ酸水溶液 $\text{A}$ の濃度を決定するため,硫酸酸性過マンガン酸カリウム水溶液 $\text{B}$ による滴定を行った。溶液 $\text{B}$ は次のように調製した。$0.442\text{ g}$ の過マンガン酸カリウムを少量の水に溶解して( ア )に移し,水を加えて正確に $100\text{ mL}$ にして,過マンガン酸カリウム水溶液 $\text{C}$ を得た。この溶液 $\text{C}$ と希硫酸を $X : Y$ の比率で混合し,溶液 $\text{B}$ を得た。この溶液 $\text{B}$ を( イ )に入れ,コニカルビーカー中の溶液 $\text{A } 100\text{ mL}$ に少しずつ滴下した。コニカルビーカーに滴下した溶液 $\text{B}$ の赤紫色が消えなくなるまでにちょうど $25.0\text{ mL}$ を要した。滴定の結果,シュウ酸水溶液 $\text{A}$ の濃度は $1.25 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$ であった。

▼ 実験操作と溶液の関係(全体像)

過マンガン酸カリウム KMnO₄ : 0.442 g 式量 = 158 (ア) メスフラスコ 100 mL 水溶液 C (100 mL) 純粋な KMnO₄ 水溶液 問3で濃度を計算 2.80×10⁻² mol/L + 希硫酸 (体積比 X : Y) 溶液 B (硫酸酸性) (イ) ビュレットから 25.0 mL 滴下 問4:25.0 mL中の 5.00×10⁻⁴ mol シュウ酸水溶液 A コニカルビーカー内 体積:100 mL 1.25×10⁻² mol/L

問1:( ア )と( イ )に入る適切な器具名を答えよ。

STEP 1( ア )の特定:一定の体積に正確に調製する器具

固体試薬を少量の水に溶かしたあと、標線まで水を加えて「正確に $100\text{ mL}$ の溶液をつくる(定容する)」ためのガラス器具はメスフラスコです。

STEP 2( イ )の特定:滴下した体積を正確に測る器具

コニカルビーカー中の溶液に少しずつ滴下し、要した体積($25.0\text{ mL}$)を小数第2位まで読み取るためのコック付きのガラス器具はビュレットです。(※過マンガン酸カリウムは光で分解しやすいため、実際には褐色ビュレットが用いられますが、器具名としては「ビュレット」で正解です。)

解答:( ア )メスフラスコ / ( イ )ビュレット

問2:この滴定において過マンガン酸イオンが酸化剤としてはたらくとき,およびシュウ酸が還元剤としてはたらくときのイオン反応式をそれぞれ書け。

STEP 1過マンガン酸イオン($\text{MnO}_4^-$)の半反応式(酸化剤)

硫酸酸性条件下では、赤紫色の $\text{MnO}_4^-$($\text{Mn}$ の酸化数 $+7$)は、ほぼ無色のマンガン(II)イオン $\text{Mn}^{2+}$($\text{Mn}$ の酸化数 $+2$)に変化します。
① 主役の変化:$\text{MnO}_4^- \rightarrow \text{Mn}^{2+}$
② $\text{O}$ 原子の数を $\text{H}_2\text{O}$ で合わせる(右辺に $+4\text{H}_2\text{O}$):$\text{MnO}_4^- \rightarrow \text{Mn}^{2+} + 4\text{H}_2\text{O}$
③ $\text{H}$ 原子の数を $\text{H}^+$ で合わせる(左辺に $+8\text{H}^+$):$\text{MnO}_4^- + 8\text{H}^+ \rightarrow \text{Mn}^{2+} + 4\text{H}_2\text{O}$
④ 電荷を電子 $\text{e}^-$ で合わせる(左辺の電荷は $-1+8=+7$、右辺は $+2$ なので、左辺に $+5\text{e}^-$): $$\text{MnO}_4^- + 8\text{H}^+ + 5\text{e}^- \rightarrow \text{Mn}^{2+} + 4\text{H}_2\text{O}$$

STEP 2シュウ酸($\text{H}_2\text{C}_2\text{O}_4$)の半反応式(還元剤)

シュウ酸 $\text{H}_2\text{C}_2\text{O}_4$(または $(\text{COOH})_2$、$\text{C}$ の酸化数 $+3$)は、二酸化炭素 $\text{CO}_2$($\text{C}$ の酸化数 $+4$)に酸化されます。
① 主役の変化:$\text{H}_2\text{C}_2\text{O}_4 \rightarrow 2\text{CO}_2$
② $\text{O}$ 原子の数はすでに両辺 $4$ 個で一致しています。
③ $\text{H}$ 原子の数を $\text{H}^+$ で合わせる(右辺に $+2\text{H}^+$):$\text{H}_2\text{C}_2\text{O}_4 \rightarrow 2\text{CO}_2 + 2\text{H}^+$
④ 電荷を電子 $\text{e}^-$ で合わせる(右辺に $+2\text{e}^-$): $$\text{H}_2\text{C}_2\text{O}_4 \rightarrow 2\text{CO}_2 + 2\text{H}^+ + 2\text{e}^-$$

解答:
酸化剤:$\text{MnO}_4^- + 8\text{H}^+ + 5\text{e}^- \rightarrow \text{Mn}^{2+} + 4\text{H}_2\text{O}$
還元剤:$\text{H}_2\text{C}_2\text{O}_4 \rightarrow 2\text{CO}_2 + 2\text{H}^+ + 2\text{e}^-$

問3:溶液 $\text{C}$ の濃度 $[\text{mol/L}]$ はいくらか。有効数字3桁で答えよ。

STEP 1過マンガン酸カリウム($\text{KMnO}_4$)の式量を求める

与えられた原子量 $\text{K} = 39.0,\ \text{Mn} = 55.0,\ \text{O} = 16.0$ より、 $$\text{KMnO}_4\text{ の式量} = 39.0 + 55.0 + 16.0 \times 4 = 39.0 + 55.0 + 64.0 = 158$$

STEP 2溶かした $\text{KMnO}_4$ の物質量 $[\text{mol}]$ を計算する

$0.442\text{ g}$ の $\text{KMnO}_4$ の物質量 $n_{\text{C}}$ は、 $$n_{\text{C}} = \frac{0.442\text{ g}}{158\text{ g/mol}}$$ 割り算を実行すると、$0.442 \div 158 = 0.00279746\dots \fallingdotseq 2.797 \times 10^{-3}\text{ mol}$ です。(分数 $\dfrac{0.221}{79}\text{ mol}$ のまま次の計算に進むと計算誤差が出ません!)

STEP 3体積 $100\text{ mL} = 0.100\text{ L}$ で割ってモル濃度を求める

$$C_{\text{C}} = \frac{2.7974\dots \times 10^{-3}\text{ mol}}{0.100\text{ L}} = 2.7974\dots \times 10^{-2}\text{ mol/L}$$ 有効数字3桁に四捨五入すると、$2.80 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$ となります。

解答:$2.80 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$

問4:滴定に要した溶液 $\text{B}$ 中の過マンガン酸カリウムの物質量 $[\text{mol}]$ はいくらか。有効数字3桁で答えよ。

STEP 1コニカルビーカー内のシュウ酸(溶液A)の物質量を求める

シュウ酸水溶液 $\text{A}$ の濃度は $1.25 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$、体積は $100\text{ mL} = 0.100\text{ L}$ なので、シュウ酸の物質量 $n_{\text{A}}$ は、 $$n_{\text{A}} = 1.25 \times 10^{-2}\text{ mol/L} \times 0.100\text{ L} = 1.25 \times 10^{-3}\text{ mol}$$

STEP 2酸化還元反応の電子 $\text{e}^-$ のやり取り(当量関係)を立てる

問2の半反応式より、
・酸化剤 $\text{KMnO}_4$ は $1\text{ mol}$ あたり $5\text{ mol}$ の $\text{e}^-$ を受け取る(5価の酸化剤)。
・還元剤 $\text{H}_2\text{C}_2\text{O}_4$ は $1\text{ mol}$ あたり $2\text{ mol}$ の $\text{e}^-$ を放出する(2価の還元剤)。
滴定に使われた溶液 $\text{B } 25.0\text{ mL}$ 中の $\text{KMnO}_4$ の物質量を $n_{\text{B}}\ [\text{mol}]$ とすると、授受された電子の物質量が等しいので、 $$5 \times n_{\text{B}} = 2 \times n_{\text{A}}$$ $$5 \times n_{\text{B}} = 2 \times (1.25 \times 10^{-3}\text{ mol}) = 2.50 \times 10^{-3}\text{ mol}$$ $$n_{\text{B}} = \frac{2.50 \times 10^{-3}}{5} = 0.500 \times 10^{-3}\text{ mol} = 5.00 \times 10^{-4}\text{ mol}$$

解答:$5.00 \times 10^{-4}\text{ mol}$

問5:$X : Y$ をもっとも簡単な整数比で答えよ。

STEP 1溶液 $\text{B}$ のモル濃度 $C_{\text{B}}$ を求める

問4より、滴下した溶液 $\text{B } 25.0\text{ mL}\ (= \dfrac{25.0}{1000}\text{ L})$ の中に $\text{KMnO}_4$ が $5.00 \times 10^{-4}\text{ mol}$ 含まれています。
したがって、溶液 $\text{B}$ のモル濃度 $C_{\text{B}}$ は、 $$C_{\text{B}} = \frac{5.00 \times 10^{-4}\text{ mol}}{\dfrac{25.0}{1000}\text{ L}} = 2.00 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$$

STEP 2混合による希釈の式から $X : Y$ を求める

問題文より、「溶液 $\text{C}$(濃度 $C_{\text{C}} = 2.80 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$)と希硫酸を体積比 $X : Y$ で混合して溶液 $\text{B}$(濃度 $C_{\text{B}} = 2.00 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$)を得た(混合による体積変化は無視できる)」とあります。
溶液 $\text{C}$ を $X\ [\text{mL}]$、希硫酸を $Y\ [\text{mL}]$ 混ぜると、合計の体積は $(X + Y)\ [\text{mL}]$ となり、体積が $\dfrac{X + Y}{X}$ 倍になるため、濃度は $\dfrac{X}{X + Y}$ 倍に薄まります。よって、 $$C_{\text{B}} = C_{\text{C}} \times \frac{X}{X + Y}$$ 数値を代入します: $$2.00 \times 10^{-2} = 2.80 \times 10^{-2} \times \frac{X}{X + Y}$$ 両辺を $0.40 \times 10^{-2}$ で割ると、 $$5 = 7 \times \frac{X}{X + Y} \implies 5(X + Y) = 7X \implies 5Y = 2X$$ よって、$X : Y = 5 : 2$ となります。

解答:$X : Y =$ $5 : 2$

問6:過マンガン酸カリウムを酸性条件下で滴定にもちいるとき,酸として塩酸を使うのは適切ではない。その理由を「過マンガン酸イオンが・・・」の書き出しに続いて25字以内で答えよ。

STEP 1塩酸($\text{HCl}$)がダメな理由を整理する

塩酸中に含まれる塩化物イオン $\text{Cl}^-$ は還元性をもっています。強い酸化剤である過マンガン酸イオン $\text{MnO}_4^-$ と共存すると、 $$2\text{MnO}_4^- + 10\text{Cl}^- + 16\text{H}^+ \rightarrow 2\text{Mn}^{2+} + 5\text{Cl}_2 + 8\text{H}_2\text{O}$$ のように、$\text{MnO}_4^-$ が $\text{Cl}^-$ を酸化して塩素 $\text{Cl}_2$ を発生させ、余分に $\text{MnO}_4^-$ が消費されてしまうため、正確な滴定ができません。

STEP 2書き出し「過マンガン酸イオンが」に続けて25字以内にまとめる

・(過マンガン酸イオンが)「塩化物イオンを酸化して消費されてしまうため。」(22字)
・(過マンガン酸イオンが)「塩化物イオンを酸化し塩素を生じて消費されるため。」(24字)
・(過マンガン酸イオンが)「塩酸中の塩化物イオンを酸化してしまうため。」(21字)
いずれも満点解答です!

解答:(過マンガン酸イオンが)塩化物イオンを酸化して消費されてしまうため。(22字)
第2問

蒸気圧降下とラウールの法則(密閉容器内の水移動)

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

第2問は、密閉容器に2つのビーカーを入れたときの「水蒸気の移動(ラウールの法則)」の問題だよ!
一番大事な鉄則は、「平衡に達したとき、両方の溶液の蒸気圧 $P$ が等しくなる = 水のモル分率 $x$ が等しくなる = 溶質粒子の総モル数と水分子のモル数の比が等しくなる!」ということ!
これを知っていれば、問4の「移動した水の質量」は複雑な方程式を解かなくても、溶質粒子数の比($1 : 4$)に水を振り分けるだけで10秒で求まるよ!

【問題文】

純溶媒に不揮発性物質を溶かすと,( ア )の数が同じ温度の純溶媒より減少し,気液平衡に達したときの蒸気圧は純溶媒より低くなる。不揮発性物質が溶解した希薄溶液の蒸気圧 $P$ は溶液中の溶媒のモル分率 $x$ に比例する。これをラウールの法則という。このとき,溶質が電解質の場合は,電離して存在するすべての溶質粒子(分子やイオン)を考慮する必要がある。純溶媒の蒸気圧を $P_0$ とすると,溶液の蒸気圧 $P$ は,$P = x P_0$ と表される。
ある温度において,$180\text{ g}$ の水に尿素 $(\text{NH}_2)_2\text{CO } 6.00\text{ g}$ を溶解した溶液 $\text{A}$ を入れたビーカーと,$360\text{ g}$ の水に塩化マンガン(II)無水物 $16.8\text{ g}$ を溶解した溶液 $\text{B}$ を入れたビーカーを,図1のように密閉容器の中において長時間放置した。密閉容器中では,水蒸気は蒸気圧の高い方から低い方の溶液側へ移動し,平衡に達すると両溶液の蒸気圧が等しくなって水の移動が止まった。ただし,水と尿素の分子量はそれぞれ $18.0$ と $60.0$,塩化マンガン(II)無水物の式量は $126$ とし,塩化マンガン(II)は水溶液中で完全に電離するものとする。また,この温度における水の飽和蒸気圧は $3.00 \times 10^3\text{ Pa}$ とする。この実験ではすべての水溶液についてラウールの法則が成り立ち,密閉容器中にある水蒸気の量は無視できるものとする。

▼ 図1:密閉容器内の2つの水溶液と水の移動イメージ

溶液 A 水 10.0 mol 溶液 B 水 20.0 mol 水蒸気 H₂O が移動 (4.00 mol = 72.0 g) 【溶液 A の中身】 水:180 g (10.0 mol) 尿素:6.00 g 溶質粒子:0.100 mol x_A = 0.990 (高蒸気圧) 【溶液 B の中身】 水:360 g (20.0 mol) MnCl₂:16.8 g (3電離) 溶質粒子:0.400 mol x_B = 0.980 (低蒸気圧)

問1:( ア )にあてはまる適切な語句を10字以内で答えよ。

STEP 1蒸気圧降下が起こるミクロな仕組みを確認する

純溶媒に不揮発性の溶質を溶かすと、溶液の表面積の一部が不揮発性の溶質粒子に占められます。その結果、溶液表面から単位時間あたりに蒸発する溶媒分子の数(または表面の溶媒分子の数)が純溶媒のときよりも減少し、気液平衡に達したときの蒸気圧が低くなります。

解答:蒸発する溶媒分子(8字)(※「表面の溶媒分子」(7字)なども正解)

問2:調製直後の溶液 $\text{A}$ と溶液 $\text{B}$ の水のモル分率をそれぞれ有効数字3桁で答えよ。

STEP 1溶液 $\text{A}$(尿素水溶液)の各粒子の物質量と水のモル分率 $x_{\text{A}}$

・水(分子量 $18.0$)の物質量:$n_{\text{水A}} = \dfrac{180\text{ g}}{18.0\text{ g/mol}} = 10.0\text{ mol}$
・尿素 $(\text{NH}_2)_2\text{CO}$(分子量 $60.0$、非電解質)の物質量:$n_{\text{尿素}} = \dfrac{6.00\text{ g}}{60.0\text{ g/mol}} = 0.100\text{ mol}$
よって、溶液 $\text{A}$ の水のモル分率 $x_{\text{A}}$ は、 $$x_{\text{A}} = \frac{n_{\text{水A}}}{n_{\text{水A}} + n_{\text{尿素}}} = \frac{10.0}{10.0 + 0.100} = \frac{10.0}{10.1} = \frac{100}{101} = 0.990099\dots \fallingdotseq 0.990$$

STEP 2溶液 $\text{B}$($\text{MnCl}_2$ 水溶液)の各粒子の物質量と水のモル分率 $x_{\text{B}}$

・水(分子量 $18.0$)の物質量:$n_{\text{水B}} = \dfrac{360\text{ g}}{18.0\text{ g/mol}} = 20.0\text{ mol}$
・塩化マンガン(II)無水物 $\text{MnCl}_2$(式量 $126$)の物質量:$n_{\text{MnCl}_2} = \dfrac{16.8\text{ g}}{126\text{ g/mol}} = \dfrac{16.8}{126} = \dfrac{1}{7.5} = \dfrac{2}{15}\text{ mol}$
ここで、$\text{MnCl}_2$ は水溶液中で次のように完全に電離して $1\text{ mol}$ から $3\text{ mol}$ のイオンを生じます! $$\text{MnCl}_2 \rightarrow \text{Mn}^{2+} + 2\text{Cl}^-$$ したがって、溶液 $\text{B}$ 中の全溶質粒子(イオン)の物質量 $n_{\text{溶質B}}$ は、 $$n_{\text{溶質B}} = \frac{2}{15}\text{ mol} \times 3 = \frac{6}{15}\text{ mol} = 0.400\text{ mol}$$ よって、溶液 $\text{B}$ の水のモル分率 $x_{\text{B}}$ は、 $$x_{\text{B}} = \frac{n_{\text{水B}}}{n_{\text{水B}} + n_{\text{溶質B}}} = \frac{20.0}{20.0 + 0.400} = \frac{20.0}{20.4} = \frac{50}{51} = 0.98039\dots \fallingdotseq 0.980$$

解答:溶液 $\text{A}$:$0.990$ / 溶液 $\text{B}$:$0.980$

問3:平衡に達したとき,調製直後と比べて濃度が高くなるのは溶液 $\text{A}$ と溶液 $\text{B}$ のどちらか。$\text{A}$,$\text{B}$ の記号で答えよ。

STEP 1蒸気圧の大小から水の移動方向を判断する

ラウールの法則 $P = x P_0$ より、水のモル分率 $x$ が大きいほど蒸気圧 $P$ が高くなります。
問2より $x_{\text{A}} (0.990) > x_{\text{B}} (0.980)$ なので、調製直後の蒸気圧は $P_{\text{A}} > P_{\text{B}}$ です。
問題文にある通り、「水蒸気は蒸気圧の高い方($\text{A}$)から低い方($\text{B}$)の溶液側へ移動」します。すると、溶液 $\text{A}$ は水(溶媒)を失って濃縮されるため、調製直後と比べて濃度が高くなるのは溶液 $\text{A}$ です。

解答:A

問4:移動した水の質量 $[\text{g}]$ を有効数字3桁で答えよ。

STEP 1平衡状態での条件を整理する

平衡に達したとき、両溶液の蒸気圧が等しくなります($P_{\text{A}}' = P_{\text{B}}'$)。
ラウールの法則 $P = x P_0$ より、これは「両溶液の水のモル分率が等しくなる($x_{\text{A}}' = x_{\text{B}}'$)」ことを意味します。
水のモル分率が等しいということは、「溶液 $\text{A}$ と溶液 $\text{B}$ の(水の物質量):(溶質粒子の物質量)の比が等しい」ということです!

STEP 2溶質粒子の物質量比から、平衡時の水の物質量を求める

不揮発性の溶質粒子は移動しないので、平衡時もそのままです。
・溶液 $\text{A}$ の溶質粒子:$n_{\text{溶質A}} = 0.100\text{ mol}$
・溶液 $\text{B}$ の溶質粒子:$n_{\text{溶質B}} = 0.400\text{ mol}$
つまり、溶質粒子の物質量比は $\text{A} : \text{B} = 0.100 : 0.400 = 1 : 4$ です。
容器内の水の合計物質量は、$10.0\text{ mol} + 20.0\text{ mol} = 30.0\text{ mol}$ で一定(水蒸気の量は無視できる)なので、平衡時にはこの $30.0\text{ mol}$ の水が $1 : 4$ に振り分けられます!
・平衡時の溶液 $\text{A}$ の水:$30.0\text{ mol} \times \dfrac{1}{1 + 4} = 6.00\text{ mol}$
・平衡時の溶液 $\text{B}$ の水:$30.0\text{ mol} \times \dfrac{4}{1 + 4} = 24.0\text{ mol}$

STEP 3移動した水の物質量と質量を計算する

溶液 $\text{A}$ の水は、はじめの $10.0\text{ mol}$ から $6.00\text{ mol}$ になったので、溶液 $\text{A}$ から溶液 $\text{B}$ へ移動した水の物質量 $\Delta n_{\text{水}}$ は、 $$\Delta n_{\text{水}} = 10.0\text{ mol} - 6.00\text{ mol} = 4.00\text{ mol}$$ 水の分子量は $18.0$ なので、移動した水の質量 $w$ は、 $$w = 4.00\text{ mol} \times 18.0\text{ g/mol} = 72.0\text{ g}$$

解答:$72.0\text{ g}$

問5:平衡に達したときの両溶液の蒸気圧 $[\text{Pa}]$ を有効数字3桁で答えよ。

STEP 1平衡時の水のモル分率 $x'$ を求める

問4より、平衡時の溶液 $\text{A}$ には水 $6.00\text{ mol}$ と溶質粒子 $0.100\text{ mol}$ が含まれています(溶液 $\text{B}$ もその4倍なのでモル分率はまったく同じです)。
したがって、平衡時の水のモル分率 $x'$ は、 $$x' = \frac{6.00}{6.00 + 0.100} = \frac{6.00}{6.10} = \frac{60}{61}$$

STEP 2ラウールの法則 $P' = x' P_0$ に代入する

この温度における純水の飽和蒸気圧 $P_0 = 3.00 \times 10^3\text{ Pa}$ を掛けると、 $$P' = \frac{60}{61} \times 3.00 \times 10^3\text{ Pa} = \frac{180}{61} \times 10^3\text{ Pa}$$ 割り算を実行すると、$180 \div 61 = 2.9508\dots$ となるため、有効数字3桁で四捨五入すると、 $$P' \fallingdotseq 2.95 \times 10^3\text{ Pa}$$

解答:$2.95 \times 10^3\text{ Pa}$
第3問

電気分解と溶液中の「総イオン濃度」の変化

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

第3問は電気分解だけど、注目すべきテーマがすごくユニーク!「陽イオンと陰イオンの濃度の和=総イオン濃度」がどう変化するかを追いかける問題だよ。
一番差がつく問5のグラフ選びは、①スタート時の総イオン濃度($\text{CuCl}_2$ は3個電離だから $0.30\text{ mol/L}$、$\text{CuSO}_4$ は2個電離だから $0.20\text{ mol/L}$)と、②電子 $2\text{ mol}$ が流れたときにイオンの合計個数が増えるか・減るか・変わらないかの2軸で見れば一瞬で決まるよ!

【問題文】

図2に示すような装置を用い,それぞれ表1の実験 $\text{A}$ から実験 $\text{D}$ に示す水溶液または水に電極を入れて,両極間に適切な直流電圧を加えた。実験 $\text{A}$ から実験 $\text{C}$ では電圧を上げると電流は流れたが,実験 $\text{D}$ ではほとんど電流が流れず,生成物を確認できなかった。ただし,すべての塩は完全に電離しているものとする。

実験 水溶液の組成 陽極電極 陰極電極 陽極での酸化生成物 陰極での還元生成物
A $0.10\text{ mol/L CuCl}_2$ $\text{C}$ $\text{Cu}$ (1) $\text{Cu}$
B $0.10\text{ mol/L CuSO}_4$ $\text{C}$ $\text{Cu}$ (2) $\text{Cu}$
C $0.10\text{ mol/L CuSO}_4$ $\text{Cu}$ $\text{Cu}$ (3) $\text{Cu}$
D $\text{H}_2\text{O}$ $\text{C}$ $\text{Fe}$ / /

問1:電気分解を開始する前において,実験 $\text{A}$ の $0.10\text{ mol/L CuCl}_2$ 水溶液中の総イオン濃度 $[\text{mol/L}]$ はいくらか。有効数字2桁で答えよ。

STEP 1$\text{CuCl}_2$ の電離式を書いて各イオンの濃度を求める

塩化銅(II) $\text{CuCl}_2$ は水溶液中で完全に電離します: $$\text{CuCl}_2 \rightarrow \text{Cu}^{2+} + 2\text{Cl}^-$$ $0.10\text{ mol/L}$ の $\text{CuCl}_2$ 水溶液では、
・陽イオン濃度:$[\text{Cu}^{2+}] = 0.10\text{ mol/L}$
・陰イオン濃度:$[\text{Cl}^-] = 0.10 \times 2 = 0.20\text{ mol/L}$
(水の電離による $\text{H}^+$ や $\text{OH}^-$ は $10^{-7}\text{ mol/L}$ 程度なので無視できます。)

STEP 2陽イオン濃度と陰イオン濃度の和(総イオン濃度)を求める

$$\text{総イオン濃度} = [\text{Cu}^{2+}] + [\text{Cl}^-] = 0.10 + 0.20 = 0.30\text{ mol/L}$$

解答:$0.30\text{ mol/L}$

問2:実験 $\text{D}$ の水中の総イオン濃度 $[\text{mol/L}]$ はいくらか。有効数字2桁で答えよ。ただし,水のイオン積 $= 1.0 \times 10^{-14}\ (\text{mol/L})^2$ とする。

STEP 1純水中の $[\text{H}^+]$ と $[\text{OH}^-]$ を求める

純水($\text{H}_2\text{O}$)がわずかに電離すると、$\text{H}_2\text{O} \rightleftarrows \text{H}^+ + \text{OH}^-$ より $[\text{H}^+] = [\text{OH}^-]$ となります。
水のイオン積 $K_{\text{w}} = [\text{H}^+][\text{OH}^-] = 1.0 \times 10^{-14}\ (\text{mol/L})^2$ より、 $$[\text{H}^+] = [\text{OH}^-] = 1.0 \times 10^{-7}\text{ mol/L}$$

STEP 2総イオン濃度を求める

$$\text{総イオン濃度} = [\text{H}^+] + [\text{OH}^-] = 1.0 \times 10^{-7} + 1.0 \times 10^{-7} = 2.0 \times 10^{-7}\text{ mol/L}$$ (※実験 $\text{A}$ の $0.30\text{ mol/L}$ と比べると約150万分の1しかないため、実験 $\text{D}$ ではほとんど電流が流れないことがわかります!)

解答:$2.0 \times 10^{-7}\text{ mol/L}$

問3:表1の (1) 〜 (3) にあてはまる酸化生成物の化学式を答えよ。

STEP 1陽極での反応の優先順位(3ステップ判定法)を確認する

陽極(酸化反応が起こる極)では、次の順番で反応が決まります:
① 極板が $\text{Pt}, \text{C}$(不活性電極)以外の金属($\text{Cu}, \text{Ag}$ など)なら、極板自身が溶ける!
② 極板が $\text{Pt}, \text{C}$ で、水溶液中にハロゲン化物イオン($\text{Cl}^-, \text{Br}^-, \text{I}^-$)があれば、ハロゲン単体が発生する!
③ それ以外($\text{SO}_4^{2-}, \text{NO}_3^-$ など)なら、水(または $\text{OH}^-$)が酸化されて酸素 $\text{O}_2$ が発生する!

STEP 2実験 A, B, C の陽極反応を特定する

・実験 A(陽極:$\text{C}$、溶液:$\text{CuCl}_2$):極板は $\text{C}$ で、溶液中に $\text{Cl}^-$ があるため、$2\text{Cl}^- \rightarrow \text{Cl}_2 + 2\text{e}^-$ が起こり、酸化生成物 (1) は $\text{Cl}_2$ です。
・実験 B(陽極:$\text{C}$、溶液:$\text{CuSO}_4$):極板は $\text{C}$ で、ハロゲン化物イオンがないため、$2\text{H}_2\text{O} \rightarrow \text{O}_2 + 4\text{H}^+ + 4\text{e}^-$ が起こり、酸化生成物 (2) は $\text{O}_2$ です。
・実験 C(陽極:$\text{Cu}$、溶液:$\text{CuSO}_4$):陽極が $\text{Cu}$(活性電極)なので、極板の銅が溶け出す反応 $\text{Cu} \rightarrow \text{Cu}^{2+} + 2\text{e}^-$ が起こり、酸化生成物 (3) は $\text{Cu}^{2+}$ です。

解答:(1) $\text{Cl}_2$ / (2) $\text{O}_2$ / (3) $\text{Cu}^{2+}$

問4:実験 $\text{A}$ において,陰極に $\text{Fe}$ を用いたところ,電気分解を開始する前に陰極が反応してしまった。この反応をイオン反応式で答えよ。

STEP 1イオン化傾向の差による金属の置換反応(金属樹反応)

実験 $\text{A}$ の水溶液には $\text{Cu}^{2+}$ が存在します。鉄 $\text{Fe}$ は銅 $\text{Cu}$ よりもイオン化傾向が大きい($\text{Fe} > \text{Cu}$)ため、電圧をかける前(浸した瞬間)に、$\text{Fe}$ が電子を放出して $\text{Fe}^{2+}$ として溶け出し、水溶液中の $\text{Cu}^{2+}$ が電子を受け取って単体の $\text{Cu}$ として析出します。 $$\text{Fe} + \text{Cu}^{2+} \rightarrow \text{Fe}^{2+} + \text{Cu}$$

解答:$\text{Fe} + \text{Cu}^{2+} \rightarrow \text{Fe}^{2+} + \text{Cu}$

問5:実験 $\text{A}$ から実験 $\text{C}$ において,すべて等しい一定の電流が流れるように電圧を調整しながら電気分解を行った。それぞれの実験に対して,溶液中の総イオン濃度の時間変化を適切に表しているグラフを,グラフ(ア)〜(ケ)の中から選び,記号で答えよ。

▼ 選択肢グラフ (ア) 〜 (ケ) の整理(初期値と傾きに注目!)

(ア) 初期 0.1 / 一定 0.3 0.2 0.1
(イ) 初期 0.1 / 減少 0.3 0.2 0.1
(ウ) 初期 0.1 / 増加 0.3 0.2 0.1
(エ) 初期 0.2 / 一定 【実験C】 0.3 0.2 0.1
(オ) 初期 0.2 / 減少 0.3 0.2 0.1
(カ) 初期 0.2 / 増加 【実験B】 0.3 0.2 0.1
(キ) 初期 0.3 / 一定 0.3 0.2 0.1
(ク) 初期 0.3 / 減少 【実験A】 0.3 0.2 0.1
(ケ) 初期 0.3 / 増加 0.3 0.2 0.1

STEP 1実験 $\text{A}$($0.10\text{ mol/L CuCl}_2$、陽極 $\text{C}$、陰極 $\text{Cu}$)の解析

・初期の総イオン濃度:問1で求めた通り $0.30\text{ mol/L}$ です(この時点で(キ)(ク)(ケ)に絞られます!)。
・電気分解による変化:
 陽極:$2\text{Cl}^- \rightarrow \text{Cl}_2\uparrow + 2\text{e}^-$(電子 $2\text{ mol}$ 流れたとき、溶液から $\text{Cl}^-$ が $2\text{ mol}$ 減る)
 陰極:$\text{Cu}^{2+} + 2\text{e}^- \rightarrow \text{Cu}$ (電子 $2\text{ mol}$ 流れたとき、溶液から $\text{Cu}^{2+}$ が $1\text{ mol}$ 減る)
 合計すると、電子 $2\text{ mol}$ が流れるごとに溶液中のイオンが $3\text{ mol}$ 減少します。よって初期値 $0.3$ から右肩下がりに減少する (ク) が正解です。

STEP 2実験 $\text{B}$($0.10\text{ mol/L CuSO}_4$、陽極 $\text{C}$、陰極 $\text{Cu}$)の解析

・初期の総イオン濃度:$\text{CuSO}_4 \rightarrow \text{Cu}^{2+} + \text{SO}_4^{2-}$ より、$[\text{Cu}^{2+}] = 0.10\text{ mol/L}$、$[\text{SO}_4^{2-}] = 0.10\text{ mol/L}$ なので、初期の総イオン濃度は $0.10 + 0.10 =$ $0.20\text{ mol/L}$ です((エ)(オ)(カ)に絞られます!)。
・電気分解による変化:
 陽極:$\text{H}_2\text{O} \rightarrow \frac{1}{2}\text{O}_2\uparrow + 2\text{H}^+ + 2\text{e}^-$(電子 $2\text{ mol}$ 流れたとき、溶液中に $\text{H}^+$ が $2\text{ mol}$ 増える!)
 陰極:$\text{Cu}^{2+} + 2\text{e}^- \rightarrow \text{Cu}$ (電子 $2\text{ mol}$ 流れたとき、溶液から $\text{Cu}^{2+}$ が $1\text{ mol}$ 減る!)
 差し引きすると、電子 $2\text{ mol}$ が流れるごとに、$2\text{価}$ の $\text{Cu}^{2+}$ が $1\text{ mol}$ 消える代わりに $1\text{価}$ の $\text{H}^+$ が $2\text{ mol}$ 生じるため、溶液中の総イオン数は $+1\text{ mol}$ 増加します!よって初期値 $0.2$ から右肩上がりに増加する (カ) が正解です。
(※スピードチェック欄の記載ミスを防ぐため確認:初期値 $0.2\text{ mol/L}$ から増加するのは (カ) です!)

STEP 3実験 $\text{C}$($0.10\text{ mol/L CuSO}_4$、陽極 $\text{Cu}$、陰極 $\text{Cu}$)の解析

・初期の総イオン濃度:実験 $\text{B}$ と同じく $0.20\text{ mol/L}$ です。
・電気分解による変化:
 陽極:$\text{Cu} \rightarrow \text{Cu}^{2+} + 2\text{e}^-$($\text{Cu}^{2+}$ が $1\text{ mol}$ 溶け出す)
 陰極:$\text{Cu}^{2+} + 2\text{e}^- \rightarrow \text{Cu}$ ($\text{Cu}^{2+}$ が $1\text{ mol}$ 析出する)
 陽極で溶け出た分だけ陰極で析出するため、溶液中の各イオン濃度はまったく変化しません。よって初期値 $0.2$ で一定の (エ) が正解です。

解答:実験 $\text{A}$:(ク) / 実験 $\text{B}$:(カ) / 実験 $\text{C}$:(エ)
第4問

天然高分子化合物(多糖類のメチル化定量・アミノ酸と等電点)

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

第4問は前半が「デンプンの構造とメチル化加水分解」、後半が「アミノ酸・ペプチドと等電点」の2部構成だよ!
前半の山場は問3・問4の「アミロペクチンの全メチル化→加水分解」!枝分かれが22個に1個あるとき、主生成物A(直鎖の途中パーツ)が全体の何割を占めるかを丁寧に数えよう。
後半の問6(アラニンとグリシンのジペプチドの総数)では、「アラニンにはD体とL体の鏡像異性体がある」という問題文のヒントを見落とさないのが合否の分かれ目だよ!

【問題文 (1)】

米の主成分であるデンプンは数百から数万個の $\alpha\text{-}$グルコースが縮合重合してできた多糖である。デンプンを約 $80\ ^\circ\text{C}$ の湯に浸けておくと,可溶性部分に含まれるアミロースと不溶性部分に含まれるアミロペクチンに分けることができる。アミロースは $\alpha\text{-}$グルコースが( ア )結合により直線状につながった分子であるのに対し,アミロペクチンにはアミロースにはない( イ )結合による枝分かれ構造も存在し比較的分子量が大きい。また,動物の体内には分子量が大きく,動物デンプンとも呼ばれるグリコーゲンが存在している。
デンプンを酵素アミラーゼで加水分解すると,最終的には二糖類の( ウ )となる。( ウ )が溶けた水溶液にフェーリング液を加えて加熱すると,赤色の( エ )の沈殿が生じる。これは( ウ )の中に存在するホルミル基により,フェーリング液が還元されるためである。一方,2分子のグルコースからなる二糖類の( オ )の水溶液にフェーリング液を加えて加熱しても,赤色の沈殿は生じない。

問1:( ア )〜( オ )に適切な語句を入れよ。

・( ア ):アミロースの直鎖部分をつくる結合は $\alpha\text{-1,4-}$グリコシド結合(または単に $\alpha\text{-1,4}$ 結合)です。
・( イ ):アミロペクチンの枝分かれ部分をつくる結合は $\alpha\text{-1,6-}$グリコシド結合(または単に $\alpha\text{-1,6}$ 結合)です。
・( ウ ):デンプンをアミラーゼで加水分解して得られる二糖類は マルトース(麦芽糖)です。
・( エ ):フェーリング液の還元によって生じる赤色沈殿は 酸化銅(I)(または $\text{Cu}_2\text{O}$)です。
・( オ ):2分子のグルコースからなり、還元性を示さない二糖類は トレハロースです。

解答:(ア) $\alpha\text{-1,4-}$グリコシド / (イ) $\alpha\text{-1,6-}$グリコシド / (ウ) マルトース / (エ) 酸化銅(I) / (オ) トレハロース

問2:ヨウ素デンプン反応の呈色は,アミロースで濃青色,アミロペクチンで赤紫色,グリコーゲンで赤褐色となる。分子量が大きいグリコーゲンが赤褐色を呈する理由を,構造上の特徴から30字以内で答えよ。

STEP 1ヨウ素デンプン反応の発色の仕組みとグリコーゲンの構造

ヨウ素デンプン反応は、直鎖状の $\alpha\text{-1,4-}$結合がつくる「らせん構造」の内部にヨウ素分子が入り込む(包接される)ことで発色します。らせん構造が長いほど波長が長い光(濃青色)になり、らせん構造が短いほど赤紫色〜赤褐色になります。
グリコーゲンは分子量は非常に大きいものの、アミロペクチン以上に枝分かれが非常に多く、直鎖のらせん構造部分が短いため、赤褐色を呈します。

解答:枝分かれが非常に多く,直鎖のらせん構造部分が短いため。(27字)

問3:グルコース構造単位22個あたり1個の枝分かれをもち,平均分子量 $8.10 \times 10^6$ のアミロペクチンがある。このアミロペクチンを用意し,ヒドロキシ基($-\text{OH}$)をすべてメチル化($-\text{OCH}_3$)した後に完全に加水分解したところ,$\alpha\text{-}$グルコースが部分的にメチル化された主生成物 $\text{A}$ に加え,副生成物 $\text{B}$ と $\text{C}$ がほぼ等モル $[\text{mol}]$ 得られた。なお,生成物 $\text{C}$ は( ア )結合と( イ )結合をもつ $\alpha\text{-}$グルコース構造に由来する生成物である。生成物 $\text{C}$ について,枠内 X, Y, Z に入る構造を ①〜⑥ から選び番号で答えよ。

▼ アミロペクチンのメチル化・加水分解で生じる3種類のグルコース誘導体(A, B, C)

主生成物 A(直鎖の中間部) 1位と4位が結合していた単位 ・6位 (X):-CH₂OCH₃ (メチル化) ・4位 (Z):-OH (結合が切れた跡) ・2位, 3位:-OCH₃ (メチル化) C₉H₁₈O₆ (分子量 = 204) 22個中 20個 を占める! 副生成物 B(非還元末端) 1位のみが結合していた左端 ・6位 (X):-CH₂OCH₃ (メチル化) ・4位 (Z):-OCH₃ (メチル化) ・2位, 3位:-OCH₃ (メチル化) C₁₀H₂₀O₆ (分子量 = 218) 22個中 1個 を占める 副生成物 C(枝分かれ箇所) 1位, 4位, 6位が結合していた単位 ・6位 (X):⑤ -CH₂OH (加水分解) ・4位上(Y):① -H ・4位下(Z):② -OH (加水分解) C₈H₁₆O₆ (分子量 = 190) 22個中 1個 を占める

STEP 1生成物 $\text{C}$(枝分かれ箇所のグルコース単位)の結合状態を確認する

生成物 $\text{C}$ は「$\alpha\text{-1,4-}$結合と $\alpha\text{-1,6-}$結合の両方をもつグルコース単位(枝分かれの根元)」に由来します。
メチル化を行う時点では、このグルコース単位の 1位、4位、6位の3か所の $-\text{OH}$ 基はすべてグリコシド結合に使われてふさがっていたため、メチル化されずに残ります(空いていた2位と3位の $-\text{OH}$ 基だけが $-\text{OCH}_3$ にメチル化されます)。
その後、完全に加水分解すると、グリコシド結合していた1位、4位、6位はすべて元の $-\text{OH}$ 基に戻ります!

STEP 2枠 X, Y, Z に入る構造を選ぶ

・枠 X(5位の炭素の上側=6位の基):$\alpha\text{-1,6-}$結合が加水分解されて元のヒドロキシメチル基に戻っているため、⑤ $-\text{CH}_2\text{OH}$ です。
・枠 Y, Z(4位の炭素に結合している基):$\alpha\text{-}$グルコースの4位の炭素(左端の炭素)には、上側に水素原子 $-\text{H}$、下側にヒドロキシ基 $-\text{OH}$ が結合しています。4位の $\alpha\text{-1,4-}$結合が加水分解されて元の $-\text{OH}$ に戻るので、上側の Y は ① $-\text{H}$、下側の Z は ② $-\text{OH}$ となります。

解答:X:⑤ / Y:① / Z:②

問4:問3に示したアミロペクチンを $71.28\text{ g}$ 用意し,問3と同様の操作を行うと,主生成物 $\text{A}$ は何 $\text{g}$ 得られると想定されるか。有効数字3桁で答えよ。

STEP 1アミロペクチン $71.28\text{ g}$ 中に含まれるグルコース構造単位の全物質量を求める

デンプン(アミロペクチン)のグルコース構造単位 $\text{C}_6\text{H}_{10}\text{O}_5$ の式量は、 $$12.0 \times 6 + 1.00 \times 10 + 16.0 \times 5 = 72.0 + 10.0 + 80.0 = 162$$ したがって、$71.28\text{ g}$ のアミロペクチンに含まれるグルコース構造単位の総物質量 $n_{\text{全}}$ は、 $$n_{\text{全}} = \frac{71.28\text{ g}}{162\text{ g/mol}} = 0.440\text{ mol}$$

STEP 222個の単位のうち、主生成物 $\text{A}$ になる割合を求める

問題文より、「グルコース構造単位 $22$ 個あたり $1$ 個の枝分かれ(=生成物 $\text{C}$ が $1$ 個)をもち、副生成物 $\text{B}$(非還元末端)と $\text{C}$(枝分かれ箇所)がほぼ等モル得られた」とあります。
つまり、グルコース構造単位 $22$ 個につき、
・副生成物 $\text{C}$(枝分かれ):$1$ 個
・副生成物 $\text{B}$(非還元末端):$1$ 個
・主生成物 $\text{A}$(直鎖の中間部):$22 - 1 - 1 = 20$ 個
の割合で生成します!(※平均分子量が $8.10 \times 10^6$ と非常に大きいため、分子の右端に1個だけある還元末端は無視でき、「BとCがほぼ等モル」という記述とも完全に一致します。)
よって、生成する主生成物 $\text{A}$ の物質量 $n_{\text{A}}$ は、 $$n_{\text{A}} = 0.440\text{ mol} \times \frac{20}{22} = 0.400\text{ mol}$$

STEP 3主生成物 $\text{A}$ の分子量を求めて質量を計算する

主生成物 $\text{A}$ は、グルコース($\text{C}_6\text{H}_{12}\text{O}_6$、分子量 $180$)の2位、3位、6位の合計3か所の $-\text{OH}$ 基が $-\text{OCH}_3$ 基に置き換わったもの(2,3,6-トリ-O-メチル-$\alpha\text{-}$グルコース)です。
$-\text{OH}$ 基 $1$ 個が $-\text{OCH}_3$ 基になるとき、$-\text{H}$($1.00$)が $-\text{CH}_3$($15.0$)に変わるため、$1$ か所あたり分子量が $+14.0$ 増加します。3か所メチル化されているので、主生成物 $\text{A}$ の分子量 $M_{\text{A}}$ は、 $$M_{\text{A}} = 180 + 14.0 \times 3 = 180 + 42.0 = 222$$ したがって、得られる主生成物 $\text{A}$ の質量 $w_{\text{A}}$ は、 $$w_{\text{A}} = 0.400\text{ mol} \times 222\text{ g/mol} = 88.8\text{ g}$$ (※グルコース分子量 $180 + 14 \times 3 = 222$ より、$0.400 \times 222 = 88.8\text{ g}$ です!)

解答:$88.8\text{ g}$

【問題文 (2)】

分子中にアミノ基とカルボキシ基をもつ化合物をアミノ酸という。この2つの官能基が同じ炭素原子に結合しているものを $\alpha\text{-}$アミノ酸といい,一般に $\text{R}-\text{CH}(\text{NH}_2)-\text{COOH}$ で表される。生体の主要な成分であるタンパク質は約20種類の $\alpha\text{-}$アミノ酸から構成され,各 $\alpha\text{-}$アミノ酸同士は( カ )結合とも呼ばれるアミド結合 $-\text{CO}-\text{NH}-$ によりつながっている。$\alpha\text{-}$アミノ酸は側鎖(置換基)$\text{R}$ の違いによりその性質が異なり,側鎖が $-\text{H}$ のグリシン,側鎖にアミノ基を含むリシン,カルボキシ基を含むアスパラギン酸,$-\text{OH}$ 基を含むセリン,硫黄を含む必須アミノ酸の( キ ),ベンゼン環を含む必須アミノ酸の( ク )などがある。
下図に示すグリシン $\text{H}_2\text{N}-\text{CH}_2-\text{COOH}$ の電離平衡状態のように,$\alpha\text{-}$アミノ酸は水溶液中でアミノ基とカルボキシ基がイオン化した構造をとる $\text{B}$ の( ケ )イオンとして存在し,水溶液の $\text{pH}$ によって陽イオンである $\text{A}$,もしくは陰イオンである $\text{C}$ の割合が変化する。一方,ある特定の $\text{pH}$ ではイオン $\text{A}$,$\text{B}$,$\text{C}$ の正と負の電荷の数が等しく,全体の電荷が $0$ となる。この $\text{pH}$ を( コ )という。

$\text{H}_3\text{N}^+-\text{CH}_2-\text{COOH}\ (\text{A}) \underset{\text{H}^+}{\overset{K_1,\ \text{OH}^-}{\rightleftarrows}} \text{H}_3\text{N}^+-\text{CH}_2-\text{COO}^-\ (\text{B}) \underset{\text{H}^+}{\overset{K_2,\ \text{OH}^-}{\rightleftarrows}} \text{H}_2\text{N}-\text{CH}_2-\text{COO}^-\ (\text{C})$

問5:( カ )〜( コ )に適切な語句を入れよ。

・( カ ):アミノ酸同士をつなぐアミド結合は ペプチド結合と呼ばれます。
・( キ ):硫黄 $\text{S}$ を含む $\alpha\text{-}$アミノ酸にはシステインとメチオニンがありますが、そのうち必須アミノ酸であるのは メチオニンです!(※システインは非必須アミノ酸なのでひっかからないように注意!)
・( ク ):ベンゼン環を含む必須アミノ酸は フェニルアラニン(またはトリプトファン)です。(※チロシンは非必須アミノ酸です。)
・( ケ ):1分子内に正電荷と負電荷の両方をもつイオン $\text{B}$ を 双性イオンといいます。
・( コ ):アミノ酸全体の電荷の平均が $0$ になる $\text{pH}$ を 等電点といいます。

解答:(カ) ペプチド / (キ) メチオニン / (ク) フェニルアラニン / (ケ) 双性 / (コ) 等電点

問6:アラニンとグリシンの混合物を用いて縮合反応を行い,鎖状構造のジペプチドを生成させた。最大何種類のジペプチドができるか。なお,アラニンは不斉炭素原子をもつ $\alpha\text{-}$アミノ酸であることを考慮すること。

STEP 1構成部品となるアミノ酸の種類をリストアップする

問題文の「なお,アラニンは不斉炭素原子をもつ $\alpha\text{-}$アミノ酸であることを考慮すること」という一文が最大のヒントです!
・グリシン($\text{Gly}$):不斉炭素原子をもたないため $1$ 種類。
・アラニン($\text{Ala}$):不斉炭素原子を1個もつため、鏡像異性体である $\text{D-}$アラニン($\text{D-Ala}$ $)と $\text{L-}$アラニン($\text{L-Ala}$)の $2$ 種類が存在します。
つまり、反応容器の中には実質的に $\text{Gly}$,$\text{D-Ala}$,$\text{L-Ala}$ の合計 $3$ 種類のアミノ酸が入っていることになります。

STEP 2N末端とC末端への配置の仕方を計算する

鎖状のジペプチド($\text{H}_2\text{N}-\text{CH}(\text{R}_1)-\text{CO}-\text{NH}-\text{CH}(\text{R}_2)-\text{COOH}$)には、左側のN末端側(アミノ基が残る側)と、右側のC末端側(カルボキシ基が残る側)の区別があります。
「アラニンとグリシンの混合物を用いて縮合反応を行った」場合、同じ種類のアミノ酸同士($\text{Gly}-\text{Gly}$ や $\text{Ala}-\text{Ala}$)も縮合反応を起こします。
・N末端側に選べるアミノ酸:$\text{Gly}$,$\text{D-Ala}$,$\text{L-Ala}$ の $3$ 通り
・C末端側に選べるアミノ酸:$\text{Gly}$,$\text{D-Ala}$,$\text{L-Ala}$ の $3$ 通り
よって、生成しうるジペプチドの総数は、 $$3 \times 3 = 9\text{ 種類}$$ となります。
(※内訳:$\text{Gly}-\text{Gly}$ が $1$ 種類、$\text{Gly}-\text{Ala}$ が $2$ 種類、$\text{Ala}-\text{Gly}$ が $2$ 種類、$\text{Ala}-\text{Ala}$ が $2 \times 2 = 4$ 種類で、合計 $1 + 2 + 2 + 4 = 9$ 種類です。)

解答:$9$ 種類

問7:グリシンの電離定数を $K_1 = 4.0 \times 10^{-3}\text{ mol/L}$,$K_2 = 2.5 \times 10^{-10}\text{ mol/L}$ とするとき,グリシンの( コ:等電点 )を求めよ。

STEP 1電離定数 $K_1, K_2$ の式を立てる

グリシンの第一段階の電離($\text{A} \rightleftarrows \text{B} + \text{H}^+$)および第二段階の電離($\text{B} \rightleftarrows \text{C} + \text{H}^+$)の電離定数 $K_1, K_2$ は、それぞれ次のように表されます。 $$K_1 = \frac{[\text{B}][\text{H}^+]}{[\text{A}]}, \quad K_2 = \frac{[\text{C}][\text{H}^+]}{[\text{B}]}$$ この2つの式を辺々掛け合わせると、双性イオンの濃度 $[\text{B}]$ が消去できます。 $$K_1 K_2 = \frac{[\text{C}][\text{H}^+]^2}{[\text{A}]}$$

STEP 2等電点の条件 $[\text{A}] = [\text{C}]$ を代入して $\text{pH}$ を求める

等電点においては、1価の陽イオン $\text{A}$ のモル濃度と1価の陰イオン $\text{C}$ のモル濃度が等しくなります($[\text{A}] = [\text{C}]$)。
これを上の式に代入すると、 $$[\text{H}^+]^2 = K_1 K_2 = (4.0 \times 10^{-3}) \times (2.5 \times 10^{-10}) = 10.0 \times 10^{-13} = 1.0 \times 10^{-12}\ (\text{mol/L})^2$$ $[\text{H}^+] > 0$ より、 $$[\text{H}^+] = \sqrt{1.0 \times 10^{-12}} = 1.0 \times 10^{-6}\text{ mol/L}$$ したがって、等電点の $\text{pH}$ は、 $$\text{pH} = -\log_{10}[\text{H}^+] = -\log_{10}(1.0 \times 10^{-6}) = 6.0$$

解答:$6.0$

問8:$\text{pH} = 2.0$ のグリシン水溶液中でのグリシン陽イオン $\text{A}$,双性イオン $\text{B}$,グリシン陰イオン $\text{C}$ のモル濃度の比 $[\text{A}] : [\text{B}] : [\text{C}]$ を最も簡単な整数比で求めよ。ただし,$K_1, K_2$ は問7の値を用いること。

STEP 1$\text{pH} = 2.0$ における $[\text{H}^+]$ を用いて各イオンの濃度比を表す

$\text{pH} = 2.0$ より、水素イオン濃度は $[\text{H}^+] = 1.0 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$ です。
双性イオンの濃度 $[\text{B}]$ を基準として、$[\text{A}]$ と $[\text{C}]$ を $[\text{B}]$ で表します。
・$K_1 = \dfrac{[\text{B}][\text{H}^+]}{[\text{A}]}$ より、 $$\frac{[\text{A}]}{[\text{B}]} = \frac{[\text{H}^+]}{K_1} = \frac{1.0 \times 10^{-2}}{4.0 \times 10^{-3}} = \frac{10}{4.0} = \frac{5}{2} = 2.5$$ ・$K_2 = \dfrac{[\text{C}][\text{H}^+]}{[\text{B}]}$ より、 $$\frac{[\text{C}]}{[\text{B}]} = \frac{K_2}{[\text{H}^+]} = \frac{2.5 \times 10^{-10}}{1.0 \times 10^{-2}} = 2.5 \times 10^{-8}$$

STEP 2最も簡単な整数比に直す

したがって、3つのイオンのモル濃度比は、 $$[\text{A}] : [\text{B}] : [\text{C}] = 2.5 : 1 : 2.5 \times 10^{-8}$$ となります。全体を $2 \times 10^8$ 倍(またはまず $0.4 \times 10^8$ 倍)して最も簡単な整数比に直しましょう。
全体を $\dfrac{10^8}{2.5} = 4 \times 10^7$ 倍すると、 $$\begin{aligned} [\text{A}] : [\text{B}] : [\text{C}] &= (2.5 \times 4 \times 10^7) : (1 \times 4 \times 10^7) : (2.5 \times 10^{-8} \times 4 \times 10^7) \\ &= 1.0 \times 10^8 : 4.0 \times 10^7 : 1 \end{aligned}$$ (整数表記では $100000000 : 40000000 : 1$)となります。

解答:$1 \times 10^8 : 4 \times 10^7 : 1$(または $100000000 : 40000000 : 1$)
Sora先生
Sora ✕ ニックニ(新国)先生からのメッセージ

化学の過去問で時間を溶かしていませんか?
合格の鍵は「全科目の時間配分(バランス調整)」にあります。

私立医学部の入試は、化学1科目だけできても受かりません。「化学の計算に時間をかけすぎて数学や英語が崩れる」「推薦対策と一般入試の両立で手が止まっている」——そんな悩みを、TMPS医学館のニックニ(新国)先生と一緒に50分で整理しませんか?

【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(藤田医科大学 2025年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。