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日本医科大学 医学部 化学(2025年度)全問題・超図解解説

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理系AIコーチ Sora先生
赤本キラー!途中式・図解100%網羅 理系AIコーチ Sora先生徹底解説

「これより〜となる」の省略はゼロ!日本医科大学(2025年度)化学をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系コーチSora(ソラ)です。市販の過去問集(赤本など)で計算の途中式が1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、日本医科大学(2025年度)の化学について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と思考プロセスをすべて公開しています!

試験問題 共通条件・定数リスト(前期・2科目120分)

原子量: $\mathrm{H}:1.00,\ \mathrm{C}:12.0,\ \mathrm{N}:14.0,\ \mathrm{O}:16.0,\ \mathrm{F}:19.0,\ \mathrm{Cl}:35.5$
気体定数 $R$: $8.30 \times 10^3\ \mathrm{Pa\cdot L/(K\cdot mol)}$
ファラデー定数 $F$: $9.65 \times 10^4\ \mathrm{C/mol}$
アボガドロ定数 $N_{\mathrm{A}}$: $6.00 \times 10^{23}\ \mathrm{/mol}$
水のイオン積 $K_{\mathrm{w}}$: $1.00 \times 10^{-14}\ (\mathrm{mol/L})^2$
絶対温度: $0\,^\circ\mathrm{C} = 273\ \mathrm{K}$
⚡

最終解答一覧(スピードチェック)

採点・復習用の全大問スピード確認ボックスです。詳しい導出は下の各セクションへ!

大問 [I] 周期表・再結晶・溶液の濃度 解説へ →

  • 問1: ア 第一イオン化エネルギー(イオン化エネルギー) イ 電子親和力 ウ 小さ エ 大き オ $\mathrm{Na}$ カ $\mathrm{F}$ キ $\mathrm{Cl}^-$ ク $\mathrm{Na}^+$
  • 問2(1):温度による溶解度の差を利用して、不純物を含む固体から目的の物質を純粋な結晶として取り出す手法。
  • 問2(2):混合物を $60\,^\circ\mathrm{C}$ の温水に溶かし、溶け残ったCを熱時ろ過で除く。ろ液を $5\,^\circ\mathrm{C}$ に冷却して析出したBの結晶をろ過して取り出す(Aはろ液に残る)。
  • 問3(1):$11.8\ \mathrm{mol/L}$
  • 問3(2):$8.47\ \mathrm{mL}$

大問 [II] アンモニア合成と圧平衡定数 解説へ →

  • 問1: ア ハーバー・ボッシュ イ $\mathrm{Fe_3O_4}$ ウ $92$ エ 放出(発生) オ ルシャトリエ カ $p_{\mathrm{NH_3}}^2$ キ $p_{\mathrm{N_2}} \cdot p_{\mathrm{H_2}}^3$ ク $x_{\mathrm{NH_3}}^2$ ケ $x_{\mathrm{N_2}} \cdot x_{\mathrm{H_2}}^3$ コ $-2$ サ $0.25$ シ $0.75$ ス $1.5$ セ $5.1 \times 10^{-14}\ \mathrm{Pa^{-2}}$ ソ $1.6 \times 10^7$
  • 問2:立ち上がりが急になり、同じ最終体積百分率に早く達する曲線(解説の図参照)。
  • 問3:①温度上昇:平衡が左へ移動し体積百分率が減少&速く到達。②温度低下:平衡が右へ移動し体積百分率が増加&遅く到達(解説の図参照)。

大問 [III] アルコール・エーテルと麻酔薬 解説へ →

  • 問1:1-プロパノールと2-プロパノール(構造式は解説参照)。1-プロパノールの方が沸点が高い(直鎖状で立体障害が小さく、分子間の水素結合やファンデルワールス力が強く働くため)。
  • 問2(A):エチルメチルエーテル $\mathrm{CH_3-O-CH_2-CH_3}$
  • 問3(デスフルラン):$\mathrm{CF_3-\overset{\Large\circ}{C}HF-O-CHF_2}$(2位のCに丸)
  • 問4(B):2-メチル-2-プロパノール $\mathrm{(CH_3)_3C-OH}$
  • 問5:2-メチルプロペン $\mathrm{CH_2=C(CH_3)_2}$ と ジ-tert-ブチルエーテル $\mathrm{(CH_3)_3C-O-C(CH_3)_3}$
  • 問6(クロロブタノール):$\mathrm{CCl_3-C(CH_3)_2-OH}$
  • 問7(C):メチルイソプロピルエーテル $\mathrm{CH_3-O-CH(CH_3)_2}$
  • 問8(セボフルラン):$\mathrm{CH_2F-O-CH(CF_3)_2}$
  • 問9:デスフルランの方が分子量が小さく、分子間力(ファンデルワールス力)が弱いため。

大問 [IV] 糖類・デンプン・シクロデキストリン 解説へ →

  • 問1: a $1$ b $4$ c $1$(または $6$) d $6$(または $1$)
  • 問2: ア セロビオース イ アミロース ウ アミロペクチン エ うるち オ もち カ 熱水(温水) キ グリコーゲン ク 肝臓 ケ デキストリン
  • 問3:マルトースの環状構造式(解説の図参照)
  • 問4:$\mathrm{C_6H_{12}O_6 \longrightarrow 2\,C_2H_5OH + 2\,CO_2}$
  • 問5:$138\ \mathrm{g}$
  • 問6:およそ $6$ 個
  • 問7:(お)(イ:濃青色、ウ:赤紫色、キ:赤褐色)
  • 問8:図3より枝分かれの頻度が多く、らせんが短い模式図(解説参照)
  • 問9:環状の分子内部(疎水性の空洞)に悪臭の原因となる分子を取り込む(包接する)ことで消臭する。
大問 [I]

周期律とイオン半径・再結晶・溶液の濃度計算

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

大問[I]はウォーミングアップの小問集合だよ!問1の「原子半径と等電子イオン半径の大小比較」は超頻出!原子のままなら周期が大きい(下に行く)ほど大きく、同周期なら右に行くほど小さい。一方、$\mathrm{F^-}$ と $\mathrm{Na^+}$ のような等電子イオンは原子番号が大きいほど陽子の引力が強くてキュッと縮むのが鉄則だね。問2の再結晶は表の $60\,^\circ\mathrm{C}$ と $5\,^\circ\mathrm{C}$ の違いを見抜いて「熱時ろ過→冷却ろ過」の2段階を書くこと。問3の市販濃塩酸($36.5\%, 1.18\ \mathrm{g/cm^3}$)は計算ミスゼロで8分以内に完答して勢いに乗ろう!

問1:周期表とイオン化エネルギー・電子親和力・原子とイオンの大きさ

表は、代表的な原子を周期律にもとづいて並べたものである。ア ~ ク に適した語句、元素記号または化学式を答えよ。

周期\族 1 2 13 14 15 16 17 18
1 $\mathrm{H}$ $\mathrm{He}$
2 $\mathrm{Li}$ $\mathrm{Be}$ $\mathrm{B}$ $\mathrm{C}$ $\mathrm{N}$ $\mathrm{O}$ $\mathrm{F}$ $\mathrm{Ne}$
3 $\mathrm{Na}$ $\mathrm{Mg}$ $\mathrm{Al}$ $\mathrm{Si}$ $\mathrm{P}$ $\mathrm{S}$ $\mathrm{Cl}$ $\mathrm{Ar}$
4 $\mathrm{K}$ $\mathrm{Ca}$

原子の最も外側の電子殻から1個の電子を取りさって、1価の陽イオンにするのに必要なエネルギーを ア という。これに対して、原子が最も外側の電子殻に1個の電子を受け取って、1価の陰イオンになるときに放出されるエネルギーを イ という。表の原子のうち、ア が最も ウ い $\mathrm{K}$ が1価の陽イオンに最もなりやすく、イ が最も エ い $\mathrm{Cl}$ が1価の陰イオンに最もなりやすい。
また、$\mathrm{F}$,$\mathrm{Cl}$ および $\mathrm{Na}$ の原子の大きさを比べると、オ が最も大きく、カ が最も小さい。一方、$\mathrm{F}$,$\mathrm{Cl}$ および $\mathrm{Na}$ の各原子からできるイオンである、$\mathrm{F^-}$,$\mathrm{Cl^-}$ および $\mathrm{Na^+}$ の大きさを比べると、キ が最も大きく、ク が最も小さい。

STEP 1 イオン化エネルギーと電子親和力の定義(ア〜エ)
  • 原子から電子1個を取り去って1価の陽イオンにするのに必要なエネルギーを 第一イオン化エネルギー(またはイオン化エネルギー)(ア)といいます。
  • 必要なエネルギーが小さい(ウ)ほど、少しのエネルギーで簡単に電子を手放せるため、陽イオンになりやすくなります(表の中では第4周期・1族の $\mathrm{K}$ が最小)。
  • 逆に、原子が電子1個を受け取って1価の陰イオンになるときに放出されるエネルギーを 電子親和力(イ)といいます。
  • 放出されるエネルギーが大きい(エ)ほど、より安定な陰イオンになれるため、1価の陰イオンになりやすくなります(ハロゲンである $\mathrm{F}$ と $\mathrm{Cl}$ を比べると、$\mathrm{F}$ は原子半径が小さすぎて電子間反発が生じるため、実は $\mathrm{Cl}$ の方が電子親和力が最大になります!問題文にもちゃんと「$\mathrm{Cl}$ が」と書いてくれていますね)。
STEP 2 原子半径の大小比較:$\mathrm{F},\ \mathrm{Cl},\ \mathrm{Na}$(オ・カ)

各原子の電子配置(K殻, L殻, M殻)を書き出して比べてみましょう。

${}_{9}\mathrm{F}$(第2周期・17族)
電子配置:$\mathrm{K}(2)\,\mathrm{L}(7)$
電子殻が2層(L殻まで)
${}_{11}\mathrm{Na}$(第3周期・1族)
電子配置:$\mathrm{K}(2)\,\mathrm{L}(8)\,\mathrm{M}(1)$
M殻まで・陽子11個
${}_{17}\mathrm{Cl}$(第3周期・17族)
電子配置:$\mathrm{K}(2)\,\mathrm{L}(8)\,\mathrm{M}(7)$
M殻まで・陽子17個
  • まず、電子殻の数が少ない $\mathrm{F}$(L殻まで)が最も小さいです(カ:$\mathrm{F}$)。
  • 次に、同じM殻まで電子が入る第3周期の $\mathrm{Na}$(原子番号11)と $\mathrm{Cl}$(原子番号17)を比べると、原子番号が大きい $\mathrm{Cl}$ の方が原子核の正電荷(陽子の数)が多く、外側の電子雲を強く内側へ引き寄せるため小さくなります。
  • したがって、原子の大きさの順は $\mathrm{Na} > \mathrm{Cl} > \mathrm{F}$ となり、最も大きいのは オ:$\mathrm{Na}$ です。
STEP 3 イオン半径の大小比較:$\mathrm{F^-},\ \mathrm{Cl^-},\ \mathrm{Na^+}$(キ・ク)

イオンになったときの電子配置を調べると、電子殻の数が変わるものがあることに注意しましょう!

${}_{9}\mathrm{F^-}$(電子10個)
電子配置:$\mathrm{K}(2)\,\mathrm{L}(8)$($\mathrm{Ne}$型)
陽子9個で10個の電子を引く
${}_{11}\mathrm{Na^+}$(電子10個)
電子配置:$\mathrm{K}(2)\,\mathrm{L}(8)$($\mathrm{Ne}$型)
陽子11個で強く引き寄せる!
${}_{17}\mathrm{Cl^-}$(電子18個)
電子配置:$\mathrm{K}(2)\,\mathrm{L}(8)\,\mathrm{M}(8)$($\mathrm{Ar}$型)
M殻まで電子がある!
  • $\mathrm{Cl^-}$ だけがM殻(第3殻)まで電子が詰まっているため、$\mathrm{Cl^-}$ が圧倒的に最も大きいです(キ:$\mathrm{Cl^-}$)。
  • $\mathrm{F^-}$ と $\mathrm{Na^+}$ はどちらも $\mathrm{K}(2)\,\mathrm{L}(8)$ の同一の電子配置($\mathrm{Ne}$型・等電子イオン)です。同じ電子数(10個)なら、中心の陽子数が多い ${}_{11}\mathrm{Na^+}$(陽子11個)の方が ${}_{9}\mathrm{F^-}$(陽子9個)よりも電子殻を強く内側へ引きつけます。
  • よって、イオンの大きさの順は $\mathrm{Cl^-} > \mathrm{F^-} > \mathrm{Na^+}$ となり、最も小さいのは ク:$\mathrm{Na^+}$ です。

問2:再結晶の原理と3成分混合物の分離手順

(1) 物質の分離・精製に用いられる再結晶とはどのような手法か、簡潔に説明せよ。

(2) ここに固体の化合物 A,B,C の混合物がある。およその質量比は $\mathbf{A}:\mathbf{B}:\mathbf{C} = 1:8:1$ である。表は、化合物 A,B,C の水への溶解性を比較したものである。この混合物の中から、純度の高い化合物 B の結晶をできるだけ多く取り出すための手順を考案して書け。

化合物 $5\,^\circ\mathrm{C}$ $25\,^\circ\mathrm{C}$ $60\,^\circ\mathrm{C}$
A よく溶ける よく溶ける よく溶ける
B ほとんど溶けない 溶けにくい よく溶ける
C ほとんど溶けない ほとんど溶けない ほとんど溶けない
STEP 1 (1) 再結晶の定義を簡潔にまとめる

記述のポイントは「温度による溶媒への溶解度の差を利用すること」と「不純物を含む固体を高温の溶媒に溶かして再び冷却し、純粋な結晶として析出させること」の2点です。

【解答例】温度による溶媒への溶解度の差を利用して、不純物を含む固体から目的の物質を純粋な結晶として取り出す手法。
STEP 2 (2) A, B, C の溶解性の違いから分離フローを組み立てる

表の3つの化合物の性質を整理しましょう。

  • 化合物A(少量・全体の10%): $5\,^\circ\mathrm{C}$ でも $60\,^\circ\mathrm{C}$ でも常によく溶ける $\rightarrow$ 冷やしても析出せず、水溶液中に溶けたまま残る!
  • 化合物B(主成分・全体の80%): $60\,^\circ\mathrm{C}$ ではよく溶けるが、$5\,^\circ\mathrm{C}$ ではほとんど溶けない $\rightarrow$ $60\,^\circ\mathrm{C}$ で溶かして $5\,^\circ\mathrm{C}$ に冷やせば結晶として大量に析出する!
  • 化合物C(少量・全体の10%): $60\,^\circ\mathrm{C}$ でもほとんど溶けない $\rightarrow$ $60\,^\circ\mathrm{C}$ の温水に溶かした時点で溶け残るので、温かいうちにろ過(熱時ろ過)すれば取り除ける!
混合物 A + B + C (質量比 1 : 8 : 1) 60℃の温水に溶かす 熱時ろ過 ろ紙上の残渣:C (60℃でも不溶 → 除去) ろ液:A と B が溶解 5℃に冷却する (Bの結晶が析出!) ろ過・洗浄 ★ 純度の高い B の結晶を取得! 少量の冷水(5℃)で洗い乾燥させる ろ液:A(+ごく微量のB) (Aは5℃でもよく溶けるため析出しない)
【解答例】混合物を $60\,^\circ\mathrm{C}$ の水に溶かし、溶け残った化合物 C をろ過(熱時ろ過)して取り除く。得られたろ液を $5\,^\circ\mathrm{C}$ に冷却して化合物 B の結晶を析出させ、再びろ過して結晶を取り出し、少量の冷水で洗浄して乾燥させる(化合物 A はろ液中に残る)。

問3:市販の濃塩酸のモル濃度と希釈計算

(1) ある市販の濃塩酸の質量パーセント濃度は $36.5\%$ であった。また、この濃塩酸の密度は $1.18\ \mathrm{g/cm^3}$ であった。この濃塩酸のモル濃度 $[\mathrm{mol/L}]$ を求めよ。

(2) この濃塩酸と $1000\ \mathrm{mL}$ のメスフラスコを用いて、$0.100\ \mathrm{mol/L}$ の塩酸をつくりたい。濃塩酸を何 $\mathrm{mL}$ はかり取って、蒸留水を加えて $1000\ \mathrm{mL}$ にすればよいか。

STEP 1 (1) 濃塩酸 $1\ \mathrm{L}\ (= 1000\ \mathrm{cm^3})$ あたりの質量と $\mathrm{HCl}$ の物質量を求める

公式を丸暗記するよりも、「基準として溶液を $1\ \mathrm{L}\ (= 1000\ \mathrm{cm^3})$ 用意する」と考えると絶対にミスしません!

  • ① 濃塩酸 $1\ \mathrm{L}\ (= 1000\ \mathrm{cm^3})$ の質量:
    密度が $1.18\ \mathrm{g/cm^3}$ なので、$1\ \mathrm{cm^3}$ あたり $1.18\ \mathrm{g}$ です。よって $1000\ \mathrm{cm^3}$ の質量は、 $$1.18\ \mathrm{g/cm^3} \times 1000\ \mathrm{cm^3} = 1180\ \mathrm{g}$$
  • ② その中に含まれる純粋な $\mathrm{HCl}$ の質量:
    質量パーセント濃度が $36.5\%$ なので、溶液 $1180\ \mathrm{g}$ のうちの $36.5\%$ が $\mathrm{HCl}$ です。 $$1180\ \mathrm{g} \times \frac{36.5}{100} = 11.8 \times 36.5\ \mathrm{g}$$ (※ここで掛け算を計算してしまわず、式のまま残しておくと次の割り算で約分できて秒殺できます!)
  • ③ $\mathrm{HCl}$ の物質量 $[\mathrm{mol}]$(= $1\ \mathrm{L}$ 中のモル数なのでそのままモル濃度!):
    塩化水素 $\mathrm{HCl}$ の分子量は $\mathrm{H}(1.00) + \mathrm{Cl}(35.5) = 36.5\ \mathrm{g/mol}$ です。したがって、 $$c = \frac{11.8 \times 36.5\ \mathrm{g}}{36.5\ \mathrm{g/mol}} \div 1\ \mathrm{L} = \mathbf{11.8\ \mathrm{mol/L}}$$
STEP 2 (2) 希釈の前後で「溶質 $\mathrm{HCl}$ の物質量 $(\mathrm{mol})$ は変わらない」ことから立式する

はかり取る濃塩酸($11.8\ \mathrm{mol/L}$)の体積を $V\ [\mathrm{mL}]$ とします。
はかり取った濃塩酸に含まれる $\mathrm{HCl}$ の物質量 $[\mathrm{mol}]$ と、完成した $0.100\ \mathrm{mol/L}$・$1000\ \mathrm{mL}$ の塩酸に含まれる $\mathrm{HCl}$ の物質量 $[\mathrm{mol}]$ は等しいので、 $$11.8\ \mathrm{mol/L} \times \frac{V}{1000}\ \mathrm{L} = 0.100\ \mathrm{mol/L} \times \frac{1000}{1000}\ \mathrm{L}$$ 両辺の $\dfrac{1}{1000}$ を払って整理すると、 $$11.8 \times V = 0.100 \times 1000 = 100$$ $$V = \frac{100}{11.8} = \frac{1000}{118} = \frac{500}{59} \fallingdotseq 8.4745\dots\ \mathrm{mL}$$ 問題文の数値($36.5\%, 1.18\ \mathrm{g/cm^3}, 0.100\ \mathrm{mol/L}$)がすべて有効数字3桁なので、有効数字3桁に丸めて $8.47\ \mathrm{mL}$ となります。

大問 [II]

アンモニア合成(ハーバー・ボッシュ法)と圧平衡定数 $K_p$

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

大問[II]はアンモニア合成をテーマにした熱化学・化学平衡の総合問題だよ!
一番のポイントは「$\mathrm{N_2}$ と $\mathrm{H_2}$ を $1:3$ のモル比で仕込んだとき、どれだけ反応が進んでも常に $\mathrm{N_2}:\mathrm{H_2} = 1:3$ の比が保たれる!」という黄金法則。これを使えば、[C]も[D]も計算がめちゃくちゃラクになるよ。また、問1の有効数字は2桁指定、かつセには単位($\mathrm{Pa^{-2}}$)が必要だから、問題文の指示を見落とさないように要注意だね!

文章を読んで問いに答えよ。ただし、反応物、生成物はすべて理想気体として存在するものとする。

A アンモニア $\mathrm{NH_3}$ は化学肥料や医薬品の原料として重要な物質であり、工業的には ア 法とよばれる方法によって、窒素 $\mathrm{N_2}$ と水素 $\mathrm{H_2}$ とを混合して イ(化学式)を主成分とする触媒 を用いて反応させて製造される。その反応は(1)で示される。 $$\mathrm{N_2\text{(気)} + 3\,H_2\text{(気)} \rightleftarrows 2\,NH_3\text{(気)}} \qquad (1)$$ この反応は可逆反応で一定の圧力と温度の下で平衡に達する。また、表1の結合エネルギーの値から、(1)にしたがって圧力一定の下で $1\ \mathrm{mol}$ の $\mathrm{N_2}$(気)と $3\ \mathrm{mol}$ の $\mathrm{H_2}$(気)が反応して $\mathrm{NH_3}$(気)が $2\ \mathrm{mol}$ 生成するとき、ウ $\mathrm{kJ}$ の熱が エ されることがわかる。

表1 結合エネルギー($25\,^\circ\mathrm{C},\ 1.013 \times 10^5\ \mathrm{Pa}$)
結合 結合エネルギー $[\mathrm{kJ/mol}]$
$\mathrm{H-H}$$436$
$\mathrm{N\equiv N}$$945$
$\mathrm{N-H}$$391$

そのため、工業的には、オ の原理を考えて反応条件を最適化し、温度 $400 \sim 600\,^\circ\mathrm{C}$,圧力 $1 \times 10^7 \sim 1 \times 10^8\ \mathrm{Pa}$ の条件で合成が行われる。

B (1)の反応は気相反応なので、$\mathrm{N_2}$,$\mathrm{H_2}$ および $\mathrm{NH_3}$ の分圧をそれぞれ $p_{\mathrm{N_2}}$,$p_{\mathrm{H_2}}$ および $p_{\mathrm{NH_3}}$ として圧平衡定数 $K_p$ が(2)で与えられる。 $$K_p = \frac{\fbox{ カ }}{\fbox{ キ }} \qquad (2)$$ したがって、平衡状態における全圧が $P\ [\mathrm{Pa}]$ のとき、$\mathrm{N_2}$,$\mathrm{H_2}$ および $\mathrm{NH_3}$ のモル分率をそれぞれ $x_{\mathrm{N_2}}$,$x_{\mathrm{H_2}}$ および $x_{\mathrm{NH_3}}$ として(3)で表される。 $$K_p = \frac{\fbox{ ク }}{\fbox{ ケ }} \times P^{\fbox{コ}} \qquad (3)$$

C いま、容積可変の密閉容器に $\mathrm{N_2}\ 1.00\ \mathrm{mol}$ と $\mathrm{H_2}\ 3.00\ \mathrm{mol}$ を入れ、一定温度で容器内の圧力を $5.0 \times 10^7\ \mathrm{Pa}$ に保ったところ、$\mathrm{NH_3}$ の体積百分率が $60.0\%$ で平衡状態になった。この平衡状態においては、$\mathrm{N_2}$ が サ $\mathrm{mol}$,$\mathrm{H_2}$ が シ $\mathrm{mol}$,$\mathrm{NH_3}$ が ス $\mathrm{mol}$ 生じているから、圧平衡定数 $K_p$ の値は セ と求められる。

D 続いて、C の平衡の状態から、温度を保ちながら、容器の容積を変化させて新たな平衡状態に到達させると、圧力が ソ $\mathrm{Pa}$ になった。このとき、$\mathrm{NH_3}$ が $1.00\ \mathrm{mol}$ 生じた。

問1:ア〜ソ の導出(数値は有効数字2桁、セは単位も記入)

STEP 1 パート A:ハーバー・ボッシュ法と結合エネルギーからの反応熱計算(ア〜オ)
  • 窒素と水素からアンモニアを工業的に合成する方法は ハーバー・ボッシュ 法(ア)であり、触媒には四酸化三鉄 $\mathrm{Fe_3O_4}$(イ)を主成分とする触媒が用いられます。
  • ウ・エ(反応熱の計算):
    反応式 $\mathrm{N_2 + 3\,H_2 \longrightarrow 2\,NH_3}$ において、切れる結合(反応物)と新しく作られる結合(生成物)の本数を数えます。
    ・反応物:$1\ \mathrm{mol}$ の $\mathrm{N_2}$ には $\mathrm{N\equiv N}$ 結合が $1\ \mathrm{mol}$、$3\ \mathrm{mol}$ の $\mathrm{H_2}$ には $\mathrm{H-H}$ 結合が $3\ \mathrm{mol}$ あります。
     結合を切るのに必要なエネルギー(吸熱)の合計 $= 945 \times 1 + 436 \times 3 = 945 + 1308 = 2253\ \mathrm{kJ}$
    ・生成物:アンモニア $\mathrm{NH_3}$ 1分子には $\mathrm{N-H}$ 結合が3本あるため、$\mathrm{NH_3}\ 2\ \mathrm{mol}$ には $\mathrm{N-H}$ 結合が $3 \times 2 = \mathbf{6\ \mathrm{mol}}$ あります。
     結合ができるときに放出されるエネルギー(発熱)の合計 $= 391 \times 6 = 2346\ \mathrm{kJ}$
    エンタルピー変化 $\Delta H$ で表すと、 $$\Delta H = (\text{反応物の結合エネルギーの和}) - (\text{生成物の結合エネルギーの和}) = 2253 - 2346 = -93\ \mathrm{kJ}\ \text{?}$$ 【】
    計算をもう一度丁寧に確認します:
    $945 + 436 \times 3 = 945 + 1308 = 2253\ \mathrm{kJ}$
    $391 \times 6 = 2346\ \mathrm{kJ}$
    差をとると $2346 - 2253 = \mathbf{93\ \mathrm{kJ}}$ ?(※一般的な教科書では $\mathrm{N\equiv N}=945,\ \mathrm{H-H}=436,\ \mathrm{N-H}=391$ のとき $2346 - 2253 = 93\ \mathrm{kJ}$ となります。よく暗記しているアンモニアの生成エンタルピー $-46\ \mathrm{kJ/mol} \times 2 = -92\ \mathrm{kJ}$ と $1\ \mathrm{kJ}$ 違うのは有効数字の丸め誤差のためです!必ず与えられた表1の数値を使って忠実に計算しましょう!)
    改めて引き算を確認: $$2346 - 2253 = \mathbf{93}\ \mathrm{kJ}$$ よって、ウ:$93$(放出されるエネルギー $2346\ \mathrm{kJ}$ の方が、吸収されるエネルギー $2253\ \mathrm{kJ}$ よりも $93\ \mathrm{kJ}$ 大きいので)、$93\ \mathrm{kJ}$ の熱が 放出(または発生)(エ)されます!
    (※スピードチェック欄のウも表1の厳密計算値 $93$ に合わせておきましょう!暗記値の $92$ を書いてしまわないよう表1から計算するのが鉄則です)
  • 可逆反応の平衡移動の法則は ルシャトリエ の原理(オ)です。
STEP 2 パート B:圧平衡定数 $K_p$ とモル分率・全圧の関係式(カ〜コ)

反応式 $\mathrm{N_2 + 3\,H_2 \rightleftarrows 2\,NH_3}$ の圧平衡定数 $K_p$ は、左辺(反応物)の分圧を分母、右辺(生成物)の分圧を分子にとり、係数を指数(べき乗)にします。 $$K_p = \frac{p_{\mathrm{NH_3}}^2}{p_{\mathrm{N_2}} \cdot p_{\mathrm{H_2}}^3}$$ よって、カ:$p_{\mathrm{NH_3}}^2$、キ:$p_{\mathrm{N_2}} \cdot p_{\mathrm{H_2}}^3$ です。
次に、ドルトンの分圧の法則より「各気体の分圧 $=$ 全圧 $P \times$ モル分率 $x$」なので、 $$p_{\mathrm{N_2}} = x_{\mathrm{N_2}} P, \quad p_{\mathrm{H_2}} = x_{\mathrm{H_2}} P, \quad p_{\mathrm{NH_3}} = x_{\mathrm{NH_3}} P$$ これを式(2)に代入すると、 $$K_p = \frac{(x_{\mathrm{NH_3}} P)^2}{(x_{\mathrm{N_2}} P) \cdot (x_{\mathrm{H_2}} P)^3} = \frac{x_{\mathrm{NH_3}}^2 \cdot P^2}{x_{\mathrm{N_2}} \cdot x_{\mathrm{H_2}}^3 \cdot P^4} = \frac{x_{\mathrm{NH_3}}^2}{x_{\mathrm{N_2}} \cdot x_{\mathrm{H_2}}^3} \times P^{-2}$$ したがって、ク:$x_{\mathrm{NH_3}}^2$、ケ:$x_{\mathrm{N_2}} \cdot x_{\mathrm{H_2}}^3$、コ:$-2$ となります。

STEP 3 パート C:平衡時の各物質量と圧平衡定数 $K_p$ の値(サ〜セ)

初めに $\mathrm{N_2}\ 1.00\ \mathrm{mol}$、$\mathrm{H_2}\ 3.00\ \mathrm{mol}$ を入れ、平衡に達するまでに反応した $\mathrm{N_2}$ の物質量を $y\ [\mathrm{mol}]$ とおいて、反応前後の物質量変化表(ICEチャート)を作ります。

状態 $\mathrm{N_2}$ $+$ $3\,\mathrm{H_2}$ $\rightleftarrows$ $2\,\mathrm{NH_3}$ 合計物質量
反応前 $(\mathrm{mol})$ $1.00$ $3.00$ $0$ $4.00$
変化量 $(\mathrm{mol})$ $-y$ $-3y$ $+2y$ $-2y$
平衡時 $(\mathrm{mol})$ $1.00 - y$ $3.00 - 3y$ $2y$ $4.00 - 2y$

同温・同圧において、気体の体積百分率 $[\%]$ はモル百分率(モル分率 $\times 100$)に等しいので、$\mathrm{NH_3}$ の体積百分率が $60.0\%$(モル分率 $x_{\mathrm{NH_3}} = 0.600$)であることから、 $$x_{\mathrm{NH_3}} = \frac{2y}{4.00 - 2y} = 0.600 = \frac{3}{5}$$ 分母を払って $y$ を求めます。 $$5 \times 2y = 3 \times (4.00 - 2y) \implies 10y = 12.0 - 6y \implies 16y = 12.0 \implies y = \frac{12.0}{16} = 0.750\ \mathrm{mol}$$ これを平衡時の各物質量に代入し、問題文の指示(有効数字2桁)に従うと、

  • $\mathrm{N_2}$ の物質量(サ): $1.00 - 0.750 = \mathbf{0.25}\ \mathrm{mol}$
  • $\mathrm{H_2}$ の物質量(シ): $3.00 - 3 \times 0.750 = 3.00 - 2.25 = \mathbf{0.75}\ \mathrm{mol}$
  • $\mathrm{NH_3}$ の物質量(ス): $2 \times 0.750 = \mathbf{1.5}\ \mathrm{mol}$

さらに、平衡時の全物質量は $0.25 + 0.75 + 1.50 = 2.50\ \mathrm{mol}$ ですから、各気体のモル分率は、 $$x_{\mathrm{N_2}} = \frac{0.25}{2.50} = 0.10 = \frac{1}{10}, \quad x_{\mathrm{H_2}} = \frac{0.75}{2.50} = 0.30 = \frac{3}{10}, \quad x_{\mathrm{NH_3}} = \frac{1.50}{2.50} = 0.60 = \frac{6}{10}$$ (ほら! $\mathrm{N_2}$ と $\mathrm{H_2}$ が $1:3$ で残るので、$\mathrm{NH_3}$ が $60\%$ なら残りの $40\%$ を $1:3$ に分けて $\mathrm{N_2}=10\%,\ \mathrm{H_2}=30\%$ と暗算でも1秒で出ますね!)
これを式(3)に代入し、$P = 5.0 \times 10^7\ \mathrm{Pa}$ を使って圧平衡定数 $K_p$ を計算します。 $$K_p = \frac{x_{\mathrm{NH_3}}^2}{x_{\mathrm{N_2}} \cdot x_{\mathrm{H_2}}^3} \times P^{-2} = \frac{(0.60)^2}{0.10 \times (0.30)^3} \times \frac{1}{(5.0 \times 10^7)^2}$$ 前半のモル分率の部分を分数で計算すると、 $$\frac{(6/10)^2}{(1/10) \times (3/10)^3} = \frac{36 / 100}{27 / 10000} = \frac{36}{27} \times 100 = \frac{4}{3} \times 100 = \frac{400}{3}$$ 後半の圧力部分は $(5.0 \times 10^7)^2 = 25 \times 10^{14}$ なので、 $$K_p = \frac{400}{3} \times \frac{1}{25 \times 10^{14}} = \frac{16}{3} \times 10^{-14} \fallingdotseq 5.33\dots \times 10^{-14}\ \mathrm{Pa^{-2}}$$ 【重要チェック】 $16 \div 3 = 5.333\dots$ です!有効数字2桁に丸めると $5.3 \times 10^{-14}\ \mathrm{Pa^{-2}}$ となります!(※単位は分母が $\mathrm{Pa^4}$、分子が $\mathrm{Pa^2}$ なので $\mathrm{Pa^{-2}}$ です。セの解答:$5.3 \times 10^{-14}\ \mathrm{Pa^{-2}}$)

STEP 4 パート D:新たな平衡状態における全圧 $P'$ の計算(ソ)

温度が一定なので、圧平衡定数 $K_p = \dfrac{16}{3} \times 10^{-14}\ \mathrm{Pa^{-2}}$ の値は変化しません!
新たな平衡状態において $\mathrm{NH_3}$ が $1.00\ \mathrm{mol}$ 生じているので、先ほどの表で $2y' = 1.00\ \mathrm{mol}$ すなわち $y' = 0.50\ \mathrm{mol}$ です。
よって、新たな平衡状態での各気体の物質量は、

  • $\mathrm{N_2}$: $1.00 - 0.50 = 0.50\ \mathrm{mol}$
  • $\mathrm{H_2}$: $3.00 - 3 \times 0.50 = 1.50\ \mathrm{mol}$
  • $\mathrm{NH_3}$: $1.00\ \mathrm{mol}$
  • 合計物質量: $0.50 + 1.50 + 1.00 = 3.00\ \mathrm{mol}$

したがって、新たな平衡状態での各モル分率は、 $$x'_{\mathrm{N_2}} = \frac{0.50}{3.00} = \frac{1}{6}, \quad x'_{\mathrm{H_2}} = \frac{1.50}{3.00} = \frac{3}{6} = \frac{1}{2}, \quad x'_{\mathrm{NH_3}} = \frac{1.00}{3.00} = \frac{1}{3}$$ 求める新たな全圧を $P'\ [\mathrm{Pa}]$ とすると、式(3)より、 $$K_p = \frac{(x'_{\mathrm{NH_3}})^2}{x'_{\mathrm{N_2}} \cdot (x'_{\mathrm{H_2}})^3} \times (P')^{-2}$$ モル分率の部分を計算すると、 $$\frac{(1/3)^2}{(1/6) \times (1/2)^3} = \frac{1/9}{1/48} = \frac{48}{9} = \frac{16}{3}$$ これが $K_p = \dfrac{16}{3} \times 10^{-14}\ \mathrm{Pa^{-2}}$ と等しいので、 $$\frac{16}{3} \times (P')^{-2} = \frac{16}{3} \times 10^{-14}$$ なんと両辺の $\dfrac{16}{3}$ がピタッと綺麗に消えます! $$(P')^{-2} = 10^{-14} \implies (P')^2 = 10^{14} \implies P' = \mathbf{1.0 \times 10^7}\ \mathrm{Pa}$$ (※出題者が $\dfrac{16}{3}$ が約分されて暗算で平方根が取れるように数字を綺麗に設計してくれています!よって ソ:$1.0 \times 10^7$ です!)

問2:触媒を加えたときのグラフ変化

【問題】図1の曲線は、[C]において(1)の反応開始からの $\mathrm{NH_3}$ の体積百分率 $[\%]$ の変化を模式的に示したものである。同一の温度と圧力の反応条件で [A] の下線部の触媒を加えた場合、$\mathrm{NH_3}$ の体積百分率 $[\%]$ の変化はどのようなものになるか。解答欄のグラフに線を書き込んで示せ。

● 触媒の役割:正反応と逆反応の活性化エネルギーを同じだけ下げ、反応速度を大きくする(平衡に達するまでの時間を短くする)働きをします。

● 注意点:触媒は化学平衡の位置(最終的な $\mathrm{NH_3}$ の体積百分率)は一切変えません!したがって、最初(時刻0)の立ち上がりが図1の黒線より急(上側)になり、最終的には元の黒線と全く同じ高さ(水平線)に収束する曲線を描きます。

0 0 時間 NH₃の 体積 百分率 [%] 元の曲線(触媒なし) 解答:触媒あり (早く達し、最終値は同じ)

問3:時刻 $t$ で温度を変化させたときのグラフ変化

【問題】図1において $\mathrm{NH_3}$ の体積百分率 $[\%]$ が一定になった状態(図2)から、時刻 $t$ で圧力を一定に保ちながら温度を変化させたとき、新たな平衡状態に到達するまでに $\mathrm{NH_3}$ の体積百分率 $[\%]$ はどのように変化するか。① 温度を上げた場合、② 温度を下げた場合、として解答欄のグラフに丸付き数字とともに線を書き込んで示せ。

● ① 温度を上げた場合:正反応が発熱反応なので、ルシャトリエの原理より吸熱方向(逆反応・左向き)へ平衡が移動し、$\mathrm{NH_3}$ の体積百分率は減少します。また、温度が高いため反応速度は速く、短時間で新たな平衡(水平)に達します。

● ② 温度を下げた場合:発熱方向(正反応・右向き)へ平衡が移動し、$\mathrm{NH_3}$ の体積百分率は増加します。また、温度が低いため反応速度は遅く、①よりも長い時間をかけて新たな平衡(水平)に達します。

時間 t NH₃の 体積 百分率 [%] ② 温度を下げた場合 (増加・平衡到達が遅い) ① 温度を上げた場合 (減少・平衡到達が速い)
大問 [III]

アルコール・エーテルの構造異性体と吸入・局所麻酔薬

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

大問[III]は医学部らしい「麻酔薬(デスフルラン・クロロブタノール・セボフルラン)」を題材にした有機化学パズルだよ!
一番気をつけなきゃいけない減点トラップは、冒頭の構造式の書き方ルール!「水素原子3つが結合した炭素原子のみ、メチル基($\mathrm{CH_3-}$)として省略して書いてよい(つまり $\mathrm{-CH_2-}$ や $\mathrm{-CH-}$ や $\mathrm{-CF_3}$ の結合はすべて $\mathrm{C-H}$ や $\mathrm{C-F}$ の結合線を明記すること!)」そして「不斉炭素原子があれば丸で囲むこと」。このルールを守って丁寧に描けば満点が取れる大チャンス問題だよ!

【構造式記述ルール】構造式を書くときは例のように炭素原子-水素原子の結合の位置を明確に記すこと。ただし、水素原子3つが結合した炭素原子のみ、メチル基($\mathrm{CH_3-}$)として省略して書いてよい。さらに、不斉炭素原子があれば丸で囲むこと。

分子式 $\mathrm{C_3H_8O}$ の構造異性体の数は3個で、いずれも不斉炭素原子をもたない。この中で、ナトリウムと反応しないものは1個である。このものを化合物 A とする。
分子式 $\mathrm{C_4H_{10}O}$ の構造異性体の数は7個で、このうちメチル基($\mathrm{CH_3-}$)を3つもつものは2個である。この2個のうち、ナトリウムと反応させたときに水素を発生するものを化合物 B,ナトリウムと反応しないものを化合物 C とする。
手術などに用いられる麻酔薬の多くは、ジエチルエーテルやクロロホルムに麻酔作用があることにもとづき、沸点や作用などを改善して開発された化合物である。

問1・問2:$\mathrm{C_3H_8O}$ の3つの構造異性体(アルコール2種とエーテルA)と沸点の比較

【問1】分子式 $\mathrm{C_3H_8O}$ でナトリウムと反応させたときに水素を発生するもの2個の構造式を書き、いずれの沸点が高いか、理由とともに書け。
【問2】化合物 A の構造式を書け。

解説 分子式 $\mathrm{C_3H_8O}$(飽和・不飽和度0)の構造異性体は、ヒドロキシ基 $\mathrm{-OH}$ をもつアルコール2個(ナトリウムと反応して $\mathrm{H_2}$ を発生)と、エーテル結合 $\mathrm{-O-}$ をもつエーテル1個(=化合物A)の計3個です。
問題文の表記ルールに従い、$\mathrm{CH_3-}$ 以外の炭素については $\mathrm{C-H}$ 結合の枝をすべて展開して書きます。

【問1】1-プロパノール(沸点 約97℃)
H₃C C H H C H H OH
【問1】2-プロパノール(沸点 約82℃)
H₃C C OH H CH₃
【問2】化合物 A(エチルメチルエーテル)
H₃C O C H H CH₃
【問1 沸点の比較と理由の解答例】
1-プロパノール(左の構造)の方が沸点が高い。
理由:1-プロパノールは直鎖状の構造であるため、枝分かれ構造をもつ2-プロパノールに比べて分子同士が近づきやすくファンデルワールス力が強く働き、またヒドロキシ基まわりの立体障害が小さいため分子間で水素結合を形成しやすいから。

問3:吸入麻酔薬デスフルラン $\mathrm{C_3H_2F_6O}$ の構造決定

【問題】吸入麻酔薬デスフルラン $\mathrm{C_3H_2F_6O}$ は化合物 A のアルキル基の複数の水素原子をフッ素原子に置換した化合物で、酸素原子に結合した炭素原子には必ず水素原子が結合している。また、不斉炭素原子を1つもつ。デスフルランの構造式を書け。

STEP 1 化合物A($\mathrm{CH_3-O-CH_2-CH_3}$)の8個の水素原子のうち、6個を $\mathrm{F}$ に置き換えて、2個だけ $\mathrm{H}$ を残したものがデスフルラン($\mathrm{C_3H_2F_6O}$)です。

STEP 2 条件①「酸素原子に結合した炭素原子(左の $\mathrm{C}$ と、右の1番目の $\mathrm{C}$ の計2個)には必ず水素原子が結合している」:
残っている水素原子は全部で2個だけなので、この2つの炭素原子に$\mathrm{H}$ が1個ずつ結合していることが確定します!
すると、残りの結合手はすべて $\mathrm{F}$ になるので、 $$\mathrm{CHF_2 - O - \overset{\Large\circ}{C}HF - CF_3}$$ となります。

STEP 3 条件②「不斉炭素原子を1つもつ」の確認:
右側の酸素に隣り合う炭素原子には、$\mathrm{-H}$,$\mathrm{-F}$,$\mathrm{-OCHF_2}$,$\mathrm{-CF_3}$ の4つの互いに異なる原子団が結合しており、確かに不斉炭素原子になっています!この炭素原子を忘れずに丸で囲みます。(※ $\mathrm{F}$ が結合した炭素はメチル基ではないので、すべての $\mathrm{C-F}$ 結合も展開して書くのが安全です!)

【問3 解答】デスフルランの構造式(不斉炭素に○)
F C H F O C H F C F F F

問4・問5・問6:化合物 B(tert-ブタノール)の脱水反応とクロロブタノール

【問4】化合物 B の構造式を書け。
【問5】化合物 B の分子内脱水反応または分子間脱水反応により得られる化合物の構造式を、すべて書け。
【問6】局所麻酔薬クロロブタノール $\mathrm{C_4H_7Cl_3O}$ は化合物 B のアルキル基の複数の水素原子を塩素原子に置換した化合物で、クロロメチル基($\mathrm{CH_2Cl-}$)をもたず、不斉炭素原子をもたない。クロロブタノールの構造式を書け。

問4 $\mathrm{C_4H_{10}O}$ のうちメチル基($\mathrm{CH_3-}$)を3つもち、ナトリウムと反応して水素を発生するアルコール B は、第三級アルコールである 2-メチル-2-プロパノール(tert-ブチルアルコール) $\mathrm{(CH_3)_3C-OH}$ です。

問5 化合物 B の分子内脱水反応では、$\mathrm{-OH}$ と隣のメチル基の $\mathrm{H}$ が1個取れて二重結合ができるため、2-メチルプロペン(イソブテン)が得られます($\mathrm{=CH_2}$ の $\mathrm{C-H}$ 結合は展開して書くこと!)。また、分子間脱水反応では、2分子の B の $\mathrm{-OH}$ 同士から水1分子が取れてエーテル結合ができるため、ジ-tert-ブチルエーテルが得られます。

問6 化合物 B($\mathrm{(CH_3)_3C-OH}$)の3つのメチル基にある9個の $\mathrm{H}$ のうち、3個を塩素原子 $\mathrm{Cl}$ に置換します。
もし別々のメチル基に $\mathrm{Cl}$ を入れると、$\mathrm{-CH_2Cl}$(クロロメチル基)ができてしまうか、または同じメチル基(CH₃)を2つ持つため不斉炭素にはなりません。
したがって、「クロロメチル基をもたず、不斉炭素原子ももたない」ためには、1つのメチル基の3個の水素すべてを $\mathrm{Cl}$ に置換してトリクロロメチル基($\mathrm{-CCl_3}$)にすればよいことが分かります!すると中心の炭素には $\mathrm{-CH_3}$ が2個つくので対称になり、不斉炭素原子にもなりません。

【問4 解答】化合物 B(2-メチル-2-プロパノール)
H₃C C CH₃ CH₃ OH
【問6 解答】クロロブタノール
Cl C Cl Cl C CH₃ CH₃ OH
【問5 解答①】分子内脱水生成物(2-メチルプロペン)
H₃C H₃C C C H H
【問5 解答②】分子間脱水生成物(ジ-tert-ブチルエーテル)
H₃C C CH₃ CH₃ O C CH₃ CH₃ CH₃

【解説】

  • 問4・問6(構造の決定):アセトン $(\text{CH}_3)_2\text{C=O}$ のカルボニル炭素($\delta+$)に対し、求核剤としてメチル基 $\text{-CH}_3$ が付加してプロトン化されると2-メチル-2-プロパノール(tert-ブチルアルコール)が生成します。同様に、強塩基存在下でクロロホルム $\text{CHCl}_3$ から生じたトリクロロメチル陰イオン $\text{CCl}_3^-$ がアセトンに求核付加すると、防腐剤・鎮痛剤として知られるクロロブタノール(1,1,1-トリクロロ-2-メチル-2-プロパノール)が得られます。
  • 問5(脱水反応):2-メチル-2-プロパノールを酸触媒下で加熱すると、分子内脱水によりアルケンである2-メチルプロペン(イソブテン)が生成します。また、形式的な分子間脱水(2分子のアルコールから水1分子が取れる縮合)を考えると、対称エーテルであるジ-tert-ブチルエーテルの構造となります(※実際には立体障害が大きいため単純な酸触媒脱水では分子内脱水が圧倒的に優先しますが、設問の要求に従い両構造を記します)。

問7:グリニャール試薬の調製と反応における注意点

【解答例】
グリニャール試薬は水と速やかに反応して分解(アルカンを生成)してしまうため、十分に脱水(乾燥)したジエチルエーテルやテトラヒドロフラン(THF)などの非プロトン性溶媒を用い、湿気(水分)を遮断した条件下で反応を行う必要がある。

【解説】

ハロゲン化アルキル(例:$\text{CH}_3\text{Br}$ や $\text{CH}_3\text{I}$)にマグネシウム $\text{Mg}$ を反応させて得られるグリニャール試薬 $\text{R-MgX}$ 中のアルキル基($\text{R}^{\delta -}$)は、極めて強い求核性と同時に非常に強い塩基性を持っています。

そのため、系内に水($\text{H}_2\text{O}$)やアルコール($\text{R'-OH}$)などの活性プロトン(酸性度の比較的高い水素原子)が存在すると、カルボニル基への求核付加よりも先に、以下のような酸・塩基反応が不可逆的に進行して失活してしまいます。

$$\text{CH}_3\text{MgBr} + \text{H}_2\text{O} \longrightarrow \text{CH}_4 \uparrow + \text{Mg(OH)Br}$$

したがって、反応容器や試薬の厳密な乾燥および無水エーテル系溶媒の使用が不可欠となります。

Sora先生
Sora ✕ ニックニ(新国)先生からのメッセージ

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