(1) 凝固点。過冷却が起こらなければ凝固が始まっていたはずの温度が凝固点です。回復後の「緩やかに下がる直線」を左上へ延長し、過冷却の前の下がり方の直線と交わる点の温度を読みます。要確認
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※ 著作権に配慮し、入試問題の本文・図・構造式は掲載していません。空欄の記号(ア・イ・…)と設問番号は、本番の解答欄との対応を示すためのものです。※ 「要確認」の印がついた箇所は、グラフの読み取りや、知識・論述で出題者の想定する答えの形が分かれうる箇所です。ご自身の問題用紙・解答と見比べてください。
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LINEで誤りを連絡3分で分かる 2026年度の日本医科大の化学
- ✅ 全4大問・理科2科目で120分。空欄補充・計算・論述・構造式が混ざった形式で、答えのほとんどを自分で書きます。
- ✅ 大問Ⅰは小問集合。問1は冷却曲線(凝固点降下と過冷却)、問2は $\mathrm{CO_2}$ の溶解とpH(ヘンリーの法則と実在気体の補正)、問3は電気分解(ファラデーの法則)です。問2は有効数字3桁の計算が6か所あり、配点も大きいはずです。
- ✅ 大問Ⅱは「窒素酸化物と亜硝酸」。排ガスの化学から、亜硝酸イオンの比色分析(ジアゾ化・カップリング)へ。標準液の濃度計算、気体の体積、電離度、水質基準との比較まで、計算が一本の流れでつながります。
- ✅ 大問Ⅲは「シキミ酸とオセルタミビル」。分子量と不飽和度から構造を絞り込み、構造異性体を4つ書き、薬の加水分解まで進みます。
- ✅ 大問Ⅳは「アンモニア・第四級アンモニウム塩・イオン交換樹脂」。前半は語句と反応式、後半は樹脂の質量(問8)と混合溶液の濃度(問9)の計算で、計算は確実に取れます。
- ✅ 差がつくのは大問Ⅰ問2のオ(実在気体)、大問Ⅱ問7〜9、大問Ⅲ問6(異性体)。知識だけでは取れず、設問の条件を式にする力が必要です。
化学60分の立ち回りマップ
本番は理科2科目で120分です。化学に使う時間はTMPSの目安で60分とします。解く順番と「捨てどころ」をセットで覚えておきましょう。
本番の答え一覧(採点用)
解説を読む前の採点用です。計算問題と反応式・分子式は、プログラムで独立に確かめています(結果は下の注記)。
大問Ⅰ 問1(冷却曲線。Aは希薄溶液、Bは純溶媒)
大問Ⅰ 問2(有効数字3桁。ウ・エ・オは $\times10^{-6}$ または $\times10^{-4}$ の係数)
大問Ⅰ 問3
大問Ⅱ
大問Ⅲ
大問Ⅳ
※ 検算:計算(Ⅰ問2・問3、Ⅱ問7〜9、Ⅳ問8・問9)は有効数字・単位まで再計算し、反応式は原子数と電荷の保存、構造は分子式・不飽和度・不斉炭素・異性体の数を化学構造のプログラム(RDKit)で確かめ、すべて一致しました。
採点したら → 30秒の得点診断へ大問Ⅰ 小問集合 ── 冷却曲線・$\mathrm{CO_2}$ の溶解・電気分解
3つの小問からなる集合問題です。問1は図を読んで答える論述、問2は空欄補充と有効数字3桁の計算、問3は電気分解の計算と反応式です。問2と問3は式が立てば確実に取れるので、先に取りにいきます。
問1冷却曲線:凝固点・過冷却・凝固点降下
不揮発性物質の希薄溶液Aと純溶媒Bを冷やしたときの、温度と時間の曲線が図で与えられている。目盛りの(あ)〜(か)は温度を表す。
- (1):希薄溶液 A の凝固点を、図の目盛り(あ)〜(か)から選ぶ
- (2):過冷却の純溶媒 B をただちに凝固させる方法
- (3):A の凝固が始まる温度を(あ)〜(か)から選ぶ
- (4):時刻 $t_1$ を過ぎると B は一定温度のまま、A はゆっくり下がる理由
- (5):時刻 $t_2$ を過ぎると A も一定になる理由
(2) 過冷却。液体のまま凝固点より下がった不安定な状態です。結晶の核になるものがないのが原因なので、種結晶を入れる、かき混ぜる、衝撃を与えるのどれかで結晶化が始まります。要確認
(3) 凝固が始まる温度。実際に結晶ができ始めるのは、温度がいちばん下がった点です(凝固熱が出て温度が上がり始める直前)。要確認
(4)(5) 論述。溶液では、溶媒だけが結晶になるので、残った溶液は濃くなり、凝固点降下度が大きくなって温度が下がり続けます((4))。さらに濃縮が進んで飽和に達すると、溶質と溶媒が決まった割合で同時に析出し、組成が変わらなくなるので温度が一定になります((5))。要確認
問2CO₂の溶解とpH:空欄ア〜カ
空気と接する水に $\mathrm{CO_2}$ が溶けたときのpH(5.70)が与えられ、そこから溶解量を逆算する。さらに高圧の $\mathrm{CO_2}$ と接した場合の $[\mathrm{H^+}]$ を、理想気体と実在気体の2通りで求める。数値は有効数字3桁。
- ア:$\mathrm{CO_2}$ が水と反応して炭酸になる化学反応式
- イ:$[\mathrm{CO_2^*}]$ を使って定義し直した電離定数 $K_1{}'$
- ウ:pH 5.70 の水の $[\mathrm{CO_2^*}]$($\times10^{-6}$ mol/L)
- エ:圧力 $5.05\times10^6$ Pa の $\mathrm{CO_2}$ に接する水の $[\mathrm{H^+}]$(理想気体,$\times10^{-4}$)
- オ:同じ条件を、圧縮率因子 $Z=0.720$ の実在気体として計算した $[\mathrm{H^+}]$
- カ:pHは高くなるか低くなるか
ア・イ。$\mathrm{CO_2(aq)+H_2O\rightleftharpoons H_2CO_3}$。$[\mathrm{H_2CO_3}]$ の代わりに $[\mathrm{CO_2^*}]$($\mathrm{CO_2(aq)}$ と $\mathrm{H_2CO_3}$ の合計)を使い、
ウ。pH 5.70 は $[\mathrm{H^+}]=10^{-5.70}=10^{0.30}\times10^{-6}=2.00\times10^{-6}$ mol/L($\log_{10}2=0.30$ を使う)。第2段階の電離は無視できる($K_2$ が非常に小さい)ので $[\mathrm{HCO_3^-}]=[\mathrm{H^+}]$。
エ。ヘンリーの法則より溶解量は分圧に比例します。空気中の $\mathrm{CO_2}$ の分圧は $1.01\times10^5\times0.0004=40.4$ Pa。$5.05\times10^6$ Pa はその $\dfrac{5.05\times10^6}{40.4}=1.25\times10^5$ 倍です。
オ。実在気体では、同じ圧力でも気体の物質量が理想気体の $\dfrac1Z$ 倍になります。そこで、溶解に効く圧力を $P/Z$ に置き換えます。要確認
カ。$[\mathrm{H^+}]$ が $7.07\to8.33\times10^{-4}$ に増えるので、pHは低くなります(3.15 → 3.08)。
問3電気分解:金属の原子量・陽極の反応・化合物X
Xの水溶液を炭素電極で電気分解し、陰極に金属が析出、陽極から気体が出た。金属は硝酸に溶かして硫化水素を通すと黒色沈殿、その金属の酸化数はXと同じ $+2$。陽極付近の溶液で赤インクが薄くなった。
- (1):$2.00$ A を 32分10秒通じたとき陰極が $1.27$ g 増えた。析出した金属の原子量
- (2):赤インクの色を薄くした気体と水の反応式
- (3):化合物Xの化学式
(1) 原子量。電気量は $Q=2.00\times(32\times60+10)=3860$ C。電子の物質量は
酸化数 $+2$ なので金属は電子の半分の物質量、$2.00\times10^{-2}$ mol。原子量は $\dfrac{1.27}{2.00\times10^{-2}}=63.5$。銅です。
(2)(3) 陽極から出て赤インクを脱色する気体は塩素。$\mathrm{Cl_2+H_2O\rightleftharpoons HCl+HClO}$ で、できた次亜塩素酸が漂白作用をもちます。硫化水素で黒色沈殿(CuS)になる金属が銅で、陰イオンは塩化物イオンなので、Xは塩化銅(II) $\mathrm{CuCl_2}$です。
🩺【自己診断】大問Ⅰで手が止まった人への処方箋
- 問1凝固点の読み方が分からない → 「過冷却がなかったら」と考えて、緩やかな直線を延長して交点をとる
- 問2ウが出ない → pH から $[\mathrm{H^+}]$、$[\mathrm{HCO_3^-}]=[\mathrm{H^+}]$、$[\mathrm{CO_2^*}]=[\mathrm{H^+}]^2/K_1{}'$ の3段
- 問2エの倍率が出ない → 比べる相手は「空気中の分圧 40.4 Pa」。全圧 $1.01\times10^5$ ではない
- 問3原子量がずれる → 酸化数 $+2$ なので、電子2 mol につき金属1 mol
大問Ⅱ 窒素酸化物と亜硝酸 ── 比色分析の濃度計算を一本の流れで解く
自動車の排ガスに含まれる窒素酸化物から始まり、亜硝酸(弱酸D)の濃度を調べる比色分析の【手順】が示されます。後半の問6〜問9は、標準液の濃度を最初に出しておけば、すべて同じ数字から出せる連続した計算です。
問1・問2空欄ア〜オ、気体A・B、強酸C、弱酸D
水素より小さい金属が希硝酸と反応すると無色の気体Aが出る。Aは空気中で赤褐色の気体Bになり、Bは水と反応して強酸CとAを生じる。この過程で不安定な弱酸Dができる。Dはヘムをもつヘモグロビンの酸素運搬を妨げ、飲用水の水質基準がある。
- ア〜オ:語句または化合物名(ア:金属の性質、イ・ウ:酸化・還元のどちらか、エ:ヘムに結合する気体、オ:ジアゾ化の中間体の塩)
- 問2:気体A、気体B、強酸C、弱酸Dの化合物名
無色の気体が空気中で赤褐色になるのは一酸化窒素 NO(A)が二酸化窒素 $\mathrm{NO_2}$(B)になる変化です。BがH₂Oと反応して強酸の硝酸(C)とAを生じ、途中の不安定な弱酸が亜硝酸 $\mathrm{HNO_2}$(D)です。排ガスの浄化では、触媒がNOやNO₂を還元(ウ)して $\mathrm{N_2}$ に戻すのと並行して、不完全燃焼で生じる一酸化炭素(エ)を酸化(イ)します。Nの $\mathrm{N_2}$ が高温で酸化されることもイに入ります。ア:水素よりイオン化傾向の小さい金属(Cu など)が希硝酸と反応する。オ:芳香族アミンに亜硝酸を作用させて得られる中間体はジアゾニウム塩です。要確認
問3・問4・問5反応式と構造式
問2で出した物質の組み合わせから反応式を書く。問5は、化合物Eから生じる陽イオン。
- 問3:下線部(1)(BがH₂Oと反応してCとAを生じる)の反応式
- 問4:下線部(2)(弱酸D2分子から、2種類の窒素化合物を含む3種類の化合物が生じる)の反応式
- 問5:オ塩を構成する陽イオンの構造式
NO₂のNの酸化数は $+4$。一部は $+5$(HNO₃)へ酸化され、一部は $+2$(NO)へ還元される自己酸化還元です。
HNO₂のNの酸化数は $+3$ で、$+2$(NO)と $+4$(NO₂)に分かれます。窒素化合物が2種類、あわせて3種類の生成物(NO、NO₂、H₂O)という条件に合います。
問5:Eはスルファニルアミド(アミノ基をもつ芳香族化合物)。酸性で亜硝酸と反応するとジアゾ化が起こり、アミノ基 $\mathrm{-NH_2}$ が $\mathrm{-N{\equiv}N^+}$ に変わったジアゾニウムイオンになります。F(ナフチルアミン誘導体)とカップリングして桃赤色のアゾ化合物になる、というのが比色の原理です。
問6温度とグラフ:36 ℃の曲線
同じ濃度の標準液では、呈色の強さは26 ℃と36 ℃で同じだった(実験1の結果)。
- 26 ℃のときの「反応時間と生成物の量」の曲線が図に与えられている
- 36 ℃のときの曲線を、解答欄のグラフに描き込む
温度が高いと反応が速いので、立ち上がりが急になり、早く一定値に達します。呈色の強さが同じとあるので、最後に到達する高さ(生成物の量)は26 ℃と同じです。つまり「急に立ち上がって、同じ高さで早く平らになる」曲線を描きます。要確認
問7呈色の減弱と発生した気体の体積
標準液は $\mathrm{NaNO_2}$ 0.15 g を100 mLにして500倍に希釈したもの。希釈標準液①〜⑤は、標準液を $3.0, 5.0, 10, 15, 20$ mLとり、100 mLにしたもの。
- 95 ℃で反応させた希釈標準液⑤が、26 ℃の③と同じ呈色だった。原因が反応中間体の分解(気体の発生)だけのとき、その気体の体積(95 ℃,$1.0\times10^5$ Pa,有効数字2桁,単位 mL)
標準液の濃度。$\mathrm{NaNO_2}=69.0$。
希釈標準液は $4.35\times10^{-5}\times\dfrac{v}{100}$。③(10 mL)は $4.35\times10^{-6}$、⑤(20 mL)は $8.70\times10^{-6}$ mol/L で、⑤は③のちょうど2倍です。⑤の呈色が③と同じということは、中間体(ジアゾニウムイオン)のちょうど半分が分解したことになります。
分解は $\mathrm{N_2}$ が1個ずつ出る反応(ジアゾニウムイオン1個から $\mathrm{N_2}$ 1個)です。試験管の10 mL中の中間体は $8.70\times10^{-6}\times0.010=8.70\times10^{-8}$ mol、半分で $4.35\times10^{-8}$ mol。
問8井戸水(pH 6.7)の弱酸Dの電離度
pHは 6.7。$\log_{10}2=0.30$ が与えられている。
- 採水時の弱酸Dの電離度(百分率,小数第2位まで)。電離定数は $5.0\times10^{-4}$ mol/L
$[\mathrm{H^+}]=10^{-6.7}=10^{0.30}\times10^{-7}=2.00\times10^{-7}$ mol/L。全濃度を $c$、電離度を $\alpha$ とすると $K_a=\dfrac{[\mathrm{H^+}]\alpha}{1-\alpha}$。
問9水質基準との比較
井戸水は希釈標準液②と同じ強さで呈色した。
- 井戸水(弱酸Dの濃度は希釈標準液②と同じ強さ)は、水質基準(N に換算して 1 L に 0.04 mg 以下)に適合しているか。理由を添える
井戸水の弱酸D(およびそのイオン)の総濃度は②と同じです。②は $4.35\times10^{-5}\times\dfrac{5.0}{100}=2.17\times10^{-6}$ mol/L。Nの質量に換算すると
基準値以下なので、適合している。理由の書き方は「Nに換算して 0.030 mg/L で、基準 0.04 mg/L 以下だから」です。
大問Ⅱ:比色分析の型と着眼点
| 設問 | 型 | 着眼点 |
|---|---|---|
| 問1〜5 | 窒素酸化物・ジアゾ化 | NO→NO₂→HNO₃。自己酸化還元は酸化数で追う |
| 問6 | 反応速度のグラフ | 速さは温度で変わり、到達点(量)は変わらない |
| 問7〜9 | 標準液からの濃度計算 | まず標準液の濃度。⑤=③×2。Nの質量に換算 |
🩺【自己診断】大問Ⅱで手が止まった人への処方箋
- 問1・2A・Bが分からない → 「無色が空気で赤褐色」=NO→NO₂。Cは硝酸、不安定な弱酸Dは亜硝酸
- 問4反応式が合わない → Nの酸化数 $+3\to+2$ と $+4$。2分子で NO,NO₂,H₂O
- 問7体積が出ない → 標準液の濃度→⑤の濃度→10 mL中の物質量→半分→ $V=nRT/P$(Tは368 K)
- 問9換算で迷う → 濃度(mol/L)に原子量14.0をかけて g/L、さらに1000倍で mg/L
大問Ⅲ シキミ酸とオセルタミビル ── 分子量と不飽和度で構造を絞る
環状の有機化合物シキミ酸の構造を、「分子量174・不飽和度3・不斉炭素3つ…」という情報から決めていく構造決定の問題です。後半は、シキミ酸から合成される抗インフルエンザ薬オセルタミビルの加水分解と、判別方法を答えます。
問1・問2アミノ酸の呈色反応・シキミ酸の分子式
植物ではシキミ酸から3種のアミノ酸も合成される。分子量は174、不飽和度は3。
- 問1:3種のアミノ酸(芳香族アミノ酸)を含むペプチドに濃硝酸を加えて加熱すると黄色に、アンモニア水で塩基性にすると橙黄色になる。この3つのアミノ酸に特徴的で、他のアミノ酸にない部分構造の名称
- 問2:シキミ酸の分子式
問1:濃硝酸で黄色、塩基性で橙黄色はキサントプロテイン反応で、ベンゼン環(芳香環)のニトロ化が原因です。要確認
問2:酸素原子はヒドロキシ基とカルボキシ基にしかありません。不飽和度 $X=3$ とすると $b=2(a+1-X)+c$ に $c=0$ を入れて $b=2a-4$。分子量 $174=12a+(2a-4)+16d$。
問3〜問6下線部の意味・二重結合の数・環の炭素数・構造異性体
ほかに「カルボキシ基が直接結合した炭素には水素がついていない」「メチル基をもたない」という情報が与えられている。
- 問3:下線部「ヒドロキシ基をカルボニル基に酸化すると、3つの不斉炭素原子はすべて不斉ではなくなる」が示す構造の情報
- 問4:炭素原子間の二重結合の数
- 問5:環を構成する炭素原子の数
- 問6:可能性のある構造異性体の構造式を4つ(立体異性体は考えない)
問3。ヒドロキシ基をカルボニル基に酸化できるのは第二級アルコール($\mathrm{CH(OH)}$)。酸化すると $\mathrm{C{=}O}$ になり不斉炭素でなくなる。3つの不斉炭素がすべて不斉でなくなったので、不斉炭素の3つはどれもヒドロキシ基がついた炭素。要確認
問4。不飽和度3のうち、カルボキシ基の $\mathrm{C{=}O}$ が1、環が1、残りの1が炭素原子間の二重結合。答えは1。
問5。炭素7個からカルボキシ基の炭素を除いた6個が、メチル基も枝もないのですべて環。
問6。カルボキシ基は環炭素の C1 につき、C1 には水素がない。C1 は不斉炭素ではないので、二重結合は C1 を含む C1=C2 と考えるのが自然です(C1 に水素がなく、不斉炭素がヒドロキシ基つきの3つだけ)。残る C3〜C6 の4つの環炭素のうち、3つが $\mathrm{CH(OH)}$、1つが $\mathrm{CH_2}$。$\mathrm{CH_2}$ の位置が C3・C4・C5・C6 の4通りで、構造異性体は4つ。要確認
問7〜問9オセルタミビルの加水分解・判別・活性体
オセルタミビルはエチルエステルとアセトアミド(アミド結合)を含む。
- 問7:オセルタミビルを加水分解すると3つの化合物に分解する。分子量100以下の2つの構造式
- 問8:常温で無色透明の液体である2つのどちらか分からなくなったとき、判別する方法の空欄ア〜エ(温度・化合物)
- 問9:体内で酵素によりエステルが選択的に加水分解されてできる活性体の構造式(不斉炭素は丸で囲む)
問7。エステル結合の加水分解でエタノール(46)、アミド結合の加水分解で酢酸(60)、残りが分子量の大きい環状の化合物(アミノ基2つとカルボキシ基をもつ)。分子量100以下の2つはエタノールと酢酸。
問8。エタノールの沸点は78 ℃、酢酸は118 ℃。100 ℃に加熱するとエタノールだけが沸騰する。また、酢酸は炭酸より強い酸なので、炭酸水素ナトリウムを加えると $\mathrm{CO_2}$ の泡を出して反応するが、エタノールは変化しない。(別解:酢酸の融点は17 ℃なので、10 ℃に冷やすと酢酸だけが固まる。)要確認
問9。エステル $\mathrm{COOCH_2CH_3}$ だけが加水分解されて $\mathrm{COOH}$ になる(アミドは残る)。活性体はオセルタミビルのカルボン酸で、不斉炭素は環の3か所。要確認
大問Ⅲ:構造決定の型と着眼点
| 設問 | 型 | 着眼点 |
|---|---|---|
| 問2 | 分子式 | 分子量と不飽和度。O原子の数は官能基から |
| 問3〜問6 | 構造の絞り込み | 酸化で不斉でなくなる=第二級アルコール。CH₂の位置が動かせる |
| 問7〜問9 | 薬の化学 | エステルとアミドの加水分解。沸点・酸性で判別 |
🩺【自己診断】大問Ⅲで手が止まった人への処方箋
- 問2分子式が出ない → O原子はOHとCOOH。$a$ が決まれば $b=2(a+1-X)$
- 問3下線部の意味が分からない → ヒドロキシ基→カルボニル基は第二級アルコール。不斉炭素がなくなる=その炭素はヒドロキシ基つき
- 問6異性体の数が合わない → 「OH3つ・CH₂1つ」を C3〜C6 に並べ、CH₂の位置だけ動かす
- 問8判別方法が思い浮かばない → 沸点の差(78 ℃と118 ℃)か、酸としての性質(炭酸水素ナトリウム)
大問Ⅳ アンモニア・第四級アンモニウム塩・イオン交換樹脂 ── 計算は樹脂の質量と電荷勘定
アンモニアとアンモニウムイオンの性質から、第四級アンモニウム塩(相間移動触媒・殺菌消毒剤・陰イオン交換樹脂)へとつながる問題です。前半は語句・反応式・論述、後半の問8・問9は計算で確実に取れる設問です。
問1・問2空欄ア〜キと下線部(1)の反応式
アンモニアの実験室的製法と、第四級アンモニウムイオンの性質についての文章。
- ア〜キ:置換の仕方、アンモニアとアンモニウムイオンの形、新しくできた結合とそれ以前からある結合、溶けやすさ
- 問2:塩化アンモニウムと水酸化カルシウムの混合物を加熱して、アンモニアを発生させる反応式
ア:アンモニアは空気より軽く水に非常によく溶けるので上方置換。イ:三角錐形。ウ:アンモニウムイオンは正四面体形。エ:非共有電子対を使ってできた結合なので配位結合。オ:もともとの N-H は共有結合(できてしまえば区別できない)。カ・キ:$\mathrm{C_{18}H_{37}Cl}$ は有機溶媒に溶けやすく水に溶けにくい。NaCN はイオン結晶で、水に溶けやすく有機溶媒に溶けにくい。要確認
問3〜問7第四級アンモニウム塩:構造式・触媒・殺菌・架橋
第四級アンモニウムイオンは、溶液のpHによらず常に正電荷をもつ。
- 問3:①の反応で $\mathrm{(CH_3)_3N}$ の代わりに化合物C(長鎖アルキル基をもつ第三級アミン)を使った場合の第四級アンモニウム塩Dの構造式と、Dの性質
- 問4:下線部(2)で、塩化テトラブチルアンモニウムを少量加えると②が進行するのはなぜか
- 問5:殺菌消毒剤Aは、塩化ベンジル(クロロメチルベンゼン)とEから合成される。Eの構造式
- 問6:セッケンがAの殺菌作用を弱める理由
- 問7:下線部(3)のジビニルベンゼンは何のために加えるか
問3。Cの窒素原子に $\mathrm{CH_3Cl}$ のメチル基が結合して、窒素は4つの炭素基をもつ正電荷のイオンになる:
Dは、長い疎水性のアルキル基と、水になじむ正電荷の頭部をあわせもつので界面活性剤(陽イオン界面活性剤)としてはたらく。要確認
問4。塩化テトラブチルアンモニウムの陽イオンは、ブチル基が4つあるため水層にも有機層にも存在できます。水層の $\mathrm{CN^-}$ とイオン対をつくって有機層へ運ぶので、有機層の $\mathrm{C_{18}H_{37}Cl}$ と反応でき、生じた $\mathrm{Cl^-}$ を水層へ戻す。つまり相間移動触媒としてはたらく。要確認
問5。Aは $[\mathrm{C_6H_5CH_2{-}N^+(CH_3)_2C_{12}H_{25}}]\mathrm{Cl^-}$。塩化ベンジルのClが窒素に置き換わった形なので、Eはドデシルジメチルアミン $\mathrm{(CH_3)_2N{-}C_{12}H_{25}}$。
問6。セッケンは陰イオン界面活性剤、Aは陽イオン界面活性剤。混ぜると正電荷と負電荷が結びついて、Aの殺菌作用のもとになる正電荷が失われます。要確認
問7。$p$-ジビニルベンゼンは2つのビニル基をもつので、ポリスチレンの鎖どうしを橋かけして網目構造にする(架橋)。これで樹脂は水に溶けず、形を保つ。要確認
問8イオン交換樹脂の質量
原子量:H 1.00,C 12.0,N 14.0,Cl 35.5。
- スチレン $52.0$ g とその $1/5$ の物質量の $p$-ジビニルベンゼンを共重合させた樹脂のスチレン由来のベンゼン環の $p$ 位の水素の $40.0$ % をクロロメチル基に置換し、$\mathrm{(CH_3)_3N}$ を100%反応させてできた陰イオン交換樹脂Bの質量(g,小数第1位)
スチレン $\mathrm{C_8H_8}=104$ は $\dfrac{52.0}{104}=0.500$ mol。ジビニルベンゼン $\mathrm{C_{10}H_{10}}=130$ は $0.100$ mol。共重合体の質量は $52.0+0.100\times130=65.0$ g。
クロロメチル化された位置は $0.500\times0.400=0.200$ mol。1個につき $\mathrm H\to\mathrm{CH_2Cl}$ で $+48.5$($\mathrm{CH_2Cl}=49.5$ から $\mathrm H=1.00$ を引く)。さらに $\mathrm{(CH_3)_3N}$(59.0)が結合して $\mathrm{CH_2N^+(CH_3)_3Cl^-}$ になるので $+59.0$。
問9イオン交換樹脂での電荷勘定
樹脂は陰イオンを吸着して、等しい電荷分の $\mathrm{OH^-}$ を放出する。
- 問8の樹脂を(OH⁻型にして)カラムに詰め、$\mathrm{Na_2SO_4}$ と $\mathrm{NaCl}$ の混合溶液 $15.0$ mL を通した流出液を $0.200$ mol/L の塩酸で滴定したら $10.8$ mL 必要だった。陰イオンの総濃度が $0.116$ mol/L のとき、$\mathrm{Na_2SO_4}$(a)と $\mathrm{NaCl}$(b)の濃度
$\mathrm{SO_4^{2-}}$ は1個につき $\mathrm{OH^-}$ を2個、$\mathrm{Cl^-}$ は1個につき1個放出します。流出液の $\mathrm{OH^-}$ の物質量は滴定から $0.200\times0.0108=2.16\times10^{-3}$ mol。$\mathrm{SO_4^{2-}}$ を $x$ mol、$\mathrm{Cl^-}$ を $y$ mol とすると
大問Ⅳ:型と着眼点
| 設問 | 型 | 着眼点 |
|---|---|---|
| 問1・2 | アンモニア・分子の形・結合 | 上方置換・三角錐・正四面体・配位結合 |
| 問3〜7 | 第四級アンモニウム塩 | 正電荷+長鎖=界面活性剤。相間移動触媒。架橋 |
| 問8・9 | 樹脂の質量・電荷勘定 | 増える質量を段階ごとに足す。$2x+y$ の連立 |
🩺【自己診断】大問Ⅳで手が止まった人への処方箋
- 問3Dの構造式が書けない → ①と同じ反応。窒素にメチル基がもう1つついて $\mathrm{N^+}$ になる
- 問8質量が合わない → 共重合体65.0 g → クロロメチル化 $+9.70$ → アミン化 $+11.8$ の3段
- 問9連立が立たない → $\mathrm{SO_4^{2-}}$ は電荷2、$\mathrm{Cl^-}$ は電荷1。「個数の和」と「電荷の和」の2式
- 問4・6・7論述が書けない → 相間移動触媒/正電荷が打ち消される/架橋、のキーワードを1つ書く
日本医科大2026型 そっくり類題セット
(全4大問・解答解説つき)
2026年度の本番と同じ4大問・同じ設問の構成(大問Ⅰは小問3つ、Ⅱは語句・計算・論述、Ⅲは構造決定、Ⅳは語句・計算)で、題材・数値・設定を変えたTMPSオリジナル問題です。冷却曲線・気体の溶解・電気分解、塩素と次亜塩素酸の比色、構造決定と薬の加水分解、ホスホニウム塩とイオン交換樹脂を、初見の設定で練習できます。
印刷して本番と同じように60分で解けます(解答欄つき)。解答・解説はこのページの下に掲載しています。
※ 日本医科大学の入試問題ではありません。本文・設問・人物・団体(架空)はすべてTMPS医学館が作成したオリジナルで、出典のある引用ではありません。
各問いに答えよ。
硫化水素 $\mathrm{H_2S}$ は水に溶け,溶けている $\mathrm{H_2S}$ を $\mathrm{H_2S(aq)}$ と書くとき,水溶液中では次のように電離する:ア。この反応の平衡定数を $K_1$ とすると,$K_1=$ イ と表される。25 ℃,$1.00\times10^{5}$ Pa の $\mathrm{H_2S}$ と接している純水に $\mathrm{H_2S}$ が溶解して平衡に達したときの pH は 4.00 であった。このとき $[\mathrm{H_2S}]=$ ウ$\times10^{-1}$ mol/L である。
いま,容積不変の容器 A 内に水を入れた小容器 B を置き,25 ℃を保ちながら容器 A に圧力 $4.00\times10^{5}$ Pa の $\mathrm{H_2S}$ を充填し,この圧力を維持している。$\mathrm{H_2S}$ を理想気体とし,ヘンリーの法則が成り立つとすると,小容器 B の水に $\mathrm{H_2S}$ が溶解して平衡に達したとき $[\mathrm{H^+}]=$ エ$\times10^{-4}$ mol/L と計算できる。同一の条件において $\mathrm{H_2S}$ を圧縮率因子 $Z=0.640$ の実在気体として計算しなおすと,$[\mathrm{H^+}]=$ オ$\times10^{-4}$ mol/L となり,pH は カ くなる。なお,$Z$ は実在気体について理想気体($Z=1$)からのずれを表す指標である。
▶ 大問 I の答えと解説を見る
大問 I の答えと解説
- 凝固点は,過冷却が起こらなかったとしたときに凝固が始まる温度である。回復後のなだらかな直線部分を左上へ延長し,過冷却の前の冷却曲線と交わる点の温度が凝固点で,それは (d) である。(c) は延長線が縦軸に達した所なので凝固点ではない。
- 過冷却は,凝固の核となる微小な結晶ができずに液体のまま温度が凝固点より下がった不安定な状態である。核となる結晶を入れる,かき混ぜる・衝撃を与えるなどで結晶化が始まる。
- 実際に結晶ができ始めるのは,過冷却がもっとも進んだ,温度が最低になった点である。その後,凝固熱が放出されて温度が (e) まで上がる。
- 溶媒だけが結晶になり,残った溶液の質量モル濃度が大きくなる。凝固点降下度は濃度に比例するので,凝固点が下がり続け,温度もゆっくり低下する。
- 濃縮が進んで溶質が飽和に達すると,溶質と溶媒が決まった割合で同時に析出する。この間は組成が変わらないので温度が一定になる。
- ア・イ:第1段階の電離は $\mathrm{H_2S(aq)\rightleftharpoons H^+ + HS^-}$。$K_1=\dfrac{[\mathrm{H^+}][\mathrm{HS^-}]}{[\mathrm{H_2S}]}$。
- ウ:電離した $\mathrm{H_2S}$ はごくわずかで,電荷のつりあいから $[\mathrm{HS^-}]=[\mathrm{H^+}]=10^{-4.00}=1.00\times10^{-4}$ mol/L。$[\mathrm{H_2S}]=\dfrac{(1.00\times10^{-4})^2}{1.00\times10^{-7}}=0.100=1.00\times10^{-1}$ mol/L。
- エ:ヘンリーの法則より溶解量は圧力に比例する。圧力が $4$ 倍なので $[\mathrm{H_2S}]=0.400$ mol/L。$[\mathrm{H^+}]=\sqrt{K_1[\mathrm{H_2S}]}=\sqrt{1.00\times10^{-7}\times0.400}=2.00\times10^{-4}$ mol/L。
- オ:実在気体では,同じ圧力でも気体の物質量濃度が理想気体の $1/Z$ 倍になる。そこで溶解に効く実効圧力を $\dfrac{4.00\times10^{5}}{0.640}$ Pa として $[\mathrm{H_2S}]=0.625$ mol/L。$[\mathrm{H^+}]=\sqrt{1.00\times10^{-7}\times0.625}=2.50\times10^{-4}$ mol/L。
- カ:$[\mathrm{H^+}]$ が $2.00\to2.50\times10^{-4}$ と増えるので pH は低くなる。
- 電気量 $Q=2.00\times(80\times60+25)=9650$ C。電子の物質量は $\dfrac{9650}{9.65\times10^4}=0.100$ mol。酸化数 $+1$ なので金属も $0.100$ mol。原子量 $=\dfrac{10.8}{0.100}=108$。
- 硝酸イオンは酸化されにくいので,水が酸化されて酸素が発生する。同時に $\mathrm{H^+}$ が生じるので溶液は酸性になり,青色リトマス紙が赤く変わる。
- 原子量108,酸化数 $+1$,塩酸で白色沈殿 $\mathrm{AgCl}$ を生じる金属は銀。陰イオンは,陽極で水が酸化されたことから硝酸イオン。X は硝酸銀 $\mathrm{AgNO_3}$。
文章を読んで問いに答えよ。
水中の弱酸 D(およびそのイオン)の量は,次のようにして調べることができる。弱酸 D を,ヨウ化カリウムを含む酸性水溶液に加えると,ヨウ化物イオンが イ されて,ヨウ素 $\mathrm{I_2}$ が生じる。ヨウ素はデンプンを加えると ウ 色を示す。また,ヨウ素は過剰のヨウ化物イオンと結合して エ イオンになる。環境水中の弱酸 D の濃度は,弱酸 D のナトリウム塩 オ を標準物質として,下記の【手順】で測定できる。
2. 弱酸 D のナトリウム塩 $0.149$ g をメスフラスコに入れ,蒸留水で溶かしながら全量を $100$ mL とし,この一部をとり正確に $500$ 倍に希釈したものを標準液とする。
3. 5本のメスフラスコを用意し,それぞれに $3.0$ mL,$5.0$ mL,$10$ mL,$15$ mL,または $20$ mL の標準液を入れ,蒸留水を加えて全量を $100$ mL とする。これらを弱酸 D 濃度が低いものから順に,希釈標準液①〜⑤とする。
4. 被検水,蒸留水,希釈標準液①〜⑤について,各 $10$ mL をそれぞれ別の試験管にとり,各試験管に発色試薬 $1.0$ mL を加えて混合し,$20$ 分後に青紫色の呈色の強さを比較する。
▶ 大問 II の答えと解説を見る
大問 II の答えと解説
- ア:弱酸 D は次亜塩素酸 HClO で,強い酸化作用で殺菌する。イ:$\mathrm{HClO+2I^-+H^+\rightarrow I_2+Cl^-+H_2O}$ で,$\mathrm{I^-}$ は酸化される。ウ:ヨウ素デンプン反応は青紫色。エ:$\mathrm{I_2+I^-\rightleftharpoons I_3^-}$(三ヨウ化物イオン)。オ:次亜塩素酸のナトリウム塩は次亜塩素酸ナトリウム NaClO(式量74.5。$0.149$ g は $2.00\times10^{-3}$ mol)。
- 黄緑色の有毒な気体は塩素。$\mathrm{Cl_2+H_2O\rightleftharpoons HCl+HClO}$ で,強酸 C は塩化水素(水溶液は塩酸),弱酸 D は次亜塩素酸。$\mathrm{2HClO\rightarrow 2HCl+O_2}$ から,気体 B は酸素。
- 塩素は水に少し溶け,一部が水と反応して塩化水素と次亜塩素酸になる(可逆)。塩素の酸化数は $0\to-1$(HCl)と $0\to+1$(HClO)に分かれる自己酸化還元反応。
- 塩素の酸化数は $+1$。一部が $-1$(HCl)に還元され,一部が $+5$(HClO$_3$)に酸化される。電子のやりとりを合わせると,$+1\to-1$ が2個,$+1\to+5$ が1個:$\mathrm{3HClO\rightarrow2HCl+HClO_3}$。原子数も合う。
- $\mathrm{I_3^-}$ は,$\mathrm{I_2}$ に $\mathrm{I^-}$ が配位した直線形のイオン。構造式は $[\mathrm{I{-}I{-}I}]^-$。
- 温度が高いと反応が速くなるので,立ち上がりは急になり,早く平らになる。呈色の強さは26 ℃と36 ℃で同じなので,最終的な生成物の量(平らな部分の高さ)は同じ。解説の図を参照。
- 標準液の濃度は $\dfrac{2.00\times10^{-3}\ \mathrm{mol}}{0.100\ \mathrm L}\times\dfrac1{500}=4.00\times10^{-5}$ mol/L。希釈標準液③は $4.00\times10^{-6}$ mol/L,⑤は $8.00\times10^{-6}$ mol/L(③の2倍)。
- $95$ ℃の⑤が $26$ ℃の③と同じ呈色なので,生じたヨウ素の半分が揮発した。試験管の $10$ mL 中のヨウ素は $\mathrm{HClO}$ と1:1 で生じるから $8.00\times10^{-6}\times0.010=8.00\times10^{-8}$ mol,揮発したのはその半分 $4.00\times10^{-8}$ mol。
- $V=\dfrac{nRT}{P}=\dfrac{4.00\times10^{-8}\times8.31\times10^{3}\times368}{1.0\times10^{5}}=1.22\times10^{-6}$ L $=1.2\times10^{-3}$ mL。
- $\mathrm{HClO\rightleftharpoons H^++ClO^-}$。全濃度を $c$,電離度を $\alpha$ とすると $\dfrac{[\mathrm{H^+}]\,\alpha}{1-\alpha}=K_a$。$[\mathrm{H^+}]=4.0\times10^{-8}$ より $\alpha=\dfrac{K_a}{K_a+[\mathrm{H^+}]}=\dfrac{3.0\times10^{-8}}{3.0\times10^{-8}+4.0\times10^{-8}}=0.4286$,すなわち $42.86$ %。
- 井戸水は希釈標準液②と同じ呈色なので,弱酸 D の総濃度は②と同じ。②は $4.00\times10^{-5}\times\dfrac{5.0}{100}=2.00\times10^{-6}$ mol/L。
- Cl の質量に換算すると $2.00\times10^{-6}\times35.5=7.1\times10^{-5}$ g/L $=0.071$ mg/L。基準値 $0.1$ mg/L 以上に満たないので,適合していない。
文章を読んで問いに答えよ。
キナ酸の構造に関しては以下の情報がある。
・分子量は $192$,不飽和度は $2$ である。<br>・ヒドロキシ基をカルボニル基に酸化できる炭素原子は3つあり,(下線)これらをすべて酸化すると,4つの不斉炭素原子はすべて不斉ではなくなる。<br>・カルボキシ基が直接結合した炭素原子には,水素原子が結合していない。<br>・メチル基をもたない。<br>なお,不飽和度は,分子式 $\mathrm{C_{a}H_{b}N_{c}O_{d}}$ の化合物では $b=2(a+1-X)+c$ を満たす $X$ で表される。
・温度を ア とき,イ。
・化合物 ウ を加えて反応させたとき,エ。
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大問 III の答えと解説
- ミロン反応はチロシンに特有で,ベンゼン環に直接結合したヒドロキシ基(フェノール性ヒドロキシ基)が反応する。
- ヒドロキシ基とカルボキシ基だけで $\mathrm{O}$ が $6$ 個($\mathrm{OH}\times4$,$\mathrm{COOH}$)。$192=12a+b+16\times6$ で $a=7$,$b=12$。不飽和度 $X=a+1-\dfrac b2=7+1-6=2$ とも合う。
- ヒドロキシ基をカルボニル基に酸化できるのは第二級アルコール($\mathrm{CH(OH)}$)で,3つある。酸化すると,それらの炭素は $\mathrm{C{=}O}$ となり不斉でなくなる。残る1つの不斉炭素(カルボキシ基と $\mathrm{OH}$ をもつ炭素)も不斉でなくなるのは,その炭素の両側の環が同じ構造になるため。つまり3つの $\mathrm{CH(OH)}$ はカルボキシ基の炭素を通る対称軸について対称な位置にある。
- 不飽和度 $2$ のうち,カルボキシ基の $\mathrm{C{=}O}$ が $1$,環が $1$。よって炭素原子間の二重結合は $0$ 個。
- 炭素は全部で $7$ 個。カルボキシ基の炭素を除くと $6$ 個で,メチル基がなく鎖状の置換基もないので,$6$ 個すべてが環を構成する。
- 環の1つの炭素にカルボキシ基と $\mathrm{OH}$ が結合(水素なし)。残り5つの環炭素のうち3つに $\mathrm{CH(OH)}$ があり,対称軸について対称な位置にあるのは「3,4,5位」と「2,4,6位」の2つ。
- P にはエステル結合($\mathrm{COOCH_3}$)とアミド結合($\mathrm{NHCOCH_2CH_3}$)が1つずつある。加水分解で,メタノール $\mathrm{CH_3OH}$(32),プロピオン酸 $\mathrm{CH_3CH_2COOH}$(74),フェニルアラニン(165)の3つになる。分子量100以下の2つはメタノールとプロピオン酸。
- 沸点はメタノール $65$ ℃,プロピオン酸 $141$ ℃。$70$ ℃に温めるとメタノールだけが沸騰する。また,カルボン酸は炭酸より強い酸なので,炭酸水素ナトリウムと反応して $\mathrm{CO_2}$ を出す。アルコールは反応しない。
- エステル $\mathrm{COOCH_3}$ だけが加水分解されて $\mathrm{COOH}$ になる。アミド結合は残る。不斉炭素は,$\mathrm{COOH}$,$\mathrm{NHCOC_2H_5}$,$\mathrm{CH_2C_6H_5}$,$\mathrm{H}$ の4種が結合した炭素1つ。
文章を読んで問いに答えよ。
ホスフィンの3個の水素原子を炭化水素基で置換したものを第三級ホスフィンとよぶ。第三級ホスフィンである $\mathrm{(CH_3)_3P}$ に $\mathrm{CH_3Br}$ を反応させると ① の反応が起こる。<br>$\mathrm{(CH_3)_3P + CH_3{-}Br \longrightarrow [(CH_3)_4P]^+\,Br^-}$ ……①<br>ホスホニウムイオンの4個の水素原子を炭化水素基で置換したものは第四級ホスホニウムイオンとよばれ,陰イオンとの塩は第四級ホスホニウム塩とよばれる。第四級ホスホニウムイオンの特徴は,溶液の pH に左右されず常に正電荷をもつことである。第四級ホスホニウム塩である臭化テトラブチルホスホニウム $\mathrm{(C_4H_9)_4P^+Br^-}$ は,塩ではあるがブチル基を4個もつため,水にも有機溶媒にも溶けやすい。<br>$\mathrm{C_{12}H_{25}Br}$ は有機溶媒に溶け カ が水に溶け キ。一方で,KCN は水に溶け カ が有機溶媒に溶け キ。そのため,$\mathrm{C_{12}H_{25}Br}$ の溶液と KCN の溶液は2層に分離してしまい,このままでは ② の反応は進まない。ところが,2層になっている $\mathrm{C_{12}H_{25}Br}$ の溶液と KCN の溶液に,$_{(2)}$臭化テトラブチルホスホニウムを少量加えると ② の反応が進行するようになる。<br>$\mathrm{C_{12}H_{25}{-}Br + KCN \longrightarrow C_{12}H_{25}{-}CN + KBr}$ ……②<br>第四級のオニウム塩は殺菌消毒剤としても用いられる。A′ はその代表的なもので,うがい薬や,口腔の消毒などに用いられる。第四級アンモニウム塩をもつ高分子として,B′ のような部分構造をもつイオン交換樹脂がある。<br>スチレン $41.6$ g に対し,スチレンの物質量の $\dfrac18$ の $p$-ジビニルベンゼンを混合し共重合させてポリスチレン樹脂を合成した。$_{(3)}$この樹脂のスチレンに由来するベンゼン環の $p$-位の水素原子の $30.0$ % をスルホ基($\mathrm{-SO_3H}$)に置換する反応を行い,$_{(4)}$B′ の部分構造をもつ(H$^+$ 型)陽イオン交換樹脂が生成した。
▶ 大問 IV の答えと解説を見る
大問 IV の答えと解説
- ホスフィンは水に溶けにくいので水上置換。分子は三角錐形,$\mathrm{PH_4^+}$ は正四面体形。$\mathrm{H^+}$ との結合は,$\mathrm{P}$ の非共有電子対を使った配位結合だが,できてしまえば他の $\mathrm{P{-}H}$ 結合(共有結合)と区別できない。$\mathrm{C_{12}H_{25}Br}$ は有機溶媒に溶けやすく水に溶けにくい。KCN はイオン結晶で,水に溶けやすく有機溶媒に溶けにくい。
- 黄リンは $\mathrm{NaOH}$ 水溶液中で不均化し,$\mathrm{PH_3}$($\mathrm{P}$ の酸化数 $-3$)と $\mathrm{NaH_2PO_2}$($+1$)になる。$\mathrm{P}$ は $4=1+3$,$\mathrm{Na}$ は $3$,$\mathrm{O}$ は左 $3+3=6$ で右 $3\times2=6$,$\mathrm{H}$ は左 $3+6=9$ で右 $3+3\times2=9$。
- C′ の P に $\mathrm{CH_3Br}$ のメチル基が結合し,P は4つの炭素基をもつ正電荷のイオンになる:$\mathrm{C_{16}H_{33}P(CH_3)_2+CH_3Br\rightarrow[C_{16}H_{33}P(CH_3)_3]^+Br^-}$。長い疎水基と,水になじむ正電荷の頭部をあわせもつので,界面活性剤になる。
- ブチル基が4つあるため有機溶媒にも溶ける $\mathrm{(C_4H_9)_4P^+}$ が,水層の $\mathrm{CN^-}$ と組んでイオン対 $\mathrm{(C_4H_9)_4P^+CN^-}$ になり,有機層に移る。有機層で $\mathrm{C_{12}H_{25}Br}$ と反応し $\mathrm{Br^-}$ を出して水層側へ戻ることをくり返すので,少量で反応が進む。
- A′ は $\mathrm{C_{16}H_{33}{-}N^+C_5H_5\ Cl^-}$(ヘキサデシル基がピリジンの N に結合)。$\mathrm{C_{16}H_{33}Cl+C_5H_5N\rightarrow[C_{16}H_{33}NC_5H_5]^+Cl^-}$ で,E はピリジン。
- セッケンは陰イオン界面活性剤,A′ は陽イオン界面活性剤。混ぜると互いの電荷を打ち消してイオン対ができ,A′ の正電荷がはたらかなくなる。
- $p$-ジビニルベンゼンは二つのビニル基をもつので,2本のポリスチレン鎖をつなげる架橋の役目をする。網目状になることで,水に溶けず,形を保つイオン交換樹脂になる。
- スチレン($\mathrm{C_8H_8}=104$)は $\dfrac{41.6}{104}=0.400$ mol。$p$-ジビニルベンゼン($\mathrm{C_{10}H_{10}}=130$)は $0.400\times\dfrac18=0.0500$ mol。共重合体の質量は $41.6+0.0500\times130=48.1$ g。
- スルホ基は $0.400\times0.300=0.120$ mol。$\mathrm{H}$ が $\mathrm{SO_3H}$ に置き換わると 1 個あたり $(32.1+48.0+1.00)-1.00=80.1$ 増える。$0.120\times80.1=9.61$ g。合計 $48.1+9.61=57.7$ g。
- 樹脂は $\mathrm{H^+}$ 型で,$\mathrm{Na^+}$ 1個につき $\mathrm{H^+}$ 1個,$\mathrm{Ca^{2+}}$ 1個につき $\mathrm{H^+}$ 2個を放出する。放出された $\mathrm{H^+}$ の物質量は $0.100\times0.0240=2.40\times10^{-3}$ mol。
- 混合溶液 $20.0$ mL 中の $\mathrm{Na^+}$ を $x$ mol,$\mathrm{Ca^{2+}}$ を $y$ mol とすると,$x+y=0.100\times0.0200=2.00\times10^{-3}$,$x+2y=2.40\times10^{-3}$。$y=4.0\times10^{-4}$,$x=1.6\times10^{-3}$。
- $[\mathrm{NaCl}]=\dfrac{1.6\times10^{-3}}{0.0200}=0.0800$ mol/L,$[\mathrm{CaCl_2}]=\dfrac{4.0\times10^{-4}}{0.0200}=0.0200$ mol/L。
※ 類題は、本番の解き方の骨格は残しつつ、題材・数値・設定を変えて作っています(大問Ⅰは硫化水素・硝酸銀、大問Ⅱは塩素と次亜塩素酸のヨウ素による比色、大問Ⅲはキナ酸とフェニルアラニン誘導体、大問Ⅳはホスフィンとスルホ基をもつ樹脂)。計算・反応式・構造の数は、すべてスクリプトで確かめてあります。論述・語句の答えは、知識に基づくTMPSの模範解答です。
30秒 得点診断
本番の過去問、またはそっくり類題セットを60分で解いた結果を選んでください。次にやるべきことを表示します。
保護者の方へ:日本医科大の化学で知っておきたい3つのこと
よくある質問
Q. 日本医科大学 医学部の化学2026年度は、どの順番で解くのがよいですか?
TMPSのおすすめは、大問Ⅰ(小問集合)15分、大問Ⅱ(窒素酸化物と比色分析)15分、大問Ⅲ(シキミ酸の構造決定)15分、大問Ⅳ(アンモニウム塩とイオン交換樹脂)12分、見直し3分です。理科は2科目で120分なので、化学を60分で終える想定です。計算で確実に取れる設問(Ⅰ問2・問3、Ⅳ問8・問9、Ⅱ問7〜9)から先に取り、知識・論述は後回しにする人も多いです。
Q. 問題文が載っていなくても、どんな問題か分かりますか?
分かります。著作権に配慮して問題本文・図・構造式は掲載していませんが、各小問の最初に「どういう問題か」として、設定・何を答えるか・解答欄の記号との対応をTMPSの言葉で説明しています。
Q. 論述や構造式の問題はどう確かめていますか?
計算問題と反応式の原子数・電荷の保存、分子式・異性体の数は、プログラムで独立に確かめています。知識問題や論述の答え、グラフの読み取りは、プログラムでは確かめられないので「要確認」の印をつけ、お手元の問題用紙・解答と見比べられるようにしています。
Q. そっくり類題セットとは何ですか?
2026年度と同じ4大問・同じ設問の構成(大問Ⅰは小問3つ、Ⅱは語句・計算・論述、Ⅲは構造決定、Ⅳは語句・計算)で、題材・数値・設定を変えたTMPSオリジナル問題です。全問の答え・解説をこのページに掲載し、問題冊子PDFも無料で配布しています。
Q. 解説に誤りを見つけたらどうすればいいですか?
公式LINEからお知らせください。確認のうえ修正し、更新日を記載します。
問題等で誤りを発見された場合、修正しますので、TMPS医学館までLINEを下さい。
受験生・指導者の皆様からのご指摘を真摯に受け止め、最も信頼できる過去問解説・類題ライブラリーとして随時アップデートいたします。
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