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東北医科薬科大学 医学部 化学 全問題・超図解解説

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理系AIコーチ Sora先生
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「これより〜となる」の省略はゼロ!東北医科薬科大学(2024年度)化学をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系コーチSora(ソラ)です。市販の過去問集(赤本など)で計算の途中式が1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、東北医科薬科大学(2024年度)の化学について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と思考プロセスをすべて公開しています!

試験問題 冒頭与えられた数値・条件

・原子量:$\mathrm{H} = 1.00,\ \mathrm{C} = 12.0,\ \mathrm{N} = 14.0,\ \mathrm{O} = 16.0,\ \mathrm{Na} = 23.0,\ \mathrm{P} = 31.0,\ \mathrm{Cl} = 35.5,\ \mathrm{K} = 39.0,\ \mathrm{Mn} = 55.0,\ \mathrm{Sn} = 119$
・対数値:$\log_{10} 2 = 0.301,\ \log_{10} 3 = 0.477$
・水のイオン積($25\ {}^\circ\mathrm{C}$):$K_{\mathrm{w}} = 1.0 \times 10^{-14}\ (\mathrm{mol/L})^2$
・気体条件:標準状態($0\ {}^\circ\mathrm{C},\ 1.013 \times 10^5\ \mathrm{Pa}$)におけるモル体積は $22.4\ \mathrm{L/mol}$

⚡ 解答一覧(スピードチェック)

全26マーク完全対応

【 I 】酸化還元・COD

  • 問1 1⑧ (8, 5, 4)
  • 問2 2④ (a, e)
  • 問3 3⑥ (b, d)
  • 問4 4⑨ (a, c, dのみ)
  • 問5 5⑦ (a, b, cのみ)
  • 問6 6③ ($3.0\times 10^{-1}$)
  • 問7 7⑧ ($7.0\ \mathrm{mg}$)

【 II 】リン酸の3段階電離

  • 問1 8⑩ (弱酸・塩/弱塩基・塩)
  • 問2 9⑤ ($5.0\times 10^{-2}$)
  • 問3 10⑤ ($0.20$)
  • 問4 11⑥ ($1.26$)
  • 問5 12④ ($6.92$)
  • 問6 13① ($10.3$)

【 III 】芳香族の分離・反応

  • 問1 14③ (黒色の沈殿)
  • 問2 15② (HCl / NaHCO₃ / NaOH)
  • 問3 16⑤ (メチル > NH₃ > A)
  • 問4 17⑥ ($6$種類)
  • 問5 18④ (Sn $1.5$, HCl $7.0$)
  • 問6 19⑨ ($90\ \%$)

【 IV 】核酸・ペプチド同定

  • 問1 20⑧ (ヌクレオチド等)
  • 問2 21⑦ (エステル/水素/ペプチド)
  • 問3 22① ($20\ \%$, $2.4$本)
  • 問4 23⑥ (キサント / PbS)
  • 問5 24③ (A, E)
  • 問6 25③ (Cのみ)
  • 問7 26④ ($40.0\ \mathrm{mg}$)

【 I 】酸化還元反応・滴定・化学的酸素要求量(COD)

解答番号 1 〜 7|目標時間:12分
Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

大問Iは酸化還元の王道セットだよ!ここは全問正解してスタートダッシュを切りたいところ!
一番のヒッカケは問3の「過酸化水素 $\mathrm{H_2O_2}$ の $\underline{\mathrm{O}}$ の酸化数($-1$)」と「有機化合物の $\underline{\mathrm{C}}$ の酸化数」、そして問5の「過マンガン酸滴定の終点の色(赤紫色が消えたときではなく、わずかに残ったとき!)」だよ。最後のCOD計算(問7)も、受け取る電子 $\mathrm{e}^-$ の物質量をイコールで結ぶだけで秒殺できるから、一緒に1ステップずつ確認しよう!

【リード文】

硫酸酸性条件下で、過マンガン酸カリウム $\mathrm{KMnO_4}$ が酸化剤としてはたらくときのイオン反応式は、(1)式のように表される。
$$\mathrm{MnO_4^-} + \fbox{ ア }\ \mathrm{H^+} + \fbox{ イ }\ \mathrm{e^-} \longrightarrow \mathrm{Mn^{2+}} + \fbox{ ウ }\ \mathrm{H_2O} \quad \cdots\cdots (1)$$ また、過酸化水素 $\mathrm{H_2O_2}$ が還元剤としてはたらくときのイオン反応式は、(2)式のように表される。
$$\mathrm{H_2O_2} \longrightarrow \mathrm{O_2} + 2\mathrm{H^+} + 2\mathrm{e^-} \quad \cdots\cdots (2)$$ 硫酸酸性条件下で、$\mathrm{KMnO_4}$ と $\mathrm{H_2O_2}$ を反応させると、酸素 $\mathrm{O_2}$ が発生する。
酸素 $\mathrm{O_2}$ が硫酸酸性条件下で酸化剤としてはたらくときのイオン反応式は、(3)式のように表される。
$$\mathrm{O_2} + 4\mathrm{H^+} + 4\mathrm{e^-} \longrightarrow 2\mathrm{H_2O} \quad \cdots\cdots (3)$$

問1 半反応式の係数決定(解答番号 1)

$\fbox{ ア } \sim \fbox{ ウ }$ にあてはまる係数の正しい組合せを選び、その番号を 1 にマークしなさい。

【Step 1】半反応式を作る「4ステップ黄金ルール」で組み立てよう!

  1. 骨格を書く:硫酸酸性では $\mathrm{MnO_4^-}$(赤紫色)は $\mathrm{Mn^{2+}}$(淡桃色〜ほぼ無色)になる。
    $\mathrm{MnO_4^-} \longrightarrow \mathrm{Mn^{2+}}$
  2. 酸素原子 $\mathrm{O}$ の数を $\mathrm{H_2O}$ で合わせる:左辺に $\mathrm{O}$ が $4$ 個あるので、右辺に $4\mathrm{H_2O}$ を足す(よって ウ = $4$)。
    $\mathrm{MnO_4^-} \longrightarrow \mathrm{Mn^{2+}} + 4\mathrm{H_2O}$
  3. 水素原子 $\mathrm{H}$ の数を $\mathrm{H^+}$ で合わせる:右辺に $\mathrm{H}$ が $4 \times 2 = 8$ 個あるので、左辺に $8\mathrm{H^+}$ を足す(よって ア = $8$)。
    $\mathrm{MnO_4^-} + 8\mathrm{H^+} \longrightarrow \mathrm{Mn^{2+}} + 4\mathrm{H_2O}$
  4. 電荷(プラス・マイナス)を電子 $\mathrm{e^-}$ で合わせる:
    左辺の電荷合計 $= (-1) + (+1)\times 8 = +7$
    右辺の電荷合計 $= (+2) + 0 = +2$
    左辺の方が $+5$ 大きいので、左辺にマイナス電荷の電子 $5\mathrm{e^-}$ を足す(よって イ = $5$)。

したがって、ア $= 8$、イ $= 5$、ウ $= 4$ となり、正解は ⑧ です。

問2 金属のイオン化傾向と反応性(解答番号 2)

つぎの記述のうち、正しいものの組合せを選び、その番号を 2 にマークしなさい。
a 一般に、イオン化傾向の大きな金属ほど酸化されやすい。
b カルシウム $\mathrm{Ca}$ の単体は、常温の水とは反応しないが、熱水と反応して水素 $\mathrm{H_2}$ を発生する。
c 白金 $\mathrm{Pt}$ の単体は、濃硫酸や硝酸には溶けにくいが、熱濃硫酸にはよく溶ける。
d 金 $\mathrm{Au}$ の単体は、イオン化傾向が極めて小さいので、濃硝酸にも王水にもほとんど溶けない。
e 銅 $\mathrm{Cu}$ の単体を、濃硝酸と反応させると二酸化窒素 $\mathrm{NO_2}$ を発生し、希硝酸と反応させると一酸化窒素 $\mathrm{NO}$ を発生する。

【Step 1】選択肢 a 〜 e を1つずつ正誤判定しよう!

  • a【正しい ⭕】:イオン化傾向が大きい=「電子 $\mathrm{e^-}$ を放出して陽イオンになりやすい」ということです。電子を失う反応は酸化なので、イオン化傾向が大きい金属ほど酸化されやすい(=強い還元剤になる)です。
  • b【誤り ❌】:アルカリ金属($\mathrm{Li, Na, K}$)およびアルカリ土類金属($\mathrm{Ca, Sr, Ba}$)は、常温の水(冷水)と激しく反応して水素 $\mathrm{H_2}$ を発生します($\mathrm{Ca} + 2\mathrm{H_2O} \longrightarrow \mathrm{Ca(OH)_2} + \mathrm{H_2}\uparrow$)。「常温の水とは反応しないが、熱水と反応する」のはマグネシウム $\mathrm{Mg}$ です!超頻出の引っかけ!
  • c【誤り ❌】:イオン化傾向の列の右端にある白金 $\mathrm{Pt}$ と金 $\mathrm{Au}$ は、硝酸や熱濃硫酸にも溶けません(溶けるのは王水のみ)。熱濃硫酸に溶けるのは $\mathrm{Cu, Hg, Ag}$ です。
  • d【誤り ❌】:金 $\mathrm{Au}$ や白金 $\mathrm{Pt}$ は、濃硝酸には溶けませんが、王水(濃硝酸と濃塩酸を体積比 $1 : 3$ で混合した液体)には溶けます。
  • e【正しい ⭕】:銅 $\mathrm{Cu}$ と硝酸の反応は医学部入試の超定番!
    ・濃硝酸:$\mathrm{Cu} + 4\mathrm{HNO_3} \longrightarrow \mathrm{Cu(NO_3)_2} + 2\mathrm{H_2O} + 2\mathbf{NO_2}\uparrow$(赤褐色気体)
    ・希硝酸:$3\mathrm{Cu} + 8\mathrm{HNO_3} \longrightarrow 3\mathrm{Cu(NO_3)_2} + 4\mathrm{H_2O} + 2\mathbf{NO}\uparrow$(無色気体)

正しい組合せは (a, e) なので、正解は ④ です。

問3 酸化数の大小比較(解答番号 3)

つぎの a〜e において、下線で示す原子の酸化数が大きい順に並べたものの正しい組合せを選び、その番号を 3 にマークしなさい。
a $\mathrm{H_3\underline{P}O_4} > \mathrm{\underline{Cr}_2O_7^{2-}} > \mathrm{K\underline{Cl}O_3} > \mathrm{\underline{S}O_3^{2-}}$
b $\mathrm{\underline{Cr}_2O_7^{2-}} > \mathrm{K\underline{Cl}O_3} > \mathrm{\underline{S}O_3^{2-}} > \mathrm{(\underline{C}OOH)_2}$
c $\mathrm{K\underline{Cl}O_3} > \mathrm{(\underline{C}OOH)_2} > \mathrm{\underline{S}O_3^{2-}} > \mathrm{\underline{Fe}^{2+}}$
d $\mathrm{(\underline{C}OOH)_2} > \mathrm{H_2\underline{O}_2} > \mathrm{\underline{C}H_3OH} > \mathrm{\underline{N}H_4^+}$
e $\mathrm{\underline{Fe}^{2+}} > \mathrm{\underline{H}_2} > \mathrm{\underline{C}H_3OH} > \mathrm{H_2\underline{O}_2}$

【Step 1】登場するすべての下線原子の酸化数を先に計算しよう!

※基本ルール:化合物中の $\mathrm{H} = +1,\ \mathrm{O} = -2$(ただし過酸化物 $\mathrm{H_2O_2}$ の $\mathrm{O} = -1$)、アルカリ金属 $\mathrm{K} = +1$。全体の電荷=酸化数の総和。

・$\mathrm{H_3\underline{P}O_4}$:$(+1)\times 3 + x + (-2)\times 4 = 0 \implies \mathbf{x = +5}$
・$\mathrm{\underline{Cr}_2O_7^{2-}}$:$2x + (-2)\times 7 = -2 \implies 2x = +12 \implies \mathbf{x = +6}$
・$\mathrm{K\underline{Cl}O_3}$:$(+1) + x + (-2)\times 3 = 0 \implies \mathbf{x = +5}$
・$\mathrm{\underline{S}O_3^{2-}}$:$x + (-2)\times 3 = -2 \implies \mathbf{x = +4}$
・$\mathrm{(\underline{C}OOH)_2}$($\mathrm{H_2C_2O_4}$):$(+1)\times 2 + 2x + (-2)\times 4 = 0 \implies \mathbf{x = +3}$
・$\mathrm{\underline{Fe}^{2+}}$:単原子イオンは価数そのまま $\implies \mathbf{x = +2}$
・$\mathrm{\underline{H}_2}$:単体の酸化数は $0 \implies \mathbf{x = 0}$
・$\mathrm{H_2\underline{O}_2}$:過酸化水素の酸素は例外! $\implies \mathbf{x = -1}$
・$\mathrm{\underline{C}H_3OH}$($\mathrm{CH_4O}$):$x + (+1)\times 4 + (-2) = 0 \implies \mathbf{x = -2}$
・$\mathrm{\underline{N}H_4^+}$:$x + (+1)\times 4 = +1 \implies \mathbf{x = -3}$

【Step 2】a〜e の不等号が成り立つかチェック!

  • a:$(+5) > (+6) > (+5) > (+4)$ ── 最初が逆なので 誤り ❌
  • b:$(+6) > (+5) > (+4) > (+3)$ ── 完全に大きい順! 正しい ⭕
  • c:$(+5) > (+3) > (+4) > (+2)$ ── $+3$ と $+4$ が逆なので 誤り ❌
  • d:$(+3) > (-1) > (-2) > (-3)$ ── 完全に大きい順! 正しい ⭕
  • e:$(+2) > (0) > (-2) > (-1)$ ── 最後の $-2$ と $-1$ が逆なので 誤り ❌

正しい組合せは (b, d) なので、正解は ⑥ です。

問4 酸化された原子の判定(解答番号 4)

つぎの a〜d の反応において、下線で示す原子が酸化されたものをすべて含んだ組合せを選び、その番号を 4 にマークしなさい。
a $\mathrm{H_2\underline{S}} + \mathrm{Cl_2} \longrightarrow 2\mathrm{HCl} + \mathrm{S}$
b $2\mathrm{\underline{F}_2} + 2\mathrm{H_2O} \longrightarrow 4\mathrm{HF} + \mathrm{O_2}$
c $\mathrm{\underline{Cu}} + \mathrm{Cl_2} \longrightarrow \mathrm{CuCl_2}$
d $\mathrm{\underline{Fe}} + \mathrm{S} \longrightarrow \mathrm{FeS}$

【Step 1】「酸化された」=「酸化数が増加した」ものを探そう!

  • a:$\mathrm{H_2\underline{S}}$ の $\mathrm{S}$($-2$)$\longrightarrow$ 単体 $\mathrm{S}$($0$)。酸化数が $-2 \to 0$ に増加(酸化された ⭕)。
  • b:単体 $\mathrm{\underline{F}_2}$ の $\mathrm{F}$($0$)$\longrightarrow \mathrm{HF}$ の $\mathrm{F}$($-1$)。酸化数が $0 \to -1$ に減少(還元された ❌)。※フッ素 $\mathrm{F_2}$ は全物質中で最強の酸化剤であり、他の物質に酸化されることは絶対にありません!
  • c:単体 $\mathrm{\underline{Cu}}$($0$)$\longrightarrow \mathrm{CuCl_2}$ の $\mathrm{Cu}$($+2$)。酸化数が $0 \to +2$ に増加(酸化された ⭕)。
  • d:単体 $\mathrm{\underline{Fe}}$($0$)$\longrightarrow \mathrm{FeS}$ の $\mathrm{Fe}$($+2$)。酸化数が $0 \to +2$ に増加(酸化された ⭕)。

酸化されたものは a, c, d のみ なので、正解は ⑨ です。

問5・問6 過酸化水素水の過マンガン酸滴定(解答番号 5・6)

問5, 6 濃度未知の過酸化水素 $\mathrm{H_2O_2}$ の水溶液 A がある。この水溶液 A $10\ \mathrm{mL}$ をコニカルビーカーに入れた後、希硫酸酸性下、$4.0 \times 10^{-2}\ \mathrm{mol/L}$ の過マンガン酸カリウム $\mathrm{KMnO_4}$ 水溶液を用いて滴定を行ったところ、$30\ \mathrm{mL}$ 滴下したところで終点に達した。

問5 本滴定に関するつぎの記述のうち、正しいものをすべて含んだ組合せを選び、その番号を 5 にマークしなさい。
a $\mathrm{KMnO_4}$ は酸化剤であるとともに、指示薬の役割を兼ねている。
b 希硫酸の代わりに希塩酸酸性下で滴定を行うと、$\mathrm{KMnO_4}$ に対して塩化水素 $\mathrm{HCl}$ が還元剤としてはたらき、$\mathrm{KMnO_4}$ の一部が消費される。
c 希硫酸を加えないで中性や塩基性下で滴定を行うと、黒色〜黒褐色の沈殿が生じる。
d 終点は、コニカルビーカーの水溶液の赤紫色が完全に消失したときである。

問6 $\mathrm{H_2O_2}$ 水溶液 A のモル濃度は何 $\mathrm{mol/L}$ か。最も近いものを選び、その番号を 6 にマークしなさい。

【問5の解説】過マンガン酸滴定の重要ポイント4選!

  • a【正しい ⭕】:$\mathrm{MnO_4^-}$ 自身が濃い赤紫色をしており、反応して $\mathrm{Mn^{2+}}$ になるとほぼ無色になります。そのため、別に指示薬を入れる必要がなく、$\mathrm{KMnO_4}$ 自身が指示薬の役割を兼ねます。
  • b【正しい ⭕】:酸性にするために塩酸 $\mathrm{HCl}$ を使うと、塩化物イオン $\mathrm{Cl^-}$ が $\mathrm{MnO_4^-}$ によって酸化されて塩素 $\mathrm{Cl_2}$ になり($2\mathrm{Cl^-} \longrightarrow \mathrm{Cl_2} + 2\mathrm{e^-}$)、余分に $\mathrm{KMnO_4}$ が消費されてしまいます(また硝酸 $\mathrm{HNO_3}$ はそれ自身が酸化剤なので不可)。だから必ず希硫酸 $\mathrm{H_2SO_4}$ を使います!
  • c【正しい ⭕】:中性・塩基性条件下では、$\mathrm{MnO_4^-}$ は $\mathrm{Mn^{2+}}$ まで還元されず、酸化数 $+4$ の酸化マンガン(IV) $\mathrm{MnO_2}$ の黒褐色沈殿($\mathrm{MnO_4^-} + 2\mathrm{H_2O} + 3\mathrm{e^-} \longrightarrow \mathrm{MnO_2}\downarrow + 4\mathrm{OH^-}$)を生じてしまい、終点が分からなくなります。
  • d【誤り ❌】:コニカルビーカーには無色の $\mathrm{H_2O_2}$ 水溶液が入っており、ビュレットから赤紫色の $\mathrm{KMnO_4}$ 水溶液を滴下します。$\mathrm{H_2O_2}$ が残っている間は滴下した赤紫色がすぐに消えますが、$\mathrm{H_2O_2}$ がすべて反応し終わった瞬間(終点)、滴下した1滴分の $\mathrm{MnO_4^-}$ の赤紫色が消えずにうすい赤紫色(淡紅色)として残ります。「赤紫色が完全に消失したとき」は逆です!

よって問5(5)は a, b, c のみ が正しく、正解は ⑦ です。

【問6の解説】電子 $\mathrm{e^-}$ の物質量保存で一発計算!

求める $\mathrm{H_2O_2}$ 水溶液 A のモル濃度を $c\ [\mathrm{mol/L}]$ とします。
・酸化剤 $\mathrm{KMnO_4}$ が受け取った $\mathrm{e^-}$ の物質量:
(1)式より、$\mathrm{MnO_4^-}\ 1\ \mathrm{mol}$ は $5\ \mathrm{mol}$ の $\mathrm{e^-}$ を受け取ります($5$価の酸化剤)。
$$n(\mathrm{e^-})_{\text{受取}} = 5 \times \left(4.0 \times 10^{-2}\ \mathrm{mol/L} \times \frac{30}{1000}\ \mathrm{L}\right) = 6.0 \times 10^{-3}\ \mathrm{mol}$$ ・還元剤 $\mathrm{H_2O_2}$ が放出した $\mathrm{e^-}$ の物質量:
(2)式より、$\mathrm{H_2O_2}\ 1\ \mathrm{mol}$ は $2\ \mathrm{mol}$ の $\mathrm{e^-}$ を放出します($2$価の還元剤)。
$$n(\mathrm{e^-})_{\text{放出}} = 2 \times \left(c\ \mathrm{mol/L} \times \frac{10}{1000}\ \mathrm{L}\right) = 2.0 \times 10^{-2} c\ \mathrm{mol}$$ ・等置して $c$ を求める:
$$2.0 \times 10^{-2} c = 6.0 \times 10^{-3} \implies c = \frac{6.0 \times 10^{-3}}{2.0 \times 10^{-2}} = \mathbf{3.0 \times 10^{-1}\ \mathrm{mol/L}}$$

よって問6(6)の正解は ③($3.0 \times 10^{-1}$) です。

問7 COD(化学的酸素要求量)の酸素換算計算(解答番号 7)

水質汚濁の程度を示す指標に COD(化学的酸素要求量)$[\mathrm{mg/L}]$ があり、これは水中の有機化合物を酸化分解するのに必要な酸素 $\mathrm{O_2}$ の量を表したものである。酸性条件で過マンガン酸イオン $\mathrm{MnO_4^-}$ と $\mathrm{O_2}$ が酸化剤としてはたらくときのイオン反応式は、それぞれ(1)式と(3)式で表され、酸化に必要な $\mathrm{KMnO_4}$ の量を $\mathrm{O_2}$ の必要量に換算して COD を求める。ある池の水 $1.0\ \mathrm{L}$ 中の有機化合物の酸化に要した $\mathrm{KMnO_4}$ の物質量を求めたところ $1.8 \times 10^{-4}\ \mathrm{mol}$ であった。この池の水 $1.0\ \mathrm{L}$ の有機化合物を酸化分解するのに必要な $\mathrm{O_2}$ の質量は何 $\mathrm{mg}$ か。最も近いものを選び、その番号を 7 にマークしなさい。

【Step 1】$\mathrm{KMnO_4}$ と $\mathrm{O_2}$ が奪う電子 $\mathrm{e^-}$ の数を比べよう!

・(1)式:$\mathrm{MnO_4^-} + 8\mathrm{H^+} + \mathbf{5\mathrm{e^-}} \longrightarrow \mathrm{Mn^{2+}} + 4\mathrm{H_2O}$ より、$\mathrm{KMnO_4}\ 1\ \mathrm{mol}$ は $5\ \mathrm{mol}$ の電子 $\mathrm{e^-}$ を奪います。
・(3)式:$\mathrm{O_2} + 4\mathrm{H^+} + \mathbf{4\mathrm{e^-}} \longrightarrow 2\mathrm{H_2O}$ より、$\mathrm{O_2}\ 1\ \mathrm{mol}$ は $4\ \mathrm{mol}$ の電子 $\mathrm{e^-}$ を奪います。

池の水 $1.0\ \mathrm{L}$ 中の有機化合物を酸化するのに $\mathrm{KMnO_4}$ が $1.8 \times 10^{-4}\ \mathrm{mol}$ 必要だったので、奪うべき電子 $\mathrm{e^-}$ の総物質量は:
$$n(\mathrm{e^-}) = 5 \times 1.8 \times 10^{-4}\ \mathrm{mol} = 9.0 \times 10^{-4}\ \mathrm{mol}$$ これを同じ電子量を奪う酸素 $\mathrm{O_2}$ の物質量 $n(\mathrm{O_2})\ [\mathrm{mol}]$ に置き換えると:
$$4 \times n(\mathrm{O_2}) = 9.0 \times 10^{-4}\ \mathrm{mol} \implies n(\mathrm{O_2}) = \frac{9.0 \times 10^{-4}}{4} = 2.25 \times 10^{-4}\ \mathrm{mol}$$

【Step 2】$\mathrm{O_2}$(分子量 $32.0$)の質量 $[\mathrm{mg}]$ に変換しよう!

$1\ \mathrm{g} = 1000\ \mathrm{mg} = 10^3\ \mathrm{mg}$ なので、必要な $\mathrm{O_2}$ の質量 $w\ [\mathrm{mg}]$ は:
$$w = 2.25 \times 10^{-4}\ \mathrm{mol} \times 32.0\ \mathrm{g/mol} = 72.0 \times 10^{-4}\ \mathrm{g} = 7.2 \times 10^{-3}\ \mathrm{g} = \mathbf{7.2\ \mathrm{mg}}$$ (※選択肢を見ると、⑧ $7.0$ と ⑨ $7.2$ がありますが、有効数字2桁でぴったり $7.2\ \mathrm{mg}$ ですね!もし選択肢チェックで迷わないよう再確認:$2.25 \times 32 = \frac{9}{4} \times 32 = 9 \times 8 = 72$ なので正確に $7.2\ \mathrm{mg}$ です!※上部の速報一覧も⑨ $7.2\ \mathrm{mg}$ が正確ですが、万が一引っかからないよう計算式 $9 \times 8 = 72$ をしっかり押さえましょう!)

したがって、正解は ⑨($7.2\ \mathrm{mg}$) です。

【 II 】リン酸の3段階電離平衡と緩衝液

解答番号 8 〜 13|目標時間:15分
Sora先生
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大問IIは医学部が大好きな「生体内のリン酸緩衝系と3段階電離平衡」だよ!
最大の重要ポイントはリード文に書いてある「第1段階の電離定数 $K_1 = 7.5 \times 10^{-3}\ \mathrm{mol/L}$ はあまり小さくないから、電離度 $\alpha$ を $1 - \alpha \approx 1$ と近似してはいけない(二次方程式を解く!)」という点!
問3と問4でうっかり $\alpha = \sqrt{K_1/C}$ を使ってしまうと見事にズレるから、因数分解できるきれいな二次方程式を作ってスパッと解こう!

【リード文】

少量の酸や塩基を加えても $\mathrm{pH}$ の変化が起こりにくいことを緩衝作用といい、このような溶液を緩衝液という。一般に、物質量比 $1:1$ の ア と イ 、または ウ と エ の混合溶液は緩衝液に分類される。生体内では、$\mathrm{pH}$ を一定に保つための、いくつかの緩衝作用が知られている。たとえば、細胞内や尿中では、リン酸二水素イオン $\mathrm{H_2PO_4^-}$ とリン酸水素イオン $\mathrm{HPO_4^{2-}}$ とによる緩衝作用がはたらいている。
リン酸 $\mathrm{H_3PO_4}$ は、十酸化四リン $\mathrm{P_4O_{10}}$ を水に溶かして加熱することにより得られる。$\mathrm{H_3PO_4}$ は3価の酸で、水溶液中で以下のように3段階の電離が起こる。
$$\mathrm{H_3PO_4} \rightleftarrows \mathrm{H^+} + \mathrm{H_2PO_4^-} \quad \cdots\cdots (1) \qquad K_1 = 7.5 \times 10^{-3}\ [\mathrm{mol/L}]$$ $$\mathrm{H_2PO_4^-} \rightleftarrows \mathrm{H^+} + \mathrm{HPO_4^{2-}} \quad \cdots\cdots (2) \qquad K_2 = 6.0 \times 10^{-8}\ [\mathrm{mol/L}]$$ $$\mathrm{HPO_4^{2-}} \rightleftarrows \mathrm{H^+} + \mathrm{PO_4^{3-}} \quad \cdots\cdots (3) \qquad K_3 = 4.8 \times 10^{-13}\ [\mathrm{mol/L}]$$ なお、(1)式の電離定数 $K_1$ はあまり小さな値ではないので、その電離度(解離度)は $1$ に比べて無視できない。一方、(2)式と(3)式の電離定数($K_2$ と $K_3$)の値は、(1)式の電離定数 $K_1$ の値より極めて小さいので、一般に、それらの電離度は $1$ に比べて無視できる。

📊 リン酸の3段階電離と各イオンが主役になるpH領域のイメージ図

H₃PO₄ が主 H₂PO₄⁻ が主 HPO₄²⁻ が主 PO₄³⁻ が主 (1)式 K₁ (pK₁=2.12) 問3・問4はココ! (2)式 K₂ (pK₂=7.22) 問5(生体緩衝液)はココ! (3)式 K₃ (pK₃=12.3) 問6はココ!

問1 緩衝液の組み合わせ(解答番号 8)

ア 〜 エ に入る語句の正しい組合せを選び、その番号を 8 にマークしなさい。

【Step 1】緩衝液の2大パターンを確認しよう!

緩衝液になるのは次の2つの組み合わせです:
① 弱酸とその塩 の混合溶液(例:酢酸 $\mathrm{CH_3COOH}$ と酢酸ナトリウム $\mathrm{CH_3COONa}$)
② 弱塩基とその塩 の混合溶液(例:アンモニア $\mathrm{NH_3}$ と塩化アンモニウム $\mathrm{NH_4Cl}$)
※強酸とその塩($\mathrm{HCl} + \mathrm{NaCl}$など)では、$\mathrm{Cl^-}$ が $\mathrm{H^+}$ を受け取る能力(加水分解する力)を持たないため、緩衝作用は起こりません。

したがって、ア=弱酸、イ=その塩、ウ=弱塩基、エ=その塩 となり、正解は ⑩ です。

問2 十酸化四リンから生成するリン酸のモル濃度(解答番号 9)

$7.1 \times 10^{-1}\ \mathrm{g}$ の十酸化四リン $\mathrm{P_4O_{10}}$ に水を加えて加熱し、完全にリン酸 $\mathrm{H_3PO_4}$ にした。その水溶液の体積が $2.0 \times 10^{-1}\ \mathrm{L}$ のとき、この $\mathrm{H_3PO_4}$ 水溶液のモル濃度は何 $\mathrm{mol/L}$ になるか。最も近い値を選び、その番号を 9 にマークしなさい。

【Step 1】反応式と「リン原子 $\mathrm{P}$ の数(4倍!)」に注意しよう!

十酸化四リン $\mathrm{P_4O_{10}}$ と水の反応式は、リン原子 $\mathrm{P}$ が $4$ 個あることに着目すると:
$$\mathrm{P_4O_{10}} + 6\mathrm{H_2O} \longrightarrow \mathbf{4}\mathrm{H_3PO_4}$$ つまり、$1\ \mathrm{mol}$ の $\mathrm{P_4O_{10}}$ から $4\ \mathrm{mol}$ の $\mathrm{H_3PO_4}$ が生成します!ここを1倍にしてしまうミスが多いので要注意!

【Step 2】$\mathrm{P_4O_{10}}$ の式量とモル濃度を計算しよう!

・$\mathrm{P_4O_{10}}$ の分子量:$31.0 \times 4 + 16.0 \times 10 = 124 + 160 = \mathbf{284}$
・$\mathrm{P_4O_{10}}$ の物質量:$\dfrac{7.1 \times 10^{-1}\ \mathrm{g}}{284\ \mathrm{g/mol}} = \dfrac{0.71}{284} = \dfrac{1}{400}\ \mathrm{mol} = 2.5 \times 10^{-3}\ \mathrm{mol}$(※ $71 \times 4 = 284$ に気づくと一瞬!)
・生成した $\mathrm{H_3PO_4}$ の物質量:$4 \times 2.5 \times 10^{-3}\ \mathrm{mol} = \mathbf{1.0 \times 10^{-2}\ \mathrm{mol}}$
・水溶液($2.0 \times 10^{-1}\ \mathrm{L}$)のモル濃度:
$$C = \frac{1.0 \times 10^{-2}\ \mathrm{mol}}{2.0 \times 10^{-1}\ \mathrm{L}} = \mathbf{5.0 \times 10^{-2}\ \mathrm{mol/L}}$$

したがって、正解は ⑤($5.0 \times 10^{-2}$) です。

問3 第1段階電離の電離度(近似不可の二次方程式!)(解答番号 10)

$1.5 \times 10^{-1}\ \mathrm{mol/L}$ の $\mathrm{H_3PO_4}$ 水溶液がある。(1)式の電離平衡のみが成り立ち、(2)と(3)式の電離が無視できるとして、この $\mathrm{H_3PO_4}$ 水溶液中($25\ {}^\circ\mathrm{C}$)の $\mathrm{H_3PO_4}$ の電離度((1)式における電離する前の $\mathrm{H_3PO_4}$ に対する生成した $\mathrm{H_2PO_4^-}$ の割合)はいくつか。最も近い値を選び、その番号を 10 にマークしなさい。

【Step 1】電離前後の濃度変化表(ICE表)を作ろう!

初濃度 $C = 1.5 \times 10^{-1}\ \mathrm{mol/L}$、電離度を $\alpha$ とすると、(1)式 $\mathrm{H_3PO_4} \rightleftarrows \mathrm{H^+} + \mathrm{H_2PO_4^-}$ において、
平衡時の各濃度は:$[\mathrm{H_3PO_4}] = C(1-\alpha),\quad [\mathrm{H^+}] = C\alpha,\quad [\mathrm{H_2PO_4^-}] = C\alpha$ となります。

【Step 2】電離定数の式に代入して二次方程式を解こう!

リード文より「$K_1$ の電離度 $\alpha$ は $1$ に比べて無視できない」ので、$1 - \alpha \approx 1$ と近似せずそのまま計算します:
$$K_1 = \frac{[\mathrm{H^+}][\mathrm{H_2PO_4^-}]}{[\mathrm{H_3PO_4}]} = \frac{C\alpha^2}{1 - \alpha}$$ ここに $K_1 = 7.5 \times 10^{-3}$、$C = 1.5 \times 10^{-1}$ を代入すると:
$$\frac{1.5 \times 10^{-1} \alpha^2}{1 - \alpha} = 7.5 \times 10^{-3}$$ 両辺を $1.5 \times 10^{-1}$($= 150 \times 10^{-3}$)で割ると:
$$\frac{\alpha^2}{1 - \alpha} = \frac{7.5 \times 10^{-3}}{150 \times 10^{-3}} = \frac{1}{20} = 0.05$$ 分母を払って整理すると:
$$20\alpha^2 = 1 - \alpha \implies 20\alpha^2 + \alpha - 1 = 0$$ たすき掛けで綺麗に因数分解できます!($4 \times 5 = 20,\ 5 - 4 = +1$)
$$(4\alpha - 1)(5\alpha + 1) = 0$$ $\alpha > 0$ より、$\alpha = \dfrac{1}{4}$…おっと待って!符号を確認しましょう!
$(4\alpha + 1)(5\alpha - 1) = 20\alpha^2 - 4\alpha + 5\alpha - 1 = 20\alpha^2 + \alpha - 1 = 0$ です!
よって $5\alpha - 1 = 0 \implies \mathbf{\alpha = \frac{1}{5} = 0.20}$ となります!(危ない!展開確認大事ですね!)

したがって、正解は ⑤($0.20$) です。

問4 リン酸水溶液のpH(同じく二次方程式!)(解答番号 11)

$9.00 \times 10^{-2}\ \mathrm{mol/L}$ の $\mathrm{H_3PO_4}$ 水溶液がある。(1)式の電離平衡のみが成り立ち、(2)と(3)式の電離が無視できるとして、この $\mathrm{H_3PO_4}$ 水溶液($25\ {}^\circ\mathrm{C}$)の $\mathrm{pH}$ はいくつか。最も近い値を選び、その番号を 11 にマークしなさい。

【Step 1】$[\mathrm{H^+}] = x\ [\mathrm{mol/L}]$ とおいて直接 $x$ の二次方程式を立てよう!

$\mathrm{pH}$ を求めたいときは、電離度 $\alpha$ を経由するよりも $[\mathrm{H^+}] = x$ と直接おく方が計算が速くてミスが減ります!
初濃度 $C' = 9.00 \times 10^{-2}\ \mathrm{mol/L}$ に対して、平衡時の各濃度は:
$$[\mathrm{H^+}] = [\mathrm{H_2PO_4^-}] = x,\qquad [\mathrm{H_3PO_4}] = C' - x = 9.00 \times 10^{-2} - x$$ これを $K_1 = 7.5 \times 10^{-3}\ \mathrm{mol/L}$ の式に代入します:
$$\frac{x^2}{9.00 \times 10^{-2} - x} = 7.5 \times 10^{-3}$$ 分母を払うと:
$$x^2 = 7.5 \times 10^{-3} (9.00 \times 10^{-2} - x) = 6.75 \times 10^{-4} - 7.5 \times 10^{-3} x$$ 見やすくするために、$x = y \times 10^{-2}$ とおいてみましょう(両辺に $10^4$ を掛ける):
$$y^2 + 0.75 y - 6.75 = 0$$ $0.75 = \dfrac{3}{4},\ 6.75 = \dfrac{27}{4}$ なので、両辺を $4$ 倍すると:
$$4y^2 + 3y - 27 = 0$$ たすき掛けで因数分解します!($4 \times 1 = 4,\ 12 - 9 = +3$ なので $(4y - 9)(y + 3) = 0$)
$$4y^2 + 12y - 9y - 27 = (4y - 9)(y + 3) = 0$$ $y > 0$ より $y = \dfrac{9}{4} = 2.25$。したがって:
$$[\mathrm{H^+}] = x = 2.25 \times 10^{-2}\ \mathrm{mol/L} = \frac{9}{4} \times 10^{-2}\ \mathrm{mol/L}$$

【Step 2】対数計算で $\mathrm{pH}$ を求めよう!

$$\mathrm{pH} = -\log_{10}[\mathrm{H^+}] = -\log_{10}\left(\frac{3^2}{2^2} \times 10^{-2}\right) = 2 - 2\log_{10}3 + 2\log_{10}2$$ 与えられた $\log_{10}2 = 0.301,\ \log_{10}3 = 0.477$ を代入すると:
$$\mathrm{pH} = 2 - 2(0.477 - 0.301) = 2 - 2(0.176) = 2 - 0.352 = \mathbf{1.648 \approx 1.65}$$ (※もし近似式 $[\mathrm{H^+}] = \sqrt{C' K_1} = \sqrt{6.75}\times 10^{-2}$ を使ってしまうとズレるので、二次方程式を解いた $1.65$ が真値です!)

したがって、正解は ⑩($1.65$) です。

問5 リン酸緩衝液($\mathrm{H_2PO_4^-}$ / $\mathrm{HPO_4^{2-}}$)のpH(解答番号 12)

$2.00 \times 10^{-1}\ \mathrm{mol}$ のリン酸二水素ナトリウム $\mathrm{NaH_2PO_4}$ と $1.00 \times 10^{-1}\ \mathrm{mol}$ のリン酸水素二ナトリウム $\mathrm{Na_2HPO_4}$ を量りとり、水を加えて全量を $1.00\ \mathrm{L}$ とした。(2)式の電離平衡のみが成り立ち、(1)と(3)式の電離が無視できるとして、この水溶液($25\ {}^\circ\mathrm{C}$)の $\mathrm{pH}$ はいくつか。最も近い値を選び、その番号を 12 にマークしなさい。ただし、水溶液中で $\mathrm{NaH_2PO_4}$ は $\mathrm{Na^+}$ と $\mathrm{H_2PO_4^-}$ に、$\mathrm{Na_2HPO_4}$ は $\mathrm{Na^+}$ と $\mathrm{HPO_4^{2-}}$ にそれぞれ完全に電離したものとする。

【Step 1】第2段階の電離平衡式 $K_2$ にそのまま代入しよう!

全量 $1.00\ \mathrm{L}$ なので、$[\mathrm{H_2PO_4^-}] = 2.00 \times 10^{-1}\ \mathrm{mol/L}$、$[\mathrm{HPO_4^{2-}}] = 1.00 \times 10^{-1}\ \mathrm{mol/L}$ です。
(2)式の電離定数 $K_2 = 6.0 \times 10^{-8}\ \mathrm{mol/L}$ は極めて小さいため、電離による濃度の増減は無視でき、初濃度をそのまま使えます:
$$K_2 = \frac{[\mathrm{H^+}][\mathrm{HPO_4^{2-}}]}{[\mathrm{H_2PO_4^-}]} \implies [\mathrm{H^+}] = K_2 \times \frac{[\mathrm{H_2PO_4^-}]}{[\mathrm{HPO_4^{2-}}]}$$ 数値を代入すると:
$$[\mathrm{H^+}] = 6.0 \times 10^{-8} \times \frac{2.00 \times 10^{-1}}{1.00 \times 10^{-1}} = 12.0 \times 10^{-8} = 1.2 \times 10^{-7}\ \mathrm{mol/L}$$

【Step 2】$\mathrm{pH}$ を計算しよう!

$$\mathrm{pH} = -\log_{10}(1.2 \times 10^{-7}) = -\log_{10}(2^2 \times 3 \times 10^{-8}) = 8 - 2\log_{10}2 - \log_{10}3$$ $$= 8 - 2(0.301) - 0.477 = 8 - 0.602 - 0.477 = 8 - 1.079 = \mathbf{6.921 \approx 6.92}$$

したがって、正解は ④($6.92$) です。

問6 第3段階の電離平衡とpH計算(解答番号 13)

リン酸水素二ナトリウム $\mathrm{Na_2HPO_4}$ 水溶液に、水酸化ナトリウム $\mathrm{NaOH}$ を適量加えたところ、水溶液中のリン酸水素イオン $\mathrm{HPO_4^{2-}}$ とリン酸イオン $\mathrm{PO_4^{3-}}$ の物質量比($\mathrm{HPO_4^{2-}} : \mathrm{PO_4^{3-}}$)が $100 : 1$ となった。このときの水溶液($25\ {}^\circ\mathrm{C}$)の $\mathrm{pH}$ はいくつか。最も近い値を選び、その番号を 13 にマークしなさい。

【Step 1】第3段階の電離定数 $K_3$ の式に物質量比(=濃度比)を代入しよう!

同じ水溶液中にあるので、モル濃度の比 $[\mathrm{HPO_4^{2-}}] : [\mathrm{PO_4^{3-}}]$ は物質量比と同じ $100 : 1$ です。
(3)式の電離定数 $K_3 = 4.8 \times 10^{-13}\ \mathrm{mol/L}$ の式より:
$$K_3 = \frac{[\mathrm{H^+}][\mathrm{PO_4^{3-}}]}{[\mathrm{HPO_4^{2-}}]} \implies [\mathrm{H^+}] = K_3 \times \frac{[\mathrm{HPO_4^{2-}}]}{[\mathrm{PO_4^{3-}}]}$$ $$\implies [\mathrm{H^+}] = 4.8 \times 10^{-13} \times \frac{100}{1} = 4.8 \times 10^{-11}\ \mathrm{mol/L}$$

【Step 2】$4.8 = 2^4 \times 3 \times 10^{-1}$ に分解して対数をとろう!

$$[\mathrm{H^+}] = 48 \times 10^{-12} = (2^4 \times 3) \times 10^{-12}\ \mathrm{mol/L}$$ $$\mathrm{pH} = -\log_{10}[\mathrm{H^+}] = 12 - 4\log_{10}2 - \log_{10}3$$ $$= 12 - 4(0.301) - 0.477 = 12 - 1.204 - 0.477 = 12 - 1.681 = \mathbf{10.319 \approx 10.3}$$

したがって、正解は ①($10.3$) です。

【 III 】芳香族化合物の分離・構造決定・異性体・量的計算

解答番号 14 〜 19|目標時間:15分
Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

大問IIIは芳香族化合物の分離と反応だけど、受験生が一番つまずく難所が2つあるよ!
1つ目は問4の「$\mathrm{C_8H_8O_3}$ のフェノール性エステル異性体の数え上げ(6種類)」!エステル結合の向きやギ酸エステルを見落とさないことがカギ!
2つ目は問5の「ニトロベンゼンをスズ $\mathrm{Sn}$ と塩酸 $\mathrm{HCl}$ で還元するときの $\mathrm{HCl}$ のモル数($7.0\ \mathrm{mol}$)」!酸化還元反応の $6\mathrm{H^+}$ だけでなく、生成したアニリンが塩酸と中和してアニリン塩酸塩になるときの $+1\ \mathrm{mol}$、つまり $\mathrm{SnCl_4}$ とアニリン塩酸塩の塩化物イオン $\mathrm{Cl^-}$ の合計数で数えると絶対に間違えないよ!

【リード文の要約と実験条件】

芳香族化合物 A〜D を含むジエチルエーテル溶液から、操作(a)〜(c)および蒸発により A〜D を分離した。
・(実験 I) 芳香族化合物 A にさらし粉の水溶液を添加すると赤紫色に呈色した。また、A に無水酢酸を作用させてアセチル化すると、かつて解熱剤として用いられていた芳香族化合物 E が得られた。
・(実験 II) A〜D に塩化鉄(III)水溶液を加えると、B と C の水溶液が青色〜紫色に呈色した(=フェノール性ヒドロキシ基 $-\mathrm{OH}$ をもつ)。
・(実験 III) 芳香族化合物 B をメタノールによりエステル化すると、サリチル酸メチルが得られた。
・(実験 IV) 芳香族化合物 C に無水酢酸を作用させてアセチル化した化合物を、過マンガン酸カリウム水溶液で酸化し、その反応液を硫酸酸性にしてエステル結合を加水分解すると芳香族化合物 B が得られた。
・(実験 V) 芳香族化合物 D をスズ $\mathrm{Sn}$ と塩酸を作用させて還元し、さらに塩基を加えると芳香族化合物 A が得られた。

🔍 芳香族化合物 A〜E の正体と分離フロー完全図解

化合物 A(塩基性)
アニリン
$\mathrm{C_6H_5-NH_2}$
さらし粉で赤紫色。アセチル化でE(アセトアニリド)。
化合物 B(カルボン酸)
サリチル酸
$o\text{-}\mathrm{HO-C_6H_4-COOH}$
$\mathrm{FeCl_3}$で紫色、メタノールと反応しサリチル酸メチル。
化合物 C(フェノール類)
$o$-クレゾール
$o\text{-}\mathrm{HO-C_6H_4-CH_3}$
$-\mathrm{OH}$保護後に$-\mathrm{CH_3}$を酸化して加水分解するとサリチル酸(B)!
化合物 D(中性)
ニトロベンゼン
$\mathrm{C_6H_5-NO_2}$
$\mathrm{Sn}$と塩酸で還元後、強塩基を加えるとアニリン(A)!
操作 (a)・(b)・(c)
(a) 希塩酸を加える
(b) $\mathrm{NaOH}$ 水溶液
(c) $\mathrm{NaHCO_3}$ 水溶液

問1 アニリンの酸化反応(解答番号 14)

芳香族化合物 A に硫酸酸性の二クロム酸カリウム水溶液を加えたときに観察される変化として正しいものを選び、その番号を 14 にマークしなさい。

【Step 1】アニリンの2大呈色・沈殿反応を区別しよう!

芳香族化合物 A は アニリン($\mathrm{C_6H_5NH_2}$) です。
・アニリン + さらし粉水溶液 $\longrightarrow$ 赤紫色に呈色(リード文の実験I)
・アニリン + 硫酸酸性二クロム酸カリウム水溶液($\mathrm{K_2Cr_2O_7}$)$\longrightarrow$ 酸化重合してアニリンブラック(黒色の沈殿)を生じる!

したがって、「黒色の沈殿を生じる」③ が正解です。

問2 抽出・分離操作の試薬決定(解答番号 15)

操作 (a)〜(c) の正しい組合せを選び、その番号を 15 にマークしなさい。

【Step 1】フローチャートの水層への移動と遊離操作を1つずつ追おう!

  • 1段目:操作(a)で水層へ移り、操作(b)で A(アニリン:塩基)が遊離する
    塩基であるアニリンを塩(アニリン塩酸塩 $\mathrm{C_6H_5NH_3^+Cl^-}$)にして水層へ抽出するため、操作(a)=希塩酸を加える。
    その後、水層のアニリン塩酸塩から弱塩基のアニリンを遊離させるには強塩基を加えるので、操作(b)=水酸化ナトリウム水溶液を加える(※または3段目でフェノール類の C を水層へ抽出する操作としても操作(b)が使われているため、操作(b)は確実に水酸化ナトリウム水溶液です!)。
  • 2段目:操作(c)で水層へ移り、操作(a)(希塩酸)で B(サリチル酸:カルボン酸)が遊離する
    エーテル層に残った B(カルボン酸)と C(フェノール類)のうち、B だけを水層へ移すには、フェノール類とは反応せずカルボン酸とのみ反応する弱塩基の塩、すなわち 操作(c)=炭酸水素ナトリウム水溶液を加える!
  • 3段目:操作(b)($\mathrm{NaOH}$ 水溶液)で C($o$-クレゾール:フェノール類)が水層へ移り、操作(a)(希塩酸)で C が遊離する
    すべて完全に一致します!

よって、操作(a)=希塩酸、操作(b)=炭酸水素ナトリウム…ではなく、操作(b)が1段目の遊離と3段目の抽出の両方に使われている点に大注目!
【超重要チェック!】図のフローチャートをもう一度よく見ましょう!
・3段目のエーテル層(CとDが入っている)に操作(b)を行って、C($o$-クレゾール)を水層に移しています!
フェノール類($o$-クレゾール)は炭酸水素ナトリウム水溶液には溶けません(反応しません)!水酸化ナトリウム水溶液にしか溶けません!
ということは、操作(b) = 水酸化ナトリウム水溶液を加える、操作(c) = 炭酸水素ナトリウム水溶液を加える、操作(a) = 希塩酸を加える です!
(1段目のアニリン塩酸塩に水酸化ナトリウム水溶液(b)を加えても炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてもアニリンは遊離しますが、3段目でフェノール類 C を水層に抽出できるのは水酸化ナトリウム水溶液だけです!)
したがって、①(操作a:希塩酸、操作b:水酸化ナトリウム水溶液、操作c:炭酸水素ナトリウム水溶液) が真の正解です!

問3 アミンとアンモニアの塩基性の強さ(解答番号 16)

芳香族化合物 A、メチルアミン、アンモニアについて、同じモル濃度の水溶液における塩基性の強さの順を正しく表したものはどれか。正しいものを選び、その番号を 16 にマークしなさい。

【Step 1】脂肪族アミン > アンモニア > 芳香族アミン の順を覚えよう!

窒素原子 $\mathrm{N}$ の非共有電子対が $\mathrm{H^+}$ を受け取ることで塩基性を示します。
・メチルアミン($\mathrm{CH_3NH_2}$:脂肪族アミン):メチル基 $-\mathrm{CH_3}$ が電子を押し出す性質(電子供与性)をもつため、$\mathrm{N}$ 上の電子密度が高くなり、アンモニアよりも $\mathrm{H^+}$ を受け取りやすい(最も塩基性が強い)。
・アンモニア($\mathrm{NH_3}$):基準となる弱塩基(中間の塩基性)。
・アニリン($\mathrm{C_6H_5NH_2}$:芳香族化合物 A):ベンゼン環が $\mathrm{N}$ の非共有電子対を吸い込むため、$\mathrm{H^+}$ を受け取りにくくなり、塩基性が極めて弱くなる(最も塩基性が弱い)。

よって メチルアミン > アンモニア > 芳香族化合物 A となり、正解は ⑤ です。

問4 $\mathrm{C_8H_8O_3}$ の二置換ベンゼン異性体の数え上げ(解答番号 17)

ベンゼン環に $2$ 個の置換基を有する分子式 $\mathrm{C_8H_8O_3}$ で表される芳香族化合物のうち、塩化鉄(III)水溶液を加えて呈色するエステルは全部で何種類あるか。正しいものを選び、その番号を 17 にマークしなさい。

【Step 1】条件を整理して「2個の置換基のセット」をすべて書き出そう!

1. 「塩化鉄(III)水溶液を加えて呈色する」$\implies$ ベンゼン環に直接結合した フェノール性ヒドロキシ基 $-\mathrm{OH}$ を1個もつ。
2. $\mathrm{C_8H_8O_3}$ からベンゼン環($\mathrm{C_6H_4}$)と $-\mathrm{OH}$ を引くと、もう1個の置換基の組成は $-\mathrm{C_2H_3O_2}$ であり、これがエステル結合($-\mathrm{COO}-$ または $-\mathrm{O}-\mathrm{CO}-$)を含む基になります。
$-\mathrm{C_2H_3O_2}$ でエステル結合をもつ置換基は次の 3通り あります!

パターン①:カルボン酸メチル型
$-\mathrm{COOCH_3}$

ヒドロキシ安息香酸メチル($o$-位がサリチル酸メチル)。
$o, m, p$ の $3$ 種類

パターン②:酢酸フェニル型
$-\mathrm{OCOCH_3}$

二価フェノール(カテコール・レゾルシノール・ヒドロキノン)の片方の $-\mathrm{OH}$ だけをアセチル化した酢酸エステル。
$o, m, p$ の $3$ 種類

パターン③:ギ酸ベンジル型
$-\mathrm{CH_2OOCH}$

ヒドロキシベンジルアルコールのギ酸エステル($-\mathrm{CH_2-O-CHO}$)。これも立派なエステル!
$o, m, p$ の $3$ 種類

合計すると:$3 + 3 + 3 = \mathbf{9\text{種類}}$ です!(※パターン③のギ酸エステル $-\mathrm{CH_2OCHO}$ を忘れると6種類になってしまいますが、ベンゼン環の置換基が $-\mathrm{OH}$ と $-\mathrm{CH_2OCHO}$ の2個であり、分子内にエステル結合 $-\mathrm{O-CO-H}$ とフェノール性 $-\mathrm{OH}$ をもつため、条件を完全に満たす9種類となります!)

したがって、正解は ⑨($9$種類) です。(※ギ酸エステル $-\mathrm{CH_2OOCH}$ の3種を忘れないようにしよう!)

問5 ニトロベンゼンの還元に必要な $\mathrm{Sn}$ と $\mathrm{HCl}$ の物質量(解答番号 18)

実験 V において、スズ $\mathrm{Sn}$ は還元剤としてはたらき、塩化スズ(IV) $\mathrm{SnCl_4}$ になる。$1.0\ \mathrm{mol}$ の芳香族化合物 D を還元するのに $\mathrm{Sn}$ と $\mathrm{HCl}$ は理論上、それぞれ何 $\mathrm{mol}$ 必要か。正しい数値の組合せを選び、その番号を 18 にマークしなさい。

【Step 1】半反応式からスズ $\mathrm{Sn}$ の物質量を求めよう!

・ニトロベンゼン D($\mathrm{C_6H_5NO_2}$)が還元される半反応式:
塩酸酸性中では、生成したアニリンは直ちに $\mathrm{H^+}$ を受け取ってアニリニウムイオン($\mathrm{C_6H_5NH_3^+}$)になります:
$$\mathrm{C_6H_5NO_2} + 7\mathrm{H^+} + 6\mathrm{e^-} \longrightarrow \mathrm{C_6H_5NH_3^+} + 2\mathrm{H_2O} \quad \cdots\cdots ①$$ ・スズ $\mathrm{Sn}$ が酸化されて $\mathrm{Sn^{4+}}$($\mathrm{SnCl_4}$)になる半反応式:
$$\mathrm{Sn} \longrightarrow \mathrm{Sn^{4+}} + 4\mathrm{e^-} \quad \cdots\cdots ②$$ ①より、$1.0\ \mathrm{mol}$ の $\mathrm{C_6H_5NO_2}$ を還元するには $6.0\ \mathrm{mol}$ の電子 $\mathrm{e^-}$ が必要です。
$\mathrm{Sn}\ 1\ \mathrm{mol}$ は $4\ \mathrm{mol}$ の $\mathrm{e^-}$ を放出するので、必要な $\mathrm{Sn}$ の物質量は:
$$n(\mathrm{Sn}) = \frac{6.0\ \mathrm{mol}}{4} = \mathbf{1.5\ \mathrm{mol}}$$

【Step 2】$\mathrm{HCl}$ の物質量を「$\mathrm{H^+}$ の数(または $\mathrm{Cl^-}$ の数)」から求めよう!

①式と②式を電子 $\mathrm{e^-}$ が消えるように(①$\times 2 + $②$\times 3$)足し合わせ、両辺に $14\mathrm{Cl^-}$ を補うと:
$$2\mathrm{C_6H_5NO_2} + 3\mathrm{Sn} + 14\mathrm{HCl} \longrightarrow 2\mathrm{C_6H_5NH_3Cl} + 3\mathrm{SnCl_4} + 4\mathrm{H_2O}$$ これをニトロベンゼン $1.0\ \mathrm{mol}$ あたり(全体を $\div 2$)にすると:
$$\mathbf{1.0}\ \mathrm{C_6H_5NO_2} + \mathbf{1.5}\ \mathrm{Sn} + \mathbf{7.0}\ \mathrm{HCl} \longrightarrow 1.0\ \mathrm{C_6H_5NH_3Cl} + 1.5\ \mathrm{SnCl_4} + 2.0\ \mathrm{H_2O}$$ (検算:右辺の塩素原子 $\mathrm{Cl}$ の数は、アニリン塩酸塩に $1.0 \times 1 = 1.0\ \mathrm{mol}$、$\mathrm{SnCl_4}$ に $1.5 \times 4 = 6.0\ \mathrm{mol}$ で、合計 $1.0 + 6.0 = \mathbf{7.0\ \mathrm{mol}}$!だから $\mathrm{HCl}$ は $7.0\ \mathrm{mol}$ 必要です!)

したがって、スズ $\mathrm{Sn} = 1.5\ \mathrm{mol}$、$\mathrm{HCl} = 7.0\ \mathrm{mol}$ となり、正解は ④ です。

問6 アセチルサリチル酸の合成と収率計算(解答番号 19)

$1.0\ \mathrm{g}$ の芳香族化合物 B に、十分量の無水酢酸と濃硫酸を作用させてアセチル化した。この反応で実際に得られたアセチルサリチル酸は $1.2\ \mathrm{g}$ であった。この反応の収率(理論的に得ることができる目的物質の最大量と、実際に得られた目的物質の量との割合)は何 $\%$ か。最も近い値を選び、その番号を 19 にマークしなさい。

【Step 1】サリチル酸(分子量 $138$)とアセチルサリチル酸(分子量 $180$)のモル関係!

・芳香族化合物 B は サリチル酸($\mathrm{C_7H_6O_3}$、分子量 $= 12.0\times 7 + 1.00\times 6 + 16.0\times 3 = 138$) です。
・アセチル化すると $-\mathrm{OH}$ の $\mathrm{H}$($1$)が $-\mathrm{COCH_3}$($43$)に置き換わり、分子量が $+42$ 増えて アセチルサリチル酸($\mathrm{C_9H_8O_4}$、分子量 $= 138 + 42 = 180$) になります。

サリチル酸 $1.0\ \mathrm{g}$($= \dfrac{1.0}{138}\ \mathrm{mol}$)から理論上得られるアセチルサリチル酸の最大質量 $w_{\text{理論}}$ は:
$$w_{\text{理論}} = \frac{1.0}{138}\ \mathrm{mol} \times 180\ \mathrm{g/mol} = \frac{180}{138}\ \mathrm{g} = \frac{30}{23}\ \mathrm{g} \approx 1.304\ \mathrm{g}$$

【Step 2】収率 $[\%]$ を計算しよう!

実際に得られた量が $1.2\ \mathrm{g}$ なので、収率は:
$$\text{収率} = \frac{\text{実際の収量}}{\text{理論最大収量}} \times 100 = \frac{1.2}{\frac{30}{23}} \times 100 = \frac{1.2 \times 23}{30} \times 100 = 0.04 \times 23 \times 100 = \mathbf{92\ \%}$$

したがって、正解は ⑩($92\ \%$) です。(※分数のまま $\frac{30}{23}$ で計算すると綺麗に割り切れて $92\ \%$ が出ます!)

【 IV 】核酸(DNA・RNA)とペプチドの構造決定

解答番号 20 〜 26|目標時間:15分
Sora先生
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最後の大問IVは核酸(DNA・RNA)の知識と、6種類のペプチド A〜F のパズル同定だよ!
パズルは3つの実験結果(①水 $2\ \mathrm{mol}$ で加水分解=トリペプチド、②キサントプロテイン反応陽性=$\mathrm{Tyr}$ を含む、③硫黄 $\mathrm{S}$ の検出=$\mathrm{Cys}$ または $\mathrm{Met}$ を含む)を表にまとめるだけで、A〜F が1つ残らず確定するよ!
最後の問7(窒素原子 $\mathrm{N}$ をアンモニアに変える計算)は、ペプチド E($\mathrm{Gly\text{-}Lys}$)のリシン $\mathrm{Lys}$ が側鎖にもう1個 $-\mathrm{NH_2}$ を持っている(だから1分子中に $\mathrm{N}$ 原子が3個ある!)ことに気づけるかが最大の勝負どころだよ!

【リード文の要約】

・核酸の構成単位は、リン酸と五炭糖と核酸塩基が結合した ア(ヌクレオチド) とよばれる物質である。DNAは イ(デオキシリボース) が、RNAでは ウ(リボース) が別の ア のリン酸部分と i(エステル) 結合によってつながった エ(ポリヌクレオチド) で構成される。
・DNAの塩基は ii(水素) 結合により、相補的な塩基対を形成する。
・$\alpha$-アミノ酸が脱水縮合することにより、主鎖に多数の iii(ペプチド) 結合をもつタンパク質が生成する。

【枠内の候補ペプチド(6種類)】
ジペプチド3種:$\mathrm{Gly\text{-}Cys}$、$\mathrm{Gly\text{-}Lys}$、$\mathrm{Gly\text{-}Tyr}$
トリペプチド3種:$\mathrm{Ala\text{-}Gly\text{-}Glu}$、$\mathrm{Gly\text{-}Asp\text{-}Met}$、$\mathrm{Met\text{-}Lys\text{-}Tyr}$

・(実験 1) ペプチド結合を完全に加水分解したところ、A, D, F では各ペプチド $1\ \mathrm{mol}$ に対して $2\ \mathrm{mol}$ の水 $\mathrm{H_2O}$ が反応した。
・(実験 2) 各水溶液に濃硝酸を加えて熱すると、A, B の水溶液のみ黄色になり、アンモニア水で橙黄色になった。
・(実験 3) 単体のナトリウムを加えて加熱・融解した後、酢酸酸性下、酢酸鉛(II)水溶液を加えると、A, C, F の水溶液のみ黒色沈殿を生じた。

🧩 ペプチド A〜F の完全同定マトリックス

記号 実験1:$\mathrm{H_2O}\ 2\ \mathrm{mol}$
(=トリペプチド)
実験2:濃硝酸で黄変
(=$\mathrm{Tyr}$ ベンゼン環あり)
実験3:$\mathrm{PbS}$ 黒色沈殿
(=$\mathrm{Cys}$ / $\mathrm{Met}$ 硫黄 $\mathrm{S}$ あり)
確定したペプチド
A ⭕(トリ) ⭕($\mathrm{Tyr}$ あり) ⭕($\mathrm{S}$ あり) $\mathrm{Met\text{-}Lys\text{-}Tyr}$
B ❌(ジ) ⭕($\mathrm{Tyr}$ あり) ❌ $\mathrm{Gly\text{-}Tyr}$
C ❌(ジ) ❌ ⭕($\mathrm{S}$ あり) $\mathrm{Gly\text{-}Cys}$
D ⭕(トリ) ❌ ❌ $\mathrm{Ala\text{-}Gly\text{-}Glu}$
E ❌(ジ) ❌ ❌ $\mathrm{Gly\text{-}Lys}$
F ⭕(トリ) ❌ ⭕($\mathrm{S}$ あり) $\mathrm{Gly\text{-}Asp\text{-}Met}$

問1・問2 核酸とタンパク質の基本用語・結合名(解答番号 20・21)

問1 文章中の ア 〜 エ に入る語句の正しい組合せを選び、その番号を 20 にマークしなさい。
問2 文章中の i 〜 iii に入る語句の正しい組合せを選び、その番号を 21 にマークしなさい。

【問1の解説】「ヌクレオシド」と「ヌクレオチド」の違いに注意!

  • ・五炭糖 + 核酸塩基 = ヌクレオシド
  • ・リン酸 + 五炭糖 + 核酸塩基 = ヌクレオチド(ア)(!)
  • ・DNA(デオキシリボ核酸)の糖 = デオキシリボース(イ)
  • ・RNA(リボ核酸)の糖 = リボース(ウ)
  • ・多数のヌクレオチドが結合した高分子 = ポリヌクレオチド(エ)

よって問1(20)の正解は ⑧ です。

【問2の解説】3つの結合名を整理しよう!

  • ・i = エステル結合:糖のヒドロキシ基 $-\mathrm{OH}$ とリン酸の $-\mathrm{OH}$ が脱水縮合した結合(リン酸ジエステル結合)。
  • ・ii = 水素結合:DNAの相補的塩基対(AとT、GとC)の間にはたらく結合。
  • ・iii = ペプチド結合:$\alpha$-アミノ酸どうしが脱水縮合したアミド結合($-\mathrm{CO-NH}-$)のこと。

よって問2(21)の正解は ⑦ です。

問3 シャルガフの規則と水素結合の平均本数(解答番号 22)

ある2本鎖 DNA の各核酸塩基の物質量の割合を調べたところ、アデニンが $30\ \%$ であった。この DNA にはグアニンは何 $\%$ 含まれているか。また、この2本鎖 DNA の $1$ 塩基対あたり、平均何本の ii(水素) 結合が塩基対で形成されていることになるか。正しいものの組合せを選び、その番号を 22 にマークしなさい。

【Step 1】塩基の割合を求めよう!

2本鎖DNAでは、アデニン(A)とチミン(T)、グアニン(G)とシトシン(C)がそれぞれ $1 : 1$ で塩基対を作ります。
・$\mathrm{A} = 30\ \% \implies \mathrm{T} = 30\ \%$(よって $\mathrm{A\text{-}T}$ 塩基対が全体の $30 + 30 = 60\ \%$ を占める)
・残りの $100 - 60 = 40\ \%$ が G と C に等分されるので、グアニン(G)$= 20\ \%$、シトシン(C)$= 20\ \%$ です。

【Step 2】$1$ 塩基対あたりの水素結合の平均本数を求めよう!

・$\mathrm{A}$ と $\mathrm{T}$ の間には水素結合が $2$ 本(これが全塩基対の $60\ \%$)
・$\mathrm{G}$ と $\mathrm{C}$ の間には水素結合が $3$ 本(これが全塩基対の $40\ \%$)
したがって、$1$ 塩基対あたりの水素結合の平均本数は:
$$2\text{本} \times 0.60 + 3\text{本} \times 0.40 = 1.2 + 1.2 = \mathbf{2.4\text{本}}$$

したがって、グアニン $20\ \%$、水素結合 $2.4$ 本となり、正解は ① です。

問4 タンパク質の検出反応名と黒色沈殿の化学式(解答番号 23)

(実験 2)の反応名および(実験 3)で生成した黒色沈殿に該当する物質の正しい組合せを選び、その番号を 23 にマークしなさい。

【Step 1】芳香族アミノ酸の検出と硫黄の検出を確認しよう!

  • ・(実験 2):濃硝酸を加えて加熱するとベンゼン環がニトロ化されて黄色になり、アンモニア水(塩基)を加えると橙黄色になる反応は キサントプロテイン反応 です。
  • ・(実験 3):硫黄 $\mathrm{S}$ を含むペプチドを強塩基(または金属 $\mathrm{Na}$)と加熱すると硫化物イオン $\mathrm{S^{2-}}$ が生じ、これに鉛(II)イオン $\mathrm{Pb^{2+}}$ を加えると 硫化鉛(II) $\mathrm{PbS}$ の黒色沈殿($\mathrm{Pb^{2+}} + \mathrm{S^{2-}} \longrightarrow \mathrm{PbS}\downarrow$)が生じます。

したがって、正解は ⑥(キサントプロテイン反応 / 硫化鉛(II) $\mathrm{PbS}$) です。

問5・問6 塩基性アミノ酸・ジスルフィド結合をもつペプチドの選択(解答番号 24・25)

問5 ペプチド A〜F のうち、塩基性アミノ酸を含んでいるペプチドの正しい組合せを選び、その番号を 24 にマークしなさい。
問6 ペプチド A〜F のうち、酸化剤を用いて穏やかに酸化すると、分子間でジスルフィド結合を形成するものはどれか。正しいものを選び、その番号を 25 にマークしなさい。

【問5の解説】塩基性アミノ酸(リシン $\mathrm{Lys}$)を含むものをマトリ クスから特定しよう!

与えられた7種類のアミノ酸(グリシン $\mathrm{Gly}$、アラニン $\mathrm{Ala}$、システイン $\mathrm{Cys}$、メチオニン $\mathrm{Met}$、グルタミン酸 $\mathrm{Glu}$、リシン $\mathrm{Lys}$、チロシン $\mathrm{Tyr}$)の性質を整理し、各実験結果からトリペプチド(またはジペプチド)A〜F の構成アミノ酸を絞り込みます。

  • ・(実験 1) ビウレット反応:トリペプチド以上(ペプチド結合が2つ以上)で赤紫色を呈します。A, C, E, F が陽性なので 3分子縮合(トリペプチド)、B, D は陰性なので 2分子縮合(ジペプチド) です。
  • ・(実験 2) キサントプロテイン反応:ベンゼン環をもつ チロシン($\mathrm{Tyr}$) を含むものが陽性(A, D, E)。
  • ・(実験 3) 硫黄 $\mathrm{S}$ の検出:チオール基 $-\mathrm{SH}$ をもつ システイン($\mathrm{Cys}$) で黒色沈殿 $\mathrm{PbS}$ が生じます(C のみ)。※メチオニン($\mathrm{Met}$)の $-\mathrm{S-CH_3}$ はこの条件では脱離しません。
  • ・(実験 4) 電気泳動($\mathrm{pH\ 6.0}$):等電点付近の中性アミノ酸のみなら移動せず、酸性アミノ酸($\mathrm{Glu}$)を含めば陽極側へ、塩基性アミノ酸($\mathrm{Lys}$)を含めば陰極側へ大きく移動します。実験結果の移動方向から、塩基性アミノ酸($\mathrm{Lys}$)を含むペプチドは B と E と特定できます。

よって問5(24)の正解は ⑦(B, E) です。

【問6の解説】ジスルフィド結合($-\mathrm{S-S}-$)を形成するものを特定しよう!

穏やかな酸化によって分子間でジスルフィド結合($-\mathrm{S-S}-$)を形成するのは、側鎖にチオール基($-\mathrm{SH}$、スルフヒドリル基)をもつ システイン($\mathrm{Cys}$) を含むペプチドです。
(実験 3) で硫化鉛(II) $\mathrm{PbS}$ の黒色沈殿を生じた ペプチド C がシステインを含んでいます。

よって問6(25)の正解は ③(C) です。

問7 ペプチド F の分子量の計算(解答番号 26)

ペプチド F の分子量はいくらか。最も近い値を選び、その番号を 26 にマークしなさい。

【Step 1】ペプチド F を構成するアミノ酸を特定しよう!

実験結果の条件を整理すると、ペプチド F は:
・(実験 1) ビウレット反応が陽性 $\implies$ トリペプチド(アミノ酸3分子が縮合)
・(実験 2)・(実験 3) がともに陰性 $\implies$ $\mathrm{Tyr}$, $\mathrm{Cys}$ を含まない。
・完全加水分解と元素分析・電気泳動の条件から、ペプチド F は グリシン($\mathrm{Gly}$:分子量 $75$)、アラニン($\mathrm{Ala}$:分子量 $89$)、グルタミン酸($\mathrm{Glu}$:分子量 $147$)(またはメチオニン $\mathrm{Met}$:分子量 $149$ 等を含む対応組合せ)の3つの異なるアミノ酸から構成されるトリペプチドとわかります。

【Step 2】脱水縮合で失われる水分子の分を引いて分子量を求めよう!

3分子のアミノ酸が縮合してトリペプチドになるとき、ペプチド結合が $2$ 個形成され、水分子 $\mathrm{H_2O}$(分子量 $18$)が $2$ 分子失われます。
$$\text{ペプチド F の分子量} = (\text{構成アミノ酸3つの分子量の和}) - 18 \times 2$$ 構成アミノ酸($\mathrm{Gly}=75$, $\mathrm{Ala}=89$, $\mathrm{Met}=149$)を代入すると:
$$75 + 89 + 149 - 36 = \mathbf{277}$$

したがって、正解は ④($277$) です。

Sora先生
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