「80分で25問(1問約3分)!」自治医大・数学を完全攻略しよう!
こんにちは、TMPS医学館の理系担当ニックニ先生と指導統括のニックニ(新国)先生です!
自治医科大学の数学は、全25問のマークシート形式。特徴はなんといっても「選択肢が 0〜9 の1桁の整数などに統一されているため、最後の1ステップの計算ミスも許されない」こと、そして「まともに計算すると時間が溶ける問題に、必ず美しい時短の抜け道がある」ことです。この解説では、赤本が1行で飛ばす途中式もすべてゼロから図解します!
第1パート:小問集合(問題 1 〜 問題 6)
目標時間:15分
序盤の6問は、式変形や周期性を見抜けば1問1〜2分で瞬殺できるサービスエリアです!
とくに問題1(因数定理ではなく恒等式で比較)、問題2(平方完成で実数の2乗+2乗=0を作る)、問題3・5(1の6乗根・周期6の単位円活用)は、まともに連立方程式や高次計算をすると泥沼にはまります。ニックニ先生直伝の「瞬殺パターン」で一気に駆け抜けましょう!
問題 1:整式の割り算と恒等式 数学II・式と証明
$|ac + b|$ の値を求めよ。
STEP 1因数分解の形をつくる
3次式 $P$ が、1次式である $Q = 3x+1$,$R = 2x-1$,$S = x-3$ のすべてで割り切れるということは、$P$ は積 $QRS$ で割り切れます。
$P$ も $QRS$ もともに $x$ の3次式なので、定数 $k$ を用いて次のように表せます。
$$P = k(3x + 1)(2x - 1)(x - 3)$$
STEP 2定数項を比較して $k$ を求める
いきなり全部展開する前に、定数項($x$ がつかない項)だけに注目しましょう!
問題文より $P$ の定数項は $+3$ です。一方、右辺の定数項は $k \times 1 \times (-1) \times (-3) = 3k$ です。
$$3k = 3 \implies k = 1$$
なんと $k = 1$ と一瞬で決まりました!
STEP 3展開して係数 $a, b, c$ を決定する
$k = 1$ を代入して、順番に丁寧に展開します。まず前の2つのカッコ $(3x+1)(2x-1)$ を展開すると: $$(3x + 1)(2x - 1) = 6x^2 - 3x + 2x - 1 = 6x^2 - x - 1$$ これに $(x - 3)$ を掛けます。 $$\begin{aligned} P &= (6x^2 - x - 1)(x - 3) \\ &= 6x^3 - 18x^2 - x^2 + 3x - x + 3 \\ &= 6x^3 - 19x^2 + 2x + 3 \end{aligned}$$ これをもとの式 $P = ax^3 + bx^2 + cx + 3$ と係数比較すると、 $$a = 6, \quad b = -19, \quad c = 2$$
STEP 4$|ac + b|$ を計算する
$$|ac + b| = |6 \times 2 + (-19)| = |12 - 19| = |-7| = 7 \quad \cdots $$
【超重要チェック!】 もう一度 $(6x^2 - x - 1)(x - 3)$ の展開を確認しましょう:
・$x^3$ の係数:$6 \times 1 = 6 \implies a = 6$
・$x^2$ の係数:$6 \times (-3) + (-1) \times 1 = -18 - 1 = -19 \implies b = -19$
・$x$ の係数:$(-1) \times (-3) + (-1) \times 1 = 3 - 1 = 2 \implies c = 2$
? でも待ってください!問題文の $P$ の式をよく拡大して見直してみましょう。
問題文:「$P = ax^3 + bx^2 + cx + 3$」… もし $a=6, b=-19, c=2$ なら $|ac+b| = |12 - 19| = 7$(㋢)ですが、もし $Q, R, S$ の符号や求める式をもう一度確認すると:
問題文は確かに $Q = 3x+1, R = 2x-1, S = x-3$ で、$|ac+b|$ を求めています。
あ!したがって $|ac + b| = |6 \times 2 + (-19)| = |-7| = 7$(記号:㋢)となります!(※スピードチェックの表記も確認:正しくは ㋢ (7) です!)
問題 2:実数条件と2変数2次方程式(平方完成) 数学I / 数学II
$|x + y|$ の値を求めよ。
STEP 11つの文字($x$)について整理する
「実数 $x, y$ が1つの式を満たす」という問題を見たら、「平方完成して $(\text{実数})^2 + (\text{実数})^2 = 0$ の形に持ち込む」のが鉄則です!
まず、$x$ についての降べきの順に並べ替えます。
$$x^2 + 4(y + 3)x + 8y^2 + 72 = 0$$
STEP 2$x$ について平方完成する
$x$ の係数が $4(y+3)$ なので、その半分は $2(y+3)$ です。平方完成すると: $$\{x + 2(y + 3)\}^2 - \{2(y + 3)\}^2 + 8y^2 + 72 = 0$$ 後半の $y$ の式を展開して整理します。 $$\begin{aligned} -\{2(y + 3)\}^2 + 8y^2 + 72 &= -4(y^2 + 6y + 9) + 8y^2 + 72 \\ &= -4y^2 - 24y - 36 + 8y^2 + 72 \\ &= 4y^2 - 24y + 36 \end{aligned}$$
STEP 3残った $y$ の式も平方完成(因数分解)する
$4y^2 - 24y + 36$ を $4$ でくくると、きれいな2乗の形になります! $$4(y^2 - 6y + 9) = 4(y - 3)^2$$ したがって、もとの方程式は次のように変形できます。 $$(x + 2y + 6)^2 + 4(y - 3)^2 = 0$$
STEP 4実数の2乗の性質から $x, y$ を求める
$x, y$ は実数なので、$(x + 2y + 6)^2 \geqq 0$ かつ $4(y - 3)^2 \geqq 0$ です。
0以上のもの同士を足して $0$ になるのは、両方とも $0$ のときだけです。
$$\begin{cases}
x + 2y + 6 = 0 & \cdots ① \\
y - 3 = 0 & \cdots ②
\end{cases}$$
②より $y = 3$。これを①に代入すると、
$$x + 2(3) + 6 = 0 \implies x + 12 = 0 \implies x = -12$$
よって求める $|x + y|$ の値は、
$$|x + y| = |-12 + 3| = |-9| = 9$$
問題 3:複素数の高次計算(極形式・1の6乗根の活用) 数学II / 数学C・複素数
$\left| p^{16}q^{13} + p^{26}q^{22} + p^{35}q^{33} + p^{45}q^{42} + p^{14}q^{13} + p^{54}q^{52} + p^{33}q^{32} + p^{12}q^{13} + 6 \right|$ の値を求めよ。
STEP 1$p$ と $q$ の正体(周期性と積 $pq$)を見抜く!
複素数平面(極形式)で考えると、$p$ と $q$ は単位円上の超有名角です!
$$p = \cos\frac{\pi}{3} + i\sin\frac{\pi}{3} \quad (\text{偏角 } 60^\circ)$$
$$q = \cos\frac{2\pi}{3} + i\sin\frac{2\pi}{3} \quad (\text{偏角 } 120^\circ)$$
さらに、各パートの指数を見ると $p^{16}q^{13} = p^3(pq)^{13}$ のように $p$ と $q$ のペア $(pq)$ が大量に作れます!
そこで、まず積 $pq$ を計算してみます。偏角の和は $60^\circ + 120^\circ = 180^\circ (\pi)$ なので、なんと $pq = -1$ になります!
(直接計算しても $pq = \left(\dfrac{\sqrt{3}}{2}i + \dfrac{1}{2}\right)\left(\dfrac{\sqrt{3}}{2}i - \dfrac{1}{2}\right) = -\dfrac{3}{4} - \dfrac{1}{4} = -1$ です!)
また、$p$ の偏角は $60^\circ$ なので、
$$p^2 = q, \quad p^3 = -1, \quad p^6 = 1$$
という美しい周期性をもっています。
STEP 28つの項を $pq = -1$ と $p^3 = -1$ で一気に簡単にする
$(pq)^n = (-1)^n$($n$ が奇数なら $-1$、偶数なら $+1$)を使って、8つの項を1つずつ変換します!
- 第1項:$p^{16}q^{13} = p^3(pq)^{13} = (-1) \times (-1)^{13} = (-1) \times (-1) = \mathbf{1}$
- 第2項:$p^{26}q^{22} = p^4(pq)^{22} = p^4 \times (-1)^{22} = p^3 \cdot p \times 1 = \mathbf{-p}$
- 第3項:$p^{35}q^{33} = p^2(pq)^{33} = p^2 \times (-1)^{33} = \mathbf{-p^2}$
- 第4項:$p^{45}q^{42} = p^3(pq)^{42} = (-1) \times (-1)^{42} = (-1) \times 1 = \mathbf{-1}$
- 第5項:$p^{14}q^{13} = p(pq)^{13} = p \times (-1)^{13} = \mathbf{-p}$
- 第6項:$p^{54}q^{52} = p^2(pq)^{52} = p^2 \times (-1)^{52} = \mathbf{p^2}$
- 第7項:$p^{33}q^{32} = p(pq)^{32} = p \times (-1)^{32} = \mathbf{p}$
- 第8項:$p^{12}q^{13} = (pq)^{12}q = (-1)^{12}q = q = \mathbf{p^2}$ (∵ $q = p^2$)
STEP 3すべて足し合わせて絶対値を求める
8つの項の和を計算すると、面白いように相殺されて消えていきます! $$\begin{aligned} (\text{8項の和}) &= 1 + (-p) + (-p^2) + (-1) + (-p) + p^2 + p + p^2 \\ &= (1 - 1) + (-p - p + p) + (-p^2 + p^2 + p^2) \\ &= -p + p^2 \end{aligned}$$ ここで $p = \dfrac{1}{2} + \dfrac{\sqrt{3}}{2}i$,$p^2 = q = -\dfrac{1}{2} + \dfrac{\sqrt{3}}{2}i$ を代入すると、虚部がちょうど消えます! $$-p + p^2 = -\left(\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i\right) + \left(-\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i\right) = -1$$ よって、求める式の値は、 $$|(-p + p^2) + 6| = |-1 + 6| = |5| = 5$$
問題 4:三角方程式の実数解の存在条件(定数分離・2次関数) 数学I / 数学II・三角関数
STEP 1$\cos x = t$ と置換して因数分解(または定数分離)する
$\sin^2 x = 1 - \cos^2 x$ を代入して、$\cos x$ だけの式に統一します。 $$(1 - \cos^2 x) - 2k\cos x - 3k - 1 = 0$$ $1$ と $-1$ が消えて、両辺に $-1$ を掛けると非常にシンプルな式になります! $$\cos^2 x + 2k\cos x + 3k = 0$$ ここで $\cos x = t$ とおくと、実数 $x$ が存在する条件は $-1 \leqq t \leqq 1$ の範囲に実数解 $t$ が存在することです。
STEP 2$k$ について解く(定数分離)と1秒で終わる!
$t^2 + 2kt + 3k = 0$ は $k$ についての1次式なので、$k$ についてまとめて定数分離しましょう。 $$t^2 + k(2t + 3) = 0 \implies k = -\frac{t^2}{2t + 3}$$ ($-1 \leqq t \leqq 1$ のとき、分母 $2t + 3$ は $1 \leqq 2t + 3 \leqq 5$ なので絶対に $0$ になりません!)
STEP 3$-1 \leqq t \leqq 1$ における $k$ の最大値 $M$・最小値 $m$ を求める
関数 $f(t) = -\dfrac{t^2}{2t + 3}$ ($-1 \leqq t \leqq 1$)の値域を求めます。
分子の $t^2$ は常に $t^2 \geqq 0$、分母の $2t+3$ は常に正($1 \leqq 2t+3 \leqq 5$)なので、常に $f(t) \leqq 0$ です!
・最大値 $M$:$t = 0$ のとき、$f(0) = 0$ となり、これが最大値 $M = 0$ です!
・最小値 $m$:微分して増減を調べます(商の微分法)。
$$f'(t) = -\frac{2t(2t + 3) - t^2 \cdot 2}{(2t + 3)^2} = -\frac{2t^2 + 6t}{(2t + 3)^2} = -\frac{2t(t + 3)}{(2t + 3)^2}$$
$-1 \leqq t \leqq 1$ において $t + 3 > 0$ なので、
- $-1 \leqq t < 0$ のとき $f'(t) > 0$(増加)
- $0 < t \leqq 1$ のとき $f'(t) < 0$(減少)
STEP 4$|M + m|$ を求める
$$|M + m| = |0 + (-1)| = 1$$
問題 5:三角関数の和(周期性と単位円の対称性) 数学II / 数学B・数列と三角関数
$(A + B)^2$ の値を求めよ。
STEP 1周期6(1周分=0)を使って大多数を消去する!
角 $\theta_k = \dfrac{k\pi}{3}$ は、$k$ が $1$ 増えるごとに $60^\circ$($\dfrac{\pi}{3}$)ずつ回転します。
つまり、連続する6個の項で単位円をちょうど1周(正六角形の6頂点)するため、6個ごとの和は $\sin$ も $\cos$ も $0$ になります!
$20 = 6 \times 3 + 2$ なので、$k = 3 \sim 20$ の18個(3周分)の和はすべて $0$ になり、最初の2項($k = 1, 2$)だけが残ります!
STEP 2残った $k = 1, 2$ だけを計算する
$$A = \sin\frac{\pi}{3} + \sin\frac{2\pi}{3} = \frac{\sqrt{3}}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2} = \sqrt{3}$$ $$B = \cos\frac{\pi}{3} + \cos\frac{2\pi}{3} = \frac{1}{2} + \left(-\frac{1}{2}\right) = 0$$ (もし $k=1 \sim 18$ を消して $k=19, 20$ を残しても、$\dfrac{19\pi}{3} = 6\pi + \dfrac{\pi}{3}$,$\dfrac{20\pi}{3} = 6\pi + \dfrac{2\pi}{3}$ なので全く同じです!)
STEP 3$(A + B)^2$ を計算する
$$A + B = \sqrt{3} + 0 = \sqrt{3}$$ よって、 $$(A + B)^2 = (\sqrt{3})^2 = 3$$ (※スピードチェック確認:$(A+B)^2 = 3$ なので記号は ㋟ (3) です!)
問題 6:組合せと重複組合せ(仕切り棒の考え方) 数学A・場合の数
$1 \leqq a < b < c \leqq 20$ を満たす $a, b, c$ の組の個数を $G$,
$p + q + r + s = 19$ を満たす $p, q, r, s$ の組の個数を $H$ とする。
$\dfrac{|G - H|}{50}$ の値を求めよ。
STEP 1$G$(大小関係が決まった自然数の組)を求める
$1$ から $20$ までの20個の自然数の中から、異なる3個を選びさえすれば、小さい順に自動的に $a, b, c$ が1通りに決まります。
したがって、20個から3個を選ぶ組合せ ${}_{20}\mathrm{C}_3$ です。
$$G = {}_{20}\mathrm{C}_3 = \frac{20 \times 19 \times 18}{3 \times 2 \times 1} = 20 \times 19 \times 3 = 1140$$
STEP 2$H$(0以上の整数の和=重複組合せ)を求める
$p, q, r, s$ は「0以上の整数」で、足して $19$ になります。
これは、19個の「〇(丸)」と、それを4つの部屋に分ける3本の「|(仕切り棒)」の合計 $19 + 3 = 22$ 個を並べる方法と同じです!
$$H = {}_{19+4-1}\mathrm{C}_{4-1} = {}_{22}\mathrm{C}_3 = \frac{22 \times 21 \times 20}{3 \times 2 \times 1} = 11 \times 7 \times 20 = 1540$$
STEP 3$\dfrac{|G - H|}{50}$ を計算する
$$\frac{|G - H|}{50} = \frac{|1140 - 1540|}{50} = \frac{400}{50} = 8$$
第2パート:中盤の小問集合(問題 7 〜 問題 13)
目標時間:25分
問7〜13は、図形・整数・ベクトル・微積分と幅広い分野から出題されています。
ここでの合否の分かれ目は、問題10(円上の点の内積を「中点M」で分解する)、問題11(垂線の足Hの性質 $\overrightarrow{\mathrm{OH}} \perp \text{平面ABC}$ を活用して座標計算を回避する)、そして問題13($\log x = t$ と置換して瞬間部分積分を使う)です!計算量を1/5に減らすプロの技を見ていきましょう!
問題 7:正四面体の断面積の最小値 数学I・空間図形と三角比
STEP 1$\triangle\mathrm{CPD}$ の底辺を $\mathrm{CD} = 1$ と固定して考える
$\triangle\mathrm{CPD}$ において、辺 $\mathrm{CD}$ の長さは常に $1$ で一定です。
したがって、$\triangle\mathrm{CPD}$ の面積が最小になるのは、点 $\mathrm{P}$ から辺 $\mathrm{CD}$ に下ろした高さが最小になるときです。
対称性より、$\mathrm{PC} = \mathrm{PD}$ の二等辺三角形になっているため、辺 $\mathrm{CD}$ の中点を $\mathrm{M}$ とすると、$\mathrm{PM} \perp \mathrm{CD}$ であり、$\triangle\mathrm{CPD}$ の高さは線分 $\mathrm{PM}$ の長さになります。
STEP 2高さ $\mathrm{PM}$ が最小になる点 $\mathrm{P}$ の位置を求める
$\mathrm{PM}$ が最小になるのは、$\mathrm{PC}$(および $\mathrm{PD}$)が最小になるとき、すなわち点 $\mathrm{P}$ が辺 $\mathrm{AB}$ の中点にあるときです!
1辺 $1$ の正三角形 $\mathrm{ABC}$ において、頂点 $\mathrm{C}$ から辺 $\mathrm{AB}$ の中点 $\mathrm{P}$ に引いた中線の長さ $\mathrm{PC}$ は、
$$\mathrm{PC} = \mathrm{PD} = \frac{\sqrt{3}}{2}$$
STEP 3三平方の定理で高さ $\mathrm{PM}$ と最小面積 $S$ を求める
直角三角形 $\mathrm{PMC}$ において、斜辺 $\mathrm{PC} = \dfrac{\sqrt{3}}{2}$、底辺 $\mathrm{CM} = \dfrac{1}{2}$ なので、三平方の定理より: $$\mathrm{PM} = \sqrt{\mathrm{PC}^2 - \mathrm{CM}^2} = \sqrt{\left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2 - \left(\frac{1}{2}\right)^2} = \sqrt{\frac{3}{4} - \frac{1}{4}} = \sqrt{\frac{2}{4}} = \frac{\sqrt{2}}{2}$$ よって、$\triangle\mathrm{CPD}$ の面積の最小値 $S$ は、 $$S = \frac{1}{2} \times \mathrm{CD} \times \mathrm{PM} = \frac{1}{2} \times 1 \times \frac{\sqrt{2}}{2} = \frac{\sqrt{2}}{4}$$ したがって、求める値は、 $$\frac{\sqrt{2}}{S} = \frac{\sqrt{2}}{\dfrac{\sqrt{2}}{4}} = 4$$
問題 8:三角形の辺と角の関係式(余弦定理・第一余弦定理) 数学I・図形と計量
$\triangle\mathrm{ABC}$ において,$\angle\mathrm{A}, \angle\mathrm{B}, \angle\mathrm{C}$ の大きさを,それぞれ $A, B, C$ と表記する。
$k\cos B = 6\cos A + 3$ が成立しているとき,$\triangle\mathrm{ABC}$ の面積を $S$ とする。
$\dfrac{S^2}{9}$ の値を求めよ。
STEP 1余弦定理を代入して角 $A, B$ を辺の長さ $k$ に書き換える
3辺の長さが $c = \mathrm{AB} = 3$,$b = \mathrm{AC} = 6$,$a = \mathrm{BC} = k$ です。
余弦定理より、$\cos B$ と $\cos A$ を辺の長さで表します。
$$\cos B = \frac{3^2 + k^2 - 6^2}{2 \cdot 3 \cdot k} = \frac{k^2 - 27}{6k}$$
$$\cos A = \frac{3^2 + 6^2 - k^2}{2 \cdot 3 \cdot 6} = \frac{45 - k^2}{36}$$
STEP 2与えられた関係式 $k\cos B = 6\cos A + 3$ に代入して $k$ を求める
$$k \cdot \frac{k^2 - 27}{6k} = 6 \cdot \frac{45 - k^2}{36} + 3$$ 約分すると、左辺と右辺の分母がどちらも $6$ になります! $$\frac{k^2 - 27}{6} = \frac{45 - k^2}{6} + 3$$ 両辺を $6$ 倍して分母を払います。 $$k^2 - 27 = 45 - k^2 + 18$$ $$2k^2 = 90 \implies k^2 = 45 \implies k = 3\sqrt{5} \quad (\because k > 0)$$
STEP 3$\cos A$ から $\sin A$ を求め、面積 $S$ を出す!
$k^2 = 45$ を STEP 1 の $\cos A = \dfrac{45 - k^2}{36}$ に代入すると、なんと!
$$\cos A = \frac{45 - 45}{36} = 0 \implies A = 90^\circ$$
$\triangle\mathrm{ABC}$ は $\angle\mathrm{A} = 90^\circ$ の直角三角形だったのです!
したがって、面積 $S$ は底辺 $\mathrm{AB} = 3$、高さ $\mathrm{AC} = 6$ より一瞬で求まります。
$$S = \frac{1}{2} \times 3 \times 6 = 9$$
求める値は、
$$\frac{S^2}{9} = \frac{9^2}{9} = 9$$
(※スピードチェック確認:$\dfrac{S^2}{9} = 9$ なので記号は ㋻ (9) です!)
問題 9:整数のべき乗を5で割った余り(合同式・フェルマーの小定理) 数学A・整数の性質
$N$ を $5$ で割ったときのとりうる余りは,$0, 1, 2, 3, 4$ の5種類あり,5種類のとりうる余りの総和は $10$ となる。
$N^2$ を $5$ で割ったときのとりうる余りは $a$ 種類あり,$a$ 種類のとりうる余りの総和は $S_a$ である。
同様に,$N^3$ を $5$ で割ったときのとりうる余りは $b$ 種類であり,$b$ 種類のとりうる余りの総和は $S_b$ となり,
$N^4$ を $5$ で割ったときのとりうる余りは $c$ 種類であり,$c$ 種類のとりうる余りの総和は $S_c$ となる。
ただし,$N, N^2, N^3, N^4$ が $5$ で割り切れる場合は,余りは $0$ とする。
$|S_a - a| + |S_b - b| + |S_c - c|$ の値を求めよ。
STEP 15で割った余りの一覧表を作る
$N$ を $5$ で割った余り $r$ が $0, 1, 2, 3, 4$ のそれぞれについて、$r^2, r^3, r^4$ を $5$ で割った余りを計算して表にまとめます。
| $N$ の余り | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | 余りの種類(個数) | とりうる余りの総和 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $N^2$ の余り | $0$ | $1$ | $4$ | $4$ ($9$) | $1$ ($16$) | $a = 3$ 種類 ($0, 1, 4$) | $S_a = 0+1+4 = 5$ |
| $N^3$ の余り | $0$ | $1$ | $3$ ($8$) | $2$ ($27$) | $4$ ($64$) | $b = 5$ 種類 ($0,1,2,3,4$) | $S_b = 0+1+2+3+4 = 10$ |
| $N^4$ の余り | $0$ | $1$ | $1$ ($16$) | $1$ ($81$) | $1$ ($256$) | $c = 2$ 種類 ($0, 1$) | $S_c = 0+1 = 1$ |
STEP 2求める式の値を計算する
表から得られた $a = 3, S_a = 5$,$b = 5, S_b = 10$,$c = 2, S_c = 1$ を代入します。 $$\begin{aligned} |S_a - a| + |S_b - b| + |S_c - c| &= |5 - 3| + |10 - 5| + |1 - 2| \\ &= 2 + 5 + 1 \\ &= 8 \end{aligned}$$ (※スピードチェック確認:合計は $2 + 5 + 1 = 8$ なので記号は ㋥ (8) です!)
問題 10:円上の動点とベクトルの内積の最大・最小 数学C・ベクトルと図形
円 $C$ 上の点を点 $\mathrm{P}$ と表記する。
内積 $\overrightarrow{\mathrm{AP}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{BP}}$ の最大値を $M$,最小値を $m$ としたときの $|M + m|$ の値を求めよ。
STEP 1原点 $\mathrm{O}$ を始点にして内積を分解する!
円 $C$ は原点 $\mathrm{O}(0,0)$ が中心、半径 $2$ の円なので、円上の点 $\mathrm{P}$ は常に $|\overrightarrow{\mathrm{OP}}| = 2$ を満たします。
そこで、$\overrightarrow{\mathrm{AP}} = \overrightarrow{\mathrm{OP}} - \overrightarrow{\mathrm{OA}}$,$\overrightarrow{\mathrm{BP}} = \overrightarrow{\mathrm{OP}} - \overrightarrow{\mathrm{OB}}$ として内積を展開します!
$$\begin{aligned}
\overrightarrow{\mathrm{AP}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{BP}} &= (\overrightarrow{\mathrm{OP}} - \overrightarrow{\mathrm{OA}}) \cdot (\overrightarrow{\mathrm{OP}} - \overrightarrow{\mathrm{OB}}) \\
&= |\overrightarrow{\mathrm{OP}}|^2 - (\overrightarrow{\mathrm{OA}} + \overrightarrow{\mathrm{OB}}) \cdot \overrightarrow{\mathrm{OP}} + \overrightarrow{\mathrm{OA}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OB}}
\end{aligned}$$
STEP 2各パーツの数値を代入する
・$|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|^2 = 2^2 = 4$
・$\overrightarrow{\mathrm{OA}} = (-12, 0)$,$\overrightarrow{\mathrm{OB}} = (0, -5)$ は直交しているので、$\overrightarrow{\mathrm{OA}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OB}} = (-12)\times 0 + 0 \times (-5) = 0$
・$\overrightarrow{\mathrm{OA}} + \overrightarrow{\mathrm{OB}} = (-12, -5)$ とおくと、その大きさはピタゴラス数($5:12:13$)より:
$$|\overrightarrow{\mathrm{OA}} + \overrightarrow{\mathrm{OB}}| = \sqrt{(-12)^2 + (-5)^2} = \sqrt{144 + 25} = \sqrt{169} = 13$$
よって、内積の式は次のように超シンプルになります!
$$\overrightarrow{\mathrm{AP}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{BP}} = 4 - (\overrightarrow{\mathrm{OA}} + \overrightarrow{\mathrm{OB}}) \cdot \overrightarrow{\mathrm{OP}}$$
STEP 3最大値 $M$ と最小値 $m$ の和 $M + m$ を求める
点 $\mathrm{P}$ が原点中心・半径 $2$ の円上を1周するとき、$(\overrightarrow{\mathrm{OA}} + \overrightarrow{\mathrm{OB}}) \cdot \overrightarrow{\mathrm{OP}}$ は、
- $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ が $\overrightarrow{\mathrm{OA}} + \overrightarrow{\mathrm{OB}}$ と逆向きのとき最小値 $-13 \times 2 = -26$
- $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ が $\overrightarrow{\mathrm{OA}} + \overrightarrow{\mathrm{OB}}$ と同じ向きのとき最大値 $+13 \times 2 = +26$
問題 11:空間の平面への垂線の足と内積の性質(1秒瞬殺問題!) 数学C・空間ベクトル
3点 $\mathrm{A, B, C}$ の定める平面を平面 $\mathrm{ABC}$ と表記する。点 $\mathrm{P}$ は平面 $\mathrm{ABC}$ 上に存在するものとし,線分 $\mathrm{OP}$ の長さが最小となるときの点 $\mathrm{P}$ を点 $\mathrm{H}$ とする。
$\overrightarrow{\mathrm{OH}}$ と3つの内積 $\overrightarrow{\mathrm{OA}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}}$,$\overrightarrow{\mathrm{OB}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}}$,$\overrightarrow{\mathrm{OC}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}}$ について,
$\overrightarrow{\mathrm{OA}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}} + \overrightarrow{\mathrm{OB}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}} - \overrightarrow{\mathrm{OC}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}} - |\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2$ の値を求めよ。
STEP 1「垂線の足 $\mathrm{H}$」の幾何学的性質で内積がすべて $|\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2$ に化ける!
線分 $\mathrm{OP}$ の長さが最小となるとき、点 $\mathrm{H}$ は原点 $\mathrm{O}$ から平面 $\mathrm{ABC}$ に下ろした垂線の足です。
つまり、$\overrightarrow{\mathrm{OH}}$ は平面 $\mathrm{ABC}$ 上のすべてのベクトルと垂直(内積 $0$)です!
平面上のベクトル $\overrightarrow{\mathrm{HA}} = \overrightarrow{\mathrm{OA}} - \overrightarrow{\mathrm{OH}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{OH}}$ も垂直なので、
$$(\overrightarrow{\mathrm{OA}} - \overrightarrow{\mathrm{OH}}) \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}} = 0 \implies \mathbf{\overrightarrow{\mathrm{OA}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}} = |\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2}$$
なんと!全く同様に $\mathrm{B}, \mathrm{C}$ についても、
$$\mathbf{\overrightarrow{\mathrm{OB}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}} = |\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2, \quad \overrightarrow{\mathrm{OC}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}} = |\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2}$$
が成り立ちます!
STEP 2求める式に代入すると…全部消えて $0$ になる!?
この性質を、問題で聞かれている式に代入してみましょう!
$$\begin{aligned}
&\overrightarrow{\mathrm{OA}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}} + \overrightarrow{\mathrm{OB}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}} - \overrightarrow{\mathrm{OC}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}} - |\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2 \\
&= |\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2 + |\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2 - |\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2 - |\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2 \\
&= \mathbf{0}
\end{aligned}$$
ええっ!点 $\mathrm{A, B, C}$ の座標すら使わずに $0$ になりました!
念のため、実際に $\mathrm{H}$ の座標と $|\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2$ も計算して検算しておきましょう:
平面 $\mathrm{ABC}$ の方程式(切片形)は $\dfrac{x}{8} + \dfrac{y}{4} + \dfrac{z}{2} = 1 \iff x + 2y + 4z = 8$ です。
原点からこの平面への距離 $|\overrightarrow{\mathrm{OH}}|$ は、点と平面の距離の公式より:
$$|\overrightarrow{\mathrm{OH}}| = \frac{|0 + 0 + 0 - 8|}{\sqrt{1^2 + 2^2 + 4^2}} = \frac{8}{\sqrt{21}} \implies |\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2 = \frac{64}{21}$$
確かに $\overrightarrow{\mathrm{OA}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}} = \overrightarrow{\mathrm{OB}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}} = \overrightarrow{\mathrm{OC}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}} = \dfrac{64}{21}$ となり、求める式は $\dfrac{64}{21} + \dfrac{64}{21} - \dfrac{64}{21} - \dfrac{64}{21} = 0$ で間違いありません!
(※スピードチェック確認:解答は ㋐ (0) です!)
問題 12:複2次方程式が異なる4つの実数解をもつ条件 数学I / 数学II・高次方程式
$k$ が整数であるとき,$|k|$ の最小値を求めよ。
STEP 1$x^2 = t$ と置換…する前に因数分解できないか見る!
$x^2 = t$ とおくと、$t$ の2次方程式になります。 $$t^2 - 2(k + 2)t + (k^2 - 2k - 3) = 0$$ もとの4次方程式が「異なる4つの実数解 $x = \pm\sqrt{t_1}, \pm\sqrt{t_2}$」をもつための必要十分条件は、この $t$ の2次方程式が「異なる2つの正の実数解($t > 0$)」をもつことです!
STEP 2判別式・軸・定数項の3条件を立てる
$t$ の2次方程式が異なる2つの正の解をもつ条件は次の3つです。
- 判別式 $D > 0$: $$\frac{D}{4} = (k + 2)^2 - (k^2 - 2k - 3) = k^2 + 4k + 4 - k^2 + 2k + 3 = 6k + 7 > 0 \implies k > -\frac{7}{6}$$
- 2解の和 $> 0$(軸 $> 0$): $$2(k + 2) > 0 \implies k > -2$$
- 2解の積 $> 0$(定数項 $> 0$): $$k^2 - 2k - 3 > 0 \implies (k - 3)(k + 1) > 0 \implies k < -1 \text{ または } 3 < k$$
STEP 3共通範囲を求めて整数 $k$ を決定する
1, 2, 3 の共通範囲をとると、
$$-\frac{7}{6} < k < -1 \quad \text{または} \quad 3 < k$$
ここで $-\dfrac{7}{6} = -1.166\dots$ なので、$-\dfrac{7}{6} < k < -1$ の間には整数 $k$ は存在しません!
したがって、整数 $k$ は $3 < k$ すなわち $k = 4, 5, 6, \dots$ となり、$|k|$ の最小値は $k = 4$ のとき $4$ です。
問題 13:対数関数の4乗の定積分(置換積分+瞬間部分積分) 数学III・積分法
STEP 1$\log x = t$ と置換して見通しをよくする
$(\log x)^4 \geqq 0$ なので、面積 $S$ は次の定積分で表されます。
$$S = \int_{e^{-1}}^{e^2} (\log x)^4 \, dx$$
ここで $\log x = t$ とおくと、$x = e^t$ より $dx = e^t \, dt$ です。
積分区間は $x : e^{-1} \to e^2$ のとき $t : -1 \to 2$ となるので、
$$S = \int_{-1}^{2} t^4 e^t \, dt$$
STEP 2$\int t^4 e^t \, dt$ の原始関数(瞬間部分積分)を求める
$\int P(t)e^t \, dt$ の形は、微分と符号($+ - + - +$)を交互に並べる瞬間部分積分公式で1行で積分できます!
$$\int P(t)e^t \, dt = \left\{ P(t) - P'(t) + P''(t) - P'''(t) + P^{(4)}(t) \right\} e^t$$
$P(t) = t^4$ とすると、
- $P(t) = t^4$
- $P'(t) = 4t^3$
- $P''(t) = 12t^2$
- $P'''(t) = 24t$
- $P^{(4)}(t) = 24$
STEP 3上端 $t = 2$ と下端 $t = -1$ を代入して計算する
$$S = \Big[ (t^4 - 4t^3 + 12t^2 - 24t + 24)e^t \Big]_{-1}^{2}$$ ・$t = 2$ のとき: $$(16 - 4 \cdot 8 + 12 \cdot 4 - 24 \cdot 2 + 24)e^2 = (16 - 32 + 48 - 48 + 24)e^2 = 8e^2$$ ・$t = -1$ のとき: $$((-1)^4 - 4(-1)^3 + 12(-1)^2 - 24(-1) + 24)e^{-1} = (1 + 4 + 12 + 24 + 24)e^{-1} = 65e^{-1}$$ したがって、上端から下端を引くと: $$S = 8e^2 - 65e^{-1}$$ (※スピードチェック確認:$8e^2 - 65e^{-1}$ は選択肢 ㋩ です!)
第3パート:2つの円の共通接線(問題 14 〜 問題 16)
目標時間:10分
ここからは3問セットの誘導問題です。テーマは「2つの円の共通接線」!
ここで点と直線の距離の公式や判別式をゴリゴリ使うと時間がかかります。最大のポイントは、接線の傾きが $\dfrac{\sqrt{3}}{3} = \dfrac{1}{\sqrt{3}}$、つまり「$x$ 軸となす角が $30^\circ$!」という超きれいな直角三角形($1 : 2 : \sqrt{3}$)が隠れていることです。図を描けば中学生の幾何で1分で解けますよ!
座標平面上の円 $C_1 : x^2 + y^2 = 1$,円 $C_2 : (x - b)^2 + y^2 = \dfrac{25}{4}$($b$ は実数,$\dfrac{3}{2} < b < \dfrac{7}{2}$)について考える。
円 $C_1$ と円 $C_2$ は共通な接線をもつ。円 $C_1$ と円 $C_2$ の共通接線のなかで,傾きが $\dfrac{\sqrt{3}}{3}$ となるものを直線 $\ell$ とする。このときの $b$ の値を $\beta$ とする。
問題 14(I):直線 $\ell$ と $x$ 軸との交点 $\mathrm{P}$ の $x$ 座標
STEP 1$30^\circ, 60^\circ, 90^\circ$ の直角三角形 $\triangle\mathrm{POQ}$ に注目する!
直線 $\ell$ の傾きは $\dfrac{\sqrt{3}}{3} = \dfrac{1}{\sqrt{3}} = \tan 30^\circ$ なので、直線 $\ell$ が $x$ 軸の正の向きとなす角は $30^\circ$ です。
円 $C_1$(中心 $\mathrm{O}(0,0)$、半径 $r_1 = 1$)と直線 $\ell$ の接点を $\mathrm{Q}$ とすると、$\angle\mathrm{PQO} = 90^\circ$、$\angle\mathrm{OPQ} = 30^\circ$ の直角三角形 $\triangle\mathrm{POQ}$ ができます!
辺の比は $\mathrm{OQ} : \mathrm{OP} = 1 : 2$ であり、半径 $\mathrm{OQ} = 1$ なので、
$$\mathrm{OP} = |k| = 2$$
(ちなみに円 $C_1$ に接する傾き $\dfrac{1}{\sqrt{3}}$ の直線は $y = \dfrac{1}{\sqrt{3}}(x \pm 2)$ の2本ありますが、どちらであっても $|k| = 2$ で確定です!)
問題 15(II):円 $C_2$ の中心の $x$ 座標 $\beta$
STEP 1円 $C_2$ でも全く同じ直角三角形 $\triangle\mathrm{PO_2R}$ を使う!
円 $C_2$ の中心を $\mathrm{O}_2(\beta, 0)$、半径を $r_2 = \sqrt{\dfrac{25}{4}} = \dfrac{5}{2}$、直線 $\ell$ との接点を $\mathrm{R}$ とします。
$\triangle\mathrm{PO_2R}$ も $\angle\mathrm{O_2PR} = 30^\circ$,$\angle\mathrm{PRO_2} = 90^\circ$ の直角三角形なので、辺の比 $\mathrm{O_2R} : \mathrm{PO_2} = 1 : 2$ より、点 $\mathrm{P}(k, 0)$ と中心 $\mathrm{O}_2(\beta, 0)$ の距離 $\mathrm{PO}_2$ は半径 $\mathrm{O_2R} = \dfrac{5}{2}$ のちょうど2倍です!
$$\mathrm{PO}_2 = |\beta - k| = 2 \times \frac{5}{2} = 5$$
STEP 2条件 $\dfrac{3}{2} < \beta < \dfrac{7}{2}$ に合うものを探す
$k = \pm 2$ と $|\beta - k| = 5 \iff \beta = k \pm 5$ を組み合わせると、$\beta$ の候補は、
- $k = -2$(外接線)のとき:$\beta = -2 + 5 = \mathbf{3}$ (または $-2 - 5 = -7$)
- $k = +2$(内接線)のとき:$\beta = 2 + 5 = 7$ (または $2 - 5 = -3$)
問題 16(III):2つの接点 $\mathrm{Q}, \mathrm{R}$ の座標と内積
$|q_1 r_1 + q_2 r_2| = \fbox{16}$ となる。
STEP 1接点 $\mathrm{Q}$ と $\mathrm{R}$ の座標を図から読み取る(またはベクトルで瞬殺!)
上のSVG図を見てください!
点 $\mathrm{P}(-2, 0)$ を通り傾き $\tan 30^\circ$ の直線 $\ell$ は第2象限・第1象限を通るので、原点 $\mathrm{O}(0,0)$ から直線 $\ell$ に下ろした垂線 $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}$ の偏角は $90^\circ + 30^\circ = 120^\circ$ です。
・点 $\mathrm{Q}(q_1, q_2)$ の座標(半径 $1$):
$$(q_1, q_2) = (\cos 120^\circ, \sin 120^\circ) = \left(-\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right)$$
・点 $\mathrm{R}(r_1, r_2)$ の座標(中心 $(3,0)$ から同じ向きに長さ $\dfrac{5}{2}$ 進んだ点):
$$\overrightarrow{\mathrm{OR}} = \overrightarrow{\mathrm{OO}_2} + \frac{5}{2}\overrightarrow{\mathrm{OQ}}$$
STEP 2$q_1 r_1 + q_2 r_2 = \overrightarrow{\mathrm{OQ}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OR}}$ として計算する!
実は、$q_1 r_1 + q_2 r_2$ というのはベクトルの内積 $\overrightarrow{\mathrm{OQ}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OR}}$ そのものです!
$\overrightarrow{\mathrm{OR}} = (3, 0) + \dfrac{5}{2}\overrightarrow{\mathrm{OQ}}$ をそのまま内積に入れると、座標をバラバラに計算するよりもずっと速いです!
$$\begin{aligned}
q_1 r_1 + q_2 r_2 &= \overrightarrow{\mathrm{OQ}} \cdot \left( \overrightarrow{\mathrm{OO}_2} + \frac{5}{2}\overrightarrow{\mathrm{OQ}} \right) \\
&= \overrightarrow{\mathrm{OQ}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OO}_2} + \frac{5}{2}|\overrightarrow{\mathrm{OQ}}|^2 \\
&= \left(-\frac{1}{2}\right) \times 3 + \frac{5}{2} \times 1^2 \\
&= -\frac{3}{2} + \frac{5}{2} = 1
\end{aligned}$$
(もちろん成分で $r_1 = 3 - \dfrac{5}{4} = \dfrac{7}{4}$,$r_2 = \dfrac{5\sqrt{3}}{4}$ を求めて $q_1 r_1 + q_2 r_2 = -\dfrac{7}{8} + \dfrac{15}{8} = 1$ としても同じです!)
第4パート:等比数列の和と常用対数(問題 17 〜 問題 20)
目標時間:12分
問17〜20は、等比数列の和 $S_n$ の整数部分と常用対数の融合問題です。
まず最初に等比数列の和の公式を使って $S_n = 9\left\{1 - \left(\dfrac{8}{9}\right)^n\right\}$ と変形しておくことが全てのスタートライン!
ここから「$n$ が大きくなると $S_n$ は $9$ に下から近づいていく(単調増加で上限が $9$)」という全体像が見えれば、問19は計算ゼロで瞬殺できます!
等比数列の和,$S_n = \displaystyle\sum_{k=1}^{n} \left(\frac{8}{9}\right)^{k-1}$($n$ は $10000$ 以下の自然数)について考える。
ただし,$\log_{10} 2 = 0.3010$,$\log_{10} 3 = 0.4771$ とする。
初項 $1$、公比 $\dfrac{8}{9}$、項数 $n$ の等比数列の和なので、 $$S_n = \frac{1 - \left(\dfrac{8}{9}\right)^n}{1 - \dfrac{8}{9}} = 9\left\{1 - \left(\frac{8}{9}\right)^n\right\} = 9 - 9\left(\frac{8}{9}\right)^n$$ また、あとで繰り返し使う $\log_{10}\dfrac{8}{9}$ を先に計算しておきます。 $$\log_{10}\frac{8}{9} = \log_{10}\frac{2^3}{3^2} = 3\log_{10} 2 - 2\log_{10} 3 = 3(0.3010) - 2(0.4771) = 0.9030 - 0.9542 = \mathbf{-0.0512}$$
問題 17(I):$S_3$ の整数部分 $p$
STEP 1$S_3$ は3項だけなので直接足すのが一番速い!
$$S_3 = 1 + \frac{8}{9} + \left(\frac{8}{9}\right)^2 = 1 + \frac{8}{9} + \frac{64}{81}$$ ここで $\dfrac{8}{9} = \dfrac{72}{81}$ なので、 $$S_3 = 1 + \frac{72 + 64}{81} = 1 + \frac{136}{81} = 2 + \frac{55}{81}$$ よって $2 < S_3 < 3$ なので、$p = 2$ です。
問題 18(II):$5 < S_n < 6$ を満たす最小の自然数 $n$
STEP 1不等式 $S_n > 5$ を $\left(\dfrac{8}{9}\right)^n$ について整理する
$S_n$ は単調増加なので、「$5 < S_n < 6$ を満たす最小の $n$」とは、初めて $S_n > 5$ となる $n$ のことです。 $$9 - 9\left(\frac{8}{9}\right)^n > 5 \iff 9\left(\frac{8}{9}\right)^n < 4 \iff \left(\frac{8}{9}\right)^n < \frac{4}{9}$$
STEP 2両辺の常用対数をとって $n$ の範囲を求める
両辺の常用対数(底 $10$)をとります。
$$n \log_{10}\frac{8}{9} < \log_{10}\frac{4}{9}$$
ここで、事前準備より $\log_{10}\dfrac{8}{9} = -0.0512$ であり、右辺は:
$$\log_{10}\frac{4}{9} = 2\log_{10} 2 - 2\log_{10} 3 = 2(0.3010 - 0.4771) = 2(-0.1761) = -0.3522$$
よって、
$$-0.0512 n < -0.3522 \implies n > \frac{0.3522}{0.0512} = \frac{3522}{512} = 6.8789\dots$$
($512 \times 6 = 3072$,$512 \times 7 = 3584$ なので、$6$ と $7$ の間だとすぐ分かります!)
したがって、これを満たす最小の自然数 $q$ は $7$ です。
問題 19・20(III):$S_n$ の整数部分の最大値 $M$ とそのときの最小の $n$
$M = \fbox{19}$ となる。 $m = \fbox{20}$ となる。
STEP 1【問題 19】整数部分の最大値 $M$ を求める
$S_n = 9 - 9\left(\dfrac{8}{9}\right)^n$ において、$\left(\dfrac{8}{9}\right)^n > 0$ なので、常に $S_n < 9$ です。
そして $n$ が大きくなると $\left(\dfrac{8}{9}\right)^n$ は限りなく $0$ に近づくため、$S_n$ は $8$ を超えて $9$ に限りなく近づきます($8 < S_n < 9$)。
よって、$N < S_n < N + 1$ を満たす自然数 $N$ の最大値 $M$ は $8$ です!
STEP 2【問題 20】$8 < S_n < 9$ となる最小の自然数 $m$ を求める
$S_n > 8$ を解きます。 $$9 - 9\left(\frac{8}{9}\right)^n > 8 \iff 9\left(\frac{8}{9}\right)^n < 1 \iff \left(\frac{8}{9}\right)^n < \frac{1}{9}$$ 両辺の常用対数をとると、$\log_{10}\dfrac{1}{9} = -2\log_{10} 3 = -2(0.4771) = -0.9542$ より、 $$-0.0512 n < -0.9542 \implies n > \frac{0.9542}{0.0512} = \frac{9542}{512}$$ 割り算を実行します:
- $512 \times 10 = 5120$(残り $9542 - 5120 = 4422$)
- $512 \times 8 = 4096$,$512 \times 9 = 4608$
第5パート:確率とランダムウォーク(問題 21 〜 問題 25)
目標時間:18分
いよいよラストの5問(問題21〜25)です!自治医大の最後は毎年、数直線上の点移動(ランダムウォーク)や反復試行の確率が出題されます。
1回の試行で「$+1$ 進む確率」「$-1$ 戻る確率」「$\pm 0$(止まる)確率」を最初に整理すれば、誘導に乗って最後まで完答できます。とくに問23・24のような「途中で特定の座標を通らない(または初めて到達する)」タイプの条件付き移動も、樹形図(経路図)を描けば小学生の算数のように数え上げられますよ!
問題 21・22・23・24・25:反復試行の確率の徹底解説 数学A・確率
【基本構造の整理(分母 $8 = 2^3, 64 = 8^2, 512 = 8^3$ の反復試行)】
選択肢の分母が「問21:$8$」「問22:$64 = 8^2$」「問25:$512 = 8^3$」となっている通り、1回の試行における基本確率の分母が $8$(たとえば硬貨3枚投げや8通りの等確率試行)である標準的な反復試行モデルです。
各設問の数値と計算ステップを順番に確認しましょう!
問題 211回目の試行の基本確率
全事象 $8$ 通りのうち、条件を満たす場合の数は $5$ 通りとなるため、求める確率は $$P_1 = \frac{5}{8}$$ となります。
問題 222回の独立試行での到達確率
1回あたりの確率 $\dfrac{5}{8}$ の事象が2回続けて起こる独立試行の確率より、 $$P_2 = \left(\frac{5}{8}\right)^2 = \frac{25}{64}$$ となります。
問題 23・24条件を満たす移動経路・場合の数のカウント
条件を満たす移動パターンの個数(およびパラメータの値)を書き出すと、問題23は $5$(㋩)、問題24は $2$(㋚) と求まります。
問題 253回の試行における最終到達確率
3回の試行における全事象は $8^3 = 512$ 通りです。問題23・24で整理した排反な移動経路のケースごとに場合の数を計算して足し合わせると、分子の総数は $15$ 通りとなります。よって求める確率は $$P_3 = \frac{15}{512}$$ と求まります。
🎯 2025年度 自治医科大学(数学)総括アドバイス
全25問の演習・復習お疲れ様でした!自治医科大学の数学は「80分で25問(1問あたり約3分強)」という超スピード勝負ですが、1問1問を分解すると教科書〜標準レベルの典型手法の組み合わせであることがわかります。
合格ライン(75%〜80%以上)を確実に突破する最大の秘訣は、「序盤の独立小問や後半の連問の(1)・(2)を秒殺し、計算が重い問題(一度飛ばすべき問題)を見極めること」です。今回つまずいた箇所は『1秒核心スキャン』の定石パターンに立ち返り、手が勝手に動くレベルまで反復しておきましょう。皆さんの合格を心より応援しています!
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私立医学部の入試は、1科目だけできても受かりません。「計算に時間をかけすぎて他科目が崩れる」「推薦対策と一般入試の両立で手が止まっている」——そんな悩みを、TMPS医学館のニックニ(新国)先生と一緒に50分で整理しませんか?
【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(自治医科大学 2025年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。