類題 III
平行板コンデンサに関する次の問いに答えよ。真空の誘電率を $\varepsilon_0$ とし、コンデンサの端の効果は無視する。$\Delta t$ を微小な時間とし、その間の関数 $f(t)$ の変化を $\Delta f(t)$ と書く。
問1 面積 $S_0$ の2枚の極板を間隔 $d_0$ で平行に置き、その間を比誘電率 $\varepsilon_r$ の誘電体で満たした。このコンデンサの電気容量 $C_0$ を $\varepsilon_0,\ \varepsilon_r,\ S_0,\ d_0$ を用いて答えよ。以後、この電気容量を $C_0$ とする。
問2 図6のように、電圧の最大値 $V_0$、角周波数 $\omega$ の交流電源、抵抗値 $R$ の抵抗、電気容量 $C_0$ のコンデンサを直列に接続した。電流は図の矢印の向きを正とし、電源電圧は矢印の向きに電流を流そうとする向きを正として $V(t)=V_0\sin(\omega t)$ とする。
図6
(a) 時刻 $t$ にコンデンサに蓄えられた電荷を $Q(t)$ とすると、キルヒホッフの第2法則から $V_0\sin(\omega t)=\text{【ア】}\dfrac{\Delta Q(t)}{\Delta t}+\text{【イ】}Q(t)$ となる。【ア】、【イ】を $t,\ \omega,\ V_0,\ R,\ C_0$ のうち必要なものを用いて答えよ。
(b) 十分に時間が経ったとき、抵抗を流れる電流は $I(t)=\dfrac{V_0}{Z}\sin(\omega t+\alpha)$ と表せる。$Z$ と $\tan\alpha$ を、$\omega,\ V_0,\ R,\ C_0$ のうち必要なものを用いて答えよ。
(c) コンデンサの両端の電圧の振幅 $V_C$ の、$\omega$ への依存性の概形を、解答欄のグラフに図示せよ(横軸 $\omega$、縦軸 $V_C$)。
問3 $d_0$ を一定に保ったまま、右側の極板を上下にずらして極板が重なる面積を $S(t)=S_0\bigl(1+\eta\sin\omega t\bigr)$ のように時間変化させる($\eta$ は $1$ より十分小さい正の定数)。このコンデンサを図7のように、電圧 $V$ の直流電源と抵抗値 $R$ の抵抗に接続した。時刻 $t$ の電気容量を $C(t)$ とし、蓄えられた電荷 $Q(t)$ は、コンデンサの両端の電位差と $C(t)$ の積とする。電流 $I$ は図の矢印の向きを正とする。
図7
(d) キルヒホッフの第2法則から $V=\text{【ア】}\dfrac{\Delta Q(t)}{\Delta t}+\text{【ウ】}Q(t)\ \cdots(1)$ となる。【ウ】を $t,\ \omega,\ V,\ R,\ C(t)$ のうち必要なものを用いて答えよ。ただし【ア】は問2(a)と同じ式である。
$Q(t)$ を $\eta$ の1次式 $Q(t)=q_0(t)+q_1(t)\,\eta\ \cdots(2)$ で近似して(1)式を解こう。ここで $q_0(t),\ q_1(t)$ は時間の関数で、$\eta$ に依存しない。(1)式に(2)式を代入して $\eta$ のべきでまとめ、$\eta^2$ 以上の項は十分に小さいとして無視すると $0=A_0+A_1\eta\ \cdots(3)$ が得られる。ここで $A_0,\ A_1$ は $\eta$ を含まない式であり
$$A_0=\text{【ア】}\frac{\Delta q_0(t)}{\Delta t}+\text{【エ】}q_0(t)-V,\qquad A_1=\text{【ア】}\frac{\Delta q_1(t)}{\Delta t}+\text{【エ】}q_1(t)+\text{【オ】}q_0(t)$$
となる(必要なら、$|x|\ll1$ のとき $\dfrac{1}{1+x}\fallingdotseq1-x$ を用いてよい)。(3)式が任意の微小量 $\eta$ で成り立つには $A_0=A_1=0$ でなければならない。$A_0=0$ より、十分に時間が経過したあとは $q_0(t)=\text{【カ】}$ となる。以後の計算では $q_0(t)=\text{【カ】}$ とおく。同様に $A_1=0$ より、十分に時間が経過したあとの $q_1(t)$ は $0=\text{【ア】}\dfrac{\Delta q_1(t)}{\Delta t}+\text{【エ】}q_1(t)+\text{【キ】}$ を満たす。
(e) 【エ】〜【キ】を $t,\ \omega,\ V,\ R,\ C_0$ のうち必要なものを用いて答えよ。
(f) 回路をつないで十分に時間が経過したあとの、抵抗に生じる電圧の大きさ $|V_R(t)|$ を、問2を参考にして $t,\ \omega,\ V,\ R,\ C_0,\ \eta$ のうち必要なものを用いて答えよ。
問4 問3の回路は、音波で極板を動かして電圧に変換するマイクロフォンとして使える。出力は抵抗に生じる電圧である。人間の可聴周波数は $20\,\mathrm{Hz}$ から $20000\,\mathrm{Hz}$ である。$20\,\mathrm{Hz}$ の音に対しても、出力電圧の振幅が、$\omega RC_0\to\infty$ としたときの振幅の $90\,\%$ 以上になるようにしたい。$R$ と $C_0$ が満たすべき条件を、問2(c)も参考にして求めよ。数値で答える場合は $\sqrt{19}\fallingdotseq4.36$、$\pi\fallingdotseq3.14$ を用いてよい。
類題III の解答・解説
問1 $C_0=\dfrac{\varepsilon_r\varepsilon_0S_0}{d_0}$。
問2 (a) $V_0\sin\omega t=R\dfrac{\Delta Q}{\Delta t}+\dfrac{1}{C_0}Q$ より【ア】$=R$、【イ】$=\dfrac{1}{C_0}$。(b) $Z=\sqrt{R^2+\dfrac{1}{\omega^2C_0^2}}$、$\tan\alpha=\dfrac{1}{\omega C_0R}$。
(c) コンデンサの電圧の振幅は $V_C=\dfrac{I_0}{\omega C_0}=\dfrac{V_0}{\sqrt{1+(\omega RC_0)^2}}$。$\omega\to0$ で $V_0$(直流では電源電圧がそのままかかる)、$\omega\to\infty$ で 0 に近づく、単調に減少する曲線。(本番のグラフは電流の振幅で増加、類題はコンデンサ電圧で減少。向きが逆になる点に注意。)
(TMPS作成の答案例)横軸 $\omega$、縦軸 $V_C$。
問3 (d) 【ウ】$=\dfrac{1}{C(t)}$。(e) $C(t)=C_0(1+\eta\sin\omega t)$ なので、ヒントの近似から $\dfrac{1}{C(t)}\fallingdotseq\dfrac{1}{C_0}(1-\eta\sin\omega t)$。これを代入して $\eta^2$ を捨てると
$$A_0=R\frac{\Delta q_0}{\Delta t}+\frac{q_0}{C_0}-V,\qquad A_1=R\frac{\Delta q_1}{\Delta t}+\frac{q_1}{C_0}-\frac{\sin\omega t}{C_0}q_0$$
よって【エ】$=\dfrac{1}{C_0}$、【オ】$=-\dfrac{\sin\omega t}{C_0}$。$A_0=0$ で【カ】$=C_0V$。したがって【キ】$=-\dfrac{\sin\omega t}{C_0}\cdot C_0V=-V\sin\omega t$。
(f) $q_1$ の式は $R\dfrac{\Delta q_1}{\Delta t}+\dfrac{q_1}{C_0}=V\sin\omega t$ で、問2(a)の $V_0$ を $V$ に置き換えたもの。よって $\dfrac{\Delta q_1}{\Delta t}=\dfrac{V}{Z}\sin(\omega t+\alpha)$。電流は $I=\eta\dfrac{\Delta q_1}{\Delta t}$ なので
$$|V_R(t)|=\frac{R\eta V}{Z}\bigl|\sin(\omega t+\alpha)\bigr|,\quad Z=\sqrt{R^2+\frac{1}{\omega^2C_0^2}},\ \tan\alpha=\frac{1}{\omega C_0R}$$
問4 振幅は $\dfrac{R\eta V}{Z}=\eta V\cdot\dfrac{\omega RC_0}{\sqrt{1+(\omega RC_0)^2}}$。$\omega RC_0\to\infty$ のときの振幅は $\eta V$。$20\,\mathrm{Hz}$ で90%以上なら
$$\frac{x}{\sqrt{1+x^2}}\geqq0.9\iff x\geqq\frac{9}{\sqrt{19}}\quad(x=\omega RC_0,\ \omega=2\pi\times20)$$
$$RC_0\geqq\frac{9}{\sqrt{19}\times2\pi\times20}\fallingdotseq\frac{9}{4.36\times6.28\times20}\fallingdotseq1.6\times10^{-2}\ \mathrm{s}$$
20 Hz が最も条件が厳しく、それより高い周波数では自動的に満たされる。
🎯 類題III の答え
問1 $\dfrac{\varepsilon_r\varepsilon_0S_0}{d_0}$問2 (a)【ア】 $R$【イ】 $\dfrac{1}{C_0}$(b) $Z=\sqrt{R^2+\dfrac{1}{\omega^2C_0^2}}$$\tan\alpha=\dfrac{1}{\omega C_0R}$(c) $V_0$ から単調に減少して0に近づく曲線問3 (d)【ウ】 $\dfrac{1}{C(t)}$(e)【エ】 $\dfrac{1}{C_0}$【オ】 $-\dfrac{\sin\omega t}{C_0}$【カ】 $C_0V$【キ】 $-V\sin\omega t$(f) $\dfrac{R\eta V}{Z}|\sin(\omega t+\alpha)|$問4 $RC_0\geqq\dfrac{9}{\sqrt{19}\times2\pi\times20}\fallingdotseq1.6\times10^{-2}\ \mathrm{s}$