TMPS物理道場 慶應医学部 物理2026
2026年度 一般選抜 全大問 途中式つき 作図の答案例 そっくり類題セット

慶應義塾大学 医学部 物理
2026年度 解答・解説

問題文は掲載できませんが、
解説を読むだけでどんな問題かもわかる!

さらに、そっくり類題PDFを見れば、実際の問題イメージもわかるよ!

各小問を「どういう問題か」から説明し、途中式を1行も飛ばさずに解説。最後に、本番と同じ3大問の構成で作ったそっくり類題セット(全問解答つき)で、慶應2026を丸ごと演習できます。

Sora先生
解説:Sora先生(TMPS医学館) / 更新:2026.10.16 / 読了 約30分

📌 このページの使い方

  1. 過去問集をお持ちの方:本番と同じ60分で解き、答え一覧で採点してから解説へ
  2. お持ちでない方:各小問の「どういう問題か」を読めば、問題の中身がそのまま分かります
  3. 最後にそっくり類題セット(PDF版あり)を60分で解き、初見でも同じ解き方ができるか確かめる

※ 著作権に配慮し、入試問題の本文・図は掲載していません。問題の設定や問われている内容は、TMPSの言葉で説明しています。解答欄の記号【ア】などは、本番の解答欄との対応を示すためのものです。

⚠️ 問題等で誤りを発見された場合、修正しますので、TMPS医学館までLINEを下さい。(迅速に確認・更新いたします)

LINEで誤りを連絡
SUMMARY

3分で分かる 2026年度の慶應物理

Yuiちゃん
Yuiちゃん
慶應の物理って、見たことのない設定ばかりで怖いです…。
Sora先生
Sora先生
設定は新しく見えても、使うのは「衝突は相対速度が−e倍」「円運動の半径はmv/(QB)」「RC回路は交流の基本形」みたいな定番の道具だけだよ。勝負は「前の結果を次で使う」連鎖に乗れるかどうか。まず60分の使い方を決めておこう!
STRATEGY MAP

60分の立ち回りマップ

時間はTMPSの目安です(本番は理科2科目で120分。物理に60分を使う想定)。解く順番と「捨てどころ」をセットで覚えておきましょう。

🧭 おすすめの解く順番
I → III → IIの問3まで → 全体の見直し → 時間が残ればIIの問4・問5
磁場中の作図と最後の力の見積もりは、手が止まりやすい割に配点の取り返しがききません。確実な大問を先に固めましょう。
ANSWERS

本番の答え一覧(採点用)

記号は本番の解答欄に対応しています。先に解いてから開いてください。

大問I の答え

問1

(a) $\eta=\dfrac{W}{Q_1}$(b) $\Delta U=Q-W$(c) $\Delta U=nC_V\Delta T$

問2

うなり $\dfrac{2vVf}{V^2-v^2}$ 回/秒

問3

【ア】 $\dfrac{2\pi}{T}$【イ】 $\dfrac{2\pi}{vT}$

問4

α崩壊 8回β崩壊 4回
大問II の答え

問1・問2

問1 $\dfrac{2V}{\pi}$問2【ア】 $v-\dfrac{mV}{M}$

問3(重力下の羽根つき)

(a) $V_1=(1+e)v$(b) $V_{n+1}=(1+e)v+eV_n$(c) $V_\infty=\dfrac{(1+e)v}{1-e}$(d) $2mvV_\infty$

問4(磁場中・弾性衝突)

(e) $\dfrac{2mv}{QB}$(f) 作図:半径 4, 6, 8, … マスの半円が右へ連なる(着地点は 4→12→24→…)

問5

(g) $I=\dfrac{2QNV_\infty}{\pi}$(h) $ILB$
大問III の答え

問1・問2

問1 $C_0=\dfrac{\varepsilon_0 S}{d_0}$(a)【ア】 $R$(a)【イ】 $\dfrac{1}{C_0}$(b) $Z=\sqrt{R^2+\dfrac{1}{\omega^2C_0^2}}$(b) $\tan\alpha=\dfrac{1}{\omega C_0R}$(c) 原点から単調に増加し $V_0/R$ に近づく曲線

問3

(d)【ウ】 $\dfrac{1}{C(t)}$(e)【エ】 $\dfrac{1}{C_0}$【オ】 $\dfrac{\sin\omega t}{C_0d_0}$【カ】 $C_0V$【キ】 $\dfrac{V\sin\omega t}{d_0}$(f) $|V_R(t)|=\dfrac{RVd}{d_0Z}\left|\sin(\omega t+\alpha)\right|$

問4

$RC_0\gg\dfrac{1}{2\pi\times20}\approx8\times10^{-3}\ \mathrm{s}$

※ 答えはTMPSが自力で導き、記号計算と数値シミュレーションで検算したものです(公開されている解答は参照していません)。

採点したら → 30秒の得点診断へ
PART I / 目標:完答(12分)

大問I 小問集合 ── 公式1行で取り切る

独立した4つの小問。熱力学・音のドップラー効果とうなり・正弦波の式・原子核の崩壊。

現場戦略 試験会場でのリアルな立ち回り(大問I)
⏱ 目標時間 & 死守ライン目標12分。問1・問3・問4は知識と1行の計算で終わる絶対死守枠。問2のうなりも式の立て方さえ決まれば2分。
⚠️ 損切り・警戒ライン問2で「どちらの音が高いか」の符号に迷ったら、先に問1・3・4を終わらせてから戻る。大問Iで10分以上使うのは危険。
💡 初手の思考トリガー問2は「反射板に当たって返ってきた音」を反射板という新しい音源から出た音とみなす。直接音との振動数の差がうなりの回数。

問1熱力学の基本量(3つの小問)

📝 どういう問題か?

熱機関・熱力学第1法則・気体の内部エネルギーを、それぞれ記号だけで答える問題。

  • (a) 高温の熱源から吸収した熱量 $Q_1$、低温の熱源へ放出した熱量 $Q_2$、外にした仕事 $W$ をもつ熱機関の熱効率を、$Q_1$ と $W$ で表す。
  • (b) 熱源から熱量 $Q$ を吸収して外へ仕事 $W$ をした物体の、内部エネルギーの変化量 $\Delta U$ を $Q$ と $W$ で表す。
  • (c) 物質量 $n$、定積モル比熱 $C_V$ の気体を、体積一定のまま温度だけ $\Delta T$ 上げたときの $\Delta U$ を答える。
(a) 熱効率

熱効率は「もらった熱のうち、仕事に変えられた割合」。もらった熱は $Q_1$ なので

$$\eta=\frac{W}{Q_1}\ \left(=1-\frac{Q_2}{Q_1}\right)$$

指定された文字が $Q_1,W$ なので、$\dfrac{W}{Q_1}$ と答える。1サイクルで $W=Q_1-Q_2$ なので後ろの形と同じ。

(b) 第1法則

吸収した熱は「内部エネルギーを増やす分」と「外へ仕事をする分」に分かれる。

$$Q=\Delta U+W\quad\Longrightarrow\quad \Delta U=Q-W$$
(c) 定積変化

体積が変わらないので気体は仕事をしない($W=0$)。吸った熱がすべて内部エネルギーに変わる。定積モル比熱の定義より

$$\Delta U=nC_V\Delta T$$

内部エネルギーは温度だけで決まる(理想気体)ので、この式は定積でなくても成り立つ。ほかの小問でも使える。

🎯 問1 の答え
(a) $\eta=\dfrac{W}{Q_1}$(b) $\Delta U=Q-W$(c) $\Delta U=nC_V\Delta T$

問2動く音源・静止した反射板でのうなり

📝 どういう問題か?

ドップラー効果を2回使って、うなりの回数を求める問題。

  • 一直線上に、静止した観測者・音源(振動数 $f$)・静止した反射板が並ぶ。音源は反射板の方へ速さ $v$ で動いている($v後ろ側にいる。
  • 観測者は、音源から直接届く音と、反射板で反射されて戻ってくる音の両方を聞く。
  • 答えるのは、観測者が聞く1秒あたりのうなりの回数。
Yuiちゃん
Yuiちゃん
音源が動いていて反射板もあって…、ドップラー効果を何回使えばいいんですか?
Sora先生
Sora先生
1回ずつ、2つの音を別々に考えるんだよ。直接音は「遠ざかる音源」、反射音は「反射板に向かう音源」。反射板は動かないから、反射のあとは振動数が変わらない。
STEP 1 直接音の振動数

観測者は音源の後ろにいるので、音源は観測者から遠ざかる。波長が伸びて、振動数は低くなる。

$$f_1=\frac{V}{V+v}f$$
STEP 2 反射音の振動数

反射板は音源の前方にあるので、反射板が受け取る音は音源が近づく向き。静止した反射板は、受け取った振動数のまま反射する(反射板が観測者に対して動かないので、戻る途中でもう変化しない)。

$$f_2=\frac{V}{V-v}f$$
STEP 3 うなり

うなりの回数は2つの振動数の差。

$$f_2-f_1=\left(\frac{V}{V-v}-\frac{V}{V+v}\right)f=\frac{2vV}{V^2-v^2}f$$

検算:$v\to0$ なら音源は止まって2つの音は同じになり、うなりは0。式も $v\to0$ で0になる。

🎯 問2 の答え
$\dfrac{2vVf}{V^2-v^2}$ 回/秒

問3正弦波の式の空欄

📝 どういう問題か?

x軸の正の向きに進む正弦波の式 $y=A\sin(\text{【ア】}\,t-\text{【イ】}\,x)$ の空欄を、周期 $T$ と速さ $v$ で埋める問題。

  • 与えられるのは、振幅 $A$、周期 $T$、速さ $v$。
  • 答えるのは、$t$ の係数【ア】と、$x$ の係数【イ】。どちらも $T,\ v$ の式になる。
STEP 1 【ア】は角周波数

位置を固定して時間だけ動かすと、周期 $T$ で1回振動する。

$$\text{【ア】}=\omega=\frac{2\pi}{T}$$
STEP 2 【イ】は波数

波が速さ $v$ で進む条件は、位相 $\omega t-kx$ が一定になる点が速さ $\dfrac{\omega}{k}$ で動くこと。よって $\dfrac{\omega}{k}=v$。

$$\text{【イ】}=k=\frac{\omega}{v}=\frac{2\pi}{vT}$$

波長 $\lambda=vT$ を使うと $k=\dfrac{2\pi}{\lambda}$。見慣れた形と同じ。

🎯 問3 の答え
【ア】 $\dfrac{2\pi}{T}$【イ】 $\dfrac{2\pi}{vT}$

問4原子核の崩壊の回数

📝 どういう問題か?

質量数と原子番号の保存から、α崩壊とβ崩壊の回数を求める問題。

  • ${}^{237}_{93}\mathrm{Np}$ が α崩壊とβ崩壊をくり返して ${}^{205}_{81}\mathrm{Tl}$ になった。
  • 答えるのは、α崩壊の回数とβ崩壊の回数。
STEP 1 質量数でα崩壊の回数

α崩壊で質量数は4減り、β崩壊では変わらない。

$$\frac{237-205}{4}=8\ \text{回}$$
STEP 2 原子番号でβ崩壊の回数

α崩壊1回で原子番号は2減り、β崩壊1回で1増える。β崩壊を $b$ 回とすると

$$93-2\times8+b=81\quad\Longrightarrow\quad b=4\ \text{回}$$
🎯 問4 の答え
α崩壊 8回β崩壊 4回
⚠️ 大問Iの罠:問2の「どちらの音が高いか」を逆にして、うなりの式の符号だけを間違える人が多い。答えは正の回数なので、大きい方-小さい方の形になっているか最後に確認しよう。問4は答えに $8+4$ を代入して、質量数と原子番号の両方が合うかを検算。
TMPSコーチング診断

🩺【自己診断】大問Iで手が止まった人への処方箋

  • 問1で止まった 基本公式の定着不足。熱効率 $\eta=W/Q_1$、第1法則 $\Delta U=Q-W$、$\Delta U=nC_V\Delta T$ は、文字を指定されたら1行で出るまで。毎朝の音読レベルで十分です。
  • 問2でミスした ドップラー効果の「近づく/遠ざかる」の判断。音源の運動方向と観測者の位置関係を、必ず先に図に描いてから式を立てる。反射板は「受け取った振動数で鳴る新しい音源」と考える癖をつけましょう。
  • 問3・4で落とした 波の式と原子核は知識の穴。波は $\omega t\mp kx$ の符号と向き、崩壊は「α:質量数−4・原子番号−2、β:原子番号+1」を暗記ではなく表にして覚える。
PART II / 目標:問3まで死守(25分)

大問II 羽根つき ── 衝突は「羽子板の目」で見る

円運動・衝突の基本問題 → 重力下の羽根つき(漸化式と極限)→ 磁場中の羽根つき(半円の連鎖)→ 多数の質点の平均。

現場戦略 試験会場でのリアルな立ち回り(大問II)
⏱ 目標時間 & 死守ライン目標25分。問1〜問3(c)までで約12分、ここは死守。問3(d)も問2を使えば数行。
⚠️ 損切り・警戒ライン問4(f)の作図と問5は、(e)まで終えて時間が残れば。作図は半径の増え方が分かるまで考え込まず、1つ目と2つ目の半円だけでも描いて部分点を狙う。
💡 初手の思考トリガー衝突の問題は羽子板に乗った立場で見る。羽子板は十分重くて速度が変わらないので、質点が近づく速さ($v+$質点の速さ)と離れる速さの比が $e$。

問1半周運動の平均の速さ

📝 どういう問題か?

円運動の「道のり」ではなく「始点と終点の距離」から作る平均の速さを求める問題。

  • 物体が半径 $r$ の円周上を一定の速さ $V$ で半周する。
  • 平均の速さは、(始点と終点を結ぶ直線距離)÷(かかった時間)とこの問題の中で定義されている。答えは $r,V$ のうち必要なもので表す。
STEP 1 距離と時間

半周すると始点と終点は円の直径の両端なので、直線距離は $2r$。かかる時間は、道のり $\pi r$ を速さ $V$ で割って $\dfrac{\pi r}{V}$。

$$\bar v=\frac{2r}{\pi r/V}=\frac{2V}{\pi}$$

$r$ が約分で消えるのがポイント。この結果は問5(g)でそのまま使う(半円の連鎖の平均の速さ)。

🎯 問1 の答え
$\dfrac{2V}{\pi}$

問2直線上の非弾性衝突でのエネルギー損失

📝 どういう問題か?

運動量保存から、衝突で失われた運動エネルギーを式にする問題。

  • 質量 $M$・速度 $v$($v>0$)の物体と、質量 $m$・速度 $-V$($V>0$)の物体が衝突し、衝突後は質量 $M$ の物体が速度 $v'$、質量 $m$ の物体が速度 $+V$ になる。
  • 失われたエネルギーが $2mV\times$【ア】と書けるという形で与えられ、【ア】に入る式を $m,M,v,V$ で答える。
Yuiちゃん
Yuiちゃん
衝突後の速さが $V$ になったのは、衝突前と同じ大きさで向きが逆、ということですか?
Sora先生
Sora先生
そう!数字はたまたま同じ大きさなんだ。符号に注意して、運動量保存から $v'$ を決めるのが最初の一手だよ。
STEP 1 運動量保存
$$Mv+m(-V)=Mv'+mV\quad\Longrightarrow\quad v'=v-\frac{2mV}{M}$$
STEP 2 エネルギーの差

$m$ の側は速さが $V$ のままなので、その運動エネルギーは打ち消し合う。残るのは $M$ の側だけ。

$$\Delta E=\frac12Mv^2-\frac12Mv'^2=\frac12M(v-v')(v+v')$$

$v-v'=\dfrac{2mV}{M}$、$v+v'=2v-\dfrac{2mV}{M}$ を代入して

$$\Delta E=\frac12M\cdot\frac{2mV}{M}\cdot2\left(v-\frac{mV}{M}\right)=2mV\left(v-\frac{mV}{M}\right)$$
🎯 問2 の答え
【ア】 $v-\dfrac{mV}{M}$

問3重力下の羽根つき(漸化式と極限)

📝 どういう問題か?

一定の速さで上向きに通過する羽子板で、質点を打ち上げ続ける問題。ここからが「羽根つき」の本編。

  • 羽子板は質点よりずっと重く、$y=0$ を上向きに一定の速さ $v$ で通り続ける。質点が $y=0$ に来るたびに羽子板と衝突し、はね返り係数は $e$($0
  • (a) 静止していた質点に1回目の衝突をしたあとの速さ $V_1$。(b) $n$ 回目の衝突直後の速さ $V_n$ と $n+1$ 回目の関係(漸化式)。(c) $n\to\infty$ の極限 $V_\infty$。
  • (d) $n$ が十分大きいとき、1回の衝突で失われる力学的エネルギーを $m,v,V_\infty$ で表す。ただし羽子板は質点よりずっと重いので、問2の $\dfrac{m}{M}$ に比例する項は無視してよい。
Yuiちゃん
Yuiちゃん
羽子板も動いているから、衝突後の速さが分かりません…
Sora先生
Sora先生
羽子板の上に乗った気持ちになってみて!その人から見ると、質点は近づく速さと同じ比率 $e$で離れていくだけだよ。
(a) 1回目

羽子板に乗ると、静止している質点は速さ $v$ で下向きに近づく。衝突後は速さ $ev$ で上向きに離れる。地面から見ると、羽子板の速さ $v$ がさらに足される。

$$V_1=v+ev=(1+e)v$$
(b) 漸化式

$n$ 回目に打ち上げられた質点は、重力でいったん止まって同じ速さ $V_n$ で戻ってくる(エネルギー保存)。羽子板の系では $v+V_n$ で近づき、$e(v+V_n)$ で離れる。地面系に直して

$$V_{n+1}=v+e(v+V_n)=(1+e)v+eV_n$$
V_nが漸化式にしたがってV_∞へ近づくグラフ
(TMPS作成)$e=\tfrac12$ の例。$V_n$ は増え続けるが、増え方が小さくなり一定値に近づく。
(c) 極限

$n\to\infty$ で $V_n,V_{n+1}$ がともに $V_\infty$ に近づくと、漸化式から

$$V_\infty=(1+e)v+eV_\infty\ \Longrightarrow\ V_\infty=\frac{(1+e)v}{1-e}$$
(d) 1回の衝突で失われるエネルギー

十分大きな $n$ では、質点は毎回速さ $V_\infty$ で下向きに衝突し、速さ $V_\infty$ で上向きに戻る。これは問2で「質点の速度が $-V\to+V$」に変わった状況と同じ。問2の結果で $V=V_\infty$ とし、$M\gg m$ なので $\dfrac{mV}{M}$ の項を捨てると

$$\Delta E=2mV_\infty\left(v-\frac{mV_\infty}{M}\right)\ \longrightarrow\ 2mvV_\infty$$

「問2の結果を問3(d)で使う」のが出題の構造。問2を飛ばして(d)から解くと時間が溶ける。

🎯 問3 の答え
(a) $V_1=(1+e)v$(b) $V_{n+1}=(1+e)v+eV_n$(c) $V_\infty=\dfrac{(1+e)v}{1-e}$(d) $2mvV_\infty$

問4磁場中の羽根つき(半円の連鎖)

📝 どういう問題か?

磁場の中では、質点は羽子板から離れたあと半円を描いて戻ってくる。その半径と軌跡を答える問題。

  • 以下は重力を無視。$z$ 方向に磁束密度 $B$($B>0$)の一様な磁場。質点(質量 $m$、電荷 $Q>0$)は磁場による力だけを受ける。羽子板は引き続き $y$ 軸の正の向きに速さ $v$ で動いている。
  • (e) 原点で静止していた質点が羽子板と弾性衝突して円運動を始める。この軌道を $\mathrm C_1$ とよぶ。$\mathrm C_1$ の半径を $m,Q,v,B$ で答える。
  • (f) 以後、質点は $y=0$ を横切るたびに羽子板と弾性衝突をくり返す。解答欄の方眼には $\mathrm C_1$ が描かれている。そのあとの軌道を方眼に描く作図問題。
Yuiちゃん
Yuiちゃん
弾性衝突だと、質点はどのくらいの速さで飛び出すんですか?
Sora先生
Sora先生
羽子板の系で考えてみよう。近づく速さ $v$ と同じ速さで離れる($e=1$)から、地面系では $v+v=2v$。これが $\mathrm C_1$ の出発の速さだよ。
(e) C₁の半径

磁場中の円運動では、向心力が磁場からの力なので

$$Q(2v)B=\frac{m(2v)^2}{r}\quad\Longrightarrow\quad r=\frac{2mv}{QB}$$
(f) 2つ目以降の半円

半円を回って $y=0$ に戻ってくる質点の速さは、出発したときと同じ(磁場は仕事をしない)。羽子板の系で近づく速さが $v+$(質点の速さ)なので、弾性衝突後の速さは前の速さ+$2v$ になる。

$$2v\ \to\ 4v\ \to\ 6v\ \to\ \cdots$$

半径は速さに比例するので、半径も $1:2:3:\cdots$ と等差数列で増える(倍々ではない)。$\mathrm C_1$ の半径を2マスとすると、続く半円の半径は 4, 6, 8, … マス。

半円は直径ぶんだけ右へずれていくので、$y=0$ を横切る位置は $4\to12\to24\to\cdots$($2n(n+1)$ マス)。

C1に続く半径4マス、6マスの半円が右へ連なる作図の答案例
(TMPS作成の答案例)$y=0$ 上の着地点 4, 12, 24 を赤で示した。半径の増え方が等差であることを読み取れるように、各半円に半径を書き添える。
🎯 問4 の答え
(e) $\dfrac{2mv}{QB}$(f) 作図:半径 4, 6, 8, … マスの半円が、$\mathrm C_1$ の右に順に連なる(着地点 4→12→24→…)

問5質点を供給し続けるとき(電流と力)

📝 どういう問題か?

質点を原点から供給し続け、右の回収器で回収する定常状態で、平均の量を求める問題。

  • 質点供給器は原点から $y$ 軸の負の向きに速さ $V_\infty$(問3(c)で定義)で質点を送り出す。質点は羽子板と衝突をくり返して右へ進み、$x=L$ にある回収器で回収される。質点どうしに力ははたらかない。
  • (g) 領域 $L$($0\le x\le L$)の単位長さあたりの質点数が $N$。電流 $I$(質点供給器から単位時間に出る個数の時間平均値と $Q$ の積)を、問1を参考にして $N,Q,V_\infty$ で表す。ただし $L$ は円運動の半径より十分に大きく、$NL\gg1$。
  • (h) 1個の質点の1回の衝突で羽子板が受ける力積と、領域 $L$ の全質点が単位時間に衝突する回数から、羽子板が全質点から受ける力の時間平均の大きさを $m,Q,I,v,B,L$ のうち必要なもので表す。
Yuiちゃん
Yuiちゃん
(g)で問1を使うって、どういうことですか?
Sora先生
Sora先生
質点は半円を描きながら、平均すると一定の速さで右へ進んでいるよね。その平均の速さが問1の「半周運動の平均の速さ」だよ。
(g) 電流

各質点は速さ $V_\infty$ で入射し、非弾性衝突のあとも速さ $V_\infty$ で戻る(問3(c)の不動点)ので、毎回同じ半径の半円を描く。問1より右向きの平均の速さは $\dfrac{2V_\infty}{\pi}$。単位時間に領域を通過する個数は「単位長さあたりの個数 $\times$ 平均の速さ」なので

$$I=Q\times N\times\frac{2V_\infty}{\pi}=\frac{2QNV_\infty}{\pi}$$
(h) 羽子板が受ける力

1回の衝突で質点の運動量は $V_\infty$ 下向き → $V_\infty$ 上向きと変わるので、羽子板が受ける力積の大きさは $2mV_\infty$。

半円1つ分(半周期)の時間は、磁場中の円運動の周期 $\dfrac{2\pi m}{QB}$ の半分で $\dfrac{\pi m}{QB}$。質点の速さによらない。領域内の質点は全部で $NL$ 個、それぞれが半周期ごとに1回衝突するので、単位時間の衝突回数は $\dfrac{NL\,QB}{\pi m}$。

$$F=\frac{NLQB}{\pi m}\times2mV_\infty=\frac{2QNV_\infty}{\pi}LB=ILB$$

電流 $I$ が磁場 $B$ の中で長さ $L$ にわたって流れるときの力 $ILB$ と同じ形になる。質点の流れを「電流」と見なせば、羽子板が受ける力は電流が磁場から受ける力に等しい、という物理的な読みが答えを保証する。

半周の間に進む距離2Rと所要時間πm/(QB)を示した模式図
(TMPS作成)質点は毎回 $V_\infty$ に戻りながら、半周期 $\pi m/(QB)$ ごとに $2R$ ずつ右へ進む。
🎯 問5 の答え
(g) $I=\dfrac{2QNV_\infty}{\pi}$(h) $ILB$
⚠️ 大問IIの罠:問4(f)で「半径が衝突のたびに倍々」と思い込む人が多い。実際は 2→4→6→…と等差で増える(速さが毎回 $2v$ ずつ増えるため)。最初の2つの半円で $2:4$ だからと倍々にすると、3つ目から外れる。作図の前に $2v\to4v\to6v$ と書き出そう。
TMPSコーチング診断

🩺【自己診断】大問IIで手が止まった人への処方箋

  • 問1〜2で止まった 円運動の平均の速さ・運動量保存の基本。「道のり」と「始点終点間の距離」を区別する。衝突は向きに符号をつけて運動量保存を立てる習慣を。
  • 問3で崩れた 衝突を地面系だけで考えている。「羽子板の系に乗り換える→相対速度が $-e$ 倍→地面系に戻す」の3手順を型にする。(b)(c)は漸化式の不動点で極限が出る典型。
  • 問4で手が止まった 磁場中の円運動 $r=\dfrac{mv}{QB}$ と、衝突後の速さの更新の連結不足。半円→衝突→半円のサイクルを速さの数列として書き出してから作図に入る。
  • 問5で白紙 「平均」の見方に慣れていない。個々の質点の複雑な運動を追わず、半周期ごとに $2R$ 進むという平均の量だけで電流と力を作る練習を。時間が足りなければ最初から捨てる判断も立派な戦略です。
PART III / 目標:問3(e)まで確実に(23分)

大問III コンデンサーと交流 ── 微小変化は「1次の項」だけ追う

平行板コンデンサーの容量 → RC直列交流回路 → 極板間隔が揺れるマイクロフォン → 設計条件。

現場戦略 試験会場でのリアルな立ち回り(大問III)
⏱ 目標時間 & 死守ライン目標23分。問1・問2・問3(d)は定番で約10分。ここは得点源。問3(e)までを確実に取りたい。
⚠️ 損切り・警戒ライン問3(f)と問4は「問2の結果の言い換え」なので、(e)で式がそろっていれば短い。逆に(e)の展開で符号が崩れたら、一度保留して問4の考察(ωRC₀≫1)だけ先に書く手もある。
💡 初手の思考トリガーキルヒホッフは$V=R\dfrac{\Delta Q}{\Delta t}+\dfrac{Q}{C}$の形に統一。揺れる量は「定数+微小×$\sin\omega t$」と書き、微小量の2乗は捨てる。

問1平行板コンデンサーの電気容量

📝 どういう問題か?

面積 $S$、間隔 $d_0$ の平行板コンデンサーの電気容量を答える基本問題。

  • 真空の誘電率は $\varepsilon_0$。極板間は真空と同じとみなし、端の効果は無視する。
  • 答えるのは電気容量 $C_0$。以後この容量を $C_0$ と書く。
$$C_0=\frac{\varepsilon_0S}{d_0}$$

以後、$d_0$ が出てきたら $\dfrac{\varepsilon_0S}{d_0}=C_0$ と読み替える。問3の式変形でこれを使う。

🎯 問1 の答え
$C_0=\dfrac{\varepsilon_0S}{d_0}$

問2RC直列交流回路

📝 どういう問題か?

交流電源・抵抗 $R$・コンデンサー $C_0$ の直列回路で、電流の大きさ・位相・周波数依存性を求める問題。

  • 電源電圧は $V(t)=V_0\sin(\omega t)$。電流は図の矢印の向きを正とする。
  • (a) 電荷 $Q(t)$ を使った回路方程式 $V_0\sin\omega t=\text{【ア】}\dfrac{\Delta Q}{\Delta t}+\text{【イ】}Q$ の空欄。
  • (b) 十分時間がたつと電流は $I=\dfrac{V_0}{Z}\sin(\omega t+\alpha)$ と書ける。$Z$ と $\tan\alpha$ を答える。
  • (c) 電流の振幅 $\dfrac{V_0}{Z}$ が $\omega$ にどう依存するか、概形をグラフに描く。
Yuiちゃん
Yuiちゃん
$\dfrac{\Delta Q}{\Delta t}$ って、電流のことですよね?
Sora先生
Sora先生
その通り!$I=\dfrac{\Delta Q}{\Delta t}$。だから抵抗の電圧降下は $R\dfrac{\Delta Q}{\Delta t}$、コンデンサーの電圧は $\dfrac{Q}{C_0}$。電源電圧は2つの和だよ。
(a) 回路方程式
$$V_0\sin(\omega t)=R\frac{\Delta Q(t)}{\Delta t}+\frac{1}{C_0}Q(t)$$

【ア】$=R$、【イ】$=\dfrac{1}{C_0}$。

(b) インピーダンスと位相

十分に時間がたった定常状態では、電流も角周波数 $\omega$ で振動する。コンデンサーのリアクタンスは $\dfrac{1}{\omega C_0}$ なので、抵抗とのベクトル和(直角三角形)として

$$Z=\sqrt{R^2+\frac{1}{\omega^2C_0^2}},\qquad \tan\alpha=\frac{1/(\omega C_0)}{R}=\frac{1}{\omega C_0R}$$

$\alpha>0$ なので、電流は電源電圧より位相が進む(コンデンサーの典型)。

(c) 電流の振幅のグラフ

$\dfrac{V_0}{Z}=\dfrac{V_0}{\sqrt{R^2+1/(\omega C_0)^2}}$ を端で調べる。

$$\omega\to0:\ \frac{V_0}{Z}\to0,\qquad \omega\to\infty:\ \frac{V_0}{Z}\to\frac{V_0}{R}$$

分母の $\dfrac{1}{\omega C_0}$ は $\omega$ とともに単調に減るので、振幅は原点から単調に増加し、$\dfrac{V_0}{R}$ に近づくだけで超えない曲線。

原点から増加して水平線V0/Rに近づく曲線
(TMPS作成の答案例)横軸 $\omega$、縦軸 $V_0/Z$。$\omega=1/(RC_0)$ あたりで曲がり、上限 $V_0/R$ に近づく。
🎯 問2 の答え
(a)【ア】 $R$、【イ】 $\dfrac{1}{C_0}$(b) $Z=\sqrt{R^2+\dfrac{1}{\omega^2C_0^2}}$、$\tan\alpha=\dfrac{1}{\omega C_0R}$(c) 原点から単調増加し $V_0/R$ に近づく曲線

問3極板間隔が時間変化する回路(微小変化の展開)

📝 どういう問題か?

極板間隔 $D(t)=d_0+d\sin(\omega t)$ で振動するコンデンサーを直流電源 $V$ と抵抗 $R$ につなぐ。電荷 $Q$ を微小量 $d$ の1次式で近似して解く問題。

  • 極板の面積は $S$ のまま、間隔だけが $d_0$ のまわりで微小に振動する($d\ll d_0$)。電荷は「そのときの容量 $C(t)$ × 電位差」。電流は図の矢印の向きを正とする。
  • (d) キルヒホッフの式 $V=\text{【ア】}\dfrac{\Delta Q}{\Delta t}+\text{【ウ】}Q$ の【ウ】。【ア】は問2(a)と同じ。
  • 次に $Q=q_0(t)+q_1(t)\,d$ とおき、$d$ の2乗以上を無視して「$0=A_0+A_1d$」の形にする。$A_0$ と $A_1$ の空欄【エ】【オ】、定常になったあとの $q_0$【カ】と $q_1$ の式の【キ】を答える。
  • (f) 十分時間がたったあとの抵抗の電圧の大きさ $|V_R(t)|$ を、問2を参考にして答える。
Yuiちゃん
Yuiちゃん
$\dfrac{1}{C(t)}$ が時間で変わるのが難しいです…
Sora先生
Sora先生
$C(t)=\dfrac{\varepsilon_0S}{d_0+d\sin\omega t}$ の逆数を考えるのがコツ!分母が間隔 $D$ だから、逆数は $D$ の1次式になって、そのまま $d$ の1次式だよ。
(d) 【ウ】

コンデンサーの電圧は $\dfrac{Q}{C(t)}$ なので

$$V=R\frac{\Delta Q}{\Delta t}+\frac{1}{C(t)}Q\quad\Longrightarrow\quad\text{【ウ】}=\frac{1}{C(t)}$$
(e) 1/C(t)を d の1次式に
$$\frac{1}{C(t)}=\frac{d_0+d\sin\omega t}{\varepsilon_0S}=\frac{1}{C_0}+\frac{\sin\omega t}{C_0d_0}\,d$$

($C_0=\dfrac{\varepsilon_0S}{d_0}$ より $\dfrac{1}{\varepsilon_0S}=\dfrac{1}{C_0d_0}$。)これと $Q=q_0+q_1d$ を代入して $d^2$ の項を捨てる。

$$0=\underbrace{\left(R\frac{\Delta q_0}{\Delta t}+\frac{q_0}{C_0}-V\right)}_{A_0}+\underbrace{\left(R\frac{\Delta q_1}{\Delta t}+\frac{q_1}{C_0}+\frac{\sin\omega t}{C_0d_0}q_0\right)}_{A_1}d$$

よって【エ】$=\dfrac{1}{C_0}$、【オ】$=\dfrac{\sin\omega t}{C_0d_0}$。

任意の微小量 $d$ で成り立つには $A_0=A_1=0$。$A_0=0$ で、十分時間がたつと電荷が変化しなくなる($\Delta q_0/\Delta t=0$)ので

$$\frac{q_0}{C_0}=V\quad\Longrightarrow\quad q_0=\text{【カ】}=C_0V$$

$A_1=0$ に $q_0=C_0V$ を代入すると、$q_1$ の式の最後の項は

$$\text{【キ】}=\frac{\sin\omega t}{C_0d_0}\,C_0V=\frac{V\sin\omega t}{d_0}$$
(f) 抵抗の電圧

$q_1$ の式は、$0=R\dfrac{\Delta q_1}{\Delta t}+\dfrac{q_1}{C_0}+\dfrac{V\sin\omega t}{d_0}$、つまり

$$R\frac{\Delta q_1}{\Delta t}+\frac{q_1}{C_0}=-\frac{V}{d_0}\sin\omega t$$

これは問2(a)の式で $V_0\to-\dfrac{V}{d_0}$ としたものと同じ。したがって問2(b)の結果を借りて、電流に相当する $\dfrac{\Delta q_1}{\Delta t}$ は

$$\frac{\Delta q_1}{\Delta t}=-\frac{V}{d_0Z}\sin(\omega t+\alpha)$$

全電流は $I=\dfrac{\Delta Q}{\Delta t}=\dfrac{\Delta q_0}{\Delta t}+d\dfrac{\Delta q_1}{\Delta t}=d\dfrac{\Delta q_1}{\Delta t}$($q_0$ は一定)。抵抗の電圧の大きさは

$$|V_R(t)|=R|I|=\frac{RVd}{d_0Z}\,\bigl|\sin(\omega t+\alpha)\bigr|,\qquad Z=\sqrt{R^2+\frac{1}{\omega^2C_0^2}},\ \ \tan\alpha=\frac{1}{\omega C_0R}$$

振幅だけでなく時間変化 $|\sin(\omega t+\alpha)|$ まで答えるのが完全な答え。振幅 $\dfrac{RVd}{d_0Z}$ だけだと未完成になる。

🎯 問3 の答え
(d)【ウ】 $\dfrac{1}{C(t)}$(e)【エ】 $\dfrac{1}{C_0}$【オ】 $\dfrac{\sin\omega t}{C_0d_0}$【カ】 $C_0V$【キ】 $\dfrac{V\sin\omega t}{d_0}$(f) $|V_R(t)|=\dfrac{RVd}{d_0Z}\left|\sin(\omega t+\alpha)\right|$

問4マイクロフォンとしての設計条件

📝 どういう問題か?

問3の回路を、音を電気信号に変える装置(マイクロフォン)として使うときの設計条件を考察する問題。

  • 出力は抵抗にかかる電圧。人間の可聴周波数は $20\,\mathrm{Hz}$ から $20000\,\mathrm{Hz}$ で、この範囲の音を同じように電気信号に変換できる必要がある。
  • 答えるのは、$R$ と $C_0$ が満たすべき条件(問2(c)を参考にする)。
Yuiちゃん
Yuiちゃん
「同じように変換する」って、式のどこを見ればいいんですか?
Sora先生
Sora先生
問3(f)の振幅 $\dfrac{RVd}{d_0Z}=\dfrac{Vd}{d_0}\cdot\dfrac{\omega RC_0}{\sqrt{1+(\omega RC_0)^2}}$ を見よう。$\omega$ によらず一定になってほしいよね。
STEP 1 振幅の周波数依存
$$\frac{R}{Z}=\frac{\omega RC_0}{\sqrt{1+(\omega RC_0)^2}}$$

これは問2(c)のグラフと同じ形($\omega$ について単調増加で、上限 1)。$\omega RC_0\gg1$ なら 1 に十分近く、周波数によらず一定になる。

STEP 2 一番厳しい周波数

$\omega$ が最小の $20\,\mathrm{Hz}$ でも成り立てばよい。

$$2\pi\times20\times RC_0\gg1\quad\Longrightarrow\quad RC_0\gg\frac{1}{2\pi\times20}\approx8\times10^{-3}\ \mathrm{s}$$

逆に低周波が落ちるのは $RC_0$ が小さいとき(たとえば $RC_0=8\,\mathrm{ms}$ なら $20\,\mathrm{Hz}$ の出力は約0.71倍に減る)。

🎯 問4 の答え
$RC_0\gg\dfrac{1}{2\pi\times20}\approx8\times10^{-3}\ \mathrm{s}$(20 Hz でも $\omega RC_0\gg1$)
⚠️ 大問IIIの罠:問3(e)の符号。本番は極板の間隔が $d_0+d\sin\omega t$ なので、$\dfrac{1}{C}$ の1次の係数はプラス(【オ】$=\dfrac{\sin\omega t}{C_0d_0}$)。面積が動くタイプの類題では符号が反転するので、容量 $C$ と逆数 $\dfrac{1}{C}$ を取り違えないこと。また問3(f)は、振幅だけでなく $\bigl|\sin(\omega t+\alpha)\bigr|$ まで書く。
TMPSコーチング診断

🩺【自己診断】大問IIIで手が止まった人への処方箋

  • 問1〜2で止まった RC直列回路の基本。電流 $I=\dfrac{\Delta Q}{\Delta t}$、抵抗 $RI$、コンデンサー $\dfrac{Q}{C}$ の3点セットと、$Z$・$\tan\alpha$ を直角三角形で出す手順を白紙から再現できるように。
  • 問3(e)で止まった 微小量の1次近似への慣れ不足。「定数+微小×$\sin$」の形に置き、2乗の項を捨てて $d^0$ の式と $d^1$ の式に仕分ける。係数に $C_0d_0$ が出るのは $\varepsilon_0S=C_0d_0$ の読み替えのため。
  • 問3(f)で未完成 「問2を参考に」の読み違え。$q_1$ の式を問2(a)の形に並べ直し、$V_0$ に当たるものを入れ替えるだけ。符号は絶対値の中なので気にしすぎない。
  • 問4で白紙 「条件を考察せよ」に身構える。落ち着いて問2(c)のグラフを見て、「$\omega RC_0\gg1$ にしたい。一番小さい $\omega$ は20 Hz」と言い換えれば、1行で終わる。
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※ 慶應義塾大学の入試問題ではありません。問題文・図・解答はすべてTMPS医学館が作成したものです。

類題 I

問1

(a) 冷凍機(エアコンの冷房)が1回のサイクルで、低温の熱源から熱量 $Q_2$ を吸収し、高温の熱源へ熱量 $Q_1$ を放出した。この間に外部から冷凍機にされた仕事を $W$ とする。この冷凍機の成績係数 $K=\dfrac{Q_2}{W}$ を、$Q_1,\ Q_2$ を用いて答えよ。

(b) ある物体が熱源へ熱量 $Q$ を放出し、外部から仕事 $W'$ をされた。このとき、この物体の内部エネルギーの変化量 $\Delta U$ を $Q,\ W'$ を用いて答えよ。

(c) 気体(物質量 $n$、定圧モル比熱 $C_P$、気体定数 $R$)の圧力を一定に保ち、温度を $\Delta T$ だけ上昇させた。このとき、この気体の内部エネルギーの変化量 $\Delta U$ を $n,\ C_P,\ R,\ \Delta T$ を用いて答えよ。

問2 音速を $V\,[\mathrm{m/s}]$ とする。図1のように、静止した音源 S(振動数 $f\,[\mathrm{Hz}]$)と静止した観測者、および音源に向かって速さ $u\,[\mathrm{m/s}]$(ただし $u

静止した音源と観測者、音源に近づく反射板の配置図
図1

問3 媒質の変位 $y$、振幅 $A$、時間 $t$、波長 $\lambda$、速さ $v$ で $x$ 軸の負の向きに伝わる正弦波の式 $y=A\sin(\,\text{【ア】}\,t+\text{【イ】}\,x\,)$ における【ア】、【イ】にあてはまる適切な式を答えよ。

問4 ${}^{232}_{\ 90}\mathrm{Th}$ が $\alpha$ 崩壊と $\beta$ 崩壊をくり返して ${}^{208}_{\ 82}\mathrm{Pb}$ になった。$\alpha$ 崩壊と $\beta$ 崩壊の回数を答えよ。

類題I の解答・解説

問1 (a) 冷凍機の1サイクルで $Q_1=Q_2+W$ なので $W=Q_1-Q_2$。よって $K=\dfrac{Q_2}{Q_1-Q_2}$。(b) 放熱 $Q$、された仕事 $W'$ なので $\Delta U=W'-Q$。(c) 定圧変化で吸う熱は $nC_P\Delta T$、気体がする仕事は $nR\Delta T$。$\Delta U=nC_P\Delta T-nR\Delta T=n(C_P-R)\Delta T$(マイヤーの関係 $C_V=C_P-R$ と同じ)。

問2 反射板を「観測者」としてドップラー効果を使うと、受け取る振動数は $\dfrac{V+u}{V}f$。反射板はこの振動数の「音源」として速さ $u$ で観測者側へ近づくので、観測者が聞く反射音は

$$f_2=\frac{V}{V-u}\cdot\frac{V+u}{V}f=\frac{V+u}{V-u}f$$

直接音は $f$ のままなので、うなりは $f_2-f=\dfrac{2u}{V-u}f$。

問3 負の向きに進む波は位相が $\omega t+kx$ で、$\dfrac{\omega}{k}=v$、$k=\dfrac{2\pi}{\lambda}$。よって【ア】$=\dfrac{2\pi v}{\lambda}$、【イ】$=\dfrac{2\pi}{\lambda}$。

問4 質量数 $\dfrac{232-208}{4}=6$ 回(α)。原子番号 $90-12+b=82$ より $b=4$ 回(β)。

🎯 類題I の答え
問1 (a) $\dfrac{Q_2}{Q_1-Q_2}$(b) $W'-Q$(c) $n(C_P-R)\Delta T$問2 $\dfrac{2uf}{V-u}$問3【ア】 $\dfrac{2\pi v}{\lambda}$【イ】 $\dfrac{2\pi}{\lambda}$問4 α崩壊 6回β崩壊 4回
類題 II

問1 ある物体が半径 $r$ の円軌道上を一定の速さ $V$ で $\dfrac14$ 周運動した。平均の速さ(始点と終点を結ぶ直線距離を、この運動に要した時間で割った値)を、$r,\ V$ のうち必要なものを用いて答えよ(図2)。

四分円の運動の始点と終点
図2

問2 直線上の完全非弾性衝突を考える。質量 $M$ で速度 $v\ (v>0)$ の物体と、質量 $m$ で速度 $-V\ (V>0)$ の物体が衝突して一体となった。この衝突で失われた運動エネルギー(衝突前の全運動エネルギー − 衝突後の全運動エネルギー)は $\dfrac12\times\text{【ア】}\times(v+V)^2$ となる。【ア】にあてはまる適切な式を $m,\ M$ を用いて答えよ。

質量 $m$ の質点を羽子板で打ち上げ続ける「羽根つき」を考える。羽子板は面を $y$ 軸に垂直に保ち、$y=0$ の位置を $y$ 軸の正の向きに一定の速さ $v$ で通過し続ける。質点が $y=0$ に来るたびに、羽子板とちょうど $y=0$ で衝突する。羽子板は質点より十分に重く、その速度は衝突によって変わらないとしてよい。質点と羽子板のはね返り係数を $e\ (0

問3 鉛直上向きに $y$ 軸をとり、重力加速度の大きさを $g$ とする(図3)。

鉛直上向きにy軸、下向きに重力、質点と羽子板
図3

(a) 質点が下向きの速さ $u$ で $y=0$ に達し、羽子板と衝突した。衝突直後の質点の速さ $V_1$ を $e,\ v,\ u$ を用いて答えよ。

(b) (a) の衝突のあと、質点は重力によって運動し、再び $y=0$ に戻って羽子板に打ち返される。この操作がくり返されるとして、$n$ 回目の衝突直後の質点の速さを $V_n$ とする。$n$ 回目の衝突から $(n+1)$ 回目の衝突までの時間 $T_n$ を $g,\ V_n$ を用いて、また $V_{n+1}$ を $e,\ v,\ V_n$ を用いて答えよ。

(c) $n$ が無限大のときの $V_n$ の極限値 $V_\infty$ を、$e,\ v$ を用いて答えよ。

(d) $n$ が十分大きいとき、衝突直後の質点が達する最高点の高さ $h$ を、$g,\ e,\ v$ を用いて答えよ。

以下では重力を無視し、$xyz$ 直交座標で表される空間に、$z$ 軸の負の向きに磁束密度 $B\ (B>0)$ の磁場があるものとする(図4)。質点の質量は $m$、電荷は $Q\ (Q>0)$ で、電荷は磁場との相互作用を通してのみ質点の運動に影響する。羽子板、質点供給器、質点回収器は電場も磁場も生じない。羽子板と質点のはね返り係数は、以下では $e=\dfrac12$ とする。

xyz座標、磁場は-z向き、原点に質点、下に羽子板
図4

問4 (e) 原点に静止していた質点が、羽子板と衝突した。衝突後、質点は $y\geqq0$ の領域で円軌道(半円)を描いた。この軌道を $\mathrm{C}_1$ 軌道と呼ぶ。$\mathrm{C}_1$ 軌道の半径を $m,\ Q,\ v,\ B$ を用いて答えよ。

(f) 質点は $y=0$ 面を横切るたびに羽子板と衝突をくり返す。下の方眼には $\mathrm{C}_1$ 軌道(半径2マス)が描かれている。$\mathrm{C}_1$ 軌道のあとの質点の軌道を、方眼に描け。ただし、描く半円の半径は、方眼で読み取れるように(マスの数で)示すこと。

方眼にC1軌道(半径2マス)が描かれた解答欄
[解答欄]印刷用はPDFをご利用ください。

問5 質点供給器を原点に置き、質点が供給され続ける磁場中の羽根つきを考える(図5)。質点供給器は、原点から $y$ 軸の負の向きに速さ $V_\infty$ で、単位時間に $J$ 個の割合で一定間隔に質点を射出する。質点回収器は $x=-L$ で質点を回収する。$V_\infty$ は問3(c)で求めた速さ、はね返り係数は上と同じ $e=\dfrac12$ とする。質点どうしに力は働かず、羽子板の長さは $L$ より十分に長く、$L$ は円軌道の半径より十分に大きいとする。

質点供給器、質点回収器、羽子板と磁場
図5

(g) 羽根つきが行われる領域 $-L\leqq x\leqq 0$ に存在する質点の個数の時間平均 $N$ を、問1を参考にして $J,\ L,\ V_\infty$ を用いて答えよ。

(h) 羽子板が、この領域のすべての質点から受ける力の時間平均の大きさを、$m,\ Q,\ J,\ v,\ B,\ L$ のうち必要なものを用いて答えよ。

類題II の解答・解説

問1 $\dfrac14$ 周の弦の長さは $\sqrt2\,r$、かかる時間は $\dfrac{\pi r}{2V}$。平均の速さは $\dfrac{\sqrt2\,r}{\pi r/(2V)}=\dfrac{2\sqrt2\,V}{\pi}$。

問2 衝突後の速度は $\dfrac{Mv-mV}{M+m}$。エネルギーの差を整理すると $\dfrac12\cdot\dfrac{Mm}{M+m}(v+V)^2$ となるので【ア】$=\dfrac{Mm}{M+m}$(換算質量×相対速度²の形)。

問3 (a) 羽子板の系で近づく速さは $v+u$、離れる速さは $e(v+u)$。地面系で $V_1=v+e(v+u)=(1+e)v+eu$。

(b) 打ち上げ速さ $V_n$ で戻るまでの時間は $T_n=\dfrac{2V_n}{g}$。戻ってきた質点の速さは $V_n$ なので $V_{n+1}=(1+e)v+eV_n$。(c) $V_\infty=(1+e)v+eV_\infty$ より $V_\infty=\dfrac{(1+e)v}{1-e}$。(d) $h=\dfrac{V_\infty^2}{2g}=\dfrac{(1+e)^2v^2}{2g(1-e)^2}$。

問4 (e) 衝突後の速さは $V_1=(1+e)v=\dfrac32v$。半径 $r_1=\dfrac{mV_1}{QB}=\dfrac{3mv}{2QB}$。

(f) $z$ 軸の負の向きの磁場で $Q>0$ なので、質点は$-x$ の向きに半円を描く(解答欄の方眼は原点が右端にある)。各半円の速さは $V_{n+1}=\tfrac32v+\tfrac12V_n$($V_1=\tfrac32v$)なので、$V_1:V_2:V_3:\cdots=1.5:2.25:2.625:\cdots$。$\mathrm C_1$ を2マスとすると半径は 2, 3, 3.5, 3.75, … マス(増え方は半分ずつになり、4マスに近づく)。着地点は原点から左へ $4,\ 10,\ 17,\ 24.5,\ \dots$ マス。

C1の左に半径3マス、3.5マスの半円が連なる答案例
(TMPS作成の答案例)

問5 (g) 1個の質点が領域 $L$ にいる時間は、問1と同じ見方で「$L\div$ 平均の速さ」。1つの半円の平均の速さは $\dfrac{2V_\infty}{\pi}$ なので、供給率 $J$ との積から $N=J\times\dfrac{L}{2V_\infty/\pi}=\dfrac{\pi JL}{2V_\infty}$。

(h) 1回の衝突の力積は $2mV_\infty$、半周期は $\dfrac{\pi m}{QB}$。領域内の質点 $N$ 個がそれぞれ半周期ごとに衝突するので

$$F=\frac{N\,QB}{\pi m}\cdot2mV_\infty=\frac{2QBNV_\infty}{\pi}=JQBL$$
🎯 類題II の答え
問1 $\dfrac{2\sqrt2V}{\pi}$問2【ア】 $\dfrac{Mm}{M+m}$問3 (a) $(1+e)v+eu$(b) $T_n=\dfrac{2V_n}{g}$、$V_{n+1}=(1+e)v+eV_n$(c) $\dfrac{(1+e)v}{1-e}$(d) $\dfrac{(1+e)^2v^2}{2g(1-e)^2}$問4 (e) $\dfrac{3mv}{2QB}$(f) 作図:半径 3, 3.5, 3.75, … マスの半円が左へ連なる問5 (g) $\dfrac{\pi JL}{2V_\infty}$(h) $JQBL$
類題 III

平行板コンデンサに関する次の問いに答えよ。真空の誘電率を $\varepsilon_0$ とし、コンデンサの端の効果は無視する。$\Delta t$ を微小な時間とし、その間の関数 $f(t)$ の変化を $\Delta f(t)$ と書く。

問1 面積 $S_0$ の2枚の極板を間隔 $d_0$ で平行に置き、その間を比誘電率 $\varepsilon_r$ の誘電体で満たした。このコンデンサの電気容量 $C_0$ を $\varepsilon_0,\ \varepsilon_r,\ S_0,\ d_0$ を用いて答えよ。以後、この電気容量を $C_0$ とする。

問2 図6のように、電圧の最大値 $V_0$、角周波数 $\omega$ の交流電源、抵抗値 $R$ の抵抗、電気容量 $C_0$ のコンデンサを直列に接続した。電流は図の矢印の向きを正とし、電源電圧は矢印の向きに電流を流そうとする向きを正として $V(t)=V_0\sin(\omega t)$ とする。

交流電源、抵抗R、コンデンサC0の直列回路
図6

(a) 時刻 $t$ にコンデンサに蓄えられた電荷を $Q(t)$ とすると、キルヒホッフの第2法則から $V_0\sin(\omega t)=\text{【ア】}\dfrac{\Delta Q(t)}{\Delta t}+\text{【イ】}Q(t)$ となる。【ア】、【イ】を $t,\ \omega,\ V_0,\ R,\ C_0$ のうち必要なものを用いて答えよ。

(b) 十分に時間が経ったとき、抵抗を流れる電流は $I(t)=\dfrac{V_0}{Z}\sin(\omega t+\alpha)$ と表せる。$Z$ と $\tan\alpha$ を、$\omega,\ V_0,\ R,\ C_0$ のうち必要なものを用いて答えよ。

(c) コンデンサの両端の電圧の振幅 $V_C$ の、$\omega$ への依存性の概形を、解答欄のグラフに図示せよ(横軸 $\omega$、縦軸 $V_C$)。

問3 $d_0$ を一定に保ったまま、右側の極板を上下にずらして極板が重なる面積を $S(t)=S_0\bigl(1+\eta\sin\omega t\bigr)$ のように時間変化させる($\eta$ は $1$ より十分小さい正の定数)。このコンデンサを図7のように、電圧 $V$ の直流電源と抵抗値 $R$ の抵抗に接続した。時刻 $t$ の電気容量を $C(t)$ とし、蓄えられた電荷 $Q(t)$ は、コンデンサの両端の電位差と $C(t)$ の積とする。電流 $I$ は図の矢印の向きを正とする。

直流電源V、抵抗R、極板がずれて重なる面積が変わるコンデンサの回路
図7

(d) キルヒホッフの第2法則から $V=\text{【ア】}\dfrac{\Delta Q(t)}{\Delta t}+\text{【ウ】}Q(t)\ \cdots(1)$ となる。【ウ】を $t,\ \omega,\ V,\ R,\ C(t)$ のうち必要なものを用いて答えよ。ただし【ア】は問2(a)と同じ式である。

$Q(t)$ を $\eta$ の1次式 $Q(t)=q_0(t)+q_1(t)\,\eta\ \cdots(2)$ で近似して(1)式を解こう。ここで $q_0(t),\ q_1(t)$ は時間の関数で、$\eta$ に依存しない。(1)式に(2)式を代入して $\eta$ のべきでまとめ、$\eta^2$ 以上の項は十分に小さいとして無視すると $0=A_0+A_1\eta\ \cdots(3)$ が得られる。ここで $A_0,\ A_1$ は $\eta$ を含まない式であり

$$A_0=\text{【ア】}\frac{\Delta q_0(t)}{\Delta t}+\text{【エ】}q_0(t)-V,\qquad A_1=\text{【ア】}\frac{\Delta q_1(t)}{\Delta t}+\text{【エ】}q_1(t)+\text{【オ】}q_0(t)$$

となる(必要なら、$|x|\ll1$ のとき $\dfrac{1}{1+x}\fallingdotseq1-x$ を用いてよい)。(3)式が任意の微小量 $\eta$ で成り立つには $A_0=A_1=0$ でなければならない。$A_0=0$ より、十分に時間が経過したあとは $q_0(t)=\text{【カ】}$ となる。以後の計算では $q_0(t)=\text{【カ】}$ とおく。同様に $A_1=0$ より、十分に時間が経過したあとの $q_1(t)$ は $0=\text{【ア】}\dfrac{\Delta q_1(t)}{\Delta t}+\text{【エ】}q_1(t)+\text{【キ】}$ を満たす。

(e) 【エ】〜【キ】を $t,\ \omega,\ V,\ R,\ C_0$ のうち必要なものを用いて答えよ。

(f) 回路をつないで十分に時間が経過したあとの、抵抗に生じる電圧の大きさ $|V_R(t)|$ を、問2を参考にして $t,\ \omega,\ V,\ R,\ C_0,\ \eta$ のうち必要なものを用いて答えよ。

問4 問3の回路は、音波で極板を動かして電圧に変換するマイクロフォンとして使える。出力は抵抗に生じる電圧である。人間の可聴周波数は $20\,\mathrm{Hz}$ から $20000\,\mathrm{Hz}$ である。$20\,\mathrm{Hz}$ の音に対しても、出力電圧の振幅が、$\omega RC_0\to\infty$ としたときの振幅の $90\,\%$ 以上になるようにしたい。$R$ と $C_0$ が満たすべき条件を、問2(c)も参考にして求めよ。数値で答える場合は $\sqrt{19}\fallingdotseq4.36$、$\pi\fallingdotseq3.14$ を用いてよい。

類題III の解答・解説

問1 $C_0=\dfrac{\varepsilon_r\varepsilon_0S_0}{d_0}$。

問2 (a) $V_0\sin\omega t=R\dfrac{\Delta Q}{\Delta t}+\dfrac{1}{C_0}Q$ より【ア】$=R$、【イ】$=\dfrac{1}{C_0}$。(b) $Z=\sqrt{R^2+\dfrac{1}{\omega^2C_0^2}}$、$\tan\alpha=\dfrac{1}{\omega C_0R}$。

(c) コンデンサの電圧の振幅は $V_C=\dfrac{I_0}{\omega C_0}=\dfrac{V_0}{\sqrt{1+(\omega RC_0)^2}}$。$\omega\to0$ で $V_0$(直流では電源電圧がそのままかかる)、$\omega\to\infty$ で 0 に近づく、単調に減少する曲線。(本番のグラフは電流の振幅で増加、類題はコンデンサ電圧で減少。向きが逆になる点に注意。)

V0から単調に減少して0に近づく曲線
(TMPS作成の答案例)横軸 $\omega$、縦軸 $V_C$。

問3 (d) 【ウ】$=\dfrac{1}{C(t)}$。(e) $C(t)=C_0(1+\eta\sin\omega t)$ なので、ヒントの近似から $\dfrac{1}{C(t)}\fallingdotseq\dfrac{1}{C_0}(1-\eta\sin\omega t)$。これを代入して $\eta^2$ を捨てると

$$A_0=R\frac{\Delta q_0}{\Delta t}+\frac{q_0}{C_0}-V,\qquad A_1=R\frac{\Delta q_1}{\Delta t}+\frac{q_1}{C_0}-\frac{\sin\omega t}{C_0}q_0$$

よって【エ】$=\dfrac{1}{C_0}$、【オ】$=-\dfrac{\sin\omega t}{C_0}$。$A_0=0$ で【カ】$=C_0V$。したがって【キ】$=-\dfrac{\sin\omega t}{C_0}\cdot C_0V=-V\sin\omega t$。

(f) $q_1$ の式は $R\dfrac{\Delta q_1}{\Delta t}+\dfrac{q_1}{C_0}=V\sin\omega t$ で、問2(a)の $V_0$ を $V$ に置き換えたもの。よって $\dfrac{\Delta q_1}{\Delta t}=\dfrac{V}{Z}\sin(\omega t+\alpha)$。電流は $I=\eta\dfrac{\Delta q_1}{\Delta t}$ なので

$$|V_R(t)|=\frac{R\eta V}{Z}\bigl|\sin(\omega t+\alpha)\bigr|,\quad Z=\sqrt{R^2+\frac{1}{\omega^2C_0^2}},\ \tan\alpha=\frac{1}{\omega C_0R}$$

問4 振幅は $\dfrac{R\eta V}{Z}=\eta V\cdot\dfrac{\omega RC_0}{\sqrt{1+(\omega RC_0)^2}}$。$\omega RC_0\to\infty$ のときの振幅は $\eta V$。$20\,\mathrm{Hz}$ で90%以上なら

$$\frac{x}{\sqrt{1+x^2}}\geqq0.9\iff x\geqq\frac{9}{\sqrt{19}}\quad(x=\omega RC_0,\ \omega=2\pi\times20)$$
$$RC_0\geqq\frac{9}{\sqrt{19}\times2\pi\times20}\fallingdotseq\frac{9}{4.36\times6.28\times20}\fallingdotseq1.6\times10^{-2}\ \mathrm{s}$$

20 Hz が最も条件が厳しく、それより高い周波数では自動的に満たされる。

🎯 類題III の答え
問1 $\dfrac{\varepsilon_r\varepsilon_0S_0}{d_0}$問2 (a)【ア】 $R$【イ】 $\dfrac{1}{C_0}$(b) $Z=\sqrt{R^2+\dfrac{1}{\omega^2C_0^2}}$$\tan\alpha=\dfrac{1}{\omega C_0R}$(c) $V_0$ から単調に減少して0に近づく曲線問3 (d)【ウ】 $\dfrac{1}{C(t)}$(e)【エ】 $\dfrac{1}{C_0}$【オ】 $-\dfrac{\sin\omega t}{C_0}$【カ】 $C_0V$【キ】 $-V\sin\omega t$(f) $\dfrac{R\eta V}{Z}|\sin(\omega t+\alpha)|$問4 $RC_0\geqq\dfrac{9}{\sqrt{19}\times2\pi\times20}\fallingdotseq1.6\times10^{-2}\ \mathrm{s}$
CHECK

30秒 得点診断

本番の過去問、またはそっくり類題セットを60分で解いた結果を選んでください。次にやるべきことを表示します。

大問I(小問集合)
大問II(羽根つき)
大問III(コンデンサーと交流)
FOR PARENTS

保護者の方へ:慶應物理で知っておきたい3つのこと

① 差がつくのは「連鎖」
奇抜な知識より、前の小問の結果を次で使う力が問われます。1つ目で落とすと後ろまで崩れる構造です。
② 作図・グラフは「根拠の見せ方」
答えの形だけでなく、半径や端の値をどう読み取らせるかまで採点されます。書き方は独学で直しにくい部分です。
③ 秋からは「答案を見てもらう」
理科は2科目120分の配分が命です。時間配分や捨て問判断の癖は、第三者の目で見るのが最短ルートです。
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よくある質問

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TMPSのおすすめは I → III → IIの問3まで → 見直し → IIの問4・問5 の順です。大問IIは問3(c)までを確実に取り、磁場中の作図と最後の力の見積もりは時間が残ったときに挑戦します。

Q. 問題文が載っていなくても、どんな問題か分かりますか?

分かります。著作権に配慮して問題本文・図は掲載していませんが、各小問の最初に「どういう問題か」として、設定・何を求めるか・答え方をTMPSの言葉で説明しています。

Q. そっくり類題セットとは何ですか?

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Q. 答えはどのように確認していますか?

公開されている解答は参照せず、TMPSが自力で導いた答えを、記号計算と数値シミュレーションで独立に検算しています。それでも誤りを見つけた場合は、公式LINEからお知らせください。

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