データの罠:相関関係と因果関係の混同
資料読解 × 見えない第三の原因ある地域で、新しい生活習慣改善プログラム(食事指導と運動習慣づくり)が実施された。プログラムには希望者が自ら申し込んで参加した。参加者(参加した群)1000人と、参加しなかった住民(参加しなかった群)1000人について、5年間の心病気発症率を調べた結果が次の図と表である。
| 年齢構成 | 60歳未満 | 60歳以上 | 計 |
|---|---|---|---|
| 参加した群 | 750人 | 250人 | 1000人 |
| 参加しなかった群 | 250人 | 750人 | 1000人 |
Yui & ニックニ先生のくわしい解説
正解は B。年齢別に分けると、どちらの年代でも両群の発症率は同じです。全体の差は「若い人が多い参加した群」と「高齢者が多い参加しなかった群」を比べたことで生まれた見かけの差です。
参加しなかった群:\(0.25\times 2\% + 0.75\times 10\% = 8.0\%\)
「グラフの差だけで「それが原因だ」と決めつけてしまう思い込み」。人の脳は「AのあとにBが減った」を見ると、自動的に「AがBを減らした」という物語を作ります。
ここで見落とされているのが第三の原因=「原因と思ったもの」と「結果」の両方に関わる第三の要因。今回は年齢です。若い人ほどプログラムに申し込みやすく、若い人ほどもともと心病気になりにくい。だからプログラムに効果がなくても、全体の数字には差が出ます。
この問題は統計の知識を問うていません。問われているのは「比べている2つのグループは、本当に同じ条件か?」と立ち止まれるかです。
医師は一生、論文や臨床データを読んで治療を選ぶ職業です。「〇〇を飲んだ人は長生き」という見出しにそのまま飛びつく人は、患者に根拠のない治療を勧めてしまう。出題者はそこを入学前に見ています。「希望者が自ら申し込んで参加」という一文は、偏りの存在を知らせる出題者からのヒントです。
- 何と何を比べているかを一言で書く(参加した群 vs 参加しなかった群)。
- 2群の違いを結果以外に3つ挙げる(年齢・参加の動機・健康意識…)。
- その違いが結果にも影響しうるなら第三の原因を疑う。
- 年代別の表があれば必ずグループごとに比べ直す。
- 選択肢の語尾の強さをチェック。「結論できる」「明確に示される」は資料が完璧なときしか言えない。
お試し第1問、いかがでしたか?
第2問は、多くの受験生が無意識に引っかかる「検査と確率」のワナです。まずは次の問題に進んでみましょう!


