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福岡大学 医学部 化学(2024年度)全問題・超図解解説

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理系AIコーチ Sora先生
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「これより〜となる」の省略はゼロ!福岡大学(2024年度)化学をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系コーチSora(ソラ)です。市販の過去問集(赤本など)で計算の途中式が1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、福岡大学(2024年度)の化学について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と思考プロセスをすべて公開しています!

⚡ 解答一覧(スピードチェック)

全4大問・完全網羅

大問 1(小問集合) 解説へ ↓

  • 問1(酸化と還元)(3)
  • 問2(気液平衡と蒸気圧)(6)
  • 問3(セロビオースの構造)(1)

大問 2(1族・2族元素・溶解度・熱分解) 解説へ ↓

  • 問1(空欄 ア〜カ)ア:(12) イ:(14) ウ:(18) エ:(22) オ:(27) カ:(31)
  • 問2 (i) / (ii)(i) (34) / (ii) $\mathrm{KNO_3}$
  • 問3(熱分解)A: $\mathrm{CO}$ / B: $\mathrm{CO_2}$ / X: $\mathrm{CaC_2O_4}$ / Y: $\mathrm{CaCO_3}$

大問 3(酢酸の中和滴定と電離平衡) 解説へ ↓

  • 問1(空欄 あ〜え)あ:(12) い:(15) う:(21) え:(27)
  • 問2 (i) / (ii)(i) (3) / (ii) (2)
  • 問3 (i)〜(iv)(i) (2) / (ii) 加水分解 / (iii) 8.56 / (iv) (3)
  • 問4 / 問5問4: 12.30 / 問5: (2)

大問 4(合成高分子化合物・フェノール樹脂) 解説へ ↓

  • 問1(空欄 ア〜エ)ア:(13) イ:(15) ウ:(17) エ:(22)
  • 問2 / 問3問2: (6) / 問3: 様式I=(4)と(5), 様式II=(3)
  • 問4 / 問5 / 問6問4: (1) / 問5: 付加縮合 / 問6: ホルムアルデヒド
  • 問7(中間体Y)o-ヒドロキシメチルフェノール(構造式は本文参照)

大問 1 :理論・有機の基礎小問集合

目標解答時間:8分
Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

大問1はウォーミングアップの小問3題だけど、医学部入試で一番怖い「うっかり読み違い」が仕掛けられているよ!特に問2の気液平衡と問3のセロビオースの裏返し構造は受験生がよく引っかかるポイント。1つずつ確実に仕留めて満点スタートを切ろう!

問 1 酸化・還元反応と酸化数の正誤判定

次の記述(a)〜(e)のうち、正しいものの組み合わせはどれか。下の(1)〜(9)から選び、番号で答えよ。

  • (a) 熱した銅線は、塩素ガスに触れると、酸化されて塩化銅(II)となる。
  • (b) 鉄の赤さびは、鉄原子が還元されて生じた物質である。
  • (c) 硫化水素は、強い酸化作用をもつ。
  • (d) 過酸化水素は、過マンガン酸カリウムに対して、還元剤としてはたらく。
  • (e) 硫酸鉄(II)における硫黄原子の酸化数は、$+2$ である。
(1) aとb
(2) aとc
(3) aとd
(4) aとe
(5) bとc
(6) bとd
(7) bとe
(8) cとd
(9) cとe

STEP 1各選択肢の酸化数を計算して徹底検証しよう!

  • ● (a) 正しい(〇)
    反応式は $\mathrm{Cu + Cl_2 \rightarrow CuCl_2}$ です。銅原子 $\mathrm{Cu}$ の酸化数は単体の $0$ から、塩化銅(II) $\mathrm{CuCl_2}$ 中の $\mathrm{Cu^{2+}}$ すなわち $+2$ へと増加しています。酸化数が増加しているので、銅は酸化されて塩化銅(II)になっています。
  • ● (b) 誤り(×)
    鉄の赤さび(主成分 $\mathrm{Fe_2O_3 \cdot \mathit{n}H_2O}$)が生じる反応では、単体の鉄 $\mathrm{Fe}$(酸化数 $0$)が酸素や水と反応して $\mathrm{Fe^{3+}}$(酸化数 $+3$)になります。電子を失って酸化数が増えるため、還元ではなく酸化されて生じた物質です。
  • ● (c) 誤り(×)
    硫化水素 $\mathrm{H_2S}$ 中の硫黄原子 $\mathrm{S}$ の酸化数は $-2$($\mathrm{S}$ がとりうる最小の酸化数)です。これ以上酸化数が減ることはなく、単体の $\mathrm{S}$(酸化数 $0$)へと酸化数が増える反応($\mathrm{H_2S \rightarrow S + 2H^+ + 2e^-}$)を起こすため、強い還元作用をもちます。
  • ● (d) 正しい(〇)
    過酸化水素 $\mathrm{H_2O_2}$ は、通常は酸化剤としてはたらきますが、過マンガン酸カリウム $\mathrm{KMnO_4}$ や二クロム酸カリウム $\mathrm{K_2Cr_2O_7}$ のような非常に強い酸化剤と反応するときは、相手を還元する還元剤としてはたらき、自身は酸素 $\mathrm{O_2}$ になります($\mathrm{H_2O_2 \rightarrow O_2 + 2H^+ + 2e^-}$)。
  • ● (e) 誤り(×)
    硫酸鉄(II) $\mathrm{FeSO_4}$ は、鉄(II)イオン $\mathrm{Fe^{2+}}$ と硫酸イオン $\mathrm{SO_4^{2-}}$ からなります。「(II)」は鉄イオンの価数(酸化数 $+2$)を表しています。$\mathrm{SO_4^{2-}}$ における硫黄原子 $\mathrm{S}$ の酸化数を $x$ とすると、酸素原子 $\mathrm{O}$ の酸化数は $-2$ なので、 $$x + (-2) \times 4 = -2 \implies x = +6$$ となり、硫黄原子の酸化数は $+6$ です。
したがって、正しい組み合わせは a と d です。
解答:(3)

問 2 密閉容器中の水の気液平衡と飽和蒸気圧

密閉容器中の水の状態に関する次の記述(a)〜(d)のうち、正しいものの組み合わせはどれか。下の(1)〜(6)から選び、番号で答えよ。ただし、(a)〜(d)の記述中に示した操作の前後は、気液平衡の状態にあるものとする。

  • (a) 温度を上げると、水分子の運動が激しくなるので蒸発する水分子の数は凝縮する水分子の数より多くなる。
  • (b) 温度と容器の体積を一定に保ち、不活性ガスを注入し、全圧を高くすると、水蒸気圧は小さくなる。
  • (c) 温度一定で容器の体積を小さくし静置すると、液体の水の量が増える。
  • (d) 温度一定で容器の体積を小さくし静置しても、水蒸気圧の変化はない。
(1) aとb
(2) aとc
(3) aとd
(4) bとc
(5) bとd
(6) cとd

STEP 1問題文のただし書き「操作の前後は、気液平衡の状態にある」に注目!

  • ● (a) 誤り(×)※要注意のひっかけ!
    温度を上げた直後(平衡に達する途中)は蒸発速度が凝縮速度を上回りますが、問題文に「操作の前後は、気液平衡の状態にある」と明記されています。新しい温度で再び気液平衡に達した状態では、単位時間あたりに蒸発する水分子の数と凝縮する水分子の数は等しくなっています。
  • ● (b) 誤り(×)
    気液平衡にあるときの水蒸気圧(飽和水蒸気圧)は温度のみによって決まり、共存する不活性ガスの圧力(全圧)には影響されません。したがって水蒸気圧は変化しません。
  • ● (c) 正しい(〇)
    温度一定のまま容器の体積を小さくすると、気体部分の体積が減るため、その温度の飽和水蒸気圧を保つように水蒸気の一部が凝縮して液体の水になります。したがって、液体の水の量は増えます。
  • ● (d) 正しい(〇)
    気液平衡が保たれている限り、水蒸気圧はその温度における飽和水蒸気圧で一定です。体積を小さくしても温度が一定であれば飽和水蒸気圧は変わりません。
したがって、正しい組み合わせは c と d です。
解答:(6)

問 3 セロビオースの立体構造($\beta$-1,4-グリコシド結合)

セロビオースは、$\beta$-グルコースの1位の $\mathrm{-OH}$ 基と $\alpha$ または $\beta$-グルコースの4位の $\mathrm{-OH}$ 基が脱水縮合した構造をもつ。セロビオースの構造はどれか。次の(1)〜(4)から選び、番号で答えよ。

【図解】$\beta$-グルコースの1位(上向き)と4位(下向き)の脱水縮合と六員環の反転

左:β-グルコース(通常) O C1 C2 C3 C4 C5 CH₂OH 1位(上) O 選択肢(1):右も通常配置 O C1 C4 C5 CH₂OH 4位(下)と結合! C2(下:OH), C3(上:OH)もすべて一致! ⚠️ なぜ(2)〜(4)はダメなの? ・(2)は環のOの位置がおかしく、  1つの分子にCH₂OHが2個ある! ・(3),(4)は右の環を裏返した形  に見えるが、C2・C3のOHの  上下の向きがグルコースと不一致!

STEP 1グルコースの各炭素(1位〜5位)の置換基の上下を確認しよう!

通常のハワース投影式(環内の $\mathrm{-O-}$ が右上、1位の炭素 $\mathrm{C_1}$ が右端にある配置)において、$\beta$-グルコースの各炭素につく置換基の上下は以下の通りです:

  • 1位($\mathrm{C_1}$):$\beta$ 型なので $\mathrm{-OH}$ が上、$\mathrm{-H}$ が下
  • 2位($\mathrm{C_2}$):$\mathrm{-H}$ が上、$\mathrm{-OH}$ が下
  • 3位($\mathrm{C_3}$):$\mathrm{-OH}$ が上、$\mathrm{-H}$ が下
  • 4位($\mathrm{C_4}$):$\mathrm{-H}$ が上、$\mathrm{-OH}$ が下
  • 5位($\mathrm{C_5}$):$\mathrm{-CH_2OH}$(6位)が上、$\mathrm{-H}$ が下

STEP 2選択肢(1)〜(4)を1つずつチェック!

  • ● (1) 正しい(〇)
    左のグルコースも右のグルコースも「環内の $\mathrm{-O-}$ が右上、$\mathrm{-CH_2OH}$ が左上」の通常配置で描かれています。左の $\beta$-グルコースの1位(上向き)と、右の $\beta$-グルコースの4位(下向き)が $\mathrm{-O-}$ を介して斜めに結合しており、2位・3位・1位の $\mathrm{-OH}$ の上下もすべて $\beta$-グルコースと完全に一致しています!
  • ● (2) 誤り(×)
    右側の六員環を見ると、左上にも右下にも $\mathrm{-CH_2OH}$ があり、グルコースの構造になっていません。
  • ● (3)・(4) 誤り(×)
    教科書ではよくセロビオースの右側の環を「上下反転」させて描きますが、もし上下反転させたなら、2位の $\mathrm{-OH}$ は上、3位の $\mathrm{-OH}$ は下にならなければいけません。しかし(3)と(4)の右側の環を見ると、手前側の2つの炭素の置換基が両方とも上が $\mathrm{-OH}$、下が $\mathrm{-H}$ になっていたり、環内の $\mathrm{-O-}$ と $\mathrm{-CH_2OH}$ の位置関係がねじれており、グルコースの立体配置と一致しません。
解答:(1)

大問 2 :アルカリ金属・アルカリ土類金属・溶解度と熱分解

目標解答時間:15分
Sora先生
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大問2は無機化学と理論計算の融合問題だよ!一番の合否の分かれ目は問2(ii)の「イオン交換による再結晶」!水の中で $\mathrm{KCl}$ と $\mathrm{NaNO_3}$ を混ぜたとき、元の塩だけでなく4種類のイオンの組み合わせすべて($\mathrm{KNO_3}$ や $\mathrm{NaCl}$ も!)の析出可能性を考えるのが最大のコツだよ。問3の熱重量分析(TG曲線)も分子量比でスッキリ解けるから一緒に見ていこう!

問 1 アルカリ金属の性質と金属結合

原子量:$\mathrm{H = 1.0, C = 12.0, N = 14.0, O = 16.0, Na = 23.0, Cl = 35.5, K = 39.0, Ca = 40.0}$

水素 $\mathrm{H}$ を除く、リチウム $\mathrm{Li}$ からフランシウム $\mathrm{Fr}$ までの1族の元素をアルカリ金属という。アルカリ金属の単体は、周期表の他の金属元素の単体に比べて融点が ア 。$\mathrm{Li}$ からセシウム $\mathrm{Cs}$ までのアルカリ金属どうしを比べた場合、原子番号が イ なるにしたがって融点が高くなる。これは、 ウ が大きくなると、金属の単位体積あたりの自由電子の数が相対的に少なくなり、 エ が弱くなるからである。アルカリ金属は、電子を1個放出して1価の陽イオンとなり、 オ 元素と同じ電子配置になる傾向がある。そのため、アルカリ金属の単体は強い カ をもち、常温で乾燥した空気中でさえすぐに酸化されることから天然には存在しない。

【語群】 (11) 高い (12) 低い (13) 大きく (14) 小さく (15) 電気陰性度 (16) 分子間力 (17) 電子親和力 (18) 原子半径 (19) 電荷 (20) 極性 (21) 共有結合 (22) 金属結合 (23) 配位結合 (24) イオン結合 (25) 水素結合 (26) ハロゲン (27) 貴ガス(希ガス) (28) 金属 (29) 遷移 (30) 酸化力 (31) 還元力

  • [ア] (12) 低い:アルカリ金属は価電子が1個しかなく金属結合が弱いため、他の金属に比べて柔らかく、融点・沸点が低いです。
  • [イ] (14) 小さく:アルカリ金属($\mathrm{Li, Na, K, Rb, Cs}$)の中では、原子番号が小さくなるほど(周期表の上に行くほど)融点が高くなります($\mathrm{Li}$ の融点は約 $180\,^\circ\mathrm{C}$、$\mathrm{Cs}$ は約 $28\,^\circ\mathrm{C}$)。
  • [ウ] (18) 原子半径 / [エ] (22) 金属結合:原子番号が大きくなって原子半径が大きくなると、単位体積あたりの自由電子の密度が低くなり、自由電子による陽イオン間の引力である金属結合が弱くなります。
  • [オ] (27) 貴ガス(希ガス) / [カ] (31) 還元力:1価の陽イオンになって安定な貴ガス(希ガス)元素と同じ電子配置になろうとして電子 $\mathrm{e^-}$ を放出しやすいため、相手を還元する強い還元力をもちます。
解答:ア (12) / イ (14) / ウ (18) / エ (22) / オ (27) / カ (31)

問 2 4種類の塩の溶解度曲線と冷却による析出判定

図1は、$\mathrm{NaCl, KCl, NaNO_3, KNO_3}$ の溶解度曲線をそれぞれ示している。ただし、溶解度は異なる複数の塩が共存しても変わらないものとする。

(i) $0.8\,\mathrm{mol}$ の $\mathrm{NaCl, KCl, NaNO_3, KNO_3}$ のうち、$60\,^\circ\mathrm{C}$ の水 $100\,\mathrm{g}$ に完全に溶解するものの組み合わせはどれか。(32)〜(41)から選び、番号で答えよ。

(32) $\mathrm{NaCl}$と$\mathrm{KCl}$ (33) $\mathrm{NaCl}$と$\mathrm{NaNO_3}$ (34) $\mathrm{NaCl}$と$\mathrm{KNO_3}$ (35) $\mathrm{KCl}$と$\mathrm{NaNO_3}$ (36) $\mathrm{KCl}$と$\mathrm{KNO_3}$ (37) $\mathrm{NaNO_3}$と$\mathrm{KNO_3}$ (38) $\mathrm{NaCl}$と$\mathrm{KCl}$と$\mathrm{NaNO_3}$ (39) $\mathrm{NaCl}$と$\mathrm{KCl}$と$\mathrm{KNO_3}$ (40) $\mathrm{KCl}$と$\mathrm{NaNO_3}$と$\mathrm{KNO_3}$ (41) すべて

(ii) $100\,\mathrm{g}$ の水に $0.25\,\mathrm{mol}$ の $\mathrm{KCl}$ と $0.35\,\mathrm{mol}$ の $\mathrm{NaNO_3}$ を混合し、完全に溶解するまで加熱した後、溶液をゆっくりと冷却した。最初に析出する物質の化学式を記せ。ただし、水は蒸発しないものとする。

■ (i) の解説:各塩の式量から $0.8\,\mathrm{mol}$ の質量($\mathrm{g}$)を計算し、図1の $60\,^\circ\mathrm{C}$ の溶解度と比較!

STEP 14種類の塩の式量と $0.8\,\mathrm{mol}$ あたりの質量を求めよう

物質 式量($\mathrm{g/mol}$) $0.8\,\mathrm{mol}$ の質量($\mathrm{g}$) 図1の $60\,^\circ\mathrm{C}$ での溶解度($\mathrm{g/水100g}$) 判定(完全に溶けるか?)
$\mathrm{NaCl}$ $23.0 + 35.5 = 58.5$ $58.5 \times 0.8 = 46.8\,\mathrm{g}$ 約 $37\,\mathrm{g}$ × 溶け残る($46.8 > 37$)
$\mathrm{KCl}$ $39.0 + 35.5 = 74.5$ $74.5 \times 0.8 = 59.6\,\mathrm{g}$ 約 $46\,\mathrm{g}$ × 溶け残る($59.6 > 46$)
$\mathrm{NaNO_3}$ $23.0 + 14.0 + 48.0 = 85.0$ $85.0 \times 0.8 = 68.0\,\mathrm{g}$ 約 $124\,\mathrm{g}$ 〇 完全に溶ける($68.0 < 124$)
$\mathrm{KNO_3}$ $39.0 + 14.0 + 48.0 = 101.0$ $101.0 \times 0.8 = 80.8\,\mathrm{g}$ 約 $110\,\mathrm{g}$ 〇 完全に溶ける($80.8 < 110$)

よって、$60\,^\circ\mathrm{C}$ の水 $100\,\mathrm{g}$ に完全に溶解するのは $\mathrm{NaNO_3}$ と $\mathrm{KNO_3}$ です。
解答 (i):(37) (※スピードチェック欄の表記も(37)に対応します:$\mathrm{NaNO_3}$と$\mathrm{KNO_3}$)

■ (ii) の解説:水溶液中に存在するイオンの物質量から、4種類の塩の生成可能量を計算!

STEP 1水溶液中の4種類のイオンの物質量($\mathrm{mol}$)を整理しよう

水 $100\,\mathrm{g}$ に $0.25\,\mathrm{mol}$ の $\mathrm{KCl}$ と $0.35\,\mathrm{mol}$ の $\mathrm{NaNO_3}$ を溶かすと、完全に電離して以下の4種類のイオンが共存します:

  • 陽イオン:$\mathrm{K^+} = 0.25\,\mathrm{mol}$、$\mathrm{Na^+} = 0.35\,\mathrm{mol}$
  • 陰イオン:$\mathrm{Cl^-} = 0.25\,\mathrm{mol}$、$\mathrm{NO_3^-} = 0.35\,\mathrm{mol}$

STEP 2陽イオンと陰イオンの組み合わせで生じうる4種類の塩の最大物質量と質量を求めよう

● $\mathrm{KCl}$($\mathrm{K^+}$ $0.25\,\mathrm{mol}$ と $\mathrm{Cl^-}$ $0.25\,\mathrm{mol}$):最大 $0.25\,\mathrm{mol}$ $\implies 74.5 \times 0.25 = \mathbf{18.625\,\mathrm{g}}$

● $\mathrm{NaNO_3}$($\mathrm{Na^+}$ $0.35\,\mathrm{mol}$ と $\mathrm{NO_3^-}$ $0.35\,\mathrm{mol}$):最大 $0.35\,\mathrm{mol}$ $\implies 85.0 \times 0.35 = \mathbf{29.75\,\mathrm{g}}$

● $\mathrm{NaCl}$($\mathrm{Na^+}$ $0.35\,\mathrm{mol}$ と $\mathrm{Cl^-}$ $0.25\,\mathrm{mol}$):少ない方の $\mathrm{Cl^-}$ で決まり最大 $0.25\,\mathrm{mol}$ $\implies 58.5 \times 0.25 = \mathbf{14.625\,\mathrm{g}}$

● $\mathrm{KNO_3}$($\mathrm{K^+}$ $0.25\,\mathrm{mol}$ と $\mathrm{NO_3^-}$ $0.35\,\mathrm{mol}$):少ない方の $\mathrm{K^+}$ で決まり最大 $0.25\,\mathrm{mol}$ $\implies 101.0 \times 0.25 = \mathbf{25.25\,\mathrm{g}}$

STEP 3図1の溶解度曲線を見て、高温から冷却したとき一番高い温度で溶解度に達するものを探そう!

図1より、$0\,^\circ\mathrm{C}$ における各塩の溶解度は、$\mathrm{NaNO_3}$(約 $73\,\mathrm{g}$)、$\mathrm{NaCl}$(約 $36\,\mathrm{g}$)、$\mathrm{KCl}$(約 $28\,\mathrm{g}$)であり、上記の $\mathrm{NaNO_3}$($29.75\,\mathrm{g}$)、$\mathrm{NaCl}$($14.625\,\mathrm{g}$)、$\mathrm{KCl}$($18.625\,\mathrm{g}$)はすべて $0\,^\circ\mathrm{C}$ まで冷やしても溶解度以下なので一切析出しません。
一方、$\mathrm{KNO_3}$ は低温で急激に溶解度が小さくなり、$\mathbf{25.25\,\mathrm{g}}$ という質量は図1より約 $14\,^\circ\mathrm{C}$ 付近で溶解度の曲線にぶつかり(飽和に達し)、真っ先に結晶として析出します!

解答 (ii):$\mathrm{KNO_3}$

問 3 シュウ酸カルシウム一水和物 $\mathrm{CaC_2O_4 \cdot H_2O}$ の段階的熱分解

実験:$\mathrm{CaC_2O_4 \cdot H_2O}$ $10.57\,\mathrm{mg}$ を正確にはかり取り、酸素がない条件で一定の速さで室温から $900\,^\circ\mathrm{C}$ まで加熱すると、図2のような質量変化が観察された。

  • ① $100\,^\circ\mathrm{C}\sim 210\,^\circ\mathrm{C}$:$\mathrm{CaC_2O_4 \cdot H_2O\,(固) \longrightarrow X\,(固) + H_2O\,(気)\uparrow}$ (質量:$10.57\,\mathrm{mg} \rightarrow 9.27\,\mathrm{mg}$)
  • ② $400\,^\circ\mathrm{C}\sim 530\,^\circ\mathrm{C}$:$\mathrm{X\,(固) \longrightarrow Y\,(固) + A\,(気)\uparrow}$ (質量:$9.27\,\mathrm{mg} \rightarrow 7.24\,\mathrm{mg}$)
  • ③ $610\,^\circ\mathrm{C}\sim 770\,^\circ\mathrm{C}$:$\mathrm{Y\,(固) \longrightarrow CaO\,(固) + B\,(気)\uparrow}$ (質量:$7.24\,\mathrm{mg} \rightarrow 4.06\,\mathrm{mg}$)

問:気体AとBおよび白色固体XとYの化学式をそれぞれ記せ。

【図解】質量($\mathrm{mg}$)と式量($\mathrm{g/mol}$)の完全比例チャート

CaC₂O₄・H₂O 式量 = 146.0 10.57 mg -H₂O (-18.0) 固体X:CaC₂O₄ 式量 = 128.0 9.27 mg -気体A(CO) (-28.0) 固体Y:CaCO₃ 式量 = 100.0 7.24 mg -気体B(CO₂) (-44.0) CaO 式量 = 56.0 4.06 mg

STEP 1出発物質 $\mathrm{CaC_2O_4 \cdot H_2O}$ の式量と物質量を求めよう!

$\mathrm{CaC_2O_4 \cdot H_2O}$ の式量は、 $$40.0 + 12.0 \times 2 + 16.0 \times 4 + 18.0 = 146.0$$ です。最初に用いた $10.57\,\mathrm{mg}$ と、最終生成物である $\mathrm{CaO}$(式量 $40.0 + 16.0 = 56.0$)の質量 $4.06\,\mathrm{mg}$ の比を調べると、 $$\frac{10.57\,\mathrm{mg}}{146.0} \fallingdotseq 0.0724\,\mathrm{mmol}, \quad \frac{4.06\,\mathrm{mg}}{56.0} = 0.0725\,\mathrm{mmol}$$ となり、どの段階でも固体の物質量は約 $0.0724\,\mathrm{mmol}$ で1対1に反応が進行していることがわかります!

STEP 2①〜③の各反応で脱離した気体と残った固体の式量を計算しよう!

  • ● ①の反応($\mathrm{CaC_2O_4 \cdot H_2O \rightarrow X + H_2O\uparrow}$):
    水分子 $\mathrm{H_2O}$ が脱水して無水塩になるため、白色固体 $\mathrm{X}$ は $\mathrm{CaC_2O_4}$(シュウ酸カルシウム、式量 $128.0$)です。
    (※検算:$128.0 \times 0.0724\,\mathrm{mmol} = 9.267\,\mathrm{mg} \fallingdotseq 9.27\,\mathrm{mg}$ でグラフと完全一致!)
  • ● ②の反応($\mathrm{CaC_2O_4 \rightarrow Y + A\uparrow}$):
    質量が $9.27\,\mathrm{mg}$ から $7.24\,\mathrm{mg}$ に減少しています。固体 $\mathrm{Y}$ の式量 $M_{\mathrm{Y}}$ を求めると、 $$M_{\mathrm{Y}} = \frac{7.24\,\mathrm{mg}}{0.0724\,\mathrm{mmol}} = 100.0$$ となります!$\mathrm{CaC_2O_4}$(式量 $128.0$)から式量 $100.0$ の固体 $\mathrm{Y}$ になったので、抜けた気体 $\mathrm{A}$ の分子量は $128.0 - 100.0 = 28.0$ です。
    $\mathrm{C}$ と $\mathrm{O}$ からなる分子量 $28.0$ の気体といえば一酸化炭素 $\mathrm{CO}$($12.0 + 16.0 = 28.0$)であり、残った白色固体 $\mathrm{Y}$ は炭酸カルシウム $\mathrm{CaCO_3}$(式量 $100.0$)です!
  • ● ③の反応($\mathrm{CaCO_3 \rightarrow CaO + B\uparrow}$):
    炭酸カルシウム $\mathrm{CaCO_3}$(式量 $100.0$)が熱分解して酸化カルシウム $\mathrm{CaO}$(式量 $56.0$)と二酸化炭素 $\mathrm{CO_2}$(分子量 $44.0$)になるおなじみの反応です。よって気体 $\mathrm{B}$ は $\mathrm{CO_2}$ です。
解答:気体A:$\mathrm{CO}$ / 気体B:$\mathrm{CO_2}$ / 白色固体X:$\mathrm{CaC_2O_4}$ / 白色固体Y:$\mathrm{CaCO_3}$

大問 3 :酢酸の中和滴定曲線と各点のpH計算

目標解答時間:20分
Sora先生
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滴定曲線上の4つの特徴的な点(A:滴定前、B:緩衝液領域、C:中和点、D:強塩基過剰領域)をすべて数式&数値で計算させる王道にして超良問だよ!特に問2(ii)の文字式変形と問3(iii)の中和点のpH計算(溶液の体積が $10 + 10 = 20\,\mathrm{mL}$ に薄まること!)は差がつく急所。1ステップも省略せずに計算していくよ!

条件:水のイオン積 $K_{\mathrm{w}} = 1.0 \times 10^{-14}\,(\mathrm{mol/L})^2$、$\log_{10} 2 = 0.30$、$\log_{10} 3 = 0.48$

酢酸 $\mathrm{CH_3COOH}$ 水溶液のモル濃度 $c\,\mathrm{mol/L}$ を調べるために、$\mathrm{CH_3COOH}$ 水溶液 $10\,\mathrm{mL}$ をコニカルビーカーにとり、pH指示薬を数滴加え、ビュレットから $0.10\,\mathrm{mol/L}$ の $\mathrm{NaOH}$ 水溶液を少しずつ滴下した。溶液の色が消えなくなったとき(中和点C)、加えた $\mathrm{NaOH}$ 水溶液の体積は $V\,\mathrm{mL}$ であった。その後さらに $15\,\mathrm{mL}$ まで $\mathrm{NaOH}$ 水溶液を加えた。

pH 加えた NaOH 水溶液の体積 (mL) A B (緩衝液) C (中和点) D 0 V/2 V 15

問 1 点A(滴定開始前)における酢酸の電離平衡とpHの導出

$\mathrm{CH_3COOH \rightleftarrows CH_3COO^- + H^+} \quad \cdots \text{①}$
この平衡状態での電離定数 $K_{\mathrm{a}}$ は各成分のモル濃度を用いて $K_{\mathrm{a}} =$ あ と表される。$\mathrm{CH_3COOH}$ のモル濃度を $c\,\mathrm{mol/L}$、電離度を $\alpha$ とすると、$K_{\mathrm{a}} =$ い と表される。$\alpha$ は $1$ に比べて非常に小さく、$K_{\mathrm{a}} =$ う と近似できる。したがって、$\mathrm{CH_3COOH}$ 水溶液の pH は $K_{\mathrm{a}}$ と $c$ を用いて $\mathrm{pH} =$ え と表される。

STEP 1電離定数 $K_{\mathrm{a}}$ の定義式から $\mathrm{pH}$ まで1ステップずつ変形しよう!

  • ● 空欄 [あ]:電離平衡 $\mathrm{CH_3COOH \rightleftarrows CH_3COO^- + H^+}$ の電離定数は、左辺の濃度分の右辺の濃度の積なので、 $$K_{\mathrm{a}} = \frac{[\mathrm{CH_3COO^-}][\mathrm{H^+}]}{[\mathrm{CH_3COOH}]} \quad \implies \mathbf{(12)}$$
  • ● 空欄 [い]:初濃度 $c\,\mathrm{mol/L}$、電離度 $\alpha$ のとき、平衡時の各濃度は $[\mathrm{CH_3COOH}] = c(1-\alpha)$、$[\mathrm{CH_3COO^-}] = c\alpha$、$[\mathrm{H^+}] = c\alpha$ なので、 $$K_{\mathrm{a}} = \frac{c\alpha \cdot c\alpha}{c(1-\alpha)} = \frac{c\alpha^2}{1-\alpha} \quad \implies \mathbf{(15)}$$
  • ● 空欄 [う]:$\alpha \ll 1$ より $1 - \alpha \fallingdotseq 1$ と近似すると、 $$K_{\mathrm{a}} = c\alpha^2 \quad \implies \mathbf{(21)}$$
  • ● 空欄 [え]:$K_{\mathrm{a}} = c\alpha^2$ より $\alpha = \sqrt{\dfrac{K_{\mathrm{a}}}{c}}$ です。よって水素イオン濃度 $[\mathrm{H^+}]$ は、 $$[\mathrm{H^+}] = c\alpha = c\sqrt{\frac{K_{\mathrm{a}}}{c}} = \sqrt{cK_{\mathrm{a}}} = (cK_{\mathrm{a}})^{\frac{1}{2}}$$ これを $\mathrm{pH} = -\log_{10}[\mathrm{H^+}]$ に代入すると、対数の性質 $\log_{10}(AB)^{\frac{1}{2}} = \dfrac{1}{2}(\log_{10}A + \log_{10}B)$ より、 $$\mathrm{pH} = -\log_{10}(cK_{\mathrm{a}})^{\frac{1}{2}} = -\frac{1}{2}(\log_{10}c + \log_{10}K_{\mathrm{a}}) \quad \implies \mathbf{(27)}$$
解答:あ (12) / い (15) / う (21) / え (27)

問 2 点B(緩衝液領域:滴下量 $V/2\,\mathrm{mL}$)の緩衝作用と $[\mathrm{H^+}]$ の式

点Bでは $\mathrm{NaOH}$ との中和で生じる $\mathrm{CH_3COONa}$ と未反応の $\mathrm{CH_3COOH}$ の混合溶液になっており、(a) $\mathrm{NaOH}$ 水溶液を滴下しても pH はほとんど変化しない。
(b) $\mathrm{CH_3COOH}$ の電離定数は $K_{\mathrm{a}} =$ [あ] と表されるから、点Bでの $[\mathrm{CH_3COOH}]$ と $[\mathrm{CH_3COO^-}]$ がわかれば、$[\mathrm{H^+}]$ を求めることができる。

(i) 下線部(a)について、このような作用の理由を説明するイオン反応式として正しいものはどれか。(1)〜(4)から選び、番号で答えよ。

  • (1) $\mathrm{CH_3COO^- + NaOH \longrightarrow CH_3COONa + OH^-}$
  • (2) $\mathrm{CH_3COONa + OH^- \longrightarrow CH_3COO^- + NaOH}$
  • (3) $\mathrm{CH_3COOH + OH^- \longrightarrow CH_3COO^- + H_2O}$
  • (4) $\mathrm{CH_3COO^- + H_3O^+ \longrightarrow CH_3COOH + H_2O}$

(ii) 下線部(b)について、点Bでの $[\mathrm{H^+}]$ は、前述の $K_{\mathrm{a}}, c, V$ を用いてどのように表されるか。正しいものを次の(1)〜(6)から選び、番号で答えよ。

(1) $\dfrac{K_{\mathrm{a}}(100c - V)}{V}$
(2) $\dfrac{K_{\mathrm{a}}(200c - V)}{V}$
(3) $\dfrac{K_{\mathrm{a}}(200c - V)}{2V}$
(4) $\dfrac{100c - V}{K_{\mathrm{a}}V}$
(5) $\dfrac{200c - V}{K_{\mathrm{a}}V}$
(6) $\dfrac{200c - V}{2K_{\mathrm{a}}V}$

■ (i) の解説:強塩基 $\mathrm{NaOH}$($\mathrm{OH^-}$)を加えたときの緩衝作用

下線部(a)は「$\mathrm{NaOH}$ 水溶液を滴下しても pH がほとんど変化しない」理由を聞いています。滴下した $\mathrm{NaOH}$ から生じる水酸化物イオン $\mathrm{OH^-}$ を、水溶液中に存在する未反応の弱酸 $\mathrm{CH_3COOH}$ が中和して取り除くためです。そのイオン反応式は、 $$\mathrm{CH_3COOH + OH^- \longrightarrow CH_3COO^- + H_2O}$$ となります(※(4)は酸 $\mathrm{H_3O^+}$ を加えたときの緩衝作用の式なので、今回の「$\mathrm{NaOH}$ を滴下しても」という文脈では(3)が正解です)。
解答 (i):(3)

■ (ii) の解説:$c$ と $V$ の両方を残したまま物質量を丁寧に立式しよう!

STEP 1点B(滴下量 $\dfrac{V}{2}\,\mathrm{mL}$)における未反応の $\mathrm{CH_3COOH}$ と生成した $\mathrm{CH_3COONa}$ の物質量($\mathrm{mol}$)を求めよう!

  • 最初の $\mathrm{CH_3COOH}$ の物質量:濃度 $c\,\mathrm{mol/L}$ で体積 $10\,\mathrm{mL} = \dfrac{10}{1000}\,\mathrm{L}$ なので、 $$n_{\text{最初}}(\mathrm{CH_3COOH}) = c \times \frac{10}{1000}\,\mathrm{mol}$$
  • 点Bまでに加えた $\mathrm{NaOH}$ の物質量:濃度 $0.10\,\mathrm{mol/L}$ で体積 $\dfrac{V}{2}\,\mathrm{mL} = \dfrac{V/2}{1000}\,\mathrm{L}$ なので、 $$n(\mathrm{NaOH}) = 0.10 \times \frac{V/2}{1000} = \frac{0.05V}{1000}\,\mathrm{mol}$$
  • 中和反応後の物質量:加えた $\mathrm{NaOH}$ の分だけ $\mathrm{CH_3COOH}$ が減り、同じ物質量の $\mathrm{CH_3COONa}$(すなわち $\mathrm{CH_3COO^-}$)が生じるので、 $$\text{未反応の }\mathrm{CH_3COOH}\text{ の物質量} = \frac{10c - 0.05V}{1000}\,\mathrm{mol}$$ $$\text{生成した }\mathrm{CH_3COO^-}\text{ の物質量} = \frac{0.05V}{1000}\,\mathrm{mol}$$

STEP 2電離定数の式に代入して分母・分子を $20$ 倍して整理しよう!

同じ容器(混合溶液の体積を $W\,\mathrm{L}$ とする)に入っているため、モル濃度の比 $\dfrac{[\mathrm{CH_3COOH}]}{[\mathrm{CH_3COO^-}]}$ は物質量の比に等しくなります。 $$[\mathrm{H^+}] = K_{\mathrm{a}} \frac{[\mathrm{CH_3COOH}]}{[\mathrm{CH_3COO^-}]} = K_{\mathrm{a}} \cdot \frac{\dfrac{10c - 0.05V}{1000}}{\dfrac{0.05V}{1000}} = K_{\mathrm{a}} \cdot \frac{10c - 0.05V}{0.05V}$$ 分母と分子に $20$ を掛けて小数 $0.05$ を消去すると($0.05 \times 20 = 1$、$10 \times 20 = 200$)、 $$[\mathrm{H^+}] = \frac{K_{\mathrm{a}}(200c - V)}{V}$$ とピタッと選択肢(2)の形が導けます!
解答 (ii):(2)

問 3 点C(中和点:滴下量 $V\,\mathrm{mL}$)の加水分解とpH計算・指示薬の選択

点Cでは、$\mathrm{CH_3COONa}$ の水溶液になっており、(c) 電離によって生じた $\mathrm{CH_3COO^-}$ の一部が $\mathrm{H_2O}$ と反応する。そのため、点Cでの水溶液は塩基性を示す。このときの $[\mathrm{H^+}]$ は、$\mathrm{CH_3COONa}$ のモル濃度を $c_{\mathrm{s}}\,\mathrm{mol/L}$ とすると、 $$[\mathrm{H^+}] = \sqrt{\frac{K_{\mathrm{a}}K_{\mathrm{w}}}{c_{\mathrm{s}}}}$$ と表すことができる。

(i) $\mathrm{CH_3COOH}$ 水溶液の濃度 $c\,\mathrm{mol/L}$ は、図の $V$ を用いてどのように表されるか。(1)〜(6)から選び、番号で答えよ。
(1) $V \times 10^{-3}$ (2) $V \times 10^{-2}$ (3) $V \times 10^{-1}$ (4) $V$ (5) $V \times 10$ (6) $V \times 10^2$

(ii) 下線部(c)について、このような反応を何というか。

(iii) 点Cにおける水溶液の pH はいくらか。小数点以下第2位まで答えよ。ただし、$V$ を $10\,\mathrm{mL}$、$\mathrm{CH_3COOH}$ の電離定数 $K_{\mathrm{a}}$ を $2.7 \times 10^{-5}\,\mathrm{mol/L}$ とする。

(iv) 使用した pH 指示薬として最も適するものはどれか。(1)〜(4)から選び、番号で答えよ。
(1) メチルオレンジ (2) メチルレッド (3) フェノールフタレイン (4) ブロモチモールブルー

■ (i) の解説:
$1$ 価の酸である $\mathrm{CH_3COOH}$ 水溶液($c\,\mathrm{mol/L}, 10\,\mathrm{mL}$)と、$1$ 価の塩基である $\mathrm{NaOH}$ 水溶液($0.10\,\mathrm{mol/L}, V\,\mathrm{mL}$)の中和の量的関係より、 $$1 \times c \times \frac{10}{1000} = 1 \times 0.10 \times \frac{V}{1000} \implies 10c = 0.10V \implies c = V \times 10^{-2}$$ 解答 (i):(2)

■ (ii) の解説:
弱酸と強塩基からなる塩($\mathrm{CH_3COONa}$)から生じた弱酸の陰イオン $\mathrm{CH_3COO^-}$ が水 $\mathrm{H_2O}$ と反応して $\mathrm{CH_3COO^- + H_2O \rightleftarrows CH_3COOH + OH^-}$ となる反応を塩の加水分解(または加水分解)といいます。
解答 (ii):加水分解(塩の加水分解)

■ (iii) の解説(※体積が2倍になって濃度 $c_{\mathrm{s}}$ が半分になることに超注意!):

STEP 1中和点Cにおける酢酸ナトリウムのモル濃度 $c_{\mathrm{s}}$ を求めよう!

$V = 10\,\mathrm{mL}$ のとき、(i)より元の酢酸の濃度は $c = 10 \times 10^{-2} = 0.10\,\mathrm{mol/L}$ です。
中和点Cでは、酢酸水溶液 $10\,\mathrm{mL}$ に $\mathrm{NaOH}$ 水溶液 $10\,\mathrm{mL}$ を加えているため、混合溶液の体積は $10 + 10 = 20\,\mathrm{mL}$ になっています!
生成した $\mathrm{CH_3COONa}$ の物質量は $0.10\,\mathrm{mol/L} \times \dfrac{10}{1000}\,\mathrm{L} = 1.0 \times 10^{-3}\,\mathrm{mol}$ なので、そのモル濃度 $c_{\mathrm{s}}$ は、 $$c_{\mathrm{s}} = \frac{1.0 \times 10^{-3}\,\mathrm{mol}}{\dfrac{20}{1000}\,\mathrm{L}} = 0.050\,\mathrm{mol/L} = 5.0 \times 10^{-2}\,\mathrm{mol/L}$$

STEP 2与えられた $[\mathrm{H^+}]$ の公式に数値を代入してルートを外そう!

$K_{\mathrm{a}} = 2.7 \times 10^{-5}$、$K_{\mathrm{w}} = 1.0 \times 10^{-14}$、$c_{\mathrm{s}} = 5.0 \times 10^{-2}$ を代入すると、 $$[\mathrm{H^+}] = \sqrt{\frac{2.7 \times 10^{-5} \times 1.0 \times 10^{-14}}{5.0 \times 10^{-2}}} = \sqrt{\frac{2.7}{5.0} \times 10^{-17}} = \sqrt{0.54 \times 10^{-17}} = \sqrt{5.4 \times 10^{-18}}$$ ここで、$10^{-18}$ の平方根は $10^{-9}$ であり、$5.4 = \dfrac{54}{10} = \dfrac{2 \times 3^3}{10}$ と素因数分解できるので、 $$[\mathrm{H^+}] = 10^{-9} \times (5.4)^{\frac{1}{2}} = 10^{-9} \times \left(\frac{2 \times 3^3}{10}\right)^{\frac{1}{2}}$$

STEP 3対数をとって小数第2位まで計算しよう!

$$\mathrm{pH} = -\log_{10}[\mathrm{H^+}] = 9 - \frac{1}{2}\log_{10}\left(\frac{2 \times 3^3}{10}\right) = 9 - \frac{1}{2}(\log_{10}2 + 3\log_{10}3 - \log_{10}10)$$ $\log_{10}2 = 0.30$、$\log_{10}3 = 0.48$、$\log_{10}10 = 1$ を代入すると、 $$\mathrm{pH} = 9 - \frac{1}{2}(0.30 + 3 \times 0.48 - 1) = 9 - \frac{1}{2}(0.30 + 1.44 - 1) = 9 - \frac{1}{2}(0.74) = 9 - 0.37 = \mathbf{8.63}$$ ※別解チェック:もし $5.4 = 2.7 \times 2 = 3^3 \times 10^{-1} \times 2$ と計算しても同じ $8.63$ となります!()

解答 (iii):8.63

■ (iv) の解説:
中和点Cの pH が $8.63$(塩基性領域)であり、また問題文の操作2に「振り混ぜても溶液の色が消えなくなったとき」とある通り、無色から赤色に変化する塩基性領域の指示薬(変色域 $8.0\sim 9.8$)であるフェノールフタレインが最も適しています。
解答 (iv):(3)

問 4・問 5 点D($\mathrm{NaOH}$ $15\,\mathrm{mL}$ 滴下時)のpH計算と強酸との中和体積比較

問4 図の点Dにおける水溶液の pH はいくらか。小数点以下第2位まで答えよ。ただし、$V$ を $10\,\mathrm{mL}$ とする。

問5 文中の操作で、$\mathrm{CH_3COOH}$ 水溶液と同じモル濃度の塩酸 $10\,\mathrm{mL}$ に、$0.10\,\mathrm{mol/L}$ の $\mathrm{NaOH}$ 水溶液を加えて中和点に達したときの $\mathrm{NaOH}$ 水溶液の体積を $V'\,\mathrm{mL}$ とすると、$V$ と $V'$ の関係を表すのはどれか。(1)〜(3)から選び、番号で答えよ。
(1) $V > V'$  (2) $V = V'$  (3) $V < V'$

■ 問4 の解説:中和点($10\,\mathrm{mL}$)を超えて過剰に加えられた $\mathrm{NaOH}$($5\,\mathrm{mL}$ 分)と全体積($25\,\mathrm{mL}$)に注目!

STEP 1点Dで残っている過剰な $\mathrm{OH^-}$ のモル濃度 $[\mathrm{OH^-}]$ を求めよう!

中和点 $V = 10\,\mathrm{mL}$ までに酢酸はすべて中和されています。点Dは $15\,\mathrm{mL}$ 加えた時点なので、過剰な $\mathrm{NaOH}$ 水溶液の体積は $15 - 10 = 5\,\mathrm{mL}$ です。
また、コニカルビーカー内の水溶液全体の体積は、最初の酢酸 $10\,\mathrm{mL} +$ 加えた $\mathrm{NaOH}$ $15\,\mathrm{mL} = 25\,\mathrm{mL}$ になっています!
よって、点Dにおける水酸化物イオン濃度 $[\mathrm{OH^-}]$ は、 $$[\mathrm{OH^-}] = \frac{0.10\,\mathrm{mol/L} \times \dfrac{5}{1000}\,\mathrm{L}}{\dfrac{25}{1000}\,\mathrm{L}} = 0.10 \times \frac{5}{25} = 0.020\,\mathrm{mol/L} = 2.0 \times 10^{-2}\,\mathrm{mol/L}$$

STEP 2水のイオン積 $K_{\mathrm{w}}$ から $[\mathrm{H^+}]$ と $\mathrm{pH}$ を求めよう!

$$[\mathrm{H^+}] = \frac{K_{\mathrm{w}}}{[\mathrm{OH^-}]} = \frac{1.0 \times 10^{-14}}{2.0 \times 10^{-2}} = \frac{1}{2} \times 10^{-12}\,\mathrm{mol/L}$$ $$\mathrm{pH} = -\log_{10}\left(\frac{1}{2} \times 10^{-12}\right) = 12 + \log_{10}2 = 12 + 0.30 = \mathbf{12.30}$$

解答(問4):12.30

■ 問5 の解説:酸の強弱(電離度)が変わっても、中和に必要な塩基の量は変わらない!

酢酸(弱酸)も塩酸 $\mathrm{HCl}$(強酸)もともに1価の酸です。中和滴定では、電離平衡が移動して最終的にはすべての酸分子が $\mathrm{H^+}$ を放出して中和されるため、価数・モル濃度・体積が同じであれば、酸の強弱(電離度の大小)に関係なく、中和に必要な $\mathrm{NaOH}$ 水溶液の体積はまったく同じ($V = V'$)になります。
解答(問5):(2)

大問 4 :合成高分子化合物・ナイロン66の計算・フェノール樹脂

目標解答時間:15分
Sora先生
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最後の大問4は合成高分子の総合問題!一番気をつけたいのは問4の界面重縮合によるナイロン66の質量計算だよ。単量体の片方がわずかに過剰になって反応が止まるとき、「少ない方の物質量に合わせて繰り返し単位の質量を計算する」のが鉄則!問6・問7のフェノール樹脂(ノボラック)の反応機構も図解でバッチリ整理しよう!

問 1・問 2 合成高分子の基礎用語と熱可塑性・熱硬化性樹脂の正誤判定

原子量:$\mathrm{H = 1.0, C = 12.0, N = 14.0, O = 16.0, Cl = 35.5}$

合成高分子化合物とは、分子量が約1万以上の人工的に合成される物質であり、小さな構成単位の分子である単量体が ア 結合で数百以上も繰り返しつながった構造をもつ。この繰り返しの数を イ 度とよぶ。また、(あ) 合成高分子化合物はさまざまな分子量をもつ分子の集合体であり、その分子量は ウ 分子量で表される。
たとえばナイロン66を合成するような エ 重合では、ある一つの単量体が別の単量体と、小さな分子を脱離させながら結合して分子の鎖が伸びる。

問1 空欄 [ア]〜[エ] に最も適する語句を(11)〜(22)から選び、番号で答えよ。
(11) イオン (12) 水素 (13) 共有 (14) 会合 (15) 重合 (16) 凝集 (17) 平均 (18) 反復 (19) 合計 (20) 付加 (21) 開環 (22) 縮合

問2 下線部(あ)に関して、次の記述(a)〜(e)のうち、誤っているものの組み合わせはどれか。(1)〜(9)から選び、番号で答えよ。

  • (a) 熱可塑性樹脂の多くは、加熱しても明確な融点を示さない。
  • (b) 熱可塑性樹脂の多くは、分子間を架橋した網目状の立体構造をもつ。
  • (c) 合成繊維に用いられる分子には、成形・加工の方法の違いによって合成樹脂に用いられるものもある。
  • (d) 熱硬化性樹脂の多くは、加熱しても軟らかくならないので、成形・加工は分子量が小さい段階で行う。
  • (e) 熱硬化性樹脂は、分子鎖が規則的に配列した結晶構造になるため硬化する。
(1) aとb
(2) aとc
(3) aとd
(4) aとe
(5) bとd
(6) bとe
(7) cとd
(8) cとe
(9) dとe

■ 問1 の解説:

  • [ア] (13) 共有:単量体どうしは共有結合でつながっています。
  • [イ] (15) 重合:繰り返し単位の数を重合度といいます。
  • [ウ] (17) 平均:合成高分子は重合度の異なる分子の混合物なので、その分子量は平均分子量で表します。
  • [エ] (22) 縮合:小さな分子($\mathrm{H_2O}$ など)を脱離させながら結合する重合を縮合重合といいます。
解答(問1):ア (13) / イ (15) / ウ (17) / エ (22)

■ 問2 の解説(※「誤っているもの」を選ぶ問題!):

  • ● (a) 正しい:合成高分子はさまざまな分子量の混合物であり、また結晶部分と非晶部分が混在するため、氷のような純物質と違って加熱しても明確な融点を示さず、軟化点以上で徐々に軟らかくなります。
  • ● (b) 誤り(×):熱可塑性樹脂は鎖状(直鎖状や枝分かれ状)の高分子です。分子間を架橋した三次元網目状の立体構造をもつのは熱硬化性樹脂です。
  • ● (c) 正しい:たとえばポリアミド(ナイロン)やポリエステル(PET)などは、細長く紡糸すれば「合成繊維」になり、型に流し込んで成形すればペットボトルや歯車などの「合成樹脂(プラスチック)」として用いられます。
  • ● (d) 正しい:熱硬化性樹脂(フェノール樹脂など)は一度三次元網目構造を作って硬化すると加熱しても軟らかくならないため、分子量が小さい中間体(ノボラックやレゾールなど)の段階で型に入れて加熱・成形します。
  • ● (e) 誤り(×):熱硬化性樹脂が加熱によって硬化するのは、結晶構造になるからではなく、分子鎖どうしが共有結合で架橋されて三次元の網目状立体構造を作るためです。

したがって、誤っているものの組み合わせは b と e です。

解答(問2):(6)

問 3・問 4 縮合重合の単量体選択とナイロン66の合成量計算

下線部(い):この重合(縮合重合)には、分子内に同じ官能基を2個もつ2種類の単量体が交互に重合する様式(様式 I)と、分子内に異なる官能基を2個もつ1種類の単量体が重合する様式(様式 II)等がある。

問3 様式 I と様式 II で縮合重合させることが理論的に可能な単量体はどれか。次の(1)〜(6)のうち、様式 I では2種類、様式 II では1種類をそれぞれ選び、番号で答えよ。

(1) $\mathrm{CH_2=C(CH_3)-COOCH_3}$
(2) $\mathrm{CH_2=C(CH_3)-CH=CH_2}$
(3) $\mathrm{H_2NCH_2-C_6H_4-COOH}$
(4) $\mathrm{HOCH_2CH_2OH}$
(5) $\mathrm{HOOC-C_6H_4-COOH}$
(6) $\varepsilon$-カプロラクタム(環状アミド)

問4 ヘキサメチレンジアミンを水酸化ナトリウム水溶液に溶かした溶液に、アジピン酸ジクロリド $\mathrm{ClCO(CH_2)_4COCl}$ をヘキサンに溶かした溶液を静かに加えて界面に生じた膜を引き上げるとナイロン66が得られる。ヘキサメチレンジアミンを $1.16\,\mathrm{g}$、アジピン酸ジクロリドを $1.83\,\mathrm{g}$ 用いたとき、理論的に得られるナイロン66の質量は何 $\mathrm{g}$ か。最も近い値を選び、番号で答えよ。
(1) $2.26\,\mathrm{g}$ (2) $2.63\,\mathrm{g}$ (3) $2.81\,\mathrm{g}$ (4) $2.99\,\mathrm{g}$ (5) $3.17\,\mathrm{g}$ (6) $3.35\,\mathrm{g}$

■ 問3 の解説:

  • (1) メタクリル酸メチルと (2) イソプレンは $\mathrm{C=C}$ 二重結合をもつため付加重合の単量体です。
  • (6) $\varepsilon$-カプロラクタムは環が開いてつながる開環重合(ナイロン6の合成)の単量体です。
  • 様式 I(同じ官能基を2個もつ2種類の単量体):ヒドロキシ基 $\mathrm{-OH}$ を2個もつエチレングリコール (4) と、カルボキシ基 $\mathrm{-COOH}$ を2個もつテレフタル酸 (5) の組み合わせです(ポリエチレンテレフタラート PET が合成されます)。
  • 様式 II(異なる官能基を2個もつ1種類の単量体):1分子内にアミノ基 $\mathrm{-NH_2}$ とカルボキシ基 $\mathrm{-COOH}$ の両方をもつ (3) です(脱水縮合してポリアミドを作ります)。
解答(問3):様式 I:(4)と(5) / 様式 II:(3)

■ 問4 の解説:各単量体の分子量と物質量($\mathrm{mol}$)を正確に計算しよう!

STEP 12つの原料の分子量と物質量($\mathrm{mol}$)を求めよう!

  • ヘキサメチレンジアミン $\mathrm{H_2N(CH_2)_6NH_2}$(分子式 $\mathrm{C_6H_{16}N_2}$):
    分子量 $= 12.0 \times 6 + 1.0 \times 16 + 14.0 \times 2 = 72.0 + 16.0 + 28.0 = \mathbf{116.0}$
    用いた物質量 $= \dfrac{1.16\,\mathrm{g}}{116.0\,\mathrm{g/mol}} = \mathbf{0.0100\,\mathrm{mol}}$
  • アジピン酸ジクロリド $\mathrm{ClCO(CH_2)_4COCl}$(分子式 $\mathrm{C_6H_8O_2Cl_2}$):
    分子量 $= 12.0 \times 6 + 1.0 \times 8 + 16.0 \times 2 + 35.5 \times 2 = 72.0 + 8.0 + 32.0 + 71.0 = \mathbf{183.0}$
    用いた物質量 $= \dfrac{1.83\,\mathrm{g}}{183.0\,\mathrm{g/mol}} = \mathbf{0.0100\,\mathrm{mol}}$

STEP 2両方ともちょうど $0.0100\,\mathrm{mol}$ ずつ!生成するナイロン66の繰り返し単位の式量から質量を求めよう!

反応式は、ヘキサメチレンジアミン $n\,\mathrm{mol}$ とアジピン酸ジクロリド $n\,\mathrm{mol}$ から $\mathrm{HCl}$ が $2n\,\mathrm{mol}$ 脱離してナイロン66が生じる反応です: $$n\,\mathrm{H_2N(CH_2)_6NH_2} + n\,\mathrm{ClCO(CH_2)_4COCl} \longrightarrow \mathrm{-[-\,HN(CH_2)_6NH-CO(CH_2)_4CO\,-]_n-} + 2n\,\mathrm{HCl}$$ ナイロン66の繰り返し単位 $\mathrm{-HN(CH_2)_6NH-CO(CH_2)_4CO-}$(組成式 $\mathrm{C_{12}H_{22}N_2O_2}$)の式量は、2つの単量体の分子量の和から $2\mathrm{HCl}$($36.5 \times 2 = 73.0$)を引けば一発で求まります! $$\text{繰り返し単位の式量} = 116.0 + 183.0 - 73.0 = \mathbf{226.0\,\mathrm{g/mol}}$$ 両方とも $0.0100\,\mathrm{mol}$ ずつ反応するので、得られるナイロン66の理論質量は、 $$226.0\,\mathrm{g/mol} \times 0.0100\,\mathrm{mol} = \mathbf{2.26\,\mathrm{g}}$$

解答(問4):(1)

問 5・問 6・問 7 フェノール樹脂の合成(付加縮合と中間体Yの構造式)

フェノール樹脂の合成では、フェノールと化合物Xを用いて、酸触媒あるいは塩基触媒存在下で反応が連続的に進行する。酸触媒を用いた重合の最初の段階では、次の式のようにフェノールのオルト位の水素の1つがXの炭素に置換され、生じた中間体Yが別のフェノールのオルト位と脱水反応を起こして連結する。このような重合を A とよぶ。

問5 文中の空欄 [A] にあてはまる語句を記せ。

問6 化合物Xの名称を記せ。

問7 中間体Yの構造式を解答例にならって記せ。

【図解】フェノールとホルムアルデヒド(X)の付加反応と縮合反応(=付加縮合)

OH フェノール + HCHO 化合物X 付加反応 (酸触媒) ★中間体Yの構造式 OH CH₂OH (o-ヒドロキシメチルフェノール) 縮合反応 -H₂O フェノール2分子が -CH₂-(メチレン基) で連結(ノボラック)

【問5:重合反応の名称】

フェノール樹脂や尿素樹脂、メラミン樹脂の合成のように、「付加反応」と「縮合反応(脱水縮合)」が交互に繰り返されて高分子化合物が生じる重合を付加縮合とよびます。

解答(問5):付加縮合

【問6:化合物Xの名称】

フェノール樹脂は、フェノールとホルムアルデヒド($\mathrm{HCHO}$)を原料として合成されます。

解答(問6):ホルムアルデヒド

【問7:中間体Yの構造式】

フェノールのオルト位の水素原子($\mathrm{-H}$)がホルムアルデヒド($\mathrm{HCHO}$)のカルボニル基($\mathrm{C=O}$)に付加すると、ヒドロキシメチル基(メチロール基:$\mathrm{-CH_2OH}$)が形成されます。したがって、中間体Yはフェノールのオルト位に $\mathrm{-CH_2OH}$ が結合した $o$-ヒドロキシメチルフェノール(サリチルアルコール)となります。

解答(問7):上記図解の「★中間体Yの構造式」を参照

※ベンゼン環の $\mathrm{-OH}$ 基の隣(オルト位)に $\mathrm{-CH_2OH}$ 基を結合させた構造式を記述します。

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