TMPS小論文道場 川崎医科大学 小論文2025
2025年度 一般・地域枠選抜 課題文読解+800字以内論述・50分 解答例は視点の異なる2本 そっくり類題+800字原稿用紙PDF

川崎医科大学
医学部 小論文
2025年度 解答例・解説

問題文は掲載できませんが、
解説を読むだけでどんな問題かもわかる!

さらに、そっくり類題PDFを見れば、実際の問題イメージもわかるよ!

2025年度の課題文読解・800字論述を、「どういう問題か」から課題文の4つの対比ポイント、800字4段落の設計図、視点の異なる解答例2本まで詳しく解説。最後に、本番と同じ形式のそっくり類題(問題用紙+800字原稿用紙PDF・解答例つき)を50分で書いて確かめられます。

Mio先生
解説:Mio先生・ニックニ先生(TMPS医学館) / 更新:2026.10.22 / 読了 約20分

📌 このページの使い方

  1. 過去問集をお持ちの方:まず50分で自分の答案(800字以内)を書き、解答例と見比べてから解説へ進んでください
  2. お持ちでない方:「どういう問題か」と「課題文の4つのポイント」を読めば、問われているテーマと論点がそのまま分かります
  3. 最後にそっくり類題(問題用紙+800字原稿用紙PDF)を50分で書いてみてください

※ 著作権に配慮し、入試問題の課題文本文は掲載していません。小論文に唯一の正解はなく、解答例はTMPSが独自に作成した一例です。大学の採点基準は公開されていないため、「採点の見立て」もTMPSの考えです。

⚠️ 問題等で誤りを発見された場合、修正しますので、TMPS医学館までLINEを下さい。(迅速に確認・更新いたします)

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SUMMARY

3分で分かる 2025年度の川崎医大の小論文

Yuiちゃん
Yuiちゃん
ハイデガーやヘーゲル、「二人称的なわれわれ」「アクチュアリティ」など哲学的な言葉がたくさん出てきて、最初は難しそうでドキッとしました…!
Mio先生
Mio先生
びっくりしなくて大丈夫ですよ!哲学の専門用語を難しく解説する必要はありません。筆者が言いたい一番大切な軸は、最後の段落にある「患者さんを単なるデータ(三人称の対象)として見るのではなく、『わたし』と『あなた』という一人の人間同士(二人称)として向き合う医療」という、医学部小論文の王道テーマなんです。
ニックニ先生
ニックニ先生
50分で800字というのは、構想に迷っているとあっという間に時間切れになってしまう分量です。最初の10分で「課題文の対比整理」と「4段落の字数配分」をしっかり決めてから書き始める手順を徹底していきましょう。
STRATEGY MAP

50分の立ち回りマップ

50分で課題文を読み、構成メモを作って800字以内(目標720〜780字)を書き上げます。時間はTMPSの目安です。 要確認

① 読解・対比メモ 10分 ② 4段落の設計図 8分 ③ 原稿用紙へ執筆(720〜780字) 25分 ④ 字数・誤字推敲 7分 ★ 開始18分までに4段落の「見出しメモ」を完成させ、残り32分で一気に書き上げて推敲する
図A 50分の時間配分モデル(TMPS作成)
🧭 目標時間・死守ライン・損切り
  • 死守ライン:開始18分までに4段落の構成メモ(各段落で何を書くかの1行見出し)を完成させること。構成なしで原稿用紙に書き始めると、500字付近で話が重複したり800字を超過したりして書き直しになります。
  • 損切り:課題文の途中の抽象的な表現で立ち止まらないこと。注釈(*アクチュアリティ:科学ではとらえられない現実)と最終段落の下線部(1)の前後を軸に読めば、論点は100%つかめます。
  • 初手のトリガー:課題文を読みながら「三人称・客観主義・科学」に四角、「二人称・われわれ・人間学的・アクチュアリティ」に丸をつけて対比を可視化しましょう。
2025年度 本番の問題 / 目標:50分

本番の問題 ── 課題文のポイント整理と下線部(1)の論点

設問下線部(1)について、あなたの考えを800字以内で述べる

📝 どういう問題か?

精神科医・木村敏氏の『からだ・こころ・生命』からの抜粋を読み、医療における「自然科学的・客観主義的な立場」と「患者との人格的な二人称関係に立つ人間学的な立場」について、自分の考えを800字以内で論述する設問です。

  • 答えるもの:課題文の論理をふまえ、下線部(1)が示す医師と患者の関係性・生と死の向き合い方について、自分の考えを述べる
  • 条件:800字以内(試験時間50分、1問のみ。一般選抜・地域枠選抜共通)
  • 与えられた注釈:ハイデガー(ドイツの哲学者)、ヘーゲル(ドイツの哲学者)、ブランケンブルク(ドイツの精神病理学者)、アクチュアリティ(科学ではとらえられない現実)の4つ
課題文の論理展開(TMPSによる4つのポイント整理)

課題文そのものは掲載できませんが、筆者が展開している論理の骨格は次の4つのステップに整理できます。

  1. ①「孤立した個人の死」から「われわれの死(死の連帯性)」へ:哲学(ハイデガーなど)では、死を「他者との関係を断ち切った、その人ひとりだけの出来事(個別性の真理)」と捉える見方があります。しかし、家族や友人、深い絆で結ばれた仲間のように、「わたし」と「あなた」が親密に関わる二人称的な「われわれ」の場では、誰かの死は見送る側にとっても集団全体の生命が痛切な変化を受ける出来事となり、全員に分かち合われる「死の連帯性」を帯びます。
  2. ② 三人称的な「客観的知識」と、生きた実感としての「アクチュアリティ」:自分がいつか死ぬという事実を、単なる客観的な知識(三人称的なリアリティ)として頭で知っているだけでなく、他者との「われわれ」の関係の中で死の連帯性に触れることで、私たちは自分自身の生と死をも「科学ではとらえられない生々しい現実(アクチュアリティ)」として感じ取っています。
  3. ③ 個体を超えた「生命そのもの」の共有:共生的な「われわれ」の関係の中で分かち合われている生命の現実は、個々の有限な生を超えたつながりであり、そこでは生と死が別々に切り離されたものではなく、表裏一体のものとして姿を現します。
  4. ④ 下線部(1)の核心(医療における二人称関係):他者との二人称的な関係に立つことで初めて、私たちは自分自身の生と死にも生きた現実として関わることができます。同様に医療の場でも、医師が単に自然科学的・客観主義的な医学を当てはめる執行者として患者に対処するのではなく、人間学的な医療の実践者として患者と個人的・人格的な「二人称関係」に立つとき、初めて生と死は医師にとっても患者にとっても豊かな現実(アクチュアリティ)を示すようになる、と筆者は結論づけています。
自然科学的・客観主義的医学(三人称) ・患者を「客観的な対象・症例・数値」として観察 ・死や病を「一般的な医学知識(リアリティ)」で処理 ・正確な診断や治療法の選択には不可欠な土台 ▲ これだけでは患者固有の苦悩や生と死の  「生々しい現実」には触れられない 人間学的な医療の実践(二人称) ・「わたし」と「あなた」の人格的な関係(「われわれ」) ・患者の生と死を医師自身の現実としても分かち合う ・対話(NBM・ACP)を通じて生きる意味をともに支える ◎ 生と死が医師・患者の双方にとって  「豊かなアクチュアリティ」を示す + 合格答案のゴール:科学的医学(土台)と二人称の人間学的医療(対話・伴走)の統合
図B 2025年度小論文の論点対比マップ(TMPS作成)
Yuiちゃん
Yuiちゃん
「自然科学的・客観主義的医学はダメで、人間学的医療だけが大切だ!」と書いてしまってもいいんですか?
Mio先生
Mio先生
そこが一番気をつけたいポイントです!科学的・客観的な医学そのものを否定してはいけません。正確な検査や科学的根拠(EBM)は患者さんの命を守る大前提です。「科学的な知識や技術を土台としてしっかり備えた上で、それだけを機械的に当てはめる執行人にとどまらず、二人称の人格的な対話を重ねることが大切だ」と、両者を統合する立場で書くと説得力がぐっと高まりますよ。
ニックニ先生
ニックニ先生
その通りですね。川崎医科大学の建学の理念にも「人間をつくる 体をつくる 医学をきわめる」とあるように、「確かな医学」と「豊かな人間性」の両立こそが、大学の求める医師像そのものなんですよ。
⚠️ よくある減点パターン:課題文の言葉をただつなぎ合わせて400字以上要約してしまう答案や、逆に課題文の「二人称関係」「生と死のアクチュアリティ」に一切触れずに「優しい医師になりたい」という一般論だけで800字を埋める答案は評価が伸びません。第1段落で課題文の主張を自分の言葉で端的に受け止め(約180字)、第2〜第4段落で現代医療の具体像へと展開するバランスを守りましょう。
DESIGN

答案の設計図 ── 800字以内を「4段落」で組み立てる

800字以内の小論文では、制限字数の9割以上にあたる720〜780字(原稿用紙36〜39行)を目標にします。書き出す前に4つの段落に字数を割り当てましょう。

第1段落:要点と賛意 約180字(9行) 第2段落:客観主義の限界 約200字(10行) 第3段落:二人称の臨床実践 約220字(11行) 第4段落:統合と決意 約160字(8行)
図C 800字小論文の4段落配分の目安(合計 約760字/TMPS作成)
段落 字数の目安 書く内容(役割) よくある失敗
第1段落
(序論)
約180字 課題文の下線部(1)の趣旨(客観主義的医学と二人称の人間学的医療の対比)を自分の言葉で簡潔にまとめ、自身の立場(賛意と問題意識)を明示する。 課題文の表現をそのまま長く丸写しして300字以上使ってしまう。
第2段落
(本論①)
約200字 現代医療における自然科学・客観的データの有用性を認めた上で、慢性疾患・終末期医療やAI・高度医療化の中で「数値や症例としてのみ扱うこと」がなぜ不十分なのかを述べる。 現代医学や科学技術そのものを「冷たい悪者」として全否定してしまう。
第3段落
(本論②)
約220字 患者と「二人称関係」に立つとは具体的にどうすることか(NBM=物語に基づく医療、ACP=人生会議、共同意思決定など)を示し、それが患者・医師双方にもたらす意義を書く。 「優しく接する」「笑顔で話す」など抽象的な心がけだけで終わる。
第4段落
(結論)
約160字 冷静な科学的視点(三人称)と温かい人格的対話(二人称)は車の両輪であることを確認し、将来どのような医師を目指すかで力強く締めくくる。 最後に新しい論点を持ち出して尻切れトンボになる。
EXAMPLE

解答例 ── 視点・強調点の異なる2本(TMPSの一例)

過去問集では解答例が省略されているため、TMPSが独自に作成しました。模範解答ではなく一例です。どちらも「4段落構成(要点→客観主義の限界→二人称の具体実践→科学と人間学の統合)」の骨格を守り、740字前後に仕上げています。

▶ 解答例A:終末期医療・ACP(人生会議)と「物語に基づく医療(NBM)」を軸にした例
解答例A(終末期・NBM・ACP重視) 743字(段落頭の空き4マスを含む/800字以内)

科学技術の進歩により、現代医学は血液検査や画像診断によって病変を客観的な数値として捉え、多くの命を救ってきた。しかし筆者が指摘するように、人間にとって生と死は単なる生物学的な現象ではなく、他者との関わりの中で意味づけられる一回限りの現実である。医師が患者を交換可能な「症例」として三人称的に扱うだけでは、病の苦しみや死への不安という生々しい現実に寄り添うことはできない。

とりわけ超高齢社会を迎えた現代の医療現場では、完治が難しい慢性疾患や終末期の医療において、客観的なデータと患者本人の実感との間に乖離が生じやすい。どれほど検査数値が改善しても、患者が孤独の中で生きる意味を見失っていれば、真に豊かな生が保たれているとは言えないからである。科学的根拠に基づく医療(EBM)を土台としつつも、それだけではすくい取れない患者固有の生の文脈に目を向ける姿勢が不可欠である。

そのために医師は、患者を一人の人間として尊重し、「わたし」と「あなた」という人格的な二人称関係を築く必要がある。具体的には、対話を通じて患者の価値観や人生の物語に耳を傾けるナラティブ・アプローチを実践し、家族や多職種とともに今後の医療やケアを話し合う人生会議(ACP)を重ねることが重要である。患者の苦悩や死への恐れを「われわれ」の課題として分かち合う中でこそ、患者は自らの生を主体的に生き抜く力を得る。

もちろん、情緒的な共感だけに流されて客観的な判断を誤ってはならない。確かな医学的知識と冷静な観察眼という三人称の視点を備えた上で、患者の人格と向き合う二人称の対話を重ねることが人間学的な医療の本質である。私は将来、科学の力と人間への深いまなざしを統合し、生と死の豊かな現実を患者とともに歩める医師になりたい。

設計図の対応:第1段落(課題文の受け止め・症例として扱う限界)→第2段落(超高齢社会・慢性疾患や終末期における数値と実感の乖離)→第3段落(ナラティブ・アプローチとACPによる「われわれ」の共有)→第4段落(三人称の科学的判断と二人称の対話の統合)。

▶ 解答例B:AI・高度医療時代における「共同意思決定」と医師自身の成長を軸にした例
解答例B(高度医療化・共同意思決定重視) 739字(段落頭の空き4マスを含む/800字以内)

筆者は、他者と「われわれ」という共生的な関係を結ぶことで、生と死が単なる客観的知識を超えた生々しい現実(アクチュアリティ)として立ち現れると述べ、医療においても医師と患者の人格的な二人称関係が不可欠であると説く。私もこの考えに深く賛同する。なぜなら、病とは単に身体の器官が故障する現象ではなく、その人の生活や人間関係、生きる意味そのものを揺るがす全人的な出来事だからである。

近年、人工知能(AI)による画像診断やゲノム医療など、自然科学的な医学は飛躍的な発展を遂げている。これらは診断の正確性や治療効率を高める上で極めて有用であるが、同時に医師が画面上のデータばかりを見て、目の前の患者自身を見落とす危険をはらんでいる。医師が科学的知識を機械的に適用するだけの執行人にとどまれば、患者は自らを管理される対象のように感じ、医療への信頼や治療への意欲を損ないかねない。

こうした客観主義の限界を超える鍵が、対話を通じた二人称関係の構築である。同じ病名や検査結果であっても、仕事や家族との関わりの中で何を最も大切にしたいかは患者ごとに異なる。医師が専門職としての知識をわかりやすく伝えつつ、患者の不安や希望に耳を傾けて治療方針をともに選ぶ共同意思決定を実践するとき、治療は医師から与えられるものから、両者が力を合わせて取り組む共同作業へと変わる。

さらに、回復が望めない局面においても、医師が一人の人間として最期まで伴走する姿勢を示すことで、患者は孤独から解放され、残された時間を自分らしく生きることができる。患者の生と死に真摯に向き合うことは、医師自身の人間性を深める契機ともなる。科学的探究心と人格的な対話力を車の両輪として備え、患者と確かな信頼関係を結べる医師を目指したい。

設計図の対応:第1段落(課題文の要点と全人的出来事としての病)→第2段落(AI診断やゲノム医療の進歩とデータ偏重の危うさ)→第3段落(共同意思決定による二人称関係の構築)→第4段落(患者と医師の双方にとっての豊かな生と死)。

比較ポイント 解答例A(743字) 解答例B(739字)
現代医療の具体場面 超高齢社会における慢性疾患・終末期医療 AI画像診断・ゲノム医療など高度化する医療現場
二人称関係の実践例 ナラティブ・アプローチ(NBM)と人生会議(ACP) 患者の価値観をふまえた共同意思決定(SDM)と最期までの伴走
下線部「医者にとっても患者にとっても」への応答 苦悩や恐れを「われわれ」の課題として分かち合い、主体的に生き抜く力を支える 患者が孤独から解放されると同時に、医師自身の人間性を深める契機にもなる
⚠️ 解答例は丸暗記するためではなく、「抽象的な課題文を、どうやって現代医療の具体的な場面(EBM・NBM・ACP・共同意思決定)に着地させるか」の型を学ぶためのものです。本番では自分の言葉で組み立てましょう。
KNOWLEDGE

このテーマで使える医学・医療倫理の知識整理

川崎医科大学の小論文では、人間学・医療倫理に関わるテーマが頻出です。以下のキーワードから1〜2個を第2・第3段落の具体化に使うと、答案の専門性と説得力が大きく高まります。

用語・概念 意味・対比の軸 答案での使いどころ
EBM と NBM EBM(科学的根拠に基づく医療)と、NBM(物語に基づく医療)。統計的なエビデンスと、患者固有の人生の物語の双方を重視する考え方。 「自然科学的な客観主義」と「人間学的な二人称関係」を現代医療の言葉に翻訳するときに最適。
疾患(disease)と
病い(illness)
医学的に客観化された身体の異常が「疾患」、患者本人が主観的に体験する苦痛や生活上の困難が「病い」。 検査数値の改善だけでは患者の苦しみが解決しない理由を説明するとき(そっくり類題のテーマ)。
共同意思決定(SDM)と
ACP(人生会議)
医師と患者が情報を共有して一緒に治療方針を決めること(SDM)と、人生の最終段階の医療・ケアを家族や医療者とあらかじめ話し合う過程(ACP)。 第3段落で「人格的な二人称関係」を臨床現場の具体的な行動として示すとき。
キュア(治す医療)と
ケア(支える医療)
臓器や病変を治療して治癒を目指す「キュア」と、患者のQOL(生活の質)や尊厳を全人的に支える「ケア」。 完治が難しい慢性期や終末期においても医師が患者に伴走する意義を述べるとき。
PRESCRIPTION

自己診断:800字小論文で手が止まった人への処方箋

TMPSコーチング診断

🩺【自己診断】つまずきパターン別の処方箋

  • 課題文が難しく感じる 「二項対立」に線を引いて整理しよう。哲学的な課題文は必ず「A(三人称・客観・科学)ではなくB(二人称・われわれ・人間学)」という対比構造で書かれています。最終段落と注釈を先に確認すると全体の地図が見えます。
  • 500字付近で書くことが尽きる 第2段落(現代医療の課題)と第3段落(具体的な臨床実践)を分けて設計しよう。「なぜ客観主義だけでは問題が起きるのか」と「どうすれば二人称関係を築けるのか(ACPやNBMなど)」を別段落にすると、自然に750字前後の厚みが出ます。
  • 科学を全否定してしまう 「A(科学的医学)も不可欠だが、それだけでは不十分なのでB(二人称の対話)と統合する」という譲歩構文を使おう。これだけで極端な決めつけを防ぎ、バランスの取れた成熟した答案になります。
TMPS ORIGINAL

川崎医大2025型 そっくり類題
(50分・800字以内・解答例つき)

2025年度の本番と同じ形式(医療・人間学をテーマにした課題文+注釈、下線部(1)について800字以内で自分の考えを述べる論述、試験時間50分)で、TMPSが独自に作成したオリジナル問題です。本番の「対比の読み取り→4段落設計図→科学と人間学の統合」の型を初見の文章で演習できます。

試験時間の目安 50分 テーマ:「疾患(disease)」と「病い(illness)」 800字原稿用紙つき
📄 本番形式の問題冊子+800字原稿用紙PDFをダウンロード(全2ページ・無料)

印刷して本番と同じように50分で手書き演習ができます(1ページ目:問題文と10分構成メモ欄、2ページ目:20字×40行=800字の原稿用紙)。解答例・解説はこのページの下に掲載しています。

※ 川崎医科大学の入試問題ではありません。課題文・設問・注釈はすべてTMPS医学館が独自に執筆したオリジナル教材です。

類題(50分・800字以内)

問 次の文章を読み、下線部(1)について、あなたの考えを 800 字以内で述べなさい。

近代以降の医学は、人間の身体を精緻な機械になぞらえ、病気の原因を細胞や分子、あるいは臓器の機能異常へと還元することで飛躍的な進歩を遂げてきた。血液検査の数値や画像診断の所見は、誰が測定しても同じ結果を示す客観的な指標であり、医療者が共通の基準で治療方針を立てるための不可欠な土台となっている。医療人類学*1では、このように自然科学の視点から客観的・普遍的に捉えられた身体の異常を「疾患(ディジーズ)」と呼ぶ。

しかし、病院を訪れる患者が生きているのは、検査データの数値の中ではない。同じ検査値や同じ診断名であっても、その不調が仕事や家庭生活にどのような影を落とし、将来に対してどのような不安や孤独を呼び起こすかは、一人ひとりの人生の文脈によってまったく異なる。患者自身が自らの身体の変化を主観的にどう感じ取り、自分の人生の中でどう意味づけているかという体験の総体は、「疾患」とは区別して「病い(イルネス)」と呼ばれる。

この「疾患」と「病い」のあいだには、しばしば埋めがたい隔たりが生じる。たとえば、手術や投薬によって検査上の数値が正常範囲に戻り、医学的には「治癒・改善した」と判断されても、患者本人は副作用による倦怠感や再発への恐怖、あるいは以前のように働けない喪失感のなかで苦しみ続けていることがある。逆に、完治が望めない進行性の病気や老いの過程にあっても、周囲との温かい関係の中で自分の役割を見出し、穏やかな納得感をもって日々を生きている人も少なくない。

科学的な根拠に基づく医療(EBM*2)がどれほど高度化しても、それだけで人間の苦悩のすべてを解決できるわけではない。なぜなら、どれほど正確な統計データや診療ガイドラインも、「いま、ここで苦しんでいるこの私」にとってその病がどのような意味をもつのかという固有の問いには答えてくれないからである。そこに、患者が語る固有の物語に耳を傾ける「物語に基づく医療(NBM*3)」が求められる理由がある。

医療の場とは本来、客観的な知識をもつ専門家と、固有の人生を生きる生活者とが出会い、言葉を交わす場所である。(1)医師が、単に身体の異常である「疾患」を数値として処理する技術者にとどまらず、患者が抱える「病い」の物語に耳を傾け、対話を通じて治療や療養の意味をともに紡ぎ出す伴走者として関わるとき、医療は初めて患者の生きる力を真に支えるものとなるだろう。

*1 医療人類学:健康や病気、医療をめぐる人間の経験や文化的・社会的背景を研究する学問分野。アーサー・クラインマンらが「疾患(disease)」と「病い(illness)」の概念的区別を提唱した。
*2 EBM(Evidence-Based Medicine):最新の臨床研究や統計データなど、科学的な根拠に基づいて最善の治療法を選択する医療のあり方。
*3 NBM(Narrative-Based Medicine):患者が語る病の体験や生活史、価値観(「物語」)を尊重し、対話を通じて診療を行う医療のあり方。

※ 解答は800字以内(目標720〜780字、段落の最初は1マスあける)。50分で書いてから、下の解答例と解説を開いてください。

▶ 類題の解答例と解説を見る
類題の解答例 752字(段落頭の空き4マスを含む/800字以内)

現代の医療では、検査値や画像所見によって身体の異常を客観的に特定する「疾患」の視点が重視される一方、患者自身が痛みや生活の変化をどう体験しているかという「病い」の視点が見過ごされがちである。筆者が述べるように、客観的なデータの改善と患者本人の納得の間にはしばしば大きなずれが生じるため、測定可能な指標の正常化だけをゴールとする医療には限界がある。

特に生活習慣病やがんの療養など、長期にわたって病気と向き合う場面では、このずれが深刻な問題となる。たとえば副作用や厳しい生活制限によって趣味や仕事といった生きがいが奪われれば、検査の数値上は治療が順調であっても、患者は「自分らしい暮らしが壊された」という深い喪失感を抱き、治療の中断や孤立につながる恐れがある。身体の異常だけを治療対象として切り離すのではなく、固有の人生を歩む生活者として患者全体を捉える視点が求められる。

そこで重要になるのが、医療者が患者の語る「物語」に耳を傾け、治療や療養の目標をともにすり合わせる対話である。医師が科学的根拠に基づく選択肢を丁寧に説明した上で、患者がどのような日常を取り戻したいのかを聞き取り、生活背景に合った治療計画を一緒に組み立てることが必要だ。さらに看護師や薬剤師、リハビリ職など多職種ともその物語を共有すれば、診察室の外の暮らしまで切れ目なく支えることができる。

「治す医療(キュア)」と「支える医療(ケア)」は決して対立するものではなく、互いを補い合う車の両輪である。客観的な科学の目で正確に「疾患」を診断する力と、温かい対話を通じて患者の「病い」の物語に寄り添う力の双方を備えることで、初めて患者の生きる力を支える医療が実現する。私も将来、数値の向こうにある一人ひとりの人生を尊重できる医師でありたい。

TMPSが作成した一例です(模範解答ではありません)。

設計図の部品 この解答例での内容
第1段落(要点と問題提起) 客観的な「疾患」と主観的な「病い」の区別を整理し、数値の正常化だけをゴールとする医療の限界を提示する。
第2段落(現代医療の課題) 生活習慣病やがん療養など長期の療養場面を挙げ、副作用や制限で生きがいが奪われると数値が良くても喪失感や治療中断につながることを示す。
第3段落(対話・伴走の具体策) 科学的根拠(EBM)を丁寧に説明した上で、患者が取り戻したい日常の「物語(NBM)」を聞き取り、多職種とも共有して生活背景に合った治療計画を立てる。
第4段落(統合と決意) 「治す医療(キュア)」と「支える医療(ケア)」を車の両輪として統合し、数値の向こうにある人生を尊重できる医師を目指す。
CHECK

30秒 得点診断

本番の過去問、またはそっくり類題を50分で書いた結果を選んでください。次にやるべきことを表示します。

書き始める前に、4段落の字数配分(設計図)をメモする
第1段落で課題文の対比構造を自分の言葉で端的に受け止める
科学的医学(三人称)を全否定せず、人間学的医療(二人称)と統合する
第3段落で具体的な臨床行動(NBM・ACP・共同意思決定など)を示す
50分以内に720〜780字(制限字数の9割以上)で書き切る
FOR PARENTS

保護者の方へ:川崎医大の小論文で知っておきたい3つのこと

① 哲学・医療人間学の骨太な課題文
川崎医科大学の小論文では、命や死、医師と患者の関係性を深く掘り下げた人文・医学エッセイが出題されます。表面的な医療ニュースの暗記ではなく、文章の対比構造を読み解く力が見られます。
② 50分で800字は「4段落の型」で攻略
50分で課題文を読んで800字を書くのは、構成の型がないと時間切れになりやすい試験です。「要点→課題→具体策→統合」の4段落設計を身につければ、安定して750字前後を書けるようになります。
③ 面接にも直結する「医師像」の言語化
小論文で書いた「科学と人間性の統合」「患者との二人称の対話」という視点は、そのまま二次試験の面接での志望動機・医師像の回答として大きな武器になります。
FAQ

よくある質問

Q. 川崎医科大学 医学部の小論文2025年度は、何をどのくらい書きますか?

2025年度(一般・地域枠選抜)は、医学・哲学系の課題文(生と死の連帯性、客観主義的医学と人間学的医療の対比を論じた文章)を読み、下線部(1)について自分の考えを800字以内で述べる1問構成でした。試験時間は50分です。

Q. 問題文が載っていなくても、どんな問題か分かりますか?

分かります。著作権に配慮して課題文の本文は掲載していませんが、「どういう問題か」と「課題文の4つのポイント整理」で、設問条件(50分・800字以内)と筆者の論理展開をTMPSの言葉で詳しく説明しています。

Q. 解答例は模範解答ですか?

いいえ。過去問集では解答例が省略されているため、TMPSが独自に作成した「一例」です。小論文に唯一の正解はなく、終末期医療・ACPを軸にした例Aと、高度医療技術・AI時代における対話を軸にした例Bの2本を掲載し、どちらも成り立つことを示しています。

Q. そっくり類題セットとは何ですか?

2025年度と同じ形式(医療・人間学をテーマにした課題文+注釈、下線部について800字以内で自分の考えを述べる論述、試験時間50分)で、TMPSが独自に執筆したオリジナル問題です。問題用紙と800字原稿用紙のPDF(全2ページ)を無料配布し、解答例と解説をこのページに掲載しています。

Q. 解説に誤りを見つけたらどうすればいいですか?

公式LINEからお知らせください。確認のうえ修正し、更新日を記載します。

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